情報通信技術を用いた持続可能な 生物資源の生産・利用システムの構築
DESCRIPTION
2008 年 4 月 9 日 農業農村工学会国際委員会 第 22 回 海外事情講演会. 情報通信技術を用いた持続可能な 生物資源の生産・利用システムの構築. 東京大学 東京大学大学院情報学環 (大学院農学生命科学研究科) 教授 溝口 勝. 地球規模課題の動向. 地球観測データの蓄積 気候変動や水循環変動等 出口研究の必要性 データ解析・統融合 有用な情報への変換 データ統合・解析システム 2006 年開始 農業分野における応用研究 リアルタイム土壌水分モニタリング. - PowerPoint PPT PresentationTRANSCRIPT
情報通信技術を用いた持続可能な生物資源の生産・利用システムの構
築
東京大学東京大学大学院情報学環
(大学院農学生命科学研究科)教授 溝口 勝
2008 年 4 月 9 日農業農村工学会国際委員会第 22 回 海外事情講演会
地球規模課題の動向
• 地球観測データの蓄積–気候変動や水循環変動等
• 出口研究の必要性–データ解析・統融合–有用な情報への変換
• データ統合・解析システム– 2006 年開始–農業分野における応用研究–リアルタイム土壌水分モニタリング
GEOSS Global Earth Observation System of Systems
• 複数の観測システムからなる包括的な地球観測システム–人工衛星観測および現場/地上観測を統合
• 技術開発主導から利用ニーズ主導のシステム–地球温暖化などの諸問題に対して持続可能な社
会の実現• 国際的に共通な利用ニーズ– 9 項目が公共的利益分野
災害 自然及び人為起源の災害による,人命及び財産の損失の軽減
健康 人間の健康と福祉に影響を与える環境要因の理解
エネルギー エネルギー資源管理の改善
気候 気候変動と変化の理解,評価,予測,軽減及び適応
水 水循環のより良い理解を通じた,水資源管理の向上
気象 気象情報,予報及び警報の向上
生態系 陸域,沿岸及び海洋生態系の管理及び保護の向上
農業 持続可能な農業及び砂漠化との闘いの支援
生物多様性 生物多様性の理解,監視,保全
GEOSS における公共的利益分野
DIAS Data Integration and Analysis System
• 国家基幹技術–第3期科学技術基本計画( 2006-2010 )–予算を集中投資する300億円以上のプロジェクト
• 「海洋地球観測探査システム」の基幹要素–地球規模観測や各地域での観測で得られるデータを
収集–永続的な蓄積,統合・解析 , 社会経済情報との融合–地球規模の環境問題や大規模自然災害等の脅威に対
する危機管理に有益な情報へ変換
DIAS 農• 農業分野における地球観測データの応用研究チーム(俗称)
• 東京大学/農業・食品産業技術総合研究機構/農業環境技術研究所+ α
• 農作物生産管理情報システムの開発– フィールドサーバによるリアルタイム観測– Metbroker 農業気象統合技術– 作物生育モデルとのリンク
7
DIAS農における全体目標• コアシステムで提供されるデータ群を効率的に統
合し農業分野で利用できるようにする
• 誰でも簡単に知ることができ,政策決定者の判断のよりどころになるシステムを実現する– 農業生産管理支援情報– 地球温暖化による食料生産への影響等
• 安全で安心かつ安定的で高品質な食糧供給を求める公共益に供する
個人農家
政策決定者
データ統合・解析システムによる農作物管理への適用
農作物に関係する多様な地球観測データ
農業情報の統融合ツールの提供
農水系研究機関と大学との共同研究
第 2 期 H13-H17
投入
第 1 期 H9-H12
増殖情報ベースによる生産支援システム開発のための基盤研究
データベース・モデル協調システムの開発
データ統合・解析システムの生態系分野の応用例
モデルによる気候予測データ
衛星観測による植生データ
地上観測による気温等の蓄積されたデータ
農作物の過去の作付け時期、施肥時期、生産量などの蓄積されたデータ
データ統合・解析システム
モデルとの結合
イネ生育モデル
土壌水分予測モデル
生態系モデル
・水稲冷害早期警戒システム(冷害の予測により冷害に強い種の作付け、時期等の提案)
・適地適作判定支援システム(気候変化に対応した地域に適した農作物の選択・提案)
国民の社会的ニーズへの対応
データ・モデル等を用いた統合・解析による科学的知見に基づいた情報
を提供↓
低コスト・高品質・安全な農林水産物の安定供給
いつ農薬を散布するかどのくらいの量を散布すればよいか
種まき日の決定移植日の決定
水分量管理最適な施肥時期
最適作付け日
予測情報図
X 年後のキャベツの作付け可能性
提供情報事例
将来の応用システム例
国際的な食料・環境問題の解決農地リアルタイム観測データ
多様な観測データ収集ツールの提供
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作付
け
収穫
画像算出被覆率の変動幅がキャベツの生育と関係してい
るのかも知れない!
成長が速い!土浦より1ヶ月早い収穫
同じ方式で全球レベルで栽培可能性を判定できる!(ただし、現時点では十分な水があるという条件付)
水利用可能性とのリンクが必要
2.2. 長期気象予測変動データ 長期気象予測変動データ MetBrokerMetBroker インタフェースの開発 インタフェースの開発
・ CMIP3/ AR4長期気象予測変動データのグリッド化のためのプログラム開発
→ 地上観測気象 DBと GPV短期気象予報 DBを時間軸上で統合した
→ 各種気象観測データ群をシームレスに統合できるようにする
溝口 勝(農学生命科学研究科)・二宮正士(農業・食品産業技術総合研究機構)・鳥谷均(農業環境技術研究所)
安全な農作物生産管理技術とトレーサビリティシステムの開発 ( H19 年度研究成果)
1.1. コアシステムにある地上気象観測データ群をメッシュ気象値化コアシステムにある地上気象観測データ群をメッシュ気象値化
・フィールドサーバおよび MetBrokerによる画像を含む地上気象観測データをコアシステムに構築
・データベース生成ツールとフィールドサーバ画像データ解析ツールを開発
→ データの統融合による農作物管理情報生成の基盤ができた
→ 高度データマイニングによる安全安心な農産物情報伝達ツールの開発につなげる
3.3. 広域土壌水分モニタリング・評価システムの拡張 広域土壌水分モニタリング・評価システムの拡張
・東北タイにおける広域土壌水分モニタリングサイトを拡張
・全天日射量と炭酸ガス濃度モニタリング機能を追加
→ 衛星による土壌水分バリデーションサイトの運用基盤ができた
→ 土壌水分の有効利用による適地適作検証用サイトとしても発展させる
コアシステコアシステムム地上観測データ群地上観測データ群
GPVGPV 予報データ群予報データ群MetBroker インタフェース
06/27 07/23 08/02
08/12 08/22 09/02
06/2706/27 07/2307/23 08/0208/02
08/1208/12 08/2208/22 09/0209/02
イネの湛水面積の変化
水稲適地適作検証ツール 地上観測と GPV の比較
画像データと数値データの統合利用ツール
土壌水分バリデーションサイト
4.4. グローバルスケール・ボトムアップアプローチ農業生産モデルの開発 グローバルスケール・ボトムアップアプローチ農業生産モデルの開発
・Web水稲適地適作検証ツールを開発
・多様な作物・品種の生育パラメータ推定を簡便化するツールを開発
→ 全球レベルでイネの適地適作予測が可能になった
→ 任意の作物・品種の栽培可能性をマップ表示できるようにする
フィールドサーバ
• フィールドに長期間設置して,環境の計測,動植物のモニタリング,農園の監視等を行う超分散モニタリングデバイス– Webサーバ– 複数のセンサ(土壌水分センサ)– ネットワークカメラ– 無線 LAN 通信モジュール– 超高輝度 LED照明など
• 相互に Wi-Fi 通信
農地情報モニタリングシステム
インターネット
東京大学内
ISDN 回線
管理用 PC
一般人 PC(インターネット接続)
嬬恋村
無線ブリッジ WZR-RS-G54HP
192.168.*.*
ISDN モデム兼ルータ
固定 IP
LANポート
無線 LANIEEE802.11b
データサーバ
モデル計算サーバ
インドネシア 東北タイ
データセンター
EDITORIANARONIAES
土壌水分センサー開発社( USA)
事例1-キャベツの生長モニタリングImages of cabbage growth obtained by a web-camera of Field
Server
7/16
7/8
6/30
7/16
7/8
6/30
農地情報観測データと土壌・植生モデルのリンク(群馬県嬬恋村キャベツ畑)
680
700
720
740
760
780
7/ 4 7/ 9 7/ 14 7/ 19 7/ 24DATE
Soil W
ater (
mV)
0
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2
3
4
5
6
Rain
(mm/
h)
Soil waterRain (mm/ h)
収穫前 (6/23)
収穫 (7/18)
二期作準備 (7/24) 苗の植付 (7/26) 夏秋キャベツ生育中 (7/26)
Monitoring data
• Meteorological data – air temperature– humidity– radiation– wind speed– Precipitation
• Soil data at 4, 8, 16, 32 cm – soil moisture content– ground temperature– electrical conductivity
• Image data of the site
土壌情報モニタリングシステム
RS232C
Em50
Soil moisture sensors
Meshnet router
AIT
OpenVPN
DWL-2100AP
WiFi for community
MicroClient JR(FSAB)
DSL-520T
ADSL Internet
PacketiX
UT
MeshNet
FS02FS11
DWL-2100AP
WDS
Data storage (AIT – NARO – UT)Real-time monitoring data sent from a rain-fed field
Meteorological data are obtained as a xml-table and graphs
Fukatsu, et.al
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
3/1 4/1 5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1
3/1か
らの
積算降雨量
(mm
) 2007 2008
-300
-250
-200
-150
-100
-50
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50
1/1 2/1 3/1 4/1 5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1
水田
の水位
(cm
)
20072008
水田の水位と降雨量の特徴およびフィールドサーバによる水田モニタリング( 2007 年と 2008 年の比較;農業環境技術研究所;未発表)
2007/7/1
2008/7/1
年変動に順応した現地の農作業
コンケン調査圃場における, 2007,2008 年の水稲作付状況の推移(農業環境技術研究所;未発表)
0
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100
150
200
250
6/ 01 6/ 16 7/ 01 7/ 16 7/ 31 8/ 15 8/ 30 9/ 14日付
水田筆
数 (2007)直播(2007)移植(2008)直播(2008)移植
コンケン郊外の調査圃場の概要全 240筆,約 10 日毎に調査
調査項目:水稲作付タイプ(移植,直播,苗床,放棄地)
湛水状況(全湛水,部分湛水,無湛水)
事例3ー食の安全モニタリング事例3ー食の安全モニタリング
• 輸入野菜の生育・加工の現場と流通過程をモニタリングする手法の検討
→ 国民に安全な輸入農産物を提供するプロトタイプモデル開発基盤
• http://www.cooplife.jp/horenso/
安全な輸入農産物に関する情報利用実験
モニタリングセンサー(タイほうれん草
畑)
情報発見・統合ツール
ディスプレイ(東大農学部食堂)
生産者と消費者がデータを共有
Food communication
5%
95%
ThailandDon't know
28%
72%
Before (Nov.5, 2008) After (Dec.8-11, 2008)
利用者の認知度が向上
東大生協食堂のほうれん草は100% タイ産
コンテンツの制作と実証実験(溝口研)
農業 ICT-農学 / 農業分野における新たな情報利用の可能性を探る
• 問題意識–地球規模の食料問題の解決–食の安全・安心の確保–農地の適切な管理システム→ 農業に対する正しい理解
• 目標–インターネットを始めとする ICT 技術を積極
的に農学 / 農業分野に導入することにより、世界の食料生産、地球環境保全、日本農業に貢献する
JST-JICA:その無謀な挑戦• 2008 年 5 月ーチャレンジ
– 課題:農業による気候変動への適応と生態系の保全– 領域:気候変動の適応又は緩和に資する研究– 母体:東京大学 農学国際専攻 (代表:黒倉)– 結果:不採択
• 2008 年 11 月ーリベンジ– 課題:情報通信技術を用いた持続可能な生物資源の生産・
利用システムの構築– 領域:生物資源の持続可能な利用に資する研究– 母体:東京大学 情報学環 (代表:溝口)– 結果:不採択
JST-JICA ( 11 月)の要点
• 環境・エネルギー2【領域特定型】–生物資源の持続可能な利用に資する研究
• 提案課題名–情報通信技術を用いた持続可能な生物資源の
生産・利用システムの構築• 国内参画機関–東京大学、農業環境技術研究所、農業・食品
産業技術総合研究機構• 相手国名 ベトナム–南部水資源計画研究所
概要• 目的– 気候変動の適応策の立案に資するために、情報通信
技術を用いて現地の生態系サービスをモニタリングするシステムを構築し、持続可能な生物資源の生産・利用の方法を提案する。
• 概要– ICT (情報通信技術)を用いて農業気象・土壌状態・
農業用排水路の水質等、農林水産業に関わる生態系サービスの現状を現地モニタリングするシステムを構築する。それらのデータに基づいて、生態系サービスの気候変動への脆弱性・適応性を定量的に評価し、土地利用計画、水利・防災、農家経営、農林水産技術等、アジアモンスーン地域における持続可能な生物資源の生産・利用の普及方策を提案する。
審査結果-不採択:ほとんど門前払い
• 理由( JST からの公文書)– 生態系サービスの気候変動に対する脆弱性 適応性を定量的・
に評価することは、実用的観点からも興味深いご提案です .しかしながら、極めてローカルなフィールドサーバーからのデータを、どのように生態系サービスの脆弱性 適応性評価・まで結びつけるのかについての具体的な記述が無く、研究の出口が不明瞭です。更に、どのようなモデルや評価システムを活用するのかについての説明が不足しており、サブテーマを全体目標に沿ってどのように総合化するのかが見えません。以上により、残念ながら不採択とさせていただきました。
• 敗因分析– 準備不足
• 綿密な計画• 相手国との事前交渉不足• いかに相手国研究機関から挙げさせるか!
– テーマの絞込み不足• 総花的ではいけない!
NN 分野の宿命的な悩み1. 今回応募した分野• 主分野 0302 環境 ( 地域環境 )• 副分野 0210 情報通信 (センサ )• 0304 環境 ( 循環型社会システム )• 0723 社会基盤 (広域地域研究 )
2. 今回選択した提案内容に関するキーワード• 025 農林水産物• 074 モニタリング(リモートセンシング以外)• 076 気候変動• 090 環境調和型農林水産• 237 地球観測
どの分野で応募すべきか? JST の分野区分の問題
農業農村工学系が出し易い分野は何か? 科学技術政策にいかに絡むか代表をどのように送り込むか