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NIKKEI ELECTRONICS 2014.3.17 49
解説1
1解 説
半導体製造用途も技術向上で復活か
ナノインプリントに新風大面積化で用途も拡大
微細パターンを彫り込んだ判型を基板などにスタンプのように押すことでそのパターンを転写する技術「ナノインプリント」の実用化例が増えている。大面積の判型を低コストで作製する技術の開発が進んだことが背景にある。
さまざまな新用途での実用化が始まり、半導体の微細加工への適用も視野に入りつつある。
(a)1500mm×1300mmのフィルムモールド(綜研化学)
(b)800mm×600mmの大面積モールド(イノックス)
(c)�微細加工された1100mm×1300mmのガラス板(SCIVAX)
最近開発された大面積モールド(a、b)と、大面積モールドで作製された加工ガラス板(c)。(写真:(c)はSCIVAX)
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50 NIKKEI ELECTRONICS 2014.3.17
Feature
使われる可能性が出てきた。
好調のカギは大面積 ナノインプリント技術の新規用途開拓やモールドなどの大面積化を進めるメーカーと、ナノインプリント技術の当初の用途である半導体製造向けに開発を進めてきたメーカーでは、前者の勢いが顕著だ。 大面積モールドを作製する事業を手掛ける綜研化学 新規事業部 NIP製品プロジェクト 営業担当 主査の吉原功氏は、「2012年後半から急激に用途が広がってきた。量産の案件も増えている。2014年はもっと広がりそうだ」という。同様に、新規用途向けにナノインプリント装置を開発するSCIVAXも、「3年ほど前から製
あたかも印鑑やスタンプを押すように、微細パターンを彫り込んだ判型(モールド)を基板などに押し付けることでそのパターンを大量に転写する技 術「ナノインプリント†」。2014年は、この技術にとって二つの方向で大きな節目となりそうだ。 一つは、さまざまな新規用途の開拓と大面積の判型の開発が進んだことで、用途が急速に拡大し、量産が広がること(前ページの写真、図1)。 もう一つは、最先端の半導体製造技術として実用化が始まる可能性が出てきたことである。キヤノンが2014年2月に米国のナノインプリント装置メーカーMolecular Imprints
(MII)社の買収を発表。2015年にもNANDフラッシュメモリーの製造に
造受託サービスの受注が増え、2013年は特に伸びが大きかった。2014年はさらに加速しそう」(SCIVAX 代表取締役社長の田中覚氏)とする。 新規用途とは例えば、液晶パネルの反射防止層形成、偏光フィルム、有機ELパネルの光取り出し効率の向上、自動車の窓ガラスなどのはっ水加工、微細なマイクロレンズアレーから大型レンズまでの光学部品、などである。立体的な細胞の培養といった、ナノインプリント技術によって初めて開拓された用途も多い。
半導体向けは長い冬が終わるか ナノインプリント技術の本来の用途である半導体向けやHDD向けでも長い冬が終わる可能性がある。こうした用途を狙うメーカーの多くは、これまで想定通りに業績を伸ばせず、ナノインプリント事業を見限ったり、休眠させたりするメーカーもあった。 理由は、光リソグラフィなどの既存の半導体製造技術に対して大きな優位性を示せなかったからである。電子ビーム(EB)リソグラフィ†で製造するマスターモールド†の製造コストが高く、インプリントの技術的課題も多かったことが大きく響いた。 この状況が変わりつつある。後述するように、技術がこの3年ほどの間で急速に改善したからだ。キヤノンは2014年4月にMII社を100%子会社にする。HDD大手の米HGST社も、次世代HDDの開発にナノインプ
パターンのハーフピッチ
モールドの大きさ
大きい
MII:Molecular Imprints Inc.小さい
細い
HGST社が開発中
20cm角10nm 1000nm
1m角
1cm角
100nm太い
キヤノン/MII社、Samsung Electronics社などが開発中
比較的最近に開発を開始。多くが量産、または量産目前に
10年ほど前から開発が進む
図1 ナノインプリントは大面積用途が急速に拡大ナノインプリントの主な用途を示した。当初は半導体製造プロセスの一つとして開発されたが、最近は新しい、特に大面積であることが強みとなる用途が急速に増えて、一部は実用化が始まっている。
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NIKKEI ELECTRONICS 2014.3.17 51
解説1
リント技術を使う可能性を2013年2月に示した。
大小の液晶パネルへ採用へ ナノインプリント技術の数多くの大面積用途のうち、量産で先頭を走っているのが、液晶ディスプレーの反射防止用パネルである(図2)。 パネル表面には「モスアイ(蛾の目)構造」と呼ばれる、ハーフピッチ
(HP)†が100nm前後の突起が並ぶ構造が形成されている。この構造で屈折率をゆるやかに変化させることによって、光の反射率が大幅に低減する。反射防止層がない場合は数%あった反射率が、この技術で0.1%になる。生体模倣と呼ばれる技術の一つで、ナノインプリント技術と親和性が高い(p.53の「トンボやチョウの羽、ハスの葉が蛾の目に続く」参照)。 モスアイ構造を実現するナノインプリント技術の実用化ではシャープが先陣を切った。2012年10月に発売した大型液晶テレビにこの技術を利用。さらに2013年5月に発売した4Kテレビなどにも標準的に同技術を適用している。 同技術を開発するメーカーはシャープ以外にも複数ある。ところが、現時点では同技術を利用しているディスプレーメーカーは他にはない。モスアイ構造をフィルム上に転写した場合に大きな課題があるからだ。微細な凹凸の構造であるため、摩耗に弱く、爪でひっかいたりするとその構
造が壊れてしまう。指で触ると指紋が付きやすい課題もある。競合となる反射防止フィルムが幾つか登場しているのも理由の一つである。 この状況も今後は変わりそうだ。スマートフォンの小型ディスプレーにモスアイ構造のフィルムやパネルの採用を検討する動きが出てきたからだ(図2(c))。指などによる摩耗や汚れを防ぐために、ディスプレーの
外面でなく、内側に利用する。液晶パネルから出る光が、ディスプレー内部で反射したり拡散したりするのを減らす目的である。「最近まで、粘着材料で空気層を埋めることでパネル内部での反射を減らしていたが、製造時に気泡が混じることが課題だった。代わりにモスアイ構造のフィルムが検討されている」(イノックス 機能性フィルム開発担当 井上智晴氏)。
図2 液晶テレビではモスアイが普及段階に反射防止効果を狙ったモスアイ構造のフィルムやガラスが、液晶パネルへ採用され始めた。大型テレビだけでなく、小型のスマートフォンやタブレット端末でも、パネル内部での採用が検討されている。(写真:(b)はキヤノンマーケティングジャパン)
(a)�モスアイフィルムを実装した70型液晶テレビ(シャープ)
(c)小型液晶パネルでもモスアイ採用の動き
(b)�モスアイ用モールド(キヤノンマーケティングジャパン)
†ナノインプリント=モールドと呼ばれる、微細な凹凸などのパターンを彫り込んだ判型を、樹脂を薄く塗布した基板に圧着させ、パターンを樹脂に転写する手法。転写時に熱を加えて熱可塑性樹脂を変形させる場合は「熱ナノインプリント」、紫外線(UV)硬化樹脂にUVを照射して硬化させる場合は「光ナノインプリント」と呼ぶ。熱ナノインプリントはホットエンボスとも呼ばれる。米Prinston University、ProfessorのStephen Y. Chou氏 が1995年に、熱ナノインプリントで10n 〜 50nmという高解像度が得られることを示し、画期的な微細加工技術として脚光を浴び始めた。
†電子ビーム(EB)リソグラフィ=エネルギーの高い電子ビームを走査して微細パターンを基板に彫り込む技術。装置は非常に高価で、しかも加工に時間が掛かることが課題である。
†マスターモールド=ナノインプリント向けに、最初に作製する判型。これを用いて複製された判型はレプリカモールドと呼ばれる。
†ハーフピッチ(HP)=周期的な構造を備えたパターンの周期間隔(ピッチ)の1/2の長さ。パターンの凹凸の凹構造または凸構造の寸法の目安になる。
モスアイ構造
フロントカバー
光学粘着層
偏光板液晶モジュール
フロントカバー
空気層
偏光板液晶モジュール
これまでの反射防止技術 今後
製造時に気泡が入ると、やり直しがきかない
表面には、モスアイフィルムは使いにくい
パネル内部に使うことで、破損などの心配がない
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52 NIKKEI ELECTRONICS 2014.3.17
Feature
(4)の点では、半導体向けのモールドは非常に高い。EBリソグラフィを使って作製する2〜3cm角のマスターモールドは1枚1000万円前後で、作製時間も1枚1日以上かかる。実際にはこのマスターモールドからその複製となるレプリカモールドを作製し、それをインプリントに用いる。ところが、1枚のモールドは欠陥が次第に増えることなどから100〜1000回
「圧倒的に安くなる」 大面積に適用するナノインプリント技術の実用化が、先発の半導体製造向けを差し置いて進んでいるのは理由がある。(1)必要とされるHPが100nm程度かそれ以上の用途が多く、10〜20nmの半導体製造向けより技術的に容易、(2)半導体製造向けで必要とされる精密な位置合わせが不要な用途が多い、(3)小型パネルも大面
積で一括製造できるため単価が安くなる、(4)モールドの製造コストが大幅に低い、といった点である。 SCIVAXの田中氏は、(3)〜(4)といったコスト面のメリットが特に大きいとする。「大面積の加工済み基板から多数の小型パネルを得られるため、パネル1枚の製造コストは、射出成形並みかそれ以下と非常に安い」(同社 田中氏)という。
シャープが大型液晶テレビのモスアイフィルムに採用
3~5m/分でインプリント可能(最長2000mの実績)
約3m/分でインプリント可能(モスアイ以外では18m/分の例も)
1m2/分でインプリント可能
光源から基板を離すほど、モールドの寸法を大きくできる。(最大で50型)
(a)陽極酸化法でモールドを作製(三菱レイヨン、大日本印刷、シャープなど)
(b)モールドの複製をつなぎ合わせて1枚の大面積モールドを作製(綜研化学)
(c)レーザー光の干渉縞で大面積の基板をパターニング(イノックス)
(d)多値レーザーでレジストを照射(ダイキン工業)
(e)ガラス状の炭素材料シート(GC)に酸素イオンビームを照射(東京理科大学 谷口研究室)
酸性の電解液
マスターモールド
レーザー光源レンズ
酸素イオンビーム
レプリカモールドを作製
レプリカモールドをつなぎ合わせる
大面積モールド(最大1.6m×1.3m)
ガラス基板と成形用樹脂
パターニングしたレジストを円筒形にしてNi電鋳
ロール型Niモールド
作製したモスアイ用モールド 三井電気精機製の装置
30cm幅
干渉縞同一光源の光
多値レーザー
ガラス基板
ECRイオン源
グラッシーカーボン(GC)
レジスト
AlC
Al
Al2O3 空孔
ECR:electron cyclotron resonance
図3 大型モールドを作る技術が続々登場数cm角以上の大型のモールド(型)を作る技術5種類を示した。シャープのモスアイフィルムは、大日本印刷が陽極酸化法で作製している(a)。綜研化学は小さなモールドをつなぎ合わせて最大では1600mm×1300mmのフィルムモールドを作製(b)。イノックスは光の干渉縞を利用して大型化を実現(c)。ダイキン工業は多値レーザーを利用(d)。東京理科大学の谷口研究室は、モスアイ構造のモールドを、炭素シートに酸素イオンビームを照射することで作製する(e)。(写真:
(d)はダイキン工業、(e)は東京理科大学)
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NIKKEI ELECTRONICS 2014.3.17 53
解説1
ほどしか利用できない例が多く、コストの低減には限界があった。
大面積モールド技術が続々 一方、大面積モールドの作製方法はさまざまで、製造コストはEBリソグラフィに比べて桁違いに低い(図2、図3)。例えば、シャープはモスアイ構造のマスターモールドを陽極酸化法という、めっきに近い手法で作製しているとみられる。 キヤノンは、半導体製造向けとは別に作製しているモスアイ構造を備えたモールドを、「KrFなどの(数世代前の)露光技術で作製している」
(キヤノンマーケティングジャパン 産業機器販売事業部 プロセス機器営業
部 CB販売課 課長の二五元修氏)。このため、モールドの価格は1枚60万円からと半導体製造向けと比較すると破格に安い(図2(b))。 綜研化学は、1枚の小さなマスターモールドからレプリカモールドを多数作製し、それらを精密につなぎ合わせて最大1.6m×1.3mのモールドフィルムを作製する。しかも同社が作製するモールドフィルムは「インプリントの繰り返しに非常に強い」(東京理科大学 基礎工学部 電子応用工学科 准教授の谷口淳氏)と評価が高い。
簡素な手法で量産性を向上 イノックスは、「あたかもプロジェクターで投影面を拡大するように大
面積化できる」(同社の井上氏)技術で最大50型のモールドを作製する。ドイツFraunhofer Instituteからスピンアウトしたメーカーであるドイツholotools社が開発した「干渉リソグラフィ」と呼ぶ技術を利用する。1本のレーザー光を二つに分け、それを再度重ねてできた干渉縞をパターニングに用いる。面積を拡大するには、基板を光源から離すだけで済む注1)。いわゆる拡大投影である。一般的な光リソグラフィが縮小投影、半導体製造向けナノインプリントでは等倍投影でパターンを転写することと対
微細パターンの形成を容易にするナノインプリント技術は、生体模倣(biomimetics)と呼ばれる技術の実現技術の
一つになっている(図A-1)。蛾の目の表面構造を基に反射防止フィルムが生まれたのはその代表例だ。 最近ではイルカの肌、セミやトンボの羽の表面構造が、非常に強い抗菌または殺菌効果を示すことが分かってきた。この表面構造を低コストでフィルムなどに再現し、病院の壁や白衣などに実装できれば、院内感染症などを大きく減らせる可能性が
ある。 チョウの羽にある鱗粉には、やはり微細な構造があり、それがチョウの美しい色を生み出している。これは「構造色」とも呼ばれ、MEMS技術で既に新型ディスプレーに応用されている。 次に有望なのは、はっ水性が非常に高いハスの葉の表面構造の応用である。実際、「自動車のフロントガラスなど向けにナノインプリント技術で、はっ水加工する案件が進行中」
(SCIVAX)という。
トンボやチョウの羽、ハスの葉が蛾の目に続く
図A-1 反射防止、構造色、そして抗菌作用に期待集まる既に実用化、または注目されている生体模倣技術を示した。モスアイ構造は主に反射防止技術として使われている(a)。一方、チョウの羽にある鱗粉などが備える構造色をヒントにしたMEMSディスプレーも2013年末に実用化された(b)。最近になって、イルカの肌やセミ、トンボの羽の表面の構造が、強い抗菌や殺菌の作用を備えることに注目が集まっている。(写真:(a)は三菱レイヨン、(c)はSwinburne University of Technology)
(a)モスアイ構造(三菱レイヨン)(b)�チョウの羽の構造色�(Qualcomm社)
(c)�赤トンボとその羽の�表面構造
(d)はっ水加工したSi基板(ダイキン工業)
注1)ただし、面積を拡大すると光のエネルギー面密度が低下するため、照射時間が長くなる課題がある。
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Feature
る案件での量産が決まった」(同氏)。 同社は、インフルエンザウイルスを検知する技術や、立体的な細胞を培養する技術も開発注2)。こうした用途専門の会社「SCIVAXライフサイエンス」を2013年6月に設立している。 旭化成イーマテリアルズはナノインプリント技術でフィルム上に形成した凹凸パターンの凸部分にAlを積層する技術を開発。反射型ディスプレーであるLCOS†などに向けた反射型偏光フィルム「Wire Grid Po-larizing Film(WGF)」に適用した
照的だ。 さらに簡素な手法もある。ダイキン工業は、焦点が複数個ある多値レーザー光をレジストに照射するだけで、太陽光発電向けのマイクロレンズアレー用モールドを作製する方法を開発した。 東京理科大学の谷口氏の研究室は、酸素イオンビームをアモルファス炭素のシートにシャワーのように照射するだけでモスアイ構造のモールドを作製できる。同研究室は、モールドのパターンによっては18m/分というスピードでインプリントできるロール・ツー・ロール(R2R)方式の装置も開発した。 ナノインプリント装置の量産性をいち早く高めてきたというSCIVAXは最近、1100mm×1300mmの第5世代(G5)ガラス基板への微細パターン
のナノインプリントを18m2/時の速度で実現する装置を開発した(図4
(a))。
新用途を矢継ぎ早に開拓 モールドの加工技術の進歩はナノインプリントの用途をいっそう広げている。従来のナノインプリント技術は平坦な基板しか加工できなかったが、SCIVAXは曲面でも加工できるようにすることで、カメラ向け光学レンズの両面を反射防止加工することに成功。「レンズ内面での反射がなくなり、ゴーストなどが消える」(同社の田中氏)。マイクロミラーの反射を利用した空中映像も実現した。画面から離れた位置の指を検出できる3次元タッチパネル技術と組み合わせれば、空中映像を触ったかのように操作できる。「分野は明かせないが、あ
スループット(m2 /時)
成型面積(cm2)
100
10
1
0.110 100 1000 1万 10万
UniSurf1000(1100×1300mm)
UniSurf-F700(410×500mm)
UniSurf300(A3)FLAN700(300×300mm) FLAN300(A4)
X500(8'')
X100-U(4'')
2003年ごろ。卓上の機器だった X300(6'')
FLAN200(6'')
G5ガラス基板の直接加工例
ウイルス検知用フォトニック結晶シート
図4 大面積化と同時に次々に新用途を開発SCIVAXのナノインプリント装置の量産性の向上(a)と、同社が開発に携わった新用途群(b)を示した。ガラス基板への直接ナノインプリント技術や、大阪大学と共同でインフルエンザウイルスの検知技術を開発したほか、レンズの曲面にナノインプリントを施す技術、立体タッチパネルを実現可能にする技術、3次元の細胞を培養し、薬の評価などができる技術などを開発している。(図と写真:空中映像以外は同社)
(a)�SCIVAXのインプリント装置が扱う基板寸法とスループットの推移
(b)新用途も続々と開発
直径数cmのレンズ両面に反射防止加工 マイクロミラーシートで空中映像
NCP:Nano Culture Plate
3次元培養した人間の子宮がん細胞とナノインプリントで作製した基板(NCP)
モスアイなし
注2)インフルエンザウイルスの検知は、シート表面にナノインプリント技術でフォトニック結晶構造を形成すると、ウイルスの有無でシートの光反射率が大きく変化することを利用する。
†LCOS(liquid�crystal�on�silicon)=Siチップ上に作製された超小型液晶ディスプレー。プロジェクターやカメラのビューファインダーなどに用いられている。米Google社のHMD
「Google Glass」も、LCOSを用いているもようである。
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解説1
(図5)。可視光から赤外線まで幅広い波長の偏光分離が可能なことと、耐熱性が高いことが特徴だという。 最近になって同社は、R2R方式でWGFを量産できる体制を整えた。既にミラーレス一眼カメラのビューファインダーなど向けに出荷している。今後は「ヘッドマウントディスプレー
(HMD)のLCOS向けとしての開発を進めている。現状でも数十万個のオーダーに対応できる」(旭化成イーマテリアルズ 電子・機能製品事業部 WGF開発マーケティンググループ 主査の生田目卓治氏)という。
発電量を5%以上増やす 大面積用途の中でも有望な用途の一つが太陽電池だ。ナノインプリン
ト技術を活用することで、変換効率や発電量を高める試みが世界中で進んでいる。 開発の方向性は大きく二つある。一つは、pn接合の界面の形状をナノ
反射型偏光フィルム(旭化成イーマテリアルズ)
耐熱性、耐湿性が高い
・液晶プロジェクター・ カメラのビューファインダー (LCOS利用)・ HMD(LCOS利用)・ HUD
100µm厚のPETフィルム上にナノインプリント技術などでAl線を形成
特長
用途
図5 HMD市場の急拡大に備える旭化成イーマテリアルズが開発した、ナノインプリント技術で作製した反射型偏光フィルムを示した。ロール・ツー・ロールでの製造が可能で、今後予想されるLCOSを用いたHMD市場の急拡大にも対応できるという。(写真:同社)
短絡電流値: ●フィルムあり ■フィルムなし
フィルムによる短絡電流の増加率
上から見た様子
ピッチ
深さ
断面
ピッチは0.28µ~36µm
(b)マイクロレンズの寸法と光透過率の関係
(a)作製したフッ素系マイクロレンズアレーフィルム
(c)擬似太陽光に対する太陽電池の発電量の比較
発電量は、年間4.6%増の見込みに透過率は、ピッチにはほとんど依存せず、深さに大きく左右される
90 80 70 60 50 40 30 20 10 0
短絡電流値の増加率(%)
短絡電流値の増加率(%)
短絡電流値(A)
太陽光(直射光)の入射角(度)
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0
入射角5°の透過率(%)
深さ(µm)
100
80
60
40
20
0
0.2
0.1
0
図6 拡散光を集光して太陽電池の発電量を向上ダイキン工業が開発中の太陽電池向けフッ素系マイクロレンズアレーフィルムとその効果を示した(a〜c)。5〜10度といった低い角度からの入射光を発電につなげることで、太陽電池の年間発電量がソーラーシミュレーターによる評価では4.6%、実測では5%以上増加したという。(図、写真:同社)
インプリントで制御して、太陽電池に入射した光の利用効率を高めようとするもの。もう一つは、パネル表面に反射防止層や光閉じ込め層を形成して、より多くの光を入射させること
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56 NIKKEI ELECTRONICS 2014.3.17
Feature
止フィルムの価格は1000〜1500円/m2にしてくれと言われる。この価格の実現は、現状方式では厳しい」(ダイキン工業 化学研究開発センター 基盤技術Gの佐藤数行氏)という。
LED用モールドをR2Rで量産 ナノインプリント技術による微細パターン形成技術は、LEDや有機ELなどの発光効率向上にも有効だ。東芝機械は、LEDの発光効率を20〜30%高める技術を、専用のインプリント装置も含めて開発した(図7)。サファイア基板の表面に凹凸パターンを形成した「PSS(patterned sap-phire substrate)」を用いることで、反射率などが高まり、発光出力が向上するという。 課題は、モールドの欠陥数をいかに減らすか、既存のステッパーによるパターン形成と比べていかにコストメリットを出すかだった。「LEDは、基板に欠陥があると光らない。一方、モールドはコストを下げようとして繰り返し使うと欠陥がどんどん増える」(東芝機械 ナノ加工システム事業部 副事業部長の後藤博史氏)。 同社はこの二つの課題に、R2R方式で大量に複製した樹脂モールドを、使い捨てにすることで対処した。「4インチウエハーで5米ドル以下というコスト目標にメドが付いた」(後藤氏)。樹脂モールドは、必ずしも平らではないサファイア基板に適しているというメリットもあるという。
(c)モールドの一般的な使い方
ロール・ツー・ロールでモールドを大量に生産
マスターモールド レプリカモールド
(d)東芝機械のモールドの使い方
マスターモールド レプリカモールドフィルム
インプリント(1枚のレプリカモールドを100~1000回使う)
欠陥が多い
欠陥少ない
インプリント時にモールドは使い捨てに
図7 LEDの発光効率向上を低コストで実現東芝機械が開発した、LEDの発光効率向上技術とその装置を示した(a〜d)。ナノインプリント技術でGaN結晶を成長させるサファイア基板をパターニングすることで、反射率の向上や結晶欠陥の低下などを実現。LEDの発光効率は20〜30%増加したという。加えて、モールドをロール・ツー・ロールで量産することで低コスト化と高品質化を実現したという。(写真:同社)
(a)�東芝機械のLED用サファイア基板向け�ナノインプリント装置「ST50S-LED」
(b)サファイア基板(PSS)の例
図8 高品質GaN結晶の作製にも活躍早稲田大学 水野潤氏の研究室と古河機械金属などがナノインプリント技術を基に作製した、高品質GaN結晶を示した。GaNの結晶成長をスリットを持つSiO2層で遮ることで、転位が大幅に低減するという。(写真:早稲田大学)
転位面密度3×107/cm2
SiO2層
転位面密度5×109/cm2格子チャネル
(87nm幅)GaN
GaN
ナノインプリントで
形成
を狙う方向である。 ダイキン工業は、後者の方向性で反射防止フィルムを開発し、太陽電池の年間発電量を実測値で5%以上増やすことに成功した(図6)。
反射防止に利用したのは、突起が並ぶモスアイ構造ではなく、レンズ形状のパターンである。モスアイ構造は、約30°以下の低い角度からの光には有効でないからだ。一方、レンズ形状のパターンでは、5°という非常に低い入射角の光も100%近く透過する。この結果、日の出日の入り間際や曇天の日の発電量が8%前後向上。年間では5%以上の発電量増加を確認した注3)。 課題は製造コストだ。ダイキン工業は、このパターンの大面積かつロール状のモールドを低コストで作製する技術を開発(図3(d))。R2R方式で1m2/分の生産性を確認した。しかし、「太陽電池メーカーから、反射防
PSS:patterned sapphire substrate
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NIKKEI ELECTRONICS 2014.3.17 57
解説1
高品質のGaN結晶も実現 ごく最近、ナノインプリント技術でLEDをさらに高効率化できる可能性も見えてきた。古河機械金属と金沢工業大学、東芝機械、そして早稲田大学 准教授の水野潤氏の研究室は、GaN結晶の転位†を従来の約1/100にする手法をナノインプリント技術で開発した(図8)。 従来のGaN結晶の上にSiO2の薄膜を形成し、そこにナノインプリント技術で数十nm幅の窓を開ける。そして再度GaN結晶を成長させるのである。すると、SiO2膜より下のGaN結晶の転位が上のGaN結晶に伝わらなくなるため、上のGaN結晶の転位が
減るという。「LEDを試作して高出力と長寿命が得られることも確認した。パワー半導体にも応用できそう」という(早稲田大学の水野氏)。 加えて、LEDの駆動電圧を下げられる可能性も出てきた。「転位が少ないことで、従来140µm厚も必要だったGaN結晶を21µm厚以下と大幅に薄くできる」(水野氏)からだ。
技術的課題は大幅に改善 ナノインプリント技術にとって、冬が長かった半導体製造分野でも、いよいよ実用化が進む可能性が出てきた。これまでは、コストや量産性の点で既存技術である光リソグラフィの
壁を超えられなかった。ところが、解像度が20nm以下の領域ではEUVリソグラフィなどの非常に高価な技術が必要になるため、ナノインプリントにも逆転の目が出てきた。しかも、ナノインプリント技術自体がこの3年ほどで大幅に改善した(図9)。 NANDフラッシュメモリーの製造などを想定したMII社のナノインプリント装置では、2012年9月時点で5
*1 数枚を生産時 *2 数百枚を生産時*3 修復技術の利用時CDU:critical dimension uniformityLER:line edge roughness
注3)年間5%の発電量向上は、買い取り価格を36円/kWhとすると、定格1kWの太陽光パネル当たり年間約1800円の収入増を意味する。
†転位=結晶中に含まれる線状の欠陥。これまで、GaN結晶ではこの転位密度が1×109/cm2以上と高く、LEDに大電流を流した場合に発光効率が低下する要因になっているとみられている。
図9 半導体向けの技術課題は急速に解消MII社の最近の技術向上の様子を示した。2011年2月からの2年間に、量産時の欠陥密度が大きく低減した(a)。ハーフピッチ26nmの線パターンの歩留まりは、10mの長さでも90%以上に向上した(b)。(表、図:MII社)
技術 課題 時期2011年2月 2012年9月 2013年2月 実現目標
モールド マスターモールドの均一性(CDU)の3σ
1.2nm 1.2nm 1.2nm 約1nm
位置ズレ 4nm 2.5nm 2.5nm 3nm以下マスターモールドの欠陥 10個/cm2 0〜1個/cm2 0個/cm2*3 0.1個以下/cm2
レプリカモールドの欠陥 未公表 5個/cm2 3個/cm2 1個以下/cm2
インプリント技術 ライン幅変動(LER)の3σ 2nm 2nm 2nm 2nm以下上下層の位置合わせ精度 10nm 10nm 10nm 8nm以下ウエハー上での均一性
(CDU)未公表 0.5nm 0.5nm 1nm以下
生産性 5〜7ウエハー/時 10ウエハー/時 10ウエハー/時 20ウエハー/時少量生産時の欠陥*1 10個/cm2 約2個/cm2 約2個/cm2 0.1個以下/cm2
量産時の欠陥*2 未公表 50個以下/cm2 10個以下/cm2 1個以下/cm2
(a)MII社のJ-FIL技術におけるモールドとインプリント技術の最近の諸データ
(b)ハーフピッチ26nmの延べ線長と歩留まり向上の推移
2012年
100
80
60
40
20
0
延べ線長(mm)100 1000 1万10
歩留まり(%)
2011年
2010年2009年
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58 NIKKEI ELECTRONICS 2014.3.17
Feature
細パターンの歩留まりもこの3年ほどで大幅に向上した。 残る課題だった処理能力(スループット)の低さにも解決策がみえつつある。産業技術総合研究所や東北大
個/cm2あったレプリカモールドの欠陥は半年足らずで3個/cm2に減った。MII社にモールドを提供している大日本印刷は「2014年2月時点では1.2個/cm2に減った」(同社)と語る。微
学、兵庫県立大学は、容易に凝縮する代替フロン系ガス雰囲気中でインプリントすることで、気泡による欠陥が発生しない技術などを開発(図10)。この結果、樹脂の塗布スピードが大幅に向上し、「1時間で100枚のウエハーをインプリント可能に、しかも1枚のモールドを2万回使えるようになった」(産業技術総合研究所 集積マイクロシステム研究センター 副研究センター長の廣島洋氏)という。これは最近のMII社の技術と比べても5〜10倍のスループットに相当する。
HDD応用は2015年が勝負に HDDへの応用でも復活の兆しがある(図11)。 以前期待されていたディスクリートトラック†への応用は、同方式自体が日の目を見なかった。一方、ビットパターンドメディア†への応用はまだ可能性が残っている。HGST社が、ナノインプリント技術と自己組織化技術と組み合わせて実用化を目指すと2013年に発表した。「2015年が実用化されるかどうかの分かれ目になりそう」(ナノインプリントのある研究者)という。 (野澤�哲生)
図10 生産性が大幅向上の可能性も産業技術総合研究所、東北大学などが共同で開発した凝縮ガス利用光ナノインプリント法の概要を示した。ナノインプリント時に凝縮性ガスを使うことで、気泡が液化するため、欠陥が発生しない(a、b)。MII社の技術の大きな課題だったスループットは、5倍以上に高速化する見通しだという(c)。(写真、表:産業技術総合研究所)。
(a)従来の光インプリント方式
(a)ディスクリートトラックでは“試合終了”
(c)スループットは、MII社の技術の5倍以上に
(b)凝縮性ガス利用光インプリント方式
(b)�ビットパターンドメディアでは可能性あり
技術 MII社のJ-FiL 凝縮ガス利用光ナノインプリント法
樹脂の塗布方法 インクジェット スピンコート気泡除去手法 Heの溶解 PFPガスの凝縮スループット(300mmウエハー/時)
10〜20 100
1ショットに掛かる時間(秒)1.4 0.28内訳 ステージ移動と
光硬化樹脂供給0.15 0.07
光樹脂の充填 1 0.1光照射 0.15 0.01離型 0.1 0.1
2010年が勝負だったが、この方式自体が採用されなかった
図11 HDDは2015年が勝負かナノインプリントのHDDへの応用は、ディスクリートトラックでは可能性がほとんどなくなっている(a)。2015年にも登場する可能性があるビットパターンドメディアでは、HGST社が高分子の自己組織化技術とナノインプリントを組み合わせた技術で直径10nmのドットパターンの形成に成功している。(写真:HGST社)
高分子の自己組織化現象とナノインプリントを組み合わせて直径約10nmのドットパターンを実現。従来の記録密度を2倍に高められる可能性
気泡による欠陥
†ディスクリートトラック=同心円状に並ぶHDDの記録領域(トラック)間の干渉を防ぐために、トラック間に溝を設ける技術。1Tビット/インチ2の記録密度実現を目指して開発されていた。2000年後半に量産寸前になったが、リーマンショックで立ち消えになった。
†ビットパターンドメディア(BPM)=HDDのビット記録領域ごとに磁性粒子を配置する技術。最大5Tビット/インチ2の記録密度を実現できるとみられている。
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