射出成形 - 帝人スナップフィットの設計基準...
TRANSCRIPT
スナップフィットの設計基準組立時の変形量Yによる歪係数αが下記の値以下になるように、また組立後の変形量が殆ど0になるようにしてください。組立時の変形による歪係数αは片持梁の構造計算式より求められます(図14)。応力集中によるクラック発生を防止するために各コーナーに十分なRをつけてください。繰返し荷重のかかる場合には歪係数αの値でなく、繰返し疲労
(曲げ)のデータを参考にしてください。
突出しマルチロンは荷重たわみ温度が高く、強度があるので、成形品の突出しは容易ですが、無理な突出しを行なった場合は、内部歪が発生し問題となる場合があります。この対策として、エジェクターピンの位置、数はできるだけ成形品を均一に突出しできるよう設計して下さい。
エアーベント(ガス抜き)エアーベント(ガス抜き)は、ショートショット、ガス焼けの解消のため必ず設けて下さい。エアーベントは、最終的にガスが追い切られる場所、ランナー末端やショートショット、エアーポケットが生じやすい場所に設けて下さい。ベントの深さは0.03mm~0.05mmで、パーティングラインに設ける場合、幅は5~10mm程度が一般的です。また入れ子の隙間やエジェクターピン部にもベントを設けて下さい。
インサートマルチロンは非常に強固な金属のインサートが可能です。ただし金属の熱膨張係数とマルチロンのそれとが異なるため、冷却時の収縮に差異が生ずることにより歪が発生し、インサート部にクラックが発生する場合があります。マルチロンに金属をインサートする場合、インサートする金属を200℃くらいに加熱して成形することにより、冷却時の収縮の差が少なくなり、クラックの発生を防ぐことができます。なお、インサートボス部の設計は、インサート金属の外径をdとして下さい。(図15)
L
TY
α=L2YT
Y:たわみ量(cm)T:厚さ (cm)L:長さ (cm)
図14. 標準的なスナップフィットの例
抜きこう配 1°
2.5d1~2R
1~2R
D
d
D=3d :d<5mmD=2d:d>10mm
図15. 標準的なインサート用ボス形状
1C
超音波溶着は、溶着時間が1秒以内と短時間ででき、接着操作が容易であることにより、接着方法の主流となってきつつあります。良好な接着結果を得るためには、接合部に、エネルギーダイレクタを設けてください(図16)。また、接着後はアニーリング処理をして、残留歪を緩和してください。
エネルギダイレクタ
A
DE
B
W
(溶着後)
C
D=W/2~2W/3E=D/2~D/3A=D/4B=D/4+(0.1~0.3mm)C=0.1mmF=かん合し易く、できるだけ小さい クリアランスが良い
図16. 接合部のデザイン
W/3+(0.1~0.2mm)
W/2+(0.1~0.3mm)
W/2
W/3
W/3+α
W/5
W
W/10
エネルギダイレクタ
Rを取る
左図は、気密性(水密性)にすぐれてハミダシ部
(両サイド)をなくした場合
超音波溶着
射出成形
1.予備乾燥
マルチロンの良好な成形品を得るためには、下記成形条件表に示す条件で予備乾燥を行ない、加水分解による物性の低下・発泡・銀条等のトラブルを防止して下さい。なお、乾燥時間が8時間を超える場合は、ペレットが変色する恐れがありますので、乾燥機およびホッパードライヤーの温度を下の条件表に示す乾燥温度より10℃程度低めに設定してください。
2.射出成形
射出成形機は、射出容量が成形品重量の1.5~3倍程度になるものを選び、下記成形条件表に示す条件で成形するのが適当です。射出速度を高くすると、ノズルやゲート部分等の狭い部分を樹脂が高速で流れるためせん断発熱による焼けや、ウエルド部でのガス焼けの原因になりますので、条件を設定する場合は、低速から始めて下さい。グレード名 歪係数α
T-2716T-2754 0.021MK-1000A MK-2055
T-3750T-2711J 0.020 T-2760B
T-3615Q 0.019TN-3616Q
TN-7000TN-7295 0.018TN-7500
TN-7570ZTN-7504 0.017R-2010
TN-3713B 0.016
R-2020 0.014
TN-3715B 0.011R-2030
DN-7730M 0.008
RN-7740M 0.007