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1 Copyright © 2018 Bridge For Smile All Rights Reserved. 全国児童養護施設調査 2018 社会的自立と支援に関する調査 NPO 法人ブリッジフォースマイル 調査チーム 2018 11

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全国児童養護施設調査 2018

社会的自立と支援に関する調査

NPO 法人ブリッジフォースマイル

調査チーム

2018 年 11 月

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全国児童養護施設調査 2018 –社会的自立と支援に関する調査–

【調査要旨】

I. 調査の目的

ブリッジフォースマイル(以下、B4S)は、全国の児童養護施設を退所した人の進学や就労

の状況、施設の自立支援の現状などを把握し、自立に向けた支援の課題を明らかにすることを

目的として、本調査を実施しました。

II. 調査方法

2018 年 6 月から 2018 年 8 月までの間に、全国の児童養護施設(620 カ所)の職員に対し、

アンケート調査を実施しました。児童養護施設に郵送にて依頼状と調査票を送付し、①送付し

た回答票に記載して FAX にて返信 ②依頼状に記載した QR コードから回答専用の Web サイ

トにアクセスし回答を送信 のいずれかの自由選択としました。

当初、回答の締切を 7 月 4 日としましたが、7 月 24 日まで延長し、全国の児童養護施設に

対し電子メールで再度調査へのご協力を依頼しました。

返送されたアンケートのうち、回答が不確かなもので問い合わせ先が明記されたものは、

2018 年 8 月までの間に回答者に対する電話調査を実施し、得た回答に応じて修正を行いまし

た。

III. 調査内容

当該施設における 2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの高校卒業後の各退所者について、退

所年、退所直後の状況(進学・就職など)、途中経過、2018 年 6 月現在の状況、現在の住まい、

利用した支援制度(利用中のものを含む)を調査しました。

また、施設職員が自立支援、退所後支援を行っていく上で、ボトルネックとなっているもの

について調査しました。さらに、自由記載欄を設け自立支援、退所後支援について、取り組ん

でいること、困っていることなどの記載を依頼しました。

なお、調査票は本報告書の巻末に掲載しています。

IV. 結果

■ 回答状況

アンケートを配布した 620 施設のうち、FAX での回答が 149 件、Web サイトでの回答が 34

件と、計 183 件の回答がありましたが、うち 3 件は同施設からの重複回答であったため、回

答施設数は 180 件(回答率 29.0%)としました。

また、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの退所者データ 2412 件のうち、電話調査によって

もデータ不備の修正ができなかった 13 件を除外し、2399 件を有効回答退所者数としました。

■ 主な調査結果

・2018 年の施設退所者 501 人の退所直後進路は、就職 317 人(63.3%)、進学 151 人

(30.1%)、無職 8 人(1.6%)、その他 25 人(5.0%)でした。退所者の 2014 年~2017 年

の進学率は 25%前後でしたが、2018 年は 30%を超えました。

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・2014 年退所者では 68.8%が現在何らかの職についている一方で、9.8%は現在の状況を施

設が把握できなくなっていました。

・退所直後に進学した人 625 人のうち、中退者数は 103 名(16.5%)でした。進学後 1 年 3

ヵ月が経過した時点で 13.6%が中退し、4 年 3 ヵ月が経過した時点で 27.1%が中退してい

ました。また、学校を卒業した人で現状無職である割合は 4.3%であり、学校を中退した

人で現状無職である割合は 13.6%でした。

・退所直後に就職した人のうち、就職後 3 ヵ月が経過した 2018 年退所者の 7.6%が離職して

いました。就職後 3 年 3 ヵ月が経過した 2015 年退所者の離職率は 44.7%でした。また、

就職 1 社目を離職した人で現状無職である割合は 17.7%でした。

・退所直後に無職だった人のうち、現状就労中である割合は 50.0%でした。

・2018 年の退所直後に進学した人の住まいは、一人暮らしが 68 人(46.3%)、学生寮が 33

人(22.4%)、福祉施設・自立援助ホームが 18 人(12.2%)、親兄弟宅が 15 人(10.2%)

でした。退所直後に就職した人の住まいは、退所直後は社員寮が 38.6%と最も高いもの

の、退所から年を経るごとに一人暮らしの割合が増えていく傾向にありました。

・支援制度のうち、「措置延長」は全退所者の 13.9%、「自立支援資金貸付」は全退所者の

11.4%が利用していました。「自立支援資金貸付」は 2017 年以降、「措置延長」は 2016 年

以降、利用割合が増加していました。いずれの制度も利用していない退所者の割合は減少

していました。

・退所後支援のボトルネックとなっているのは「職員の数や時間」と回答した施設職員が最

も多く 58.3%でした。次いで「行政の取り組み体制や予算が不十分」が 47.2%、「知的障

害、発達障害、精神障害など、自立において困難さを抱えた児童に専門性を持った支援

者、支援機関が不十分」が 40.6%でした。

V. 考察

施設退所者の進学率が 30.1%まで上昇したのは、厚生労働省による貸付制度、文部科学省

による給付型奨学金制度の拡充のほか、民間の奨学金制度の充実が影響したものと考えられ

ます。一方で、進学先の大学等からの中退率は 16.5%で、一般進学者の中退率 2.7%と比較し

て大きな差がありました。中退後の無職率 13.6%、現況不明率 25.2%の高さから、中退後に

こそ丁寧な支援が欠かせません。

高卒で就労した退所者の離職率は、一般のそれと大きな差はありませんが、自ら生活するた

めに働き続けなければならない施設退所者の場合、無職の期間はそれほど長くないと想像し

ますと、アルバイトや友達の紹介で安易に見つかる仕事など、キャリア形成につながらない仕

事に就くことが多いと考えられます。

住まいについては、進学者においては、福祉施設(措置延長)/自立援助ホームが増加して

おり、制度が緩和されたことが住まいの選択肢を増やしていることが窺えます。就労者におい

て社員寮は、高い離職率を考えると仕事と住まいを分離させて退所後のリスクを分散させる

べきだと考えます。

いずれの制度も利用していない退所者は 2014 年の退所者の 59.2%から、2018 年の退所者で

は 42.5%と減少しています。いずれの制度も利用していない進学者は 4.6%で、制度が進路選

択の幅を広げています。

自立支援、退所後支援の難しさについて、91.6%の職員が「支援を行う職員の数、時間を確

保することが困難」と回答しました(「あてはまる」(58.3%)と「ややあてはまる」(33.3%)

の合計)。自由記述からも、現場が直面する苦しさが窺えます。

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目次

全国児童養護施設調査 2018 –社会的自立と支援に関する調査– 【調査要旨】 .......................2

1. 施設退所者の進路 ....................................................................................................................5

1.1. 退所直後の進路 ................................................................................................................... 5

1.2. 施設退所者と全高校卒業者との比較 ................................................................................ 6

1.3. 地域ごとの退所者の進路状況 ............................................................................................ 6

2. 施設退所者の現況 ....................................................................................................................8

2.1. 退所者の 2018 年 6 月現在の状況 ...................................................................................... 8

2.2. 施設が現況を把握できていない退所者 ............................................................................. 8

3. 進路別の状況 .......................................................................................................................... 10

3.1. 進学した施設退所者の状況 .............................................................................................. 10

3.1.1. 中退の状況 ......................................................................................................... 10

3.1.2. 中退後の状況 ..................................................................................................... 11

3.2. 就職した施設退所者の状況 .............................................................................................. 12

3.2.1. 2018 年 6 月現在の状況 ..................................................................................... 12

3.2.2. 1 社目の就職先の離職状況 ................................................................................ 13

3.2.3. 1 社目の離職後の状況 ........................................................................................ 13

3.3. 退所時に無職だった施設退所者の状況 ........................................................................... 14

3.4. 退所者の 4 年間の動き ...................................................................................................... 15

4. 退所後の住まいの状況 .......................................................................................................... 16

4.1. 学生の住まいの状況.......................................................................................................... 16

4.2. 就業者の住まいの状況 ...................................................................................................... 17

5. 退所後の支援制度の利用状況 ............................................................................................... 18

5.1. 支援制度の利用状況.......................................................................................................... 18

5.2. 退所年別の支援制度の利用状況 ...................................................................................... 20

5.2.1. 退所者全体の支援制度の利用状況 ..................................................................... 20

5.2.2. 進学した退所者の支援制度の利用状況 .............................................................. 21

5.2.3. 「措置延長」と「自立支援資金貸付」の進路別の利用状況 .............................. 22

5.3. 退所後の支援制度に関する現場職員の声 ....................................................................... 23

6. 自立支援、退所後支援における難しさ ............................................................................... 24

6.1. 自立支援、退所後支援におけるボトルネック ............................................................... 24

6.2. 自立支援、退所後支援に関する現場職員の声 ............................................................... 26

7. 考察.......................................................................................................................................... 28

8. 謝辞.......................................................................................................................................... 29

9. 参考資料 .................................................................................................................................. 30

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1. 施設退所者の進路

1.1. 退所直後の進路

図表 1-1 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所した人が、退所直後にどの

ような状況にあるかを、退所年ごとに示したものです。

施設職員の方から回答を得た 180 施設のうち、2018 年の退所者(2018 年 3 月に高校等を卒

業して施設を退所した人)は 501 人でした。退所者数は 2014 年の 449 人から年々増加し、

2018 年と 2014 年を比較すると 52 人(11.6%)増加していました。厚生労働省の調査結果1に

おいても、全高校卒業者数はほとんど増加していない一方で、施設入所及び里親委託の卒業生

の数は微増の傾向にあります。

2018 年退所者 501 人の進路の内訳は、就職 317 人(63.3%)、進学 151 人(30.1%)、

無職 8 人(1.6%)、その他 25 人(5.0%)でした。過去 5 年間の就職率は例年 60%台後半でし

たが、2018 年は 63.3%となり、前年比で 5.5 パーセントポイント減少しました。進学率は、

2014 年の退所者と比較すると、2018 年は 3.8 パーセントポイント増加していました。

図表 1-1 退所直後の進路

1 厚生労働省 (平成 29 年) 社会的養護の現状について. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000187952.pdf (2018 年 11 月 3 日アクセス)

主な調査結果

2018 年の施設退所者 501 人のうち、退所直後の進路は、就職 317 人(63.3%)、進学

151 人(30.1%)、無職 8 人(1.6%)、その他 25 人(5.0%)でした。

全国の高校卒業者の進学率(現役 74.1.%)と施設退所者の進学率(30.1%)を比較す

ると、施設退所者は進学率が低く、就職が多く(全高卒者は 18.3%)なっています。

退所者の 2014 年~2017 年の進学率は 25%前後でしたが、2018 年は 30%を超えまし

た。

地域ごとに進学率は異なっていました。

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1.2. 施設退所者と全高校卒業者との比較

図表 1-2 は、2015 年 3 月と 2018 年 3 月に施設を退所した人の退所直後の状況と、2018 年

3 月の高等学校(全日制・定時制)の全卒業者の卒業後の状況を比較したものです。

文部科学省が行った調査2によると、2018 年 3 月の高等学校(全日制・定時制)の全卒業者

(約 107 万人)の進路内訳は、現役進学(大学・短大・専門学校含む)70.8%、就職(一時的

な仕事含む)18.3%、無職 5.0%、不明 6.0%でした。これを本調査と比較すると、本調査にお

ける施設退所者の進学率(30.1%)は全高等学校卒業者よりも 40.7 パーセントポイント低く、

依然として大きな進学率の差がありました。一方、就職している施設退所者は、全高等学校卒

業者の約 3.5 倍になっていました。

施設退所者の進学率は、全高等学校卒業者の進学率と比較すると低いですが、2015 年と 2018

年の比較では、23.7%から 30.1%へと増加していました。

図表 1-2 2015 年、2018 年施設退所者と全高等学校卒業者との比較

1.3. 地域ごとの退所者の進路状況

図表 1-3 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所した人の退所直後の状況

を、退所年ごと・地域ごとに分けて示したものです。

地域ごとに、退所者の進路状況には差がみられ、関東地域と中部地域では進学を選択する退

所者の割合が比較的多くなっていました。なお、北海道東北地域、中国地域、四国地域では、

年ごとの割合が大きく変動していましたが、これは他の地域と比較し回答が得られた退所者

の絶対数が少ないためと考えられます。

2 文部科学省(2018)平成 30 年度学校基本調査について. http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1407849.htm(2018 年 11 月 5 日

アクセス)

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図表 1-3 地域ごとの退所者の進路状況

2014 2015 2016 2017 2018 2014 2015 2016 2017 2018 2014 2015 2016 2017 2018 2014 2015 2016 2017 2018その他 3 1 0 0 1 1 7 8 2 10 3 5 0 4 1 2 1 5 4 2無職 0 0 0 0 0 2 5 3 2 3 1 2 2 2 3 0 2 2 1 1就職 17 20 24 31 23 36 41 45 50 40 101 77 88 74 79 52 47 46 66 51進学 5 6 5 3 7 34 24 26 38 42 25 25 29 35 27 20 19 18 26 25計 25 27 29 34 31 73 77 82 92 95 130 109 119 115 110 74 69 71 97 79進学率 20.0% 22.2% 17.2% 8.8% 22.6% 46.6% 31.2% 31.7% 41.3% 44.2% 19.2% 22.9% 24.4% 30.4% 24.5% 27.0% 27.5% 25.4% 26.8% 31.6%就職率 68.0% 74.1% 82.8% 91.2% 74.2% 49.3% 53.2% 54.9% 54.3% 42.1% 77.7% 70.6% 73.9% 64.3% 71.8% 70.3% 68.1% 64.8% 68.0% 64.6%

北海道東北 東京都 その他関東 中部

2014 2015 2016 2017 2018 2014 2015 2016 2017 2018 2014 2015 2016 2017 2018 2014 2015 2016 2017 2018その他 2 1 1 4 3 0 1 1 1 0 4 4 2 1 2 2 5 4 4 6無職 1 2 1 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 2 1就職 29 37 44 37 39 18 27 22 24 26 9 12 14 17 12 47 48 51 54 47進学 8 10 11 9 12 2 3 9 1 6 4 7 1 2 10 20 14 17 18 22計 40 50 57 51 54 20 32 33 26 32 17 23 17 20 24 70 68 73 78 76進学率 20.0% 20.0% 19.3% 17.6% 22.2% 10.0% 9.4% 27.3% 3.8% 18.8% 23.5% 30.4% 5.9% 10.0% 41.7% 28.6% 20.6% 23.3% 23.1% 28.9%就職率 72.5% 74.0% 77.2% 72.5% 72.2% 90.0% 84.4% 66.7% 92.3% 81.3% 52.9% 52.2% 82.4% 85.0% 50.0% 67.1% 70.6% 69.9% 69.2% 61.8%

近畿 中国 四国 九州沖縄

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2. 施設退所者の現況 主な調査結果

2014 年退所者では 68.8%が現在何らかの職に就いていました。

2014 年退所者のうち 9.8%は現在の状況を施設が把握できなくなっていました。

2.1. 退所者の 2018 年 6 月現在の状況

図表 2-1 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所した人の、2018 年 6 月現

在の状況を退所年ごとに示したものです。

4 年制大学に進学した場合であっても概ね卒業していることが推測される 2014 年の退所者

では、309 人(68.8%)が何らかの職に就いていました。

図表 2-1 退所者の 2018 年 6 月現在の状況(退所年別/人)

2.2. 施設が現況を把握できていない退所者

図表 2-2 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所した人のうち、2018 年 6

月現在の状況を施設が把握できていない退所者(現在の就業/進学状況が「不明」かつ現在の

住まいが「不明」と施設が回答した退所者)の割合を、退所年ごと・進路ごとに分けて示した

ものです。

2018 年 6 月現在で、施設が現況を把握できていない退所者は、2014 年退所者では 44 人

(9.8%)、2015 年 36 人(7.9%)、2016 年 17 人(3.5%)でした。退所から年が経つごとに、

施設が現況を把握ができない退所者が増加する傾向にあります。

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図表 2-2 施設が現況を把握できていない退所者(退所年/進路別)

不明者 人数 比率 不明者 人数 比率 不明者 人数 比率 不明者 人数 比率 不明者 人数 比率その他 3 17 0.7% 2 25 0.4% 21 0.0% 1 20 0.2% 25 0.0%無職 5 0.0% 2 13 0.4% 10 0.0% 8 0.0% 8 0.0%就職 32 309 7.1% 29 309 6.4% 13 334 2.7% 9 353 1.8% 2 317 0.4%進学 9 118 2.0% 3 108 0.7% 4 116 0.8% 132 0.0% 151 0.0%総計 44 449 9.8% 36 455 7.9% 17 481 3.5% 10 513 1.9% 2 501 0.4%

退所直後の進路

2014 2015 2016 2017 2018

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3. 進路別の状況 主な調査結果

退所直後に進学した人のうち、進学後 1 年 3 ヵ月が経過した時点で 13.6%が中退し、

4 年 3 ヵ月が経過した時点で 27.1%が中退していました。

進学者計 625 人のうち、中退者数は 103 名(16.5%)でした。全国の大学・短期大学・

高等専門学校の中退率は 2.7%であり、一般の学生に比べて退所者は卒業することが

難しい状況にありました。

学校を卒業した人で現状無職である割合は 4.3%であり、学校を中退した人で現状無

職である割合は 13.6%でした。

退所直後に就職した人のうち、就職後 3 ヵ月が経過した 2018 年退所者の 7.6%が既に

離職していました。また、就職後 3 年 3 ヵ月が経過した 2015 年退所者の離職率は

44.7%であり、全国平均の新規高校卒業就職者の 3 年後離職率 40.8%と大きな差異は

みられませんでした。

就職 1 社目を離職した人で現状無職である割合は 17.7%でした。

退所直後に無職だった人のうち、現状就労中である割合は 50.0%でした。

3.1. 進学した施設退所者の状況

3.1.1. 中退の状況

図表 3-1 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所し進学した人が、2018 年

6 月現在どのような状況にあるかを示したものです。

2018 年の退所者のうち進学した 151 人は、進学して 3 ヵ月経過した時点では、ほぼ全員が

就学を継続していました。

進学者計 625 人のうち、中退者の総数は 103 名(16.5%)でした。進学して 1 年 3 ヵ月経過

すると、進学先の大学等(短期大学・高等専門学校を含む)を中退した退所者もみられるよう

になりました。2017 年の退所者のうち進学した人は 132 人でしたが、進学して 1 年 3 ヵ月が

経過した時点で、既に 18 人(13.6%)が中退していました。前回調査3の結果では、2015 年の

退所者で進学した人 97 人のうち、1 年 3 ヵ月経過した時点での中退者は 10 人(10.3%)でし

た。進学して 4 年 3 ヵ月が経過した 2014 年の退所者 118 人では、卒業した人は 59 人(50.0%)

に対して、中退した人は 32 人(27.1%)でした。

一方で、文部科学省の 2014 年の発表4によると、2012 年の 1 年間に大学・短期大学・高等

専門学校を中退した学生は 2.7%でした。中退を把握する期間が異なるため単純な比較はでき

ませんが、施設退所者の中退率は全学生のそれと比較して大幅に高いことがわかります。

3 ブリッジフォースマイル「全国児童養護施設調査 2016」 4 文部科学省(2014 年 9 月)「学生の中途退学や休学等の状況について」 中途退学者の総数は、全学生数(中途退学者、休学者を含む)2,991,573 人のうち 79,311 人(2.7%) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/10/__icsFiles/afieldfile/2014/10/08/1352425_01.pdf(2018 年 11 月 8 日

アクセス)

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図表 3-1 進学した施設退所者の 2018 年 6 月現在の状況

3.1.2. 中退後の状況

図表 3-2 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所し進学した人のうち、進学

先の大学等を既に中退または卒業した退所者が、2018 年 6 月時点でどのような状況にあるか

を示したものです。

大学等を卒業した退所者 139 人のうち、無職の人は 6 人(4.3%)、現状不明の人は 13 人

(9.4%)でした。一方、大学等を中退した人 103 人のうち、無職の人は 14 人(13.6%)で、

現状不明の人は 26 人(25.2%)でした。中退した人と卒業した人では、その後の就労状況に

差があることが示されました。

(人数)2014 2015 2016 2017 2018

就学中 9 25 54 102 147卒業 59 43 29 8 0中退 32 26 26 18 1不明・その他 18 14 7 4 3

進学者 計 118 108 116 132 151

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図表 3-2 大学等を中退または卒業した施設退所者の 2018 年 6 月現在の状況

3.2. 就職した施設退所者の状況

3.2.1. 2018 年 6 月現在の状況

図表 3-3 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所し就職した人が、2018 年

6 月現在どのような状況にあるかを示したものです。

無職となっている人の割合が、年の経過につれて少しずつ増加していました。2014 年の退

所者では、4 年 3 ヵ月が経過した時点で、309 人のうち 23 人(7.4%)が無職となっていまし

た。

図表 3-3 就職した施設退所者の 2018 年 6 月現在の状況

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3.2.2. 1 社目の就職先の離職状況

図表 3-4 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所し就職した人の、退所直後

の就職先(1 社目)の離職(転職含む)状況を示したものです。

2018 年の退所者で就職した 317 人(全退所者の 63.3%)のうち、3 ヵ月経過した時点で、1

社目で就労しているのは 284 人(89.6%)と大多数を占めましたが、24 人(7.6%)は既に離

職していました。

離職率は年の経過につれて増加しており、就職後 4 年 3 ヵ月経過している 2014 年退所者で

は、1 社目で就労を続けているのは 309 人のうち 129 人(41.7%)で、152 人(49.2%)は離職

していました。同様に、1 年 3 ヵ月(2017 年退所者)、2 年 3 ヵ月(2016 年退所者)、3 年 3 ヵ

月(2015 年退所者)経過した時点での離職率は、それぞれ 25.5%、34.4%、44.7%でした。厚

生労働省の調査5では、2014 年の新規高校卒業就職者の離職率は 1 年目までに 19.4%、2 年目

までに 31.4%、3 年目までに 40.8%で、施設退所者の状況は一般と比べ、若干高い傾向にあり

ます。

図表 3-4 1 社目の離職状況

3.2.3. 1 社目の離職後の状況

図表 3-5 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所し就職した人で、就職 1 社

目を離職した人の、2018 年 6 月現在の状況を示したものです。

2014 年から 2018 年の 5 年間の合計では、1 社目を離職した人 519 人のうち、現状無職の人

は 92 人(17.7%)、転職によって現状就労中の人は 294 人(56.6%)でした。2014 年から 2017

年の各年の退所者はこれと似た傾向を示しました。2018 年退所者に限っては、離職後無職の

人の割合は 24 人のうち 14 人(58.3%)と高くなっていますが、これは離職後の期間が短く、

再就職・転職の準備期間中の人が含まれているためと思われます。

5 厚生労働省(2017)「新規高卒就職者の事業所規模別離職状況」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000177668.pdf(2018 年 10 月 3 日ア

クセス)

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図表 3-5 1 社目の離職後の状況

3.3. 退所時に無職だった施設退所者の状況

図表 3-6 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所した際に無職だった人が、

2018 年 6 月現在どのような状況にあるかを示したものです。

2014 年から 2018 年の 5 年間の合計では、退所時に無職だった人 44 人のうち、現状は就労

中の人は 22 人(50.0%)、現状も無職の人は 7 人(15.9%)でした。

図表 3-6 退所時に無職だった施設退所者の 2018 年 6 月現在の状況

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3.4. 退所者の 4 年間の動き

図表 3-7 では、2014 年退所者 449 人の、退所直後の進路と現在までの動きを示しました。

退所直後の無職が 5 人(1.1%)であったのに対し、退所後 4 年 3 ヵ月が経過した 2018 年 6

月現在で無職の施設退所者は 27 人(6.0%)でした。この 27 人のうち、進学を経て無職とな

ったのは 4 人、就職を経て無職となったのは 23 人でした。4 年間を通して無職だった人は確

認できませんでした。

退所直後に進学した人のうち無職となっている人は 4 人(進学者 118 人中の 3.4%)であり、

退所直後に就職した人の場合の 23 人(就職者 309 人中の 7.4%)に比べて低い割合となって

いました。

図表 3-7 2014 年退所者 449 人の 4 年間の動き

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4. 退所後の住まいの状況 主な調査結果

2018 年に退所した学生の住まいは、一人暮らしが 68 人(46.3%)、学生寮が 33 人

(22.4%)、福祉施設・自立援助ホームが 18 人(12.2%)、親兄弟宅が 15 人(10.2%)

となっていました。

2018 年に退所した学生では、他の年と比較して福祉施設・自立援助ホームに住む割合

が高くなっていました。

就業者の住まいは、退所直後は社員寮が 38.6%と最も高いものの、退所から年を経るご

とに一人暮らしの割合が増えていき、2017 年退所者では一人暮らしが 30.6%、2016 年

退所者は 37.9%、2015 年退所者では 45.2%、2014 年退所者では 45.5%となっていまし

た。

4.1. 学生の住まいの状況

図表 4-1 は、2015 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所した人のうち、学生(退所

直後に進学し、かつ 2018 年 6 月現在も就学中である人)の 2018 年 6 月現在の住まいの状況

を示したものです。なお、2014 年は現在も就学中である対象者数が計 13 人と少数であったた

め、図表中からは除外しました。

2018 年 3 月に退所した学生では、一人暮らしが 68 人(46.3%)、学生寮が 33 人(22.4%)、

福祉施設・自立援助ホームが 18 人(12.2%)、親兄弟宅が 15 人(10.2%)、ルームシェア等が

3 人(2.0%)でした。どの年の退所者も概ね半数が一人暮らしをしており、次いで学生寮、親

兄弟宅、福祉施設・自立援助ホームとなっていました。福祉施設・自立援助ホームが現在の住

まいとなっている退所者は、2015 年、2016 年退所者がそれぞれ 1 人であるのに対し、2017 年

が 9 人(8.6%)、2018 年が 18 人(12.2%)となっていました。

図表 4-1 学生の住まいの状況

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4.2. 就業者の住まいの状況

図表 4-2 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所した人のうち、就業者(退

所直後に就職し、かつ 2018 年 6 月現在も就業中である人)の 2018 年 6 月現在の住まいの状

況を示したものです。

2018 年 6 月現在の就業者の住まいの状況は、社員寮が最も多く 113 人(38.6%)、次いで一

人暮らしが 82 人(28.0%)、福祉施設・自立援助ホームが 52 人(17.7%)、親兄弟宅が 37 人

(12.6%)でした。退所から年を経るごとに、一人暮らしの割合が増えていき、2017 年退所者

では 30.6%、2016 年退所者は 37.9%、2015 年退所者では 45.2%、2014 年退所者では 45.5%と

なっていました。また、2018 年退所者では「配偶者、子と同居」が 0 人であったのに対し、

2014 年退所者では 17 人(7.7%)と増加していました。社員寮、福祉施設・自立援助ホームに

住む退所者の割合は、退所から年を経るごとに減少していました。

図表 4-2 就業者の住まいの状況

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5. 退所後の支援制度の利用状況 主な調査結果

支援制度のうち、「措置延長」は全退所者の 13.9%、「自立支援資金貸付」は全退所者の

11.4%が利用していました。

「自立支援資金貸付」は、2017 年以降の退所者の利用割合がそれより前の退所者の 2

倍以上になっていました。「措置延長」は、2016 年以降の退所者の利用割合がそれより

前の退所者の約 1.5 倍になっていました。

いずれの制度も利用していない退所者の割合は減少していました。2018 年の退所者で

いずれの制度も利用していない人は全体の 42.5%であり、進学者に限ると 4.6%でした。

5.1. 支援制度の利用状況

図表 5-1 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所した人 2399 人の、退所時

または退所後の支援制度の利用状況を、退所者の進路ごとに示したものです。なお、1 人の退

所者が複数の制度を利用している場合もあります。

「奨学金(その他学費支援制度)」を利用しているのは、全退所者の 19.1%にあたる 458 人

で、その大部分が進学者でした。

「措置延長」は、原則 18 歳までである児童養護施設の入所期間を延長することができる制

度です。2017 年度に、それ以前の「最長 20 歳まで」から、「最長 22 歳まで」と、延長可能期

間が変更となりました。本調査の結果、全退所者の 13.9%にあたる 334 人が利用していまし

た。また、2017 年度に全国規模に拡充された「自立支援資金貸付6」は、家賃や資格取得のた

めの資金、進学者には加えて生活支援金を無利子で貸し付ける事業であり、全退所者の 11.4%

にあたる 274 人が利用していました。これらの制度は、進学者も就職者も利用していました。

「施設による契約保証」は、施設長等が退所者の身元保証人となることで、全退所者の 7.9%

にあたる 189 人が利用していました。なお、「施設による契約保証」の利用の背景として「身

元保証人確保対策事業7」の存在を付記しておきます。

6 自立支援資金貸付事業の実施主体は都道府県及び都道府県が適当と認める社会福祉法人などであり、導入

状況は実施主体によって異なっています。 厚生労働省(2017)「社会的養護における自立支援に関する資料」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000153136.pdf(2018年 11 月 3 日アクセス) 7 児童養護施設等の退所者が就職やアパートなどを賃借する際に、施設長等が身元保証人となる場合の損害

保険契約を全国社会福祉協議会が契約者として締結する際、その保険料を補助する制度です。2017 年度よ

り、就職時やアパート等の賃借時における身元保証に加え、就学時の身元保証も補助対象となりました。 厚生労働省(2017)「雇児発 0331 第 10 号 社会的養護自立支援事業等の実施について」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000167411.pdf (2018 年 11 月 3 日アクセス)

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図表 5-1 退所後の公的な支援制度の利用状況

グラフ中のパーセンテージは、5 年間の全退所者 2399 人に対する割合。

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5.2. 退所年別の支援制度の利用状況

5.2.1. 退所者全体の支援制度の利用状況

図表 5-2 は、2014 年 3 月から 2018 年月までの間に施設を退所した人の、各支援制度の利用

割合を退所年ごとに示したものです。

全般に、最近の退所者ほど、各種制度を利用する割合が増加していました。「奨学金(その

他の学費支援制度を含む)」は、2015 年以降の退所者で利用割合が増加していました。「自立

支援資金貸付」は、2017 年以降の退所者の利用割合がそれより前の退所者の 2 倍以上になっ

ていました。「施設による契約保証」は、2017 年以降の退所者の利用割合がそれより前の退所

者の 2 倍近くになっていました。「措置延長」は、2016 年以降の退所者の利用割合がそれより

前の退所者の約 1.5 倍になっていました。

これら各制度の利用増加を受けて、いずれの制度も利用していない退所者は 2014 年の退所

者の 59.2%から、2018 年の退所者では 42.5%と減少しました。

なお「障害年金」は 2017 年・2018 年退所者は、同制度の利用割合が低くなっていました。

その理由として、障害年金の受給開始は 20 歳であり、2017 年・2018 年の退所者は受給条件

を満たしていない人の割合が高いことが考えられます。

図表 5-2 退所者全体の退所年別の支援制度の利用状況

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5.2.2. 進学した退所者の支援制度の利用状況

図表 5-3 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所し進学した人の、各支援制

度の利用割合を退所年ごとに示したものです。

「奨学金(その他の学費支援制度を含む)」は、2015 年以降の退所者で利用割合が順調に増

加しており、2018 年の退所者では利用率は 84.8%に達していました。

「自立支援資金貸付」や「施設による契約保証」は、全退所者の傾向と同様、2017 年以降

の退所者の利用割合がそれより前の退所者より高くなっていました。「自立支援資金貸付」は、

2016 年以前の退所者の利用割合は 15%程度ですが、2017 年の退所者では 42.4%、2018 年の

退所者では 38.4%と 2 倍以上になっていました。「施設による契約保証」は、2016 年以前の退

所者の利用割合は 10%未満ですが、2017 年の退所者では 17.4%、2018 年の退所者では 17.9%

と 2 倍近くになっていました。

これら各制度の利用増加を受けて、進学した退所者でいずれの制度も利用していない人は、

2014 年の退所者の 25.4%から、2018 年の退所者は 4.6%となりました。直近の進学した退所

者は、ほぼすべての人が何らかの支援制度を利用していました。

図表 5-3 進学した退所者の退所年別の支援制度の利用状況

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5.2.3. 「措置延長」と「自立支援資金貸付」の進路別の利用状況

図表 5-4、図表 5-5 は、2014 年 3 月から 2018 年 3 月までの間に施設を退所した人のう

ち、「措置延長」と「自立支援資金貸付」の利用者の内訳を、退所年ごとに退所者の進路別

で示したものです。これらはいずれも、2017 年度に拡充された支援制度です。

「措置延長」の利用者のうち、約 4 割は進学した退所者、約 5 割は就職した退所者で、無

職やその他(障害のある退所者など)の利用もみられました。前述したように同制度の利用

割合は 2016 年以降の退所者で高くなっていましたが、進路別の内訳はこの前後で大きくは

変化していませんでした。

「自立支援資金貸付」の利用者のうち、約 6 割は進学した退所者、約 4 割は就職した退所

者でした。前述したように同制度の利用割合は 2017 年以降の退所者で高くなっていました

が、進路別の内訳はこの前後で大きくは変化していませんでした。

図表 5-4 「措置延長」の進路別の利用内訳

図表 5-5 「自立支援資金貸付」の進路別の利用内訳

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5.3. 退所後の支援制度に関する現場職員の声

自由記述欄からは、市区町村独自の支援の取り組みも広がっている様子が窺えました。同時

に自治体間の支援格差を懸念する声もありました。

調布市では独自の取り組みとして、社会的養護退所者に対して、ステップアップホーム事

業(児童養護施設を運営する法人が市内のアパートの一室を借り上げて施設退所者等に

格安で提供し、合わせて世話人を配置して生活支援を行う事業)があります。

浜松市では平成 29 年度から「児童養護施設の実家的機能による自立支援事業(施設を退

所した者が短期間で離職し親族等を頼ることができない場合、在籍していた児童養護施

設において、一定期間生活の場を提供し、再就労に向けた支援)」が始まり、18 歳~22 歳

までという年齢制限はあるが利用した方もいました。

埼玉県でも就労支援やアフターケア事業、進学児童への居住支援など、行政として事業展

開されており、児童が利用できる支援も増えています。

自治体により活用できる制度や予算が大きく異なり、国内においても支援の格差が生ま

れています。隣県とだけでなく県内でも県と政令都市での隔たりが大きいことは、支援者

のモチベーション低下や無力感につながる懸念があります。

一方で、制度の利用は広がっているものの、施設や児童のニーズに合わせた利用が現実的に

は難しい状況が窺えました。また、制度を有効に活用するにも、情報、経験、ネットワークが

欠かせないようです。

引きこもり状態からの自立への支援について、比較的措置延長への行政の対応は寛容に

なってきているので、生活の保障をしてあげることはできています。しかし、自立に向け

て、または自立後の資金援助が乏しい。高校卒業をしていないと受けることができない助

成金や、退所後支援資金などは継続して働くという約束がこのような子どもたちにとっ

てはハードルが高いです。そのため積極的に活用できないのが現実です。

一人ひとりのケースによって必要な対応は多様なため、職員は毎回悩み学びながら、経験

の積み重ねによって少しずつ支援力をつけていると思います。そういった経験に加えて、

ネットワークが広がることは大きな力になっていると感じます。

保護者の同意が得られず、一時保護のまま退所のケース。本児は進学を希望していまし

たが、措置ではないため様々な援助が受けられないことがあり、進学を断念しました。

近年は様々な障害を抱えている児童が多く、障害を抱えている児童の自立や支援につい

て勉強しているところですが、各関係機関がお互いの現状を共有し理解し合える場が設

けられると良いと思います。

退所後の子どもの進路の選択肢を職員側がもっと持っておきたい。子どもの特性に合わ

せて利用出来るサービス、機関に関する知識と情報が乏しく、また利用するまでのプロセ

スも良く知りません。そういったことに関するセミナーや情報源があれば是非お願いし

ます。また、ノウハウがない中、他施設の職業指導員の方々が日々どういった活動をして

いるのか、知れる機会が欲しいと思っています。

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6. 自立支援、退所後支援における難しさ 主な調査結果

退所後支援のボトルネックとなっているのは「職員の数や時間」と回答した施設職員が

最も多く 58.3%でした。次いで「行政の取り組み体制や予算が不十分」が 47.2%、「知

的障害、発達障害、精神障害など、自立において困難さを抱えた児童に専門性を持った

支援者、支援機関が不十分」が 40.6%となりました。

ボトルネックとしてあまり重視されていなかった項目としては、「施設退所者に対する

社会の偏見や無関心がある」「退所者が施設や福祉サービスを頼りたいと思っていな

い」「施設側の事情(職員の退職等)で退所者との関係が切れてしまう」が挙げられま

した。

6.1. 自立支援、退所後支援におけるボトルネック

厚生労働省の方針のもと、各施設や各自治体では自立支援・退所後支援の取り組みが進めら

れていますが、実施には様々なボトルネックが存在していると言われています。

図表 6-1 は、施設職員に対し『今後、児童や退所者に自立支援・退所後支援を行っていく上

で、どのようなことがボトルネック(進められない要因、難しさ、障害)になると思います

か?』との質問に対する回答です。180 施設から回答を得ました。

支援上の障壁として「あてはまる」と回答した割合は、「支援を行う職員の数、時間を確保

することが困難」(58.3%)が最も高くなりました。「あてはまる」が 3 割を超えたのは、「行

政の取り組み体制や予算が不十分」47.2%、「知的障害、発達障害、精神障害など、自立にお

いて困難さを抱えた児童に専門性を持った支援者、支援機関が不十分」40.6%、「進学する退

所者のための奨学金制度、経済的サポートが不十分」34.3%、「施設全体の取り組み体制、予

算が不十分」33.3%でした。

一方、「施設退所者に対する社会の偏見や無関心がある」「退所者が施設や福祉サービスを頼

りたいと思っていない」「施設側の事情(職員の退職等)で退所者との関係が切れてしまう」と

いった項目では、「あてはまらない」ないしは「あまりあてはまらない」との回答が 4 割を超

えていました。

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図表 6-1 退所後支援のボトルネックとなっている要因

項目 あてはまる ややあてはま

あまりあては

まらない

あてはまらな

支援を行う職員の数、時間を確保することが困難 58.3% 33.3% 6.7% 1.7%

行政の取り組み体制、予算が不十分 47.2% 37.8% 12.8% 2.2%

知的障害、発達障害、精神障害など、自立において困難さを抱えた

児童に専門性を持った支援者、支援機関が不十分40.6% 45.6% 13.3% 0.6%

進学する退所者のための奨学金制度、経済的サポートが不十分 34.3% 44.2% 17.1% 4.4%

施設全体の取り組み体制、予算が不十分 33.3% 46.7% 17.2% 2.8%

支援を行う職員の力量(知識、スキル)が不十分 28.3% 57.8% 13.3% 0.6%

児童、退所者の自立に向けた意欲、関心を高めることが困難 27.1% 54.1% 16.0% 2.8%

児童、退所者の自立に向けた知識、スキルを高めることが困難 22.1% 65.2% 11.0% 1.7%

施設職員以外の支援者、支援機関の確保が困難 21.1% 49.4% 27.8% 1.7%

施設側の事情(職員の退職等)で退所者との関係が切れてしまう 17.2% 42.8% 32.2% 7.8%

退所後、親兄弟やパートナー等との不適切な人間関係が自立を妨げ

てしまう17.2% 56.7% 22.2% 3.9%

退所者が施設や福祉サービスを頼りたいと思っていない 11.2% 43.6% 40.2% 5.0%

施設退所者に対する、社会の偏見や無関心がある 7.9% 42.1% 42.7% 7.3%

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6.2. 自立支援、退所後支援に関する現場職員の声

自由記述欄からは、現場の苦しい状況が窺えました。主だった意見として、退所後支援(ア

フターケア)にかけられる時間や予算の不足、障害や引きこもりなどへの対応の難しさ、児童

の年齢や退所までの期間の短さなどが挙げられます。

施設職員の時間や予算の不足に関する意見です。

退所後のかかわりについては、何かあったときだけになってしまっています。専任者が

おらず、元担当と FSW(ファミリーソーシャルワーカー)が受け持っているが、通常

業務で手一杯。

施設職員(元担当)の手弁当でアフターケアを行うということが、児童養護施設の基本

仕様となっており、もはや「労働」の態をなしていません。ヒト、カネをアフターケア

に回してほしい。

学園まで来る手段がない児童や、経済的に厳しい児童に関しては職員から出向くこと

もありますが、その際の時間や援助(食材や物品等)は職員が負担することがあります。

具体的な予算等は組み込まれていないのが現状です。

アフターケアに十分な時間をかけることができません。当施設の様に 5 年間で 25 人も

の高校卒業児童がいると、現在入所している児童支援も大変な上、片手間にできること

ではありません。

即対応した方がよい相談事が多く、その場合、情報が足りない、専門的に関われないこ

とがあります。また、公的な制度を利用する際も、時間がかり段取りが必要なので、そ

うこうしている間に子どもとのやりとりが滞ってしまうこともあると感じています。

また、障害や引きこもりなど、難しさを抱えた児童への支援の充実を求める声もありまし

た。

児童が新しい体験に消極的で、中々体験や知識習得が進まない発達障がいの児童も増

えて来ているので、それに対応した SST(ソーシャルスキルトレーニング)をもっと増

やしてほしいです

発達障がいやボーダーの児童に対する進路支援について、児童が自分の障がいや特性

についてきちんと受容できていない場合、本人のニーズとこちらが提携したい支援と

合致しません。

発達障害を抱える退所者、特に福祉施設(障がい者)につながらないレベル(グレーゾ

ーン)の児童が自立後家庭にも帰れず、やむを得ず一人暮らしをはじめ経済的破綻とな

るケースが多く、その後の支援や福祉サービスがみつかりにくいです。

知的障害等をもった子どもたちの退所後の生活場所に悩みます。現在は、グループホー

ムで暮らしている人と、1 人暮らしをしながら施設が金銭管理等を手伝う必要のある人

に分かれます。グループホームでは、本人への支援が届かず、問題が起こると、施設に

解決を委ねられることがあります。1 人暮らしをしている人は、定期的にこちらに来て

話を聴く機会をつくると共に、生活費を渡していますが、本人がいくつになるまで続け

ることができるだろうかと心配な面があります。福祉サービスにつなげたこともあり

ますが、あくまで本人次第なので支援がとぎれることも多いです。

思春期を迎えている子どもたちに働きかけをする難しさや、自立に向けて準備する期間の

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短さを指摘する意見もありました。

プログラムと言うより、入所している間に子どもたちと話や不安な事、心配な事をどれ

だけ話ができるかが大切だと思っています。この時期の子どもたちは大人への反発が

大きく苦慮しています。外部のプログラム(アフターケア事業)を利用していますが、

それに参加できる児童は限られています。

入所児童の傾向として中学生や高校生になってからのいわゆる高年齢での入所ケース

が増え、インケアで自立・自律へ向けた準備期間がより少なくなってきたという実態が

あります。高校を卒業することが目標ではなく、その後社会へ出て、より厳しい現実を

迎える子どもたちにとっての準備期間となる時間があまりにも短いと感じています。

関係性が必要な支援ゆえの難しさもあります。

自立支援担当の職員もおりますが、基本的には担当職員に連絡を取ることが多いので、

担当者との関係性が自立後の支援をどこまでできるかに影響すると思います。自立支

援からの関わりではなく、普段からの子どもとの関わりが大切だと思います。

自立する児童と事業所の結びつけを効果的に行うには、どのような取り組みをしてい

けばよいか。児童がよく口にするのが、どうして何も知らない人にいろいろ話したり、

入ってもらったりしなければならないの?などです。

退所後のフォローが園というより、担当など個別な支援になっているところがあり、退

職等で切れていく場合があります。

児童からの電話や連絡、来園した場合の対応は元担当職員や、そのときに勤務していた

職員が行いますが、特別に長時間、時間や場所を確保することは困難です。その児童の

担当職員や、顔を知っている職員の多くが退職し、そのため疎遠になっていく例も少な

くありません。

物理的な距離から支援が届きにくくなることもあります。

沖縄は本土と離れているので、県外に出た子への支援に難しさを感じます。

退所後のアフターフォローについて、他県に進学もしくは就職した子どもは、何か問題

があってもすぐに対応できず、最悪、中退や退職する子どももいます。このようなケー

スの際、NPO 団体等がすぐに対応して頂けるとすごく助かります。

人間としての成長を見守る中で継続して支援を行う関係作りを心がけてはいますが、連

絡を取ろうとしても取れない子も多く、また在園児童を抱える中で「施設として」退所

児童をどこまで追いかけるのか、難しさも抱えています。そのような中、数年前から NPO

よりご支援をいただく中で、在園児童への SST(ソーシャルスキルトレーニング)や遠

方に出てしまう退所児童へのアフターケアについて、私たち職員が子ども達に提供でき

る選択肢が少しずつ増えてきました。(補足:ブリッジフォースマイルが地方でセミナ

ーを開催。参加した児童が退所後進学のため上京し、支援を受けている)

いずれも、アフターケアの重要性は理解しているし、やりたい気持ちはあっても、実際に子

どもたちと向き合っている中で簡単ではない支援に悩んでいる実情が伝わってきました。

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7. 考察 支援制度の充実によって進学率は上昇、但し中退者に配慮した運用が必要

施設退所者の進学率が 2018 年 3 月で 30.1%まで上昇しました。まだ一般の高校卒業者の進

学率 70.8%との開きはありますが着実に改善してきています。これは、厚生労働省による貸付

制度、文部科学省による給付型奨学金制度の拡充のほか、民間の奨学金制度の充実が影響した

ものと考えられます。

一方で、2014 年 3 月に施設を退所した進学者の、進学先の大学等からの中退率は 27.1%と

高く、退所直後に進学した人 625 人のうち、中退者数は 103 名(16.5%)でした。一般進学者

の中退率 2.7%と比較して大きな差がありました。今後、経済的支援の充実によって生活が安

定し中退率が下がる可能性と、進学が選択しやすくなり意欲や学力が低い進学者が増えて中

退率が上がる可能性の両方が考えられます。中退後の無職率 13.6%、現況不明率 25.2%の高

さから、中退後にこそ丁寧な支援が欠かせません。しかしながら、現行の進学支援は中退する

と返済しなければいけない奨学金や貸付金が多く、将来への不安に加えて気持ちも落ち込む

ような状況の中で奨学金の返済を迫られれば、連絡も取りづらくなるでしょう。中退後の高い

現況不明率は当然の結果と言えます。給付型奨学金の充実と、貸付を受けている期間中に一定

の義務を果たしていれば返済の減免や猶予の措置が取られる等、貸付金制度の運用方法に改

善が求められます。

就職斡旋のみでなく、自力で就職先を見つける力を養成すべき

高卒で就労した退所者の離職率は、一般のそれと大きな差がありません。施設退所者に限ら

ず、転職は誰にとっても当たり前となっている社会では、就職活動における知識やスキルが必

要です。施設入所中に就労先を決めればいいのではなく、就労先を決める力をつけることが求

められます。自ら生活するために働き続けなければならない施設退所者の場合、無職の期間は

それほど長くないと想像しますが、アルバイトや友達の紹介で安易に見つかる仕事など、キャ

リア形成につながらない仕事に就くことが多いと考えられます。

今回の調査では、高校卒業直後に就労した人と進学した人で、4 年後の就労状態を比較した

場合にも、大きな差はみられませんでした。但し今回の調査では、正規雇用、非正規雇用、ア

ルバイト、日雇いなど、就労契約の詳細までは把握できていないため、進路によってその後の

キャリア形成にどのような差が出ているのか、今後より詳しい調査を行う必要があると考え

ています。

仕事と住まいを分離させて退所後のリスクを分散させるべき

住まいについては、一人暮らしまたは寮で生活する人が就労者で 6 割前後、進学者で 7 割

前後です。親兄弟との同居、自立援助ホームなど福祉施設への入所などの選択ができる状態に

ない人が多数であることがわかります。進学者においては、福祉施設(措置延長)/自立援助

ホームが増加しており、制度が緩和されたことが住まいの選択肢を増やしていることが窺え

ます。

就労者のうち社員寮に住む人は退所 3 か月では 38.9%で、退所 4 年 3 か月で 15.5%に減少し

ていました。社員寮は住居費を抑えるメリットがある一方で、離職率の高さを考えると仕事と

家を一緒に失う可能性があり、不安定な状況に置かれていると言えます。退所後の住宅支援制

度が整ってきている中では、仕事と住まいを分離させて退所後のリスクを分散させるべきだ

と考えます。

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制度の充実が進路選択の幅を広げた

制度の充実は、施設独自の取り組みが主流だったものから、自治体による取り組みが広がっ

ています。いずれの制度も利用していない退所者は 2014 年の退所者の 59.2%から、2018 年の

退所者では 42.5%と減少しました。いずれの制度も利用していない進学者は 4.6%で、制度が

進路選択の幅を広げる後押しをしていることがわかります。行政との連携の難しさ(誰がどこ

まで支援するのか)や、地域間格差を懸念する声もありますが、今後、各自治体、施設で、さ

まざまな模索が広がっていくことでしょう。柔軟なニーズに応えられる制度の改善、支援者の

質量ともに増えることが期待されます。

施設の関係機関との連携は退所後支援においても重要

自立支援、退所後支援の難しさについて、91.6%もの職員が「支援を行う職員の数、時間を

確保することが困難」と考えていました(「あてはまる」(58.3%)と「ややあてはまる」(33.3%)

の合計)。自由記述からも、退所者への支援が必要であることは理解していても、在園児童の

対応に追われていたり、人手不足から休日返上で対応したりしている様子がわかります。社会

全体で退所後支援の質量ともに上げていく上では、外部団体に委託していくことは有効だと

考えられます。その上で今後、ますます関係機関の連携が退所後支援においても重要になって

くるでしょう。

8. 謝辞 本調査の実施にあたり、ご協力いただいた児童養護施設の職員の皆様に厚く御礼を申し上

げます。職員の皆様が日々現場で子どもたちと向き合い、悩みながら支援を行っている様子を

窺い知ることができ、気持ちが引き締まります。また、自由記述欄には当団体の支援を活用し

てくださっている施設から感謝や励ましの声もお寄せいただき、たいへん嬉しく存じます。

調査の企画から、データ入力、集計、報告書作成に至るまで、ボランティアで協力をしてく

れた調査チームの皆様、施設に詳細確認をしてくれた大学生インターンの皆様にも、心から御

礼申し上げます。

自立支援、退所後支援において一歩でも前に進めるよう、これからも尽力してまいります。

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9. 参考資料 調査票

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