ソフトウェア品質の見える化がもたらす効果と第三者評価 [3.02mb]
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ソフトウェア品質の見える化がもたらす効果と第三者評価
2016年3月11日
一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)
PSQ認証制度委員会 委員長 藤井洋一
(日本ナレッジ株式会社 代表取締役)
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CSAJのプロフィール
■ 一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)
■ パッケージソフトウェアベンダーを中心とした団体
■ 1982年5月にパソコンソフトウェア関連会社22社で設立
■ 1986年2月に通商産業省から社団法人として認可
■ 2012年4月に一般社団法人へ移行
■ 会員数:452社(正会員:362社) 2015.9.1現在
会長:荻原 紀男(おぎわら のりお)㈱豆蔵ホールディングス 代表取締役社長
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講師のプロフィール
■ 一般社団コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)理事
■一般社団IT検証産業協会(IVIA)副会長
■ IPA/SEC WG委員/執筆品質説明力強化のガイドライン作成WG 及び 普及WG
■ PSQ認証制度委員会 委員長
■ ISO/IEC 25051のJIS化委員
■ ISO/IEC/IEEE 29119 研究会
■ 国内初のソフトウェア試験所(JIS Q 17025)の認定
認定範囲:システムソフトウェア試験規格:ISO/IEC 25051 6章試験文書への要求事項
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つながる世界
※IPA/SEC発表資料より抜粋
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つながる世界(IOT時代)
※IPA/SEC発表資料より抜粋
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2006年 米国NSF(National Science Foundation) が提唱2009年 NSFが25M$の研究予算を付ける※IPA/SEC発表資料より抜粋
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つながる世界の課題
※IPA/SEC発表資料より抜粋
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つながる世界のソフトウェアの問題点
※IPA/SEC発表資料より抜粋
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※IPA/SEC発表資料より抜粋
問題解決へのIPA/SECの取組
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国際規格: SQuaREシリーズの活用
※IPA/SEC発表資料より抜粋
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まさにガラパゴス
国内向けのニーズしか見てこなかった
輸出に注力している製品では常識
日本のソフトウェアは世界の非常識
会計基準まで国際規格を提唱している
国際規格の負けは、マーケットの喪失
日本のソフトウェア業界が国際規格に注目してこなかった訳?
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国際規格に準拠したソフトウェア品質の見える化を進めましょう!
「提 言」
日本にもソフトウェア製品の第三者認証制度があります!
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◆ 国際標準に準拠した第三者適合性評価認証制度
(ISO/IEC 25051及びJIS X 25051に準拠
25000シリーズが基準です)
◆ IPAの「ソフトウェア品質説明のための
制度ガイドライン」に沿った認証制度
◆日本唯一のソフトウェア製品認証制度
◆ クラウドAP、SaaSへ対象範囲拡大
国際規格の適合性を認証するPSQ品質認証制度
2013年6月12日 制度運営開始
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PSQ認証制度の目的
● ソフトウェア製品に関する品質説明力強化
⇒利用者の安心感の向上
⇒ソフトウェア製品の利用拡大
● 国際市場における日本製品の品質への正当な評価の確立
⇒国際競争力の維持・強化
⇒海外市場の開拓/対象ソフトの輸出拡大
● ソフトウェア製品の本質的な品質向上
※ソフトウェア製品=既製アプリケーションソフト
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独立評価機関
CSAJ
認証機関判定委員会
評価依頼ソフトウェアベンダー
申請企業
認証制度委員会
技術委員会
利用者
評価報告認証書
認証依頼情報提供
認証製品をHPにて提供
製品・システム品質の説明を提供する
品質の見える化
PSQ認証制度の仕組み
現地調査
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評価対象ドキュメント
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評価の基本的考え方
● 評価対象は製品説明、利用者用文書類、試験文書類
認証取得のために、ソフトウェアそのものを実機で動かし、
それを評価する(テストする) …ということはしない
● 開発プロセスは評価対象としない
仕様書や開発プロセス、中間成果物について
評価する(レビューする) …ということはしない
⇒現地調査ではちょっぴりヒアリングします!
※評価対象が社会的影響レベルが低い製品の場合
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評価の基準(1)
■ 製品説明の評価基準
● 入手/参照のしやすさ、利用のしやすさ
● 利用者の要求に対するソフトウェアの整合性を判断できる
情報を含んでいるか
● 製品の特徴、機能、性能、制約などの情報が明確かつ
正確に記載されているか
■ 利用者用文書類の評価基準
● 利用する上で必要な情報が正しく記載されているか
● 製品説明と矛盾や不一致がないか
● 想定している利用者にとって理解しやすいか
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評価の基準(2)
■ 試験文書類の評価基準
● 利用する上で製品説明や利用者用文書類に記載されて
いる製品の機能が正しく実装されていることが、試験に
よって確認されているか
● 製品の性能や使いやすさなどが試験によって確認され
ているか
● 試験を実施した結果や合否判定が具体的かつ明確に記
載されているか
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● 製品機能と品質特性をマッピング。
● 試験文書の確認‐品質特性を満たしているかを確認。
様式4:機能・品質特性対応表
製品品質の
主特性
試験計画、試験説明、試験結
果の記載されたエビデンスの識
別子を記載。
ソフトウェアの
機能
ISO/IEC 25051との適合性確認
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● 製品説明、利用者用文書類、試験文書類の記載内容確認。様式5-1:評価項目明細_製品説明=ISO/IEC 25051 2014 5.1製品説明に対する品質事項
様式5-2:評価項目明細_利用者用文書=ISO/IEC 25051 2014 5.2利用者用文書類に対する要求事項
様式5-3:評価項目明細_試験文書=ISO/IEC 25051 2014 6.試験文書類に対する要求事項
製品品質の
評価基準が
一覧化
ISO/IEC 25051との適合性確認
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● 利用時の品質の記載内容を確認。様式21-3:利用時の品質チェックシート
利用時の品質の取
扱い体制を確認
利用時の品質の
主特性が記載
製品説明に記載のある「利用時
の品質」に該当する記載内容を
担保するエビデンス確認
ISO/IEC 25051との適合性確認
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PSQ認証制度の現状
製品名 申請企業
サイボウズ ガルーン サイボウズ(株)
Speedy Call ネクストウェア(株)
土留め工の性能設計計算(弾塑性解析II+)
(株)フォーラムエイト
置換基礎の設計計算 Ver.2 (株)フォーラムエイト
iOptMICS(アイオプトミクス) 東京システムハウス
勘定奉行V ERP8(勘定奉行i8)(株)オービックビジネスコンサルタント
PCA給与X ピー・シー・エー(株)
SMILE BS2販売 (株)OSK
SMILE BS2会計 (株)OSK
SMILE BS2人事給与 (株)OSK
PowerSteel 日本ナレッジ(株)
CORE Plus NEO 通販 日本事務器(株)
総合健康管理システム CARNAS 日本事務器(株)
VeTracer(株)インテリジェントウェイブ
PCA会計X ピー・シー・エー(株)
PSQ認証製品一覧(2016年2月現在)31製品
製品名 申請企業
人事奉行V ERP8(人事奉行i8)(株)オービックビジネスコンサルタント
ASTEC-X (株)アールワークス
DataNature Smart (株)エヌジェーケー
LogRevi (株)インテック
QuickBinder for iAP クイックバインダー(株)
Kintone サイボウズ(株)
やよいの青色申告オンライン 弥生(株)
やよいの白色申告オンライン 弥生(株)
ウイルスバスター コーポレートエディション
トレンドマイクロ(株)
どっと原価NEO LT/EX 建設ドットウェブ(株)
弥生会計 オンライン 弥生(株)
SVF ウイングアーク1st(株)
Dr.Sum EA ウイングアーク1st(株)
MotionBoard ウイングアーク1st(株)
J’s NAVI NEO(株)JTBコーポレートソリューションズ
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※BCN bizlineより抜粋
PSQ認証制度の価値
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認証取得企業の声
グローバル開発本部品質保証部長明尾洋一氏
サイボウズ株式会社
ISO/IEC25051に準拠しているPSQ認証を取得することで、世界基準に準拠
していることの証となる。
試験文書の管理体系をはじめとする社内の現状のプロセスが正しいかどうか
を確認する機会になる。
私たちのような品質保証部が実施するソフトウェアテスト部分だけではなく、Web サイトやカタログ、マニュアルやヘルプの内容まで 検査が入り、その内容が国際規格に合致していることが検証されています。 ガルーンのカタログ、マニュアルを作成された方々、お疲れ様です!この場をお借りしてお礼を。国際基準に合致しています!
http://developer.cybozu.co.jp/tech/?p=5841#more-5841
サイボウズエンジニアのブログ
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「自分たちがいいと思っていたことが100%ではない」とわかった。
足りない面を第三者からはっきりと言ってもらえること、自分たちでは気づかな
いことを気づかせてくれるということが非常に大きい。品質管理本部システム検証部次長 上符仁司氏
株式会社OSK
R&D本部 品質保証部技術支援部 部長福島満氏
「社外に対する品質のアピールが容易になった」というのが端的な社内からの声
です。
広報部門は、第3者評価という意味では市場シェアと同じようにアピールの材料
になる、と言っています。
ピー・シー・エー株式会社
認証取得企業の声
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ユーザー目線を今まで以上に考慮しながら開発プロセスも手直しをしていかな
ければならないので、とても良いチャンスをもらった。
品質に対してきちんと取り組んでいる企業であることをアピールしていきたい。技術本部システム開発部公共業種業務分野システムプロデュース担当兼品質保証グループ 担当部長 前田肇氏
株式会社オービックビジネスコンサルタント
取締役営業推進本部本部長兼広報室室長 大原泉氏
この認証制度がスタートすると聞いて、業務ソフトで初めて品質が求められてき
た、と実感した。それが第三者評価という形になることは大変ありがたい。
外資系ベンダーと同じ土俵で渡り合ううえで、世界標準に則った認証取得を推奨
していくことは、経営に対する保険とも考えられる。
日本事務器株式会社
認証取得企業の声
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PSQ認証制度、国際化の取組
■ 今後の取組
● 国際相互承認
韓国の情報通信技術協会(TTA)が実施している「Good
Software認証」、フランスの規格協会(AFNOR)が
実施している 「Norme Francaise (Program)制度」、
マレーシアが開始した「Quality Software認証」等との
相互承認アレンジメントを実現する
試験所・検査機関を認定する機関だけの国際組織、国際試験所認定協力機構(International Laboratory Accreditation Cooperation, ILAC) 。現在では、試験所の満たすべき要件 (ISO/IEC 17025) や試験所認定機関の満たすべき要件 (ISO/IEC 17011) の適用のための指針文書を作成し、認定機関間の業務
内容の整合化を進める。また、欧州地域、アジア太平洋地域及びアメリカ地域の地域間認定機関グループに南アフリカ及びブラジルを加え、相互承認協定を締結。相互承認協定のメンバーは52地域65機関。安全確保等を目的とした相互承認協定が (Mutual Recognition Arrangement, MRA)
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WG参加の案内
■ 今期の取組
● 早稲田大学(鷲崎教授)の研究に対する協力
・IPA-SEC RISE事業にて採択
(RISE事業=ソフトウェア工学分野の先導的研究支援事業)
・テーマ名「測定評価と分析を通じたソフトウェア製品品質の
実態定量化および総合的品質評価枠組みの確立」
・市販されているソフトウェア製品の品質を調査し定量化を
図るとともに、品質評価の指標策定を図るものであり、その
成果は異なる品質間の関係を総合的に実証した世界初の
ベンチマークとなる予定
<内部品質・外部品質・利用時の品質の主副特性の体系化を目指す>
まずは、CSAJが主催するWGに参加して下さい
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ご清聴ありがとうございました。