多様性を大切にするインクルーシブ教育 ~すべての子どもに学びを~
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多様性を大切にするインクルーシブ教育~すべての子どもに学びを~
野口 晃菜 @akinaln
2014.12.27 第一回探究する学習者の会「インクルーシブ教育を考える」
• 株式会社LITALICO 執行役員
• 筑波大学大学院 博士課程在籍
• 趣味は音楽
My life work インクルーシブ教育
『学び合い』 国際バカロレア
PA
イエナ・プラン ⚪⚪教育
特別支援教育
一斉指導・共同学習・自習式
反転授業ICT
素晴らしいインクルーシブな実践がたくさんある!
わたしの見ている世界はせまいなあ…
出会った先生方「子どもたちにとってより良い実践をしたい!」
理想を追求し続けている!
でも…学びづらさ・過ごしづらさを抱えている子どもたち
「たまたま」で壊れてしまう子ども
「たまたま」壊れる子や先生
わたしの役割?• 「インクルーシブ教育実践」は➕αの実践というよりは、共通理解をしたり、整理をしたり、言語化をするための上位概念?
• わたしの役割は、みなさんの素晴らしい実践を解説すること?言語化して広めること?先生たちが理想を追求しやすくなるように。「カリスマだからできる」ではなく。「たまたま」をなくす。
• まずは、インクルーシブ教育の理念を一緒に確認し、みなさんのもっている理想、そして実践と結びつけてみて学びたい!できる方法を共有しあいたい!
インクルーシブ教育
• 学び手は多様であるという前提
• 学び手は誰でもなんらかのニーズを持っている
• その多様なニーズに対応することができる教育システム
• インクルーシブ教育は終わりなきプロセス
UNESCO(2005) Guideline for Inclusion
インクルーシブ教育
3名のグループになり、インクルーシブ教育に対する疑問や学びたいことをグループで1つのみ挙げてください
(一人で2分、シェア&決める3分)
わたしたちのぎもん・知りたいこと• 「多様性」という前提が先生に幅広く浸透しなければ進まない。どのように浸透させていくのか。
• インクルーシブ教育は特別なものなのか?すでにやられていることではないのか?「障害のある子どもだけが対象」なのではないのか?
• 社会との相互作用とわかっているが、教室という空間でやっていけることはなんだろう?教師として子供達が支え合う雰囲気をどうつくる?教師のやくわりは?指導方法は?プロセスをつくるのは、知識?スキル?心構え?
• 「多様なものに対応できるシステム」ってあるの?
• インクルーシブな社会をつくるためには、分離教育も必要なのではないか?
インクルーシブ教育
• 学び手は多様であるという前提
• 学び手は誰でもなんらかのニーズを持っている
• その多様なニーズに対応することができる教育システム
• インクルーシブ教育は終わりなきプロセス
UNESCO(2005) Guideline for Inclusion
インクルーシブ教育
• 学び手は多様であるという前提
• 学び手は誰でもなんらかのニーズを持っている
• その多様なニーズに対応することができる教育システム
• インクルーシブ教育は終わりなきプロセス
多様性?Diversity?
多様って?
• あなたの学級にはどのようなこどもたちがいますか
• できるだけたくさん羅列してみましょう!(5分)
• ペアでシェアしながら分類できそうだったらしてみましょう!(5分)
• 好き嫌い・得意不得意
• 興味関心
• 性格
• モチベーションスイッチ
• 家庭環境
• 今までの生育歴
• 能力
• 価値観
• 理想
• 生き方
• 考え方
• 専門分野
特性性格
(変わりにくい)
スキル能力
(身につけられる)
周りの環境(変えられる)
誰もが多様な…
自分が想定する「多様性」には限界がある
インクルーシブ教育
• 学び手は多様であるという前提
• 学び手は誰でもなんらかのニーズを持っている
• その多様なニーズに対応することができる教育システム
• インクルーシブ教育は終わりなきプロセス
ニーズ?Needs?
過ごしづらさ
学ぶ内容
学びづらさ
どうして学びづらさ・過ごしづらさは
起こるの?
どうして学びづらさ・過ごしづらさは起こるの?
• 学びづらさ・過ごしづらさ(ニーズ)が起こる理由を2つ考えましょう(ペアで5分)
理由• 先生のやり方に対応できない子どもの責任にしている
• 同じ活動・同じ目標設定だから
• 先生が対応の必要性を感じてもやり方がわからない。
• 自己肯定感を育てる部分が足りてない
• いつも同じ授業スタイル・学級経営 画一的、ほかにオプションがない。
• 1年間同じ仲間で同じ教師だから
• 評価の仕方が画一的
算数が学びづらい子ども
特性性格
スキル能力
周りの環境(学級・授業)
繰り上がりのある足し算
興味がない 耳からの情報 入りづらい
同時に処理すること 難しい
繰り上がりなしはできる 繰り上がりの 手続きを知らない
繰り上がりの練習 ドリルをひたすら ヒントは口頭のみ
できない… やりたくない…
特性性格
スキル能力
周りの環境(接し方・教え方)
繰り上がりのある足し算
興味がない 耳からの情報 入りづらい
同時に処理すること 難しい
興味を引く導入目からのヒント手続きのリマインダ
繰り上がりの手続きわかった!
繰り上がりできた!
特性性格
スキル能力
環境学級経営授業運営
学びづらさ・過ごしづらさは 個と環境との相互作用のなかで起きる。
つまり、環境を工夫することにより 困難さを軽減することができる!
わたしたちも一緒
みなさんはいかがですか
• 家で勉強するとき、どんな格好で勉強しますか?
• 勉強したい!って思うときってどんなときですか?
• 受験勉強のとき、英単語どうやって覚えました?
• 受験のとき、テスト・小論・面接何が得意でした?
得意な情報の入力の仕方や記憶の仕方 出力の仕方は人によって異なる。 モチベーションのスイッチも異なる。
得意な学び方は人によって異なる。
多様な(特性・性格・スキル) 学び手がいればいるほど大変…!?
インクルーシブ教育
• 学び手は多様であるという前提
• 学び手は誰でもなんらかのニーズを持っている
• その多様なニーズに対応することができる教育システム
• インクルーシブ教育は終わりなきプロセス
多様な学び手のニーズに応えたい…課題は?
• 多様な学び手がいるが故に難しいと感じたこと・課題と感じたことはありますか?
• 今までの経験を振り返って具体的なエピソードを思い出してください(5分)
• ペアでシェアしながら、下記について考えてください(10分)
• 何が問題だったのですか?何があったら解決できましたか?2つあげてください。例:先生と子どもの数、子どものことをもっと理解していればよかった、もっと自分のスキルがあったら…など
要因・解決策• 時間の制約
• 子どもに多様なニーズがあればあると思うほど、日々の忙しい中では難しい
• 子どもが何か必要なのか(ニーズはなにか)を見極める時間がない
• 学校・授業のイメージが一斉授業 その中で「いろんな学び方あるよ!」
• 親御さんの考え→新しい授業スタイルを受け入れられない
• 子どもの特性を把握して、その子の特性にあわせて学びの選択肢を用意する。
• 指示を聞くと攻撃的な行動 学校では対応できない…こじれる前に外部機関にヘルプを求める!
学級全体への工夫
個々への工夫
ポイント
• 学級集団のプロフィールに合わせた学級づくり・授業づくりの工夫
• 個別対応が必要な子どもに対する工夫
集団のニーズを層で捉える
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大多数の子どもにとってわかりやすい授業
➕αの対応
➕ααの対応(個別対応)
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)
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Sugai, G.(2013)http://www.pbis.org/resource/961
特性性格
(変わりにくい)
スキル能力
(身につけられる)
集団全体への工夫のためには…どんな子どもたちが多いか知る
学級の子どもたちはどんな子どもたち? どんな特性?性格?興味関心? どんなスキルを持っている?
得意な学び方・苦手な学び方は? どのくらいの子どもがどんな時に
学びづらさ・過ごしづらさを感じている?
例:得意な入力の仕方は?
イメージや動画
耳(音)から
経験から本(文字)から
動画から
テストパソコン
文章プレゼン
絵や動画
例:得意な出力の仕方は?
そのほかにも…
内向的・外交的 規律があった方がいい・ない方がいい 0からの発想が得意・1→10が得意
興味関心の幅は? ストレスや感情のコントロールは?
自己認識? などなど…
その集団に合わせた工夫
学級経営・指導方法・指導形態を どのように工夫したら良い?
周りの環境
どんなやりかた?
一斉指導グループ学習
学び合い一人で
例:覚え方
歌で覚える ロープレ
写真と結びつけて
書いて覚える
例:感情のコントロールが苦手
感情の動きを記録しよう。
最低 最高 1 2 3 4 5
ふつう
集団のニーズを層で捉える
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大多数の子どもにとってわかりやすい授業
➕αの対応
➕ααの対応(個別対応)
個別対応が必要な子どもへの工夫
• 注意!個別対応は「特別扱い」とは異なる
• 誰もが得意・不得意があり、すべての学級の子どもが学びやすくなるために必要な時に必要なタイミングで個別対応をすることを前提とした学級経営
インクルーシブ教育実践のためには…
• その集団のプロフィール
• 学ぶ内容・単元
• 時期・タイミング
多様な考え方・指導方法・指導形態をカタログ的に組み合わせる!
解決策は実践の中にある
インクルーシブ教育
• 学び手は多様であるという前提
• 学び手は誰でもなんらかのニーズを持っている
• その多様なニーズに対応することができる教育システム
• インクルーシブ教育は終わりなきプロセス
UNESCO(2005) Guideline for Inclusion
理想を追求し続ける
多様性はイノベーションを起こす!
Fleming, L.(2004)Harvard Business School Publishing.
ありがとうございました。