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平成 31 年度春号 第 19 号 児童養護施設 合掌苑 〒501-4101 岐阜県郡上市美並町上田 674 電話 0575-79-2914 FAX 0575-79-3584 合掌苑 苑長 成澤 武史 平成 31 年度が始まり、令和元年を迎えました。昭和に生まれ平成を生きた私は、平成に変わった“あの時” とはまた違った思いを抱いております。皆さんはいかがでしょうか。 当苑は昭和 27 年に設立して始まりましたが、児童養護施設も時代と共に求められる機能が変わってきてい ます。児童養護施設が身近にない方にとっては、まだまだ孤児院や養護学校のイメージや、両親のいない子が いる施設というイメージがあるように見受けられます。確かに、戦後の混乱期には身寄りのない子ども達を思 いのある方が引き取り育て上げた、という歴史が背景にあります。しかし“現在”は児童虐待、貧困、保護者 の精神疾患、障がいなど、家庭不調に対応し、親子の再構築を前提に子どもの生活を支援することで、家族へ の支援をする施設となっています。加えて、施設から社会に巣立った子ども達のアフターケアもしています。 そんな中、東京の児童養護施設で施設長が卒業生に刃物で刺さ れ命を落とすという、施設職員である私たちにとっても大変にシ ョックな事件がありました。あのような事件が報道されると、施 設にはあんな危険な子がいるのかというイメージや、施設への不 理解によって、同じように施設で生活している子がまた苦しむ危 険性あることも大変悲しいことです。事件を起こしてしまった卒 業生も、そこだけを切り取ればとても残忍な子となりますが、私 が思うに、施設にいる時はとても守られながらも社会に出て自 立に向かう中で、社会の荒波で生活する困難さ、孤独さ、自己認 知のズレから、社会での生きにくさや怒りの矛先が一番自分を 理解してくれる施設に向いてしまったのではないか、と思って います。犯された過ちは決して許される事ではありませんが、同 じように施設で頑張っている職員は残念な気持ちと他人事でない思い、今までとこれからの支援の在り方な ど、様々なことを考え、お互いに不幸のない形を模索していかなければなりません。 支援の在り方という点から考えてみると、一昨年度、今後の社会的養育の方向性を示す「新しい社会的養育 ビジョン」が厚生労働省から発表され、今後の社会的養育が必要な子の算定をどうするか、里親さんをどう増 やし、サポートしていくか、施設の在り方、一時保護や措置、市町村連携など今後十年の計画をどうするか、 関係者は頭を悩ませています。子どもがどの場所で養育されようと権利が保障される“この時”になるような 体制づくりを私たち施設職員も一緒に考えていきます。 令和の時代は、今後の子ども達のことを真剣に考え、お互いの権利を守り合う、虐待などによる不幸な子ど ものいない時代となりますように。 ~桜と雪~ 山の郡上とはいえ、4 月の上旬に季節 外れの雪が降り、苑の桜の花に雪が積 もる珍しい景色が撮れました。

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Page 1: º 31 0G , í ù 19 í ´ Ü ñ 1 ¨ óK } · / º 31 0G , í ù 19 í ´ Ü ñ 1 ¨ ó K } 501 -4101 ò Ä ¼e fs e 674 S Å 0575 -79 -2914 FAX 0575 -79 -3584 8,L ,L6× B Ý J

平成 31 年度春号 第 19 号

児童養護施設 合掌苑 〒501-4101 岐阜県郡上市美並町上田 674

電話 0575-79-2914

FAX 0575-79-3584

合掌苑 苑長 成澤 武史

平成 31 年度が始まり、令和元年を迎えました。昭和に生まれ平成を生きた私は、平成に変わった“あの時”

とはまた違った思いを抱いております。皆さんはいかがでしょうか。

当苑は昭和 27 年に設立して始まりましたが、児童養護施設も時代と共に求められる機能が変わってきてい

ます。児童養護施設が身近にない方にとっては、まだまだ孤児院や養護学校のイメージや、両親のいない子が

いる施設というイメージがあるように見受けられます。確かに、戦後の混乱期には身寄りのない子ども達を思

いのある方が引き取り育て上げた、という歴史が背景にあります。しかし“現在”は児童虐待、貧困、保護者

の精神疾患、障がいなど、家庭不調に対応し、親子の再構築を前提に子どもの生活を支援することで、家族へ

の支援をする施設となっています。加えて、施設から社会に巣立った子ども達のアフターケアもしています。

そんな中、東京の児童養護施設で施設長が卒業生に刃物で刺さ

れ命を落とすという、施設職員である私たちにとっても大変にシ

ョックな事件がありました。あのような事件が報道されると、施

設にはあんな危険な子がいるのかというイメージや、施設への不

理解によって、同じように施設で生活している子がまた苦しむ危

険性あることも大変悲しいことです。事件を起こしてしまった卒

業生も、そこだけを切り取ればとても残忍な子となりますが、私

が思うに、施設にいる時はとても守られながらも社会に出て自

立に向かう中で、社会の荒波で生活する困難さ、孤独さ、自己認

知のズレから、社会での生きにくさや怒りの矛先が一番自分を

理解してくれる施設に向いてしまったのではないか、と思って

います。犯された過ちは決して許される事ではありませんが、同

じように施設で頑張っている職員は残念な気持ちと他人事でない思い、今までとこれからの支援の在り方な

ど、様々なことを考え、お互いに不幸のない形を模索していかなければなりません。

支援の在り方という点から考えてみると、一昨年度、今後の社会的養育の方向性を示す「新しい社会的養育

ビジョン」が厚生労働省から発表され、今後の社会的養育が必要な子の算定をどうするか、里親さんをどう増

やし、サポートしていくか、施設の在り方、一時保護や措置、市町村連携など今後十年の計画をどうするか、

関係者は頭を悩ませています。子どもがどの場所で養育されようと権利が保障される“この時”になるような

体制づくりを私たち施設職員も一緒に考えていきます。

令和の時代は、今後の子ども達のことを真剣に考え、お互いの権利を守り合う、虐待などによる不幸な子ど

ものいない時代となりますように。

~桜と雪~

山の郡上とはいえ、4 月の上旬に季節

外れの雪が降り、苑の桜の花に雪が積

もる珍しい景色が撮れました。

Page 2: º 31 0G , í ù 19 í ´ Ü ñ 1 ¨ óK } · / º 31 0G , í ù 19 í ´ Ü ñ 1 ¨ ó K } 501 -4101 ò Ä ¼e fs e 674 S Å 0575 -79 -2914 FAX 0575 -79 -3584 8,L ,L6× B Ý J

~2019年度新体制について~

B 担当(男子 小 4~高 3)

本館 B 担当には担当職員が 4 人いますが、平均年齢はなんと 25 歳。ベテランとは

まだまだ言えませんが、この若さこそが子ども達のニーズに応え、寄り添い、活気に

満ち溢れている強さの秘訣です。今年度は、卒苑を控えた児童もいます。児童養護施

設では、特別な場合を除いて 18 歳までしか在籍することができません。そのため、

子ども達には自立に向けた取り組みが高校生から必要になってきます。自立といっ

ても難しいもので、高校生活を送りながら、掃除に洗濯、アルバイトをして、生活費

を貯める日々は、正直大変です。どんなに疲れていても、やらなければ洗濯は溜まり、

部屋は汚れ、お金も溜まりません。携帯電話の代金も自分で賄わなければいけない子

もいます。手を差し伸べたくなるところですが、一人で生きていく為に必要な知識や

能力、働く力をここで身に付けておく為にも、私たち職員は、心を鬼にして、子ども

達を全力でこれからも支援していきます。

A担当(男女 幼児~小 4)

今年度のA担当は、4 歳~小学校 4 年生 11 名の子どもたちと 5 名の

個性派揃いの職員が集まりました。子どもたちも職員も遊ぶことが大好

きです。笑顔が絶えない元気いっぱいの担当にしていきたいと思います。

新しい年度になり、幼稚園に入園した子、小学校に入学した子、進級し

た子、それぞれ一生懸命頑張っています。何でも「できたこと」をたく

さん褒めて、子どもたちの喜びや達成感、自信に繋がるよう、A担当職

員一同子どもたちの成長を支援し見守っていきます。

小学4年生 1名

小学5年生 1名

小学6年生 1名

中学1年生 2名

中学2年生 1名

中学3年生 1名

高校1年生 1名

高校2年生 3名

高校3年生 1名

職員 4名

子どもと職員の内訳

4歳 3名

年長児 2名

小学1年生 2名

小学2年生 1名

小学3年生 1名

小学4年生 2名

職員 5名

子どもと職員の内訳

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福祉館(女子 幼児~高 1)

福祉館での生活で意識している支援の一つは、日常生活から自然と学べる環境作

りです。例えば、毎日のお掃除や生活環境を整える職員の姿を見せることで、自発的

に掃除を手伝ったり、自身の部屋を片付けてみたりと行動に移せるようになりまし

た。そんな姿が見られた時はしっかり褒めて認めてあげることで気持ちの良い生活

環境とは何か考えられる子に育ちます。新生活が始まりまだ間もないですが、子ども

たち一人一人が“自分でできた!”、“誰かの役に立てた!”という喜びを感じる体験

を積み重ね、成長を共に喜びながら、安心安全な環境作りを目指していきます。

かやのみ館(女子 小 2~高 2)

今年のかやのみ館は、小学生は勉強を頑張り周りの人のことも考えられるように、

中高生の 4 人は勉強、部活に頑張ろうとしています。新中学生の 2 人は特に小学校

とは違う生活のリズムになり大変なことばかりです。初めての部活も始まり、休日も

朝からの練習など慣れない事ばかりですが自分で決めた部活を一生懸命頑張ってい

ます。バレー部、吹奏楽部に入部し、今まで遊んでいた苑にいる時間も練習をしてい

ます。道具やボールの数も限られていますが職員も子ども達のやる気を大切にしサ

ポートしていきます。

年長 1名

小学4年生 1名

小学5年生 1名

中学1年生 1名

高校1年生 2名

職員 3名

子どもと職員内訳

小学2年生 1名

小学5年生 1名

中学1年生 2名

高校1年生 1名

高校2年生 1名

職員 3名

子どもと職員内訳

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事務室職員紹介

平成 28年度から、FSW(家庭支援専門相談員)が 2名配置となり、在苑児童の家庭との連絡調整のために

動いています。さらに昨年度より、看護師が配置されました。児童の通院やケガの処置、予防接種の管理など

保険衛生面のサポートを行ってもらっています。また、書記、栄養士、調理員、里親支援専門相談員、職業相

談員、心理士、等、各専門職が在職しており、日々の児童職員の生活のサポートを行っています。

昨年度 3月で、常勤・非常勤あわせて 3名の職員が退職しました。合掌苑と子ども達へのご尽力お疲れ様

でした。そして、それと同時に新しい職員さんも迎えました。フレッシュな風を吹かせてくれる、新しい合

掌苑の職員のメンバーを以下に紹介します。旧来の職員ともども、これからよろしくお願いいたします。

下廣博子

4月から調理員として勤務することになりました。未熟ではありますが経験を活か

せるよう先輩方に指導を頂きながら、子どもたちが笑顔になるような食事作りができ

るよう、心がけて頑張りたいと思っています。よろしくお願いします。

松山詩歩

4月から合掌苑の児童指導員となりました。子どもたちと楽しい時間を過ごし、子

どもにとって良い環境を整えられるよう努めていきたいです。まだ分からなこともあ

りますが、先輩方に教えていただきながら頑張って行きたいです。よろしくお願いし

ます。

後藤理緒

4月から保育士になりました。子どもたちとたくさん関わり、楽しく過ごしたいと思

っています。自分に合った関わり方など分からない事ばかりですが、先輩方に頼らせ

て頂き頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

さ ん 紹

介 職

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寄付物品のご紹介

昨年度も、ありがたいことに皆様からたくさんの寄付をいただきました。いつもありがとうございます。ど

れも子ども達のために利用させていただいております。紙面の都合上、全ての寄付内容をご紹介することはで

きませんが、どのような種類の寄付をいただいたのかを簡単に以下にご紹介させていただきます。

今後とも、よろしくお願いいたします。

種類 具体例

食料品 食材 フルーツ お菓子 ジュース

生活用品 洗剤 タオル 毛布 布団 陶器

家具家電

服飾品 おむつ 服 靴下 下着 かばん 靴

学用品 文具

娯楽用品 おもちゃ 自転車

スポーツ観戦 サッカー 野球

現金 振り込み 書留 持参

その他・ボラン

ティア

図書カー

食事招待 花 散髪 学習指導

“キッズカーニバル♪”のお知らせ

平成 31年 5月 19日

“花まつり キッズカーニバル♪”

隣接する北辰寺の花まつりにお参りにみえた家族・地域の子ども達、合掌苑の子どもに体験コーナーや遊

べる場所を用意し、地域に貢献することを目指して行います。

対象は地域の子ども達になっており、陶器市やバザーなどの出店はありません。お間違えの無いようにお

気をつけください。

お知らせコーナー

平成 30年度 寄付物品種類別表

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<後援会「友の会」について>

(平成 31 年 1 月~平成 31 年 3 月)

合掌苑の苑児たちに沢山の方々から、温かいご支援を賜りました。略儀ながら紙面にお名前を掲載して御礼の言葉

にかえさせていただきます。ありがとうございました。

★勝手ながら敬称を省略させていただきました。万一誤表記、掲載漏れがございましたら、なにとぞご容赦願います。

・親と一緒に暮らせない子どもであるからこそ、豊かな生活・豊かな環境が保障されなければなりません。こ

の為にも合掌苑では後援会組織「友の会」を結成しております。

・会費3,000円、皆様のお力添えをお願い致します。

・詳細については、「友の会」事務局、合掌苑までご連絡下さい。

<平成30年度友の会 会計報告>

入金額 309,640 円 (平成31年3月31日現在)

☆ 友の会としてご入金いただいたお金は、合掌苑 施設会計に寄付金として計上し、子ども達の生活に役立た

せていただきます。今後とも皆様には引き続き倍旧のご厚情を賜りたく、お願い申し上げます。

皆様のご健康とご発展をお祈り申し上げます。

NAGARA青果 延寿寺 大石寿司 大垣共立銀行 大島 哲夫 岡本 茂穂

岐阜県小中学校事務職員組合 小酒井 悦郎 小杉 智興子 澤村 則男 島崎 美智子

末松 富美子 鷲見 明 滝 利秋・有希子 中日新聞社会事業団 土屋 栄二

土屋 早織 トヨタL&F中部㈱ 長尾 千之 中野 良雄 中原 守 西村 敏行

のわみ相談所 羽田野 宗雄 古川 篤仙 古田 義治・里子 めぐみの農業協同組合

村瀬 成彦 安江 守安 有限会社ダスカジャパン 和田 節子 渡邊 秀明

渡辺 義明 ㈱安納スイーツファーム ㈱カーブスジャパン ㈱竹内刃物製作所 ㈱テンポアップ

いよいよ平成から新元号“令和”に変わる 5 月になりました。皆さまは“令和”になり何か変化を感じる

ことはありましたか?私個人としては、特に変わりはないと思っていましたが、子どもたちは学年が一つ上

がり、初々しいランドセル姿やちょっと大人びた中高生の制服姿を見て、心も体も成長しているのを感じて

います。

合掌苑だよりのご意見・ご感想も随時お待ちしておりますので合掌苑ホームページのお問合せフォーム

か、Eメールよりご連絡いただければ幸いです。季節の変わり目ですので、ご自愛ください。今後とも合掌

苑をよろしくお願い致します。