人権と数字...第1回日本の企業も無視できない「人権マーケット」その拡大傾向...

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人権と数字 シリーズ全3デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 レギュラトリストラテジー

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Page 1: 人権と数字...第1回日本の企業も無視できない「人権マーケット」その拡大傾向 3 第2回人権を軽んじる企業には、1000億円以上失うリスクあり

人権と数字シリーズ全3回

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社レギュラトリストラテジー

Page 2: 人権と数字...第1回日本の企業も無視できない「人権マーケット」その拡大傾向 3 第2回人権を軽んじる企業には、1000億円以上失うリスクあり

第1回 日本の企業も無視できない「人権マーケット」その拡大傾向 3

第2回 人権を軽んじる企業には、1000億円以上失うリスクあり 4

第3日 東京五輪「オリ・パラ同時開催」の経済効果を試算してみた 5

〔現代ビジネス「シリーズ『人権と数字』」(2017年10月掲載)に寄稿した内容を一部変更して掲載しています〕

近年、人権問題がビジネスにおいて極めて大きなインパクトを与えるものであることが認識されはじめています。一方で、ビジネスが具体的なアクションを起こすには、定量的に「数字で」課題の重要性を示していく必要があります。本シリーズでは「人権と数字」と題し、ビジネスにもたらすインパクトの大きさを明らかにします。

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日本企業はいまだ「人権リスク」に鈍感

「人権」という言葉から、みなさんは何をイメー

ジするでしょうか。「途上国における子どもの人

身売買」「紛争地域における少数民族の迫害」

などのように、日本人にとっては日常生活とは

離れたところにある問題を頭に浮かべがちかも

しれません。

しかし、人権問題とは、私たちにとって、もっと

身近なものなのです。報道などでも頻繁に目に

することのあるセクハラやパワハラは言われな

く人の尊厳を傷つける行為です。長時間労働や

待遇の差別のような労務トラブルも不当に人を

拘束したり、貶めたりする行為として立派な人

権問題のひとつです。

もし、自社のオフィスに障がい者が通行しづら

い段差や物理的に入りづらい場所があるのな

らば、それも権利を侵害していると見なされる

可能性があります。

世界は今、この人権問題に対する企業としての

取り組みを求めています。2015年、ニューヨー

クにある国連本部において193ヵ国の首脳が一

堂に会し「持続可能な開発のための2030ア

ジェンダ」を採択しました。

従来、発展途上の国々における問題解決に取

り組んできた国連が、このアジェンダで掲げた

のは「誰一人取り残さない」ことです。

もちろん、貧しい国々の子どもたちを守ることが

役目です。しかし、それだけではない、もっと身

近にあらゆる全ての国々において問題解決を

することが掲げられたのです。そして、そこで掲

げられる17の目標とそれに付随した169のター

ゲットの中には、多くの人権問題の解決に関わ

る内容が記されています。

誰もが賛成、のはずなのに

さて、人権問題の解決には誰もが総論で賛成

です。それでありながら企業における人権問題

について政府や消費者、そして企業自身の取り

組みが十分でない理由のひとつは、人権問題

のビジネスへのインパクトがリアリティある形で

理解されていないからでしょう。

しかし近年、不幸な事件をきっかけとしながら、

人権問題がビジネスにおいて極めて大きなイン

パクトを与えるものであることが認識されはじめ

てきました。違法残業労働で書類送検された大

手広告代理店の株価は下落し、公的機関が同

社の入札資格を停止しました。

例えば厚生労働省は6ヵ月、ほかにも経済産業

省や東京都、日本中央競馬会(JRA)はそれぞ

れ1ヵ月の入札停止を同社に言い渡しています。

民間企業の中にも同様の判断をしたケースが

存在するでしょう。人権問題は「従業員や労組

との小競り合い」のような軽い問題ではなく、経

営者や株主にも直結する大きなビジネスインパ

クトあるものだという認識が出てきました。

企業の課題解決を担う、大手の経営コンサル

ティングファームも企業における人権問題を取

り扱う事例が増えてきています。企業の業績改

善と人権問題の予防・解決が切り離せないもの

であることが、少しずつ理解されはじめてきたこ

との表れでしょう。

コンサルティングファームが企業の課題解決に

携わる多くのケースにおいては、課題の重要性

を経営者に対して「数字で」伝えることが第一歩

となります。

人権の課題においても同様で、数字でインパク

トを示すことが必要です。数字にしにくい印象が

ある人権に関しても公的機関の統計などから

様々な数字が入手できます。例えば人権侵害

を受けている人の数や人権侵害をなくすために

取り組む主体の数など、国連を中心とした機関

がデータを公開しています。

出所:国連、国連広報センター、外務省、SAI等公表資料を基にDTC作成

日本の企業も無視できない「人権マーケット」その拡大傾向シリーズ「人権と数字」第1回

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特に、今後関心がもたれるべきは、ビジネスに

関する人権の数字になってきます。SDGsは政

府だけではなく企業を主要な実施主体のひとつ

として位置付けており、今後ビジネスにおいて

人権課題への取り組みが強く要求されることは

論をまちません。

本レポートでは、まず「人権ビジネス」に関わる

数字を挙げます。環境ビジネスなどと比べると

人権ビジネスについてはそもそもそれがどのよ

うなものであるかが明確でなく、関連する数字

もあまり把握されていません。

人権ビジネスの市場をどのように捉えることが

できるかを整理し、今後人権についても環境と

同じように様々な法・規制、調達基準が形成さ

れることにより、その市場が無視できないもの

に発展していくであろうということを見ていきま

す。

「人権ビジネス」とはなにか

そもそも企業にとって「数字で見えないもの」を

意識して事業活動を行うことは困難です。かつ

て「環境」はその典型的な例でした。例えば環

境汚染により生じるコストがどの程度にのぼる

のか、もしくは環境に配慮した製品がどの程度

のビジネスチャンスとなるかがわからなければ、

企業が注力するインセンティブは生じません。

今日、「環境」については様々なイシューが数

字として把握されています。例えば「環境ビジネ

ス」については各国において数十兆円の市場

規模があることが示されています。日本の環境

産業の国内外での売上をもとにした環境省の

試算によると、2014年の環境ビジネスの市場

規模は約105兆円程度とされます。

他方で、「人権ビジネス」については、その定義

が明確でなく数字としてあまり把握されていな

い段階にあります。人権ビジネスにはどのよう

なものがあるでしょうか。

まず、「人権問題」そのものに関わるビジネスと

して、人権侵害やそれに対する取り組み状況を

調査・評価するための人権デューデリジェンス

や人権関連認証サービスが挙げられます。人

権に関する意識啓発をはかるための人権教育

教材・研修サービスも人権ビジネスのひとつで

しょう。

このほかにも、人権侵害がそもそも起きないよ

うな生産活動ができるようにするための製品、

例えば全ての人にとって働きやすい環境を整

備するためのバリアフリー設備や、人間にとっ

て危険・有害な労働などを人間のかわりに行っ

てくれるロボットも人権ビジネスの一部です。

さらに、企業の従業員のメンタルヘルス上の課

題などに対応するEAP(Employee Assistance

Program)や、人権侵害が発生した場合の法的

サービス、被害者のケアを行うカウンセリング

などの医療的サービスも挙げられます。

出所:British Institute of International & Comparative Law (BIICL)& Norton Rose Fulbright, SAI, 文部科学省、日本ビルヂング協会連合、経産省、Verdantix、日本臨床心理士会、法務省、矢野経済研究所公表資料を基にDTC作成

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人権ビジネスの市場は拡大する

環境について既に数十兆円~数百兆円規模の

市場が確立していることのひとつの背景として、

ビジネスに影響を与えるルールが早い段階か

ら策定されてきたことが考えられます。

そもそも日本で「環境経営」という言葉が用いら

れるようになったのは1997年の京都議定書の

前後からです。京都議定書を機に企業は事業

活動の中に環境の視点を組み込み、環境報告

書で自社の取り組みを公表するようになりまし

た。

さらにポスト京都議定書と言われる2015年の

パリ協定の交渉過程においては、“We mean

business”(「我々はビジネスだ」/「我々は真

剣である」の両方の意味を掛け合わせた企業・

機関投資家グループ)に象徴されるように、む

しろ企業自らが革新的な取り組みを行うことに

コミットする形でルールの形成に大きな影響を

与え、それが更なる市場の拡大につながって

いったと考えられます。

一方、人権については比較的最近までビジネ

スに影響を与えるルールが策定されてきませ

んでした。「企業の人権尊重」を初めて明記した

「ビジネスと人権に関する指導原則」が策定さ

れたのは2011年のことであり、人権ビジネスの

市場はようやく立ち上がろうとしている段階にあ

ります。

ここ数年で各国における人権に関するルール

の策定が急速に進んでいることに留意しなけれ

ばなりません。米国では2012年に紛争鉱物規

制ドッド・フランク法やカリフォルニア州サプライ

チェーン透明法が、英国では2015年に英国現

代奴隷法が制定されています。

また、日本でもビジネスと人権に関する指導原

則に従った国内行動計画(NAP:National

Action Plan)策定が進められるほか、2020年

には東京オリンピック・パラリンピック開催を見

据えており、人権をはじめ持続可能性に配慮し

た調達などを世界に先駆けて実現することが求

められています。こうした中で、人権ビジネスに

ついても、環境の後を追う形で市場が拡大して

いくことが予想されます。

企業は美徳や倫理だけでは動けません。しか

し経済合理性が認識できた場合、特に損益計

算書での営業利益より上に表示される項目に

影響があると把握されたとき、その対応力は急

速に高まります。ビジネスにおいて人権対応を

加速させるためには、数字で経営陣に示すこと

が何よりもパワフルなメッセージとなるでしょ

う。

CSR(企業の社会的責任)コストの範囲で漫然

と対応するのではなく、自社ビジネスの業績向

上のために社会課題解決に向き合う企業が増

えたとき、世の中は加速度的に良くなると確信

しています。

本レポートの続編においては、人権への取り組

みによるビジネスインパクトについて過去の人

権侵害による収益低減の事例、および今後の

重要な人権論点の経済効果を見ていきます。

執筆者

羽生田 慶介(はにゅうだけいすけ)

パートナー/執行役員

レギュラトリストラテジー リーダー

石井 麻梨(いしいまり)

コンサルタント

※上記の社名・役職・内容等は、掲載日時点の

ものとなります。

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近年、国連「ビジネスと人権に関する指導原

則」をはじめとした国際的な枠組みや「英国現

代奴隷法」などの各国の法令策定に見られる

ように、企業がサプライチェーンにおいて人権

に配慮することがますます求められています。

世界的に人権対応の重要性が高まる中、日本

企業においてはサプライチェーン上で人権侵害

が発生した場合のビジネスインパクトに対する

意識が低く、人権尊重への対応を行っていない

企業が多いと考えられます。

『人権と数字』の第2回では、米国系アパレル企

業及び日系自動車企業を事例に人権侵害のビ

ジネスインパクトがどの程度のものであるかを

示します。そして、企業倫理の論点のみならず、

事業収益の観点でも無視できないものとなって

いる人権尊重について企業が取るべき対応に

ついて解説します。

「ビジネスと人権」を巡る世界的な潮流

従来、人権保護は「国家の義務」として捉えら

れてきましたが、近年企業にも人権を尊重する

義務があるとの考え方が世界的な潮流となりつ

つあります。こうした考え方は国際的な枠組み

の指針になっているとともに各国の法令にも反

映され、日本企業にも影響を及ぼしつつありま

す。

(1)国際的な枠組み

国際的な枠組みについては、2011年に国連人

権理事会で承認された「ビジネスと人権に関す

る指導原則(以下「指導原則」)」がひとつの転

換点となりました。従来の「国際人権章典」

「ILO中核労働基準」などの国際的な枠組みは

人権保護を「国家の義務」として捉えているの

に対し、指導原則は初めて「企業の人権尊重」

を明記しているという点で画期的なものです。

同原則は企業に対して(1)人権尊重を盛り込ん

だ基本方針の表明、(2)人権への影響を特定、

防止、軽減、説明するための人権デューデリ

ジェンスプロセス、(3)人権への負の影響を是

正するためのプロセスを求めています。

指導原則に沿った企業行動を確保するため、

国連は各国に対し「ビジネスと人権に関する国

別行動計画」(National Action Plan(以下、

「NAP」))を策定することを推奨しており、既に

米国や英国、ドイツなど他の先進国はNAPを策

定済みです。

日本は2016年12月のジュネーブにおける第5

回国連「ビジネスと人権フォーラム」において

「来たる数年の間に」NAPを策定予定であるこ

とを表明し、今後ステークホルダー間での協議

を通してNAPの策定が進められていく予定で

す。

NAP自体は法的拘束力を持たないものの、他

国のNAPでは国内法の制定や改正に言及して

いるものが多く、基本的に国内法に反映される

と考えられます。日本でもNAPを通じて企業に

影響を及ぼす国内法が制定される可能性があ

り、今後NAPの内容がどのようなものになるの

か注視が必要となります。

(2)各国における法的枠組み

他方で、既に自国の国内法で企業の人権尊重

義務を定める国が出てきています。例えば米国

で2012年に制定されたカリフォルニア州サプラ

イチェーン透明法では、同州で事業を行う世界

売上高1億ドル(約112億円)以上の小売業者

や製造業者に、サプライチェーン上の強制労働、

児童労働、人身取引、奴隷労働をなくすために

努力し、その取組を開示することが求められて

います。

また、英国で2015年に制定された英国現代奴

隷法では、英国で事業を行う世界売上高3,600

万ポンド(約50億円)以上の企業に対して、グ

ローバルなサプライチェーン上における強制労

働や人身取引の有無やリスクを確認し、「奴隷

と人身取引に関する声明」を会計年度ごとに開

示する義務が課されています。

米国・英国に法人をおく日本企業や現地企業と

直接取引のある日本企業への影響もさることな

がら、間接的に取引のある二次サプライヤー、

三次サプライヤーの日本企業に対してもこれら

の法律の要求事項を満たすことが求められて

おり、各国でのルール化が進むことにより日本

企業への影響はますます大きくなっていきます。

人権を軽んじる企業には、1000億円以上失うリスクありシリーズ「人権と数字」第2回

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ビジネスインパクトはこんなに大きい

欧米諸国でのルール化の影響を受ける日本企

業が増える一方で、依然として日本企業の中で

は人権尊重に対する意識が低く、自ら抜本的な

人権対応を行うのではなく、取引先からの依頼

ベースで実施する表層的な対応に留まる企業

が多いのが現状です。

この背景には、他国のグローバル企業のように

国際NGOや市民社会の目にさらされてこな

かったがために、経営層において人権侵害の

ビジネスインパクトに対する危機感が薄いこと

があげられるでしょう。

しかし、2020年に東京オリンピック・パラリン

ピックを控え、日本企業のサプライチェーン上で

の人権尊重への対応に国内外のNGOや市民

社会から注目が集まりはじめている中、経営層

は人権侵害によるビジネスインパクトがどれだ

け大きいものであるのかを認識する必要があり

ます。

(1)3つのビジネスインパクト

まず、人権侵害が企業経営にどういったインパ

クトを与えるのかを考えてみたいと思います。

人権侵害が企業経営に与えるインパクトは三

つに分けられます。

第一は売上へのインパクトです。自社工場や生

産委託先のサプライヤーにおいて人権侵害が

発覚した結果、不買運動が発生し、売上高が

低下する場合や、工場停止・ストライキにより機

会損失が発生したことで予測よりも大幅に売上

高が下がってしまった場合がこれに相当しま

す。

特に不買運動が大々的に発生した場合には、

その時期におけるインパクトに留まらず、10年

20年経った後でも人々の記憶に残り続け、ブラ

ンド毀損のインパクトははかり知れません。

さらに、バングラデシュのラナプラザ・ビル倒壊

に見られたようにサプライヤーの労働安全や人

権尊重が守られなかったがために、人命を奪っ

たことによるブランドの毀損に加え、サプライ

ヤーの生産停止により自社の生産レベルの引

き下げを余儀なくされた場合もあります。

第二はコストへのインパクトです。児童労働や

強制労働をしていた場合の国に対する罰金コ

ストや、児童労働の是正に向け提供する助成

金など人権侵害に対する補償コストが発生する

場合がこれに当たります。

第三に投資へのインパクトがあります。投資の

意思決定において、従来型の財務情報だけを

重視するのではなく、環境・社会・ガバナンス

(企業統治)といった非財務情報も考慮する

ESG投資がグローバルに拡大する中、人権侵

害の発覚が投資判断のマイナス材料になるこ

とはもちろんの事、人権尊重への対応がなされ

ていないことも株主からの投資の減退につなが

ります。

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(2)人権侵害のビジネスインパクトを試算する

人権侵害のビジネスインパクトが定性的に語ら

れることは多いですが、企業行動の変革のた

めには、定量的な事業収益に対するネガティブ

影響に対する認識を広げることが肝要です。米

国系アパレル企業と日系自動車企業を事例に

人権侵害によるビジネスインパクトを見てみた

いと思います。

1. 米国系アパレル企業の事例

1997年、米国系アパレル企業の委託先である

インドネシアやベトナムの工場において日常的

に児童労働が用いられていることが発覚しまし

た。具体的には、就労年齢に達していない少女

達が低賃金で強制的に労働させられていた他、

少女達への日常的な性的暴行や尊厳を傷つけ

るような行為の強要が行われていました。

こうした事実を国際NGOが摘発したことをきっ

かけとして世界的に不買運動が広がり、「犯罪

企業」などの悪評がメディアやインターネットに

流出したのです。その結果、児童労働が発覚

するまでは競合他社と比べても著しい成長を遂

げていたものの、売上高は急激に落ち込みまし

た。

この人権侵害に起因する不買運動の売上高へ

のインパクトを定量的に測るために、同社の売

上高が人権侵害の発覚時と同程度にまで戻る

までの期間の「仮に不買運動が発生していな

かった場合の売上高予測値」から、人権侵害に

よるインパクトを算出しました。

ここでお伝えしておきたいのは、人権侵害によ

るビジネスインパクトを測る際に、単に人権侵

害が発覚した前後、つまり1997年前後の売上

高を比べるだけでは十分ではないということで

す。

というのも、売上減少の理由としてアパレル市

場の停滞や事業の売却など、不買運動以外の

要因の可能性もあり、アパレル市場全体の傾

向や当該企業の事業体制の変化を踏まえた計

算が必要になるからです。

「仮に不買運動が発生していなかった場合の売

上高予測値」を算出した結果、米国系アパレル

企業が人権侵害によって失った売上高(1998

年〜2002年の5年間累計)は約12,180百万ド

ル、日本円で約1兆3,764億円に及ぶことが分

かりました(下図表)。これは同企業の連結売

上高の約26%に相当し、企業経営にとって致

命的な規模です。

*1: 米国・米国以外の市場に区分して算出。米国市場の靴の売上高: 1998~99年はCAGR17.2%(1993~97年の同企業の米国市場靴売上高CAGR)、2000~02年はCAGR5.0%(2002~06年の同企業の米国市場靴売上高CAGR)を用いて算出。米国市場のその他製品売上高: CAGR3.7%(1997~02年の米国スポーツ用品市場全体の売上高CAGR)を用いて算出。米国以外の市場:

CAGR7.4%(米国以外の市場のスポーツ用品市場全体の売上高CAGR)*2: 1USD=113円(2017年2月現在)で算出出所: 各社の財務諸表を基にDeloitte分析

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2. 日系自動車企業の事例

日系自動車企業のインド工場で2012年に暴力

的行為や差別的発言をきっかけに従業員が暴

徒化し、1ヵ月以上もの工場停止にまで至る労

使紛争が発生しました。このインドにおける日

系自動車企業の労使紛争は日本の報道でも取

り上げられ、またインドに進出する他の日本企

業にとっても他人事ではないことから、大きな関

心を呼びました。

未だに差別意識や階級格差が根付くインドにお

いて労使問題の根は深く、ストライキや暴力を

伴う争議が多く見られます。企業側がストライ

キの発生を防ぐため、労働組合の結成を拒否

する、組合に加入しないことを労働者に求める、

又は反発した労働者を解雇に追い込むなどの

形で労働者の人権侵害がしばしば見受けられ

ます。

当該事例は、インド工場に勤務する労働者と班

長との間での仕事のやり方についての口論が

きっかけとなりました。班長がカースト名で労働

者を呼び、労働者に対して暴力的行為や差別

的な発言をし、これに対して労働者が暴力を振

るいました。

企業側は作業現場で労働者が班長に暴行を働

いたことを理由に、事件を調査することなく労働

者を停職処分とし、班長への処分はありません

でした。

組合側は労働者の停職処分の取り消しを求め

ましたが、企業側が拒否しました。このような会

社の対応に対して暴徒化した労働者が事務所

を放火し、機材設備が損傷したことに加え、逃

げ遅れた人事部長が死亡しました。

結果、インド工場は1ヵ月以上もの間生産停止

となり、大きな機会損失が生じました。仮に工

場が稼働していたと想定してこの機会損失を算

出すると、同日系自動車企業のインド子会社が

失った売上高は約1,330億円で、2012年インド

子会社単体売上高の約16%相当となります 。

不買運動のビジネスインパクトには及ばないも

のの、一法人が差別的発言や労働者の人権無

視により失った売上としては非常にインパクト

が大きいことがわかります。

企業にはなにが求められているのか

日本企業にとって、児童労働や強制労働など、

サプライチェーン上で発生する人権侵害は一見

自社とは関係ない問題とも捉えられがちかもし

れません。しかし例えばアパレル製品の原料と

なる綿花の授粉作業、チョコレートの原料とな

るカカオの収穫作業など、日本企業のサプライ

チェーンのどこかで子供が過酷な労働に従事し

ている可能性があります。

上記の事例から見てとることができるように、サ

プライチェーン上の人権侵害のビジネスインパ

クトは企業経営にとってけして無視することが

できないものです。

企業としてはこうしたインパクトの大きさを認識

した上で、最低限の取組として人権方針や

CSR調達基準などの策定により人権を尊重す

る責任を果たすというコミットメントを示し、人権

への負の影響を防止・是正するためのプロセス

を確立する必要があります。

人権への負の影響を防止・是正するための具

体的なプロセスとしては、例えば人権方針や

CSR調達基準について自社内や取引先で研修

などを通じた意識啓発をはかったり、これらの

方針・基準が自社や取引先の企業で守られて

いるかどうかを定期的にモニタリングしたりする

ことが挙げられます。

さらには、人権尊重の対応を単なるコストとして

捉えるのではなく、事業競争力の強化や社会

貢献を通じた市場拡大のためのCSV

(Creating Shared Value)戦略として位置付け

ることも、ブランド価値の向上や他社との差別

化を図る観点から重要な取組です。

例えば紛争鉱物を使用しない携帯電話のよう

な、人権に対応した新商品の開発など、イノ

ベーションを通じて人権課題や貧困をはじめと

する世界の社会課題を解決する事業への投資

を行い、経済価値と社会価値を同時に追求して

いくことが、これからのグローバル企業に求め

られています。

企業の倫理観に対する啓発だけでは、人権問

題をはじめとする社会課題は非連続に解決さ

れません。社会課題の解決に資する取組が、

個々の企業の経済合理性にもかなうことを証

明することが必要なのです。

執筆者

羽生田 慶介(はにゅうだけいすけ)

パートナー/執行役員

レギュラトリストラテジー リーダー

石曽根 道子(いしそねみちこ)

シニアコンサルタント(執筆当時)

※現 デロイト オランダ

石井 麻梨(いしいまり)

コンサルタント

※上記の社名・役職・内容等は、掲載日

時点のものとなります。

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同時開催、議論はあるけれど

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催

まで1000日を切り、カウントダウンも始まりまし

た。東京大会では7月24日~8月9日にオリン

ピック、8月25日~9月6日にパラリンピックを開

催する予定で準備が進められています。

ところで、現在準備されている開催プログラム

において、今日「当然」と考えられていることで、

かつてはそうではなかったことがあります。それ

は、男女の同権です。いま、男性と女性がひと

つの大会に出場することを疑問に感じる人は少

ないでしょう。

しかし、1896年ギリシャのアテネで開催された

第1回オリンピックでは女性の出場は認められ

ておらず、出場選手241名全員が男性でした。

女性の参加は第2回で一部種目が始まり、

2012年のロンドン大会のボクシングで女子種

目が採用されたことで、ついに全競技で男女が

参加する種目が行われるようになりました。

他方、いまだ議論が十分成熟していないアジェ

ンダが、健常者と障がい者の問題です。

オリンピックとパラリンピックの同時開催、即ち

健常者と障がい者の区別をなくすアイデアが時

折提唱されますが、シリーズ『人権と数字』の第

3回となる本レポートでは、近い将来、人権に関

係の深いこの論点の議論が進み、オリンピック

とパラリンピックが同時開催された場合、どれ

だけの経済効果が生まれるか、といった点につ

いて実際に試算し、その意味合いを考えてみま

す。

なお、ここで想定する「同時開催」は、現状のオ

リンピック期間にパラリンピックの一部を統合す

るといった形ではなく、同じ競技場でオリンピッ

ク・パラリンピックの種目を同時に実施していく

「完全統合」のケースです。

結論を先にして、今回行った試算を明かすと、

仮に2020年東京大会で同時開催を行ったと仮

定した場合の経済効果は、会期中だけでも

1,000億円以上と見込まれます。さらに、記念

すべき世界初の同時開催の大会となれば、大

会後のレガシー(遺産)による経済効果(東京

都の試算によれば2030年までで約27兆円)が

さらに増加することも期待できます。

「同時開催」の例はある

オリンピック・パラリンピック同時開催は容易で

ないとの見方も多くあります。例えばオリンピッ

ク委員会は、パラリンピックから一部の競技や

種目を選んで、現状のオリンピックの期間内で

両ゲームを行う場合を「同時開催」のひとつの

形として想定しつつ、この場合には競技数の多

い種目を期間内に終えることが難しくなること、

競技場の増設が必要になること等の問題点を

挙げています。

また、英国のパラリンピック選手であるTanni

Grey-Thompson氏はBBCのインタビューにお

いて、仮にパラリンピックのうちのごく少数の競

技だけをオリンピックに取り入れる形で「同時開

催」した場合、パラリンピックがオリンピックに

よってその存在を消されてしまうことを懸念して

います。たしかに現状のオリンピック期間にパ

ラリンピックを一部統合するという形で「同時開

催」を行う場合は上に挙げられているような問

題が生じるでしょう。

しかし本来、人権的な見地で目指すべき「同時

開催」とは、上述のようなオリンピックをメインと

し、パラリンピックを付帯イベントとするべきでは

ありません。双方が区別なく同じ扱いの競技と

して開催されるもののはずです。

そう考えた場合、オリンピック、パラリンピックそ

れぞれ固有の競技についてはともかく、両者に

共通する競技については、オリンピックとパラリ

ンピックの種目を同じ会場で順次実施するとい

う「完全統合」形(この場合、当然にして開催期

間は現在のオリンピックのみの期間にはおさま

らない)が考えられます。

実際このような形で「同時開催」を行っている国

際スポーツ大会も存在します。英連邦に所属す

る国や地域が参加し4年ごとに開催される競技

大会である「コモンウェルス・ゲームズ

(Commonwealth Games)」です。

同大会では複数の競技についてパラスポーツ

がひとつの種目として位置付けられています。

例えば2014年にグラスゴーで開催された大会

の日程表を見ると、水泳ではある1日の間に男

子100m自由、50m背泳ぎが行われた後、男子

パラスポーツの200m自由が、陸上でも女子

100m、400mが行われた後に、女子パラス

ポーツの100mが行われるといった形での運用

がされています。

東京五輪「オリ・パラ同時開催」の経済効果を試算してみたシリーズ「人権と数字」第3回

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同時開催の経済効果を見てみよう

ここで東京オリンピック・パラリンピックを仮にコ

モンウェルス・ゲームズのような「完全統合」方

式で同時開催した場合に、どの程度の経済効

果が見込まれるかを見てみましょう。

まずは、前提となる会期が「同時開催」の場合

に現状からどのように変化するかを考えます。

オリンピック(17日間)とパラリンピック(13日

間)の開催期間を単純に合計すると30日間とな

りますが、同時開催の場合の会期はこれよりも

少し短くなると想定されます。まず、パラリンピッ

クでは本来13日間で22競技を実施しますが、

オリンピックと会場が異なる8競技についてはオ

リンピック開催期間中に同時に実施し、会場が

同じ14競技については追加で約8日間かかると

仮定します。

また、開会式と閉会式を一本化すると開会式と

閉会式を開催するために必要となる約1日分開

催日数が減少します。以上を踏まえると、同時

開催の場合の開催期間は24日間になると見込

まれます。なお、個々の競技日程が全体として

長期化する(予選と決勝の日程が離れる)こと

による選手のコンディション管理(ピークマネジ

メント)へのケアが必要である点には留意すべ

きです。

オリンピック・パラリンピック同時開催の場合に想定される会期の変化

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3つの要素で売上増加

次に会期中に見込まれるインパクトを売上・コ

ストに分けて検討します(図2)。売上サイドでは

大きく3つの要素が売上の増加に貢献します。

第一の要素は、同時開催によるパラリンピック

の放映権収入の大幅な上昇です。「オリ・パラ」

が同一コンテンツとなることでパラスポーツの

世界的な視聴が増加し、現状ではオリンピック

の1%にも満たないパラリンピックの放映権単

価が上がる(注1)と期待されます。加えて、「同時

開催」という歴史的なイベントは視聴率の上昇

をもたらす効果(注2)もあるでしょう。

第二の要素は、スポンサー料の増加です。「一

業種・一社」原則を維持する場合、これまでの

パラリンピック限定のローカルスポンサー枠が

なくなることで、スポンサー総数は減少する可

能性がありますが、上述の放映権単価アップと

同様、よりビジネスにおける求心力が高まる

「同時開催」コンテンツとして個々のスポンサー

単価も(個別企業の支出予算が許す範囲で)上

がることが期待できます。

第三の要素は、パラリンピックの1枚当たりのチ

ケット単価のアップです。「オリ・パラ」がひとつ

のイベントとなることで、パラスポーツ観覧者の

チケット単価がオリンピックと同程度に上がるこ

とによる収入増です。

他方、「同時開催」することでコストも変化せざ

るを得ません。オリンピックスポーツとパラス

ポーツを交互に進行させるに際し、リーグ戦や

トーナメント方式の競技の必要日程が一部長

期化する可能性があります(注3)。これにより、

一部(注4)の選手やコーチ・監督の選手村宿泊

日数が長期化することによるコスト増が想定さ

れます。また、パラスポーツの報道に向けたメ

ディアセンターコストがオリンピック並みに上昇

する可能性も考慮する必要があります。

(注1)本試算では理論値としてオリンピックと同

程度と想定

(注2)本試算では2000年以降の最高平均視

聴率だったシドニー五輪と同程度まで上がると

想定

(注3)例えばこれまで準々決勝と準決勝が同

日に行われていた競技が、準決勝が翌日にな

る等

(注4)決勝など競技の終盤日程まで拘束され

る選手および関連するコーチ・監督など役員

オリンピック・パラリンピック同時開催の場合の会期中のインパクト

出所:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会立候補ファイル(財政)の予算等に基づきDTCにおいて試算

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レガシー効果も大きい

他方、コストダウンする項目もあります。開会

式・閉会式の一本化により式典開催費が削減

されるでしょう。

なお、オリンピック・パラリンピックで同じ会場を

使用する14競技については、オリンピックとパ

ラリンピックの競技入れ替えの際に用具を出し

入れしなければならないものもありますが、大

幅な設備の変更を要するものはほぼないと考

え、追加的な設備投資コストは発生しないとい

う前提を置くこととします。

全体の開催期間は、現行のオリンピックとパラ

リンピックの会期に準ずる長さで進行すること

から、競技会場の追加的な建設は原則必要あ

りません。

以上を踏まえて同時開催の定量的なインパクト

を算出した結果、売上が約1,077億円アップし、

同時にコストが約36億円アップと計算されます。

両者を合わせることで算出されるインパクトを

見ると、会期中だけでも1,041億円の経済効果

が見込まれることが明らかになりました。

さらに、会期後に東京にもたらされるレガシー

(遺産)効果も無視できません。東京都の試算

によると大会後10年間のレガシー効果は約27

兆円程度と見積もられていますが、東京がオリ

ンピック・パラリンピック同時開催を世界で初め

て行った都市となることによって、当該効果はさ

らに増加することが予想されます。

2020年東京大会の開催方法については、既に

相当程度が確定された段階となっており、今回

想定した「オリンピック・パラリンピック同時開

催」が議論の俎上にあがる可能性はほぼない

でしょう。しかし、人権的な見地で提唱されたこ

のアイデアも、今回述べたような様式で「十分な

経済合理性を持つ」と立証されれば、近い将来

現実となるかもしれません。

人権への対応が新たなビジネスを作る。社会

や企業がそう認識することが、社会課題の解決

を加速する糸口になるはずです。本シリーズが

伝えた「人権と数字」が、更なる人権課題解決

の動きに繋がれば幸いです。

執筆者

羽生田 慶介(はにゅうだけいすけ)

パートナー/執行役員

レギュラトリストラテジー リーダー

石井 麻梨(いしいまり)

コンサルタント

※上記の社名・役職・内容等は、掲載日

時点のものとなります。

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デロイト トーマツ グループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任

会社)のメンバーファームであるデロイト トーマツ合同会社およびそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト

トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社を含む)の総称で

す。デロイト トーマツ グループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそ

れぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザ

リー、税務、法務等を提供しています。また、国内約40都市に約11,000名の専門家を擁し、多国籍企業や主要な日

本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト( www.deloitte.com/jp )をご覧くだ

さい。

Deloitte(デロイト)は、監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、リスクアドバイ

ザリー、税務およびこれらに関連するサービスを、さまざまな業種にわたる上場・非上場のクライアントに提供してい

ます。全世界150を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じ、デロイトは、高度に複合化されたビジネ

スに取り組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスをFortune

Global 500® の8割の企業に提供しています。“Making an impact that matters”を自らの使命とするデロイトの約

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