【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

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Page 1: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

東北視察報告書(紫波町・盛岡市・秋田市)

視察年月日:平成 27年 11月 17日〜19日

2015年度会派視察

江東区議会 維新・民主・無所属クラブ作成者:鈴木綾子

写真:盛岡市役所前

Page 2: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

視察日程

Page 3: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

視察目的と概要

視察調査項目と訪問先(岩手県紫波町)

1.オガールプロジェクト視察

【紫波町について】■人口: 33,696人( 2015年3月末日現在)■面積: 239㎢■議員定数:18人■一般会計予算: 133億円

①オガールプロジェクトの概要②現地視察対応者:(株)オガール紫波顧問 八重嶋雄光 氏    岩手県紫波町 藤原 博視 副町長    岩手県紫波町議会 武田平八議長   

 官民連携による地域創生の先進事例として、官民連携複合施設である「オガールプロジェクト」を視察。補助金に頼らない斬新な施設運営や、雇用創出モデル・地域振興の現場を学ぶことで、江東区における官民連携事業の推進に役立てることを目的として視察。

日時:平成27年11月 18日(水)    9:30〜 12:30場所:(株)オガール紫波(岩手県紫波郡紫波中央駅前2 3 3)− −参加者江東区議会 維新・民主・無所属クラブ福馬 恵美子議員・鈴木 綾子議員屋敷田 綾香議員

Page 4: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

岩手県紫波町:オガールプロジェクト

 オガールプロジェクトでは、未利用となっている 10.7haの公共用地を、紫波町の第 3セクターのまちづくり会社である「オガール紫波」が、公民・官民連携を行うとともに、徹底したマーケティング調査を実施した上で、不動産開発に着手し、サッカー場の誘致、町営図書館を核とした、官民複合施設を実現したプロジェクトである。 5月には紫波町役場庁舎もオープン。「オガール」とは、方言の「おがる」(成長する)と、フランス語の「ガール」(駅)をあわせて作った造語。「紫波中央駅前都市整備事業」のこと。  オガールプロジェクトは、「オガールベース」(官民複合施設)、「オガールプラザ」(官民複合施設)、「役場庁舎」、「エネルギーステーション」(民間事業者による熱供給施設)、「オガールタウン」(分譲住宅)から構成。 オガールプロジェクトの目的は、「町民の財産である町有地を安売りしない」ということ。まちづくりの重点として「人」ではなく「不動産」を第一におき、付加価値をつければ不動産価値が上昇し、エリア全体の活性化、収益の向上につながる、との考えでまちづくりを行っていることが従来にない特徴。 結果として、これまで塩漬けだった土地に価値が生まれ、地域活性化や雇用創出にもつながり、「稼げるまちづくり」につながっている。地方創生の新しいモデルとして、全国から注目されている。

岩手県紫波町について

オガールプロジェクトについて

出典:オガール紫波提供資料

Page 5: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

岩手県紫波町:オガールプロジェクト

オガールプロジェクト エリア内の配置と概要

オガールプロジェクト これまでの流れ

 オガールプロジェクトは、民間事業者との複合施設である、オガールベース、オガールプラザ、紫波町役場庁舎、エネルギーステーション(熱供給施設)、オガールタウン(分譲住宅)、岩手県フットボールセンターで構成される。

出典:オガール紫波提供資料

Page 6: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

岩手県紫波町:オガールプロジェクト

公民連携のまちづくりのあゆみ

オガールプロジェクトを実現するにあたり、紫波町では、平成21年3月に公民連携基本計画を策定し、基本計画に基づいた PPP事業がすすめられた。「町民の資産」である町有地を活用して、財政負担を最小限に抑えながら、公共施設と民間施設等の複合開発を行う事が計画の目的である。

オガールプロジェクト推進体制

出典:オガール紫波提供資料

Page 7: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

岩手県紫波町:オガールプロジェクト

オガールプロジェクトがもたらした効果について

 オガールプロジェクトにより、長年塩漬けになっていた未利用の町有地の活用が実現し、エリアの価値向上や、周辺地域の民間投資を誘発にもつながった。開発の結果として、産直である「紫波マルシェ」にも人が集まり、平成26年度の年間売り上げは4億円。生産者257人加入するなど、売り上げもあがっている。図書館の貸出数も、 238,812 冊と、好調である。 施設の来場者も順調であり、情報交流館には33.3万人の利用(そのうち図書館は19.8万人)が集まるなど、賑わいの拠点化にもつながっている。 今後の課題としては、町の中央だけが潤う仕組みでなく町民にメリットある開発とすることなどが挙げられるが、その他の課題は顕在化していない。 公共の資金に頼らず、証券化による資金調達など特徴的な手法により、地域開発を成功させた事例として、全国から視察や来訪者が訪れるという意味でも、地域の価値をあげる効果が見られている。

出典:オガール紫波提供資料

Page 8: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

岩手県紫波町:オガールプロジェクト

オガール紫波(株)について

まちづくりの手順と逆アプローチの不動産開発

 オガール紫波(株)は、平成21年6月1日に資本金390万円(紫波町100%出資)で設立された。翌平成22年6月も 1000 万円に増資したことによって紫波町の出資割合は39%となった。現在の株主は法人8社、個人2名の 10者となっている。 100%民間出資ではないという点でいわゆる第三セクターであり、現在第三期の事業をすすめている。

オガールプロジェクトの目的は、「町民の財産である町有地を安売りしない」ということである。■「まちづくり」には手順がある。それを間違ってはならない■まちづくりは「人」ではなく「不動産」■付加価値をつければ価値そのものを増大させられるという考えにもとづき、「不動産価値の向上」に重きを置いたまちづくり。

従来は、建物を発注してからテナントを集めるのが通常の開発主要であるが、テナントを集めてから建物の発注を行うという逆アプローチで開発をすすめた。

出典:オガール紫波提供資料

Page 9: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

岩手県紫波町:オガールプロジェクト

官民複合施設:オガールプラザ

・オープン:平成24年6月20日・所有者:紫波町、オガールプラザ(株)・建物規模:延べ床面積:5826㎡・工事費: 108,150 千円※オガールプラザが資金調達をし、完成後に紫波町が中央棟を買い取った。

☆マルシェ 県内一の売り上げ面積を誇る産直で、売り上げは年間 4 億円。☆テナント(右下)レストラン等店舗が入居☆ 紫波町図書館(右上):蔵書能力10万冊

オガールプラザ:施設の様子

Page 10: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

岩手県紫波町:オガールプロジェクト

オガールベース

オガールベース:施設の様子

 ビジネスホテルである、オガールイン、アリーナ(体育館)、スポーツアカデミーなどの施設と、テナントとして、コンビニ、ラーメン店、文具、居酒屋などが入居している。

平成25年10月:工事着手(施主:オガールベース(株)平成26年7月:工事竣工平成26年7月:オガールベースオープン

オガールイン(宿):・デザイン性の優れた素敵な客室で、一泊朝食(バイキング)付で 5400 円と格安。合宿利用の場合はさらにリーズナブルな価格で宿泊可能(2000円台)。・施設内には、アリーナ(体育館)があり、スポーツ団体などが利用可能である。・スポーツアカデミーがあり、バレーボールやサッカーのスクールも設置されている。

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岩手県紫波町:オガールプロジェクト

オガールタウン

紫波町役場

 紫波町がこれまで取り組んできた循環まちづくりの集大成として、紫波の文化が溶込み、人と人の交流が生まれ、資源と経済が循環するまちを目指している。 「オガールタウン景観協定」などによる緑豊かな住環境づくりとエリアマネジメントの推進、「紫波型エコハウス基準」を持ち、町産木材の活用や、暖房負荷の軽減などにつとめている。 

平成27年度より開設。地上4階地下1階。延べ床面積 6650.43 ㎡。総工費:21億6884万4000円。  PFI事業により設計、建設、運営維持管理を一体的に行う事で事業コストを削減している。また、町の豊かな森林資源を活かし、徹底して町産木材を活用する事で建設費のコスト削減を図っている。 エネルギーステーションを持ち、木質バイオマスによる地域冷暖房を実現。庁舎の他、オガールタウンに熱供給を行っている。

所感

 オガールプロジェクトを視察し、補助金に頼らず、 PPPの斬新な手法で施設運営を行い、地域の活性化や、雇用の創生を成し遂げている点、不動産価値の向上などにも寄与している点など、地方創生の好事例であることを実感した。地方も、東京も、新しい手法でまちを活性化することへの重要性は変わりなく、新しい事例から学ぶ必要があると感じた大胆な手法、創意工夫、デザインの素晴らしさが感じられる事例、江東区における官民連携を考える上でも参考にしていきたい。

Page 12: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

視察目的と概要

視察調査項目と訪問先(岩手県盛岡市)

1.盛岡市の子育て支援事業について

 

2.盛岡ブランド推進計画について

日時:平成27年11月19日(木)    10:00〜 12:00場所:盛岡市役所(盛岡市内丸12 2)−参加者江東区議会 維新・民主・無所属クラブ福馬 恵美子議員・鈴木 綾子議員屋敷田 綾香議員

対応者:市長公室 企画調整課 都市戦略室 佐藤篤室長                     杉田一盛主幹盛岡市議会事務局 阿部克視 次長

【盛岡市について】■人口: 299,169人( 2015年9月末現在)■面積: 886.47㎢■一般会計予算: 952億円■市予算総合計: 1600億円■議員定数: 38人

もりおか子育て応援パスポート事業について

対応者:盛岡市福祉保健部子ども未来課     石橋浩幸課長・斉田光智係長

 江東区の子育て支援施策・ブランディング戦略の推進に役立てるため、もりおか子育て応援パスポート事業・盛岡ブランド推進計画について視察を行った。

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盛岡市:「もりおか子育て応援パスポート事業」について

事業の概要と目的

「もりおか子育て応援パスポート事業」の概要

「もりおか子育て応援パスポート事業」は、子育て中の世帯を対象に、企業等が子育て応援サービスを提供する事により、当該世帯の子育てにかかる負担の軽減を図るとともに地域社会全体で子育てを支援する機運を高めるものである。

盛岡市が発行する子育て応援パスポート(通称もリパス)を、盛岡市内の協賛企業、店舗などに提示する事により、様々なサービスを受けることができる。子育てを地域全体で応援する、盛岡市と盛岡商工会議所の協働事業である。

(1)対象世帯:子ども(18歳未満)を養育している世帯(約 30,000 世帯)または、母子手帳の交付を受けている妊娠中の者がいる世帯。 パスポートは原則として一世帯に1枚を交付するが、もりパスモバイルサイトにより申込があった場合は、子どもの保護者に対し、1世帯2枚まで交付することができるものとする。利用は同一世帯のみとし、他人への貸与や譲渡は禁止している。

■利用申込等:対象世帯からの申込により市がパスポートを発行。事業に協賛する企業や店舗が、パスポートを提示した対象世帯の家族に商品代金の割引や特典などのサービスを提供する。

■子育て応援サービスの例商品代金の割引、ポイント等の割り増し進呈、商品券等の進呈、おむつかえすペースの無料貸出、ミルク用のお湯の提供等■協賛店: 407 店(平成27年11月1日現在)※協賛店にはステッカー提示。■周知方法:市のホームページ、もりおか子育てブックへ掲載、案内チラシ等。

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盛岡市:「もりおか子育て応援パスポート事業」について

事業経緯について

平成26年2月に実施した、盛岡市次世代育成支援に関するニーズ調査で、「子育てで特に不安に思っていること」の設問に対して、「子育てで出費がかさむ」との回答が就学前児童で有効回答 1,007中362回等、小学校の児童で1,173中435の回答があったことが事業開始のきっかけとなった。また、本施策は、市長の公約である「盛岡の未来を構築するための政策」のひとつでもあった。

事業費について

「もりおか子育て応援パスポート事業」は、協働事業者である盛岡商工会議所により施策が実施されており、事業費は低く抑えられているのが特徴である。初年度である平成27年度は、279万円、モバイルサイトを構築した平成22年度は88万8000円(うち国の交付金が76万円)であるほかは、毎年10万円台の低予算で運用。平成27年度予算で10万8000円である。 

Page 15: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

盛岡市:「もりおか子育て応援パスポート事業」について

実績と今後の課題について

 本事業は、平成20年度に開始以来利用世帯を伸ばしており、平成26年度までの累計で、 11,377 世帯、協賛店は363店舗となっている。平成23年度から開始したモバイルによる利用が増えており、平成26年度はモバイルの新規発行世帯が約半数となっている。今後の課題は、協賛店の拡大と PR 活動の充実である。協働事業者である盛岡商工会議所と連携し、協賛店拡大、事業の広報などを実施していくこととしている。

Page 16: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

参考:「もりおか子育て応援パスポート事業」チラシ

Page 17: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

参考:交付申込書と協賛内容(一部抜粋)

Page 18: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

盛岡市:「もりおか子育て応援パスポート事業」について所感

 「もりおか子育て応援パスポート事業」は平成16年2月実施のニーズ調査をきっかけに子育てに係る負担の軽減を図るとともに、地域社会全体で子育てを支援することを目的とされており、子育て世帯のニーズにマッチした事業である。 対象世帯も、盛岡市内の 8歳未満の子どもを持つと、母子手帳の発行を受けた妊娠中の方がいる世帯ということで年齢が幅広く、現在協賛店は 407 店、具体的なサービスは店舗により、バリエーションが豊富である。 例えばおむつ替えスペースの提供とミルク用お湯の提供、ちびっこ応援タクシーサービス(事前登録により 24時間体制で出産時・夜中の病院などの緊急時に安全輸送を行うサービス)、銀行定期積金の金利上乗せ、お子様のソフトドリンク何杯でも無料サービス、映画チケット親子割引サービスなど、お得感・個性のあるサービスが多くあるが、これは商工会議所との協働により、協賛店の自主性や、子育て応援に関する心意気が現れているものといえる。 子育て応援世帯に対する、特典の提供などを行っている自治体は他にも例があるが、年間の事業費等、予算を多くかけなくても知恵を出し合いながらの協働事業ということが本事業の特徴であるといえる。 江東区でも、商店街活性化施策として、「さざんかカード事業」からバージョンアップした「ことみせ事業」(経済課)などがあるが、子育て世帯に特化した形で対象を絞り、サービスを提供することは、子育て世帯の負担軽減のみならず、「自治体・地域として子育てを応援する」という姿勢を区民に対して示していく意味でも重要である。本区でも、子育て世帯に対し、費用負担の軽減などは課題になっており、サービス利用の需要は高い。盛岡市の子育て応援パスポート事業のような、低予算で創意工夫のある形で施策を展開する事は重要であり、参考になった。本区の子育て応援施策の提案にも活かしていきたい。

Page 19: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

盛岡市:「盛岡ブランドの推進」について

盛岡ブランド開発の背景

第二次盛岡ブランド推進計画について

人口減少、少子高齢化、地方分権の進展などにより、地域間競争が激化する中、盛岡市が「訪れてみたい」「暮らしてみたい」「住み続けたい」と市内外の人々から「選ばれるまち」になるため、

(1)「盛岡の有形・無形の地域資産」がもつ魅力(盛岡らしさ)を掘り出し、育み、磨き上げ、市外に発信すること(2)「盛岡らしさ」により他の地域との差別化を図ることで、盛岡が市内外の人々に「価値あるもの」と評価され,多くの人から「選ばれるまち」となり、地域の活性化が図られるなど、元気なまちづくりが推進されること(3)市民がこの「盛岡らしさ」についての価値観を共有し、盛岡に誇りや愛着をもち,生活すること

を目指し、平成18年 1月から平成27年 3月までを計画期間とする盛岡ブランド推進計画を策定し取り組んできた。

・前計画の成果と課題を踏まえ、平成27年3月に策定・トップキャッチコピーやロゴマークなど、前計画の基本的なコンセプトは継承した。・まちの魅力を効果的に市内外に発信し、まちの認知度や魅力度の向上を目指す「シティプロモーション」を新たな視点に加えた。・盛岡ブランドのイメージがより明確になるよう、計画全体の構成を整理した。

出典:盛岡市提供資料

Page 20: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

盛岡市:「盛岡ブランドの推進」について

盛岡ブランドとは?

①自治体の「ブランド」についての基本的考え方「盛岡ブランドは、個別ブランドも含めた都市ブランドの構築を目指す取組。(1)ブランドとはあるモノを他のモノと区別する名前やデザイン、シンボルなど、そのものだけが持つ特徴が「ブランド」である。「盛岡ブランド」は他都市と盛岡を差別化する特徴であり、いわゆる「盛岡らしさ」のことである。(2)都市ブランドと個別ブランド①都市ブランド:・まちの名前に接した市民や市外の人、企業などに「行きたい」「住みたい」「そこでビジネスをしたい」といった期待やあこがれを抱かせるもの。(まちの名前そのものが持つプラスのイメージのこと)②個別ブランド・特定の産品や観光名所など、地域の代表的な資源(特産品)のこと。これらの PRの結果として、まちの認知度向上につながるものがほとんど。(例:宇都宮の餃子や富士宮の焼きそばなど)

②盛岡の価値と魅力について 盛岡は、豊かな自然を身近に感じる事ができ、長い歴史の中で築かれてきた伝統と文化があるなど、多くの価値や魅力を持つまちである。それらの価値や魅力が、脈々と続いている人々の暮らしから生まれているという点に着目して、「4つの物語」として内容を整理している。 盛岡の価値や魅力とそこから生まれる安心や信頼といったイメージを「盛岡ブランド」と位置付けている。 盛岡ブランドを磨き上げ、大切に守り続けることにより盛岡ブランドに対して抱く期待や信頼を裏切らないことを約束している。

出典:盛岡市提供資料

Page 21: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

盛岡市:「盛岡ブランドの推進」について

盛岡ブランド宣言・キャッチコピー・ロゴマークについて

①盛岡ブランド宣言 盛岡に住み私たちが、盛岡の価値や魅力を掘り起こし、育み、磨き上げる取組を市内外に広く示すことを目的に、平成18年1月に策定。宣言文は4つの物語と、それが暮らしの中から紡ぎ出されているという盛岡ブランドのイメージを具体的に表現している。

②キャッチコピーとロゴマーク盛岡にある様々な価値や魅力が、脈々と続く暮らしの中から生み出されていることに着目し、盛岡ブランドのイメージを「暮らし」「物語」という2つの言葉にこめて表現したものである。

Page 22: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

盛岡市:「盛岡ブランドの推進」について

盛岡ブランドの広報について

盛岡ブランドの推進戦略については、市民・事業者の意識共有や、情報発信の強化などにも力を入れている。情報発信については、①ホームページ「もりおか暮らし物語」や face bookなど SNS 活用②ポスターや紙媒体などの充実③庁内の意識啓発と連携を中心に実施している。

出典:盛岡市ホームページ、盛岡市提供資料

Page 23: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

盛岡市:「盛岡ブランドの推進」について

盛岡ブランドの広報の中で独自な取組として「盛岡ブランドポスター総選挙」がある。多くの市民や観光客に「盛岡ブランド」を知ってもらうことを一番の目的に掲げ、そのために,よりインパクトのある手法として、 100種類のポスターを製作し、市内に掲出し、盛岡ブランドの盛り上げを図った。

盛岡ブランドの広報について〜「ポスター総選挙」

出典:盛岡市ホームページ、盛岡ブランドポスター

Page 24: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

盛岡市:「盛岡ブランドの推進」について

質疑応答

Q. どのような経緯でブランド宣言文、キャッチコピー、ロゴマークが決定したのか。A..もともとは、市長の公約。平成 18年に決定したが、 3年前から、庁内に公募職員 3 名を博報堂で研修。その上で、盛岡ブランド開発 推進研究会 という組織で検討。市民と一緒に考え、市民アンケート、ブランドを語る市民のつどい、ワークショップ、講演等を実施し、広報にブランド推進室をおくという推進体制をとった。キャッチコピーは、盛岡市のグラフィックデザイナー 中村誠氏によるもの。

 盛岡市のブランド推進については、市長の選挙公約がきっかけとなって始まり、平成17年度から「盛岡ブランド推進計画」を第一次・第二次と策定し、継続して取組を行っている点や、総合計画とも整合性を持たせ、施策別計画をしっかりと策定した上で計画的に事業を行っている。課題としては、市民の認知度向上や、ブランド推進における市民参加であり、第二次計画においては、「市民・事業者の意識共有」にも留意した計画推進となっている。 江東区においては、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、江東区の魅力を国内外に発信している取り組みを始めたところであるが、ブランド戦略の考え方は、先進自治体に比べて遅れている感がある。 江東区で「ブランド」を冠した事業は、産業推進の目的で平成26年から始まった「江東ブランド推進事業」に次いで、オリンピックを契機とした「ブランディング戦略」事業が2つ目であるが、「ブランド」を狭義で捉えている感が否めない。ブランディング戦略の策定については、平成27年度の施策として、業務委託により実施している。ブランディング戦略の検討委員会は設けられているものの、キャッチコピーやブランドに関する議論が不十分なまま、キャッチコピーを策定した後に、ロゴマークを公募するなど、住民理解が得られにくい手順でブランド推進を行っていることは課題であるといえる。 今後、江東区のブランディング推進をしっかりとした形で進めていくには、盛岡市のような計画的で中長期的な視野を持つことが大切であると考える。 盛岡市の事例で学んだブランド推進の手順や、広報手法などを参考に、江東区のブランディング戦略について考え、江東区のブランド推進に資するように議会質問などを行い、提言していきたい。

所感

Page 25: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

参考:江東区 ブランディング戦略について

江東区では、東京 2020オリンピック・パラリンピック開催を契機に、国内外に区の魅力を積極的・戦略的に発信するため、ブランディング戦略を検討している。検討にあたり、学識経験者や区内産業団体・企業の委員、区職員で構成する江東区ブランディング戦略検討委員会を設置し、検討しています。

出典:江東区 報道発表資料

Page 26: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

参考:江東区 ブランディング戦略について

江東区のブランディング戦略の構築に当たっては、以下のようなスキームを通じて概要を整理し、ロゴマークの策定や、 PR 戦略の検討、戦略事業のあり方を考えている。

Page 27: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

視察目的と概要

視察調査項目と訪問先(秋田県秋田市)

1.在宅子育て支援事業について

 

日時:平成27年11月19日(木)    15:00〜 17:30場所:秋田市 子ども未来センター(秋田市東通仲町4 1 アルヴェ)−参加者江東区議会 維新・民主・無所属クラブ鈴木 綾子 議員・屋敷田 綾香議員

【秋田市について】■人口:人( 2015年月末現在)■面積:㎢■一般会計予算:億円■市予算総合計:億円■議員定数:人

在宅子育てサポート事業について

対応者:秋田市子ども未来センター 石黒 一史副参事    松橋 美穂 主査

    秋田市議会事務局議事課 阿部盛満 主席主査

 江東区の在宅子育て支援を中心とする支援策の推進に役立てるため、先進地である秋田市の在宅子育て支援事業の概要を伺い、子ども未来センターの施設視察を行った。

Page 28: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

秋田市:「在宅子育て支援事業」について

在宅子育てサービス事業の目的

在宅子育てサービスの概要

 保育所などに通っている世帯の子供と異なり、小学校入学まで在宅で子育てを行っている世帯に対しては、行政として子育て支援をする機会が限られている。そのような中、核家族の増加などにより、 隣近所とのつき合いも薄れ、周りに子育てに関する相談相手がおらず、在宅で子育てしている保護者が孤立感を強めている。こうした 状況を改善するため、 1歳以上の小学校就学前の子供を在宅で子育てしている保護者に対し、親子の多様なニーズに対応する複数のサービスを提供する目的で、平成 17年8月から秋田市独自の施策として 在宅子育てサービス事業が始められた。

 在宅で子育てをしている保護者からの申請に基づき、対象児童 1人につき子育てサポート券 1セット 16枚つづりを配布し、指定の 5つのサービス利用時にサポート券を使用した場合、利用料等を補助することにしている。また25年度より子育てサポート券 1セット ことに、秋田市にある大森山動物園の年間パスポート1人分の引き換え券を追加している。平成26年度の交付実績は3,237人であり、 在宅児童数推計 4,088人に対して 79.18%である。またサポート券の 使用枚数は 44,295枚であり、利用率は 85.52%である。

出典:秋田市提供資料

Page 29: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

秋田市:「在宅子育て支援事業」について

5つの在宅子育てサービス

①わんぱくキッズのおでかけプラン

小学校区ことに参加を取りまとめ、複数のコースを設定した親 子参加型の遠足を NPO 法人に委託して実施している。実施に当 たっては、貸し切りバスで送迎を行い、保育士が3人ほど同行し ている。親子の触れ合い、同一地域に住む親子同士の交流を深める場を提供すると同時に、保護者の子育てに関する相談に保育士 が対応することにより、育児の不安解消を図る機会としている。 平成26年度の全使用枚数に対する利用率の割合は 12.1%である。

出典:秋田市提供資料

Page 30: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

秋田市:「在宅子育て支援事業」について

5つの在宅子育てサービス

②在宅ママ・パパのゆっくりプラン

 認定保育所及び認定保育施設とファミリー・サポート・センター及び託児グループが行う一時預かりサービスの利用料を補助し ている。保護者にリフレッシュできる機会を提供するとともに、 保育施設や保育サービスのよさを知ってもらう足がかりとしている。平成 24年度の全使用枚数に対する利用率の割合は17.4 %である。

出典:秋田市提供資料

Page 31: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

秋田市:「在宅子育て支援事業」について

5つの在宅子育てサービス

③親子の絵本プラン

 幼児向けの絵本の購入費用を補助することで、家庭における幼児期の情操教育及び絵本を通して親子のコミュニケーションを深 め、児童が健やかに育つための支援を行っている。平成 24年度 の全使用枚数に対する利用率の割合は47.5%である 。

引き換える本は、市立図書館で展示している。 出典:秋田市提供資料

Page 32: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

秋田市:「在宅子育て支援事業」について

5つの在宅子育てサービス

④なかよし親子でおでかけプラン

在宅子育て家庭の外出の機会をふやし、親子の触れ合いを促進するため、秋田市の公共施設の利用料等を補助している。平成25年度から、大森山動物園の年間パスポートを追加し、サービスを充実させた。平成26年度の全使用枚数に対する利用率の割合は 8.2%である

出典:秋田市提供資料

Page 33: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

秋田市:「在宅子育て支援事業」について

5つの在宅子育てサービス

⑤はいポ—ズ!プラン

家族の思い出となる写真を撮影する機会をふやし、家族のきずなの形成を促進するため、写真館で写真を撮影する際の撮影料等 を補助している。平成 24年度の全使用枚数に対する利用率の割 合は 14.7%である。

出典:秋田市提供資料

Page 34: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

秋田市:「在宅子育て支援事業」について

子ども未来センターについて

子ども未来センターは、就学前の子どもを対象とした遊びや親同士が交流できる場を提供するスペースである。また、子育てと女性の悩み、家庭教育相談、青少年の相談にも応じている。 なお、子ども未来センターが設置されている秋田拠点センターアルヴェは、秋田駅東西の一体的なまちづくりを実現するため、市民の交流空間と魅力ある都市機能を、秋田市と民間事業者との連携により整備した官民複合施設。5階建ての公共棟、 14 階建ての民間棟、3階建ての駐車場棟で構成されている。

■開館時間:午前9時〜午後6時■休刊日:12月29日〜1月3日■入場料:無料

館内の様子

入り口 無料で遊べる室内アスレチック

出典:秋田市提供資料

Page 35: 【紫波・盛岡・秋田編】東北視察報告書 2

秋田市:「在宅子育て支援事業」について

館内の様子

あかちゃんルームなど、施設が大変充実しており、駅にも近いため、親子連れが気軽に利用できる。遊具や赤ちゃんルームなどの施設も整備されている。保育士さんなど専門の職員さんを合わせて全員で31名の職員が勤務。 平成16年にオープンしたこの施設は今年で 12年目。利用者数は年間5万5千人。駅前の複合施設の中に入っているということもあり、休日など多いときは1日 800人の利用者数があるとのこと。 施設利用は無料で、複合施設のため駐車場使用料は利用者が負担。視察した際は、子どもたちがいきいきと自分から遊具での遊び楽しんでいた。

所感

 秋田市の子育て支援事業の特筆すべき点は、利用するサービスに単にクーポン券で補助をする、ということではなく、親子で楽しい思い出作りをしたり、子育て疲れを癒したりするためのメニュー設定が利用者の立場に立ち、「なかよし親子でお出かけプラン(公共施設利用)」「わんぱくキッズのお出かけプラン(親子の遠足)」「はい、ポーズ!プラン(家族写真撮影)」「在宅ママ・パパのゆっくりプラン(一時預かり)」「親子の絵本プラン(絵本引き換え)」など、「在宅子育てをされている親子さんも保育所で経験するような内容を体験出来るように」物語性を持って、メニュー化され、選択可能な状態で提供されている。 子育て支援 NPO、企業(書店や写真館)、行政各部門(保育所、子ども支援施設、動物園など)など多様な主体と連携している点にあると感じた。 今回の視察では、在宅子育て支援として、商工会議所と連携し、低予算で在宅子育て世帯に対するサービスを提供している盛岡市、 NPOや公共、民間企業など多様な主体と連携している秋田市の事例を伺ったが。事業者連携、市民協働の視点を持ち、創意工夫を行う事で、質の高い在宅子育て支援が行えるという可能性を知る事ができたため、江東区の施策の提案にも役立てていきたい。