地域医療のイノベーションモデル - るもいコホートピア構想

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るもいコホートピア構想 るもい健康の駅 研究はからだに良いのです。

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るもいコホートピア構想

るもい健康の駅

研究はからだに良いのです。

効果の測定

るもいコホートピアの試み札幌医科大学 小海康夫

ヒトに対する効果の測定エンドポイントリサーチデザイン生物統計学仮説の検証

医学研究の展望

日本には薬剤の予防的投与などの健康人も含めた対象を利用可能な治験フィールドは存在しない。

今後、インフルエンザ予防薬、認知症予防薬など予防薬のための治験環境を整備することが重要。

さらに、高血圧・耐糖能低下など人口の多数を占める疾病に対し、大規模治験(第Ⅳ相、適応拡大)を行う場合には地域単位で治験フィールドを考える必要がある。

るもいコホートピアは将来のそうした大規模治験に好適なフィールドを準備・提供する枠組みであり、そのために行政・市民のコンセンサス形成をコホート研究を通じて行う。

留萌の地理

留萌市の人口

平成23年4月現在男 11,767人女 12,730人計 24,497人世帯数 12,290世帯

留萌支庁計 58,306人 男 27,975人 女30,331人

留萌市立病院の診療圏人口は 5万人に達する(他に基幹病院が存在しない!)

留萌市の人口動態

典型的な少子高齢化の街

留萌市立病院の不良債務

7.3

0

9.2

0

9.4

1.1

10.1

3.4

13.5

7.7

13.8

13.7

0

5

10

15

20

25

30

H14 H15 H16 H17 H18 H19

27.5億

21.2億

13.5億

10.5億9.2億

7.3億

うち医師不足による影響

20年度末予想:34億7千万円、医師不足1名あたりの赤字額:6~10千万円

医師数31名

34名33名

30名

26名

24名

病気の予防を可能とする調査研究にご協力ください。

健康

生き生きサポーター

NPOるもいコホートピア

留萌コホートピア構想

概要留萌コホートピア構想は、住民の協力を得て医学研究を誘致し、医療再生・医療産業創出を目指す産学官連携地域プロジェクトである。

構想留萌コホートピア構想は、留萌市を中心とする留萌支庁管内自治体の市民の協力を得て、集団を長期にわたり観察・介入研究する日本最大のコホート医学研究フィールドを樹立、そこに大学や企業の研究を誘致、地域を活性化し、市民に健康と安心をもたらすことを目指す。

テーマ留萌コホートピアでは、特に脳卒中および認知症といった生活機能低下をもたらす疾病の予防・早期発見・早期治療によって要介護状態になることを予防することをテーマとする。

目標特定健診の健診率をあげ、市民のみなさんの健康を守ることと、留萌市立病院の医師不足を解消し、病院経営を好転させることが当面の目標。

札幌医科大学教授専門:病理学、バイオマーカー

留萌市立病院院長札幌医科大学臨床教授専門:内科学、家庭医学

国立保健医療科学院室長北海道大学客員教授専門:疫学

留萌市立病院診療部長北海道大学客員教授専門:脳外科学、生物統計学

旭川医科大学学長専門:眼科学、遠隔医療

http://www.cohortopia.jp/index.html

NPO法人るもいコホートピア研究コアメンバー

NPO法人るもいコホートピアを事務局とする倫理委員会委員は、全員留萌在住の方

NPO法人るもいコホートピア倫理委員会

市との連携

道との連携

高齢化gap

壮年期 高齢期

医療 介護

高齢社会における医療と介護のパラダイムシフト

脳卒中予防の重要性

平成15年住民台帳から計算すると留萌市人口2.5万人のうち約620人が脳卒中患者であり、そのうち要介護者は370名である。今後も、毎年約60名の患者が発生し続けると考えられる。

留萌管内の平成17年度、全死亡651名のうち脳血管疾患は77名(12%)(留萌市はそのうち約30%)

脳卒中の80%は原因となる基礎疾患を治療し、生活習慣を改めることで予防可能である。

脳梗塞 脳出血クモ膜下出血

その他

脳疾患逸脱 合計

男性 73 12 4 0 0 89

女性 58 8 4 1 1 72

合計 131 20 8 1 1 161

73

58

12

8

4

4

0

1

0

1

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

病名別男女比(人)

脳梗塞 脳出血 クモ膜下出血 その他脳疾患 逸脱

その他脳疾患:一過性脳虚血性発作逸脱:脱水症状

認知症予防の重要性

平成15年住民台帳から計算すると留萌支庁管内総人口6.4万人のうち約2130人が認知症であり、今後も、人口減尐にもかかわらず、増加しつづけると推定される。

介護予防の重要性

65歳以上の要介護の原因(平成13年国民生活基礎調査より)

在宅 要支援 要介護度1 要介護度2 要介護度3 要介護度4 要介護度5

1位 高血圧性疾患 高血圧性疾患 高血圧性疾患 脳梗塞 脳梗塞 脳梗塞

2位 関節症 関節症 脳梗塞 高血圧性疾患血管性・詳細不明の痴呆

血管性・詳細不明の痴呆

3位骨の密度及び構造の障害

脳梗塞血管性・詳細不明の痴呆

血管性・詳細不明の痴呆

高血圧性疾患 高血圧性疾患

主治医意見書に記載された要介護状態の原因と考えられる疾患

地域診断

リスク+

健常者

疾患+病院へ(早期発見)

住民

バイオマーカー(広く、安く) 介入

(生活)

★医学研究の果実を市民と共有する★ 7

地域診断による健康実態の把握

メタボリック問診票 平成 年 月 日 識別コード:

住所:氏名:生年月日:明治、大正、昭和 年 月 日生まれ 男性・女性

身長: cm 体重: kg腹囲: cm(へその位置で測ってください。ウエストではありません。)

以下の質問に『はい』なら○を、『いいえ』なら×をつけてください。

・両親、兄弟に糖尿病、心臓発作、脳卒中にかかった方はいますか? ( )・あなたは血圧が高いといわれたことがありますか? ( )・血糖が高いまたは尿に糖が出ているといわれたことがありますか? ( )

・タバコを吸いますか? ( )・1週間に3合以上お酒を飲みますか? ( )

・あなたの食習慣について、当てはまるものがありますか? ( )お腹いっぱいたべる。早食い。朝食をとらない。塩辛いものが好き。味の濃いものが好き。

・1週間にする運動は2時間より少ないですか? ( )

可能であれば、治療中の病気と服用している薬があればお教えください。

メタボリック問診票からコホート研究へ

留萌市の年齢別人口分布

(平成22年2月1日現在 住民基本台帳人口 留萌市市民課資料)

55~64歳

リスク抽出者 749名

要受診・指導

215名

疾病リスク早期検出調査研究の結果(るもい市民55~64歳 4300名対象)

アンケート参加者 1915名(0次健診)

1次健診受診396名

39.1%にリスクあり

52.9%の受診率

全体の11.2%が要指導

44.7%の回収率

55歳~64歳の留萌市民アンケート(回答者1,915名)

BMI(Body Mass Index) ≧25以上(肥満指数)

男性の3人に1人、女性の5人に1人以上が肥満傾向

上記のうち中性脂肪150以上→24.5%

血糖値110以上→42.9%(2009留萌市介護・疾病リスク早期検出調査事業結果)

肥満の危険リスク

33.1%

男性

23.4%

女性

るもいの健康の現状

予防に重点を置いた地域連携クリティカルパス

「脳をまもるコホートピア」の目指すもの

1. 脳卒中・認知症の予防のための診療計画を疫学研究と実践(介入)から得られた成果に基づいて策定し、地域医療に貢献すること

2. 脳卒中・認知症の予防のための医療と福祉の連携をとり、最適化し、人々の幸せに貢献すること

3. 発症した脳卒中、認知症を、できるだけ早期に「クリティカル」な時期を乗り越えさせる体制を作り、人々の安心に貢献すること。

留萌市立病院

留萌

連携パスからコホート研究へ

H22.6 H22.7 H22.8 H22.9 H22.10 H22.11 H22.12 H23.1 H23.2 H23.3 合計

男性 8 7 9 10 7 6 11 10 10 11 89

女性 2 14 7 7 6 3 10 6 6 11 72

合計 10 21 16 17 13 9 21 16 16 22 161

8 79 10

7 6

11 10 10 11

2

14

7 7 63

10

6 6

1110

21

16 17

13

9

21

16 16

22

0

5

10

15

20

25

発症月別患者数(人)

男性

女性

合計

0 1

8

18

36

24

21 06

1216

29

81 1

14

30

52 53

10

0

10

20

30

40

50

60

発症年齢別患者数(人)

男性

女性

合計

40歳未満 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~79歳 80~89歳 90歳以上 合計

男性 0 1 8 18 36 24 2 89

女性 1 0 6 12 16 29 8 72

合計 1 1 14 30 52 53 10 161

眼底画像による遠隔健康アドバイス(注 診断ではありません)

みなさんの健康情報を大切にお預かりします。

お問い合わせは るもい健康の駅(電話0164-43-8121)

インターネット

旭川医科大学眼科学講座

るもい健康の駅

ご自宅からも健診結果

測定データ

安全なデータサーバ

「いつでも・どこでも」、健康管理

https://wellnetlink.asahikawa-med.ac.jp/

眼底画像

健康の駅で眼底画像が測定できます(事前に来館の上、申込が必要です)

緑内障、糖尿病網膜症の早期発見!

情報提供、アドバイス

インターネット経由で、保健師/運動指導士等があなたに直接、健康アドバイス

るもい健康アドバイザー

旅行先からも

無料

よろず健康相談(無料)(毎週木曜夜7:00から:事前申込制)

インターネットを活用した健康で豊かなライフスタイルを支援します。

旭川医科大学と連携・協力しながら、みなさんの健康管理のお手伝いと眼底画像を用いた「目」の健康アドバイスをはじめます。

閲覧

国立大学法人 旭川医科大学

国立大学法人 旭川医科大学

自宅にパソコンがない方は健康の駅へ

休館日:毎週月曜日、祝日

眼底アドバイスからコホート研究へ

自宅のPCで健康管理

地域住民

るもい健康の駅旭川医科大学

眼科学講座(医局)

④健康チェック地域住民

眼科医⑤結果の書き込み

インターネット

眼底カメラ

③眼底画像の閲覧

健康アドバイザー

①眼底画像を撮影

②眼底画像の登録

⑥結果の閲覧

(12月1日からサービス開始予定※予約は11月24日から開始)

「るもい健康の駅」で、健康アドバイザー(市保健師)が眼底カメラを操作して住民の眼底画像を撮影。

⑥結果の閲覧

健康の駅専用PCで健康管理支援

国立大学法人 旭川医科大学電話番号: 0166-65-2522 メール: [email protected]

会員カード

予約申し込み(前週の火~金)

・「旭川医大眼科」をWNLのアドバイザーとして登録(Key ID)

1週間分(複数人)の予約リストをE

メールで連絡(健康の駅→旭医)※市保健師へ伝達

• WNL非会員の場合は会員登録(セルフチェックシートによる代行)

• 予約リストに登録(氏名、性別、年齢、WNL会員IDなど)

週1回(水曜日)、住民の眼底画像を撮影

住民の眼底画像をWNLに登録

住民の健康チェックをEメールで依頼

眼底画像撮影(市保健師)毎週水曜

チェック内容確認

眼底画像の撮影許可をEメールで連絡(旭医→

健康の駅)

健康チェック終了をEメールで連絡

サービス運用手順(詳細)

るもい健康の駅住民 WNL 旭医大:眼科学講座

予約リストを確認

住民の各種データを閲覧眼底画像の撮影可否を判断眼底画像の撮影許可を

Eメールで連絡

住民の眼底画像及び各種データを閲覧

健康チェック

健康チェック結果をWNL

に登録

健康チェック終了をEメールで連絡

旭医大:医工連携講座

予約リストをEメールで連絡

住民の健康チェックをEメールで依頼

チェック内容確認(自宅PC又は健康の駅専用PCによりWNL上で確認)※翌週火曜日以降

予約リストのフォーマット、撮影許可のサイン方法等は別途検討

・「健康の駅アドバーザー」をWNLのアドバイザーとして登録(Key ID)

B.携帯電話やパソコン、インターネットのご利用について下記の質問にお答えください。2. インターネットをご利用されている機器を、以下よりすべてお選びください。(複数回答可)

15~59歳以下の年代層ではすべての年代で95%以上がインターネットに接続→(留萌市においても)インターネットを通じた情報伝達の有用性

0%

20%

40%

60%

80%

100%

何らかの機器で利用している

利用していない

携帯(スマホ含)

PC(自宅)PC(職場・学校)

ゲームその他

利用していない

33.3 32.2 18.6 4.2 11.7

表 インターネットを利用している機器(%) (N=4,158)

職場PC利用者をのぞくと、インターネット利用者割合は携帯:PC=1:1

研究インフラの整備:インターネット利用状況

研究インフラの整備:市立病院の協力

市立病院7番受付→採血センター→血液処理・保存

研究インフラの整備:よろず健康相談

一、毎週火曜日夜、各町内

会を巡回して行います。

一、コホートピアの取り組

みについて説明します。

一、健康相談や市立病院へ

の要望をお受けします。

一、市立病院脳神経外科受

診の予約受付もします。

一、気になる症状を聞き、

適切な科を紹介します。

研究インフラの整備:くるま座対話

年間60回の市民参加啓発事業を実施中

研究インフラの整備:イベントカレンダー

介護に関わる方を対象に老年医学の基礎を6か月12回にわたって学ぶ系統講義。

研究インフラの整備:基礎老年医学講座

北海道教育大釧路校北澤先生のグループが開発した運動。高齢者が自らリーダーとなって地域に働きかけるコミュニティーワークその指導者を養成する。

研究インフラの整備:ふまねっと

地域連携医療大学院プログラム

地域医療に従事しながら、臨床医学研究を行い、医学博士の学位取得を目指そう!

地域連携疫学コース 地域連携専門医コース

大学院教授公衆衛生学森 満 教授

地域医療

疫学研究

指導

留萌市立病院

生物統計学多田客員教授

指導

留萌市立病院

臨床教授笹川院長

大学院教授第4内科学加藤淳二教授

地域医療

臨床研究

指導

指導

・留萌市立病院に勤務しながら、社会人大学院生として臨床疫学を学ぶ。

・留萌市立病院に勤務しながら、大学院生として臨床専門医学を学ぶ。

院生院生

医学博士学位取得

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研究インフラの整備:人材育成事業

実施体制1)総合案内 るもい医療実習コンシェルジュがご案内2)宿泊と食事 市立病院学習センター3)移動 留萌までは、個々に来てもらう。是非JRで。

市内:市のマイクロバス、病院の送迎車利用4)費用 学習センター滞在と食費(朝食夕食)←病院?

留萌までの交通費←学生、大学医局、事業費プログラム(1週間コースが基本、他に3日、2週間コース)

移動

移動

•オリエンテーション•連携パス•生活習慣病•留萌の健康

•発表会•車座対話

於:健康の駅

於:健康の駅

於:介護事業

於:市立病院

於:市立病院

於:市立病院

於:市立病院 於:介護事業

於:介護事業於:市立病院

専門医実習

総合医実習

病院リハ

介護リハ

介護事業

包括

歓迎会 BBQ特別食

3日コース 1日目 3日目2日目

2週間コース 1-10日目 14日目11-13日目

1日目 3日目 4日目 5日目 6日目1週間コース 2日目

研究インフラの整備:人材育成事業

ちやほやしない!

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研究インフラの整備:人材育成事業

札幌医科大学 医学部 化学教室第1病理学講座公衆衛生学講座第4内科学講座神経精神医学講座

旭川医科大学 医学部 眼科学講座健康科学講座医工連携総研講座

北海道大学 大学院 医学研究科TR事業推進支援室医学研究科保健学研究院作業療法学教室水産科学院・生物資源化学・機能性物質化学

北海道教育大学 釧路校 生涯教育課程身体スポーツ文化研究室藤女子大学 人間生活学部 食物栄養学教室東京大学 公共政策大学院科学技術と公共政策研究ユニット

先端科学技術研究センター知的財産・社会技術研究室早稲田大学 理工学部 分散ユビキタスコンピューティング研究室

大学との連携

エビデンス(科学的根拠)に基づいた健康づくり

体質別の個別予防

健康の駅でやってます!

るもいコホートピアが目指すもの