小水力発電による地域活性化スキーム (a scheme for regional revitalization with small...

18
高知工科大学 地域連携機構 菊池 豊 2015.10.31 1 高知工科大学 菊池豊

Upload: yutaka-kikuchi

Post on 16-Apr-2017

378 views

Category:

Small Business & Entrepreneurship


4 download

TRANSCRIPT

高知工科大学  地域連携機構  菊池  豊

2015.10.31 1高知工科大学  菊池豊

背景と本日の御題 � 背景  

� 地域の特性を活かして活性化をしたいよね  � 再生可能エネルギーって地域資源だよね  � 地域の自立・自律に使えるのでは  

� 御題  � 固定価格買取制度  (FIT)  の概要  � 小水力発電を選ぶ理由  � 高知での取り組み  � 課題  

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 2

再生可能エネで地域も再生

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 4

� 原料が自然  � 太陽光、風力、水力、地熱、木質バイオマス  

� 自然が多いのは田舎のはず  � 田舎の資源を現金化できるかも  

� 地域の自立・自律へ資することができるかも  

水力発電所とは(水路式)

2013.07.24 高知工科大学  菊池豊 7

圧力鉄管

発電所

放水口

導水路

取水堰堤

ヘッドタンク

 固定価格買取制度  (FIT)

� 再生可能エネを推進する法律ができた  � 正確な法律名は長いぞ  

�  電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法  

� 再生可能エネの発電すると必ず売ることが出来る(原則)  � 必要な費用が賄えるだけの価格と期間で売れる  

� 若い制度  �  2011.03.11  閣議決定  �  2011.08.26  特措法成立  �  2012.07.01  特措法施行  �  2015.06.30  プレミアム期間終了

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 10

FITの買取価格と買取期間

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 11

FITは地域に向いている

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 12

� あとから御褒美がついて来る  � 地域資源をどうするかを考えて  � 発電事業を興して  � ちゃんと発電できれば  � 現金収入がある  

� 地域がリスクをとって自らの責任で運営すると果実が来る  �  v.s.  補助金  

� 最初にお金が来る  � 後年度の評価が甘い、責任の所在が曖昧  � 地域が甦るどころか悪い癖がつく  

地域コミュニティに向いているのはどれ?

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 25

なぜ小水力発電なのか � 地域コミュニティとの親和性  � 規模感が適正  

� 木質バイオマスや地熱は規模が大きすぎる  �  もう少し小さい規模で出来ても良い  

� 土地に根ざしている  � 太陽光や風力は土地との関係性が薄い  

� 地域ベクトルがないと作り難い  � 太陽光、風力は外からやってきていきなりできる  

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 32

高知での取り組み �  (2010年度  高知県  みどりの分権改革推進事業)  �  2011.03  高知小水力利用推進協議会設立  

� 任意団体  � 毎月学習会と現地視察会  

�  2012.08  地域小水力発電株式会社設立  � ワンストップサービス  

�  可能性調査、合意形成、許認可支援  �  基本設計、実施設計、施工管理  �  運転支援、活用支援、地域間連携、世代交代支援  

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 33

地方公共団体の発電事業の  設立支援・運用サポート

2015.07.31 地域小水力発電株式会社 34

地方公共団体  (特別会計)

協力

地域  還元

電力事業者

売電

売上

地域住民

地域小水力発電

設立・運用支援   委託費  

地域主体の発電事業会社の  設立支援・運用サポート

2015.07.31 地域小水力発電株式会社 36

発電事業会社

市民ファンド

住民

自治会等出資

配当

電力事業者

売電

売上

銀行、JA住民

山の涵養  河川環境改善  地域還元

利潤の活用 地域再生

地域小水力発電

支援  出資

委託費  配当

地域の資源を現金化する

川や山の涵養にお金を使う

季節や天候の変化でも水量が安定する

施設利用率が上がる

砂防堰堤

農業用水路

小水力発電で地域を再生する

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 37

課題 � 小水力発電所構築ノウハウのミッシングリンク  

� 小さいのはここ半世紀ほどほぼ作られてない  � 規制・基準がオーバスペック  

� 中大水力・電力事業者を基礎にしている  � 地域コミュニティによる資金調達  

�  リスクマネー  �  可能性調査、基本計画、許認可手続きに必要  

� 事業資金(自己資金で足りない分をどうするか)  �  シニアローン、メザニン、ファンド、寄付等で集める  

� 小さな小水力発電所の採算性アップ  

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 39

採算のあう設備はデカい

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 40

22

4. 中小水力

� 固定価格買取制度の開始により、従来は採算性の観点から開発を見送って

いた案件の見直しや、中小水力発電の開発に向けた地域での協議会の設立

など、開発に向けた動きが活発化している。さらに、固定価格買取制度の

開始を受け、老朽化した小水力発電設備を改修して、事業の継続を検討す

る事業者が増加している。

� なお、平成 26年 4月 1日から、既設導水路活用中小水力の調達価格(200kW

未満:25円/kWh、200-1,000kW未満:21円/kWh、1,000-30,000kW未満:14

円/kWh(全て税抜))を別途設けているが、開発まで一定の期間を要するた

め、現時点では、既存導水路活用中小水力の認定を受けた設備のコストデ

ータは収集されていないことから、この区分については、もうしばらく状

況を見極めるべく、平成 26年度の想定値を据え置くこととした。

(1) 200kW未満

① 資本費

� 制度開始以降得られた資本費のコストデータは 52 件。その平均値は 252

万円/kW、中央値は 151万円/kWであり、平成 26年度の想定値(100万円/kW)

を上回っている。このうち、民間事業者が設置した案件のコストデータを

みると、その平均値は 131万円/kW、中央値は 122万円/kWとなり、平成 26

年度の想定値に近づく(参考 21)。

【参考 21】中小水力発電(200kW未満)の出力と資本費の関係

� 法律では、「供給が『効率的に』実施される場合に通常要すると認められる

費用」を基礎とするよう規定されていることを踏まえ、もうしばらく状況

を見極めるべく、平成 26年度の想定値を据え置くこととした。

② 運転維持費

� 制度開始以降得られた運転維持費のコストデータは 41 件。その平均値は

4.0万円/kW/年、中央値は 2.1万円/kW/年であり、平成 26年度の想定値(7.5

万円/kW/年)を下回っている。

0100200300400500600700800900

1,0001,1001,2001,3001,400

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200出力[kW]

民間事業者 公共機関

資本

費[万円/kW]

平成26年度の調達価格の前提(資本費100万円/kW)

出典:経産省ホームページ  平成27年度調達価格及び調達期間に関する意見

杓子定規に採算性で考えると � 採算性のあう発電所とは…  

� 渓流取水、199kW、設備利用率70%  �  34円/kWh  として年間売上約4000万円  � 作るのにざっくり  300万円/kW  として3億円  � 売電契約20年として、3億円で作ったらオケ!  

� 地縁団体・地域住民に向かってこう言うことになる  �  「3億円、用意してください」  �  「リスクは必ずしも100%ヘッジできるわけではありません」  

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 41

採算性を上げる方法 � パッケージ化  ←  オーダメード問題  

� 工事全体に占める土木工事成分が大きい  � 水車発電機は落差と流量ごとに作成が主流  

� 系統連系問題  � 逆潮流あり(売電あり)の低圧連系は原則パワコン  

�  太陽光のパワコンは流用困難(耐久性、商流)  �  パワコンなしで誘導発電機からの連系を  

� 制度の緩和  � 系統連系ガイドラインの改定  

�  各種保護装置(独立運転防止装置)の進化の反映を

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 43

まとめ �  FIT  の考え方と制度  �  FIT  は地域の資源を地域に還元するツールとして使える  � 小水力発電と地域再生  � 発電の利潤を地域に戻す方法� 解決すべき課題  

2015.10.31 高知工科大学  菊池豊 44