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原子分子の振動 原子分子の振動

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原子分子の振動二原子分子の振動

調和振動子

復習

調和振動子(古典的)

フックの法則

平衡位置x=0へ戻る力

ばね定数(力の定数)

積分するとポテンシャルが得られる

調和振動子(量子的)ハミルトニアン

重要重要

エネルギー準位(量子数で指定 v)

零点エネルギー零点

エネルギー差

13 9分子振動13.9 分子振動

k :力の定数 x:変位 Re: 平衡位置(Vの極小)

分子ポテンシャルをRe近傍でテイラ 展開するテイラー展開する

分子ポテンシャルは調和振動して近似できる

2原子分子の振動のSD方程式(原子の質量はm1、m2)

重要

実効質量

エネルギー

振動項(波数) でエネルギ を表示振動項(波数) でエネルギーを表示

実効質量

原子 質量差が多 場合2原子の質量差が多い場合 m1 << m2, 

meff ≈ m1m1m2

m ff

m1 = m2,2原子の質量が同じ(差が0)場合

meff

m2 m12 1

力の定数とポテンシャル

13.10 選択律

選択概律 重要

原子が他の原子に相対的に変位するときに、分子の電気双極子モーメントが変化しなければならない

重要

双極子モ メントが変化しなければならない

電気双極子モーメントを変化させる振動モードが存在する

CO2, OCS, H2O, CH2=CH2, and C6H6赤外活性

赤外不活性 N2

赤外活性な振動モ ドを持つ分子はどれか?赤外活性な振動モードを持つ分子はどれか?

H2, NO, N2O, and CH4 CO2の赤外活性の振動モ ド振動モード

個別選択律

重要

Δυ = +1 赤外光吸収Δυ = −1 赤外光発光

個別選択律より許容な光の波数は

大抵の分子の振動のエネルギー(波数)は室温のエネルギー(波数)は kT/hc ≈ 200 cm−1より大きいので、ほぼ基本遷移1 ← 0のみ起こる。

赤外スペクトルの選択律

選択概律

分子の電子双極子モーメント演算子μは核間距離が変わると変化する。核間距離xが少し変化する場合(テイラー展開して….)核間距離xが少し変化する場合(テイラ 展開して….)

振動の波動関数の直交性のため0になる

積分 の計算

エルミート多項式の漸化式

υf = υi − 1 でなければ0

υf = υi + 1でなければ0

個別選択律よって Δυ = ±1 個別選択律

エルミート多項式の性質

漸化式

直交関係

13.11 非調和性

実際の分子ポテンシャルは調和ポテンシャルではない(非調和ポテンシャルである)(非調和ポテンシャルである)

(a)エネルギー準位の収束(a) エネルギ 準位の収束

モースポテンシャル SD方程式が解析的に解ける非調和ポテンシャルモ スポテンシャル SD方程式が解析的に解ける非調和ポテンシャル

モースポテンシャル振動子の振動エネルギー準位(波数)

解離極限とポテンシャル極小のエネルギー差

エネルギー準位は等間隔ではない高くなる程間隔は小さくなる

解離エネルギー は零点エネルギーのため より小さくなる解離エネルギ は零点エネルギ のため より小さくなる

非調和性が強くなると個別選択律が破れΔυ > 1の遷移が可能になる。

Δυ=±1         基音Δυ=±2    2倍音Δυ=±3 3倍音……….

(b)ビルゲスポーナープロット(b) ビルゲスポ ナ プロット

解離エネルギー 決定するを作図法

13.12 振動回転スペクトル

個別選択律

重要

Δυ = +1 赤外光吸収Δυ = −1 赤外光発光

個別選択律より許容な光の波数は

大抵の分子の振動のエネルギー(波数)は室温のエネルギー(波数)は kT/hc ≈ 200 cm−1より大きいので、ほぼ基本遷移1 ← 0のみ起こる。

非調和性が強くなると個別選択律が破れΔυ > 1の遷移が可能になる。

Δυ=±1         基音Δυ=±2    2倍音Δυ=±3 3倍音……….

(a)スペクトルの枝

振動スペクトルには回転構造も現れるHClの振動回転スペクトル

1← 0振動回転項 = 振動項 + 回転項

υ = 1 ← υ =0(赤外吸収スペクトル)

二原子分子の振動回転項

重要重要

回転項の差

重要要

回転項の差(回転準位エネルギー差)は転量 数 増加 も 広がる回転量子数の増加とともに広がる

2B, 4B, 6B, 8B, ,,,,,,,,

純回転スペクトル重要重要

エネルギー(波数)は

2B, 4B, 6B, 8B, ,,,,,,,

スペクトルの間隔は 2B

つまり純回転スペクトルからは

その分子の回転定数 B が得られる

回転定数 Bから慣性モーメントが得られる。

振動スペクトルには3つの枝がある

重要υ + 1 ← υ遷移において

P枝 ΔJ = −1 低波数方向に

遷移 お

Q 枝 ΔJ = 0     ほとんど1本

R枝 ΔJ = 0 高波数方向に

Q枝は分子軸周りに電子軌道角運動量Q 枝は分子軸周りに電子軌道角運動量を持つ場合のみ現れる(例 NO基底状態 Π)

NO HCl

(b)結合差

想的な分理想的な分子(剛体回転子+調和振動子)

実際の分子

振動励起状態の回転定数B < 振動基底状態の回転定数B

実際の分子

振動励起状態の回転定数Bv < 振動基底状態の回転定数B0

振動励起状態では非調和性のため結合が伸びるから(慣性モーメントが大きくなる)伸びるから(慣性モ メントが大きくなる)

実際の分子スペクトル線の間隔

Jともに広がる

本線から密集した束状になる一本線から密集した束状になる

Jともに狭くなる

と を別々に求めるにはと を別々に求めるには

1H35Cl1H35Cl 

13.13 二原子分子の振動ラマンスペクトル

二原子分子の振動ラマンスペクトル 重要

選択概律:分子が振動するときに分極率が変化しなければならない

個別選択律: Δυ = ±1 ΔJ = 0, ±2 (回転ラマンと同様)

O 枝 (ΔJ = −2), 

Q 枝 (ΔJ = 0), 

S枝 (ΔJ 2)S枝 (ΔJ = +2):

あらゆる直線分子でQ枝が観測される(赤外吸収とは異なる)

の振動ラマンスペクトルCOの振動ラマンスペクトル

重要振動スペクトル(赤外吸収、ラマン)から分子の何がわかるのか? 重要分子の何がわかるのか?

力の定数、結合距離、解離エネルギー

2原子分子の振動のSD方程式(原子の質量はm1、m2)

重要

実効質量

エネルギー

振動項(波数) でエネルギ を表示振動項(波数) でエネルギーを表示

エネルギー準位は等間隔ではない高くなる程間隔は小さくなる

解離エネルギー は零点エネルギーのため より小さくなる解離エネルギ は零点エネルギ のため より小さくなる

多原子分子の振動

13.14 基準振動

自由度 3N − 6= 3x5‐6=9 

3N     N:原子の数

並進並進(x,y,z): 3回転(x軸,y軸):     2回転(x軸,y軸,z軸):   3

振動

y

非直線分子 3N − 6直線分子 3N − 5 直線分子

重要重要

基準振動 独立した振動

H2O(非直線多原子分子) 重要3N‐5= 3x3‐6=3振動の自由度 3 

全対称伸縮振動

3つの基準振動

変角振動

振動数低い

反対称伸縮振動

基準振動 独立した振動

重要

CO2(直線多原子分子)

3N‐5= 3x3‐5=4振動の自由度 4 

全対称伸縮振動

4つの基準振動反対称伸縮振動

変角振動

振動数低い振動数低い

変角変角

全対称伸縮逆対称伸縮

変角

逆対称伸縮逆対称伸縮 逆対称伸縮

CO2 全対称伸縮CO2 全対称伸縮1388cm‐1  ???

相互禁制律分子が対称中心をもっていれば、 重要赤外、ラマン両方に活性になれるモードはない

重要

全対称伸縮振動 反対称伸縮振動 変角振動

赤外不活性 (dμ/dQ) = 0 赤外活性 (dμ/dQ) ≠ 0 赤外活性 (dμ/dQ) ≠ 0赤外不活性 (dμ/dQ)   0Raman活性 (dα/dQ)0 ≠ 0

赤外活性 (dμ/dQ) ≠ 0Raman不活性(dα/dQ)0 = 0

赤外活性 (dμ/dQ) ≠ 0Raman不活性(dα/dQ)0 = 0

H OH2O

C6H6の基準振動(振動モード)の数は?

群論と振動モードの赤外・ラマン活性

CH4,  点群 Td.

赤外活性 T2

ラマン活性 A1, E, T21, , 2