出生前診断 とインクルーシブ教育

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出生前診断 とインクルーシブ教育. 選択的中絶について. 選択的中絶とは 問題点は何か. 出生前診断によって胎児の奇形、病気を調べ、その結果をもとに中絶すること。 「カウンセリングの整った欧米でも胎児にダウン症があると診断された女性の92%は中絶を受けています。」 ( 着床前診断ネットワークより ). どんな理由であれ、健常者なら産むのに障害者なので中絶するという決定は、障害者の側からすれば、自分が生きていることを否定されることであり、中絶の理由は「自分が生きていてはいけない理由」として受容されうる。. 遺伝病の分類. 選択的中絶と優生学. - PowerPoint PPT Presentation

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出生前診断とインクルーシブ教育

選択的中絶について選択的中絶とは

問題点は何か

出生前診断によって胎児の奇形、病気を調べ、その結果をもとに中絶すること。「カウンセリングの整った欧米でも胎児にダウン症があると診断された女性の92%は中絶を受けています。」 (着床前診断ネットワークより )

どんな理由であれ、健常者なら産むのに障害者なので中絶するという決定は、障害者の側からすれば、自分が生きていることを否定されることであり、中絶の理由は「自分が生きていてはいけない理由」として受容されうる。

遺伝病の分類遺伝病の種類 具体例

常染色体優性遺伝 ハンチントン舞踏病/筋緊張性筋ジストロフィー若年発症成人型糖尿病

常染色体劣性遺伝 福山型筋ジストロフィーフェニルケトン尿症

X染色体優性遺伝 色素失調症

X染色体劣性遺伝 血友病/デュシェンヌ型筋ジストロフィーG6P脱水素酵素欠損症

染色体異常症 ターナー症候群/ネコ泣き症候群クラインフェルター症候群/ダウン症

選択的中絶と優生学・「病質も、其智能の種類も亦遺伝の約束に漏れず……、良父母を選択して良児を産ましむるの新工夫あるべし」 (福沢諭吉 )

・「人間の淘汰と除去を、それが生まれてくる細胞の段階に移行させ、生殖細胞を人為的に淘汰すること」 (プレッツ )

→選択的中絶は優生学の最終目標

中絶の原因

偏見

本人の不幸

負担

これらの3つの原因について以下考えていきます。

中絶の原因

偏見について 「妻が3日前にその蒙古症 (=ダウン症。蔑称ゆえ今は使われない )っていうのを産んだのだが、私はそんなものほしくないんですよ。それで、私が知りたいのは、ここがそういうのを預かるのかどうかってことなんですよ」

「… (略 )…私の妻は保険会社で重要なポジションに就いていて、こんなプログラム (=乳幼児プログラム )でどうこうやっている暇などないし、それに、私からすれば、蒙古症なんてただの生肉の塊に過ぎないんだ!」

 

Valentine Dmitriev「ダウン症の子どもたち」より

本人の不幸について①障害=不幸ではない→疾患・障害は苦痛だとしても「それは、障害を持って生きることが不幸だということとは違う」

②存在しない存在の不幸は定義不能→「幸不幸は生きている上でその状態に対して言われること」なので「本人の観点をとることが原理的に不可能」

→Aが障害を抱えて生きることと、Aがはじめから存在しないことでは、Aにとってどちらが良いのかは、Aが存在していない (=どういう人かわからない )以上、Aの立場で考えることができない、ということ。

立岩真也「私的所有論」より

負担について・障害児を育てる金銭的負担→養護学校 ( 小中高 )の学費のシステムは

普通の学校と同じ/補助金も出る/医療費

・健常児を育てるよりは経済的・精神的負担が大きい場合が多いだろうと思われている。特に重症心身障害児など。

まとめると・・・夢に向かって (山本遥 ( 仮名 )  ※ダウン症患者 )より 「私は・・・小学校時代からの夢を実現することができました。・・・司書資格をとり、また一つ夢を叶えました。・・・私は今とても充実した生活を送っています。これまで私を支えてくださった多くの人々に感謝しています。そして両親には、「私を産んでくれて有難う」と言いたいです。だから、出生前に検査をしてダウン症の子供が生まれないようにするトリプルマーカーテストがなくなるように訴えていきたいと思っています。

  ・・・“夢をあきらめない”というのが私のモットーです。図書館の司書にもなりたいし、子どもたちに、特に心身に障害を持っている子どもたちに、外国語の童話を読み聞かせ出来るように翻訳できたらすばらしいなと思っています。」

何を変えるべきか性同一性障害の立場から・・・ 「だからこそ、“ありのまま”を認めあえる社会の形成は、より重要なのかもしれない。そもそも、“なりたい自分”に「なりたい」、その理由が、「そうでないと社会に認めてもらえないから」のみであるなら、それはやはり社会のほうが変わるべきなのである。」という主張がある。

佐倉智美「性同一性障害の社会学」より

変わり方について

禁止する

現状においては、障害児を育てることは負担であり、選択的中絶を禁止することはその負担を一部の家族に押し付けてしまうことであり、「障害児が不幸なように」思えてしまうような社会状況を改善せずに禁止したところで、「出生前診断が許されていれば産まれてこなかった不幸な子」という暴力的な表象は避けられず、差別的な見方はかわらない。

→選択的中絶には反対だが、禁止はできない、という立場をとります。

→禁止せずに反対する=「減らし、件数をゼロにする」

減らす

減らすこと

選択的中絶の

減少

差別的意識の改善

負担の分有経済的補助

「基本的に悪いことだ」

という認識

差別的意識の改善の手段として、インクルーシブ教育についてみていきます。

インクルーシブ教育 「重度の障害児を含むすべての児童・生徒に対して、社会の完全な一員として実り多い生活を準備するために、近隣にある学校の年齢相当の学級において、必要な補助具とサービス支援とともに、効果的な教育サービスを受ける公正な機会を用意することである」 ( 全国インクルーシブ教育・再編センターによる定義 )

要するに、「みんなが一緒の教室で授業を受ける」ということ。

→養護学校や特殊教育のような分離教育、桐蔭のような「能力別クラス」の対立概念

・障害者にも健常者と同じ機会を与える ( 機会の平等 )・健常者が幼いころから障害者と接することで、差別的意識が育まれない

などのメリットがあると考えられている。

「世界のインクルーシブ教育」より

①アメリカアメリカの全障害児教育法 (EAHCA)

分離教育は違法 障害児の独自のニーズを満たす教育やサービスの保証 3~21歳の全ての児童が、無料かつ適切な公教育を受ける権利を有している

障害児が最も制約の少ない環境で教育を受けられるようにすることを学校に義務付けた

  分離教育は、教育の水準が明らかに他より低く、障害者の教育機会の均等を侵害していたと言われる。アメリカでは原則インクルーシブ教育。

「天使の子どもweb」より

②カナダ

インクルーシブの哲学には賛同。

特殊教育 (=分離教育 )が向いているならそちらがよい

実践においては、インクルーシブ教育はオプションの1

つ。

「世界のインクルーシブ教育」より

③日本 メインは、特殊学級と養護学校

あるアメリカ人の観点「 (前略 )私の最初の反応は、 (中略 ) 特別なニーズをもつ子どもを、隔離された学校や学級という「倉庫にいれている」というものだった。 (中略 )生徒の中には、知的な可能性を完全に発達させるための挑戦をさせてもらえない者がいるのではないか (中略 )重度の運動障害あるいは情緒障害は、これらの生徒がまったく別の方法で学ばなければならないことを意味するかもしれない。しかしそのことは、彼らが他の生徒と同じ種類の学習には成功できないことを意味していたわけではない。 (中略 )これらの生徒は、他の生徒から閉め出され、彼ら自身の教室に閉じ込められていることをどのように感じていただろうか。 (中略 )しかしながら、私は教師と学校に対して公然と酷評しようとは思わない。なぜなら・・・ ( 後略 )」

「世界のインクルーシブ教育」より

③日本ある日本人の観点  ( 短距離走に、情緒障害の生徒を通常学級の生徒と走らせようとしたら、スタートラインでじっとしていられなかったことを受けて )

「 (前略 )それに私は、教え子にそのようなことをさせたかったのは、私自信だったことに気付いたのです。 (中略 )「ところで、本当に彼はそうしなくてはならないのか」。 (中略 )たんなる私のエゴを満足させるためなのか」。

「世界のインクルーシブ教育」より

二つの派

平等派(できる派)• 「インクルーシブ教育が・・・すべての人びとに固有の才能を見出し、育てる」 (Kunc)

• インクルーシブ教育の思想?アメリカの障害者運動。

差異派(できない派)• 「・・・おれたち最大の生活環は一人一人が持っている (この障害をかかえた ) 肉体なんだ・・・」(横塚晃一)

• 特殊学級、養護学校の思想?日本の障害者運動。※ 上の分類は「弱くある自由へ」より

現実は厳しい 女性団体も女性障害者団体も、出生前診断・選択的中絶の普及を目指すものでもなければ容認するものでもないという以上に、それ自体に関して反対である。反対ではあるが禁止はしない、禁止はしないがそれ自体には反対であるというスタンス

子どもに障害があっても育てられるなら出生前診断など受ける必要ない、と思う女性が増えていくスピードより、情報提供やカウンセリングを受けて出生前診断を受けることを選択する女性が増えるスピードの方が早い

玉井真理子「出生前診断・選択的中絶をめぐるダブルスタンダードと胎児情報へのアクセス権」より

まとめ 現実問題として、出生前診断や着床前診断が普及していくだ

ろう。 なんだかんだ言っても、負担は嫌だし、障害者もいい人生を歩める!といくら言ってみたところで障害者を選択したがる両親は少ないだろうし、子供には五体満足に生まれ、「普通」に幸せになってほしいと思うだろう。

だから、そういう中であっても、出生前診断や着床前診断は障害者を否定していて、差別的なんだという意識をどれだけ保っていくことができるか。障害者を産んだのは胎児診断を怠った親の自己責任、とかわけのわからない自己責任論にならずに障害者が住みやすい社会を作っていく努力を続けていくことができるか、大事なのはそういうことではないか。

参考文献 立岩真也「弱くある自由へ」「私的所有論」 竹内章郎「『弱者』の哲学」 Harry Daniels/Philip Garner ・編「世界のインクルーシブ教育」 Valentine Dmitriev「ダウン症の子どもたち」 佐倉智美「性同一性障害の社会学」 玉井真理子「出生前診断・選択的中絶をめぐるダブルスタンダードと胎児情報へのアクセス権」 天使の子どもweb  

http://www.octp-net.ne.jp/~kibou/kyouikuhou.htm 着床前診断ネットワーク  http://www.pgd.ne.jp/

赤林朗・編「入門・医療倫理 I」 関根清三・編「死生観と生命倫理」

1ヶ月間ありがとうございました!!