くじけない人 - サンガ-samgha-くじけない人 ひと の話 はなし...
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くじけない人ひ と
の話は な し
おしゃかさまの物も の
語がたり
より(ジャータカ 第 124 話)
アルボムッレ・スマナサーラ 監修藤ふ じ
本も と
竜りゅう
子こ
再さ い
話わ
笛ふ え
岡お か
法の り
子こ
絵え
サ ン ガ
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くるひも くるひも
ひとつぶの あめも ふりませんでした。
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むかしむかし
ヒマラヤの ふもとで
ひどいひでりが つづきました。
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このひでりでひとびとは のみものにも たべものにもとても くろうしていました。
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でも いってきの みずも ありません。
どこもかしこも からからでした。
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ひとりの わかものが
かれたかわの そばを あるいていました。
かわには どうぶつたちが たくさん やってきて
みんな みずを さがしていました。
「みずは どこに あるのだろう」
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ほんのすこし いろの
ちがうところが ありました。
わかものは そこを ほりました。
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ずうっと あるいていくと
ひあがったいけの そこに
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ほって ほってほりました。ほって ほって ほりすすむとみずが ちょっぴり しみだしました。
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ほって ほってほりすすむととうとう みずが わきでてきました。
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もっと もっと ほりました。
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「よし。あれを つくろう。みんな。まってて」
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「ああ でも
これでは おまえたちは
のめないね」
あなは ふかくて
どうぶつたちには
とどきません。
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そのきを けずります。けずって けずってひとつの おけを つくりました。
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わかものは はしっていっていっぽんの きを きりました。
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「さあ。みずだよ!」
なんども なんども
くみました。
どうぶつたちは おいしい みずを
のみました。
わかものは みずを くみます。
くんで くんで
くみました。
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わかものは くんで くんで くみました。やすむことなくどんどん。
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つぎから つぎへとどうぶつたちは あつまります。くんでも くんでもどうぶつたちの れつは つづきます。
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でも くむことは やめません。
つかれても くみました。
なにもかも わすれて くみました。
どうぶつたちは
みずを くんでくれる わかものを
じっと みていました。23
わかものは おなかが ぺこぺこでした。
だって ずっと みずを
くんでいるので
たべものを さがしにいけないのです。
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ぼくらの ともだちをこんどは ぼくらがたすけるんだ。
ぼくらに
できることは
なにかな?
わたしに
できることは
なんだろ?
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このひとは ぼくらの ともだちだよ。こんなに ぼくらのことをしんぱいしてくれるんだもの。
おなかが すいて きっと ふらふらだよ。
きっと たおれそうにつかれているよ。
わたしたちも
このひとに
なにか
してあげたい。
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そうだ!
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「それがいい! それがいい!」「そうしましょう!」
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「ぼくらが みずを のみにくるとき
なにか たべものを もってくるんだ。
ぼくらだから さがせるものが
きっと なにか あるはずだよ。
ひとり ひとり
じぶんの ちからで さがせるものを
もってくることに しようよ!」
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ゾウはながいはなを
つかってパンのきの
みをとりました。
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どうぶつたちはみんな それぞれじぶんが もっている ちからを つかってくだものを さがしました。
サルはたかいところに なっている
マンゴーの みを もぎました。
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リスはくるみをさがしてきました。
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ヤマイヌは しげみに もぐりこんでノバラの みをくわえてきました。
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ながい ながい どうぶつたちの れつ。
どんどん どんどん やってきます。
くだものは ずんずん たまります。
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みつけた くだものを もって
どうぶつたちは みずを のみにいきました。
くだものを おいて
みずを のんで かえります。
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おおきな おおきな くだものの やまが できました。
おおぜいの ひとたちが いっぱい たべても だいじょうぶ。
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にんげんも
どうぶつたちも
ひでりに まけず
それどころか
みんな
なかよく げんきに
にこにこと くらしました。39
まいにち まいにち
ひでりが おわるまで
こんなふうに つづきました。
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くじけないこころの おおきなちからが
みんなの しあわせを つくったのじゃよ」
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むらの おさが はなします。
「やさしいこころの わかものは
けっして くじけなかった。
どうぶつたちは しあわせになり
わたしたちにも
こんな ひでりの なかなのに
たくさんの たべものが あった。
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「いきることは どりょくで みのるかしこいひとなら くじけないちえあるひとは おちこまない
ごらんよこのしあわせを
くじけないこころが つくったこのしあわせを」
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そして みんなが わすれないよう
ひとつの うたを つくりました。
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人じん
生せい
には次つぎ
々つぎ
と困こん
難なん
なことが起お
こります。
しかし、くじけず、努ど
力りょく
することで、
のりこえることができます。
困こん
難なん
を、幸しあわ
せに変か
えることができます。
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くじけない人ひ と
の話は な し
おしゃかさまの物
も の
語が た り
より(ジャータカ 第 124 話) 2011 年 8 月 1 日 第 1 刷発行
監修 アルボムッレ・スマナサーラ再話 藤本 竜子 絵 笛岡 法子
発行者 島影 透発行所 株式会社サンガ 〒 101 - 0052 東京都千代田区神田小川町 3 - 28 電 話 03(6273)2181 FAX 03(6273)2182 ホームページ http://www.samgha.co.jp/ 郵便振替 02230 - 0 - 49885(株)サンガ
印刷・製本 倉敷印刷株式会社
©Alubomulle Sumanasara, Ryuko Fujimoto, Noriko Fueoka 2011. Printed and Bounded in JapanISBN978-4-904507-92-6 C8715
落丁・乱丁本はお取り替え致します。
[監修]
アルボムッレ・スマナサーラ(Alubomulle Sumanasara)スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老。1945 年 4 月、スリランカ生まれ。13 歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとったのち、1980 年に国費留学生として来日。駒澤大学大学院博士課程で道元の思想を研究。現在は(宗)日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事。メディア出演や全国での講演活動をつづけている。著書に『自分を変える気づきの瞑想法』『ブッダの実践心理学─アビダンマ講義シリーズ』(藤本晃氏との共著)『怒らないこと』『怒らないこと2』『13 歳へ』(以上、サンガ)、『心がスーッとなるブッダの言葉』(成美堂出版)、『ブッダが教えた本当のやさしさ』(宝島社)など多数ある。日本テーラワーダ仏教協会 http://www.j-theravada.net/
[再話]
藤本 竜子 (ふじもと・りゅうこ)1960 年、京都府生まれ。関西学院大学文学部教育学科卒業。大谷大学大学院仏教学専攻修士課程修了。山口県下松市・浄土真宗誓教寺坊守。
[絵]
笛岡 法子 (ふえおか・のりこ)1989 年、京都府生まれ。京都府与謝郡・曹洞宗宝泉寺にて育つ。現在、京都精華大学デザイン学部ビジュアルデザイン学科イラストレーションコース在学中。