光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

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光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析. 20130308 関 元秀,高田壮則 北大(院)地球 環境. ;構成コスト ;最大光合成速度 ;初期呼吸速度 ;葉寿命限界 ;光合成 好適 期間長. 展 落葉戦略. 葉寿命 (事故がないときの)葉の活動期間 《 葉寿命 》 = 《 ある 葉の 落葉日 》 - 《 その 葉 の 展 葉日 》 平均葉寿命は一般に 個 葉を構成する際に必要な炭素消費量 と、正 の相関 最大光合成速度 と、負 の 相関 インターバル - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

光合成不適期間の効果を組み込んだ最適葉寿命モデルの数理解析20130308関 元秀,高田壮則北大(院)地球環境

Page 2: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

展落葉戦略• 葉寿命

◦ (事故がないときの)葉の活動期間◦ 《葉寿命》=《ある葉の落葉日》-《その葉の展葉日》

• 平均葉寿命は一般に◦ 個葉を構成する際に必要な炭素消費量と、正の相関◦ 最大光合成速度と、負の相関

• インターバル◦ 《インターバル》=《次の葉の展葉日》-《前の葉の落葉日》

• 落葉樹:個木単位で、少なくとも晩秋と春先の間にインターバル• 常緑樹:個木単位では、明確なインターバルが見えない

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 3: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

種間分散Leaf Longevity 短い例 長い例

広葉樹落葉 90.9 日

Alnus sieboldianaオオバヤシャブシ330日

Bulnesia arboreaユソウボク a

常緑37.2日

Heliocarpusappendiculatusシナノキ科

1850 日Camellia Japonicaヤブツバキ

針葉樹 6ヶ月Larix deciduaヨーロッパカラマ

ツ40 年以上

Pinus longaevaマツ属

主に菊沢( 2005 )により作成a: Wright et al. (2004)

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 4: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

緯度等に沿った分散• ;年ごとの光合成好適期間の長さ◦ 過度に低温でない期間(5℃~)&◦ 過度に乾燥していない期間

• 平均葉寿命は、 と関連◦ 常緑樹:負の相関( Xiao, 2003 )◦ 落葉樹:正の相関( Kikuzawa et al., 2013 )

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 5: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

ヒサカキ( Eurya japonica )温帯・常緑・年複数回展葉• Nitta & Ohsawa (1997)◦ 千葉・清澄山での調査• 光合成不適期間が存在()

◦ 葉寿命:2~3年( Cf :牛原, 2007 )• 常緑

◦ 展葉期が年3回• 冬以外

𝑠19947 10

19954 7 10

1996

展葉 展葉 展葉 展葉 展葉 展葉

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 6: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

炭素収支の観点からの最適葉寿命モデル• 【前提】各個葉は、個木の炭素同化物収支を最大化しているはず• 葉寿命を、個木収支を最大化するための植物の戦略として取り扱う◦ 個葉の炭素収入力(光合成性能)は経時劣化• 新しい葉ほど良い

◦ 個木は、個葉の構成・保持のために炭素を支出• 新しい葉に代えるタイミングが重要

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 7: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

本研究• Kikuzawaの最適葉寿命モデルの、一般のについての解析手法を開発した

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Kikuzawa (1991) 本研究モデル設定 Kikuzawa (1991)

目的関数 個木の炭素収支代替指標 第葉の操業効率 第葉~第葉の効率()個木の戦略 葉寿命 ・葉寿命

・インターバル決定戦略適用可能環境重要な結果 最適葉寿命は、

葉が生産性を完全喪失する齢よりもずっと早い

「ヒサカキ型」複数回展葉も説明する葉の生活史総合モデルへと発展した

Page 8: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

モデル個体設定• 「理想木本」◦ 既に成木で、成長せず、永遠に生き続ける◦ 同時につけておける個葉の最大数は1枚• 《つけている》/《いない》の2状態

◦ 展開する個葉の潜在的性能は、何枚目の葉であっても同じ◦ 【戦略】葉寿命と、インターバル決定戦略• 全ての葉が寿命

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 9: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

モデル瞬間炭素収支• 個木が、時刻で葉齢の個葉をつけている場合

◦ 瞬間収支率:• ;潜在的光合成性能• ;個葉維持に必要な支出

• ;限界葉寿命• ;戦略的葉寿命( )

• ;環境状態(好適/不適)• ;各光合成好適期の長さ

𝑏 𝑡𝑖

𝑎

𝑜

𝑓𝑠

1

𝑜 1(1+ 𝑓 )2

(2+ 𝑓 )

𝜃 (𝑠 )

𝑚

3(3+ 𝑓 )

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 10: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

モデル目的関数• 第葉の生涯純生産量:展葉時刻と葉寿命の関数

◦ • ;【戦略】個木が従うインターバル決定ルール• ;《葉齢》=《現在時刻》-《展葉時刻》

• 【目的関数】;ある充分大きな時刻での、個木の収支

• ;戦略に従う個木が時刻までに展落葉させる個葉の枚数◦ は《個木の長期的平均操業効率》に比例

• 単位時間あたりの収支増分( Kikuzawa, 1991)

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 11: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

非季節性環境:(熱帯湿潤地域)• どの時刻に展開した葉も、稼ぎは同じ◦ インターバルを置くことに意味はない• 即時交換ルールが最高効率

◦ 第葉の落葉直後に、第葉を展開

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 12: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

非季節性環境:最適葉寿命()• どの時刻に展開した葉も、稼ぎは同じ◦ 任意の一枚に注目し、操業効率を最大化• 第葉(存在期間:時刻~時刻)

◦ 収支:• 《操業効率》=《単位時間あたりの収支増分》

一般に葉寿命が長いのは• 個葉構成コストの大きい葉• 最大光合成速度の小さい葉

Kikuzawa(1991)の指標Kikuzawa(1991)の

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 13: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

2季節性環境: 環境との相違• どの時刻に展開した葉も、稼ぎは同じとは言えない◦ 《好適期間内に展開した葉の稼ぎ》

∨《不適期間近辺に展開した葉の稼ぎ》◦ 最も生産性の高い歳頃に、光合成ができない

◦ 適切なインターバルを置けば、収支が大きくなる

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 14: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

2季節性環境: インターバル決定戦略• 3つの簡潔なルールを取り上げる1. :即時交換ルール( Immediate replacement )

• 既存の葉を落としたら、直後に次の葉を展開2. :春先開葉ルール( Spring flushing )• 既存の葉を落としたら、次の整数時刻(=春先)に次の葉を展開3. :複合展葉ルール( Combined foliation )• 既存の葉を落としたのが

◦ 光合成好適期間内なら、直後に次の葉を展開◦ 光合成不適期間内なら、次の春先に次の葉を展開

• 各戦略について、その下でを最大化する葉寿命を求める

必ず常緑落葉 or 常緑

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 15: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

2季節性環境: 解析方針• どの時刻に展開した葉も、稼ぎは同じとは言えない

◦ 稼ぎと期間が同じになるような、枚ごとのグループ分けができれば、その後の手順は同じ• グループ1:第葉~第葉

◦ 存在期間:時刻~時刻◦ 稼ぎ:

• グループ2:第葉~第葉◦ 存在期間:時刻~時刻◦ 稼ぎ:

• グループ3:第葉~第葉◦ …

• 《操業効率》=《単位時間あたりの収支増分》

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 16: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

最適化作業例• 即時交換ルールの場合◦ では

• 最適葉寿命は、、、1 2 3 4 5

5

10

15

𝛾 (𝜑I ,𝜏 )

𝜏

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 17: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

1. 即時交換ルール最適葉寿命()• の形になることが多かった

• ;整数• ;比較的小さな整数

◦ :葉の付け替えを春先に行う「ユズリハ型」• はに最も「近い」整数 常緑樹の葉寿命が長いのは

• 個葉構成コストの大きい葉• 最大光合成速度の小さい葉• 光合成好適期が短い環境

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0f

1

1

2

3

4

5𝜏 I∗ どの葉寿命でも

赤字𝑓高緯度 低緯度

常緑Cf.

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 18: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

2. 春先開葉ルール最適葉寿命()• 必ず(または)の形になる

• ;整数◦ 晩秋に落葉する生活史◦ さらに• なら落葉樹• なら常緑樹

落葉樹の葉寿命が長いのは• 光合成好適期が長い環境

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0f

1

1

2

3

4

5𝜏S∗ どの葉寿命でも

赤字

落葉 常緑

𝑓𝜏S∗=1

高緯度 低緯度

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 19: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

3. 複合展葉ルール最適葉寿命()• の形になることが多かった

• ;整数• ;比較的小さな整数

◦ :と全く同じ(晩秋落葉、春先展葉)◦ :「ヒサカキ型」

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0f

1

1

2

3

4

5𝜏C∗ どの葉寿命でも

赤字

落葉 常緑

𝑓高緯度 低緯度

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 20: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

:「ヒサカキ型」年回展葉◦ 標本存在地点(清澄山)の推定◦ を選ぶと、、、()

𝜏𝜏𝜏𝜏𝜏

𝜏𝜏𝜏𝜏

𝜏𝜏𝜏

𝑜 1 2 3 𝑠4 5 6 7 8 9 10 11

春 秋 夏

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長

Page 21: 光合成不適期間の効果を 組み込んだ 最適 葉寿命モデルの数理解析

まとめ• 2季節性環境で最適葉寿命を求める方法を開発• 葉寿命を最適化(個木炭素収支を最大化)すると、、、

◦ 即時交換• 葉の付け替えを春先に行う「ユズリハ型」になりやすい• 常緑樹葉寿命の、との負の相関

◦ 春先開葉• 晩秋に落葉する生活史になる• 落葉樹葉寿命の、との正の相関

◦ 複合展葉• 晩秋落葉・春先開葉になりやすい• が大きい環境では「ヒサカキ型」になることがある

• 発展研究◦ 個木間の光等を巡る資源競争の導入(ESSモデル)◦ 1年の中で、性能の異なる葉を展開する戦略も含むモデリング

;構成コスト;最大光合成速度;初期呼吸速度;葉寿命限界;光合成好適期間長