特 許 公 報 特許第4086891号 - ltw

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(19)日本国特許庁(JP) (12)(B2) (11)特許番号 特許第4086891号 (P4086891) (24)登録日 平成20年2月29日(2008.2.29) (45)発行日 平成20年5月14日(2008.5.14) (51)Int.Cl. FI B29C 65/16 (2006.01) B29C 65/16 C08L 101/00 (2006.01) C08L 101/00 C08K 5/18 (2006.01) C08K 5/18 C08K 5/3467 (2006.01) C08K 5/3467 C08J 5/12 (2006.01) C08J 5/12 請求項の数9 (全40頁) (21)出願番号 特願2007-502140(P2007-502140) (86)(22)出願日 平成18年9月20日(2006.9.20) (86)国際出願番号 PCT/JP2006/319088 (87)国際公開番号 WO2007/034970 (87)国際公開日 平成19年3月29日(2007.3.29) 審査請求日 平成19年1月11日(2007.1.11) (31)優先権主張番号 特願2005-273999(P2005-273999) (32)優先日 平成17年9月21日(2005.9.21) (33)優先権主張国 日本国(JP) 早期審査対象出願 (73)特許権者 000103895 オリヱント化学工業株式会社 大阪府大阪市旭区新森1丁目7番14号 (74)代理人 100088306 弁理士 小宮 良雄 (74)代理人 100126343 弁理士 大西 浩之 (72)発明者 木原 哲二 大阪府寝屋川市讃良東町8番1号 オリヱ ント化学工業株式会社内 (72)発明者 山本 大阪府寝屋川市讃良東町8番1号 オリヱ ント化学工業株式会社内 審査官 柴田 昌弘 最終頁に続く (54)【発明の名称】レーザー溶着体 1 2 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂に対し0.001~0 .5重量%の、少なくともニグ ロシンまたは/およびナ フタロシアニンを含み、アニリンブラック、フタロシア ニン、ポ ルフィリン、ペリレン、クオテリレン、アゾ染 料、アントラキノン、スクエア酸誘導体、 インモニウム 染料から選ばれる着色剤を含んでもよい レーザー光弱吸 収剤とを含有することにより、940nmのレーザー光 に対し、1mm厚に換算した 10 吸光度aを0.07~2. 0とするレーザー光透過吸収性成形部材が、単一であっ て曲げられて少なくともその端部で重ね合わされたまま 、そこへ照射された発振波長800~1100nmの ーザー光の一部を吸収し該レーザー光の別な一部を透過 することによる発熱で、溶着されていることを特徴とす るレーザー溶着体。 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリカーボネー ト樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレ ンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれ る少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記 載のレーザー溶着体。 【請求項3】 前記レーザー光透過吸収性成形部材が、吸光度aを0. 07~0.8とすることを特徴とする請求項1に記載の レーザー溶着体。 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であり、前記レーザ 10 ー光透過吸収性成形部材が、前記吸光度aを0.1~2 .0とすることを特徴とする請求項1に記載のレーザー 溶着体。 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であり、前記 レーザー光透過吸収性成形部材が、前記吸光度aを0. 1~1.8とすることを特徴とする請求項1に記載のレ ーザー溶着体。 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂であり、前記レ 〔実 25 頁〕

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Page 1: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

(19)日本国特許庁(JP) (12)特 許 公 報(B2) (11)特許番号

特許第4086891号(P4086891)

(24)登録日 平成20年2月29日(2008.2.29)(45)発行日 平成20年5月14日(2008.5.14)

(51)Int.Cl. FI

B29C 65/16 (2006.01) B29C 65/16           

C08L 101/00 (2006.01) C08L 101/00           

C08K 5/18 (2006.01) C08K 5/18           

C08K 5/3467 (2006.01) C08K 5/3467           

C08J 5/12 (2006.01) C08J 5/12           

請求項の数9 (全40頁)

(21)出願番号 特願2007-502140(P2007-502140)

(86)(22)出願日 平成18年9月20日(2006.9.20)

(86)国際出願番号 PCT/JP2006/319088

(87)国際公開番号 WO2007/034970

(87)国際公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)

審査請求日 平成19年1月11日(2007.1.11)

(31)優先権主張番号 特願2005-273999(P2005-273999)

(32)優先日 平成17年9月21日(2005.9.21)

(33)優先権主張国 日本国(JP)

早期審査対象出願

(73)特許権者 000103895

オリヱント化学工業株式会社

大阪府大阪市旭区新森1丁目7番14号

(74)代理人 100088306

弁理士 小宮 良雄

(74)代理人 100126343

弁理士 大西 浩之

(72)発明者 木原 哲二

大阪府寝屋川市讃良東町8番1号 オリヱ

ント化学工業株式会社内

(72)発明者 山本 聡

大阪府寝屋川市讃良東町8番1号 オリヱ

ント化学工業株式会社内

審査官 柴田 昌弘

最終頁に続く

(54)【発明の名称】レーザー溶着体

1 2

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂に対し0.001~0

.5重量%の、少なくともニグロシンまたは/およびナ

フタロシアニンを含み、アニリンブラック、フタロシア

ニン、ポルフィリン、ペリレン、クオテリレン、アゾ染

料、アントラキノン、スクエア酸誘導体、インモニウム

染料から選ばれる着色剤を含んでもよいレーザー光弱吸

収剤とを含有することにより、940nmのレーザー光

に対し、1mm厚に換算した 10吸光度aを0.07~2.

0とするレーザー光透過吸収性成形部材が、単一であっ

て曲げられて少なくともその端部で重ね合わされたまま

、そこへ照射された発振波長800~1100nmのレ

ーザー光の一部を吸収し該レーザー光の別な一部を透過

することによる発熱で、溶着されていることを特徴とす

るレーザー溶着体。

【請求項2】

前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリカーボネー

ト樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレ

ンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれ

る少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記

載のレーザー溶着体。

【請求項3】

前記レーザー光透過吸収性成形部材が、吸光度aを0.

07~0.8とすることを特徴とする請求項1に記載の

レーザー溶着体。

【請求項4】

前記熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であり、前記レーザ

10 ー光透過吸収性成形部材が、前記吸光度aを0.1~2

.0とすることを特徴とする請求項1に記載のレーザー

溶着体。

【請求項5】

前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であり、前記

レーザー光透過吸収性成形部材が、前記吸光度aを0.

1~1.8とすることを特徴とする請求項1に記載のレ

ーザー溶着体。

【請求項6】

前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂であり、前記レ

〔実 25 頁〕

Page 2: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

3 4

ーザー光透過吸収性成形部材が、前記吸光度aを0.1

~0.9とすることを特徴とする請求項1に記載のレー

ザー溶着体。

【請求項7】

前記レーザー光透過吸収性成形部材が、ポリアミド樹脂

、ポリカーボネート樹脂及びポリプロピレン樹脂から選

ばれる少なくとも1種類の前記熱可塑性樹脂を含有して

おり、940nmのレーザー光に対する吸収係数εj を

200~8000(1/cm)とすることを特徴とする

10請求項1に記載のレーザー溶着体。

【請求項8】

前記レーザー光透過吸収性成形部材が、ポリブチレンテ

レフタレート樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂

から選ばれる少なくとも1種類の前記熱可塑性樹脂を含

有しており、940nmのレーザー光に対する吸収係数

εj を3000~15000(1/cm)とすることを

特徴とする請求項1に記載のレーザー溶着体。

【請求項9】

前記レーザー光透過吸収性成形部材の厚さが200~5

20000μmとすることを特徴とする請求項1に記載のレ

ーザー溶着体。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、レーザー光透過吸収性成形部材同士を、一度

にレーザー溶着して一体化させたレーザー溶着体に関す

るものである。

【背景技術】

【0002】

30熱可塑性合成樹脂製の成形部材同士を接合するのに、レ

ーザー溶着による方法が知られている。

【0003】

このような従来のレーザー溶着は、例えば次のようにし

て行われる。図5に示すように、一方の部材にレーザー

光透過性を示す部材11を用い、他方の部材にレーザー

光吸収性を示す部材13を用い、両者を当接させる。そ

こに、レーザー光透過性成形部材11の側からレーザー

光吸収性部材13へ向けレーザー光14を照射すると、

レーザー光透過性成形部材11を透過したレーザー光1

404が、レーザー光吸収性部材13に吸収されて、発熱を

引き起こす。この熱により、レーザー光を吸収した部分

を中心としてレーザー光吸収性部材13が、溶融し、更

にレーザー光透過性成形部材11を溶融させて、双方が

融合する。これが冷却されると、レーザー光透過性成形

部材11とレーザー光吸収性部材13とが、溶着部位1

5で、接合される。

【0004】

レーザー溶着の特長として、溶着すべき箇所へレーザー

光発生部を接触させることなく、溶着させることが可能

50であること、局所加熱であるため周辺部への熱影響がご

く僅かであること、機械的振動のおそれがないこと、微

細な部分や、立体的で複雑な構造を有する部材同士の溶

着が可能であること、再現性が高いこと、高い気密性を

維持できること、溶着強度が高いこと、溶着部分の境目

が目視で分かりにくいこと、粉塵が発生しないこと等が

挙げられる。

【0005】

このレーザー溶着によれば、簡単な操作により確実に溶

着を行なうことができる上に、従来の樹脂部品の接合方

10 法である締結用部品(ボルト、ビス、クリップ等)によ

る締結、接着剤による接着、振動溶着、超音波溶着等の

方法と同等以上の溶着強度が得られる。しかも振動や熱

の影響が少ないので、省力化、生産性の改良、生産コス

トの低減等を実現することができる。そのためレーザー

溶着は、例えば自動車産業や電気・電子産業等において

、振動や熱の影響を回避すべき機能部品や電子部品等の

接合に適すると共に、複雑な形状の樹脂部品の接合にも

対応可能である。

【0006】

20 レーザー溶着に関する技術として、特許文献1に、レー

ザー光を吸収するカーボンブラックが添加されたレーザ

ー光吸収性の熱可塑性合成樹脂部材と、レーザー光透過

性の熱可塑性合成樹脂部材とを、重ね合わせた後、レー

ザー光透過性の部材側からレーザー光を照射することに

よりレーザー溶着させる方法が記載されている。この場

合、2種類のレーザー光透過性成形部材とレーザー光吸

収性部材とを別々に調製しなければならない。

【0007】

また、特許文献2には、熱可塑性樹脂成形部材A及びB

30 と、赤外線透過部を有する放熱材Cとを、C/A/Bの位

置関係となるように接触させ、赤外線を放熱材C側から

照射するレーザー溶着方法が記載されている。この場合

、熱可塑性樹脂成形部材A及びBは、別々に調製する必

要がなく同質の熱可塑性樹脂で成形されたものであって

もよいが、レーザー溶着時に発熱を調整するために特殊

な放熱材Cを使用しなければならず、作業工程が複雑で

ある。

【0008】

また、特許文献3には、レーザー光を透過する樹脂部材

40 と、レーザー光を吸収する他方の樹脂部材との夫々に溶

着代として予め形成された接合フランジ部同士を突き合

わせ、レーザー光を透過する樹脂部材の接合フランジ部

側からレーザー光を照射して両樹脂部材同士を溶着して

一体化させるレーザー溶着方法が記載されている。この

場合、2種類のレーザー光を透過する樹脂部材と、レー

ザー光を吸収する樹脂部材とを別々に調製しなければな

らない。

【0009】

【特許文献1】特公昭62-49850号公報

50 【特許文献2】再公表WO2003/039843

( 2 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 3: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

5 6

【特許文献3】特開2004-351730号公報

【発明の開示】

【発明が解決しようとする課題】

【0010】

本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので

、複雑な工程を経ることなく、簡便に調製された部材を

一度のレーザー溶着工程で一体化でき、しかも成形部材

同士の溶着強度に優れ、樹脂特性を損なわないレーザー

溶着体を提供することを目的とする。

10【課題を解決するための手段】

【0011】

本発明者は、レーザー光の一部を吸収しながら一部を透

過させるように特定の吸光度に調整した単一又は複数の

レーザー光透過吸収性成形部材にレーザー光を照射し、

この成形部材からの発熱、熱伝導を利用してレーザー溶

着することにより、そこの溶着部分で、大きくて深い溶

融現象が引き起こされる結果、レーザー光の透過性成形

部材と吸収性成形部材とを溶着する従来のレーザー溶着

よりも、一層強固に接合した溶着体を得ることができる

20ことを見出した。

【0012】

前記の目的を達成するためになされた本発明のレーザー

溶着体は、

熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂に対し0.001~0

.5重量%の、少なくともニグロシンまたは/およびナ

フタロシアニンを含み、アニリンブラック、フタロシア

ニン、ポルフィリン、ペリレン、クオテリレン、アゾ染

料、アントラキノン、スクエア酸誘導体、インモニウム

染料から選ばれる着色剤を含んでもよいレーザー光弱吸

30収剤とを含有することにより、940nmのレーザー光 30

に対し、1mm厚に換算した吸光度aを0.07~2.

0とするレーザー光透過吸収性成形部材が、単一であっ

て曲げられて少なくともその端部で重ね合わされたまま

、そこへ照射された発振波長800~1100nmのレ

ーザー光の一部を吸収し該レーザー光の別な一部を透過

することによる発熱で、溶着されているというものであ

る。

【0013】

このレーザー溶着体を製造する好ましい実施の態様は、

40レーザー光照射側にある一方の成形部材で、先ず発熱し

て樹脂の溶融が発生し、次第に成形部材が重ね合わされ

た界面に向かって溶融が広がり、終には大きな溶融が発

生することにより、強い強度を持つレーザー溶着体が得

られるというものである。

【0014】

このようなレーザー光透過吸収剤は使用するレーザー波

長に対する弱い吸収性を有しているものである。このレ

ーザー光透過吸収剤の吸収係数εd は、例えば1000

~8000(ml/g・cm)であり、好ましくは10

5000~6000、更に好ましくは3000~6000で

ある。これを含むレーザー光透過吸収性成形部材は、レ

ーザー光透過性という特徴を有しながら、弱いレーザー

光吸収性という特徴を併せ持つものである。

【0015】

レーザー光透過吸収性成形部材の単一をレーザー溶着し

てレーザー溶着体にする。単一のレーザー光透過吸収性

成形部材の場合は、成形部材を折り曲げたり、曲げて丸

めたりして、成形部材の一部分同士、例えばその端部と

端部、又は端部と中央部を重ね合わせ、その重なり合っ

10 た部分をレーザー溶着することにより、達成される。

【0016】

また、単一のレーザー光透過吸収性成形部材は、その厚

さを、200~5000μmとすることができる。

【0017】

レーザー光透過吸収性成形部材は、少なくともレーザー

光透過吸収剤と熱可塑性樹脂とで構成される樹脂組成物

から成形して得られたものである。この熱可塑性樹脂は

、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニ

レンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹

20 脂、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。即ち

、レーザー光透過吸収性成形部材は、前記熱可塑性樹脂

から選ばれる少なくとも一つの樹脂を含有するものが好

適である。

【0018】

レーザー溶着体は、吸光度aが0.07~2.0の範囲

であるレーザー光透過吸収性成形部材を用い、この成形

部材を重ね合わせて、レーザー溶着されたものである。

一層好ましい吸光度aは、0.07~0.8である。吸

光度がこの範囲であると、レーザー光照射側の成形部材

30 において、十分な強度でレーザー溶着するのに有効な範

囲の透過率が保たれる。その結果、レーザー光照射側と

反対側の成型部材においても、充分発熱が起こり、溶融

現象が起こり易くなるとともに、温度差が少ない溶着現

象が起こるものと推察される。

このため、強固なレーザー溶着体が得られる。

【0019】

また、前記好適な樹脂について、実用的な吸光度aの範

囲を具体的に示す。この樹脂がポリアミド樹脂である場

合、前記吸光度aは0.1~2.0、好ましくは0.1

40 ~0.8の範囲である。ポリカーボネート樹脂である場

合、前記吸光度aは0.1~1.8、好ましくは0.1

~0.8の範囲である。ポリプロピレン樹脂である場合

、前記吸光度aは0.1~0.9、好ましくは0.1~

0.8の範囲である。

【0020】

レーザー光透過吸収性成形部材がポリアミド樹脂やポリ

カーボネート樹脂やポリプロピレン樹脂を用いて成形さ

れている場合、940nmのレーザー光に対して得られ

る吸収係数εj (2つの成形部材の場合は吸収係数εj

150 と吸収係数εj 250 )は、例えば200~8000(1

( 3 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 4: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

7 8

/cm)、好ましくは1000~8000である。レー

ザー光透過吸収性成形部材がポリブチレンテレフタレー

ト樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂を用いて成形

されている場合、吸収係数εj (2つの成形部材の場合

は吸収係数εj 1 と吸収係数εj 2 )は、例えば300

0~15000(1/cm)、好ましくは9000~1

4000である。

【0021】

本発明のレーザー溶着体を、図1のようにレーザー光透

10過吸収性成形部材1と別なレーザー光透過吸収性成形部

材2との二つをレーザー溶着する場合を例に説明する。

レーザー光照射側の成形部材1の吸光度をa1 とし、別

な成形部材2の吸光度をa2 としたとき、前記吸光度a

1 と前記吸光度a2 との比a1 /a2 が、0.8~1.

3であることが好ましい。吸光度a1 と吸光度a2 とが

等しく、比a1 /a2 が1であると、一層好ましい。

この比が1に近い程、レーザー溶着体の外観、色相、接

合つなぎ目などが綺麗に見える。

また吸光度が等しいか、又はほぼ同等である場合、二つ

20の成形部材のいずれの側からレーザー光を照射するかの

区別をする必要がないため、レーザー溶着の際の取り扱

いが簡便となる。

【0022】

レーザー光透過吸収性成形部材1と別なレーザー光透過

吸収性成形部材2との二つを用いる場合、一方の成形部

材のレーザー光透過吸収剤の濃度C1 (重量%)及びそ

れの厚さL1 (cm)の積C1 L1 と、他方の成形部材

のレーザー光透過吸収剤の濃度C2 (重量%)及びそれ

の厚さL2 (cm)の積C2 L2 との少なくとも片方を

30、0.01×10- 3

30~4.0×10- 3

30とすることが

好ましい。

【発明の効果】

【0023】

本発明のレーザー溶着体は、レーザー光透過性機能とレ

ーザー光吸収性機能とを有する単一又は複数のレーザー

光透過吸収性成形部材をレーザー溶着したものである。

レーザー光透過吸収性成形部材同士を区別する必要がな

いから、部材を管理し易く、また、レーザー溶着の際に

部材の重ね合わせの順序や向きを調整する煩雑な操作を

40必要としない。

【0024】

また、レーザー溶着体は、樹脂部材の接着の際に施す表

面前処理工程やアロイ化工程のような煩雑な操作を必要

とせず、簡便に製造できるものである。また、当接させ

たレーザー光透過吸収性成形部材のどちらの側からレー

ザー光を照射しても製造でき、更にレーザー光の照射角

度を自由に調整しつつ製造できるので、複雑な形状の部

材の接合に対応できる。しかもレーザー溶着体は、一度

のレーザー光照射で製造できるので、生産効率が高いも

50のである。

【0025】

レーザー溶着体は、それを形成している樹脂本来の特性

に影響を与えず、溶着強度が強い。しかも、従来のよう

なレーザー光透過性成形部材とレーザー光吸収性成形部

材とのレーザー溶着の際に生じるエネルギー過剰による

溶融部分のボイドの発生がない。また、接着剤や締結用

部品を用いていないので、リサイクル性に優れている。

【発明を実施するための形態】

【0026】

10 以下に、本発明のレーザー溶着体の一例について、実施

例に対応する図1を参照しながら、詳細に説明する。

【0027】

本発明のレーザー溶着体を作製するのに、複数の板状の

レーザー光透過吸収性成形部材1・2が用いられる。レ

ーザー光透過吸収性成形部材1・2は、レーザー溶着に

使用される波長のレーザー光4を一部吸収し、別な一部

を透過させるレーザー光透過吸収剤を含有したレーザー

光透過性樹脂である熱可塑性樹脂が、熱成形されたもの

である。レーザー溶着体は、レーザー光透過吸収性成形

20 部材1・2の端部同士が当接され重ねられたまま、レー

ザー溶着されて強固に一体化したものである。

【0028】

レーザー溶着体は、以下のようにして作製される。先ず

、図1のように、レーザー光透過吸収性成形部材1にレ

ーザー光を照射する。レーザー光透過吸収性成形部材1

は、レーザー光を一部透過させながら別な一部を吸収し

て、発熱し、次第に溶融する。レーザー光透過吸収性成

形部材1を透過したレーザー光は、別なレーザー光透過

吸収性成形部材2に到達し、一部吸収される結果、レー

30 ザー光透過吸収性成形部材2は、発熱する。すなわちこ

れらレーザー光透過吸収性成形部材1・2の吸光度及び

透過率が適切に調整されていることにより、成形部材2

に到達するレーザー光量が変化し、発熱量が適切に調整

されている。レーザー光透過吸収性成形部材1と2との

界面では、熱伝導又は熱輻射が起こる。

【0029】

このようにレーザー光透過吸収性成形部材1で先ず発熱

により樹脂溶融が発生し、次第にレーザー光透過吸収性

成形部材1・2の界面に向かって溶融が広がり、両成形

40 部材1・2に広くて深い溶融が発生する結果、強くレー

ザー溶着される。

【0030】

このレーザー溶着体のより具体的な製造工程について、

その一例を挙げて説明する。その製造工程は例えば下記

の(A)~(D)からなる。

(A)熱可塑性樹脂とレーザー光透過吸収性吸収剤とを

少なくとも含み、必要に応じて添加剤を含んでいてもよ

いレーザー光透過吸収性樹脂組成物を成形して、レーザ

ー光照射側に配置されるレーザー光透過吸収性成形部材

50 1を得る。この成形部材1は、レーザー光(例えば、9

( 4 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 5: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

9 10

40nm)に対する吸光度a1 が、0.07~2.0で

ある。

(B)レーザー光透過吸収性成形部材1に当接させるレ

ーザー光透過吸収性成形部材2を、成形する。この成形

部材2は、成形部材1と同組成又は異種の組合せからな

る組成物で成形したものであってもよい。この成形部材

2は、レーザー光(例えば、940nm)に対する吸光

度a2 が、0.07~2.0である。

(C)レーザー光透過吸収性成形部材1と、レーザー光

10透過吸収性成形部材2とを、重ね合わせて当接させる。

この時に両成形部材1・2を固定するため、適宜治具を

用いて加圧してもよい。更に透過吸収性成形部材側に、

反射防止膜のような反射防止機能を有する部材を配して

もよく、冷却効果を有する部材やガス処理装置などを設

置してもよい。

(D)成形部材1側から適切な条件に調整されたレーザ

ー光4を照射する。レーザー光4は、その一部が成形部

材1を透過し、別な一部が成形部材1に吸収されて発熱

を引き起こす。透過したレーザー光4が、成形部材2へ

20到達し、成形部材2に吸収され、発熱を引き起こす。こ

れらのレーザー光透過吸収性成形部材1・2の発熱した

部位近傍で、成形部材1及び2が溶融する。この熱溶融

部分が、冷却されると、固化して溶着する。その結果、

これらの成形部材1及び2は、その溶着部位5で強固に

接合され、一体化する。

【0031】

図3に示すように、別なレーザー溶着体を作製するのに

、単一のフィルム状のレーザー光透過吸収性成形部材1

を用いてもよい。レーザー光透過吸収性成形部材1は、

30前記と同様に、レーザー溶着に使用される波長のレーザ

ー光4を一部吸収し別な一部を透過させるレーザー光透

過吸収剤と、レーザー光透過性樹脂である熱可塑性樹脂

とを含有するレーザー光透過吸収性樹脂組成物を熱成形

したものである。このレーザー光透過吸収性成形部材1

を曲げて丸め、その両端部分同士を重ね合わせたまま、

レーザー溶着すると、強固なレーザー溶着体が得られる

【0032】

このレーザー溶着体のより具体的な製造工程について、

40その一例を挙げて説明する。その製造工程は例えば下記

の(E)~(G)からなる。

(E)熱可塑性樹脂とレーザー光透過吸収性吸収剤とを

少なくとも含み、必要に応じて添加剤を含んでいてもよ

いレーザー光透過吸収性樹脂組成物を成形し、レーザー

光透過吸収性成形部材1を得る。この成形部材1は、レ

ーザー光(例えば、940nm)に対する吸光度a1 が

、0.07~2.0である。

(F)レーザー光透過吸収性成形部材1をロール状に曲

げ、その両端部を重ね合わせて当接させる。この時に両

50成形部材1の両端部を固定するため、適宜治具を用いて

加圧してもよい。更に透過吸収性成形部材側に、反射防

止膜のような反射防止機能を有する部材を配してもよく

、冷却効果を有する部材やガス処理装置などを設置して

もよい。ロール状又は円筒状の金型を用いてロール状又

は円筒状に成形した成形部材1を用いてもよい。

(G)重ね合わされたまま当接した箇所に適切な条件に

調整されたレーザー光4を照射する。レーザー光4の一

部は、両端部が重ねられた上側にある成形部材1の端部

を透過し、別な一部は、両端部が重ねられた下部にある

10 成形部材1の端部に吸収され、発熱を引き起こす。この

レーザー光透過吸収性成形部材1の発熱した部位近傍で

、成形部材1の重ねられた両端部同士が溶融する。この

熱溶融部分が、冷却されると、固化して溶着する。

【0033】

勿論、本発明は、これらの製造工程に限定されるもので

はない。

【0034】

なお、レーザー溶着体は、前記の通り複数で均一な厚さ

の平坦な板状、又は単一のフィルム状のレーザー光透過

20 吸収性成形部材が用いられたものであってもよく、金型

で成形したり、湾曲や屈曲させたりしたロール状、円筒

状、角柱状、箱状の複数又は単一のレーザー光透過吸収

性成形部材が用いられたものであってもよい。レーザー

光透過吸収性成形部材は、任意の形状をとり得る。図2

に示すように、重畳させる部位で継ぎしろとなる段差を

設けていてもよい。

【0035】

レーザー光透過性成形部材とレーザー光吸収性部材との

従来のレーザー溶着は、レーザー光吸収性部材を発熱さ

30 せて溶融させ、その熱でレーザー光透過性成形部材を溶

融させるものであるから熱効率がさほど高くなく、また

レーザー光透過性成形部材の樹脂溶融が小さくレーザー

光吸収性部材の樹脂溶融が大きいから溶着強度がさほど

強くないものである。それに対し、本発明のレーザー溶

着体は、光透過吸収性成形部材1と2とのレーザー溶着

の例で説明すると、レーザー溶着の際、両成形部材1と

2とが共に発熱を引き起こすため、両成形部材1・2間

の温度差が少なく、低エネルギーで効率よくレーザー溶

着することができるうえ、両成形部材1・2の樹脂溶融

40 部位が大きく広がるので、溶着強度が極めて強いもので

ある。

【0036】

レーザー溶着体は、レーザー光透過吸収性成形部材1・

2同士を溶着した溶着部位5で、実用的に充分な強度を

有している。また、レーザー溶着体は、用途や目的に合

わせて、レーザー溶着条件を選択して製造され得る。こ

のようにして製造されたレーザー溶着体は、JIS K

7113-1995に準じた引張試験において、少なく

とも引張溶着強度が50N以上の値を示し、200N以

50 上を示すことが好ましい。

( 5 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 6: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

11 12

【0037】

レーザー溶着に用いられるレーザー光として、可視光よ

り長波長域の800~1600nmの赤外光線、好まし

くは800~1100nmに発振波長を有するレーザー

光が使用される。例えば、固体レーザー(Nd:YAG

励起、半導体レーザー励起等)、半導体レーザー、チュ

ーナブルダイオードレーザー、チタンサファイアレーザ

ー(Nd:YAG励起)が使用される。また、その他に

波長が700nm以上の赤外線を発生するハロゲンラン

10プやキセノンランプを用いてもよい。また、レーザー光

を、レーザー光透過吸収性成形部材の面に対して、垂直

方向からでも斜め方向からでも照射してもよく、また、

1方向又は複数方向から照射してもよい。レーザー光の

出力は、走査速度と、レーザー光透過吸収性成形部材の

吸収能力に応じ、適宜調整される。

【0038】

波長が700nm以上の赤外線を発生するハロゲンラン

プを使用する場合、ランプ形状としては、帯状にランプ

を配したものが多い。照射態様としては、例えば、ラン

20プ照射部が動く走査タイプ、溶着部材が動くマスキング

タイプ、多方面から溶着部材に対してランプを同時照射

させるタイプ等が挙げられる。また照射は、適宜、赤外

線の照射幅、照射時間、照射エネルギー等を調整して行

なうことができる。ハロゲンランプは近赤外域を中心に

エネルギー分布を持っているため、そのエネルギー分布

の短波長側、すなわち可視領域においてエネルギーが存

在することがある。このような場合、部材表面に溶着痕

を生じることがあるため、カットフィルター等を用いて

可視領域のエネルギーを遮断してもよい。

30【0039】

次に、レーザー光透過吸収性成形部材について、より具

体的に説明する。

【0040】

二つのレーザー光透過吸収性成形部材1・2を用い、重

ねられたままレーザー光の照射による発熱で溶着されて

一体化するレーザー溶着体である場合、例えばレーザー

溶着に使用される波長のレーザー光に対し、一方の成形

部材の吸光度a1 と、他方の成形部材の吸光度a2 とが

、0.07≦(a1 及びa2 )≦2.0であることが好

40ましく、レーザー光の透過性を考慮すると、0.07≦

(a1 及びa2 )≦1.0であることが一層好ましく、

0.07≦(a1 及びa2 )≦0.8であるとより一層

好ましい。本発明においては、全ての厚みに対する吸光

度、特に重ね合わせでは、透過率の関係で、総ての吸光

度が重要である。

【0041】

吸光度がこの範囲であると、レーザー光照射側の成形部

材において、十分な強度でレーザー溶着するのに有効な

範囲の透過率が保たれる。そのため照射側と反対側の成

50型部材においても、充分発熱が起こり、溶融現象が起こ

り易くなるとともに、温度差が少ない溶着現象が起こる

ものと推察される。この結果、強固なレーザー溶着体が

得られる。また成形部材の厚みを変化させて様々な形状

のレーザー溶着体を得る際にも対応し易い。

【0042】

また、前記好適な樹脂について、実用的な吸光度aの範

囲をより具体的に示す。この樹脂がポリアミド樹脂であ

る場合、前記吸光度aは0.1~2.0、好ましくは0

.1~0.8の範囲である。ポリカーボネート樹脂であ

10 る場合、前記吸光度aが0.1~1.8、好ましくは0

.1~0.8の範囲である。ポリプロピレン樹脂である

場合、前記吸光度aが0.1~0.9、好ましくは0.

1~0.8の範囲である。

【0043】

一方の成形部材の吸光度a1 と、他方の成形部材の吸光

度a2 とは、0.5≦a1 /a2 ≦2.0の条件を満た

すことが好ましく、0.8≦a1 /a2 ≦1.3の条件

を満たすことが更に好ましい。例えば、レーザー光透過

吸収性成形部材1・2の吸光度a1 ,a2 は、a1 ≧a2

20 、a120 ≦a220 、a120 =a220 の場合がある。

【0044】

この中でも吸光度a1 とa2 とが同値、即ちa1 =a2

であると一層好ましい。これはレーザー溶着体の外観、

色相、接合つなぎ目などを考慮したものである。また吸

光度が等しいかほぼ同等である場合は2種類の部材を区

別する必要がなく、簡便に取り扱うことができる。

【0045】

上記のように、レーザー光透過吸収性成形部材1の吸光

度を前記の範囲内となるように調節するため、レーザー

30 光透過吸収性成形部材1の厚さL130 (cm)に応じ、レ

ーザー光透過吸収剤の吸収係数εd を選択し、レーザー

光透過吸収剤の濃度C1 (重量%)を調整する必要があ

る。レーザー光透過吸収性成形部材2の厚さL2 (cm

)、それのレーザー光透過吸収剤の濃度C2 (重量%)

についても、同様である。

【0046】

このようにレーザー光透過吸収性成形部材1・2の吸収

係数εj 1 及びεj 2 を所望の範囲に調整することが重

要である。

40 【0047】

ポリアミド樹脂・ポリカーボネート樹脂・ポリプロピレ

ン樹脂を用いた場合、940nmのレーザー光に対して

得られる各々の吸収係数εj 1 及びεj 2 は、例えば2

00≦εj 1 (及びεj 2 )≦8000(1/cm)、

好ましくは2000≦εj 1 (及びεj 2 )≦7500

、特に好ましくは4000≦εj 1 (及びεj 2 )≦7

000である。

【0048】

ポリブチレンテレフタレート樹脂・ポリフェニレンサル

50 ファイド樹脂を用いた場合、940nmのレーザー光に

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Page 7: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

13 14

対して得られる各々の吸収係数εj 1 及びεj 2 は、例

えば3000≦εj 1 (及びεj 2 )≦15000(1

/cm)、好ましくは5000≦εj 1 (及びεj 2 )

≦15000、特に好ましくは8000≦εj 1 (及び

εj 2 )≦13000である。

【0049】

吸収係数が前記指定の範囲の上限を超えると、透過率が

低下することに伴い、レーザー照射時のレーザー光透過

吸収性成形部材同士の発熱が急激となって、焦げやボイ

10ドの発生を抑制することが難しくなり、十分な溶着強度

を得ることができなくなる。一方、吸収係数が前記指定

の範囲の下限未満であると、発熱が不十分となり、十分

な溶着強度を得ることができなくなる。

【0050】

また、一方の成形部材1のレーザー光透過吸収剤の濃度

C1 (重量%)及びそれの厚さL1 (cm)の積C1 L

1 と、他方の成形部材2のレーザー光透過吸収剤の濃度

C2 (重量%)及びそれの厚さL2 (cm)の積C2 L

2 が、0.01×10- 3≦(C1 L1 及びC2 L2 )≦

204.0×10- 3

20の範囲にあると、より良好な溶着ができ

る。

【0051】

レーザー光透過吸収性成形部材1・2の各々の厚さが何

れも、200~5000μmの範囲にあることが好まし

い。厚さが200μm未満であるとレーザー光エネルギ

ーのコントロールが難しく、レーザー溶着の際に、熱溶

融の過不足が生じ、過熱により破断したり十分な溶着強

度が得られなくなったりする。一方、5000μmを超

えると、レーザー光透過吸収性成形部材の表面から溶着

30部位5までの距離が長過ぎ透過率の低下を引き起こして

十分な溶着強度が得られなくなってしまう。

【0052】

レーザー光透過吸収性成形部材1・2に含有されるレー

ザー光透過吸収剤として、アジン系化合物、ニグロシン

、アニリンブラック、フタロシアニン、ナフタロシアニ

ン、ポルフィリン、シアニン系化合物、ペリレン、クオ

テリレン、金属錯体、アゾ染料、アントラキノン、スク

エア酸誘導体、インモニウム染料等が挙げられる。レー

ザー光透過吸収剤の吸収係数εd は、1000~800

400(ml/g・cm)であり、好ましくは1000~6

000、更に好ましくは3000~6000である。

【0053】

吸収係数(吸光係数)εd の測定方法は、レーザー光透過

吸収剤0.05gを精秤し、50mlメスフラスコを用

いて、例えば、溶媒N,N-ジメチルホルムアミド(D

MF)に溶解後、その1mlを、50mlメスフラスコ

を用いてDMFで希釈して測定サンプルとし、分光光度

計(島津製作所製の商品名:UV1600PC)を用い

て、吸光度測定を行なうというものである。

50【0054】

熱可塑性樹脂に対する着色は、装飾効果、色分け効果、

成形品の耐光性向上、内容物の保護や隠蔽等の目的で行

われる。産業界において最も重要なのは、黒色着色であ

る。また樹脂の分散性や相溶性を考慮すると、油溶性染

料が適している。このため、黒色着色剤としてもレーザ

ー光透過吸収剤としても、用いることができる黒色油溶

性染料が、最適である。黒色油溶性染料の中でも、より

高い溶着強度等を得ることができるニグロシンが好まし

い。

10 【0055】

ニグロシンとして、COLOR INDEXにC.I.

SOLVENT BLACK 5及びC.I.SOLV

ENT BLACK 7として記載されているような黒

色アジン系縮合混合物が挙げられる。その中でも、C.

I.SOLVENT BLACK 7が一層好ましい。

このようなニグロシンの合成は、例えば、アニリン、ア

ニリン塩酸塩及びニトロベンゼンを、塩化鉄の存在下、

反応温度160乃至180℃で酸化及び脱水縮合するこ

とにより行い得るものである。このようなニグロシンと

20 して、オリヱント化学工業社製の商品名NUBIAN

BLACKシリーズが市販されている。

【0056】

また、レーザー光透過吸収剤の含有量は、レーザー光透

過性樹脂に対し、0.001~0.5重量%、好ましく

は、0.01~0.2重量%である。この含有量が0.

001重量%よりも少ないと、レーザー光のエネルギー

を吸収しても発熱が少ないため、温度が十分にあがらず

、レーザー光透過吸収性成形部材同士の接合部の溶着強

度が低くなる。また、含有量が0.5重量%を超えると

30 、レーザー光の透過率が低下し過ぎ、レーザー光透過吸

収性成形部材同士の十分な溶着強度を得ることができず

、更にレーザー光透過性樹脂本来の樹脂特性を失い易い

【0057】

また、レーザー光透過吸収剤の含有量は、レーザー光透

過性樹脂としてポリアミド樹脂・ポリカーボネート樹脂

・ポリプロピレン樹脂を用いた場合、0.001~0.

5重量%、更に好ましくは、0.002~0.2重量%

である。また、レーザー光透過吸収剤の含有量は、レー

40 ザー光透過性樹脂としてポリブチレンテレフタレート樹

脂・ポリフェニレンサルファイド樹脂を用いた場合、好

ましくは、0.001~0.2重量%である。

【0058】

この成形部材を形成するレーザー光透過性樹脂は、レー

ザー光を透過し、レーザー光透過吸収剤を含有させるこ

とができる樹脂であれば、どのような樹脂を用いてもか

まわない。

【0059】

レーザー光透過性樹脂としては、例えば、レーザー光透

50 過性を有し、顔料の分散剤として用いられる樹脂、マス

( 7 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

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15 16

ターバッチ又は着色ペレットの担体樹脂として使用され

ている公知の樹脂等が挙げられる。より具体的には、熱

可塑性樹脂の代表的な例であるポリフェニレンサルファ

イド樹脂(PPS)、ポリアミド樹脂(ナイロン(登録

商標)、PA)、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹

脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ

メチルペンテン樹脂、メタクリル樹脂、アクリルポリア

ミド樹脂、エチレンビニルアルコール(EVOH)樹脂

、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート

10(PET)樹脂やポリブチレンテレフタレート(PBT

)樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポ

リ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフェ

ニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアリ

ルサルホン樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー等が挙げら

れる。

【0060】

このような熱可塑性樹脂は、前記熱可塑性樹脂を形成す

る単量体の2種以上からなる共重合体樹脂であってもよ

い。例えば、AS(アクリロニトリル-スチレン)共重

20合体樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-ス

チレン)共重合体樹脂、AES(アクリロニトリル-E

PDM-スチレン)共重合体樹脂、PA-PBT共重合

体、PET-PBT共重合体樹脂、PC-PBT共重合

体樹脂、PC-PA共重合体樹脂等が挙げられる。また

ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン

系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラ

ストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等の熱

可塑性エラストマー;前記樹脂類を主成分とする合成ワ

ックス又は天然ワックス等が挙げられる。

30なお、これらの熱可塑性樹脂の分子量は、特に限定され

るものではない。また、上記の異なる樹脂を複数用いて

もよい。

【0061】

この熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリカーボネー

ト樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレ

ート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂であること

が好ましい。ニグロシンとの相溶性を考慮すると、この

中でもポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂が更に好

ましい。

40【0062】

ポリアミド樹脂として、ポリアミド6、ポリアミド66

、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、

ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド612

、ポリアミド96、非晶質性ポリアミド、高融点ポリア

ミド、ポリアミドRIM、ポリアミドMIX6等;それ

らの2種類以上のものの共重合体、すなわち、ポリアミ

ド6/66共重合体、ポリアミド6/66/610共重

合体、ポリアミド6/66/11/12共重合体、結晶

性ポリアミド/非結晶性ポリアミド共重合体等が挙げら

50れる。またポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂と他の合

成樹脂との混合重合体であってもよい。そのような混合

重合体の例として、ポリアミド/ポリエステル混合重合

体、ポリアミド/ポリフェニレンオキシド混合重合体、

ポリアミド/ポリカーボネート混合重合体、ポリアミド

/ポリオレフィン混合重合体、ポリアミド/スチレン/

アクリロニトリル混合重合体、ポリアミド/アクリル酸

エステル混合重合体、ポリアミド/シリコーン混合重合

体等が挙げられる。これらのポリアミド樹脂は、単独で

、又は2種類以上を混合して用いてもよい。

10 【0063】

ポリフェニレンサルファイド樹脂は、PPSとも呼ばれ

る(-φ-S-)[φは置換或いは非置換のフェニレン

基]で表わされるチオフェニレン基からなる繰り返し単

位を主とする重合体である。この樹脂は、パラジクロル

ベンゼンと硫化アルカリとを高温、高圧下で反応させて

合成したモノマーを、重合させたものである。この樹脂

は、重合助剤を用いた重合工程だけで目的の重合度にさ

せた直鎖型のものと、低分子の重合体を酸素存在下で熱

架橋させた架橋型のものとの二タイプに大まかに分類さ

20 れる。特に、直鎖型のものは、透過率が優れている点で

好ましい。また、ポリフェニレンサルファイド樹脂(P

PS)の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に制限

はないが、通常5~2000Pa.sの範囲のものが使

用され、100~600Pa・sの範囲のものが好まし

い。

【0064】

また、ポリフェニレンサルファイド樹脂はポリマーアロ

イも用いることができる。例えば、PPS/ポリオレフ

ィン系アロイ、PPS/ポリアミド系アロイ、PPS/ポ

30 リエステル系アロイ、PPS/ポリカーボネート系アロ

イ、PPS/ポリフェニレンエーテル系アロイ、PPS/

液晶ポリマー系アロイ、PPS/ポリイミド系アロイ、

PPS/ポリサルホン系アロイが挙げられる。また、ポ

リフェニレンサルファイド樹脂は電子部品や自動車部品

等の用途に適した特性を有している。

【0065】

ポリエステル樹脂として、例えばテレフタル酸とエチレ

ングリコールとの重縮合反応によって得られるポリエチ

レンテレフタレート樹脂、及びテレフタル酸とブチレン

40 グリコールとの重縮合反応によって得られるポリブチレ

ンテレフタレート樹脂が挙げられる。その他のポリエス

テル樹脂の例としては、上記ポリエステル樹脂における

テレフタル酸成分の一部(例えば15モル%以下[例え

ば0.5~15モル%]、好ましくは5モル%以下[例

えば0.5~5モル%])及び/又はエチレングリコー

ル又はブチレングリコール成分の一部(例えば15モル

%以下[例えば0.5~15モル%]、好ましくは5モ

ル%以下[例えば0.5~5モル%])を置換した共重

合体が挙げられる。また、2種以上のポリエステル樹脂

50 を混合したものであってもよい。

( 8 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 9: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

17 18

【0066】

ポリオレフィン系樹脂は、特に限定されない。その例と

しては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、3-メチ

ルブテン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1

等のα-オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、

或いはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重

合体(共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム

共重合体、グラフト共重合体を挙げることができる。)

等が挙げられる。より具体例には、高密度ポリエチレン

10、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低

密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エ

チレン-アクリル酸エチル共重合体等のポリエチレン系

樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレンブ

ロック共重合体、又はランダム共重合体、プロピレン-

エチレン-ブテン-1共重合体等のポリプロピレン系樹

脂;ポリブテン-1、ポリ4-メチルペンテン-1等が

挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で

用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

これらの中でも、ポリプロピレン樹脂及び/又はポリエ

20チレン樹脂を用いることが好ましい。より好ましいのは

、ポリプロピレン系樹脂である。このポリプロピレン系

樹脂に特に制限はなく、広範囲の分子量のものを使用で

きる。

【0067】

なお、ポリオレフィン系樹脂として、不飽和カルボン酸

又はその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィンや発

泡ポリプロピレンのように樹脂自体に発泡剤を含有した

ものを用いてもよい。また、エチレン-α-オレフィン

系共重合体ゴム、エチレン-α-オレフィン-非共役ジ

30エン系化合物共重合体(例えばEPDM等)、エチレン

-芳香族モノビニル化合物-共役ジエン系化合物共重合

ゴム、又はこれらの水添物等のゴム類を、ポリオレフィ

ン系樹脂に含有していてもよい。

【0068】

ポリカーボネートは主鎖に炭酸エステル結合を持つ熱可

塑性樹脂で、優れた機械的性質、耐熱性、耐寒性、電気

的性質、透明性などを備えており、エンジニアプラスチ

ックの代表的なものである。現在、工業的に生産されて

いるのは、ビスフェノールAからの芳香族ポリカーボネ

40ートである。製法にはホスゲン法とエステル交換法の二

つの方法がある。化学構造式は、芳香族炭化水素の炭酸

エステルを多数連結した直鎖状分子で、分子主鎖にかさ

ばったベンゼン核とフレキシブルなカーボネートから成

っている。前者は高い熱変形温度や優れた物理的及び機

械的性質を与え、後者は、成形性と柔軟性に寄与するが

、アルカリで加水分解し易い。

【0069】

この成形部材を形成する際、このレーザー光透過性樹脂

に、種々の添加剤を必要に応じ配合したものを用いても

50よい。このような添加剤としては、例えば着色剤、補強

材、充填材、紫外線吸収剤又は光安定剤、酸化防止剤、

抗菌・防かび剤、難燃剤、助色剤、分散剤、安定剤、可

塑剤、改質剤、帯電防止剤、潤滑剤、離型剤、結晶促進

剤、結晶核剤等が挙げられる。

【0070】

使用できる着色剤の例として、成形部材についての前記

の所期の条件を満たすことのできるものであれば、それ

らの構造や色相には特に限定がなく、より具体的には、

アゾメチン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジ

10 オキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリ

ドン系、イソインドリノン系、インダンスロン系、ペリ

ノン系、ペリレン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キ

ノフタロン系、キノリン系、トリフェニルメタン系の各

種染顔料等の有機染顔料が挙げられる。

【0071】

成形部材に用いられる吸収剤が黒色又は暗色の場合、吸

収剤の色相並びに、濃度に合わせて、黒色着色剤を混合

することにより、良好な黒色成形部材が得られる。黒色

混合着色剤としては、例えば、青色着色剤+黄色着色剤

20 +赤色着色剤の組合せ、紫色着色剤+黄色着色剤の組合

せ、緑色着色剤+赤色着色剤の組合せが挙げられる。こ

の吸収剤が淡色吸収剤である場合、好適に組み合わすこ

とにより、各色カラー成形部材が得られる。

【0072】

更に酸化チタン、亜鉛白、炭酸カルシウム、アルミナ白

など白色顔料や有機白色顔料を含有することができ、無

彩色から、有機染顔料と組合せて、有彩色にも調整でき

る。

【0073】

30 補強材としては、通常の合成樹脂の補強に用い得るもの

であればよく、特に限定されない。例えば、ガラス繊維

、炭素繊維、その他の無機繊維、及び有機繊維(アラミ

ド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド、ポ

リエステル及び液晶ポリマー等)等を用いることができ

、透明性を要求される樹脂の補強にはガラス繊維が好ま

しい。好適に用いることができるガラス繊維の繊維長は

2~15mmでありその繊維径は1~20μmである。

ガラス繊維の形態については特に制限はなく、例えばロ

ービング、ミルドファイバー等、何れであってもよい。

40 これらのガラス繊維は、1種類を単独で用いるほか、2

種以上を組合せて用いることもできる。その含有量は、

レーザー光透過吸収性成形部材100重量部に対し5~

120重量部とすることが好ましい。5重量部未満の場

合、十分なガラス繊維補強効果が得られ難く、120重

量部を超えると成形性が低下することになり易い。好ま

しくは10~60重量部、特に好ましくは20~50重

量部である。

【0074】

また、充填材としては、マイカ、セリサイト、ガラスフ

50 レーク等の板状充填材、タルク、カオリン、クレー、ウ

( 9 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 10: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

19 20

ォラストナイト、ベントナイト、アスベスト、アルミナ

シリケート等の珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグ

ネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の金属酸化

物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等

の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、

ガラスビーズ、セラミックビ-ズ、窒化ホウ素、炭化珪

素等の粒子状充填材等を添加することができる。

【0075】

紫外線吸収剤又は光安定剤の例としては、ベンゾトリア

10ゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレー

ト系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾエー

ト系化合物、オギザアリド系化合物、ヒンダードアミン

系化合物及びニッケル錯塩等が挙げられる。

【0076】

酸化防止剤の例としては、フェノール系化合物、リン系

化合物、イオウ系化合物及びチオエーテル系化合物等が

挙げられる。

【0077】

抗菌・防かび剤の例としては、2-(4'-チアゾリル

20)ベンズイミダゾール、10,10'-オキシビスフェ

ノキシアルシン、N-(フルオロジクロロメチルチオ)

フタルイミド及びビス(2-ピリジルチオ-1-オキシ

ド)亜鉛等が挙げられる。

【0078】

難燃剤の例としては、テトラブロモビスフェノールA誘

導体、ヘキサブロモジフェニルエーテル及びテトラブロ

モ無水フタル酸等のハロゲン含有化合物;トリフェニル

ホスフェート、トリフェニルホスファイト、赤リン及び

ポリリン酸アンモニウム等のリン含有化合物;尿素及び

30グアニジン等の窒素含有化合物;シリコンオイル、有機

シラン及びケイ酸アルミニウム等のケイ素含有化合物;

三酸化アンチモン及びリン酸アンチモン等のアンチモン

化合物等が挙げられる。

【0079】

この成形部材は所望の着色熱可塑性樹脂組成物のマスタ

ーバッチを用いて製造してもよい。前記マスターバッチ

としては、任意の方法により得られる。例えば、マスタ

ーバッチのベースとなる樹脂の粉末又はペレットと着色

剤をタンブラーやスーパーミキサー等の混合機で混合し

40た後、押出機、バッチ式混練機又はロール式混練機等に

より加熱溶融してペレット化又は粗粒子化することによ

り得ることができる。

【0080】

この成形部材の成形は、通常行われる種々の手順により

行い得る。例えば、着色ペレットを用いて、押出機、射

出成形機、ロールミル等の加工機により成形することに

より行なうこともでき、また、透明性を有する樹脂のペ

レット又は粉末、粉砕された着色剤、及び必要に応じ各

種の添加物を、適当なミキサー中で混合し、この混合物

50を、加工機を用いて成形することにより行なうこともで

きる。また例えば、適当な重合触媒を含有するモノマー

に着色剤を加え、この混合物を重合により所望の樹脂と

し、これを適当な方法で成形することもできる。成形方

法としては、例えば射出成形、押出成形、圧縮成形、発

泡成形、ブロー成形、真空成形、インジェクションブロ

ー成形、回転成形、カレンダー成形、溶液流延等、一般

に行われる何れの成形方法を採用することができる。こ

のような成形により、種々形状の成形部材を得ることが

できる。

10 【0081】

次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、

勿論本発明はこれらのみに限定されるものではない。

ポリアミド66樹脂を用い、レーザー光透過吸収性成形

部材を試作し、次いで図1、図3又は図4に示すように

重ね合わせた状態でレーザー溶着させ、本発明を適用す

るレーザー溶着体を試作した例を実施例1~14に示し

、本発明を適用外のレーザー溶着体の例を比較例1~3

に示す。

【0082】

20 (実施例1)

(1-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)の499.9gと、ニグ

ロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIA

N(登録商標) BLACK PA9801)の0.1

gとを、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混

合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属

社製の商品名:Si-50)を用いて、シリンダー温度

270℃、金型温度60℃で通常の方法により成形して

30 、縦80mm×横50mm×厚さ1mmのレーザー光透

過吸収性成形部材1・2を2枚作製した。

【0083】

(1-b)レーザー溶着体の製造

次に、図1に示すようにレーザー光透過吸収性成形部材

1・2同士を、図1のように当接させて重ね合わせ、一

方のレーザー光透過吸収性成形部材1の上方から、出力

10Wのダイオード・レーザー[波長:940nm 連

続的](ファインデバイス社製)によるレーザービーム

4を、走査速度1mm/secで、20mm走査させて

40 、照射すると、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0084】

なお、前記ニグロシンのNUBIAN(登録商標) B

LACK PA9801のDMF中での吸収係数εd は

、6.0×103(ml/g・cm)であった。

【0085】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表1に示

す。

【0086】

50 (実施例2)

( 10 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 11: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

21 22

(2-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)の499.8gと、ニグ

ロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIA

N(登録商標) BLACK PA9801)の0.2

gとを、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混

合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属

社製の商品名:Si-50)を用いて、シリンダー温度

270℃、金型温度60℃で通常の方法により成形して

10、縦80mm×横50mm×厚さ0.5mmのレーザー

光透過吸収性成形部材1・2を2枚作製した。

【0087】

(2-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度2

.5mm/secで、20mm走査させて、照射すると

20、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0088】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表1に示

す。

【0089】

(実施例3)

(3-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)の499.5gと、ニグ

30ロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIA

N(登録商標) BLACK PA9801)の0.5

gとを、表1に示す組成比で、ステンレス製タンブラー

に入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物を、射出

成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-50)を用

いて、シリンダー温度270℃、金型温度60℃で通常

の方法により成形して、縦80mm×横50mm×厚さ

0.25mmのレーザー光透過吸収性成形部材1・2を

2枚作製した。

【0090】

40(3-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度6

.5mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0091】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

50の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表1に示

す。

【0092】

(実施例4)

(4-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)499.95gと、ニグ

ロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIA

N(登録商標) BLACK PA9801)0.05

gとを、表1に示す組成比で、ステンレス製タンブラー

10 に入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物を、射出

成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-50)を用

いて、シリンダー温度270℃、金型温度60℃で通常

の方法により成形して、縦80mm×横50mm×厚さ

1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1・2を2枚作

製した。

【0093】

(4-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

20 過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

mm/secで、20mm走査させて、照射すると、一

体化したレーザー溶着体が得られた。

【0094】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表1に示

す。

【0095】

30 (実施例5)

(5-a1)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)499.8g、ニグロシ

ン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIAN(

登録商標) BLACK PA9801)0.1g、及

びC.I.ソルベントグリーン87のアントラキノン青

色油溶性染料とC.I.ソルベントレッド179で示さ

れるペリノン赤色油溶性染料とC.I.ソルベントイエ

ロー163で示されるアントラキノン黄色油溶性染料と

40 を13:20:7の重量比で組み合わせた黒色配合染料

0.1gを、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪

拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械

金属社製の商品名:Si-50)を用いて、シリンダー

温度270℃、金型温度60℃で通常の方法により成形

し、縦80mm×横50mm×厚さ1mmのレーザー光

透過吸収性成形部材1を作製した。

【0096】

(5-a2)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

50 L(登録商標) 101NC)499.8g、ニグロシ

( 11 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 12: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

23 24

ン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIAN(

登録商標) BLACK PA9801)0.2g、ス

テンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得

られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品

名:Si-50)を用いて、シリンダー温度270℃、

金型温度60℃で通常の方法により成形し、縦80mm

×横50mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形

部材2を2枚作製した。

【0097】

10(5-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

mm/secで、20mm走査させて、照射すると、一

体化したレーザー溶着体が得られた。

【0098】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

20の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表1に示

す。

【0099】

(実施例6)

(6-a) 単一のレーザー光透過吸収性成形部材1の作

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)の499.9gと、ニグ

ロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIA

N(登録商標) BLACK PA9801)の0.1

30gとを、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混

合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属

社製の商品名:Si-50)を用いて、シリンダー温度

270℃、金型温度60℃で通常の方法により成形して

、縦50mm×横230mm×厚さ1mmで、直径70

mmの円筒状に曲げられ10mm重なっているレーザー

光透過吸収性成形部材1を作製した。

【0100】

(6-b)レーザー溶着体の製造

次に、図3に示すようにレーザー光透過吸収性成形部材

401の両端を重ね合わせ、外側方向から、出力10Wのダ

イオード・レーザー[波長:940nm 連続的](フ

ァインデバイス社製)によるレーザービーム4を、走査

速度1mm/secで、20mm走査させて、照射する

と、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0101】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並びに吸光係数、レーザー溶着の結果を表1に

示す。

【0102】

50(実施例7)

(7-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)499.95gと、ニグ

ロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIA

N(登録商標) BLACK PA9801)0.05

gとを、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混

合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属

社製の商品名:Si-50)を用いて、シリンダー温度

280℃、金型温度60℃で通常の方法により成形して

10 、縦80mm×横50mm×厚さ3mmのレーザー光透

過吸収性成形部材1・2を2枚作製した。

【0103】

(7-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力70Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度2

.2mm/secで、20mm走査させて、照射すると

20 、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0104】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並びに吸光係数、レーザー溶着の結果を表1に

示す。

【0105】

(実施例8)

(8-a)単一のレーザー光透過吸収性成形部材1の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)の499.8gと、ニグ

30 ロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIA

N(登録商標) BLACK PC0850)の0.2

gとを、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混

合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属

社製の商品名:Si-50)を用いて、シリンダー温度

270℃、金型温度60℃で通常の方法により縦50m

m×横170mm×厚さ1mmのシートを成形した。そ

れを長手方向で20mm-40mm-40mm-40m

m-30mmの順で内向に折り曲げ、両端10mmで重

ね合わさせた略四角柱形のレーザー光透過吸収性成形部

40 材1を作製した。

【0106】

(8-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1の両端を、図4

のように重ね合わせたまま、当接させ、外側方向から、

出力10Wのダイオード・レーザー[波長:940nm

連続的](ファインデバイス社製)によるレーザービ

ーム4を、走査速度1mm/secで、20mm走査さ

せて、照射すると、一体化したレーザー溶着体が得られ

た。

50 なお、前記ニグロシンのNUBIAN(登録商標) B

( 12 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 13: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

25 26

LACK PC0850のDMF中での吸収係数εは、

4.8×103であった。

【0107】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表2に示

す。

【0108】

(実施例9)

(9-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

10ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)の499.0gと、ニグ

ロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:CRAMI

TY(登録商標) 81)の1.0gとを、ステンレス

製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混

合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si

-50)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度

60℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横5

0mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1

・2を2枚作製した。

20【0109】

(9-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

mm/secで、20mm走査させて、照射すると、一

体化したレーザー溶着体が得られた。

なお、前記ニグロシンのオリヱント化学工業社製の商品

30名:CRAMITY(登録商標) 81のDMF中での

吸収係数εd は、5.9×103(ml/g・cm)で

あった。

【0110】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表2に示

す。

【0111】

(実施例10)

(10-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

40ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)の498.0gと、ニグ

ロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:CRAMI

TY(登録商標) 81)の2.0gとを、ステンレス

製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混

合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si

-50)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度

60℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横5

0mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1

・2を2枚作製した。

50【0112】

(10-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

mm/secで、20mm走査させて、照射すると、一

体化したレーザー溶着体が得られた。

【0113】

10 下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表2に示

す。

【0114】

(実施例11)

(11-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)の497.5gと、ニグ

ロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:CRAMI

TY(登録商標) 81)の2.5gとを、ステンレス

20 製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混

合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si

-50)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度

60℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横5

0mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1

・2を2枚作製した。

【0115】

(11-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

30 過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

mm/secで、20mm走査させて、照射すると、一

体化したレーザー溶着体が得られた。

【0116】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表2に示

す。

【0117】

40 (実施例12)

(12-a1)レーザー光透過吸収性成形部材1の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)499.5gと、ニグロ

シン(オリヱント化学工業社製の商品名:CRAMIT

Y(登録商標) 81)0.5gとを、ステンレス製タ

ンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物

を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-5

0)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度60

℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横50m

50 m×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1を作

( 13 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 14: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

27 28

製した。

【0118】

(12-a2)レーザー光透過吸収性成形部材2の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)499.5gと、ニグロ

シン(オリヱント化学工業社製の商品名:CRAMIT

Y(登録商標) 81)0.5gとを、ステンレス製タ

ンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物

を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-5

100)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度60

℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横50m

m×厚さ2mmのレーザー光透過吸収性成形部材2を作

製した。

【0119】

(12-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、レーザー光透過吸収

性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオード・レ

ーザー[波長:940nm 連続的](ファインデバイ

20ス社製)によるレーザービーム4を、走査速度2mm/

secで、20mm走査させて、照射すると、一体化し

たレーザー溶着体が得られた。

【0120】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表2に示

す。

【0121】

(実施例13)

(13-a1)レーザー光透過吸収性成形部材1の作製

30ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)499gと、ニグロシン

(オリヱント化学工業社製の商品名:CRAMITY(

登録商標) 81)1.0gとを、ステンレス製タンブ

ラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物を、

射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-50)

を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度60℃で

通常の方法により成形して、縦80mm×横50mm×

厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1を作製し

た。

40【0122】

(13-a2)レーザー光透過吸収性成形部材a2 の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)498.5gと、ニグロ

シン(オリヱント化学工業社製の商品名:CRAMIT

Y(登録商標) 81)2.5gとを、ステンレス製タ

ンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物

を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-5

0)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度60

℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横50m

50m×厚さ1.5mmのレーザー光透過吸収性成形部材2

を作製した。

【0123】

(13-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、レーザー光透過吸収

性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオード・レ

ーザー[波長:940nm 連続的](ファインデバイ

ス社製)によるレーザービーム4を、走査速度2mm/

secで、20mm走査させて、照射すると、一体化し

10 たレーザー溶着体が得られた。

【0124】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表2に示

す。

【0125】

(実施例14)

(14-a1)レーザー光透過吸収性成形部材1の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)499.0gと、ニグロ

20 シン(オリヱント化学工業社製の商品名:CRAMIT

Y(登録商標) 81)1.0gとを、ステンレス製タ

ンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物

を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-5

0)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度60

℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横50m

m×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1を作

製した。

【0126】

(14-a2)レーザー光透過吸収性成形部材2の作製

30 ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)499.5gと、ニグロ

シン(オリヱント化学工業社製の商品名:CRAMIT

Y(登録商標) 81)0.5gとを、ステンレス製タ

ンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物

を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-5

0)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度60

℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横50m

m×厚さ1.5mmのレーザー光透過吸収性成形部材2

を作製した。

40 【0127】

(14-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、レーザー光透過吸収

性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオード・レ

ーザー[波長:940nm 連続的](ファインデバイ

ス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1mm/

secで、20mm走査させて、照射すると、一体化し

たレーザー溶着体が得られた。

【0128】

50 下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

( 14 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 15: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

29 30

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表2に示

す。

【0129】

(比較例1)

(1-A)比較成形部材の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)495gと、ニグロシン

(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIAN(登

録商標)BLACK PA9801)5.0gとを、ス

10テンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得

られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品

名:Si-50)を用いて、シリンダー温度270℃、

金型温度60℃で通常の方法により成形し、縦80mm

×横50mm×厚さ1mmの比較成形部材を2枚作製し

た。

【0130】

(1-B)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材同士を、当接させ

て重ね合わせ、一方のレーザー光透過吸収性成形部材の

20上方から、出力10Wのダイオード・レーザー[波長:

940nm 連続的](ファインデバイス社製)による

レーザービーム4を、走査速度1mm/secで、20

mm走査させて、照射したが、レーザー溶着体は得られ

なかった。

【0131】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表2に示

す。

【0132】

30(比較例2)

(2-A)従来のレーザー光透過性成形部材の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ザイテル

(登録商標) 101NC)500gをステンレス製タ

ンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。それを、射出成

形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-50)を用い

て、シリンダー温度270℃、金型温度60℃で通常の

方法により成形して、縦80mm×横50mm×厚さ1

mmのレーザー光透性成形部材を2枚作製した。

【0133】

40(2-B)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過性成形部材同士を、当接させて重

ね合わせ、一方のレーザー光透過性成形部材の上方から

、出力10Wのダイオード・レーザー[波長:940n

m 連続的](ファインデバイス社製)によるレーザー

ビーム4を、走査速度1mm/secで、20mm走査

させて、照射したが、レーザー溶着体は得られなかった

【0134】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

50の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表2に示

す。

【0135】

(比較例3)

(3-A)比較成形部材1・2の作製

ポリアミド66樹脂(デュポン社製の商品名:ZYTE

L(登録商標) 101NC)499gと、カーボンブ

ラック(三菱化学社製の商品名:#CB960)1gと

を、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合し

た。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製

10 の商品名:Si-50)を用いて、シリンダー温度27

0℃、金型温度60℃で通常の方法により成形して、縦

80mm×横50mm×厚さ1mmの比較成形部材を2

枚作製した。

【0136】

(3-B)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、当

接させて重ね合わせ、レーザー光透過吸収性成形部材1

の上方から、出力15Wのダイオード・レーザー[波長

:940nm 連続的](ファインデバイス社製)によ

20 るレーザービーム4を、走査速度1mm/secで、2

0mm走査させて、照射したが、レーザー溶着体は得ら

れなかった。

【0137】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表2に示

す。

【0138】

次に、繊維強化されたポリアミド6樹脂を用い、レーザ

ー光透過吸収性成形部材を試作し、次いで図1に示すよ

30 うに重ね合わせた状態でレーザー溶着させ、本発明を適

用するレーザー溶着体を試作した例を実施例15~18

に示し、本発明を適用外のレーザー溶着体の例を比較例

4~5に示す。

【0139】

(実施例15)

(15-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

繊維強化ポリアミド6樹脂(デュポン社製の商品名 Z

YTEL(登録商標)73G30L)499.9gと、

ナフタロシアニン(山本化成社製の商品名 YKR-5

40 010)0.1gとを、ステンレス製タンブラーに入れ

、1時間攪拌混合した。得られた混合物を、射出成形機

(東洋機械金属社製の商品名:Si-50)を用いて、

シリンダー温度280℃、金型温度80℃で通常の方法

により成形し、縦80mm×横50mm×厚さ1mmの

レーザー光透過吸収性成形部材1・2を2枚作製した。

【0140】

(15-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

50 過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

( 15 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 16: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

31 32

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

mm/secで、20mm走査させて、照射すると、一

体化したレーザー溶着体が得られた。

【0141】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表3に示

す。

【0142】

10(実施例16)

(16-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

繊維強化ポリアミド6樹脂(デュポン社製の商品名 Z

YTEL(登録商標)73G30L)499.99gと

、ニグロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:CR

AMITY(登録商標) 81)0.01gとを、ステ

ンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得ら

れた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名

:Si-50)を用いて、シリンダー温度280℃、金

型温度80℃で通常の方法により成形し、縦80mm×

20横50mm×厚さ2mmのレーザー光透過吸収性成形部

材1・2を2枚作製した。

【0143】

(16-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力30Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度0

.50mm/secで、20mm走査させて、照射する

30と、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0144】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表3に示

す。

【0145】

(実施例17)

(17-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

繊維強化ポリアミド6樹脂(デュポン社製の商品名 Z

YTEL(登録商標)73G30L)499.975g

40と、ニグロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:C

RAMITY(登録商標) 81)0.025gとを、

ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。

得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商

品名:Si-50)を用いて、シリンダー温度280℃

、金型温度80℃で通常の方法により成形し、縦80m

m×横50mm×厚さ2mmのレーザー光透過吸収性成

形部材1・2を2枚作製した。

【0146】

(17-b)レーザー溶着体の製造

50次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力30Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度0

.60mm/secで、20mm走査させて、照射する

と、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0147】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表3に示

10 す。

【0148】

(実施例18)

(18-a1)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作

繊維強化ポリアミド6樹脂(デュポン社製の商品名 Z

YTEL(登録商標)73G30L)499.975g

と、ニグロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:C

RAMITY(登録商標) 81)0.025gとを、

ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。

20 得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商

品名:Si-50)を用いて、シリンダー温度280℃

、金型温度80℃で通常の方法により成形し、縦80m

m×横50mm×厚さ2mmのレーザー光透過吸収性成

形部材1を作製した。

【0149】

(18-a2)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作

繊維強化ポリアミド6樹脂(デュポン社製の商品名 Z

YTEL(登録商標)73G30L)499.95gと

30 、ニグロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:CR

AMITY(登録商標) 81)0.05gとを、ステ

ンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得ら

れた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名

:Si-50)を用いて、シリンダー温度280℃、金

型温度80℃で通常の方法により成形し、縦80mm×

横50mm×厚さ3mmのレーザー光透過吸収性成形部

材1・2を2枚作製した。

【0150】

(18-b)レーザー溶着体の製造

40 次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力50Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度0

.90mm/secで、20mm走査させて、照射する

と、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0151】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表3に示

50 す。

( 16 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 17: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

33 34

【0152】

(比較例4)

(4-A)従来のレーザー光透過性成形部材の作製

繊維強化ポリアミド6樹脂(デュポン社製の商品名 Z

YTEL(登録商標)73G30L)500gを、ステ

ンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。それ

を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-5

0)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80

℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横50m

10m×厚さ1mmのレーザー光透性成形部材を2枚作製し

た。

【0153】

(4-B)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過性成形部材同士を、当接させて重

ね合わせ、一方のレーザー光透過性成形部材の上方から

、出力30Wのダイオード・レーザー[波長:940n

m 連続的](ファインデバイス社製)によるレーザー

ビーム4を、走査速度1mm/secで、20mm走査

させて、照射した。

20【0154】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表3に示

す。

【0155】

(比較例5)

(5-A)従来のレーザー光透過性成形部材の作製

繊維強化ポリアミド6樹脂(デュポン社製の商品名 Z

YTEL(登録商標)73G30L)499gと、カー

ボンブラック(三菱化学社製の商品名:CB960)1

30.0gとを、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪

拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械

金属社製の商品名:Si-50)を用いて、シリンダー

温度280℃、金型温度80℃で通常の方法により成形

して、縦80mm×横50mm×厚さ1mmのレーザー

光透性成形部材を2枚作製した。

【0156】

(5-B)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過性成形部材同士を、当接させて重

ね合わせ、一方のレーザー光透過性成形部材の上方から

40、出力30Wのダイオード・レーザー[波長:940n

m 連続的](ファインデバイス社製)によるレーザー

ビーム4を、走査速度1mm/secで、20mm走査

させて、照射したが、レーザー溶着体は得られなかった

【0157】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表3に示

す。

【0158】

50次に、ポリカーボネート樹脂を用い、レーザー光透過吸

収性成形部材を試作し、次いで図1に示すように重ね合

わせた状態でレーザー溶着させ、本発明を適用するレー

ザー溶着体を試作した例を実施例19~23に示し、本

発明を適用外のレーザー溶着体の例を比較例6~7に示

す。

【0159】

(実施例19)

(19-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリカーボネート樹脂(帝人社製の商品名:パンライト

10 L1225Y)497.5gと、ニグロシン(オリヱン

ト化学工業社製の商品名:NUBIAN(登録商標)

BLACK PC0850)2.5gとを、ステンレス

製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混

合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si

-50)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度

70℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横5

0mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1

・2を2枚作製した。

【0160】

20 (19-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

なお、前記ニグロシンのNUBIAN(登録商標) B

LACK PC0850のDMF中での940nmの光

30 に対する吸収係数εは、4.8×103

30 (ml/g・c

m)であった。

【0161】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表4に示

す。

【0162】

(実施例20)

(20-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリカーボネート樹脂(帝人社製の商品名:パンライト

40 L1225Y)498.5gと、ニグロシン(オリヱン

ト化学工業社製の商品名:NUBIAN(登録商標)

BLACK PC0850)1.5gとを、ステンレス

製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混

合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si

-50)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度

70℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横5

0mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1

・2を2枚作製した。

【0163】

50 (20-b)レーザー溶着体の製造

( 17 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 18: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

35 36

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0164】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

10の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表4に示

す。

【0165】

(実施例21)

(21-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリカーボネート樹脂(帝人社製の商品名:パンライト

L1225Y)499gと、ニグロシン(オリヱント化

学工業社製の商品名:NUBIAN(登録商標) BL

ACK PC0850)1.0gとを、ステンレス製タ

ンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物

20を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-5

0)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度70

℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横50m

m×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1・2

を2枚作製した。

【0166】

(21-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

30ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0167】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表4に示

す。

【0168】

(実施例22)

40(22-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリカーボネート樹脂(帝人社製の商品名:パンライト

L1225Y)499.75gと、ニグロシン(オリヱ

ント化学工業社製の商品名:NUBIAN(登録商標)

BLACK PC0850)0.25gとを、ステン

レス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られ

た混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:

Si-50)を用いて、シリンダー温度280℃、金型

温度70℃で通常の方法により成形して、縦80mm×

横50mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部

50材1・2を2枚作製した。

【0169】

(22-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

10 【0170】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表4に示

す。

【0171】

(実施例23)

(23-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリカーボネート樹脂(帝人社製の商品名:パンライト

L1225Y)498g、ニグロシン(オリヱント化学

工業社製の商品名:NUBIAN(登録商標) BLA

20 CK PC0850)、1.0g、及びC.I.ソルベ

ントグリーン87のアントラキノン青色油溶性染料とC

.I.ソルベントレッド179で示されるペリノン赤色

油溶性染料とC.I.ソルベントイエロー163で示さ

れるアントラキノン黄色油溶性染料とを13:20:7

の重量比で組み合わせた黒色配合染料1.0gを、ステ

ンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得ら

れた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名

:Si-50)を用いて、シリンダー温度280℃、金

型温度70℃で通常の方法により成形して、縦80mm

30 ×横50mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形

部材1・2を2枚作製した。

【0172】

(23-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

40 、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0173】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表4に示

す。

【0174】

(実施例24)

(24-a1)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作

ポリカーボネート樹脂(帝人社製の商品名:パンライト

50 L1225Y)498g、ニグロシン(オリヱント化学

( 18 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 19: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

37 38

工業社製の商品名:NUBIAN(登録商標) BLA

CK PC0850)、1.0g、及びC.I.ソルベ

ントグリーン87のアントラキノン青色油溶性染料とC

.I.ソルベントレッド179で示されるペリノン赤色

油溶性染料とC.I.ソルベントイエロー163で示さ

れるアントラキノン黄色油溶性染料とを13:20:7

の重量比で組み合わせた黒色配合染料1.0gを、ステ

ンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得ら

れた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名

10:Si-50)を用いて、シリンダー温度280℃、金

型温度70℃で通常の方法により成形して、縦80mm

×横50mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形

部材1を作製した。

【0175】

(24-a2)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作

ポリカーボネート樹脂(帝人社製の商品名:パンライト

L1225Y)498.75g、ニグロシン(オリヱン

ト化学工業社製の商品名:NUBIAN(登録商標)

20BLACK PC0850)、1.25gを、ステンレ

ス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた

混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:S

i-50)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温

度70℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横

50mm×厚さ2mmのレーザー光透過吸収性成形部材

2を作製した。

【0176】

(24-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

301のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0177】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表4に示

す。

40【0178】

(比較例6)

(6-A)従来のレーザー光透過性成形部材の作製

ポリカーボネート樹脂(帝人社製の商品名:パンライト

L1225Y)500gをステンレス製タンブラーに入

れ、1時間攪拌混合した。それを、射出成形機(東洋機

械金属社製の商品名:Si-50)を用いて、シリンダ

ー温度280℃、金型温度70℃で通常の方法により成

形して、縦80mm×横50mm×厚さ1mmのレーザ

ー光透性成形部材を2枚作製した。

50【0179】

(6-B)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過性成形部材同士を、当接させて重

ね合わせ、一方のレーザー光透過性成形部材の上方から

、出力10Wのダイオード・レーザー[波長:940n

m 連続的](ファインデバイス社製)によるレーザー

ビーム4を、走査速度1.0mm/secで、20mm

走査させて、照射したが、レーザー溶着体は得られなか

った。

【0180】

10 下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表4に示

す。

【0181】

(比較例7)

(7-A)従来のレーザー光透過性成形部材の作製

ポリカーボネート樹脂(帝人社製の商品名:パンライト

L1225Y)499.65gと、カーボンブラック(

三菱化学社製の商品名:MA220)0.35gとを、

ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。

20 得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商

品名:Si-50)を用いて、シリンダー温度280℃

、金型温度70℃で通常の方法により成形して、縦80

mm×横50mm×厚さ1mmのレーザー光透性成形部

材を2枚作製した。

【0182】

(7-B)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過性成形部材同士を、当接させて重

ね合わせ、一方のレーザー光透過性成形部材の上方から

、出力10Wのダイオード・レーザー[波長:940n

30 m 連続的](ファインデバイス社製)によるレーザー

ビーム4を、走査速度1.0mm/secで、20mm

走査させて、照射したが、レーザー溶着体は得られなか

った。

【0183】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表4に示

す。

【0184】

次に、ポリブチレンテレフタレート樹脂を用い、レーザ

40 ー光透過吸収性成形部材を試作し、次いで図1に示すよ

うに重ね合わせた状態でレーザー溶着させ、本発明を適

用するレーザー溶着体を試作した例を実施例25~27

に示し、本発明を適用外のレーザー溶着体の例を比較例

8に示す。

【0185】

(実施例25)

(25-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリン

グプラスチックス社製の商品名:NOVADURAN(

50 登録商標)MY5008)499.99gと、ニグロシ

( 19 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 20: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

39 40

ン(オリヱント化学工業社製の商品名:CRAMITY

(登録商標) 81)0.01gとを、ステンレス製タ

ンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物

を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-5

0)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度60

℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横50m

m×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1・2

を2枚作製した。

【0186】

10(25-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力30Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度0

.6mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

なお、前記ニグロシンのNUBIAN(登録商標) B

LACK PA9803のDMF中での940nmの光

20に対する吸収係数εは、6.4×103

20(ml/g・c

m)であった。

【0187】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表5に示

す。

【0188】

(実施例26)

(26-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリン

30グプラスチックス社製の商品名:NOVADURAN(

登録商標)MY5008)499.5gと、ニグロシン

(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIAN(登

録商標)BLACK PA9803)0.5gとを、ス

テンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得

られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品

名:Si-50)を用いて、シリンダー温度260℃、

金型温度60℃で通常の方法により成形して、縦80m

m×横50mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成

形部材1・2を2枚作製した。

40【0189】

(26-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度2

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0190】

50下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表5に示

す。

【0191】

(実施例27)

(27-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリン

グプラスチックス社製の商品名:NOVADURAN(

登録商標)MY5008)499.95gと、ニグロシ

ン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUBIAN(

10 登録商標)BLACK PA9803)0.05gとを

、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した

。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の

商品名:Si-50)を用いて、シリンダー温度260

℃、金型温度60℃で通常の方法により成形して、縦8

0mm×横50mm×厚さ1mmのレーザー光透過吸収

性成形部材1・2を2枚作製した。

【0192】

(27-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

20 1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0193】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表5に示

す。

30 【0194】

(比較例8)

(8-A)レーザー光透過吸収性成形部材の作製

ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリン

グプラスチックス社製の商品名:NOVADURAN(

登録商標)MY5008)499gと、ニグロシン(オ

リヱント化学工業社製の商品名:NUBIAN(登録商

標)BLACK PA9803)1gとを、ステンレス

製タンブラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混

合物を、射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si

40 -50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度

60℃で通常の方法により成形して、縦80mm×横5

0mm×厚さ2mmのレーザー光透過吸収性成形部材1

・2を2枚作製した。

【0195】

(8-B)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、当

接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透過吸収性成形

部材1の上方から、出力30Wのダイオード・レーザー

[波長:940nm 連続的](ファインデバイス社製

50 )によるレーザービーム4を、走査速度0.6mm/s

( 20 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 21: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

41 42

ecで、20mm走査させて、照射したが、レーザー溶

着体は得られなかった。

【0196】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表5に示

す。

【0197】

次にポリフェニレンサルファイド樹脂を用い、レーザー

光透過吸収性成形部材を試作し、次いで図1に示すよう

10に重ね合わせた状態でレーザー溶着させ、本発明を適用

するレーザー溶着体を試作した例を実施例28~30に

示し、本発明を適用外のレーザー溶着体の例を比較例9

に示す。

【0198】

(実施例28)

(28-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチックス

社製の商品名:FORTRON(登録商標)0220A

9)499.99gと、ニグロシン(オリヱント化学工

20業社製の商品名:CRAMITY(登録商標) 81)

0.01gとを、ステンレス製タンブラーに入れ、1時

間攪拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋

機械金属社製の商品名:Si-50)を用いて、シリン

ダー温度310℃、金型温度150℃で通常の方法によ

り成形して、縦80mm×横50mm×厚さ1mmのレ

ーザー光透過吸収性成形部材1・2を2枚作製した。

【0199】

(28-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

301のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力30Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度0

.3mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0200】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表5に示

す。

40【0201】

(実施例29)

(29-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチックス

社製の商品名:FORTRON(登録商標)0220A

9)499.5gと、ニグロシン(オリヱント化学工業

社製の商品名:NUBIAN(登録商標)BLACK

PA9803)0.5gとを、ステンレス製タンブラー

に入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物を、射出

成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-50)を用

50いて、シリンダー温度310℃、金型温度150℃で通

常の方法により成形して、縦80mm×横50mm×厚

さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1・2を2枚

作製した。

【0202】

(29-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

10 デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0203】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表5に示

す。

【0204】

(実施例30)

(30-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

20 ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチックス

社製の商品名:FORTRON(登録商標)0220A

9)499.75gと、ニグロシン(オリヱント化学工

業社製の商品名:NUBIAN(登録商標)BLACK

PA9803)0.25gとを、ステンレス製タンブ

ラーに入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物を、

射出成形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-50)

を用いて、シリンダー温度310℃、金型温度150℃

で通常の方法により成形して、縦80mm×横50mm

×厚さ1mmのレーザー光透過吸収性成形部材1・2を

30 2枚作製した。

【0205】

(30-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

40 【0206】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表5に示

す。

【0207】

(比較例9)

(9-A)レーザー光透過吸収性成形部材の作製

ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリプラスチックス

社製の商品名:FORTRON(登録商標)0220A

9)499gと、ニグロシン(オリヱント化学工業社製

50 の商品名:NUBIAN(登録商標)BLACK PA

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Page 22: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

43 44

9803)1gとを、ステンレス製タンブラーに入れ、

1時間攪拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(

東洋機械金属社製の商品名:Si-50)を用いて、シ

リンダー温度310℃、金型温度150℃で通常の方法

により成形して、縦80mm×横50mm×厚さ2mm

のレーザー光透過吸収性成形部材1・2を2枚作製した

【0208】

(9-B)レーザー溶着体の製造

10次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、当

接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透過吸収性成形

部材1の上方から、出力30Wのダイオード・レーザー

[波長:940nm 連続的](ファインデバイス社製

)によるレーザービーム4を、走査速度1.0mm/s

ecで、20mm走査させて、照射したが、レーザー溶

着体は得られなかった。

【0209】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表5に示

20す。

【0210】

ポリプロピレン樹脂を用い、レーザー光透過吸収性成形

部材を試作し、次いで図1に示すように重ね合わせた状

態でレーザー溶着させ、本発明を適用するレーザー溶着

体を試作した例を実施例31~32に示す。

【0211】

(実施例31)

(31-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製の商品名:NO

30VATEC(登録商標)MA04A)499.95gと

、ナフタロシアニン(山本化成社製の商品名 YKR-

5010)0.05gとを、ステンレス製タンブラーに

入れ、1時間攪拌混合した。得られた混合物を、射出成

形機(東洋機械金属社製の商品名:Si-50)を用い

て、シリンダー温度200℃、金型温度40℃で通常の

方法により成形して、縦80mm×横50mm×厚さ2

mmのレーザー光透過吸収性成形部材1・2を2枚作製

した。

【0212】

40(31-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力30Wのダイオー

ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度1

.5mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0213】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

50の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表5に示

す。

【0214】

(実施例32)

(32-a)レーザー光透過吸収性成形部材1・2の作製

ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製の商品名:NO

VATEC(登録商標)BC05B)498.0gと、

ニグロシン(オリヱント化学工業社製の商品名:NUB

IAN(登録商標) BLACK PA9801)2.

0gとを、ステンレス製タンブラーに入れ、1時間攪拌

10 混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金

属社製の商品名:Si-50)を用いて、シリンダー温

度200℃、金型温度40℃で通常の方法により成形し

て、縦80mm×横50mm×厚さ1mmのレーザー光

透過吸収性成形部材1・2を2枚作製した。

【0215】

(32-b)レーザー溶着体の製造

次に、レーザー光透過吸収性成形部材1・2同士を、図

1のように当接させて重ね合わせ、一方のレーザー光透

過吸収性成形部材1の上方から、出力10Wのダイオー

20 ド・レーザー[波長:940nm 連続的](ファイン

デバイス社製)によるレーザービーム4を、走査速度2

.0mm/secで、20mm走査させて、照射すると

、一体化したレーザー溶着体が得られた。

【0216】

下記に示す評価に従い、レーザー光透過吸収性成形部材

の吸光度並び吸光係数、レーザー溶着の結果を表5に示

す。

【0217】

(物性評価)

30 実施例、比較例で得た成形部材、及びそれのレーザー溶

着体について、下記方法により物性評価を行った。

【0218】

(1)吸光度及び吸収係数(εj )の算出

吸収係数の算出方法は、以下の通りである。分光光度計

(日本分光社製の商品名:V-570)を用いて、レー

ザー光透過吸収性成形部材1・2について、

940nmでのLambert-Beerの法則(1)

【数1】

40 【0219】

(式(1)中、(I0 ):入射光の強さ、(IT ):透

過光の強さ、(IR ):反射光の強さ)により、吸光度

a1 を求めた。

また、

【数2】

【0220】

であるから、レーザー光透過吸収性成形部材1・2につ

いてその式から検量線を作成し、この検量線の傾きであ

50 る吸収係数εj 150 より、吸収係数εj 150 (1/cm)を

( 22 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

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45 46

求めた。なお、ニグロシン以外の着色剤の場合も同様で

ある。また吸光度a2 、εj 2 も同様である。

【0221】

(2)引張強度試験

前記実施例、比較例で得られたレーザー溶着体に対し、

JIS K7113-1995に準じ、引張試験機(島

津製作所社製の商品名:AG-50kNE)にて、溶着

体の長手方向(溶着部を引離す方向)に試験速度10m

m/minで引張試験を行って、引張溶着強度を測定し

10た。

【0222】

(3)外観の目視観察

前記実施例、比較例で得られたレーザー溶着体の溶着部

外観について目視判定を行った。

【0223】

上記実施例、比較例で得たレーザー溶着体の物性評価の

結果を、表1~表5に纏めて示す。

【0224】

【表1】

【0225】

【表2】

【0226】

【表3】

【0227】

【表4】

( 23 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 24: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

47 48

【0228】

【表5】

【0229】

表1~5から明らかなとおり、本発明のレーザー溶着体

は、レーザー光透過吸収性成形部材同士が、しっかりと

溶着されており、大きな引張強度と、良好なレーザー溶

着外観性とを有していた。

【0230】

本発明のレーザー溶着体は、自動車部品、例えば内装の

インストルメントパネル、エンジンルーム内におけるレ

ゾネター(消音器)、医療器具例えば輸液等の内容物を

10 注入して点滴等で使用する医療用チューブ、食料包材例

えば流動食や飲料組成物を含有するスパウトパウチ、ペ

ットボトルのラベル、家電製品部品例えばハウジング等

に用いられる。

【図面の簡単な説明】

【0231】

【図1】図1は、本発明を適用するレーザー溶着体を、

複数重ね合わせたレーザー光透過吸収性成形部材のレー

ザー溶着により製造する実施の一例を示す図である。

【図2】図2は、本発明を適用するレーザー溶着体を、

20 複数重ね合わせたレーザー光透過吸収性成形部材のレー

ザー溶着により製造する別な実施の一例を示す図である

【図3】図3は、本発明を適用するレーザー溶着体を、

単一で湾曲させたレーザー光透過吸収性成形部材のレー

ザー溶着により製造する実施の一例を示す図である。

【図4】図4は、本発明を適用するレーザー溶着体を、

単一で屈曲させたレーザー光透過吸収性成形部材のレー

ザー溶着により製造する実施の一例を示す図である。

【図5】図5は、本発明を適用外のレーザー溶着体を、

30 レーザー光透過性成形部材とレーザー光吸収性成形部材

とのレーザー溶着により製造する例を示す図である。

【図1】

( 24 ) JP 4086891 B2 2008.5.14

Page 25: 特 許 公 報 特許第4086891号 - LTW

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

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(56)参考文献 特開2003-183524(JP,A)

特開2004-148800(JP,A)

特開2005-246692(JP,A)

特開2000-075795(JP,A)

国際公開第2005/021244(WO,A1)

特開2005-139445(JP,A)

(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)

B29C 65/16

C08L 101/00

C08K 5/18

C08K 5/3467

( 25 ) JP 4086891 B2 2008.5.14