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卒業論文

POP広告による販促ツールの宣伝効果と実践

08-1-016-0381 武田 真幸

目次

第1章 はじめに

1、 目的

2、 概要

3、 方法

4、 意義

第2章 POP広告について

1、 POP広告とは

2、 POP広告の特性

3、 消費者の行動とPOP広告

4、 POP広告の種類

第3章 集計と分析

第4章 実践と分析

1、 ルール説明

1-1、POP広告

1-2、売り場

2、 実践と分析1

2-1、実践1

2-2、分析1

2-3、考案

3、 実践と分析2

3-1、実践2

3-2、分析2

第5章 まとめ

1、 考察1

2、 実践3

3、 考察2

4、 まとめ

第6章 参考文献・参考資料

第1章

はじめに

1、 目的

 プライベートで店に展示されているPOP広告をよく目にする事がある。その上で、特徴としてその地域及び流行、もしくはその店舗の戦略によりお勧めしている商品に販促ツールとして、POP広告を展示している事がほとんどである。しかし、今回取り上げたいPOP広告はそういった人気商品ではなく、現在では店舗に置くだけでは、売上には直接繋がりにくい商品をPOP広告という販促ツールを使用して売上に繋げようとするものに限定し、どのようにすれば顧客の目に止まる広告になるか、また売上に繋がる広告を作成出来るかを私なりの方法や手段を見つけ出したいと考える。

2、 概要

 店舗に置くだけでは売上に繋がりにくい商品の位置付けとして考えられる要素は、その商品(書籍やCDなど)に対して、特定の購入者(その作家もしくはアーティストのファンなど)のみに購入される機会しかないと考えられるからである。その上で、今回の研究ではその概念を打開する要素(情報など)をPOP広告という販促ツールで見出す事を考え、分析するものとする。

3、 方法

 まずPOP広告を使用している書店及びCDショップなどで一定の基準となるものを調査し、分析する。(地域の特性や情報の使い方など)

1 上記を基に今回の研究対象を絞る。

2 ①より決定された対象物に対し、実際に私のアルバイト先でPOP広告を作成し、一定の基準を基に売上に繋がるか実施する。

3 ②での結果を基に得られた情報を考察し、再度研究調査を行い、POP広告の宣伝効果を記すものとする。

4、 意義

 今回の研究に際し、実際に私のアルバイト先で実施するという事は、売場の一部分を私自身が展開する事でもある。その上で、判断次第で大きなチャンスロスに繋がる可能性がある。しかし、この研究である一定の法則性を見出す事が出来れば、店舗の売上に貢献出来るだけでなく、その店舗の在庫を減らす事にも繋がり、新商品を展開する場所を確保する事も可能となる。また社会人になった際、私の経験値としても繋げられるのではないかと考える。

第二章

POP広告について

1、 POP広告とは

POP広告は、は「Point of purchase advertising」の頭文字を取った略語で、主に商店などに用いられる販売促進のための広告媒体である。さらに、紙を広告媒体としてその上に商品名と価格、またはキャッチコピーや説明文、イラストだけを手描きしたものであり、数ある広告媒体の中でも単純なツールの一つである。(図1)

しかし、POP広告は個性的な店の雰囲気を作り上げる力があり、POP広告一つでその商品、または店舗の売上を左右するとまで言われるほど、実に優れた力を持っている。

図1:POP広告の概念

またPOP広告の製作は比較的簡単に製作できるが、資料、情報収集は欠かせない。これからPRしたい商品の内容に関わる情報(例えば健康食品なら専門的な用語の説明など)や、あるいはこれから製作したいPOP広告のデザインに関わる資料(季節感を持たせるアイテムなど)はネット上の専門サイト、デザイン関連書籍などを参照すると有効である。それを踏まえて、以下の基本を守れば、最低限POP広告としての体を成す。

POP広告の基本は、商品名と金額、そして説明文(コピー)によって構成される。そしてこれらのバランスを振り分けることによって、様々な目的に応じたPOP広告が製作できる。商品名と金額だけを書いたPOP広告、説明文を書いたPOP広告と分けて作成すると価格変更に対応しやすいと考えられる。(図2)

図2:POP広告の基本

・値頃感を打ち出したい場合

金額を大きく描き、目立つことを全面に出す。

・特定の商品を推奨したい場合

その商品の良さを全面に押し出すべく、コピーを目立つようにする。

・雰囲気を重視したい場合

季節や年間行事、イベントなどに合わせて色紙を用いたり、イラストを描いたりして工夫を凝らす。

2、 POP広告の特性

 POP広告が求められる最大の理由としては、単に店頭で商品メッセージを伝えるという事ではない。何よりも重要な点として、消費者が直接的に商品と出会う場であり、実際に製品を手にとって触る、体験する場面での広告であるという点にある。

つまり、どんなに優れた製品であったとしても、あるいはどんなに知名度の高い製品であったとしても、実際にその製品を体験しなければ、その製品の優れた点は分からない。また逆に知名度や認知度で他社製品に劣っていても、直接体験させる事によって販売のチャンスをつかむ事が出来ると言える。その販売チャンスの最も手助けとなるのがPOP広告である。

3、消費者の行動とPOP広告

消費者の購買行動には、あらかじめ買うべき商品や銘柄を決めている目的購入と、現場で意思決定をする衝動購入との2パターン存在する。また、消費者の購買行動のうち7割までが衝動購入と言われており、実際に購入する場面で当初購入するつもりであった銘柄を変更し、予定外の買い物をするケースがかなり比重していると言われている。

その上で、POP広告は前項(2、POP広告と特性 参照)の補足として、「情報を伝える」「陳列で売りたい商品を目立たせる」「美しく見せる」「お客様を引き付ける」という点も含んでおり、消費者の衝動購入へと導くための販促ツールとしても優れていると言える。(図3)

図3:消費者の購買行動とPOP広告の特性

3、 POPの種類

1) コーナーPOP

 商品群別の設置場所(コーナー)の案内を初め、コーナー設置商品の中分類や小分類分けをする。コーナー全体を盛り上げるためのイベントPOPや装飾POP、コーナーにおける、お買得品の情報を提供するなどの役割を果たす。

<コーナーPOPの例>

コーナー看板・コーナーシーリングPOP・コーナー告知ポスター・ムービングPOP・コーナー横幕・腰幕・のぼり・ミニのぼり・ペナントフラッグ・ミニペナント・イベントポスター・イベントルーバー・お買得品ポスター・スタンドPOP・フラッピング・商品分類POP

2) 商品POP

 商品ごとに商品名や価格を表示するだけでなく、商品の特性や効能および使い方などを伝え、お店のお勧め品やお買い得情報を知らせるものである。特に注目や注意喚起を促したいものにはアイキャッチャーの役割を果たす。

<店舗案内POPの例>

価格品名表示・お買得表示・品質保証表示・品質保持期限表示・好適品表示・輸入品(国)表示・産地表示・季節商品表示・使用法説明表示・効果効能表示・人気商品表示・新発売商品表示・割引表示・限定販売表示・品切れ告知・アイキャッチPOP

3) 店頭POP

店頭にて不特定多数の通行人を、お客様として店内に招き入れる役割である。イベントを実施中である事やそのイベントの内容を告知し、併せてお買得商品情報などを知らせる。また一方では、お店の存在感やお店のイメージを創り遠方からお店の所在を知らせるなどの働きがある。従って、店頭POPの範囲はお店の入り口だけでなく建物回りやお店の周辺に取り付けられる全ての販促ツールを指して言う。

<店頭POPの例>

屋上広告塔・軒先看板・電飾看板(ネオンサイン)・立て看板・A型サイン・スタンドサイン・外壁面サイン・イベントサイン・突き出しサイン・吊り下げサイン・営業案内ボード・店内案内ボード・特売告知ボード・告知スタンド・イベントパネル・屋外懸垂幕・店頭横断幕/横幕・紅白幕・旭光幕・のぼり・ペナントフラッグ・フラフ・提灯・ショーウィンド・ドアサイン・マットサイン

4) 催事POP

 店内のシーリング(天井)やウォール(壁面)およびフロア(床)、特設コーナーなどで、イベントセールを盛り上げ、活況付けて、売り出しムードを演出する役割をする。また、ご来店のお客様に楽しくお買い物をして戴くための雰囲気作りも、POPの役割の一つでもある。

<イベントPOPの例>

シーリングサイン・シーリングPOP・シーリングボード・シーリングガーランド・店内懸垂幕・店内横断幕・横幕・紅白幕・旭光幕・腰幕・モビール・提灯・タペストリー・ペナントフラッグ・フラフ・のぼり・イベントポスター・イベントパネル・ハンガーPOP・気球POP・フロアPOP・パネルスタンド・ムービングPOP

5) 店内案内POP

 各階の商品案内や各施設(特設コーナー、会計レジ、事務所、休憩室、喫煙室、駐車・駐輪場、階段、エスカレーター、エレベーターなど)の案内をする役割を果たす。

<店舗案内POPの例>

各階見取り図・階別商品案内・各施設一覧案内・施設コーナー表示・注意事項案内・危険防止表示

※本研究では主に、コーナーPOPと商品POPを軸に実施していくものとする。

第三章

集計と分析

 POP広告を使用している書店及びCDショップで、特定の書やCDに関するPOP広告に一定の基準を設けるものとする(第二章 1、POP広告とは 参照)。またその基準に従い、調査及び分析した結果である。(表1)

 表1:書店及びCDショップでの統計データ

 

商品名、価格

キャッチコピー、説明文

イラスト

合計

値頃感

1(1)

2(2)

4(4)

7(7)

特定商品

14(5)

23(11)

8(5)

45(21)

雰囲気

28(16)

36(22)

11(7)

75(45)

合計

43(22)

61(35)

23(16)

127(73)

※( )の数値はCDに関するPOP広告の枚数を示す。

※2011年6月14日~6月30日に実施。

 この結果より、以下の事が考えられる。

1 CDにおいて価格の変更は非常に少なく(例、中古CDなどに加工されている)、書籍においてはほぼゼロに等しい結果となった(例、訳あり商品を中古本として販売)。

2 キャッチコピー及び説明文において、書籍はあらすじや「衝撃のラスト」といった言葉を使用したPOP広告が非常に多かった。

3 イラスト面では、書籍は背景画、CDはロゴマークと言った傾向が目立つ結果と言える。

4 書籍のPOP広告においては、大型書店(紀伊国屋梅田店など)では手書きのPOP広告を見る事が出来たが、小規模の書店では出版社からのPOP広告を使用する店舗も多く見られる傾向があると考える。

この結果を踏まえ、今回の研究ではCDレンタルを対象としたPOP広告を作成する事とする。その上で、以下の条件を設ける。

Ⅰ、レンタルショップのため、本研究では値頃感を対象から外すものとする。

Ⅱ、輸入盤、レンタル許可が下りないなどが多いことから洋楽商品を外し(基本、洋楽CDは販売から1年経過後にレンタル解禁となる)、邦楽商品を対象として実施する。

Ⅲ、旧作商品を対象とする。(基本、レンタル解禁より2カ月以上経過しているもの)

第四章

実践と分析

1、ルール説明

1-1、POP広告

 レンタル商品へのPOP広告を設ける際、一定の大きさに定めた販促ツールを使用し、吹き出しなどのその商品のみに焦点が当たるPOP広告は避けるものとする。それを踏まえ、以下のようなPOP広告を企画にそれぞれ設け、実践及び分析する。(図4)

図4:企画コーナーでのPOP広告例

1-2、売り場

 お客様の目の止まりやすい商品列の真ん中に位置する場所をアイライン(eye-line)と言い、その位置にPOP広告を使用した企画コーナーを設けるものとする。(図5)

図5:売り場展示例

2、実践と分析1

2-1、実践1

今までの説明などを含め,実際に店頭でのPOP広告を使った実験を行う。その上で今回はその四季ごとの雰囲気を出すものを取り上げて実施したいと考え、商品POPとコーナーPOPを盛り込んだ(第二章 3、POPの種類 参照)「夏フェス」特集を2011年7月25日~8月29日にかけて実施した。なお、「特集」とは企画コーナーのことを指す。(表2)

表2:「夏フェス」特集での統計データ

アーティスト名

アルバム名

1か月前の

回転率

特集期間の

回転率

andymori

※革命

2

2

androp

door

1

2

FACT

FACT

0

1

YUI

I LOVED YESTERDAY

2

5

Perfume

GAME

1

2

CHEMISTRY

CHEMISTRY 2001 - 2011

5

4

THE BAWDIES

※LIVE THE LIFE I LOVE

2

2

木村カエラ

5years

1

1

YUKI

うれしくって抱き合うよ

0

3

マキシマム ザ ホルモン

ぶっ生き返す

2

2

ASIAN KUNG - FU

GENERATION

マジックディスク

0

1

サカナクション

KiKUUiKi

4

3

10 - FEET

10 - BEST 2001 - 2009

1

0

the telephones

We Love Telephones!!!

0

2

フジファブリック

SINGLES 2004 - 2009

3

4

OKAMOTO’S

オカモトズに夢中

0

0

世界の終わり

EARTH

2

1

ONE OK ROCK

感情エフェクト

1

1

スキマスイッチ

グレイテスト・ヒッツ

3

3

黒猫チェルシー

NUDE+

1

0

※旧作は当日・2泊・1週間のいずれかの泊数レンタルである。(新作は当日・1泊・2泊)

※商品によっては、1か月前の回転率の時期に「新作」であったものもある。

(例)革命 / andymori 、LIVE THE LIFE I LOVE / THE BAWDIES

2-2、分析1

上記の結果を基に、1か月前の回転率と特集期間の回転率との比較データについてグラフで示すものとする。(図6)

図6:特集期間の回転率推移データ

図6の特集期間中の回転率推移の結果として、特集1か月前の回転率の平均が1.55であったのに対し、特集期間の回転率の平均が1.95と0.4ポイント増加した事が分かった。

しかし、ここで一つの問題が生じた。それは、特集期間中の回転率の平均は増加したものの、総合的推移で表すとPOP広告を用いて組んだ特集の商品が、通常時のレンタル展示より特集を組んだ場合、必ずしも回転率が向上するとは言い難い結果であったからである。なぜなら、全体の60%が回転率の減少もしくは回転率に変化なしといった結果に至ったからである(図6)。

2-3、考案

分析1の特集期間中の回転率推移の結果を踏まえ、打開策として一つの仮説を述べる。それは、「テレビなどのメディアに特集を組まれ、出演したアーティストである」または「新曲披露もしくはアルバム発売に伴い、出演したアーティストである」などを観ていた視聴者が興味を示すといった、以前から存在するスタンスである。

つまり、一定の認知度のあるアーティストがやはり回転率を高めているのではないかと考える。なぜなら、この特集期間中にPOP広告の企画コーナーに盛り込まなかったにもかかわらず、いくつかのアーティストにおける回転率が増加傾向にあったからである。または私のアルバイト先の地域ではこのような傾向にあるのではないかと考える。(表3)

表3:回転率増加傾向のアーティスト例

アーティスト名

※1か月前の回転率

※特集期間の回転率

TUBE

1.4

2.4

DREAMS COME TRUE

1.6

2.2

ORANGE RANGE

1.4

2.0

※1か月前の回転率と特集期間の回転率の数値は共に、そのアーティストのアルバム数での平均回転率である。

※平均回転率を明確にするため、1組のアーティストに対し、無作為に選んだ5枚のアルバムの平均回転率を記すものとする。

以上の仮説及び結果を踏まえ、やはり回転率の増加傾向に至る前の日にテレビのメディアで「サマーソング」特集と題して、その番組で上記の3組のアーティストの音楽が放送されていた。つまり、少なからずアルバイト先の地域の特徴として、メディア(主に、テレビ)とリンクする音楽ランキングもしくはその時期に合わせた特別番組の影響を受ける事でCDの回転率にも影響が生じるのではないかと考える。

この仮説を基に、実践と分析2では、その時期に合わせた雰囲気のもの(実践と分析1と同様季節感のある企画コーナー)とテレビなどのメディアに特集されたものやCMソングで使用されているなどをアピールするもの(特定商品とは少し定義が違う →第二章 1、POP広告とは 参照)を特集として組むものとする。また、メディア情報と混同させた事で季節感などの雰囲気のあるPOP広告より効果があるのかを明確に分析するため、同一商品を2週間後にPOP広告の内容を反対に入れ替えて、企画コーナーに展示する商品も用意し、実践及び分析する。

3、実践と分析2

3-1、実践2

 前項(2-3、考案 参照)での考え方を基に、実際に店頭でのPOP広告を使った実験を再度行った。その上で、今回の特集では季節感として秋の旅行に合わせた、雰囲気のある特集して「DRIVE SONG」特集を、そしてメディア効果を検証するために、テレビで使用されている曲を明確化する事で、お客様に認知して戴きやすいのではないか、またこの地域ではメディアの影響力は高いのでないかと考え、「CM(commercial message)ソング」特集を2011年9月1日~10月3日にかけて企画実施した。(表4、5)

表4:「DRIVE SONG」特集での統計データ

アーティスト名

アルバム名

1か月前の

回転率

特集期間の

回転率

ケツメイシ

ケツノポリス4

Mr.Children

Mr.Children

1992-1995

KREVA

クレバのベスト盤

m-flo

m-flo inside -WORKS BEST IV-

RIP SLYME

TOKYO CLASSIC

MINMI

MINMI BEST

2002-2008

PRINCESS PRINCESS

プリ2~PRINCESS PRINCESS BEST OF BEST~

表5:「CMソング」特集での統計データ

アーティスト名

アルバム名

1か月前の

回転率

特集期間の

回転率

moumoon

15 Doors

いきものがかり

いきものばかり

~メンバーズBEST

セレクション~

AKB48

ここにいたこと

忌野清志郎

忌野清志郎 青山ロックン・ロール・ショー 2009.5.9 オリジナル

サウンドトラック

GReeeeN

いままでの

A面、B面ですと!?

山口百恵

GOLDEN☆BEST

山口百恵 コンプリート・シングルコレクション

SMAP

We are SMAP!

また実践2では、前項(2-3、考案 参照)でも述べたように、メディア情報と混同させた事で季節感などの雰囲気のあるPOP広告より効果があるのかを明確に分析するため、同一商品を2週間後にPOP広告の内容を反対に入れ替えて展示する商品も設けて(例、「DRIVE SONG」から「CMソング」へ変更、またはその反対)企画実施を行った。(表6)

表6:特集を変更したPOP広告企画の統計データ

アーティスト名

アルバム名

1か月前の

回転率

「DRIVE SONG」の回転率

「CMソング」の回転率

※1難波章浩

AKIHIRO NAMBA

PUNK ROCK THROUGH

THE NIGHT

※1フジファブリック

MUSIC

※1木村カエラ

HOCUS POCUS

※2ゆず

Home

[1997~2000]

※2FUNKY MONKEY BABYS

ファンキーモンキーベイビーズBEST

※2L'Arc~en~Ciel

TWENITY

1997-1999

2

※1「DRIVE SONG」から「CMソング」へ変更して実施。

※2「CMソング」から「DRIVE SONG」へ変更して実施。

※期間は前半を2011年9月1日~9月18日まで実施。また変更後の後半を9月19日~10月3日までそれぞれ実施した。

3-2、分析2

以上の結果を踏まえ、前項(3-1、実践2 表4~6 参照)のそれぞれの結果をグラフで示すものとする。(2-2、分析1 参照)

その上で、「DRIVE SONG」特集の回転率推移(図7)、「CMソング」特集の回転率推移(図8)、メディア情報と混同させる事でより効果が得られるのかを立証するために、同一商品を2週間で入れ替えて展示した特集を変更したPOP広告企画を入れ替えたそれぞれの数値を1カ月前と比較した(例、特集変更後の「CMソング」と1カ月前との回転率推移)推移(図9)、また同一商品を入れ替えて展示した特集全体の効果を調べた推移(図10)と以下にそれぞれ示すものとする。

図7:「DRIVE SONG」特集の回転率推移データ

「DRIVE SONG」は特集1か月前の回転率の平均が1.43であったのに対し、特集期間の回転率の平均が1.14と-0.3ポイント減少した。前項(2-2、分析1 参照)と比べ、季節感のある特集でなかった事が、今回の実践では回転率の減少が約60%になった要因であると考える。

図8:「CMソング」特集の回転率推移データ

「CMソング」は特集1か月前の回転率の平均が2.29であったのに対し、特集期間の回転率の平均が3.0と0.7ポイント増加した事が分かった。しかし、前項(2-3、考案 参照)で述べた考え方が必ずしも正しいといえる結果ではない。なぜなら、特集期間中の回転率の増加と回転率に変化なしがともに43%という結果だったからである。ただし、個別に考えると「いきものがかり」と「AKB48」などメディアで多く取り上げられているものに関しては、やはり効果はあると考える。

図9:特集を変更したPOP広告企画の特集別推移

図10:特集を変更したPOP広告企画推移

まず、図9の特集を変更したPOP広告企画の特集別推移については、特集を変更してPOP広告企画を行ったものに関しても,特集1か月前の回転率の平均が1.5であったのに対し、「DRIVE SONG」の特集期間の回転率の平均が1.33と-0.17ポイント減少した。また「CMソング」の特集期間の回転率の平均が2.0と0.5ポイントの増加した事が分かった。また特集別の平均差でも「CMソング」が0.67ポイント上回る結果となった。

その上で、個別に考えると「難波章浩-AKIHIRO NAMBA-」に関しては1カ月前までの回転率が0回転に対して、「DRIVE SONG」で1回転、「CMソング」では2回転と旧作商品に落ちてからでは珍しい効果を発揮したと言える。また、「CMソング」での売り場展開中に「HONDA」の企業ブランドの広告としてのCM挿入歌である「TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS」も収録されている事をPOP広告の情報として盛り込んだ事でお客様からも「気になってた」という声も頂くことが出来た。

次に、図10の特集を変更したPOP広告企画推移については、特集を変更したPOP広告企画全体の平均が1.83と0.32ポイントの増加となった。つまり、それぞれの結果では望ましい結果とは言えないことでも、全体の結果で見ると少なからず宣伝効果を促す特集が組む事が出来るものと考える。この結果を踏まえ、考察していきたいと考える。

第五章

まとめ

1、 考察1

 これまでの結果を踏まえ、分かったことは特集を組む事で通常の売上(今回の場合は商品回転率を示す)に比べ,平均して1.5から2倍の確率で上昇することが分かった。また企画を組む際に、テレビなどのメディアと混合させて売り場展開することでより効果を得る事も実証されたと言える。

ただし、四季などの雰囲気のある特集を組む際は、その時々のニーズのあるものを選択しないとある一定の効果は見込めない事も分かった(第四章 3、実践と分析2 3-2、分析2参照)。その上で同じ商品でも売り場の位置の変更や特集内容を変更する事である程度の修正を見込める事も実証出来たと考える(第四章 3、実践と分析2 3-2、分析2 参照)。

 しかし、ここで一つの問題として「POP広告自体の効果は実際に得られたと言えるのか?」という点を考える。そのことを踏まえ,新たに一つの実践を行った。

2、 実践3

 この実践では、以下の条件を基に行っていくこととする。(図11、表7)

(1) 対象物をCDではなく、CR(Comic Rental,コミックレンタル)に変えて行うものとする。

(2) 今までの結果を踏まえ、メディアで取り上げられたものに焦点を当てるものとする。

(3) 今回はPOP広告の効果を調べるため、企画コーナーは設けずにPOP広告のみを配置することとする。

(4) 実施期間は10月10日~11月7日。

※(ア)の対象物の変更は、CD以外の商品にも効果があるのかを調査及び分析するため。

※(イ)は、前項(1、考察1 参照)の考えを盛り込むこととする。

※(ウ)での企画コーナーは設けずにPOP広告のみを配置するとは、アイライン(第四章 1、ルール説明 1-2、売り場 参照)などに特集企画を組まず、店頭にPOP広告のみを貼り付けて、この広告が効果があるのかを調査及び分析するため。(例、ポスターなど)

図11、CR商品のPOP広告例

表7:CR商品のPOP広告統計データ

コミックタイトル

※1か月前の回転率

※期間中の回転率

モテキ

3.7

4.3

宇宙兄弟

進撃の巨人

2.33

2.7

ハンター×ハンター

2.33

2.7

荒川アンダーザブリッジ

2.7

3.33

※1か月前の回転率と期間中の回転率は、共に3冊あたりの平均値を記す。

※CR(レンタルコミック)は、基本1週間レンタルである。

3、 考察2

 前項(2、実践3 参照)の結果より、1カ月前の回転率の平均が2.6に対して、POP広告を設けた期間中の回転率の平均が3.2となり、0.6ポイントの増加を生むことが出来た。

また、POP広告を設けた期間中に、お客様よりその商品がどこに展示してあるのかという問い合わせを何度か受けたという事実もあり、商品によってはPOP広告を見て頂き、その結果、コミックレンタルの売上に繋がるという宣伝効果を発揮したと言える。つまり、特集コーナーを設けなくてもPOP広告のみを掲載しておくだけでも充分に売上貢献出来る効果があると言える。

4、まとめ

 本研究は、POP広告の宣伝効果が本当にあるのかという問題について考えるものであった。その点に関してのみに言及すると実践3より、少なからず効果を得る事が出来ると分かった。それを踏まえ、以下の考えが出来る。(図11)

※本研究では実践しておらず、仮説段階である。

図11:POP広告におけるメディアの位置づけ

 図11よりPOP広告の宣伝効果を高めるために、雰囲気のあるものに対してはメディアとのリンクした広告にすることでより効果が得られる事が分かった。その上で、随所に情報を提示するのではなく、検索などを行わないと分からないなどといった認知を意識した広告を設けるとより効果を発揮するものと考える。(第四章 3、実践と分析2 3-2、分析2 参照)また、他の領域にも応用出来ないかと考え、以下の考えを提示する。(図12)

図12:一番クジにおけるPOP広告展開の考え方

 一番クジに対して、その季節に合わせた商品も多数出ている事も考え、本研究のPOP広告の方法を利用出来るのではないかと考える。また、雑誌やインターネットなどのメディアでも良く広告として取り上げられていることもあり、その情報を盛り込みつつ、この店舗でしかこの地域では扱っていないなどの情報も盛り込むとさらに効果が得られるのではないかと考える。

全体を通して、この研究を通して感じたのは、POP広告一枚作るのに掛かった紙およびラミネート加工などの費用に対する宣伝効果の売上とのコスト面の差が見合ったものであったかという問題である。この問題についてはラミネート一枚あたりのコストなどの計算が困難であったため、言及して分析出来なかった。

また、本研究では季節感などの雰囲気のあるPOP広告のみに言及したが、結論から述べるとテレビなどのメディアとの混同した情報を設けないと望ましい結果が得られないという事も痛感した。さらに、このPOP広告を見てレンタルして頂いたかどうかをお客様自身にアンケートして戴くというシステムを設ける事が出来れば、より良い研究方法を見出す事も出来たのではないかと考える。

最後に、今回の研究では雰囲気のあるPOP広告のみに言及することとなったが、実際行ってみて感じたのは、POP広告が商品紹介や宣伝効果をもたらすものであると同時にその店それぞれの色(雰囲気)を出すのに最も効果があるのだという事を再確認出来た点である。(第二章 1、POP広告とは 参照)その上で、実際にこういった経験が出来た事はメリットとして大きかったのではないかと考える。

第六章

参考文献・参考資料

第二章で使用

<参考文献>

・「広告大百科 第3巻 -POP・イベント・商業空間-」

 監修:小林 太三郎、山川 浩二

 発行人:小内 進  発行所:株式会社 電通

 発行:一刷 1991年7月10日

    二刷 1992年1月31日

<参考サイト>

・Wikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/POP%E5%BA%83%E5%91%8A

・POP WORLD:http://www.taka.co.jp/popworld/top/index.html

POP広告

値頃感

安売り

※メディア

特定商品

特色

雰囲気

※メディア

季節

メディア

お得感

口コミ

話題性

イメージしやすい

話題性

イメージしやすい

特定の場所(店内の入り口など)にPOP広告を提示。

雑誌などで紹介されたことなど盛り込んで提示する。

この近くでは、この商品は扱っていないなどのメリットを大きく開示するなど。

特集期間中の回転率推移

特集期間の

回転率増加40%

特集期間の

回転率減少25%

特集期間の

回転率変化なし35%

特集期間の回転率増加特集期間の回転率減少特集期間の回転率変化なし857

「DRIVE SONG」特集

特集期間の

回転率増加29%

特集期間の

回転率減少57%

特集期間の

回転率変化なし14%

特集期間の回転率増加特集期間の回転率減少特集期間の回転率変化なし241

「CMソング」特集

特集期間の

回転率増加43%

特集期間の

回転率減少14%

特集期間の

回転率変化なし43%

特集期間の回転率増加特集期間の回転率減少特集期間の回転率変化なし313

変更した特集別推移

「DRIVE SONG」特集 特集期間の回転率増加特集期間の回転率減少特集期間の回転率変化なし222「CMソング」特集 特集期間の回転率増加特集期間の回転率減少特集期間の回転率変化なし420

特集を変更したPOP広告企画

特集期間の

回転率増加83%

特集期間の

回転率減少0%

特集期間の

回転率変化なし17%

特集期間の回転率増加特集期間の回転率減少特集期間の回転率変化なし501

80

82