妻 ひょうごの小松正紀(中央農技・園芸部)...

16
br n畠q〕44属〕ハb 16 789 普及情報 耕言畜連携による堆肥の地域内流通をめざして ひょうごの 研究成果の紹介 1これがレタスビッグベイン病の病原ウイルス..‘ 2良食味・多収の水稲極早生系統「兵系69号」の育成..‘ 3極早生酒米品種の玄米,1iiI,質と気温.との関係..…‘ NQ1152001.5.特集軟弱野菜の現状と今後 ミーミ悪 1 有用根圏微生物を利用した栽培(チンゲンサイ) 施設軟弱野菜産地(神戸市西区) 集12345 45678 麺蝋I ■&孝忌曲令戸画■■隅面ロー 》蝿溌鐙型、恥..》愚浄李 -1- 、巽一 吹き付け紙マノレチ(北部農技) シュンギクの額縁症 l 】画酉一 軟弱野菜の現状と今後 県下各地の取組から…………・………………・…・ 軟弱野菜間年栽;llIfにおける盤分吸収:1,11:.………・…‘ シュンギク額縁嫌の発生要閃と対策・………・…・ チンケンサイの生育を促進する細菌を発見・…・‘ 吹き付け紙マルチによる夏期ハウス|ノ1の帆1M野菜栽塘・・・ 防霜ファンによるビワ幼果の寒害防止……・ セル成型1』,'iによる黒大豆の全|'|動機械移柿…・ 蛍光性Pseudomonasのレタス苗徒彊抑制効果 有機質肥料によるコシヒカリの穂肥加川法の改善 鶏における腹腔内脂肪蒋職のQTL(.『't的形 質座)のマッピング…・……………………… 近赤外分光法を川いた茶の全窒素含有率の測定

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Page 1: 妻 ひょうごの小松正紀(中央農技・園芸部) (旧中央農技・普及指導室) 1軟弱野菜の特性 軟弱野菜には、非常に多くの品目が含まれる。そ

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普及情報

耕言畜連携による堆肥の地域内流通をめざして

ひょうごの

研究成果の紹介

1これがレタスビッグベイン病の病原ウイルス..‘

2良食味・多収の水稲極早生系統「兵系69号」の育成..‘

3極早生酒米品種の玄米,1iiI,質と気温.との関係..…‘

NQ1152001.5.特集軟弱野菜の現状と今後

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有用根圏微生物を利用した栽培(チンゲンサイ)施設軟弱野菜産地(神戸市西区)

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麺蝋I

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吹き付け紙マノレチ(北部農技)シュンギクの額縁症

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軟弱野菜の現状と今後

県下各地の取組から…………・………………・…・

軟弱野菜間年栽;llIfにおける盤分吸収:1,11:.………・…‘

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チンケンサイの生育を促進する細菌を発見・…・‘

吹き付け紙マルチによる夏期ハウス|ノ1の帆1M野菜栽塘・・・

防霜ファンによるビワ幼果の寒害防止……・

セル成型1』,'iによる黒大豆の全|'|動機械移柿…・

蛍光性Pseudomonasのレタス苗徒彊抑制効果

有機質肥料によるコシヒカリの穂肥加川法の改善

鶏における腹腔内脂肪蒋職のQTL(.『't的形質座)のマッピング…・………………………

近赤外分光法を川いた茶の全窒素含有率の測定

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hE

1000

簡易太陽熱、防虫ネット、粘着リボン利用の栽培(姫路)

》。》

たが、産地規模が大きいのは、養父郡のおおや高原

有機野菜部会で、有機栽培のホウレンソウを主体に、

ハウス面積56,000㎡、出荷量198t、販売金額16,000

万円となっている。その他佐用郡でのチンゲンサイ、

多可郡でのコマツナなどの産地が誕生している。

3軟弱野菜生産の課題と今後

軟弱野菜は、県下の野菜生産で一番の戦略品目と

なっている。施設化により周年化、収量・品質向上

が可能となってきたが、マメハモグリバエ等の難防

除病害虫の多発、土壌の富栄養化が問題となってい

る。これらに対して防虫ネット、太陽熱消毒、べた

がけ資材等を利用した防除や適正な土づくり、施肥

への見直しが進みつつある。また大きな労力を占め

る調製作業や播種、育苗、移植作業での機械化も品

目によっては進みつつある。

しかし販売面では、輸入野菜の急増や国内産の豊

作基調により野菜価格全般の低迷や作付け増から以

前の軟弱野菜の有利性がなくなりつつある。

今後とも軟弱野菜の特質から県内産の優位'性は変

わらないが、これまで以上にその優位性を生かした

栽培技術や流通面の工夫が必要とされる。

小松正紀(中央農技・園芸部)(旧中央農技・普及指導室)

1軟弱野菜の特性

軟弱野菜には、非常に多くの品目が含まれる。そ

の一般的な特‘性としては①日持ちが悪く輸送性に劣

る②作付け期間が短い③収穫以後の作業に多く

の労力を必要とするの3点があげられる。

また別の見方をすれば生産・流通に際して、鮮度

保持にことのほか気配りと工夫が必要な野菜という

ことが言える。そのため、かつては都市近郊や都市

農業地帯での独占的品目であった。しかし今日では

道路網の整備、予冷・保冷技術の進歩によりその産

地は、広域化してきている。このことは県下の野菜

生産にも顕著な傾向であり、野菜全体の栽培面積は

減少しているが、施設野菜は増加し、なかでもコマ

ツナ、チンゲンサイ、ツケナ類などの軟弱野菜へ大

きくシフトしている(図参照)。

2県下の軟弱野菜の主要産地

西宮市を中心とした阪神間は、その恵まれた土壌

・市場条件から、都市農業の中で面積は減少してい

るものの、現在でも露地を中心とした一大軟弱野菜

産地である。

また神戸市西区の施設野菜面積は県下で最も大き

く、かつてはその品目はトマト等を中心とした果菜

類であったが、近年コマツナ、シュンギク、チンゲ

ンサイ等の軟弱野菜に置き換わっている。また有機

栽培、減農薬栽培等に積極的に取り組み、1998年か

らは神戸ブランド野菜育成推進事業、「こうべ旬菜」

が展開されている。

明石、加古川、姫路の瀬戸内沿岸地域の既存産地

も施設型の軟弱野菜産地への移行が進んでいる。

一方1989年頃から、レンタルハウス制度を活用し

た新たな軟弱野菜産地づくりが各地域で行われてき

- 2 -

ヘー

量販店での地場産軟弱野菜の店頭販売(姫路)

議議議議議議謹譲議議。Y§、■、dOqpQo・ロa弛・Qab■ロa■・・。●4口。。■。U、。■.U,。。・・・ロ尭一ざ・ロ哉J琴。零FJ浴零F設品%角J淫宅零J浴殆ら。pLpp。。。.。■。ロ

800

600

400

200

誹春》計密》》》

ウホ

懇■Ⅲ弓一一一一一一一〃画函

平成元年平成3年平成5年平成7年平成9年平成11年

図品目別施設栽培面積の推移(兵庫県)

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11

-3-

!‐灘繍繍i繍鋳鵜蕊灘雲 で奄奄弓

なく出荷することができた。土壌中にリン酸が多量

に集積した本試験ほ場では、養分吸収に及ぼすリン

酸施肥の影響はほとんど認められなかったため、養

分吸収量は5つの試験区の平均値から求めた。

その結果、1年間の吸収量は、10a当たり窒素約

75kg、リン酸約20kg、カリ約120kg、石灰約30kg、

苦土約10kgであった(図)。窒素は、施肥量よりも

10aにつき30kg程度も多く吸収された。試験前土壌

の無機態窒素量を考慮しても、土壌中でかなりの量

の窒素が可給化したことがうかがわれる。カリにつ

いても、施肥量よりも10aにつき約90kgも多く吸収

された。土壌中の可給態のカリが供給源になってい

ることがわかる。土壌中に可給態として十分量存在

している養分については、施用の必要がないことも

実証できた。

本試験は養分が集積したほ場で実施したものであ

るが、ほとんどの軟弱野菜周年栽培ほ場では、土壌

養分が過剰気味であることから、本データは現地ほ

場で十分に適用できるものと考えられる。

普及上の注意事項

土壌診断に基づく減肥指導が望まれる。とくに、

牛ふん堆肥施用ほ場では、土壌中に窒素、リン酸、

カリが集積しやすいことを考慮する必要がある。

桑名健夫(中央農技.環境部)

ねらいと成果

県下の軟弱野菜周年産地では、生産性や品質向上

のため堆肥等有機質資材の施用がさかんに行なわれ、

土壌中に養分が集積している場合が多い。そのよう

な土壌では、とくに合理的な肥培管理が必要である。

ここでは、年間施肥量を決定する場合の基礎データ

を得るために、現地ほ場で軟弱野菜を1年間にわた

り栽培し、その間の養分吸収量を明らかにした。

内容

栽培試験は、牛ふん堆肥施用による土づくりが行

われている神戸市西区の周年栽培ハウスほ場(細粒

灰色低地土、埴壌土、pH69、EC1.8dS/、、腐植

9.0%、全窒素0.52%、乾土100g当たり硝酸態窒素

22mg、アンモニア態窒素1mg、可給態リン酸440mg、

交換'性石灰630mg、同苦土170mg、同カリ230mg)に

おいて、1年間7作(チンゲンサイーシュンギクー

チンゲンサイーシュンギクーチンゲンサイーシロナー

コマツナ)にわたり、リン酸施肥試験として1区5

㎡の規模で実施した。リン酸施用量は、5水準(10a

当たり0,2,4,6,8kg)を設定し、毎作重過

リン酸石灰を施用した。窒素とカリは、毎作付け前

の土壌診断結果から施用量を決定し、NK化成(基

肥)と硝酸石灰(追肥)を用いて、年間7作合計で

10a当たり窒素は42kg、カリは28kg施用した。

軟弱野菜の生育は年間を通して順調で、毎作問題

F、

□7作目コマツナ5/25~6/23

園6作目シロナ4/4~5/19

回5作目チンゲンサイ2/4~3/30

回4作目シュンギク11/20~2/3

□3作目チンゲンサイ10/5~11/14

園2作目シユンギク8/21~9/27

画1作目チンゲンサイ6/18~7/14

kg/10日

00000000

4208642

111

図軟弱野菜の周年養分吸収量

ひょうごの農業技術No.115(2001.5)

鍵蕊雲霧蕊群識溌韓韓

蕊蕊蕊

灘蕊灘蕊IllIIⅢⅢMⅢlII

函■

ー~垂里浜野lU

窒 素リン酸カリ 石灰苦土

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収稚後の土壊

pHEC

mS/c、

未発生株

発生株

鱗卿ギク瀧義織織侭と輔策. . - 凸 雷 = 、 星 、 昔 一 、 刃 ニ ロ ロ ⑫ 副 E ■ ~ 、 ご 璽 皇 i職:

長年施設で軟弱野菜を栽培している産地では約5

割の農家にいくつかの生理障害が発生している。特

にシュンギクでは近年、葉の周辺が黄化する額縁症

(通称)の発生が増加傾向にあり、大きな問題とな

っている。そこで、発生原因を明らかにするととも

に、対策について検討した。

試験内容と結果

(1)額縁症発生状況と土壌:額縁症が多く発生する

ハウスの土壌ほど土壌のEC、硝酸態窒素、硫酸根

含量が高い傾向にあった。ECが04未満の土壌では、

発生がみられず、ECが1未満の土壌では発生して

も比較的少なかった(表1)。

(2)施肥量と発生割合:額縁症の発生する土壌を用

いてポット試験を行った結果、窒素施肥量0.4kg/

10a区では発生が見られず、8kg/10a区では75%、

16kg/10a区では100%下葉の周辺が黄化する額縁

症が発生した。しかも、16kg/10a区は障害程度も

著しかった(表2)。

(3)額縁症発生個体の下葉の養分含量:未発生株と

発生株の下葉のMg、Ca及びFe含量にはほとん

ど差がみられなかったが、Mn含量は未発生株に比

べて発生株が少ないことが明らかになった(表3)。

(4)葉面散布剤の効果:額縁症の発生したシュンギ

クに02%硫酸Mn及び0.2%硫酸Mg+0.2%硫酸

Mnの葉面散布を行った結果、処理後8日程度で額

縁症がなくなった。0.2%硫酸Mgは無処理と差が

なく、効果が認められなかった(表4)。

今後の対策

これらのことからシュンギク額縁症は土壌EC

の高い圃場で発生しやすく、Mnの吸収量が少ない

ために発生することが明らかになった。シュンギク

額縁症が発生した場合には硫酸マンガン又はマンガ

ンを含んだ葉面散布処理が有効である。しかしなが

ら、シュンギク額縁症の発生している地域の施設軟

弱野菜作付後土壌の化学性の平均値はpH7.0、EC

(1:5水抽出)1.20mS/cmで、交換性カチオン含

量がCaO703mg、MgO124mg、K20216mg/1009、

可給態リン酸含量は164mg/1009と高いことから、

種々の生理障害が発生しやすい状況下にある。した

がって、今後は、適正な肥培管理としての減肥栽培

や土壊の改善等が重要である。

永井耕介(中央農技・環境部)

戸雨一

表1シュンギク額縁症の発生状況と土壌養分 表3シュンギク額縁症発生佃体の下葉の養分含量

試験前の現地土壌 pH;6.9、EC;1.3,s/c、

38.2 試験区の額縁症発生程度:0-症状なし、1---わずかに症状あり、2-教株発生、3-ほぼ全株に発生

伊南ハ ウ額縁症pHEC硝酸態窒素硫雌根 額縁症 Mn

pplll

Fe

ppm

M9%

Ca

額縁症葉・色平均

ス発生状況 nlS/cmlng/1009mg/10092.6971-2585-3極 多 09A 6

39.7

多少しし

極少少極なな

483.8

211.8

70.2

239.6

27.620.4

6.193.47

6.980.95

7.210.71

7”’01.89

7.420.377.260.33

117.6

21.6

22.1

46.4

16.913.7

BCDEFG

7.3

7.2

7.2

7.1

0.520.9623.8129

0.491.0917.9124

下葉

下葉

測定部位:シュンギク下葉の未発生及び発生部位

l唐21

表2施肥量がシュンギク額縁症の発生に及ぼす影響表4シュンギク額縁症における葉面散布剤の効果

一J〔____.._----------____________________________..‐0 22280~1100

Mg:0.2%硫鋤Ig液M】1:0.2%硫酸Mn液Mg十M閲:0.2%硫酸Mg液÷0,2%硫酸Mn液

04861

- 4 -

M頁十Mn

窒素

施肥量

kg/10a

ハウ莱面散布 処 理 区

0-2

0》2

l株重

(9)

発生

部位

発生

割合(%)

後日数(日)無散布

0050701

Mn

33雪2

MEス

60-2

30-2

33-2

HHT

08ぴ8-08

31.3

34-6

癖緑緑緑

0.22

0.30

0.55

0.82

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牧浩之(中央農技・環境部)

ひょうごの農業技術No.115(2001.5)

i鱗繍I蕊鐘繍i鱗#鍵職癖F1-…-,・・罪..~官,.~~..‐…‐‐‐

唖欝溌鍵議:I霧議:.:_覇_認….-…_____………一二…...

これらの菌を各種の生物検定にかけて、その中か

らチンゲンサイの生育を促進する1菌株を見つけだ

した。

この菌をチンゲンサイのは種時に種子に接種した

り、培土に混和することで、苗の段階では地上部の

生育に大きな差は見られないが、根では、根長が長

くなる場合や、細根の発達が促進される等の効果が

確認できた(写真、表)。

また根の表面も白く健全であった。定植後の生育

は順調で、収穫期の調査では、種子接種、培土混和

接種ともに無接種に比べて10~50%程度生体重が重

くなる傾向にあった(図)。その原因としては、育

苗段階で根圏の発達が促進され、その根が健全に保

たれていたことから、定植後の活着が良好であった

ことが考えられる。

今後の方針

農業資材として実用化を目指すが、そのためには、

他の作物に対しての効果を見極め、適応作物を広げ

ること、市場に流通させるための製剤化が必要であ

る。さらに、生育促進の作用機作の解明も必要であ

ねらいと成果

有用根圏微生物の農業利用は、化学物質に対する

依存度の低い、環境負荷の少ない農業技術の一つと

して期待されている。今回、蛍光性Pselzdomonas

の仲間から、チンゲンサイの生育を促進する働きの

ある細菌を見つけだすことに成功した。

さらに、この細菌をセル成型育苗に利用すること

で、活着の良い苗の生産技術を開発した。

内容

神戸市西区の現地ほ場や中央農業技術センター内

で採取した各種軟弱野菜。野草の根から約1000菌株

の蛍光性Pse皿omo7zasを分離した。これらの菌

は土壌病害の軽減や生育促進機能を示す場合があり、

植物生育促進性根圏細菌(PGPR)としてよく報告

されている。

表細菌の接種によるチンケンサイ根への影響

ロ無処理

- 5 -

新鮮重(mg/株)

T/R比根長(、)

試験場所

図ほ場試験における収穫期の平均株重

(各30株の平均値)

地上部地下部

所内施設

る。対照

種子接種

培土混和

4581942.4

4341612.7

4962472.0

014

120

111

鶴現地施設(神戸市)

300.0

2500

写真細菌の接種による苗段階での根の発達

Illilll1II

園種子接種

■培土混和接種

OOO005

2新鮮重g

100.C

50‘0

0.0

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33

(P)巡覗

11.7

11月

F口母% 酢垣唖皇竜⑬塩く些蝉。P己

議雲講獄紙マ錫チによる夏期ハウス海の軟弱蕊菜栽培壁曇□も-韓溌魯""写,産.…….…….……、.….‐…趣.§鼠 蕊

ねらいと成果

畑地用のマルチ資材には、主に農業用ポリエチレ

ンフィルムが大量に使用されているが、これらは長

年月にわたって腐敗せず大きな環境問題となってい

る。またその対策の一つとして開発されたロール状

紙マルチ資材は、形状や重量から敷設に難があり、

畝の谷部分など過湿による腐食や風雨による破損等

課題がある。

そこで、紙マノレチの優れた点を活かしつつその課

題を解決するため、従来の敷設法とは全く異なった

マルチング方法を開発した。これは、整地畝立てし

た土壌面に水に溶解した再生紙パルプファイバーを

直接吹き付けマルチングするもので、「畝のマルチ

ング方法およびマルチ材吹き付け装置」として、北

部農業技術センター、株式会社大本組および吉田建

設株式会社が共同で考案、開発した(2000年3月、

特許出願)。

内容

試作した吹き付けマルチ装置は、ガソリンエンジ

ン、撹祥翼を装備した3002の混合タンク、圧送ポ

ンプ、ホースおよびノズルからなる。

再生紙パルプファイバー15kg(復元容量約2502)

を水3002に溶解、撹拝後ポンプによりホース内を

圧送してノズルの先から成型した畝面に吹き付け、

約50㎡に5mm厚の紙マルチ層を形成する。

このマノレチによる地温への影響は、8月下旬の各

種マルチ直下において既存のロール状紙マルチ資材

と同等の昇温抑制効果として認められた(図)。土

壌水分保持能力は、シルバーポリマルチに劣るが既

存ロール状紙マノレチとほぼ同程度であった。

マルチ敷設後、播種穴を空けコマツナ、ホウレン

ソウおよびチンゲンサイを播種した。その発芽は良

好であり、生育もロール状紙マルチ資材と同等かそ

れ以上であった(表)c潅水時の土の跳ね上がりに

よる下葉の汚れはなかった。マノレチの耐久力からみ

て、施設内では連続3作までの栽培が可能であった。

さらに、マルチ材は畝面に密着しているため、既存

のロール状紙マルチのような風や部分的な早期崩壊

による吹き飛びがない。今回供試した再生紙パルプ

ファイバーの単価は約20円/㎡であり、他のマルチ

資材と比較しても安価である。

今後の方針

試作機と吹き付けノズルに改良を加え、より安価

な機械の開発を進める。さらに、マルチ材として大

豆や果実の絞りかすなど、これまで廃棄処分してき

た天然繊維質資材の利用も可能と考えられるので、

これらのマルチ資材化に向け検討する。

福嶋昭(北部農技・農業部)

《訓

縛両、

表吹き付け紙マルチが軟弱野菜の生育に及ぼす影響

50

45

4C

- 6 -

図吹き付け紙マノレチが地温に及ぼす影響

柵菰日:8月9日、畝幅:120cm、株間:15cm、6条植え

収穫調査日:コマツナ:9月4日、ホウレンソウ、チンゲンサイ:9月14日

紫色:ミノルタ葉緑素計SPAD-502の値

生業数

(枚)純鍛

②早又

(c、)マルチ資材種類名

13579 11131517192123時刻

吹付紙マルチ

O社製紙マノレチ

26.9

22.8

8.8

7.7

22.1

14.6

42,3

41.4コマツナ

‘楽天,

シルバーボリマルチ

無マルチ

シルパーボリマルチ

無マルチ

7.9

6.9

22.8

10-4

40.0

382

29.0

222

13.0

12.3

22.6

20.3

吹付紙マルチ

O社製紙マルチ

22.3

158

37.3

37.6

22.5

20.5

12.7

11.3ホウレンソウ

,アクティブ,

44.3

37.1

シルバーポリマルチ

無マルチ

23.3

19.8

吹付篭マルチ

O社勇蕊マルチ

29.2

156

35.8

37.8505

221 48.6

272

32.4

355

19.2

19.5

11.9

11.9

28.9

28.1チンゲンサイ

‘青武,

'三論 |ノー一

一室内温度

(開放ガラス室:2000年8月25日、マルチ直下5cm)

/一/、

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一:

ひょうごの農業技術No.115(2001.5)

M12

- 7 -

図2精製試料から検出されたLBVVのウイルス粒子

スケールバーは100nm

雲譲瀞琴識欝霧講瀞瀞》一・聖一・一》》

》》。。..

》》・

癖鐸迩率

①⑪

幕…恥が礎灘瀧灘鱗蕊病騨イ綴:§

グルタールアルデヒドで固定し、2%酢酸ウラニル

溶液で染色して行った。15%低BIS濃度SDS-PAGE

(Hirano,1989)により電気泳動を行った。

1回目のCs2SOl-EDGC後の遠心チューブでは

図1‐Aのように3本のバンドが確認された。これ

らのバンドにウイルスが含まれていると考えて、そ

れぞれを回収し、2回目のCs2SO4-EDGCを行っ

た。回収した試料のうち、図1‐Aの2のバンドか

らの試料を電子顕微鏡観察したところ、図2のよう

な約320×18nmの棒状のウイルス粒子が確認され

た。そして、SDS-PAGEによって謎Cs2SO4-EDGC

を2回行った同じ試料から分子量約46,000の位置に

タンパク質のバンド(図1‐BのL)が検出された。

また、図1‐Aの1のバンドからはSDS-PAGEに

より糸状ウイルス粒子(夏秋ら、2000)の外被タン

パク質(CP)と考えられるバンド(図1‐BのT)お

よび低分子の位置にレタス由来と考えられるひも状

タンパク質(図1‐BのF)が検出された。LBVV

は粒子が320~360×18nmの棒状、CPは分子量約

46,000と報告されており、これと一致することから

図2の粒子はLBVVであると考えられた。そして、

Cs2SO-EDGOを2回することでLBVVは糸状ウ

イルス粒子と分離・精製することができた。

今後の方針

簡単な精製による試料からの電子顕微鏡観察によ

るウイルス検出法の検討を行う。また、精製したウ

イルスを用いて、より簡便なウイルス検定技術を確

立する。

松本純一(中央農技。生物工学研究所)

ねらいと成果

洲本市および三原郡では、レタスがタマネギと並

ぶ基幹品目となっている。1994年12月、このレタス

に土壌伝染性ウイルス(レタスビッグベインウイル

ス:LBVV)によるビッグベイン病の発生が確認さ

れた。現在、本病の蔓延、拡大を防ぐために、淡路

農技、南淡路普及センター、中央農技が協力して防

除対策の確立に取り組んでいる。一方、淡路島内か

ら採集したビッグベイン症状を示すレタスからは

LBVVの粒子が確認できていなかった。そこで、

LBVVの精製法についての検討と電子顕微鏡によ

る検出を試みたところ、棒状のウイルス粒子を観察

することができた。また、電気泳動の結果とあわせ

て、この棒状粒子は既報のLBVVであることが確

認できた。

内容

材料はビッグベイン症状を現したレタス(南淡町

阿万塩屋の現地試験圃場より採集)を用いた。精製

は四国農業試験場の方法に準じて、材料の磨砕、再

懸濁に0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を用

いた。また、ウイルス粒子の分画については硫酸セ

シウム平衡密度勾配遠心(Cs2SO1-EDGC)を2回

行った。電子顕微鏡観察は精製したウイルスを5%

[哩

AE瓢悪

1傍

櫛,揮蝋

輔;陰

#Ⅱ図1平衡密度勾配遠心の分画によるLBVVの分離・

精製(A)と精製試料のSDS-PAGE(B)1:2のバンドをもう一度平衡密度勾配遠心した試料、

2:1のバンドからの試料L:LBVV、T:糸状粒子、F:ひも状タンパク

LTF

到到

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玄米

dプ ロ砧ロロ・ロ℃ロ■・■・・・■・■■■可P.。、LLq設.。..

《議驚 鱗1灘;繍繍繍織課ti職!ご伊砥

ねらいと成果

水田の高度利用あるいは大規模農家の経営安定等

の観点から、水稲熟期の分散が重要である。本県奨

励品種のうち最も熟期の早い「はっごぜん」は極め

て早熟で生育期間が短いが、収量性がやや不十分で

あるところから、これに代わる品種として、良食味、

多収の「兵系69号」を育成した。

内容

極く早熟の「兵系54号」(後の「はつごぜん」)を

母、良食味で多収の「キヌヒカリ」を父として1992

年に交配した。F1、F2は加西で養成。個体選抜を

行い、F3~F7は地球の温暖化に対応した高温登熟

性の付与をねらいとして、中国広東省で個体。系統

選抜した。

1998~2000年に場内において生産力検定調査を行

った結果は、表1.2に示すとおりである。

「兵系69号」は、「はつごぜん」より出穂・成熟

期が5日程度晩く、短稗、やや長穂で、穂数のやや

少ない穂数型の梗種である。「はつごぜん」よりか

なり多収で、外観品質もやや優り、食味も良好であ

る。

今後の方針

奨励品種決定調査、同現地調査、県農作物改良協

会試作ほ等で現地適応性ならびに流通評価を検討し、

「はつごぜん」、さらには本系統よりやや晩熟で腹白

の発生が多い「フクヒカリ」に代わり得るかを判断

する予定である。

田中菖紀穂(中央農技。作物部)

《凶

表1「兵系69号」の生育

三田収

穂数障害の多少出穂成熟結実程長穂長

期閉日数

々口々ロ

種統

ロ、寺示

25

い 紋 枯 縞

ち病枯

倒伏葉い

(月.日)(月‘日)(日)(c、)(c、)(本/㎡)もち

穂も

栗{病

1998兵系69号

比)はつごぜん

兵系69号7.278.30347619.94171.31.00.31.80

0.320

0.OOC

比)はつごぜん7.228.24338119.34461.30.81.01.2C

注)品質は1(上上)~5(中中)~9(下下)を示す。

検査等級は神戸食糧事務所社支所の調査による。

注-1)播種期:5月11日、移植期:6月1日、施肥量(Nkg/a):基肥(代かき前)0.4-幼形期0.2

注-2)障害の多少は0(無)~5(甚)を示す。表3「兵系69号」の食味官能調査成績

戸噂踊

剛Ⅲ 兵系69号

比)コシヒカリ

参)はつごぜん

表2「兵系69号」の収量。品質試験年次品種,系統名総合評価パネル数

同左屑米容積千粒品質

比率三三重

(%)(kg/a)(g/l)(9)

比)はつごぜん61.67647.01004.784021.64.5

1999 兵系69号

比)コシヒカリ

参)はっごぜん

種統

々口々勺

注-1)総合評価:-2(まずい)~2(うまい)-2)パネルは、中央農業技術センター職員

- 8 -

24

0.304

0.000

-0.043

兵系69号72.37957,41226.683521.64.0

-0.333

0.000

-1.000

籾重籾摺

歩合

(kg/a)(%)

玄重血ノワ、

精米仇

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0505

211

乳白米率(%)

ひょうごの農業技術No.115(2001.5)

1鰹

:1蕊蕊黒鯛撫篤禦憲撫蕊墓薫蕊糞璽議蕊蕊謹詐謬詫⑭託ぎみ:ロ誇診詫垣唖÷§⑭:。:。:ロ:。。盤⑫妙

ねらいと成果

県北部で栽培されている極早生酒米品種は登熟期

間の気温が年間で最も高い時期であることから、年

次や地域により乳白米や背白米等の障害粒が多発す

る。極早生酒米品種の良質安定生産を図るためには、

作期や栽培適地の検討が必要であり、そのため玄米

品質と気温との関係を調査した。

乳白米の発生は登熟期間中期(出穂後11日~20日)、

背白米の発生は登熟初期(出穂期~10日)の日平均

気温と正の相関があり、乳白米、背白米とも登熟期

間の日平均気温が25℃以下では発生が少なかった。

内容

1996~1998年の3カ年、豊岡市清冷寺(標高1m)

と日高町東河内(標高345m)の2カ所で極早生酒

米品種6種(兵系酒65号、兵系酒66号、酒939-2、

兵庫北錦、五百万石、フクノハナ)を栽培し、登熟

期間の気温と玄米品質との関係を調査した。乳白米、

背白米の発生率は黙視により調査した。移植期は5

月13~14日で供試苗、栽植密度、施肥法は同一条件

で行った。

(1)登熟期間の日平均気温は豊岡市が日高町に比べ

て1.8~2.6℃高く、供試6品種・系統の出穂期、

成熟期は豊岡市がそれぞれ、7~10日、10日~15

日早かった。乳白米の発生は全般に豊岡市で多く、

品種別では「兵庫北錦」、「フクノハナ」で多く、

「兵系酒66号」は少なかった。

(2)乳白米については、「兵系酒65号」、「兵庫北錦」、

「酒939-2」、「フクノハナ」の4品種・系統におい

て、登熟期間の日平均気温と正の有意な相関があ

り、登熟期間の日平均気温が高いほど乳白米の発

生が多くなる傾向が認められた。特に、登熟中期

(出穂後11日~20日)の気温との相関が高かった。

乳白米の発生は登熟期間中期では日平均気温が

27℃、全期間では26℃以上になると多く、25℃以

下では少なかった。

(3)背白米と登熟期間の気温との関係は、「兵系酒

65号」、「フクノハナ」では登熟初期(出穂期~10

日)の日平均気温と正の有意な相関があった。

今後の方針

県北部で栽培する極早生酒米品種の良質安定化を

図るためには、登熟期間の日平均気温が25℃以下に

なるように、栽培地域の選定や作期の移動により出

穂期を調節することが必要である。そのためには、

「兵庫県メッシュ気候データベース」や「水稲出穂

期予測システム」の利用が有効である。また、品種

面では、高温登熟条件下でも乳白米等の障害粒の発

生の少ない品種の育成、導入が必要である。

池上勝(中央農技・酒米試験地)

30

25

○□■●

勉口些坪〕●

・R▲□

§口△

。△・9△。△

○兵庫北錦●五百万石

ロフクノハナ

■兵系酒65号

△兵系酒66号

▲酒939-2

坐■

-9-

2425 26 27 28

気温(℃)

図出穂後11日目~20日目までの日平均気温と乳白米の関係

厚23

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432101234

-一一一

:灘iii繍繍灘雛薫識灘中心に園内の50%以上を占めた。また、放射冷却時

には果実温は気温よりさらに1~2℃低下するが、

ファン設置園では送風によって果実に熱が供給され

るため、気温と同程度まで昇温した(図1)。

1999年12月~2000年3月の間、供試園では3回寒

害の発生が懸念される-2℃以下まで気温が低下し

た。摘果袋かけ時に調査した樹ごとの減収率は、フ

ァン設置園では周縁部で高く、園内の昇温効果の分

布と一致した。平均の減収率は、隣接した対照園が

41%であったのに対し、ファン設置園では13%と大

幅に低下した(図2)。

以上のように、ビワ園において防霜ファンは、ア

ルミ箔の保温効果やヒーター燃焼法の昇温効果(い

ずれも1~2℃)と同等以上昇温させることが可能

で、寒害軽減効果も認められた。今回の結果より、

低樹高整枝園で1℃以上の昇温効果を得るには、植

生が平面的な茶と同様に、防霜ファンが2.5kW/10a

(供試機種では2~3台)程度必要である。なお、

常緑で樹冠の大きいカンキッ園における設置基準は、

6~7.5kW/10aとされており、ビワの場合も低樹

高整枝でない場合は同程度の基準になると考えられ

る。

普及上の注意事項

放射冷却時における園内の気温分布(寒害の発生

状況)や接地逆転強度(例えば地上1mと5mの最

低気温)を予め把握し、防霜ファンや温度センサー

の設置位置を決定する。なお、防霜ファン(2.5kW)

の設置費用は約50万円/10aである。

水田泰徳(中央農技・園芸部)

ねらいと成果

寒害は、露地ビワの生産を不安定にする最大の要

因である。産地では、摘房摘らい方法の工夫の他、

アルミ蒸着袋による果房被覆法やヒーター燃焼法等

の対策を実施している。被覆法は資材費的には安価

であるが、被覆に労力を要する。また、燃焼法は自

動的に点消火できるヒーターを用いると労力は軽減

されるが、施設費(約200万円/10a)が非常に高

い。

そこで、茶園等で広く普及し、管理も非常に省力

的な防霜ファンのビワ園における寒害防止効果を検

討した。その結果、被覆法や燃焼法と同等以上の昇

温効果や寒害防止効果が認められた。

内容

防霜ファンは、県立淡路農業技術センターの防風

林と防風ネットに囲まれた約9aの四角形の緩傾斜

園に設置した。供試樹は6~8年生「田中」で、樹

高1.5~2.0m、樹冠径1.5~3.0mの低樹高整枝樹で

ある。

防霜ファン(F社製DFC-710、0.98kW)は、ビワ

園中央の地上約7mに、直下に向かって吹き下ろす

ように1台設置し、2℃で始動するように設定した。

ビワで寒害が発生しやすい放射冷却時には、上空

の気温が地表近くより高くなる接地逆転現象が発達

する。防霜ファンによって、上空の暖気が吹き下ろ

され、気温の昇温効果はファン設置園内のほぼ全域

で認められた。昇温程度は、防霜ファン直下の周辺

は2℃以上で、1℃以上の昇温面積は防霜ファンを

一ファン設置園:気温始動↓

一 フ ァ ン 設 置 園:果実温

一一一一一対照園:気温 50

減40

0

フ ァ ン 設 置 園 対 照 園

図2寒害防止効果(減収率)

温度(℃)

筆300021

(%)

20212 2 2 3 0 1 2 3 4 567

時刻

図1気温および果実温の昇温効果

-10-

●●●●●、

●●

●、■-‐’、

●●

●餌●

グー、

ー■■ロー■ー

qー画一け

●●、●●●4,ー

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『、

『q、

ひょうごの農業技術No.115(2001.5)

意ゼ蕊鵡撫燕雲;鋤I雲富議塞鍾撫!‐輯駅一二迄.

ねらいと成果

セル成型苗を全自動移植機で機械移植するには、

いくつかの課題がある。その一つに苗の引き抜き抵

抗が大きいため、苗取りミスが多くトレイに取り残

し苗が発生することである。

そこで根巻き防止剤(水酸化第二銅)の応用を検

討した結果、根巻き防止剤を塗布・育苗したセル成

型苗の引き抜き抵抗は、塗布しない場合の約協に低

下した。これに伴い苗取りピンの苗取り成功率は格

段に向上し、全自動移植機の利用が可能となった。

内容

1苗引き抜き抵抗

128穴標準トレイを用い、1トレイ当たり約209

の根巻き防止剤を噴霧塗布し、発芽・育苗率及び苗

引き抜き抵抗を調査した。根巻き防止剤が発芽に及

ぼす影響は認められなかった(表1)。

初生葉摘芯後2日目の根巻き状況をみると、無処

理区の根鉢下半分は根がしっかり巻いているが、処

理区ではまったく根巻きはみられなかった(写真)。

このときトレイから苗を引抜く抵抗値は、根巻き防

根巻き

防止剤

処 理

無処理

表1発芽・育苗率及び引抜き抵抗

発芽率

(%)

91.3

91.7

育苗率

(%)

79.1

80.5

引抜き抵抗*

(9)

80

360

*初生葉摘芯後31-11.1の苗を供試

止剤の処理により無処理の360gから809に低下し

た(表1)。

2苗取り成功率

全自動移植機の苗取りピンが開孔器へ苗を引渡す

成功率は、無処理区では55%にすぎず、取残しが40

%発生した。これに対し、処理区では成功率が94%

に向上し、取残しはわずか3%に減少した(表2)。

3全自動移植機の植付精度

開孔器に正常に供給された苗はすべて適正に植付

けられ、植付精度は適正植えが無処理区の55%に対

し、処理区では94%に向上した(表2)。また、根

巻き防止剤の処理による根鉢の崩壊を懸念したが、

植付けにはまったく支障は見られなかった。

今後の方針

育苗コストの低減を図る上から、根巻き防止剤の

適正使用量を検討する。

米谷正(中央農技・経営実験室)

左:処理右:無処理

写真根巻き状況

表2全自動移植機による苗取り精度及び植付精度(%)

根巻き 苗取り粘度(%) 植付・精度(%)

防 止 剤正常受渡しミス取残し適正植二株植転び苗トレイ残

処 理94 3 9 94.0 0 5.0 1.C

無処理55 5 40 55.1 0.9 15.0 29.0

*初生葉摘芯後21」目の前を供試、機種:K社SKP-1D

-11-

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53

39

-12-

‐~~.~具~~・噂

『6蛍光性職獅蝋郷伽タス苗徒長抑制効熟;

階で葉身の伸長を抑制し、かつ根量が多くてT/R

比の低いGR13株を得た(表)。

(2)徒長抑制効果

GR13株の遮光の違いによる徒長抑制効果を接種

20日後の地上部新鮮重でみると、50%遮光区で顕著

であり、無接種区の3.39に対して接種区は229で

最も抑制した(図1)。

(3)収量調査

GR13株を接種した生育抑制苗は定植後の初期生

育が旺盛で、収穫期におけるレタスの地上部新鮮重

は、無接種区よりもやや大きくなり収量は回復した

(図2)。

以上の結果、GR13株はレタス苗に対し、徒長抑

制効果を示し、T/R比の低い健苗となるため収量

が上がると考えられ、安定生産が見込まれる。

今後の方針

菌の接種方法について培土混和など検討する。

小河甲(中央農技・環境部)

ねらいと成果

セル成型育苗では、幼苗で本圃に移植するため、

苗質の不揃いから活着不良を生じることが多い。と

くに、高温期における育苗は徒長しやすいため、そ

の問題は大きい。そこで生育抑制効果を持つ蛍光性

PSeUCZO77ZO7ZaSをレタス種子に接種して、セル成型

苗の徒長を抑制し、均質で活着の良い健苗の生産技

術について検討した。その結果、9/11播種のレタ

ス苗に対して生育抑制効果を示す菌GR13株を得

ることができた。さらに徒長を.促進させる遮光状態

で調査した結果、50%遮光区で最も徒長が抑制され

た。また、接種苗はT/R比の低い健全な苗であり、

収量も無接種区よりやや優れた。

内容

(1)生育抑制機能をもつ微生物の検索

検定菌株からレタス実生の旺軸長や根長を抑制し

たり、根毛の発生を促進する23菌株を選抜した。こ

れら菌株を用いてセル成型育苗試験を行い、育苗段

表選抜菌のレタス苗に対する生育抑制効果

無 接 種 G R 1 3

図2収穫期におけるレタス地上部新鮮重

155075

遮光率(%)

図1遮光によるGR13菌株の地上部新鮮重

(接種20日後)

地下部乾物重T/R比葉面積

(R)mg/株 cnrf/株

地上部乾物重

(T)mg/株

最大葉 身長葉数

mm 枚/株(」

17.0

13.5

無接種

GR13

1.79

1.59

301

255

168

160

5.2

5.2

i灘 4IQIO

43210

地上部新鮮重(9)

20C

ロー

|I

GR13

無接種1000

蝋 600

熟制溺噸鯉穐覇聯懲高畠・鼎・I雁瞥篭堕

レタス新鮮重(9)

g【OIO

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(-16)(O~5)(kg/a)(%)(l~9)(%)98年99年

ひょうごの農業技術No.115(2001.5)

出超心歩う⑪歩釦晶邑。

■可■■r■■マー亨画亨で■ご ■b■。■も日■■■■■■■■a凸

7有耀騨溌蕊曇騨シ蝿撚議騨縦鐙改善…{

ねらいと成果

近年の水稲生産において有機栽培の気運が高まっている。コープこうべの契約栽培米「つちかおり米」

は、但馬4農協で390ha栽培されている(平成12年現在)。この栽培暦では有機質肥料を使用し、窒素

量で基肥028kg/aに加えて、穂肥を0.28kg/aずつ計2回施用することとしているが、基礎データが

なく、現実に倒伏も多く、より適正な施用法がある

可能性が考えられる。そこで、主に倒伏防止のねら

いから有機質肥料の穂肥の施附時期。量を変えてコ

シヒカリを栽培し、それらによる生育、収量品質、

食味の差異を検討・した。内容

「つちかおり米」の栽培暦では、有機質肥料つや

やか766(N§P205:K20=7:6:6)を用い、a

当たり施用量は製品で基肥4kg(田植20日前)、穂肥14kg(出穂25日前)、穂肥Ⅱ4kg(出穂15日前)

である。これを基準とし、4月中旬播種、5月上旬田植の作期で、様々な穂肥施用方法でコシヒカリを

栽培した。基肥窒素量は全て基準の0.28kg/aとした。

(1)試験1(1997年、表1)

5~6月の低温、日照不足により肥効が劣り、化

学肥料での栽培より生育量が小さく著しい低収となった。倒伏は合計窒素量に比例して多かった。基準

の穂肥10.28+Ⅱ0.28(a)(各Nkg/a:以下同様

に表記)、10.42+Ⅱ0.42(b)、10.56+Ⅱ0(c)、10.35+Ⅱ0(d)の組み合わせで検討した。穂肥

分施(2回)では、基準より増肥したbで収量が優ったが、a、bとも倒伏が目立った。穂肥1回では、

表1有機質肥料の穂肥施用試験結果(1997年)表2

cが分施より倒伏がやや少なく、収量は基準並みで

あった。青未熟が多発して外観品質は劣ったが、施肥との関連は明らかではない。cより減肥したdで

は収量が基準の94%と減収したが、倒伏が最も少な

く、玄米の外観品質も基準並みであった。分施より

穂肥1回の方が倒伏が少なかった。

(2)試験2(1998年~1999年、表2)試験1で一部倒伏がに|立ったため減肥し、基準の

0.28+0.28(1)、窒素量を半減した0.14+0.14(2)、0.28

+O(3)を検討した。98年は高温の影響で生育が進

み、化学肥料と同等の生育、収量となった。99年は

初期生育は化学肥料よりやや劣ったが、倒伏が少なかったため登熟が良好で、多収となった。両年とも、

2,3が1より倒伏が少なかった。収量は2年間の

平均で基準に比べて2,3ともやや劣ったが、3は

年次変動が大きかった。玄米の外観品質は2がやや

優り、3が同等となったが、区間差は小さかった。

食味関連成分の玄米蛋白は2,3とも1より低く、

食味官能評価値も同等であった。(3)まとめ

「つちかおり米」の栽培暦の方法では倒伏しやす

い。窒素量を半減すると数%の減収を招くが、倒伏は抑えられ、外観品質、食味は基準と同程度である。

この場合、労力面及び減収が少ない点で合計の半量

を1回施用するのが有望である。今後の方針

現地試作による地域性の確認、基肥の量を変えた

検討を実施中で、穂肥診断方法確立を目指す。束田康男(北部農技・農業部)

『。

有機質肥料の穂肥施用試験結果(1998~1999年)

0.28

0.42

0.56

0.35

a(基準)

注l)播種4月25日(播種量1509/箱)。田植5月16日。

2)栽植密度21.5株/、2(株間'5cm×条間31cm)。

3)I,Ⅱの下の数字は出穂前H数を示し、倒伏

は0(無)~5(甚)で、外観品質はl(上上)~

9(下下)で評価した。表2も同じ。

注I)播種4月18日(播種量1509/純)。田植5月11日。

2)栽植密度21.5株/m2(株間’5cm×条間31cm)。

3)玄米蛋白含有率は1999年のみ調査。

4)食味評価値は基準を0として-2(劣る)~0(同等)~+2(優る)で評価

した値の平均。98年、99年とも各2回柵在した。

穂肥施用窒素 量 倒 伏 締 玄 同 左

(kg/a)米重比率

玄米

外観

品質

穂肥施用窒素量倒伏精玄同左

(k負/a)米重比率

玄米

外観

品質

玄米食味評価値

蛋白

含有率

3.3

3.5

2.5

2.C

8200

2400

.■●■

0000

IⅡ

(-31)(-20)(O~5)(kg/a)(%)(l~9)

(-26)

7519

0。●■

5862

4444

-13-

IOO

l06

101

94

3.0

3.C

6.5

3m

057

099

157-

■■■

524

555

l(基準)

6.1

5.4

5.5

0.28

0.14

0.0C

0.28

0.14

0-28

6.5

5.5

6.5

0.00.0

+0.2+0.4

0-0+0.1

2.1

1.5

1.2

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羽数腹腔内脂肪割合

繍灘11繍繍i灘繍繍I織織雲 i謹繍霧繍《

一)の中から本家系において有効な78個のマーカー

を選び、F2のDNA型と腹腔内脂肪割合との連鎖

解析を行った。

LODスコア値(連鎖の度合いを示す値、3以上

で有意な連鎖となる)が最も高い値を示したのは第

7染色体の38CM注)においてであった。LODスコア

値は7.0であった(図)。利用したマーカーの中でこ

の部分に最も近いマーカーはMCW316であった。

MCW316における薩摩鶏雄のアリール(DNA型)

はAA型(165bp)で白色プリマスロック雌では

BB型(179bp)と表された。F2のMCW316にお

けるアリールと腹腔内脂肪割合とを比較すると、

AA型の腹腔内脂肪割合がBB型及びAB型よりも

有意に(P<0.0005)多かった(表)。

結果から、MCW316は腹腔内脂肪割合と連鎖し

ていると思われ、これを用いた鶏のマーカーアシス

ト選抜の可能性が示唆された。

今後の方針

薩摩鶏、名古屋種、白色プリマスロックについて

MOW316のアリール効果を調査し、腹腔内脂肪を

減らすアリールを持つものを種鶏として選抜する。

さらに、増体のマーカーアシスト選抜と組み合わせ、

増体性に優れ、腹腔内脂肪蓄積の少ない「ひょうご

味どり」を生産する。

龍田健(中央農技。家畜部)

ねらいと成果

「ひょうご味どり」は薩摩鶏雄と名古屋種雌との

二元交配鶏「兵庫」に劣'性白色プリマスロックを交

配した三元交配鶏であるが、ブロイラーの約2倍の

飼育期間を要し、それに伴い腹腔内脂肪が多く蓄積

し、その抑制が課題となっている。また、本鶏の腹

腔内脂肪の蓄積は飼料や添加剤では制御することが

困難であり、遺伝的な面からの脂肪蓄積の改良が求

められている。「ひょうご味どり」の生産性向上を

図るため、腹腔内脂肪蓄積のQTL解析を行った。

その結果、腹腔内脂肪蓄積のQTLが第7染色体に

あることが明らかとなった。

内容

薩摩鶏雄と白色プロマスロック雌各1羽から作ら

れたF1の雄2羽と雌10羽より3回に分けF2を222

羽作り、実験家系とした。F2雄106羽、雌116羽の

16週齢時の腹腔内脂肪重量を測定し、生体重に対す

る腹腔内脂肪蓄積割合(腹腔内脂肪割合)を算出し

た。331個のマイクロサテライトマーカー(マーカ

《j』

《‐

階■

ロッ稗トスコア

表F2のMCW316におけるアリールと腹腔内脂肪割合』

ABB

AAB

-14-

アリール

3040go607080901001101ZO1301“150160170180CM

【I

6.88.

5.49b

550b

60

114

48

図第7染色体におけるロッドスコア

注)CM(センチモルガン):遺伝的距離を示す単位、

1CMは100回のうち1回の組み替えを起こしうる

距離で約100万塩基数

a,b異符号間に有意差ありP<0.00051

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《~、

ひょうごの農業技術No.115(2001.5)

I戯 議罵霧謹議鯉室素含有率の測定

ねらいと成果

茶の各成分中、全窒素含有率は官能評価と相関が

最も高い。全窒素含有率が高い茶ほど高品質とされ、

茶の品質における最重要分析項目となっている。ま

た、近年、品質を上げるための大量の窒素施肥が環

境に及ぼす影響が指摘されている。適切な窒素施肥

で、高品質な茶を産地で栽培するため、茶葉の全窒

素含有率を測定し、施肥管理を行う必要性が増して

いる。しかし、県内においては小規模の産地が多く、

茶の全窒素含有率の分析はされていない。そこで、

茶の全窒素含有率を短時間で正確に測定できる簡易

分析法を近赤外分析法で検討した結果、実用上十分

な精度をもつ検量線が得られた。

内容

2000年に県下で栽培された「やぶきた」を中心と

した茶より調製された緑茶及び市販緑茶108点を収

集し検量線の作成に使用した。サンプルは茶の粉砕

器(KTG-OOO1/G、小泉成器)で粉砕した。サン

プル中78点を検量線作成に、30点を検量線の評価に

用いた。近赤外スペクトルは近赤外分光分析装置

(InfraAlyzer500、BRAN+LUBBE社)を用い、

800~2500nmを4,m間隔で採取した。スペクトル

採取後、サンプルの全窒素含有率をセミミクロケル

ダール法で測定した。検量線の計算は専用ソフト

表l茶の全窯素分析検量線の比較

解析使用波長数相関係数

方法(R)

重回帰

PLS

P C R

4

800~2500/4

800~2500/4

0.99

0.98

0.98

標準誤差

(SEC)

0.08

0.11

0.11

(SESAMIVer3、0、BRAN+LUBBE社)を使用し

た。検量線の作成には原スペクトルを用いた。

検量線を作成するため用いたサンプルの全窒素含

有率は3.8%~60%の範囲であった。重回帰分析を

行いて4波長で解析を行ったところ、相関係数(R)

=0.99、検量線標準誤差(SEC)=008%の全窒素

含有率測定検鐙線が得られた(表1)。全窒素含有

率をあらかじめ測定した30点の未知サンプルでの検

量線の精度を測定したところ、検量線予測誤差

(SEP)は0.09%であった。重回帰法で作成した検

量線はPLS法で作成した検量線(R=0.98,SEC=

0.11,SEP=0.12)及びPCR法で作成した検量線

(R=0.98,SEC=0.11,SEP=0.12)と比較し精度が

高かった

このように、近赤外分光法を用いることで緑茶の

全窒素含有率はサンプル調製時間を含めて3分以内

で簡易、迅速に測定することが可能となった。

普及上の注意事項

開発した近赤外分光分析検量線(表2)は、緑茶

の全窒素含有率3.8~6.0%のサンプルで正確な分析

が可能であり、含有率が範囲外のサンプルや玉露等

を分析する際には調整が必要である。また、分析精

度を保つため、年1回程度のバイアス補正が必要で

ある。小河拓也(北部農技・加工流通部)

予測誤差

(SEP)

0.09

0.12

0.12

表2茶の全窒素分析検量線

使用波長

(nm)

1652

1836

2116

2148

係 数

3.28

103.3

-138.2

175.0

-142.5

-15-

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タマネギの±づくり、施肥技術展示ほ

普及I情報

-16-

耕畜連携による堆肥の地域内流通をめざして

1.取組んだ背景

三原郡の農業は温暖な気候を活かし、多毛作野菜と

畜産の複合経営により発展してきた。

しかし、耕畜の専門化・大型化が急激に進み、耕

種農家では畜産農家とのつながりが薄れ、堆肥の確保

が難しくなり、地力低下による作柄不安定が大きな問題

となってきた。

一方、畜産農家では規模拡大が進んだ結果、堆肥

についての処理が限界にきており、時期によっては、余

剰堆肥の発生による住民とのトラブルが表面化しており、

個人の努力だけでは流通しにくい状況になってきていた。

2.進め方(取組み経過)

(1)酪農家の実態調査と意向調査の実施

普及センター内でこのような余剰堆肥に苦慮している

畜産農家と耕種農家を結びつけるための検討を重ねた。

野菜担当普及員からは、「畜産農家の実態を明確に把

握し、どこにどんな堆肥が生産され、入手出来るかを

示した堆肥マップを作成してほしい。」という意見が出さ

れ、畜産担当で手分けして実態調査の取りまとめにか

かった。

この結果をもとに、広域流通に意欲的な酪農家を中

心に発起人会を設立し、三原郡酪農協とともに流通体

系を検討した。(1999年8月)

(2)発起人会での検討事項

①余剰堆肥を抱える畜産農家の組織化が図れるか。

②仲介役を関係機関に引き受けてもらえるか。

③耕種農家へどのようにPRしていくか。

(3)関係機関への働きかけ

仲介役は酷農協が受け持つことになったが、耕種農

家の利用を増やすために、あわじ島農協・北阿万農協

を含めて協議した。(1999年11月)

協議の中で、流通量の把握と品質の均一性をどうす

るかという課題が残ったが、発起人からは、「まず流通

組織をつくり、耕種農家と酪農家の反応を見てみよう。」

という前向きな意見が出された。

そこで、流通組織発足の素案を作成し、乾燥ハウス

を所有している酪農家全員に説明会を行うことにした。

(2000年3月)

その後、あわじ島農協からも|~土づくりの観点から、

堆肥の流通助成事業を始めたい。」という打診があった

ため、関係機関、発起人を交えてもう一度協議した。

その結果、この事業の内容は「乾燥ハウス・撹祥装

置を具備している酪農家を登録し、その中から堆肥を

購入すれば耕種農家にトン当たり1,000円助成する。」と

いうことになった。

3.成果

47戸の畜産農家が登録農家となり、堆肥供給者リス

トが作成され、平成11年8月から平成12年3月までの

8か月間で約5曾450tの利用があった。

価格の設定や乾燥ハウスがない畜産農家の不満もあ

るが、当初の目標であった大型畜産農家の余剰堆肥

の解消は大きく前進させることが出来た。

また、この活動により町、農協等で組織している三原

郡農業振興協議会の中で平成12年4月から糞尿処理

対策会議を設置することとなり、地域全体としての支援

体制も整った。

4.今後の展開

今後は、さらに耕種農家に対する土づくりの啓蒙や堆

肥需要期の分散化、地域での堆肥置き場の設置、畜

産農家への堆肥の品質向上対策などが必要である。

このように、農業者の主体的な活動を基本にしながら、

関係機関、団体が一体となり、さまざまな産地の体質

強化に取組.みたい。

岩本能昌(南淡路普及センター)

(』

(』

(0790)

(0796)

(0799)

尼看塁’13②1-001A4

普及'青報

47-240C

74-1230

42-4880

ひょうごの農業技術NQ115

平成13年5月1日(隔月刊)

1部250円(申込先・県立中央農業技術センター)

兵庫県立中央農業技術センター

兵庫県立北部農業技術センター

兵庫県立淡路農業技術センター