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相関船速計

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相関船速計

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SAL 船速計 100 年の歴史

1912 SAL(Svenska Aktiebolaget Logg)社がピト

ー管の原理による船速計を開発

1914 特許を取得し、最初の SAL 船速計をスウェー

デン海軍駆逐艦「HMS Hugin」へ納入

1914~1950 船速計 SAL-12、SAL-14、SAL-Selsyn、

SAL-24 を開発

1950~1980’s 船速計 SAL-59、SAL-24E、SAL-59E

を開発

1972 SAL 超音波相関船速計(初代の超音波相関方

式の対水・対地ログ)を開発し特許を取得

1984 SAL-840: 対水船速計の改良型による一軸対

地船速計を開発

1988 SAL-860: 対水船速計の改良型による二軸対

地船速計を開発

1993 SAL LPU(Log Processing Unit):ジャイロコ

ンパスから本船の旋回角速度信号を送り、船

首と船尾における船横船速を演算、SAL-860

機能アップを計る(オプションの MFD 表示器

と協力)三軸の対地船速計の開発

1997 SAL R1: 対水の新世代型船速計の開発

2002 SAL-860T: DSP(Digital Signal Processing)

技術で作られた新しい対地船速計の主ユニッ

トの開発

2003 SAL-T1: エコーサウンダー付きの一軸の対

地・対水船速計の T シリーズモデルの開発

2003 SAL-T2: DSP 技術で作られた WTU(Water

Track Unit)モジューラによる対地・対水船速

計の最初の T シリーズモデルの開発

2003 SAL-T3: 新しいエコーサウンダー機能付き

の対地・対水船速計の T シリーズの開発

2004 SAL-R1a: WTUユニットを基盤とした新対水

船速計の開発

2005 SAL-T3+: エコーサウンダー付きの T シリー

ズ対地・対水船速計(50,000GRT 以上対象)

の開発

2005 SAL-T2s: T シリーズの一軸の対地/対水船速

計モデルの開発

2005 SD4: システム設定のための情報表示器付き

新世代用の双方向通信デジタル表示器の開発

2007 SAL-LPU2: 次世代、拡張機能用の船速計処理

ユニットを開発

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2011 SAL T2+: IMO 規則 MSC.334(90)「50,000GT

以上の船舶は、対水および対地船速距離計を

分離して設置」に 1 つのユニットで当該規則

に適合したシステムを開発

2012 SAL 船速計の開発から、創業 100 周年

2013 SAL R1E: 対水船速計 R1a と音響測深機を

セットにして、Sea valve を共通化した商品

を開発(50,000GT 未満の船舶が対象)

2014 SAL T2E: T2+と音響測深機をセットにした

商品を開発(50,000GT 以上の船舶が対象)

圧力式船速計から電気式船速計、そして 相関式船速計への変遷

ベルヌイの定理を応用したピトー管をセンサーと

する船速計を 1912 年に開発以来、約半世紀の間こ

の圧力式船速計は多くの船舶に装備されました。

1960 年代になると、航海計器など種々の舶用機器

が電気式・電子式へと変遷し、より機能化へと進化し

ました。これに伴い SAL 船速計も、いち早く電気式・

電子式の開発に着手しました。

当時、次世代船速計の開発の一般的な方向は、水

中での超音波のドプラー効果を利用した船速計でし

たが、当社はこのドプラー効果による船速計の他に

も、ユニークな方式による種々の船速計の研究も行

ない、その中で、超音波利用による複数トランジュ

ーサの受信波形の相関関係から、船速が高性能で且

つ正確に測定できる「相関式船速計」を開発しまし

た。さらに、当時の研究者により、相関式船速計の

方が海水中の塩分濃度および水温層等の不確定要因

を克服できる点など、極めて優れていることを立証

し、「相関式の船速計」の実用化に成功しました。

1972 年この方式による船速計の特許を取得。同方

式による対水速度の船速計(船縦方向)を始め、対

地速度による一軸船速計(船縦方向)、二軸船速計(船

縦方向、船横方向)、三軸船速計(船縦方向、船首で

の船横方向、船尾での船横方向)を順次開発し、現

在に至っています。

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超音波利用による相関方式の船速測定原理 ◆対水速度計測の原理

船底に3.8MHzの超音波(波長0.395mm)を発受するトランジューサ TW1 を配置し、その TW1 より船縦線方向の船尾側に距離 LW だけ離し 4.2MHz の超音波(波長 0.357mm)を発受するトランジューサTW2 を設置。両トランジューサから 200μ 秒の繰り返し周期で 10.7μ 秒のパルス状の超音波を鋭い指向性で真下の方向へ発射することにより、船底より約 13cm 下付近の海水中の反射物(主としてプランクトン)からの超音波の反射強度を計測する【第1図】。 例えば、船底のプランクトンの浮遊状態が第 1 図

のような情況であった場合、船体が V(メートル/秒)速度で AHD 方向へ進行中、TW1 の受信波形はプランクトン濃度に反応して同図のような受信波形となるが、TW2 は TW1 に距離 LW だけ離れて後を追いかけて移動しているため、TW1 の受信波形に対し TW2 の受信波形は同図のように⊿tW だけ遅れる相似波形となる。 この事は、別の見方をすれば、この時間遅れ⊿tW

の間、船体が距離 LW だけ移動している事に他ならず、船速 V = Lw÷⊿tW となり、⊿tW を正確に計測することにより、対水船速 V を求める原理となっている。

第 1 図 ◆対地速度計測の原理 船首船底の船縦線上に 2 個のトランジュー

サ TG1、TG2 を距離 LG だけ離して配置し、それぞれのトランジューサは 150KHz の超音波(波長 1cm)をビーム幅 9 度の指向性で垂直に海底に向かって発射する【第 2 図】。その送受信のタイミングは第 3 図に示す。 超音波は波動の一種であり、波の性質と粒

子の性質の両面を持っているため、トランジューサから無数の超音波粒子が海底の反射面に対して発射されれば、海底の反射面で反射された粒子の一部がトランジューサで受信される。 この際、各々の超音波粒子は伝播通路長の

違いから受信点においては位相が変わり、また反射点の反射率の相違等から受信点の超音波の強さも変わる等、受信点の超音波強度は超音波の反射面の状態(傾斜、凸凹、海底質)に依存される。 この場合において、トランジューサ TG1 の

超音波の発受について注目すると、時刻 t1で発射された超音波は、時刻 t2で第2図の『海底反射面(TG1-1)』で反射され、その反射された超音波の先端は時刻 t3 でトランジューサ TG1 に達し TG1 で受信されるが、その受信強度は『海底反射面(TG1-1)』の地形に依存される。

第 2 図

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また、時刻 t3 で TG1 で発射された超音波は第 2 図の『海底反射面(TG1-2)』で反射され、時刻 t6 で TG1

で受信されるが、その受信強度は『海底反射面(TG1-2)』の地形に依存される。 従って、時刻 t3~t6 間に TG1 で受信される受信強度は、『海底反射面(TG1-1)』から『海底反射面(TG1-2)』に至る海底地形に依存される。その一例を第3図に示す。 一方、トランジューサ TG2 は、トランジューサ TG1 の後方の距離 LG の所にいつも居て、TG1 を追っかけている状態であるから、第 3 図の時刻 t3 から t6 の間の受信強度波形は、トランジューサ TG1 の受信波形に対してある時間遅れ(⊿t)の相似波形となる。 この場合、その時間遅れ(⊿t)は、船体がトランジューサTG1とTG2の間の距離 LG だけ移動した時間に他ならず、その時における船速は V = LG ÷ ⊿t となり、LG は一定不変であるから⊿t を正確に計測することにより、対地速度 V を求めることができる。

第 3 図

次に α度の横滑角をもって航行している場合の対地速度について考えてみましょう。

第 4 図は、距離 LG だけ離して船首の船底の船縦線上に配置されたトランジューサ TG1 と TG2 を上から見た図であるが、この TG1 と TG2 が実線の矢印方向へ速度 V(メートル/秒)で移動していると考えた場合、トランジューサ TG1 の受信波形に対するトランジューサ TG2 の受信波形の時間遅れを⊿ta とすると、⊿ta はトランジューサTG2 が第4図の位置から TG2’の位置までに移動に要する時間である(即ち、先行するトランジューサ TG1 の進行方向の真横の位置まで後行のトランジューサ TG2 が来るまでの時間である)。

。 従って、速度 V は、

LG × COS(α°) V = ────────── ・・・・・(第○1 式)

⊿ta

となるが、LG 不変であり、⊿ta は正確に計測できるが、この段階では横滑角 αが不明であるため、速度 V も不明であり、これを判明させるためには別のデータを必要とする。

第 4 図

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一方、同時期において、第 4 図のように配置されたトランジューサ TG2 と TG4 による受信波形の相関か

ら、同図の実線矢印方向への速度 V を算出すための計測、演算がなされており、両受信波の時間遅れを⊿tbとすると、⊿tb はトランジューサ TG4 が第 5 図の位置から TG4’の位置までに移動に要する時間である。

従って、速度 V は、 LG × COS(30°-α°)

V = ────────────── ・・・・・(第○2 式) ⊿tb となるが、LG は不変であり⊿tb も正確に計測できるが、この段階でも横滑角 α が不明であるため、速度 V も不明である。 しかし、第○1 式と第○2 式の速度 V は同じものである

から、第○1 式と第○2 式を連立してこの方程式を解けば

横滑角 α が判明し、この α を第○1 式または第○2 式に

入れる事により、船速 V も判明する。 従って、本船の船縦方向への対地速度 VAH と、船首の

船横方向の対地速度 VS も、船速 V と横滑角 α が判明

しているから、VAH = V・COS(α°) 、VS = V・SIN(α°) と計算でき、これらも判明する。 上記の演算において、もし横滑角 α がマイナスとなっ

たならば、横滑角は右舷側ではなく左舷側の横滑角であ

ることを意味する。 第 5 図 実際のトランジューサユニット内の各トランジューサの配列は第 6 図に示す通りである。

海底から反射して来る超音波を TG1~TG5 で受信し、各々の受信波形をプロットすれば、6 通りの受信波形の組み合わせ【(TG1,TG2/0 度配置)、(TG2,TG4/30 度配置)、(TG3,TG2/60 度配置)、(TG2,TG5/90度配置)、(TG5,TG4/マイナス 30 度配置)、(TG1,TG3/マイナス 60 度配置)】で、各対毎に波形の時間差を計測して、6 通りの船速 Vと横滑角 α を出せるから、これらを平均化して精度を上げている。 また、ジャイロコンパス等から本船の旋

回速度信号を本速度計にもらえば、船首と船尾の船横方向への船速表示も可能となる。 以上のように、海水中又は海底の情況の

情報を含んだ超音波の反射波を複数のトランジューサで受信し、それらの受信波形の相関(Correlation)から船速算出する(対地速度検出は同時に複数の船速を計測し、それを平均化する)ので、『相関式ログ』は非常に精度が高いと評価されている。

第 6 図

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相関式ログの優位性(ドプラー式ログとの比較) ドプラー式ログは、『発射源から発射された音波がある物体で反射され、その反射音波が発射源に戻って

くると、発射源と反射物体間に相対速度がある場合、発射周波数と戻ってきた周波数の間には周波数のズレが発生し、そのズレ(ドップラーシフト周波数)は発射源と反射点の間の相対速度に比例する』と言うドップラー効果を利用したものである。

船舶における、ドプラー式による船速計は、第 7 図のように船底のトランジューサから船首方向へ海面から θ の角度で鋭い指向性の超音波を発射し、トランジューサと超音波の反射点間の相対速度をドップラーシフト周波数から前後進の方向への船速を測定するものである。 超音波の海中における伝播速度(水

温、塩分濃度等の影響で少し変化するが、約 1500 メートル/秒)を C(m/S)、超音波の海面からの発射角度を θ(度)、トランジューサから発射する超音波の周波数を fo(Hz)、その際のドップラーシフト周波数を⊿f(Hz)とすると、前後進方向への船速 V は次の式となる。

C・⊿f V = ───────── (第○3 式) 2・fo・COSθ

第 7 図 ドプラー方式による船速測定において、超音波の発射周波数 fo は、最近の電子回路技術で非常に安定し

ており不変と考えてよいが、超音波の海中における伝播速度 C 及び、超音波の海面からの発射角度 θは超音波の伝送路の情況で必ずしも一定不変と言う訳ではない。

すなわち、超音波の伝播速度は伝送路の物質の硬さと密度により変わり、温度が高いほど、圧力が大きいほど伝播速度は速い。 例えば、第 8 図のように海面からの発射角度を θ として鋭い指向性で超音波を発射したとしても、船底から海底までの水温は一定ではなく(表面水に比べて海底に近いほど温度が下がるのが一般的)、発射角の実際値 θ’は θ より大きくなる傾向にある。 また、海水中の塩分濃度は一定では

なく、これも超音波の伝播速度に影響を与える。しかも、超音波の伝送路の水温や塩分濃度は場所、季節、時刻により変わっているのにもかかわらず、船速測定中に超音波の伝送路の水温、塩分濃度を同時に計測することは非常に難しく、実際には計測されていない。

従って、第○3 式の θ や C は一定不

変と言う訳には行かず、それらの変化

は、船速 V の測定結果に直接誤差を与

える結果となる。 第 8 図

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一方、相関式ログは、第 9 図のように船底のトランジューサ TG1 及び TG2 から、垂直に海底に向かって超音波が同時に発射され、同じような水温変化、塩分濃度差の影響を受け、海底反射面 Tg1 及び Tg2 の大きさが変わるが、トランジューサの受信波形の遅れの相関関係になんらの影響がない。 仮に、超音波の伝送路の影響で超音波の伝

播速度が変わっても、船速の値によって相違する両トランジューサの受信波形の遅れには無関係である。 以上のように、超音波の伝送路の温度や塩

分濃度の変化により、ドプラー式ログは測定結果に誤差が出るのに対し、相関式ログは測定結果にまったく影響が出ないことがわかる(正確に計測できる)。 水深測定も可能 相関式ログは、対地速度測定において海底に

向かって垂直に超音波を発射しているので、

副次的に水深測定も可能である。

第 9 図 SAL 相関ログの機種と機能 機能別に次の機種を提供しています。

*特記事項 (1) 50,000GT 未満~300GT 以上(旅客船はすべて)の船舶は、対水船速距離計の設置を要求されている。

上表(1)の機種はすべてこれに対応する機種である。

(2) 50,000GT 以上の船舶は、対水船速距離計および二軸の対地船速距離計の設置を要求されている。ま

た、2014 年 7 月 1 日発行の新規則 MSC.334(90)では、「対水および対地速度距離計を分離して設置しなけ

ればならない」と規定されているが、上表(2)の機種 1 台のみでこの新規則に適合することが、主要船級協

会より認められている(システム系統が完全に分離しているため)。

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(3)の機種 SAL R1E は、対水船速距離計(SAL R1a)と音響測深機(E1)をセットしたものであり、Sea valve

が共通一体化されている製品。50,000GT 未満~300GT 以上(旅客船はすべて)の船舶を対象に、この機

種 1 セットを設置することにより、対水船速距離計と音響測深機の搭載規則に適合する(船底開口は 1 ヵ

所のみ)。

(4)の機種 SAL T2E は、対水・対地船速距離計(SAL T2+)と音響測深機(E2)をセットした製品。50,000GT

以上の船舶を対象に、この機種 1 セットを設置することにより、対水・対地船速距離計と音響測深機の搭

載規則に適合する(船底開口は 2 ヵ所必要)。

提供機種の機器構成

SAL R1E(50,000GT 未満の船舶が対象)

対水船速距離計(SAL R1a)と音響測深機(E1)

をセットした機種。Sea valve が共通一体化さ

れている。各系統はトランジューサを含め、電

気的に完全に分離している。速度表示器 SD4-3

への速度信号は NMEA0183(IEC61162)で伝達

されている。表示器の種類と数は選択が可能。

SAL T2+(50,000GT 以上の船舶が対象)

対水および 3 軸対地速度距離計 2014 年 7 月 1 日発行の新規則では「対水および対地速度距離計を分離して設置 MSC.334(90)」を要求さ

れているが、この機種 1 台のみでこの新規則に適合することが、主要船級協会より認められています。表

示器は NMEA0183 信号の必要な情報を選択して表示している。

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SAL T2E(50,000GT 以上の船舶が対象)

対水および 3 軸対地速度距離計+音響測深機

LPU2 ユニットから音響測深機(E2)間の信号ラインは、船速距離計で副次的に計測した水深情報を追加

し表示でき、信号の授受はホトカプラーを使用した絶縁伝送回路を介して行っているので、各機器は電気

的には完全に分離されている。

SAL 相関ログの特長

◆対水速度検出 超音波の周波数が約 4 MHz(波長 0.375mm)と高いので、次の特長がある。

・ トランジューサが小型でも周波数が高いので鋭い指向性が出せる。このため、ゲートバルブも小型コン

パクトに設計ができる。

・ 超音波の波長が短いので、海中に浮遊する植物性プランクトン等から確実な超音波の反射波が得られる。

◆対地速度検出 トランジューサから指向性の鈍いビーム幅で船底より垂直に超音波発射するので、次の特長がある。

・ 超音波の反射面が広くなるため、正確な反射波が得られる。

・ 指向性が鈍いのでトランジューサの小型化ができる。トランジューサにはゲートバルブが標準装備とな

っているのでドライドックに入渠しなくてもトランジューサ交換が可能である。

・ 超音波の伝送路の水温塩分濃度変化の影響や、船底下の潮流、船体動揺の影響を受けない。

・ 対地速度を検出中に同じトランジューサを使って同時に水深も計測できる。

・ 5 個のトランジューサの受信波形から 6 組の波形比較(相関)ができ、それらの平均で精度向上を行な

える。

・ 150KHz 超音波(波長 1cm)を使用しているので、海水中のプランクトンや微粒子等の影響を受けない。

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SAL 相関ログの仕様

作動方式: 複数トランジューサからの超音波の発受によって、反射面(点)からの情報を捉え、それら

の相関から船速を求める方式。対地速度検出時には副次的に水深測定も可能である。

性能: 1.速度計測

対水速度 超音波の周波数: 3.8 MHz 及び 4.2 MHz(船速はトランジューサの表面から約 13 cm 下

の海水中の超音波反射物を対象に測定される)

計測水深: トランジューサからの水深は 3 m 以上あること。

計測速度範囲: ±50 Knot

計測精度: 0.1 Knot 以下又は計測値の 1.0%の内、大きい方

対地速度 超音波の周波数: 150 KHz(船速はトランジューサ直下の海底のある範囲における超音

波反射情況により測定される)

計測水深: トランジューサ表面から 2 ~ 250 m

計測速度範囲: ±40 Knot

計測精度: 0.1 Knot 以下又は計測値の 1.0%の内、大きい方

2.航海距離の計測

表示範囲: 0000.00 ~ 9999.99

計測精度: 対水航行距離: 1.0%以下

対地航行距離: 2~10 海里:0.2%以下、10~50 海里:0.1%以下、海里以上:0.05%以下

3.対地速度計側の際の副次的な測深機能

超音波の周波数: 150 KHz

計測水深: トランジューサからの水深が 2 ~ 250 m

計測精度: 浅海(2~20m レンジ)で 0.5 m 以下又は表示値の 2.5%の内、大きい方

深海(2~200m レンジ)で 5 m 以下又は表示値の 2.5%の内、大きい方

機能制限: ローリング、ピッチング及びヨーイング

0.25 Hz で±30 度のローリング、0.25Hz で±5 度のピッチング、0.125Hz で±5 度のヨーイン

グの状態において、速度誤差は 0.2%を越えない。

対水速度計測への悪条件の影響

川や河口付近における濃い泥水状態では、超音波の反射強度が強く、又、反射強度に差が

無い状態での対水速度測定ができなくなる場合がある。この際、アナログ速度表示ではゼ

ロを指し、デジタル速度表示は“0.0”又は“---”と表示する。対地速度計測にはこの影響は無い。

出力信号: デジタル ①シリアル出力信号:23【IEC61162-1 Edition 4.0 2010-11(NMEA0183 V-4.00】

②『200 パルス/1 海里』信号 (c 接点:4、b 接点:4、ホトカプラー:8)

アナログ: ±0.1V/1 海里

電源仕様: ELC(Electronics Unit): 電圧 198~253V AC(オプションとして 99~126 VAC)、周波数 47.5~63Hz、

消費電力 300 VA 以下

LPU2(Processing Unit):電圧 187~253V AC(オプションとして 99~126 VAC)、周波数 47.5~63Hz、

消費電力 150VA 以下(25W の EDS2 測深指示計、9 個の SD4 指示器の消費電

力を含む) SD4(操作/表示器): 電源電圧 10~32V DC、消費電流 最大 150mA(LPU2 から給電される)

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