総合資源エネルギー調査会基本問題委員会...

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飯田哲也委員 補足資料 2011119 飯田哲也 (いいだ てつなり) 環境エネルギー政策研究所 総合資源エネルギー調査会総合部会 基本問題委員会 資料8-1 

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飯田哲也委員  補足資料 

2011年11月9日 

飯田哲也  (いいだ  てつなり) 

環境エネルギー政策研究所 

総合資源エネルギー調査会総合部会 

基本問題委員会 資料8-1 

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破綻した「ベストミックス」をどう見直すか 

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エネルギー 

ベストミックス 

安定 供給 

環境保全 (放射能無視)

経済 成長 

停電

放射能

事故

持続性 

環境保全 (放射能もゼロへ)

正義  経済 発展 

省エネ&再エネへの 

エネルギーシフト 

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「コスト論争」の大きな構造 

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社会的費用 

現実のコスト 

モデルコスト 

(机上の空論)

コスト以外の要素 

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発電にかかる費用 

         

      

    

    

   

 

※1  電力会社にとって損得になる狭義の発電コスト(電力料金とは直接つながっていない) ※2  電力消費者が電気料金や税金を通じて電気に支払うコスト 

※3  考慮外とされている費用 

     

 

    

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原発運転開始時期別の発電単価 

電力会社自ら申告している原発コスト 

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どんどん高くなる原子力 

【出典】 Data: US from Koomey and Hultman 2007, France from Grubler 2009. Diagram from GEA forthcoming

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世界の原発は作れば作るほど高くなっている 

原発の累積設置容量(100万kW) 

仏フラン (  04

年 )   / k W 

米ドル (  05年 )   / 

k W 

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累積 

契約価格 3.2 3.2

インフラ費用 0.5 3.7

Areva追加費用 2.4 6.1

Siemens追加費用 1.2 7.3

ArevaからTVOへの追加請求 1.0 8.3

TVOからArevaへの追加請求 2.4 10.7

毎年の支払い(想定) 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

支払い総額(累積、利子含む) 1.0 2.2 3.4 4.8 6.3 8.0 9.8

建設中利子 0.10 0.22 0.34 0.48 0.63 0.80 0.98 3.56

利子 0.1

総費用(TVO追加請求を除く) 8.3

総費用(TVO追加請求、利子を含む) 

年発電量 12 TWh

総投資額 14.3 G€ 

年金現価 0.1

年間費用 1.43 G€ 

発電コストに占める初期投資 119 €/MWh

オルキルオト3号機(フィンランド)のトラブル 

• ルネッサンスの希望から失望へ 

最初は約3500億円で契約 

今や1兆5千億円超へ 

初期投資分だけで 

14円/kW時 

ジーメンス離脱(2009.1)

アリバ経営危機?

【出典】Kåberger, T. (Swedish Energy Agency)(2009)

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世界の金融機関は原発を「投資リスク」と見ている 

Jacobson教授(スタンフォード大)(2010.2.10)

「原子力は温暖化対策に間に合わない」 

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ファイナンシャル/タイムス「ピークウラン?」(2009.11.18)

「日本は仏に次いで最も電力供給保障が脆弱」 

世界銀行「原子力による短期的なCO2削減効果は限られている」(2009.10)

シティバンク「新規原発への投資にエコノミス

トはノー」(2009.11)

ムーディーズ「新規原発を建設する電力会社の債券価格は25〜30%低落する」(2008)

エイモリー・B・ロビンズ「『原子力は競争力があり必要で信頼でき安全で安い』という通説は妄想だ」 (2008.12)

マサチューセッツ工科大学(MIT)「原発のコストは急激に上昇している」(原子力の将来) (2009.5)

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フクシマ後の「想定外」は市場原理から許されない 

【出典】 Markus Rosenbaum (May 2011) Versicherungsforen Leipzig GmbH 

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ドイツ17基の原発災害損害額 

→16兆円〜680兆円 

それをカバーする賠償保険額 

→16円/kW時〜8000円/kW時 

16兆円  680兆円 「儲けは電力会社、リスクは国民という不公平なギャンブルをしている」(ジョセフ・E・スティグリッツ教授) 

原発災害が発生した場合の被害総額 

原発災害が発

生した場合の被害総

額の発生確率

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原発運転開始時期別の発電単価 

「倫理」の観点で脱原発を決定したドイツ 

――  

(2011年5月31日 

ドイツ国内の原子力からのリスクを将来的に取り除くためには、脱原発が必要であり、また推奨される。脱原発は、リスクのより少ない代替手段があるので、可能である。 

(中略) 原子力エネルギーの利用やその終結、他のエネルギー生産の形態への切り替え等に関する決定は、すべて、社会による価値決定に基づくものであって、これは技術的あるいは経済的な観点よりも先行しているも

のである。未来のエネルギー供給と原子力エネルギーに関する倫理的な価値評価において鍵となる概念は、「持続性」と「責任」である。持続性を理念としたとき、未来を見据えた社会を共同して作り上げるために、社会的均衡と経済的効率だけではなく、生態学的な配慮という目標も出てくる。 

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