Í 知っていますか? 樹木のこと ·...

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2 3 !! とりころーる2○3月号 とりころーる2○3月号 知っていますか? 樹 木 のこと 私たちの生活に欠かせない樹木。公園や道路にも植えられ、私たちが住む家やさまざまな道具にも木材が使われていますよね。 人間の生活になじみ深い樹木について、あ な た は ど のく ら い 知っていますか?今回はそんな樹木について、解説します。 タンポポ、コスモス、バナナ、サクラのうち、樹木はどれでしょ うか?正解は、サクラです。いったいどこが違うのでしょうか?そ れは、年輪があるかどうかなのです。(バナナは茎が重なっている だけなので、草なんです!)樹木とは、幹が毎年太って大きくなる 植物のことで、その生長の積み重ねで年輪ができるのです。 樹木は周囲の環境が良ければとても長生きする植物で、神社やお 寺にある樹木のように数百年も生きている樹木もあります。日本の 屋久島にある縄文杉は樹齢約 2,000 年ともいわれており、世界には なんと樹齢約 5,000 年にもなる樹木もあるようです。 樹木をはじめとして植物は、太陽の光と、空気中の二酸化炭素、 根から吸い上げた水を使って、葉の中の葉緑体というところで糖 分を作って栄養としています。そのとき、一緒に酸素が作られ、 葉に開いている小さな穴から外に吐き出されています。葉で作ら れた栄養は、樹木の生長や果実・種子を作るために使われます。 また、光合成は二酸化炭素を吸収して酸素を排出するため、体が 大きく光合成をたくさんする樹木は地球温暖化の抑制にも一役 買っています。 樹木を眺めたり木陰で休んだりしていると、なんだか落ち着きま すよね。樹木には、彩りや季節感をもたらして景観を向上させたり、 周囲の気温や湿度を調節したり、二酸化炭素や有害物質を吸収した りするなど、周囲に与える良い影響がたくさんありますいいことずくめの樹木ですが、生育する環境が良いと、想像以上 に大きく生長します。何年も経過し樹木が大きくなると、周囲の樹 木同士で光を求めて競い合い、負けた方はいずれ自分の体を支えき れなくなり、倒れてしまうかもしれません。また、樹木の活力が落 ちれば、菌(きのこ)や虫が幹に入り、幹が腐って柔らかくなった後、 倒木してしまうこともあります。 自然界では、それにより新たな生態系が形成されますが、公園の 場合は倒木によって園路をふさいだり、通行人が怪我をする恐れも あります。そのため、公園樹や街路樹は定期的にせん定したり、倒 れそうな樹木を伐採する必要があるのです。 それとは別に、公園にはあまり適していない樹木もあります。繁 殖力の強い外来種であるトウネズミモチや、根の張り方が浅くて倒 れやすいハリエンジュ(ニセアカシア)のほか、トゲがある樹木や 害虫がつきやすい樹木なども危険です。 公園や街にある樹木にも、いろいろな種類があります。でも、じっくり観察してみないと、どれも同じように 見えますよね。そんな時、樹木を見分ける方法は、 葉を見ることです。葉には樹木ごとに異なった特徴が出やすく、 落葉する時期を除いて長期間にわたり観察することができます。上の写真のように分け、さらに葉の特徴や葉の 付き方を図鑑で調べていくと、意外と簡単に樹木の名前がわかります。 現在は、葉で樹木を見分けることができる図鑑が出版されているので、そうしたものを 1 冊手にとってみるの もいいですね。それでもわからないものがあれば、泉の森の自然観察センター・しらかしのいえグリーンアッ プセンターのみどりの相談窓口をご利用ください。 泉の森は、約 42 ヘクタールと江ノ島(約 38 ヘクタール)と同 じくらいの面積があり、大和市内で 1 番大きい、自然豊かな公園 です。引地川の源流となる水源地があることで、池や小川、林な ど公園内には多様な環境があり、いろいろな生きものが生活して います。 樹木を見てみると、かつて木材を生産するために植林されたス ギやヒノキなどの常緑針葉樹が多く残されています。常緑樹は 1 年を通して葉がついているため、常緑樹林はうっそうとした暗い となります。夏は涼しくて良いかもしれませんが、冬は寒くて 近寄りがたいです。常緑樹を好む生きものもいますが、常緑樹林 の地面には光が届かないので草が少なく、多くの生きものにとっ て利用しにくい環境でもあります。 そのため、泉の森では人にとっても生きものにとっても利用し やすい公園を目指し、一部のエリアで外来の常緑樹を伐採するな ど落葉樹とのバランスを考えて管理をしています。 広い葉を持つ 広葉樹 針のように細い葉を持つ スギ(常緑針葉樹) シラカシ(常緑広葉樹) 針葉樹 落葉広葉樹/サクラ、ケヤキ、モミジなど 常緑広葉樹/シラカシ、クスノキ、マテバシイなど 落葉針葉樹/カラマツ、ラクウショウ、メタセコイアなど 常緑針葉樹/スギ、ヒノキ、マツなど トウネズミモチ 特集 葉の形による分け方 落葉樹 1 年中葉がついている 常緑樹 葉の落ち方による分け方 イロハモミジ(落葉広葉樹) 冬にすべての葉が落ちる スギ(常緑針葉樹) 樹木管理をしていない林 適正な樹木管理をしている林 樹木ってどんな植物? 公園の樹木 樹木は「葉」で見分けよう! 泉の森の樹木管理 ハリエンジュ 二酸化炭素 酸素 樹皮 じゅ ひ へん ざい 辺材 心材 しん ざい 形成層 けい せい そう 養分 養分 養分 栄養分が形成層を通って 下降し各部に分配 水と養分が辺材部を 通って上昇

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Page 1: Í 知っていますか? 樹木のこと · 冬といえば雪、雪といえば山、雪山といったらスノーボード !!今年はこどもが生まれたので、そりで滑走したいと思います!(温水プール

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冬といえば雪、雪といえば山、雪山といったらスノーボード!!今年はこどもが生まれたので、そりで滑走したいと思います!(温水プール 

Smile)

とある理由で毎年スキー場へ行きますが、あたたかいホテルからゲレンデを眺めて、冬景色を堪能しています。しかし、ウインタースポーツは一切やりません(笑)(大和スポーツセンター 

ローズ)

とりころーる2○3月号 とりころーる2○3月号

知っていますか? 樹木のこと私たちの生活に欠かせない樹木。公園や道路にも植えられ、私たちが住む家やさまざまな道具にも木材が使われていますよね。

  人間の生活になじみ深い樹木について、あなたはどのくらい知っていますか?今回はそんな樹木について、解説します。

 タンポポ、コスモス、バナナ、サクラのうち、樹木はどれでしょうか?正解は、サクラです。いったいどこが違うのでしょうか?それは、年輪があるかどうかなのです。(バナナは茎が重なっているだけなので、草なんです!)樹木とは、幹が毎年太って大きくなる植物のことで、その生長の積み重ねで年輪ができるのです。 樹木は周囲の環境が良ければとても長生きする植物で、神社やお寺にある樹木のように数百年も生きている樹木もあります。日本の屋久島にある縄文杉は樹齢約 2,000 年ともいわれており、世界にはなんと樹齢約 5,000 年にもなる樹木もあるようです。

 樹木をはじめとして植物は、太陽の光と、空気中の二酸化炭素、根から吸い上げた水を使って、葉の中の葉緑体というところで糖分を作って栄養としています。そのとき、一緒に酸素が作られ、葉に開いている小さな穴から外に吐き出されています。葉で作られた栄養は、樹木の生長や果実・種子を作るために使われます。また、光合成は二酸化炭素を吸収して酸素を排出するため、体が大きく光合成をたくさんする樹木は地球温暖化の抑制にも一役買っています。

 樹木を眺めたり木陰で休んだりしていると、なんだか落ち着きますよね。樹木には、彩りや季節感をもたらして景観を向上させたり、周囲の気温や湿度を調節したり、二酸化炭素や有害物質を吸収したりするなど、周囲に与える良い影響がたくさんあります。 いいことずくめの樹木ですが、生育する環境が良いと、想像以上に大きく生長します。何年も経過し樹木が大きくなると、周囲の樹木同士で光を求めて競い合い、負けた方はいずれ自分の体を支えきれなくなり、倒れてしまうかもしれません。また、樹木の活力が落ちれば、菌(きのこ)や虫が幹に入り、幹が腐って柔らかくなった後、倒木してしまうこともあります。

 自然界では、それにより新たな生態系が形成されますが、公園の場合は倒木によって園路をふさいだり、通行人が怪我をする恐れもあります。そのため、公園樹や街路樹は定期的にせん定したり、倒れそうな樹木を伐採する必要があるのです。 それとは別に、公園にはあまり適していない樹木もあります。繁殖力の強い外来種であるトウネズミモチや、根の張り方が浅くて倒れやすいハリエンジュ(ニセアカシア)のほか、トゲがある樹木や害虫がつきやすい樹木なども危険です。

 公園や街にある樹木にも、いろいろな種類があります。でも、じっくり観察してみないと、どれも同じように見えますよね。そんな時、樹木を見分ける方法は、葉を見ることです。葉には樹木ごとに異なった特徴が出やすく、落葉する時期を除いて長期間にわたり観察することができます。上の写真のように分け、さらに葉の特徴や葉の付き方を図鑑で調べていくと、意外と簡単に樹木の名前がわかります。 現在は、葉で樹木を見分けることができる図鑑が出版されているので、そうしたものを 1 冊手にとってみるのもいいですね。それでもわからないものがあれば、泉の森の自然観察センター・しらかしのいえやグリーンアップセンターのみどりの相談窓口をご利用ください。

 泉の森は、約 42 ヘクタールと江ノ島(約 38 ヘクタール)と同じくらいの面積があり、大和市内で 1 番大きい、自然豊かな公園です。引地川の源流となる水源地があることで、池や小川、林など公園内には多様な環境があり、いろいろな生きものが生活しています。 樹木を見てみると、かつて木材を生産するために植林されたスギやヒノキなどの常緑針葉樹が多く残されています。常緑樹は 1年を通して葉がついているため、常緑樹林はうっそうとした暗い林となります。夏は涼しくて良いかもしれませんが、冬は寒くて近寄りがたいです。常緑樹を好む生きものもいますが、常緑樹林の地面には光が届かないので草が少なく、多くの生きものにとって利用しにくい環境でもあります。 そのため、泉の森では人にとっても生きものにとっても利用しやすい公園を目指し、一部のエリアで外来の常緑樹を伐採するなど落葉樹とのバランスを考えて管理をしています。

広い葉を持つ

広葉樹

針のように細い葉を持つ

スギ(常緑針葉樹)シラカシ(常緑広葉樹)

針葉樹

落葉広葉樹/サクラ、ケヤキ、モミジなど常緑広葉樹/シラカシ、クスノキ、マテバシイなど

落葉針葉樹/カラマツ、ラクウショウ、メタセコイアなど常緑針葉樹/スギ、ヒノキ、マツなど

トウネズミモチ

特集

葉の形による分け方

落葉樹

1 年中葉がついている

常緑樹

葉の落ち方による分け方

イロハモミジ(落葉広葉樹)

冬にすべての葉が落ちる

スギ(常緑針葉樹)

樹木管理をしていない林

適正な樹木管理をしている林

樹木ってどんな植物?

公園の樹木

樹木は「葉」で見分けよう!

泉の森の樹木管理

ハリエンジュ

二酸化炭素酸素

水水

樹皮じゅ ひ

へんざい

辺材

心材しんざい

形成層けい せい そう

養分養分養分

栄養分が形成層を通って下降し各部に分配

水と養分が辺材部を通って上昇