癌既往のない 無症候性腫瘍マーカー上昇例に対する fdg-pet...

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癌既往のない 無症候性腫瘍マーカー上昇例に対する FDG-PET がんスクリーニング 1 柴田 幸司, 1 宇野 公一, 1 柯 偉傑, 1 呉勁 1 Nishidai Clinic Diagnostic Imaging Center, Tokyo, Japan

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癌既往のない無症候性腫瘍マーカー上昇例に対する

FDG-PETがんスクリーニング

1柴田幸司, 1宇野公一, 1柯偉傑, 1呉勁

1Nishidai Clinic Diagnostic Imaging Center, Tokyo, Japan

Background and Purpose• スクリーニング検査としての腫瘍マーカー測定は、(前立腺癌検診としてのPSA測定を除いて)推奨されていない。

• しかし、実際には、人間ドックや企業検診のオプション等で、他の検査との組み合わせで、任意検診として

広く実施されている。

• 腫瘍マーカー高値を理由とした、PET検査の依頼も多い

このような症例に対する

PETもしくはPET+CTの検査依頼・実施の意義について検証した。

Materials and Methods• 当院にてPETがん検診を受診した症例を用いて検討。

2000年10月~2007年8月の間に当院初診し

FDG-PET, 単純CT(頚部~腹部), および腫瘍マーカー4種 ( CEA, CA19-9, SCC, αFP) を実施した、癌の既往歴を有しない症例 18725例を対象とした。

腫瘍マーカー高値の症例で

FDG-PETと単純CTとの組み合わせによる癌発見率が腫瘍マーカーの上昇と相関しているか否かを検証。

PET+CTでの癌発見率と、腫瘍マーカー4種との相関につきロジスティック回帰分析を用いて解析を行った。

Profiles of Examinees

• 6時間以上絶食。• PET cameras:

POSICAM scanner (Positron corp. Houston) • FDG dosage: 0.125mCi/kg (4.625MBq/kg)• Uptake time: 45 minutes 吸収補正無し

• CT: 頚部~上腹部 or 骨盤まで, 6mm sliceで撮像造影無し

US, 骨盤MRI、血液検査所見など他の臨床情報を参照したうえで、PET画像、およびPET+CT画像で悪性病変を疑う異常所見を指摘し得た症例を陽性 とした。

Details of FDG-PET and CT study

Rectal Cancer case with CEA elevation

74歳 女性CEA 310.7↑

Case: False Positive CA19-9 elevation46歳 女性CA19-9: 5090↑↑(切除後に正常化)

dermoid cyst

Case: False Positive SCC elevationSCC: 40.0↑ 1年後: SCC正常

62歳 男性1年後のPET検診にてFDG-PET, SCCとも正常化

Results: Multivariate logistic regresssion

CEA, CA19CEA, CA19--99高値と、高値と、PET+CTPET+CTでの癌発見率は相関での癌発見率は相関するが、するが、SCC, AFPSCC, AFPとは相関は見られない。とは相関は見られない。

腫瘍マーカー 4種

CEAとCA19-9のみ

Results: CEA and Estimated Cancer Detection Rate

Results…

CEAが12.3(95%CI:6.9-57.6)上昇すると癌発見リスクが倍になる。CEA > 13.4 ng/ml で 10%水準で有意に癌発見率が高くなる。

ng/ml

Results: CEA and Estimated Cancer Detection Rate

CEAが12.3(95%CI:6.9-57.6)上昇すると癌発見リスクが倍になる。CEA > 22.2 ng/ml で 10%水準で有意に癌発見率が高くなる。

ng/ml

Results: CA19-9 and Estimated Cancer Detection Rate

CA19-9が87.0(95%CI: 53.1-206.1)上昇すると癌リスクが倍になる。CA19-9 > 67.4 ng/mlで 10%水準で有意に癌発見率が高くなる。

ng/ml

Results: CA19-9 and Estimated Cancer Detection Rate

CA19-9が87.0(95%CI: 53.1-206.1)上昇すると癌リスクが倍になる。CA19-9 > 105.4 ng/mlで 10%水準で有意に癌発見率が高くなる。

ng/ml

Correlation between CEA, CA19-9 and PET positive rate

• “腫瘍マーカーが低い水準にある癌は(体積が小さいため)PETで描出しにくい“のかどうかを検証した。

癌発見症例322例を対象とし、CEA, CA19-9の値との相関を検証:

Logistic解析の結果では、CEA, CA19-9ともに、PET陽性率と有意な相関を認めなかった。

Discussion• 当院でのPETがん検診データを用いた解析では、

CEA, CA19-9の上昇と、PET(もしくはPET+CT)での癌発見率との間には正の相関が見られており、

SCC, αFPについては、相関が見られなかった。• また、CEA, CA19-9の上昇を伴う癌症例は高率にPET陽性を呈し、PET+CTでは、88.9%(45例中40例)が陽性であった。(全体では、73.0%:p=0.0105 )

・ ただし、癌発見率が正常群よりも有意に高くなるためには、CEA, CA19-9ともに、基準値上限の3~4倍程度、もしくはそれを上回る必要がある。

基準値を少し上回る程度の高値を有する患者では、

癌発見率は、”PETがん検診での癌発見率”とほぼ同等 (1.0 - 1.5%) であると考えられる。

Discussion• 腫瘍マーカー値とPET陽性率との間には有意な相関は見られず、腫瘍マーカーが比較的低い症例で、癌発見率が低くなっているのは、軽度の腫瘍マーカー上昇例では、癌罹患率が低いためであり、PETもしくは

PET+CTの検査の性能の問題ではないと考えられる。

• 腫瘍マーカーの軽度高値例全例に対して、全身の癌の検索を積極的に行うべきとは言いがたい。

しかし、これらの症例に対するPETもしくはPET/CTは感度、陰性的中率ともに高く、

検索に用いる検査としては有用である

と考えられる。

(ただし、上部消化管内視鏡の追加は必要と思われる)

Conclusion

CEA, CA19-9の高値と、PETでの癌の発見リスクとは相関する。

しかし、基準値を少し上回る程度の上昇では、

癌の発見率はそれほど高くならず、

積極的な精査の対象とはならない。

ただし、腫瘍マーカー高値の受診者に対する

スクリーニング検査としてのPETもしくはPET/CTは感度・陰性的中率が高く、有用である。

End

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