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精密測定機器の豆知識

R284④

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精密測定機器の豆知識

1精密測定機器の豆知識

INDEX

アブソリュートエンコーダ、IP保護等級、IP試験の合格、̶̶2CEマーキング、RoHS指令への対応について

マイクロメータ編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶ ̶3

マイクロメータヘッド編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶8

内径測定器編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶11

ノギス編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶13

ハイトゲージ編 ̶ ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶17

デジマチックインジケータ・ ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶21ダイヤルゲージ・テストインジケータ編

ゲージブロック編 ̶ ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶25

リニヤゲージ編 ̶ ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶29

電気マイクロメータ編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶31

レーザスキャンマイクロメータ編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶32

スケールユニット編 ̶ ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶33

投影機編 ̶ ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶35

顕微鏡編 ̶ ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶36

画像測定機編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶37

表面粗さ測定機編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶39

輪郭測定機編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶41

真円度測定機編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶43

硬さ試験機編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶45

振動計測機器編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶47

地震観測機器編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶48

三次元測定機編 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶49

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2 精密測定機器の豆知識

電源をOFFにしても電源ON後の再ゼロセットが不要で、スケール上に刻まれた位置情報を、その都度読取る絶対位置方式=アブソリュート方式は、ミツトヨのテクノロジーです。アブソリュートエンコーダには静電容量式、電磁誘導式、静電容量式と光学式を複合した3種類の方式があり、測定値の信頼性を高めた測長システムとして各種測定機器に広く利用しています。

メリットとして、1. スライダやスピンドルをどんなに早く動かしてもカウントエラーが起こりません。2. 電源をOFF※1にしても電源ON後の再ゼロセットが不要です。3. インクリメンタルエンコーダ方式に比べて、少ない電力でエンコーダを駆動できるため、通常の使用状態で約3.5年(連続20000時間)※2の長い電池寿命を実現しています。

※1:電池を取り外した場合は除きます。※2:ABSデジマチックキャリパの場合です。●電磁誘導式アブソリュートエンコーダは、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、インド、中国で特許登録済です。●静電容量式と光学式を複合したアブソリュートエンコーダは、日本、イギリス、ドイツ、スイス、スウェーデン、中国で特許登録済です。

アブソリュートエンコーダについて

異物の侵入に対する保護等級と水の侵入に対する保護等級を規格化しているもので、IEC規格(IEC 60529)に準じています。【IEC:International Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)】

IP保護等級について(IEC60529:2001, JIS C 0920:2003)

保護等級IP65, IP66, IP67は、ドイツ認定機関・テュフラインランド社の IP試験に合格しています。

IP試験の合格について

    は株式会社ミツトヨの登録商標です。

 は株式会社ミツトヨの登録商標です。

ミツトヨの各工場は商品の安全品質向上のため、欧州連合の機械指令、EMC指令、低電圧指令に対応するための評価を実施し、対象となる商品にCEマーキングの表示をして出荷しています。CEという符号は“Conformité Européenne”(フランス語で「欧州の法規に適合している」という意味)の頭文字を採ったもので、CEマーキングは「欧州連合による使用者及び消費者の健康と安全に関する要求事項に適合している」ことを証明しているマーキングです。

RoHS指令※は、欧州における化学物質の使用に関する規制です。指定された6物質(鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、ポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ジフェニールエーテル(PBDE))を規制値以上含有する特定電子機器については、2006年7月1日以降欧州での販売を禁止しています。RoHS指令の対象はWEEE※※指令で規定されている10項目のカテゴリーを基礎としていますが、医療用デバイスと監視機器・制御機器は対象外となっています。弊社としては地球環境保全に積極的に取組むべく、弊社商品をRoHS指令に対応させる作業を進めています。

※RoHS指令:電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会指令 (Directive of the European Parliament and of the Council on the Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment)

※※WEEE指令:廃電気電子機器に関する欧州議会および理事会指令 (Waste Electrical and Electronic Equipment Directive)CEマーキングEMC指令適合性評価

《ミツトヨ商品に関わるEC指令》EC指令の名称 適用の範囲機械指令 機械の中の一部分がモータなどのアクチュエータにより動き、身体に損傷を与える可能性があるものEMC指令(電磁気両立性) 電磁妨害を生じやすい器具(装置)又は性能がこのような妨害に影響されやすい器具(装置)

低電圧指令 AC電圧:50~1000VDC電圧:75~1500V で使用する器具(装置)で、電気的ショック、感電、発熱、放射能等の危険性があるもの

CEマーキング RoHS指令への対応

保護等級

水に対する保護等級要約 定義

0 (無保護) -

1 鉛直に落下する水滴に対して保護する。

鉛直に落下する水滴によって有害な影響を及ぼしてはならない。

215度以内で傾斜しても鉛直に落下する水滴に対して保護する。

外郭が鉛直に対して両側に15度以内で傾斜したとき、鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない。

3 散水(Spraying water)に対して保護する。

鉛直から両側に60度までの角度で噴霧した水によっても有害な影響を及ぼしてはならない。

4 水の飛まつ(Splashing water)に対して保護する。

あらゆる方向からの水の飛まつによっても有害な影響を及ぼしてはならない。

5 噴流(Water jet)に対して保護する。

あらゆる方向からのノズルによる噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない。

6 暴噴流(Powerfull jet)に対して保護する。

あらゆる方向からのノズルによる強力なジェット噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない。

7 水に浸しても影響がないように保護する。

規定の圧力及び時間で外郭を一時的に水中に沈めたとき、有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない。

8 潜水状態での使用に対して保護する。

関係者間で取り決めた数字7より厳しい条件下で外郭を継続的に水中に沈めたとき、有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない。

保護等級

外来固形物に対する保護等級要約 定義

0 (無保護) -

1直径50mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している。

直径50mmの球状の、固形物プローブの全体が侵入*1してはならない。

2直径12.5mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している。

直径12.5mmの球状の、固形物プローブの全体が侵入*1してはならない。

3直径2.5mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している。

直径2.5mmの固形物プローブが全く侵入*1してはならない。

4直径1.0mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している。

直径1.0mmの固形物プローブが全く侵入*1してはならない。

5 防じん形

じんあいの侵入を完全に防止することはできないが、電気機器の所定の動作及び安全性を阻害する量のじんあいの侵入があってはならない。

6 耐じん形 じんあいの侵入があってはならない。

*1:外郭の開口部を、固形物プローブの全直径部分が通過してはならない。

IP□□(IP:International Protection)

各保護等級の試験条件の詳細は、IEC60529:2001、JIS C 0920:2003をご参照ください。

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精密測定機器の豆知識

3精密測定機器の豆知識

■各部の名称

標準外側マイクロメータ

デジマチック標準外側マイクロメータ

マイクロメータ編

アンビル測定面 スピンドル

インナースリーブ

スリーブ テーパーナット

ラチェットストップシンブルクランプ

防熱カバー

フレーム

アンビル

測定面 スピンドル シンブル ラチェットストップ

ZERO(INC)/ABS切替えスイッチ

防熱カバー

フレーム

出力コネクタ(出力付機種)

ホールドスイッチ

クランプ

オリジンスイッチ

■専用マイクロメータブレードマイクロメータ キャリパ形内側マイクロメータ スプラインマイクロメータ 管厚マイクロメータ

パイプの肉厚を測定スプラインシャフトの溝径測定小径・横溝の測定細溝径の測定

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4 精密測定機器の豆知識

■目盛の読み方●標準目盛の場合(目量0.01mm)

通常上図のように目量0.01mmまで読取れますが、下図のように目分量で0.001mmまで読取ることもできます。

●バーニヤ付の場合(目盛0.001mm)バーニヤ付マイクロメータはスリーブの基線の上部にバーニヤ目盛があります。

①スリーブの読み 6.mm②シンブルの読み .21mm③バーニヤとシンブル目盛の読み + .003mm

 マイクロメータの読み 6.213mm

※説明用のため、倍率は正しくありません。

注意)②0.004mmはバーニヤ目盛とシンブルの目盛が合致している箇所を読取ります。

注意)②0.21mmはスリーブの基線とシンブルの目盛が合致している箇所、③0.003mmはバーニヤ目盛とシンブルの目盛が合致している箇所を読取ります。

注意)②0.37mmはスリーブの基線とシンブルの目盛が合致している箇所を読取ります。

①スリーブの読み 7.mm②シンブルの読み + .37mm

 マイクロメータの読み 7.37mm0 5

45403530

約+1μm 約+2μm

シンブル目盛スリーブ基線 シンブル目盛スリーブ基線

0

86

0

42

5

3025201510

■測定面のくわしい形状

■定圧装置

ラチェットストップ

フリクションシンブル(Fタイプ)

ラチェットシンブル(Tタイプ)

ラチェットシンブル

音の有無

片手操作

適さない

適する

適する

適する

備考

一般的

音を出す時のショックは全くなく、安定しています。

音によって定圧が加わっているという安心感が得られます。

音によって確実な動作確認と安心感が得られます。

スピンドル

φ6.

35

φ6.

3

30’

スピンドル

φ8

30’

φ7.

95

超硬合金チップ

超硬合金チップ

0 2 9 9

mm

64

5

0

45

2

0

0.001位(バーニヤ読み)

0.010.004mmバーニヤ読み

基線0.001位0.01位0.1 位1.0 位

10.0 位+

読取り値 2.994mm

.004mm

.09 mm

.9 mm2. mm

00. mm ※4箇所を示す

●カウント付の場合(目量0.001mm)

ポイントマイクロメータ 替駒式ネジマイクロメータ 歯厚マイクロメータ V溝マイクロメータ

奇数溝のタップ、リーマなどの外径平歯、はすば歯車のまたぎ歯厚ネジの有効径測定谷径測定

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精密測定機器の豆知識

5精密測定機器の豆知識

■アッベの原理ε=ℓ-L =Rtanθ≒Rθ(tanθ≒θ)

「測られるものと標準尺とは、測定方向において、一直線上に配置しなければならない。」というもので、例えば、左図のように特殊なマイクロメータの目盛の軸線上から測定子が離れている場合(R)、誤差(ε)が生じやすくなりますので、特に測定力については充分な注意が必要です。

※上記のグラフはマイクロメータのフレーム部分を素手で持ち続けた場合の温度変化によるフレームの伸びを表したグラフです。 手で持って測定する場合は基点が変化しますので測定には注意が必要です。(尚、グラフの数値は保証値ではなく実験値です。)

L ε

R

θ

■フックの法則ある長さと断面を持つ物体に荷重を加えた場合、弾性限界内における伸び縮みを起す変位量についての法則です。

■ヘルツの式平面、円筒面、球面がいろいろ組合わされて押しつけられた場合の弾性限界内における両面間の近寄り量を表わした式で、測定の際に、測定力のために変形を起す量を知る上で必要な式です。

材料は鋼とすると弾性係数:E=205(GPa)変化量:δ(μm)球または円筒の直径:D(mm)円筒の長さ:L(mm)測定力:P(N)a)球をはさんだ時 δ1=0.82 3√P2/Db)円筒をはさんだ場合 δ2=0.094×(P/L) 3√1/D

P

SφD2δ

P

2δ2δ

L

φD

(b)二平面間の円筒

(a)二平面間の球

■支持する姿勢を変えた場合の変化(単位:μm)

■温度変化によるマイクロメータと基準棒の伸びの差

125

-3-2-1

0+1+2+3

225

伸びの差(μ

m)

呼び寸法(mm)325

0℃

10℃

20℃

425 525

■温度変化による基準棒の伸び(200mm 20℃に対して)

手の平の温度が21℃、27℃、31℃の3人が別々の基準棒を握り伸びの変化を測定した例です。

31℃

27℃

21℃

時間(分)

伸び(μ

m)

時間(分)109876543210

20

15

10

50

マイクロメータ編

支点位置 下部と中央部を支える 中央部のみを支える

姿勢

最大測定長(mm)

325 0 - 5.5425 0 - 2.5525 0 - 5.5625 0 - 11.0725 0 - 9.5825 0 - 18.0925 0 - 22.5

1025 0 - 26.0

支点位置 横にして中央部を支える 下向きで手で支える

姿勢

最大測定長(mm)

325 +1.5 -4.5425 +2.0 -10.5525 -4.5 -10.0625 0.0 -5.5725 -9.5 -19.0825 -5.0 -35.0925 -14.0 -27.0

1025 -5.0 -40.0

■温度変化による測定誤差

1413121110

9876543210

2 4 6 8 10 15 20時間(分)

伸び(μ

m)

30

100

200

300

50

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偶数歯の場合: dm=dp+cosφ=dp+ cosφ奇数歯の場合:

dm=dp+cosφ・cos  =dp+ cosφ ・cos

ただし

invφ= dg - 2 = z・m・cosα0 -(2z - invα0)+ z ・χ

dg z・m・cosα0

dg

χ π

z・m・cosα0( z )90° ( z )90°

2tanα0dp dp

オーバーピン法

φ(invφ)はインボリュート関数表より求める

( ) ( )

:歯数:工具圧力角:モジュール:転位係数

z

α0 m χ

■歯車の測定

■またぎ歯厚

inv 20°・=・0.014904inv 14.5°・=・0.0055448

またぎ歯厚(Sm)の算出式:

 Sm=m cosα0{π(Zm-0.5)+Z invα0}+2χm sinα0

またぎ歯数(Zm)の算出式:

 Zm'=Z・K(f)+0.5(ZmはZm'に最も近い整数とする)

ここで K(f)= 1{secα0√(1+2f)2-cos2α0-invα0-2f tanα0}

ただし  f =χZ

π

Sm

m α0 Z χ Sm Zm

:モジュール:圧力角 :歯数:転位係数 :またぎ歯厚 :またぎ歯数

■ねじマイクロメータによる主な測定誤差

■三針法による主な測定誤差

■三針法による主な測定誤差

6 精密測定機器の豆知識

■ねじの有効径の測定●三針による方法ねじの有効径は図のように三針を用いて測定することができます。(1)および(2)の式で有効径Eを計算します。

メートルねじまたはユニファイねじ(60°)E=M-3d+0.866025P ……… (1)

ウィットウォースねじ(55°)E=M-3.16568d+0.960491P …(2)

d =三針の直径 E =ねじの有効径 M =三針を含むマイクロメータの読取り値 P =ねじのピッチ  (ユニファイねじの場合、インチをミリに換算)

ねじのタイプメートルまたはユニファイねじ(60°)ウイットウォースねじ(55°)

Dにおける針の最適サイズ0.577P0.564p

●一針による方法奇数溝のタップはV溝マイクロメータにより一針を用いて有効径を測定することができます。測定値M1を求め(3)または(4)の式でMを計算して求めます。

M1 =一針測定におけるマイクロメータの読取り値 D =奇数溝のタップの直径

三ツ溝のタップ: M=3M1-2D ………………(3)五ツ溝のタップ: M=2.2360M1-1.23606D …(4)

次に、このMを(1)または(2)の式に代入して有効径Eを計算します。

アンビル

スピンドル

奇数溝のタップ 針

d(×3)スピンドル

P

アンビル

ねじ ME

誤差の原因 起こり得る最大誤差 誤差除去のための注意事項

注意しても除去できないと考える誤差

マイクロメータの送り誤差 3μm 1.補正して使用する。 ±1μm

測定子の角度誤差

半角誤差を15分として±5μm

1.角度誤差を測定のうえ補正する。2.被測定物と同一のねじゲージで調整する。

半角測定誤差を見込み±3μm

測定子の食い違いによる +10μm +3μm

測定力による影響 ±10μm

1.できれば低測定力のものを使用する。2.必ずラチェットストップを使用する。3.ピッチの等しいねじゲージで調整する。

+3μm

基本ゲージの角度誤差 ±10μm

1.補正計算する。(角度)2.長さ誤差を補正する。3.被測定物に等しいねじゲージで調整する。

+3μm

基本ゲージの長さ誤差 ±(3+ L 25)μm 1.補正計算する。

2.被測定物に等しいねじゲージで調整する。 ±1μm

測定物角度誤差

JIS 2級半角誤差±229分-91μm+71μm

1.角度誤差をできるだけ小さく製作する。2.角度誤差を測定し補正計算する。3.角度誤差の大きいものは三針法による。

半角誤差±23分で±8μm

総合測定誤差 (±117+40)μm 発生し得ると考えられる誤差の集積値 +26μm-12μm

誤差の原因 誤差除去のための注意事項 起こり得る誤差 注意しても除去で困難な誤差

ピッチ誤差(被測定物)

1.ピッチ誤差の補正を行なうδp=δE2.数箇所測定し平均値を採用する。3.単一ピッチ誤差を少なくする。(工作)

ピッチ誤差0.02mmとして±18μm

±3μm

半角誤差(被測定物)

1.最適針径を使用する。2.補正する必要なし ±0.3μm ±0.3μm

測定子の食い違いによる

1.最適針径を使用する。2.平均直径に近い針を一本側に使用 ±8μm ±1μm

三針径の誤差1.ピッチに合った規定の測定力使用2.測定端面の広さ規定通りとする。3.安定した測定力であること

-3μm -1μm

総合測定誤差 発生し得ると考えられる誤差の集積値最悪の場合+20μm-35μm

注意して測定+3μm-5μm

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精密測定機器の豆知識

7精密測定機器の豆知識

マイクロメータ編

■一般的なマイクロメータ使用上の注意1.種類、測定範囲、精度などをよく確かめて使用目的に適した機種を選定してください。

2.マイクロメータと測定物をよく室温になじませてから使用ください。

3.目盛を読む時は目盛線を斜めから読まない様にしてください。

目盛を斜めから読取ると視差の影響で合致する線の位置がズレて見えてしまいます。

スリーブ

シンブル

(C)

(b)

(a)

5.日常の管理として、スピンドルの外周と測定面のほこりや切り屑等をよく拭き取ってください。また、各部に付着した汚れや指紋を乾いた布でよく拭き取ってください。

6.定圧装置を正しく使用し正しい測定力で測定してください。

7.マイクロメータスタンドへマイクロメータを取付ける場合、マイクロメータのフレームの中央部を挟み強く締めすぎない様にしてください。

8.マイクロメータを落としたり、ぶつけたりしないでください。 また、反動をつけてマイクロメータを回さないでください。

9.長期保存や油気が切れた場合、防錆油を含ませた布でうすく塗布してください。

10.保管上の注意●直射日光の当たらない場所に保管●湿気が少なく、風通しの良い場所に保管●ほこりの少ない場所に保管●床面に直に置かずケース等に入れて保管●測定面は0.1~1mm程度開いて保管●クランプせずに保管 

4.測定前にはアンビルとスピンドルの両測定面を白紙でよく拭き取り基点合せを行ってください。

■オプチカルフラットの干渉縞の現われ方による平面度の状態と程度

溝状の凹み0.32μm×4=1.28μmで約1.3μmの平面度となります。

0.32μm×2=0.64μmで約0.6μmの平面度となります。

すり鉢状の凹み

オプチカルフラット オプチカルフラット

アンビル アンビル

干渉縞を

読みとる方向

■オプチカルパラレルの干渉縞の現われ方による平行度の程度

まずアンビルの測定面にオプチカルパラレルを密着させます。マイクロメータの測定力のもとに白色光によるスピンドルの測定面の赤色干渉縞の数を読み取ります。上の図では0.32μm×3=0.96μmで平行度は約1μmとなります。

(b)正面から見た場合

(C)下から見た場合

(a)上から見た場合

スピンドル側の読取り方向

オプチカルパラレル

スピンドル側

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8 精密測定機器の豆知識

マイクロメータヘッド編選択のポイント選択のポイントには、測定範囲、測定面、ステム部、読取り、シンブルの大きさなどがあります。それぞれの内容を参考に、目的にあったマイクロメータを選択してください。

■ステム

■極微動●マニュピュレータなど、極微動を必要とする場合には、専用品が用意されています。

■スピンドルピッチ●標準品(0.5mmピッチ)●1mmピッチ 位置決めなどで、素早いセッティングができます。また、0.5mmの読誤りを防ぐことができます。ねじ山が大きいので耐荷重にも優れています。●0.25mm、0.1mmピッチ 微動送りや細かい位置合わせに便利です。

■定圧装置●測定器として使用する場合には、定圧装置付をお薦めします。●ストッパとして使用する場合や、省スペースを優先する場合には「定圧装置なし」の使用もご検討ください。

■読取り●測定器として使用する場合や移動量を指定されている場合には、目盛仕様に注意する必要があります。●外側マイクロメータと同じ目盛仕様が「正目盛」で標準タイプです。これは、スピンドルが引き方向で目盛値が増加をします。●逆に、スピンドルを押し出す方向で増数になるのが「逆目盛」仕様です。

●正逆両方向での読み取りが楽にできるのが「正逆目盛」仕様で、数字の色を各々黒・赤で表示し、読取りが楽になってきます。

●測定値を直接読取ることのできるカウンタ付やデジタル表示タイプもあります。読誤りがないことはもちろん、デジタル表示タイプでは測定データの外部出力により、測定値の記録や統計演算ができます。

■スピンドル直進●スピンドル直進タイプは測定物に対してねじれの影響を与えないため、測定物の回転を防ぎ、変形、摩耗がおさえられます。

■シンブル外径●シンブルの直径は、操作性と位置決めの“細かさ”に大きく影響します。小径のシンブルは素早い位置決めができ、大径のシンブルでは細かい位置決めと読み取りができます。また、大径のシンブルにスピーダを取付け操作性を向上させている機種もあります。

■測定範囲(ストローク)●予想されるストロークに対して、余裕をもって測定範囲を選んでください。標準形では、5mm~50mmまで6段階を準備しています。●予想されるストロークが2mm~3mmと小さい場合でも、取付スペースに十分余裕がある場合には、25mm機種を選ぶほうが経済的です。

●50mmを超えるロングストロークが必要な場合には、ゲージブロックを併用することで解決できます(図-D)。●このカタログでは、シンブルの可動範囲(ストロークエンド)を破線で示しています。ストロークエンドの場合、シンブル側がその線の位置まで移動することを、治具設計時に考慮してください。

■クランプ●マイクロメータヘッドをストッパとして使用する場合には、クランプ付を使用されたほうが、緩みによるトラブルを防げます。また、クランプ操作によるスピンドルの位置変化を防ぐ構造になっていますので、安心して使用できます。●マイクロメータヘッドを保持する部分で、形状では「ストレート

タイプ」と「ナット付タイプ」に分類されます。ステムのサイズは、マイクロメータヘッド本体に合わせ最適な寸法に設計されており、ステム直径は軸の寸法許容差h6を採用しています。●取付方法は、「ナット付ステム」タイプが簡単で確実に固定できます。「ストレートステム」タイプでは、割締めや接着などの加工が必要ですが、適用範囲が広く、最終取付時に前後方向へ多少位置調整ができる利点があります。●汎用的に使用できるいくつかのタイプの取付金具を、別売品としてご用意しています。

ストレートステム ナット付ステム

正目盛 逆目盛

正逆目盛

■測定面

●測定装置として使用されるケースでは、平面タイプが一般的に使用されています。●送り装置として使用する際、球面タイプを採用することでマイクロメータヘッド取付部分の傾きによる誤差を最小限におさえることができます(図-A)。同じ工夫ですが、スピンドル側を平面タイプにし、相手に超硬ボール等を取付ける方法もあります(図-B)。

●相対位置関係が比較的不安定な場合や、より精度を必要とする場合は、回転防止装置付をお薦めします(図-C)。●ストッパのように耐久性を必要とする場合は、平面対平面タイプが優れています。

図-A

平面 球面 回転防止装置

図-B

図-C

定圧装置付 定圧装置なし(ラチェット無し)

ゲージブロック

ヘッドのストローク

得られるストローク

図-D

0

50

45

5

0

202545

5

00

90

80

10

20

20 80

10 90

50

2025

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精密測定機器の豆知識

9精密測定機器の豆知識

■取付金具の自製要領マイクロメータヘッドの取付けには、ステム部を固定しますが、その取付け方法は精度的に安定し、内部に無理のない方法をとる必要があります。代表的な取付け方法として、次の3種類がありますが、③の方法はあまりお薦めできません。できるだけ①または②の方法をご採用ください。

■マイクロメータヘッドの耐荷重マイクロメータヘッドの耐荷重は取付方法によって大きく変わります。また、静荷重か動荷重か、作動させて使用するかストッパとして使用するかなど使用条件によっても大きく変わります。したがって、何kgというように定量的に定めることができません。ここでは、ミツトヨがお薦めする耐荷重限度(精度保証範囲内で読取り装置として使用する場合、手動10万回転以内)と小形マイクロメータヘッドを使って静荷重試験を行った結果をご紹介します。

①締付ナット方式 ②スリ割締付方式 ③ねじ止め方式

〈試験方法〉図のようにマイクロメータヘッド本体をセットし、材料試験機にて破損あるいは脱落までP方向より荷重をかけた時の値を測定。(試験は精度保証範囲を考慮に入れず、破損あるいは脱落するまで荷重をかけています。)

(1)推奨耐荷重限度

(2)マイクロメータヘッドの静荷重試験(試験には、MHSを使用) ①締付ナット方式 ②スリ割締付方式 ③ねじ止め方式

φ9.5ステム直径

留意点

取付方法

φ10 φ12 φ18 φ9.5 φ10 φ12 φ18 φ9.5 φ10 φ12 φ18

G7+0.005~+0.020

取付穴はめあい公差

注意点

G7+0.006~+0.024

G7+0.005~+0.020

G7+0.006~+0.024

H50~+0.006

H50~+0.008

取付穴に対するA面の直角度に注意する必要があります。直角度0.16/6.5以内であれば、支障なく固定できます。

取付穴内壁に発生するバ・ ・

リ(スリ割り加工部)に注意してください。

止めねじの大きさはM3×0.5、M4×0.7程度が適当です。ステム部のサラモミ加工は90°×0.5以内にし、加工によるステムの変形が発生しないよう、十分注意してください。

(単位:mm)

標準形(スピンドルピッチ0.5mm)高機能形 スピンドルピッチ0.1mm/0.25mm     スピンドルピッチ0.5mm     スピンドルピッチ1.0mm     スピンドルピッチ直進式     MHF極微動用(差動機構付)

耐荷重限度 4kg程度まで※

2kg程度まで4kg程度まで6kg程度まで2kg程度まで2kg程度まで

※破損・脱落荷重はあくまで参考値とお考えください。

取付方法①締付ナット方式②スリ割締付方式③ねじ止め方式

破損・脱落荷重8.63~9.8kN(880~1000kgf)で本体破損0.69~0.98kN(70~100kgf)で取付金具より脱落0.69~1.08kN(70~110kg)で止めねじ破損

※MHTのみ2kg程度まで

A面

P

締付ナット

取付金具

P

止めねじ

P

マイクロメータヘッド編

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10 精密測定機器の豆知識

■特別注文品(製作例のご紹介)マイクロメータヘッドは非常に広い分野で使用されており、お客様のニーズにお応えするため豊富な機種を用意しておりますが、特別なニーズにお応えするため、広くカスタム品を製作しております。1個からでも製作致しますので、お気軽にご相談ください。

1.スピンドル形状の例

2.ステム形状の例取付方法や取付部の形状にあわせて、さまざまなステム形状に対応致します。

3.目盛加工例逆目盛、縦目盛などさまざまな目盛加工にも対応できます。加工例にないものでもご相談ください。

9.オールステンレス製ご希望により、オールステンレス製マイクロメータヘッドも製作致します。

10.簡易包装OEMなど大量のご注文の際には、簡易包装で納品することができます。

7.スピンドルピッチ加工スピンドルピッチは0.5mmが標準ですが、早送りのできる1mmや、微動送りの0.25mm、0.1mmにすることができます。また、インチピッチへの加工もできます。ご相談ください。

6.シンブル取付方法シンブルの取付け方法もラチェット・止めねじ・六角穴付ボルトなどができます。

8.ネジ部オイルお客様のご指定による潤滑油などにも対応致します。

4.指定ロゴタイプ指定ロゴタイプの表示もできます。

5.カップリング取付例モータドライブ取付用カップリングにも対応できます。

●スタンダード

●ストレート

●標準 ●逆目盛 ●縦目盛

●逆縦目盛

●ラチェット ●止めねじ ●六角穴付ボルト

● 0ゼロ

点指定目盛 ●目盛のみ

●ナット付 ●総ねじ ●フランジ

●先端球面 ●ポイント ●スプライン ●めねじ加工 ●フランジ ●ブレード(直進タイプのみ)

●ロングスピンドルもできます。ご相談ください。

0

0

45

5 510 15 25

0

5

20 4515 10 0

045

5 510 15

25

05

20 4515 10 10

0

45

5 50 5

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精密測定機器の豆知識

11精密測定機器の豆知識

■特別注文品(ホールテスト・ボアマチック)特殊形状の内径測定が可能な商品を1台からでも製作致しますので、お気軽にご相談ください。但し、場合によっては精度保証用のマスターゲージが別途必要になります。ご了承ください。

種類

角 溝

丸 溝

スプライン

セレーション

ね じ

被測定物の形状(例) 測定子先端部の形状(例) 備考

※その他用途に合わせて製作致します。※価格、納期などは特注内容により異なります。※ご用命の際は、最寄りの弊社営業課までご連絡ください。

内径測定器編■各部の名称(ホールテスト)

ラチェットストップシンブルスピンドル 外筒

コーン測定子

45°以上a

φD

W=1以上

W=1以上

H2H1

φdφ

D

H

φd

φD

H W=0.5以上 最小径を測り得るR(サイズごとに異なる)

最小径を測り得るR(サイズごとに異なる)

最小径を測り得るR(サイズごとに異なる)

35-4

5mm

/N00

0000

/N00

0000

35-4

5mm

35-4

5mm

/N00

0000

/N00

0000

35-4

5mm

35-4

5mm

/N00

0000

R0.3以上

φd

45

0

51DIV

. 0.0

05m

m45

4

35-4

5mm

S/N00

0000

r

φD

r

r

r

R0.5以上

φdφD

ℓℓ

●特殊形状溝の内径が測れます。

●製作可能内径: 約φ16mm以上 (被測定物の形状により異なります。)●段差ℓは W=2mm以下の場合: ℓ=2mm以下 W=2mm以上の場合: 標準値ℓ=2mmとし、その他用途に合わせ変更可能です。

●スプライン、セレーションの溝数は3の倍数に限ります。

●ご希望される場合は、被測定物の形状をご提示ください。

●測定範囲が標準品と異なる場合は、別途検査ゲージのイニシャルコストが必要です。

●ねじの有効径が測れます。

●測定可能ねじは、ねじの種類、呼び寸法、ピッチにより制限がありますので、ねじ仕様をご提示ください。

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12 精密測定機器の豆知識

■シリンダゲージのガイド

■測定位置による測定値の変化

●小口径の弊社製シリンダゲージは、曲率が大きいため、図の矢印の方向に動かすことにより、直径(a-a’)に合致させられるようになっていますので、ダイヤルゲージの指示値の最大値を読取ります。

ホールテストの場合、商品の機構上、測定子全面で測定する場合と測定子の先端のみで測定する場合とで測定値が異なります。測定の際には同じ条件で基点合せを行ってください。

●弊社製シリンダゲージは、小口径のクサビ方式を除き、ガイドに案内されて簡単にリングゲージの直径とシリンダゲージの測定軸が合致するようになっています。

エアリー点は、2点支持において両測定面が最も平行になるような支持点をいいます。

測定子先端で測定する場合は、 測定子先端で基点合せを行ってください。

ベッセル点は、2点支持において全長の誤差が最小になる支持点をいいます。

■エアリー点、ベッセル点基準棒や、棒形内側マイクロメータを水平に支持する場合、自重によってたわみが生じます。

エアリー点(a≒0.577ℓ)

ベッセル点(a≒0.559ℓ)■傾きによる寸法偏差

図-1のように穴の軸方向に傾く場合の偏差を算出すると下図のようなグラフ値になります。図-2のような軸穴に対して左右に傾く場合の偏差は、下図のグラフ値とほぼ同じで、マイナス値として現われます。

ℓ: パイプ内径 L: 傾いた時の長さ X: 傾いた量 Δℓ: 傾いたために生じた誤差 Δℓ: L-ℓ =√ℓ2+X2-ℓ

ℓ: パイプ内径 L: 傾いた時の長さ X: 傾いた量 Δℓ: 傾いたために生じた誤差 Δℓ: L-ℓ =√ℓ2-X2-ℓ

図-1

R R

X X

L

L

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

0.100.090.080.070.060.050.040.030.020.01

(mm)

傾いた量(mm)

ℓ=200mm

ℓ=500mm

ℓ=1000mm

a

a

a'

a

アンビル

案内板 測定子

測定物

045

35

40

5 10

98

76

シンブル

外筒

■読取り方法

①スリーブの読み②シンブルの読み

 ホールテストの読取り

目量     

図-2

45 0 5

1DIV. 0.005mm45 4

測定物 基点合せ

45 0 5

1DIV. 0.005mm45 4

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精密測定機器の豆知識

13精密測定機器の豆知識

ノギス編■各部の名称

段差測定面

内側測定面

内側用ジョウ

外側用ジョウ

外側測定面

スライダ

バーニヤ目盛

押しねじ板ばね

止めねじセットねじ

デプスミゾ

デプスバー指かけ

本尺

基準端面

本尺目盛 深さ測定面

ブリッジストッパー

内側用ジョウ

外側用ジョウ

スライダ 止めねじ

出力コネクタ

ORIGINスイッチ(ABS原点セット)

サムローラ

本尺

基準端面本尺目盛

デプスバー

深さ測定面

外側測定面

内側測定面

段差測定面

M形標準ノギス

ABSクーラントプルーフキャリパ

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14 精密測定機器の豆知識

■測定例1. 外側測定 2. 内側測定 3. 段さ測定 4. 深さ測定

0 10 20 30 40 50 60 70

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

0

50

10

80

3070

90

4060

0.01mm505-666

MADE IN JAPAN0 1 0 7 0 8 0

本尺目盛

目盛板

20

本尺目盛

バーニヤ目盛

■読取り方法●ダイヤルノギス●ノギス

本尺目盛の読み目盛板の読みダイヤルノギスの読取り

最小読取り値  本尺目盛の読みバーニヤ目盛の読みノギスの読取り

最小読取り値  

0

50

10

80

3070

90

4060

0.01mm505-666

MADE IN JAPAN7 0

200 10 20 30 40

0 1 2 3 4 5 6

■専用ノギスポイント オフセット デプスゲージ ブレード

C形 CN形

不定形の狭い寸法間の測定 段違い部の測定 深さの測定 細溝径などの測定

通常の外側測定段違い穴部の内径測定段違い部の測定

通常の外側測定段違い穴部の測定段違い部の測定

注意)②0.15mmは本尺目盛とバーニヤ目盛が合致している箇所を読取ります。

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精密測定機器の豆知識

15精密測定機器の豆知識

ノギス編■CM形ノギスの内側測定CM形ノギスでは内側測定面はジョウの先端になっており、測定力に注意が必要であると共に測定面の平行度、ジョウの段違いが問題となります。また測定面の円弧の半径は、内側測定部の組合せ寸法の1/2以下でなければなりません。M形ノギスと異なり、CM形ノギスでは組合せ寸法以下の小孔の測定はできません。しかし、長尺ノギスで小孔の測定をすることはまれですから、不便は感じないと思われます。ミツトヨノギスでは内側測定の読みは本尺目盛が2段で上段目盛が内側専用となっていますので、直読方式となっています。 計算が不要となって間違いも少なくなります。

■長尺ノギスについてきわめて大きな測定物を測定する場合、通常はルール(Rules)を使用しますが、もう少し精度が欲しいがマイクロメータを使用する程でもない、という場合に長尺ノギスが使用されます。大変手軽に使えて便利ですが、次のことに注意する必要があります。最小読取り値と器差は異なります。詳細は弊社のカタログ値を参照ください。次に長尺ノギスの場合、その測り方が問題となります。つまり本尺のたわみによる誤差が誤差要因の大部分を占めることになり、ノギスの支持の方法で大きく測定値が変化することになります。また、内側用測定面は基準端面から一番離れたところとなりますので、測定力に注意が必要です。外側用測定面でもロングジョウノギスの場合には、同様のことがいえます。

■M形ノギスの小穴測定小穴の内径を測定する場合は、構造上の誤差Δdが生じます。

φD:真の内径φd:測定値t1, t 2:内側ジョウの厚さC:内側用ジョウの間隔Δd:測定誤差  φD-φd

■バーニヤ目盛のいろいろバーニヤ目盛には、順バーニヤ目盛と逆バーニヤ目盛とがありますが、一般に順バーニヤ目盛が多く用いられます。 順バーニヤ目盛には普通バーニヤ目盛とロングバーニヤ目盛があります。普通バーニヤ目盛は最も一般に使用されているもので、本尺目盛の(n-1)目盛をn等分したものです。例えば、本尺目盛の1目の長さが1mmで本尺目盛の9目盛を10等分した場合は、バーニヤ目盛で読み得る最小読取値は0.1mmとなります。バーニヤ目盛で読み得る最小読取値は、ノギスでは0.05mmが一般的です。また、最近ではバーニヤ目盛1目の間隔を広くし、読みやすさを向上させたロングバーニヤ目盛が多く使用されています。

●バーニヤ目盛(19mmを20等分) ●ロングバーニヤ目盛(39mmを20等分)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 100 2 4 6 8 10

0 10 20 30 40 30 40 50 60 70

3919

0.05mm

 読取り値 1.45mm     読取り値 30.35mm

内側専用

外側専用

t1+t2+C 0.3 0.5 0.7Δd 0.009 0.026 0.047

фd

t2

t1

C

фD

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16 精密測定機器の豆知識

■一般的なノギス使用上の注意1.ノギスの誤差要因ノギスの誤差要因には、いろいろなものがありますが大きなものでは、視差、アッベの原理に反する測定器であるため、測定力のかけ過ぎによる誤差、ノギスと測定物の温度差による熱膨張のための誤差、小孔の内径測定の際、内側測定面の厚さと内側測定面間のすき間によって発生する誤差などがあります。 その他にも、目盛精度、基準端面の真直度、本尺目盛面の平面度、ジョウの直角度などの誤差要因はありますが、これらは器差内に押さえられるべきものであり、器差を満足しているノギスでは問題となりません。JISの中でノギスの構造から生じる誤差要因を十分に承知して使用していただくために、取扱上の注意事項が追加されております。これは測定力に関するもので「ノギスには、定圧装置がないので適正で、かつ均一な測定力で測定をするようにしなければならない。とくにジョウの元、または先で測定した場合に誤差が大きくなる危険があるから注意が必要である」と指摘されております。

ф

ф

2.内側測定できるだけ内側ジョウを奥深く差し込んで測定してください。内側測定時には指示値が最大となった時点の値を読取ってください。溝幅測定時には指示値が最小になった時点の値を読取ってください。

3.深さ測定デプス基準面を測定物に密着させて測定してください。

4.目盛線を読む時の注意(視差)バーニヤ目盛と本尺目盛の合致を見る場合は、バーニヤ目盛線を真っ直ぐに見る方向から見る必要があります。バーニヤ目盛線を斜めから見た場合、バーニヤ目盛先端と本尺目盛の段差により合致位置が、視差によって下図のようにΔXだけずれた位置に見え測定値の読み間違い誤差となります。このため、JISではバーニヤ先端と本尺目盛面の段差を0.3mmと規定しています。

A

ΔX

Δf

Δf

AA

BH H

5.基準端面の曲がりノギスのスライダの案内の基準となる端面の曲がりがあると、図に示すように測定誤差の原因となります。この誤差はアッベの原理に合致しない誤差と同じ計算式で表わせます。

f=hθ=h a      ℓ

h

h

f

例)案内面の曲がりによるスライダの蛇行を 0.010mm/50mmとし、外側測定子先端を40mmとして計算すると f=40mm×0.01÷50=0.008mm

案内面の曲がりも摩耗したり、取扱い不注意により曲げたりすると、その影響は無視できなくなります。

6.測定と温度の関係ノギスの本体はステンレス鋼で作られています。測定物(鉄系金属)と同等の線膨張係数(10.2±1)×10-6となっていますが、測定物の材質や室温、測定物の温度によっては、測定精度に影響しますので注意が必要です。

7.ノギスの外側測定部分および内側測定部分は鋭利に尖っています。身体を傷つけない様、取り扱いには十分気をつけてください。

8.デジタルノギスのスケールを傷つけたり、電気ペンで番号などを記入することは避けてください。

ノギスを落としたり、ぶつけたりしないように取扱いにはご注意ください。

9.摺動面と測定面の管理ノギスを使用する前には、乾いた柔らかな布で摺動面および測定面を拭いて、ゴミなどを取り除いてからご使用ください。

10.使用前に原点の確認 ノギスを使用する前には、外側用ジョウ(合口)を閉じて、原点を確認してからご使用ください。デジマチックキャリパでは、電池を入れた時、電池の交換時に必ず外側用ジョウ(合口)を閉じて、ORIGINスイッチ押して、原点をセットしてください。

ORIGIN

電池閉じる

ORIGINスイッチ

11.使用後の取り扱いノギスの使用後は、水分(油)を良く拭きとって防錆油を薄く塗布(防錆油を良く乾かしてください)した後、保管してください。防水タイプのノギスも本体の錆びが発生しますので水分の拭き取りが必要です。

12.保管上の注意●直射日光の当たる場所や高温、低温、多湿な場所は避けて保管●デジタルノギスを3ヵ月以上使用しない場合は、電池を取り外して保管

●ノギスは、クランプをせずに保管

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精密測定機器の豆知識

17精密測定機器の豆知識

ハイトゲージ編

固定梁

主柱

副柱

支柱

リセットボタン

上送りカウンタ

下送りカウンタ

指針

ダイヤル目盛

スライダクランプ

送りハンドル

スライダ

取付ジョウ

スクライバクランプ

スクライバクランプボックス

スクライバ

スクライバ測定面

ベース基準面 ベース

標準ハイトゲージ 直読ハイトゲージ

本尺移動装置

本尺

本尺の目盛

微動送り車

微動送りクランプ

スライダクランプ

本尺の目盛

バーニヤの目盛

スクライバクランプ

ジョウ

スクライバ

スクライバ測定面

スクライバクランプボックス

基準端面

ベース基準面 ベース

■各部の名称

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18 精密測定機器の豆知識

固定梁

主柱

副柱支柱

電源ON/OFFスイッチ

ゼロセット/ABS(アブソリュート)スイッチ

プリセットモード、ボール径補正モード切換スイッチ

ホールド/データスイッチ

プリセット時、数字送りスイッチ

ディレクション切換/プリセット時、桁送りスイッチ

ベース基準面

ベース

送りハンドル

スライダ

タッチプローブコネクタ

電池蓋

スクライバクランプ

スクライバ

スクライバ測定面

スクライバクランプボックス

ジョウ

デジマチックハイトゲージ

スライダ移動ハンドル 大形クランプレバー 手にフィットするベース

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精密測定機器の豆知識

19精密測定機器の豆知識

ハイトゲージ編

0

0

.2

.6

.5 .5

.7 .3

.6.4

.3 .7

.8.9 .1

.8.2.1 .9

0.02mmSHOCK PROOF

MADE IN JAPAN .4

4050

60

010

20

30

4050

60

70

80

90

0.01mm

mm

mm80

70

6040

30

20

10

50

900

8

1

7

2

8

2

122.11

スクライバ

基準面

010

20

30

4050

60

70

80

90

0.01mm

mm

mm

0

80

70

6040

30

20

10

50

90

1

8

2

7

5

5

125.89

スクライバ

基準面

7

9

10

11

0

1

2

3

4

5

6

7

零点合せをした基準面Aから上方寸法を読取りたい場合

本尺目盛

目盛板

●標準ハイトゲージ

●直読ハイトゲージ

●ダイヤルハイトゲージ■読取り方法

本尺目盛の読み

目盛板の読み

ダイヤルハイトゲージの読取り

最小読取り値  本尺目盛の読み

バーニヤ目盛の読み

標準ハイトゲージの読取り

最小読取り値  

零点合せをした基準面Bから下方寸法を読取りたい場合

カウンタの読み

目盛板の読み

直読ハイトゲージの読取り

カウンタの読み

目盛板の読み

直読ハイトゲージの読取り

本尺目盛

バーニヤ目盛

7

9

10

11

0

1

2

3

4

5

0

0

.2

.6

.5 .5

.7 .3

.6.4

.3 .7

.8.9 .1

.8.2.1 .9

0.02mmSHOCK PROOF

MADE IN JAPAN .4

40

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20 精密測定機器の豆知識

4.本尺(柱)の倒れによる誤差JIS規格ではベース基準面(底面)に対する柱の基準端面の直角度が

と規定されていますが、例えば L=600mmでは、0.61mmとあまり厳しい数値ではありません。これは、柱の曲がりのようにスライダの傾きが変化することがなく、誤差要因の影響が小さいためです。

5.測定と温度の関係ハイトゲージは、複数の材料により構成されており、測定物の材質や室温、測定物の温度によっては、測定精度に影響しますので、ご注意ください。

6.ハイトゲージのスクライバ先端部分は鋭利に尖っています。 身体を傷つけないよう、取り扱いには十分気をつけてください。

7.デジタルハイトゲージのスケールを傷つけたり、電気ペンで番号などを記入することは避けてください。

8.ハイトゲージを落としたり、ぶつけたりしないように取り扱いにご注意ください。

■ハイトゲージ使用上の注意1.スライダの案内となる本尺枠(柱)の基準面はいつも清掃を保ってください。ゴミなどがたまりますと摺動が重くなり誤差の要因となります。

2.ケガキを行う際は、スライダが動かないように、スライダの止めねじをしっかりと締めて使用する必要があります。

(スライダの止めねじを締め付けた時、スクライバ先端が動くことがありますので、てこ式ダイヤルゲージなどで確認しておくことが重要です。)

3.スクライバ測定面とベース底面の平行度は0.01mm以下です。

測定の前にスクライバやてこ式ダイヤルゲージを取り付ける場合は取付面のゴミやカエリに注意をし、測定中にはスクライバ等が動かないようにしっかりと固定する必要があります。

4.本尺目盛を移動できるハイトゲージでは、移動装置で本尺を移動し、零点を確認したら、固定用のナットをしっかりと締めてください。

5.視差による誤差は無視できませんので、読取る時には目の位置に十分注意し、常に正面から目盛りを見るようにしなければなりません。

6.使用後の取り扱い水分(油)を良く拭きとって防錆油を薄く塗布(防錆油を良く乾かしてください)した後、保管してください。

7.保管上の注意●保管する場合は、直射日光の当たる場所や高温、低温、多湿な場所は避けて保管

●デジタルハイトゲージを3ケ月以上使用しない場合は、電池を取り外して保管

●保護カバーが付属しているものは、柱のゴミ付着を防止するため、カバーをかけて保管

3.ベースの浮き上がりハイトゲージのスライダは、駆動ハンドルや送り車により移動できますが、測定物にスクライバを当てた後も過度にスライダを移動(測定力をかける)しますとベース底面が定盤から浮き上り測定誤差を生じます。精度の良い測定を行うためには、測定物にスクライバを当てる際は、できるだけスライダをゆっくり移動し、接触の瞬間に移動を止める必要があります。また、測定の前に、ベース底面にゴミやカエリ(キズなどの突起)がないことを確認してから使用することが必要です。

0.01+ 1000

L( )mm Lは測定長(単位:mm)

■一般的なハイトゲージ使用上の注意1.ハイトゲージの誤差要因ハイトゲージの誤差要因は、ノギスと同様に視差、アッベの原理に反する測定器であるため、測定力のかけ過ぎによる誤差、測定物との温度差による熱膨張による誤差などがあります。その他にもハイトゲージの構造から生じる誤差要因があり、特に下記に示します基準端面の曲がりとスクライバの取付に関しては構造と誤差要因を十分に理解してご利用いただくことが必要です。

2.基準端面(柱)の曲がりとスクライバの取付けハイトゲージのスライダもノギス同様に案内の基準となる端面の曲りがあると図に示すように測定誤差の原因となります。この誤差はアッベの原理に合致しない誤差と同じ計算式で表せます。

ここで、スクライバ(てこ式ダイヤルゲージ)の取付により、基準端面の曲がりによる誤差の影響が大きくなりますので、取扱の注意が必要となります。上記の計算式に示しますh寸法が大きくなる。すなわち、スクライバ等を本体から前に出しすぎて取り付ける。また、標準付属されていない長いスクライバやテコ式ダイヤルゲージを使用する際は、この誤差要因が大きくなりますので注意が必要です。

例)スクライバの取付位置寸法 h=100mmの場合と h=150mmの場合では 誤差の影響が1.5倍大きくなります。

f=hθ=h aℓ

θl

f

h

a

h

h

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精密測定機器の豆知識

21精密測定機器の豆知識

デジマチックインジケータ・ダイヤルゲージ・テストインジケータ編

キャップクランプ

リミット針

長針

外わく

目盛板

ステム

スピンドル

測定子

■各部の名称

連続目盛:測定値を直接読取る場合バランス目盛:基準値から誤差を読取る場合逆目盛:深さ測定、シリンダゲージ用一回転未満目盛:振分目盛に加え、読み誤りを防止する場合

■目盛板

0.01mm 0.001mm

通し目盛 振分目盛 連続目盛 バランス目盛

逆目盛 1回転未満目盛 連続目盛(倍目盛) 1回転未満目盛

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22 精密測定機器の豆知識

ステム取付方式

取付方式

注意点

取付方式

注意点

耳金締付方式

ステムねじ止め方法 ステムすり割締付方法

●取付け穴公差:φ8G7(+0.005~0.02)●締め付けねじ:M4~M6●締め付け位置:ステム下端から8mm以上●最大締め付けトルク:M5ねじ1点締め時150N・cm●締め付けトルクが強すぎるとスピンドルの作動が悪くなることが ありますのでご注意ください。

●用途に応じて耳金の向きを90°変えることができます。(出荷時は縦向き)●但し、1シリーズの1部の機種(No.1911、1913-10、1003)は横向きに変えられません。●測定面に対しスピンドルが直角になる様に固定してください。傾きが大きくなると測定誤差の要因となります。

●取付け穴公差:φ8G7(+0.005~0.02)

■ダイヤルゲージの取付方法

■デジマチックインジケータ・ダイヤルゲージ測定子●ねじ部寸法は、M2.5×0.45(長さ5)に統一されています。●測定子を制作する際はねじ根元の不完全ねじ部を0.7以下としてください。

8以上

M6ボルト

平座金

×不完全ねじ部を 以下

× 深さφ ザグリ 深さ

スピンドル

■ダイヤルゲージ・デジマチックインジケータの使用姿勢姿勢 備考

測定子下向き姿勢(正姿勢) ̶

スピンドル水平姿勢(横姿勢)

スピンドル水平姿勢または測定子上向き姿勢で使用される場合には、測定子下向き姿勢に比べ測定力は低くなります。ご使用前に必ず作動及び、長針またはデジタル表示の戻りの確認をして下さい。デジマチックインジケータ・ダイヤルゲージの姿勢による作動保証については、総合カタログの各々の商品紹介ページにてご確認下さい。

測定子上向き姿勢(逆姿勢)

デジマチックインジケータは、下死点から0.2mmの範囲の繰返し安定性は保証しておりません。ゼロセットや指定の値のプリセットを行う時には、下死点から0.2mm以上スピンドルを持ち上げた位置でゼロセットや指定の値のプリセットを行いご使用下さい。

0.2m

m

地面

地面

地面

■デジマチックインジケータ原点設定について1.ダイヤルゲージを落としたり、ぶつけたり、分解・改造しないでください。2.スピンドルを急激に動かしたり、横方向へ力を加えないでください。3.スピンドルへの注油はなさらないようにしてください。塵埃等を誘引し、作動不良となる恐れがあります。

4.スピンドルの作動が悪くなった場合には、乾いた布かアルコールを少量含ませた布でスピンドルの上下摺動面を拭いて下さい。改善されない場合には、弊社での修理対応をお勧めいたします。

5.保管上の注意 直射日光の当たらない場所に保管、湿気の少ない場所に保管、ほこりの少ない場所に保管、オイルミストの少ない場所に保管

■一般的なダイヤルゲージ使用上の注意点

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精密測定機器の豆知識

23精密測定機器の豆知識

■ダイヤルゲージ B 7503-1997(JIS/日本工業規格抜粋)

指示誤差

項目 測定方法 説明図 測定用具

1

隣接誤差2

戻り誤差3

繰返し精密度4

測定力5

番号

ダイヤルゲージのスピンドルを鉛直、かつ、下方にして保持し、ダイヤルゲージの目盛の読みを基準にして次のとおり行う。基点から2回転までは1/10回転ずつ、5回転までは1/2回転ずつ、5回転以上は1回転ずつ、スピンドルを測定範囲の終点まで押込み、そのままの状態からスピンドルを逆方向に戻しながら押込み方向の測定時と同一測定点を測定して得られた両方向の誤差線図から求めれる(付図1)。

目量0.001mm及び目量0.002mmで測定範囲が2mm以下のダイヤルゲージについては目量の0.5μm以下、器差±1μmのマイクロメータヘッド又は測長器及び支持台。上記以外のダイヤルゲージについては目量1μm以下、器差±1μmのマイクロメータヘッド又は測長器及び支持台。

測定台支持台

支持台上皿ばね式指示はかり(目量2g以下)又は力計(感度0.02N以下)

測定台上面に測定子を垂直に当て、測定範囲内の任意の位置で5回スピンドルを急激及び緩やかに作動させたとき、各回の指示の最大差を求める。

スピンドルを鉛直、かつ、下方に置いた姿勢でダイヤルゲージを保持し、スピンドルを上下各方向に連続的、かつ、徐々に移動させ、測定範囲の基点、中央及び終点の測定力を測定する。

支持台

ダイヤルゲージ

マイクロメータヘッドまたは測長器

支持台

測定台

ダイヤルゲージ

ダイヤルゲージ

上ざらばね式指示はかり

支持台

※ 隣接誤差備考 上表の数値は、温度 ℃におけるものとする。

性 能:最大許容誤差ダイヤルゲージの最大許容誤差は、上表による。指示の許容誤差は、校正の不確かさを内側に見積もって評価する。

●指示の最大許容誤差 単位:μ

±±±±

以下戻り誤差測定範囲

繰返し精密度指示誤差 回転※

回転回転回転全測定範囲

±±±±

以下

±±±±

目量及び測定範囲

を越え 以下

±±±±

以下

±±±±

を越え 以下

±±±±

を越え 以下

測定範囲 回転以上回転

μ

回転以上

長針静止点

回転指示誤差

回転指示誤差

基点

指示誤差

終点

戻り誤差

隣接誤差

回転指示誤差及び隣接誤差範囲

回転指示誤差範囲

回転指示誤差範囲

+μ

回転指示誤差

全測定範囲指示誤差

行き戻り

行程

回転

デジマチックインジケータ・ダイヤルゲージ・テストインジケータ編

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24 精密測定機器の豆知識

■てこ式ダイヤルゲージ B 7533-1990(JIS/日本工業規格抜粋)

■テストインジケータの角度誤差測定子はできるだけ水平にして使用ください。

テストインジケータでは、測定子を測定面にあてる角度により誤差が発生します。測定子を測定面にあてる時は、図の角度θをできるだけ小さくするようにセットしてください。θの値により測定値が異なってきます。θの値による測定値の補正は表に従って行います。

〔 真の値 = 測定値 × 補正値 〕

広範囲行き精度

隣接誤差

戻り誤差

項目 測定方法 説明図 測定用具

繰返し精度

測定力

番号

( )目量 のものは、測定子を基点から時計方向に測定範囲の終点まで目盛の読みを基準として

ずつ作動させ、指針の読みから測定用具の読みを差し引いて描いた誤差線図から求める。

( )目量 のものは、測定子を基点から時計方向に測定範囲の終点まで目盛の読みを基準として

ずつ作動させ、指針の読みから測定用具の読みを差し引いて描いた誤差線図から求める。測定に当たっては、測定用具の器差を補正する。

行き精度測定終了後、そのままの状態から測定子を逆方向に戻しながら広範囲行き精度の測定時と同一測定点を測定して得られた行き・戻りの誤差線図から求める。

マイクロメータヘッドまたは測長器(目量 μ 以下、器差± μ 以内)、支持台

測定台、支持台、(ブロックゲージ)に規定する 級ブロックゲージ

上ざらばね式指示はかり(目量 以下)又は力計(感度 以下)

測定子が測定台上面に平行になるようにダイヤルゲージを保持し、測定範囲内の任意の位置で 回測定子を急激に又は緩やかに作動させたとき各回の指示の最大差を求める。

測定台上面に置いたブロックゲージに測定子を平行に当て、測定範囲内の任意の位置でブロックゲージを前後左右に移動させ、指示の最大差を求める。

器枠又はステムを保持し、測定子を行き・戻り各方向に連続かつ徐々に移動させて、測定範囲の基点、中央及び終点において測定力を測定する。

●性能行き方向の最大測定力は、 を超えてはならない。測定力の同一方向に対する最大値と最小値との差は、 ( )を超えてはならない。なお、測定力は、できる限り小さいことが望ましい。

※:測定子の長さが を超えるものについて適用する。 備考 上表の数値は、温度 ℃におけるものとする。

●指示の精度てこ式ダイヤゲージの指示精度の許容値は、以下の表による。 (単位:μ )

目量( ) 測定範囲( ) 広範囲行き精度 隣接誤差 繰返し精度 戻り誤差

支持台

ダイヤルゲージ

マイクロメータヘッドまたは測長器

支持台

ダイヤルゲージ測定台

ブロックゲージ測定台

ダイヤルゲージ

上ざらばね式指示はかり

θθ

θ L1:真の値L2:指示値L1=L2×Cosθ

測定子移動方向

測定子移動方向

被測定物移動方向 被測定物移動方向

θ

θ

θ

L1L2

角度10°20°30°40°50°60°

補正値0.980.940.860.760.640.50

角度補正

●インボリュート測定子を使用することで、角度θが28°まで無補正で測定できます。(ご注文により製作致します。)

補正例テストインジケータの読みが0.002mmの場合θ=10° 0.002mm×0.98=0.00196mmθ=20° 0.002mm×0.94=0.00188mmθ=30° 0.002mm×0.86=0.00172mm

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精密測定機器の豆知識

25精密測定機器の豆知識

ゲージブロック編

■密着(リンギング)の方法①組合せるゲージブロックの選定 選定には次の点を考慮してください。 a. 組合わせの個数をできるだけ少なくしてください。 b. できるだけ厚いゲージブロックを選んでください。 c. 寸法は末尾の桁から選んでください。②ゲージブロックを洗浄液できれいに洗浄します。③測定面のかえりの無いことを確認します。かえりの点検にはオプチカルフラットを使用し、次の手順で行います。

図-1 図-2

a. 測定面をきれいに拭いてください。 b. ゲージブロック測定面にオプチカルフラットを静かに置いてください。

c. オプチカルフラットを軽くすべらせると、干渉縞が見えてきます。

判断1:ここで干渉縞が見られない場合は、測定面に大きなかえりやごみ等が   あると考えられます。

d.オプチカルフラットを軽く押さえ付け、干渉縞の消えることを確認します。

判断2:干渉縞が消えればかえりはありません。判断3:局部的に縞が残る場合はかえりがあります。このとき、オプチカルフ

ラットの位置をわずかに移動させ縞も一緒に移動したらオプチカルフラットにかえりがあることになります。

e.かえりの除去は、下図のかえり取りの方法に従ってください。

④測定面にわずかの油気を与え均一にのばします。(油膜がほとんどなくなるまで拭き取ります)油には一般的に、グリス、スピンドル油、ワセリン等が使用されます。

⑤密着面を静かに重ね合わせます。 密着する寸法によって次の3通りの方法があります。 a. 厚いゲージブロック相互の密着

測定面の中央で90°に交差させます。

軽く力を加え回転させます。滑らせていると密着している感触が伝わります。

測定面を揃えます。

b.厚いゲージブロックと薄いゲージブロックの密着

厚いゲージブロックの一端に薄いゲージブロックの一端を重ねます。

重なった部分全体を押すようにゲージブロックを滑らせ測定面を合わせます。

c. 薄いゲージブロック相互の密着

曲がりを防ぐため、最初に厚いゲージブロックを1枚を密着します。

さらに、次のゲージブロックを密着します。

最初の厚いゲージブロックを外します。

不規則な干渉縞

 測定面の面拭きをし、温度慣らしを行い完了です。

オプチカルフラットを薄いゲージブロックの表面に当てて密着の状態を確認します。

■温度慣らしの時間100mmの鋼製ゲージブロックを素手で取り扱ったときの寸法変化の一例を下の図に示します。

手をはなす

5本指でつかむ

3本指でつかむ

5

123456789

10 20 30 40 50 60 70時間(分)

(μm)

伸び

2370

1534

23

mm

14

mm

2370

15

1237690

23mm

14mm

12376

23mm

1237690

■メートルの定義1983年の第17回国際度量衡総会において、「メートルは1秒の299792458分の1の時間に光が真空中を伝わる長さとする」と決定されました。

①ゲージブロック及びセラストン又はアルカンサス砥石面※1のごみ、油膜等を溶剤できれいに拭き取ります。

②かえりのある測定面をセラストン又はアルカンサス砥石面※1に積み重ね、軽い力で静かに10回程度往復運動させます。(図1)

薄いゲージブロックの場合は均一に力を加えるために消しゴム等ゴム片を使用すると作業がしやすくなります。(図2)

③オプチカルフラットで確認します。 除去しきれていないときは、さらに②を行ってください。砥石で除去できるかえりの大きさには限度があります。場合によっては新しいゲージブロックを補充したほうが良い場合もあります。

注意)セラストン又はアルカンサス砥石※1は、ラッピング仕上げ後、ラップ剤を完全に取り除いてゲージブロックに傷がつかないよう目つぶししておかなければなりません。

※1:アルカンサス砥石は弊社では取扱っておりません。

●かえり取りの方法

図1 図2

セラストン(又はアルカンサス砥石※1)

消しゴム

セラストン(又はアルカンサス砥石※1)

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26 精密測定機器の豆知識

■ゲージブロック校正のご案内 弊社は計量法トレーサビリティ制度の認定事業者として端度器(ゲージブロック)の校正を実施しています。(端度器の他に線度器〈標準尺〉と長さ測定用レーザ〈633nm領域の波長〉の校正でも認定事業者になっています。)この制度は国から認められた校正事業者が国に代わって校正を実施し、法令により認められたJCSS(Japan Calibration Service System)ロゴマークを付けた校正証明書を発行するというものです。 端度器の認定事業者として、弊社宮崎工場と宇都宮キャリブレーションセンタが校正業務を実施しています。校正証明書には校正されたゲージブロックと校正に用いた標準ゲージブロックを特定する記述及びその校正が国家標準にトレーサブルであることの記述を行い、校正結果が添付されます。また、比較測定法による特殊サイズのゲージブロックの校正など、認定事業者の範囲を超える場合もトレーサビリティ体系を確立して校正を実施しています。(この場合は校正証明書にJcssロゴマークは付きません。)

1.ゲージブロックの校正のご依頼について 校正結果は校正証明書と対で発行されます。校正証明書が不要の場合は「検査成績書」が発行されます。 ご使用中のゲージブロックの校正を依頼される場合は、下記の内容を明示してください。①単体ゲージブロックの場合はサイズと個数及びJISの等級②セット品の場合はゲージブロックのコードNo.

③弊社以外のメーカのゲージブロックの場合は組数(何個組か)とJISの等級④オプチカルパラレル入りのセットの場合、その校正も希望されるかどうかの別⑤校正結果と校正証明書を対で発行を希望されるかどうかの別(希望される場合はお客様の正式な名称とご住所をご連絡ください。)⑥万一等級落ちした場合に新品と入替えを希望されるかどうかの別⑦不足しているサイズのゲージブロックの補充を希望されるかどうかの別

2.ゲージブロックアクセサリの校正のご依頼について ゲージブロックアクセサリセットもゲージブロック同様、校正をお受けします。 ホルダ等校正の対象にならないものもございますのでご注意ください。

3.校正証明書の発行のご依頼について(1)新品のゲージブロックをご購入後に校正証明書を依頼される場合  ・新品のゲージブロックの校正証明書が必要な場合は、検査成績書のコピーを添付のうえ、ご依頼ください(ゲージブロック現品は不要です)。   但し同封されている検査成績書の日付が1年以内のものに限らせていただきます。(2)校正実施の後1年以内に校正証明書をご依頼になる場合  ・新品の場合以外に、既に校正が終了し、後から校正証明書をご依頼されるときにも検査成績書のコピーを添付ください。   *この場合も同封されている検査成績書(校正結果)の日付が1年以内のものに限らせていただきます。(3)校正するゲージブロックが認定事業者として校正できる対象の場合、Jcssロゴマーク付きの校正証明書と校正結果をセットにして発行します。 お客様の正式名称とご住所を必ずご連絡ください。

4.ご使用のゲージブロックの校正料金について(新品のゲージブロックには全て検査成績書を添付しています。)(1)光波干渉測定による校正料金(標準価格) ①単体 a)0.1mm~100mm以下 5,000円 b)100mmを超え250mm以下 8,000円 c)250mmを超え600mm以下 12,000円 d)600mmを超え1000mm以下 15,000円(2)比較測定による校正料金(標準価格) ①単体 a)0.1mm~100mm以下 1,500円 b)100mmを超え600mm以下 4,000円 c)600mmを超え1000mm以下 7,500円 ②セット品の料金例 a)103個組 131,300円 b)76個組 96,900円 c)10個組 12,800円 ※他のセットの場合は最寄りの弊社営業課にお問い合わせください。 ※オプチカルパラレルの校正料金は含まれておりません。(3)オプチカルパラレルの校正料金(標準価格) ①オプチカルパラレル1個の校正料金は3,200円です。

❶ベースブロック

❷丸形ジョウ❸平行ジョウ(B形)❹センターポイント

❺トラムポイント❻三角 ストレートエッジ

校正対象外品校正対象品

⑨タイロッド⑩ローレットねじ

①ホルダ

②長尺GBホルダ③スクライバ④クランプこま

⑤植え込みボルト⑥皿小ねじ⑦溝付きナット⑧アジャスタブルタイロッド

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精密測定機器の豆知識

27精密測定機器の豆知識

■ゲージブロック校正のご案内

5.校正証明書料金について(1)K級の新品のゲージブロックには光波干渉測定による校正証明書を添付しています。 ご注文時にお客様の正式名称、ご住所をご連絡ください。(2)K級・新品以外のゲージブロックの校正証明書料金(標準価格) ①単体 :2,000円 ②セット品・単体複数個 :3,000円(3)オプチカルパラレルの校正証明書料金(標準価格) ①1枚組:2,000円 ②2枚組:2,500円

6.入れ替え・補充について(1)校正により結果が規格外となった場合や、お客様で廃棄されたものがある場合、お客様のご希望により有償で入替え及び補充サービスを行っています。その場合の入替え及び補充にかかる価格は単体標準価格の20%割引になります。

予めご依頼時に、例えば、  ① 0級から1級以下に落ちた場合に入れ替え ② 0級から2級以下に落ちた場合に入れ替え(1級に落ちた場合は入れ替え不要)       

などのご指示をお願いします。(2)標準のセット品以外(特殊サイズ、単体及び250mm以上のサイズ)の検査落ちの場合の入れ替え・補充は行いませんので予めご了承ください。

7.ゲージブロックの校正に関する予約制度について 校正のご依頼時にお客様のお手元を離れる期間をできるだけ短くするため、ゲージブロックは、校正予約制度を実施しています。ご依頼手続きは通常と同様にしていただきますが、現品は校正のご予約日の直前まで、お客様のお手元でご使用いただき、ご予約日が近づきましたら弊社校正部門に直送していただき、校正が終了しましたらお客様のお手元に直送しご返却するという制度です。計画的な管理をしていただくことができますので、是非校正予約制度をご利用ください。(光波干渉測定によるもの、長尺ゲージブロック等、予約制度対象外のものもございますので、不明な点は最寄りの弊社営業課にお問い合わせください。)

8.トレーサビリティ体系図について(1)Jcssロゴマーク付きの校正証明書には下記の理由によりトレーサビリティ体系図を添付致しておりませんが、ご要望により有料で発行することも可能です。 ①校正証明書にJcssロゴマークが付いていれば、その校正が国家標準にトレーサブルであることが計量法という法律で保証されています。 ②認定事業者の資格を得るための申請時に、校正後に発行する書類として体系図を含めないこととして認定されています。(2)校正するゲージブロックが認定事業者としての校正対象でない特殊サイズの場合にはJcssロゴマーク付きの校正証明書を発行できませんので、トレーサビリティ体系図が必要な場合は有料で発行致します。

9.NIST対応について 航空機関連の部品製造や航空機の整備をされているお客様の場合、使用する測定機器が日本の国家標準ではなく、アメリカの国家標準にトレーサブルであることが要求されることがあります。アメリカの国家標準は米国標準技術研究所(NIST)が供給していますので、弊社にて対応できるものに対してはご依頼によりNISTにトレーサブルであることの記載をした英文の校正証明書を発行致します。この発行書類に関しては、お客様の正式な英文名称も合わせてご連絡願います。NIST対応の可否については最寄りの弊社営業課にお問い合わせください。

10.校正の納期について 検査落ち時に入替えをしない場合は、通常、弊社がお預かりしてから出荷するまでを3週間以内※としています。 校正の予約制度を是非ご利用ください。 ※ゲージブロックの一部(長尺、光波干渉測定、一部の入替え、補充の場合)は予約対象外とさせていただきます。

11.ミツトヨ製以外のゲージブロックの校正について ミツトヨ製以外のゲージブロックについても校正致します。

お客様 販売店 弊社営業課 校正部門お客様 販売店 弊社営業課 校正部門お申し込み 受付

予約日までに

直送

週間

完了・返送

校正予約

ゲージブロック編

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28 精密測定機器の豆知識

■ゲージブロック検査成績書の解説

ゲージブロックの検査成績書・校正証明書の記載項目について、お客様からの問い合わせが多い項目について解説致します。

❶「中央寸法の寸法差」とは何ですか? ゲージブロックの検査はゲージブロックの「中央位置」と「側面より1.5mm内側の4角」の計5ヶ所について測定します。 「中央寸法の寸法差」とは「中央位置における寸法」で「実際の寸法一呼び寸法」で示されます。10mmのゲージブロックで中央の実際の寸法が10.00001mmであった場合、中央寸法の寸法差は、+0.01μmです。

❷「最大寸法の寸法差」とは何ですか? 測定点5点の測定の中で最も大きい寸法を示します。 5点の中でどの位置が「最大寸法の寸法差」を示すかは検査成績書(校正結果)には示されておりません。 旧JISでの「最大寸法」のことです。

❸「最小寸法の寸法差」とは何ですか? 測定点5点の測定の中で最も小さい寸法を示します。 5点の中でどの位置が「最小寸法の寸法差」を示すかは検査成績書(校正結果)には示されておりません。 旧JISでの「最小寸法」のことです。

❹「寸法差幅」とは何ですか? (最大寸法の寸法差-最小寸法の寸法差)の絶対値で、旧JISでの平行度のことです。

❺校正値の不確かさとは何ですか? 測定には「測定の誤差」があります。 「校正値の不確かさ」とは、今まで日常的に使用していた「精度」または「誤差」と理解して頂ければわかりやすいと思います。 不確かさは標準偏差で表されます。

❻校正値の拡張不確かさとは何ですか? 標準偏差は一般的にσ(シグマ)で示され、2シグマとか3シグマで表現されます。 標準不確かさは1σの値ですが、拡張不確かさとは2σの様に、σにある係数を乗じた値で示されます。 包含係数とは標準の不確かさ(σ)に乗ずる係数で、2σ、3σの数字の部分を示します。 一般的には2σで示されることが多く、弊社のゲージブロックでも2σ(95%)を採用し、包含係数K=2と表現しています。 検査成績書に示されるU=k・uc=0.06μmとは、検査成績書の「中央寸法の寸法差」に示された数値は95%の確率で、(中央寸法の寸法差±0.06μm)の範囲以内にあると言うことです。 中央寸法の寸法差が+0.01μm記載されている場合、このゲージブロックは95%の確率で+0.07~-0.05μmの範囲にあり、残り5%はその範囲を外れる確率が存在すると理解してください。

セットの検査成績書 単体の検査成績書

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精密測定機器の豆知識

29精密測定機器の豆知識

リニヤゲージ編ヘッド■ストレートステムとナット付ステムリニヤゲージヘッドを保持する部分で、形状は「ストレートステム」タイプと「ナット付ステム」タイプに分類されます。 取付方法は、「ナット付ステム」タイプが簡単で確実に固定できます。「ストレートステム」タイプは、割締めなどの加工が必要ですが、適用範囲が広く、最終取付け時に前後方向へ多少位置調整ができる利点があります。ただし締め過ぎには注意が必要です。

■測定力測定時に測定物に作用する力で、リニヤゲージヘッドの場合、ストロークエンドの位置における力をニュートン(N)で表します。

■比較測定ゲージヘッドの測定範囲以上を測定する場合、測定物の基準寸法となるマスタゲージをつくり、この寸法と比較して測定物がどれだけ差があるかを測定し、本来の寸法を知る方法です。

ナット付ステム ストレートステム

■ゲージヘッド取付け時の注意●ステム部を測定装置の取付部あるいはスタンドなどに差し込んで固定します。●ステム部を強く締め過ぎますと、作動に支障をきたす恐れがありますのでご注意ください。●ステム部にねじを直接当てて固定する取付方法は絶対にお止めください。●ステム部以外での固定方法は絶対にお止めください。●ゲージは測定面に対して垂直になるように取付けてください。傾けて取付けますと測定に誤差を生じます。●ケーブルを通してゲージに力が加わらないようにご注意ください。

表示部

■プリセット表示部に任意の数値をセットし、その数値からの計数を行います。

■ディレクション切換ゲージの移動方向を(+)/(-)方向のいずれかに設定できます。

■MAX、MIN 、TIR設定測定中の最大値、最小値、(最大-最小)値をホールドします。

■公差設定測定した値が公差内にあるかどうかで分類する場合、その公差値を各種表示部にセットする必要があります。この限界点のセットを公差設定といいます。

■オープンコレクタ出力トランジスタのコレクタ出力により外部の負荷を駆動する信号です。

■リレー出力オープン/クローズの状態を出力する接点信号です。

■デジマチックコードミツトヨの各種データ処理装置と測定器の出力とを結ぶための通信形式で、各種統計演算処理、ヒストグラムなどが作成できるデジマチックミニプロセッサDP-1VRへの接続が可能です。

■BCD出力2進化10進表現によりデータを出力する方式です。

■RS-232C出力EIA規格によるシリアル通信インターフェースでデータを双方向で伝送できます。伝送手順については各機器の仕様をご確認ください。

振れ値=最大値-最小値

MAX

MIN

0.000 0.0000.000

+/-基準面

1.234 123.456

■ゼロセット任意の位置で表示値を0(ゼロ)にできます。

●固定用穴は測定方向に平行になるように加工してください。傾いて取り付いていると測定誤差の原因となります。●固定の際に、ステムを強く締めつけると摺動が悪くなることがありますので、締めつけないようにしてください。●レーザホロゲージを移動するような測定方法の場合、ケーブルが引っ張られたり、本体に無理な力が加わらないように取り付けてください。

ステム 固定ねじ ステム 固定ねじ

固定部品 固定部品

■レーザホロゲージ取付けの注意レーザホロゲージの固定は、専用のスタンドやその他の装置にステムを差し込んで行います。

固定側の推奨穴径:15mm +0.024+0.006

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30 精密測定機器の豆知識

RSリンク機能 EH/EVカウンタを複数台接続し、多点測定を実現することが可能です。

■EHカウンタの場合最大10台までカウンタを接続し、最大20チャンネルまでの多点測定が可能です。接続には専用のRSリンク接続ケーブルNo.02ADD950(0.5m)、No.936937(1m)またはNo.965014(2m)を使用します。(RSリンク接続ケーブルはシステム全体で最大10mです。)

パーソナルコンピュータ

IN

RS-232C

先頭カウンタ

RS-232Cケーブル

01ゲージ番号 02 03 04……

最後尾カウンタ

OUT IN

RS-232C

OUT IN

RS-232Cコネクタ コネクタ コネクタ

OUT

パーソナルコンピュータ

IN

RS-232C

ユニット1 ユニット2

RS-232Cケーブル

01ゲージ番号 06 07 12……

…… ……

OUT IN OUT IN

RS-232Cコネクタ コネクタ

OUT

外部表示ユニット1 外部表示ユニット2

IN OUT

■EVカウンタの場合最大10台までのカウンタを接続し、最大60チャンネルまでの多点測定が可能です。接続には専用のRSリンクケーブルNo.02ADD950(0.5m)、No.936937(1m)またはNo.965014(2m)を使用します。(RSリンク接続ケーブルはシステム全体で最大10mです。)※EHカウンタ混在時には最大6台までの接続になります。

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精密測定機器の豆知識

31精密測定機器の豆知識

■プローブ 長さの変化量を変換するもので、コイルとコアの間に生ずる電気的変化を利用しています。

■てこ式と平行移動式レバーヘッドの測定方式には、「てこ式」と「平行移動式」があります。「てこ式」は板ばねを支点にして、測定子が円弧運動するため、測定範囲によっては誤差が大きくなる場合があります。「平行移動式」は測定子が平行移動しますので、円弧誤差はありません。

電気マイクロメータ編

てこ式MLH-521(正逆レバーにて上下からの測定可能)MLH-522(片側のみ測定可能)

平行移動式MLH-326(上部ダイヤルにて測定方向切替可能)

0

測定子がフリーの状態

0

測定子をメータが0になるまで押込んだ状態

ゼロ

■プリトラベル 電気マイクロメータ用プローブの測定子がフリーの状態から0を指示するまでの距離をいいます。

■測定力 測定子が測定物に作用する力で電気マイクロメータの指示値が 0

ゼロ

の点における測定子が測定物に作動する力をニュートン(N)で表わします。

■デジマチックコード ミツトヨの各種データ処理装置と測定器の出力とを結ぶための通信形式で、ミツトヨ商品専用のフォーマットとなっています。

■オープンコレクタ出力 トランジストのコレクタ出力により外部の負荷を駆動する信号です。

■リレー出力 オープン/クローズの状態を出力する接点信号です。

■比較測定 直線範囲の狭い測定器で直線範囲以上のサイズを正確に測定する場合、測定物の基準寸法となるサイズの基準ゲージをつくり、この寸法と比較して測定物がどれだけ差があるかを測定し、本来の寸法を知る方法です。

■直線性 プローブに与えられた変位量に対し、比例した表示をするかどうかの割合です。

■0ゼロ

点 測定しようとする品物の基準となる点をいい、比較測定においては基準ゲージの基準値をいいます。

■感度 電気マイクロメータのアンプの入力信号に対する出力信号の比をいい、与えられた変位量通りの表示をした場合、正常な感度であるといえます。

■公差設定 測定した値が公差内にあるかどうかで分類する場合、その公差値を電気マイクロメータにセットする必要があります。この限界点のセットを公差設定といいます。

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32 精密測定機器の豆知識

■測定例

■安全上の注意点 本装置は測定用に低出力の可視レーザ光を使用しており、JIS C

6802 「レーザ製品の放射安全基準」のクラス2に相当します。測定部には下の図に示すようなクラス2の警告、説明ラベルが貼られています。

レーザスキャンマイクロメータ

●水平面内の光軸合わせ

●水平面内の光軸合わせ

a. 基準線CとDの平行ずれ →X(幅方向)

c. 基準面AとBの平行ずれ →Y(高さ)

b. 基準線CとDの角度ずれ →θx(角度)

b. 基準面AとBの角度ずれ →θy(角度)

●各光軸合わせの許容範囲

基準線C

X

基準線D

基準線C

θx

基準線D

基準面A

Y

基準面B

θy

基準面A 基準面B

■互換性について 本装置はヘッドに付属となっているIDユニットとセットで調整されていますので、必ずシリアル番号の同じIDユニットを表示部に付けてご使用下さい。尚、IDユニットとヘッドとの調整となっているため、表示部とヘッドとは互換性があります。また、500Sシリーズと旧機種(LSM-3000、3100、4000、4100、400、500、500Hシリーズ)との互換性はありません。

■測定物と測定条件について 可視光レーザと不可視光レーザの違い、および測定物の形状や表面の粗さによって測定誤差を生じることがあります。この場合、出来るだけ既知の形状や表面粗さが同じ値のマスターをご使用いただき、キャリブレーションを必ず行なって下さい。測定条件によって測定値が大きくばらつく場合は、測定回数を出来るだけ多くすることで精度の高い測定が可能です。

■ノイズ対策について 誤動作の防止のため、本装置の信号ケーブルと中継ケーブルを高圧線やサージノイズの発生するケーブルと同一配線をしないようにお願いします。また、必ずアース(接地)をして下さい。

■コンピュータとの接続について RS-232Cで本装置とコンピュータを接続する場合は、コネクタの信号名及びピン番号を確認下さい。

■ベースを取り外しての再取付けについて 発光部・受光部間のレーザ光軸のずれによる測定誤差をできるだけ少なくするために、発光部と受光部の取付けは以下のようにしてください。

■ベースを取り外しての再取付けについて 発光部・受光部間のレーザ光軸のずれによる測定誤差をできるだけ少なくするために、発光部と受光部の取付けは以下のようにしてください。

テープ幅の連続測定 大径用外径測定デュアルシステム

フィルム・シートの厚み測定 光ディスク・磁気ディスクヘッドの移動量の測定

フィルム・シートの厚みムラ測定(同時測定) IC部品の足ピッチ・幅・すきま測定

電線・ファイバ・ローラのXY同時測定ローラの外径・振れの同時測定

適用機種 発光部~受光部間距離 XおよびY θxおよびθy

LSM-501S 68mm以下 0.5mm以内 0.4° (7 mrad)以内100mm以下 0.5mm以内 0.3° (5.2mrad)以内

LSM-503S135mm以下 1 mm以内 0.4° (7 mrad)以内350mm以下 1 mm以内 0.16°(2.8mrad)以内

LSM-506S273mm以下 1 mm以内 0.2° (3.5mrad)以内700mm以下 1 mm以内 0.08°(1.4mrad)以内

LSM-512S321mm以下 1 mm以内 0.18°(3.6mrad)以内700mm以下 1 mm以内 0.08°(1.4mrad)以内

LSM-516S 800mm以下 1 mm以内 0.09°(0.9mrad)以内

ふれ 基準エッジ

外径

基準エッジ

基準エッジ

基準ブレード

レーザスキャンマイクロメータ編

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精密測定機器の豆知識

33精密測定機器の豆知識

スケールユニット編

■アブソリュートすべての位置座標を直前に測った座標値に関係なく、固定された原点から測定するような測定系をいいます。

■インクリメンタルすべての変位を直前に測った位置から測定するような測定系をいいます。

■原点オフセット座標系の原点を、ある固定した原点に対してずらすことのできる機能です。この場合は永久的な原点が記憶されていることが必要です。

■原点復帰機械上に取り付けられたリミットスイッチを利用して、減速させながら各軸を機械固有の位置へ精度よく停止させる機能です。

■シーケンス制御あらかじめ定められた順序に従って制御の各段階を遂次進めていく制御です。

■数値制御工作物に対する工具の位置を、それに対応する数値制御で指令する制御です。

■バイナリー出力2倍単位で桁上げが生じる2進数(20、21、22、23、…)です。

■RS-232C比較的近くの伝送装置間のデータのやりとりをするためのシリアル・インターフェースの一種で、1969年アメリカのEIAで制定された規定です。主にパソコンと外部機器とを接続する場合に使用する通信手段です。

■ラインドライバ出力動作速度が数十~数百nsecと速く、伝送速度が数百mと比較的長いのが特長です。リニヤスケールシステムではNCコントローラとのI/Fに差動電圧計ラインドライバ(RS422A準拠)が用いられます。

■BCD10進数の各桁を構成する0~9の数値を4ビットのバイナリで表現する方式です。データは出力のみの単方向で、出力形態はTTLまたはオープンコレクタです。

■RS-422平衝型のインターフェース規格です。平衝型というのは、往きと復りとが、完全に対称になるように構成されたものです。RS-422は伝送に優れ、電源が+5Vの単電源でよいという点でも優れています。

■指示精度スケールを最大ストローク送った時の(測定値)-(真値)の最大値をいいます。測長ユニットにはISOのような国際規格がないため、各社まちまちの精度表示をとっています。カタログ表示値は、レーザ測長機を基準として求められた弊社でのスケール精度表示方法です。

■狭範囲精度スケールに刻まれた目盛格子は、種類により異なりますが、通常1ピッチ20μmを使用しています。この1ピッチ内を分解能のピッチ間隔(例えば1μm)で測定した精度をいいます。

用語解説

リニヤスケールの評価試験方法1.動作温度範囲試験規格において、動作及び各信号に異常がないかを確認しています。

2.温度サイクル(動特性)試験通電状態において、規格内で異常がないかを確認しています。

3.振動試験(スウィープ試験)3G一定で30Hz~300Hzで異常がないのを確認しています。

4.振動試験(加速度試験)特定周波数として、治具上の非共振周波数で異常のないことを確認しています。(10G程度)

5.ノイズ試験EMC指令EN61326-1+A1:1998に準拠しています。

6.梱包落下試験JISZ0200(重量物落下試験)に準拠しています。

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34 精密測定機器の豆知識

[図1]に示す通り、リニヤスケールに電源が供給されるとCOA信号の位置検出を行い、その位置情報を元にMEDの何周期の波のどの位置にいるかを検出します。同様にFINとOPTについて位置検出を行いマイクロプロセッサにて最終的に0.05μm(0.005μm)の分解能の絶対値が得られます。

精度検査装置 概要図

■完全アブソリュート方式リニヤスケールの原理(例:ABS AT300, 500-S/H)

静電容量式

光電式

μ

( )

( )

( )( )

信号周期 (内挿数) 分解能

( ) 約 μ

μμ

図 1

コンピュータ デジタルカウンタレーザ測長機カウンタ

レーザ発振器 干渉計 レーザビーム光軸

キューブコーナ

取付け金具

スケールユニット移動テーブル

各測定点における精度(誤差)の値は、以下の式に基づき求められます。

誤差=レーザ測長機の基準値-リニヤスケールによる測定値

ここで、「精度」または「誤差」の表現は,同じ意味合いで用いられています。有効長における各測定点の誤差をグラフにプロットしたものを精度線図と呼びます。その精度線図を基にして、誤差の最大値と最小値の範囲でリニヤスケールの指示精度を表記します。表記方法には以下の2通りあります。

指示精度 リニヤスケールの精度は、下図のような精度検査装置においてリニヤスケールによる測定値とレーザ測長機による基準値と一定間隔で比較することで値付けされます。検査環境は20℃で、この温度での精度となります。その他、検査条件、規格値は社内規格に準じて検査が行われます。

①誤差の最大値と最小値の範囲の大きさをaで表記aが指示精度となります。この規格値は、(α+βL)μmという換算式で示されます。ここで Lは有効長(mm)、α、βは機種ごとに設定された係数です。

 例えば、指示精度の規格値( 3+ 3L 1000 )μm、有効長1000 mmの

 リニヤスケールでは、aは 6μm となります。精度線図(誤差のプロット)

0

誤差

有効長

a

X 測定位置

指示精度:a(μm)ε

②誤差の最大値と最小値の範囲の大きさを±a/2で表記 誤差の最大値と最小値の中心値を0として、最大値を+a /2、最 小値を-a/2で表記し、誤差の範囲の大きさを±a/2で表記します。この表記は主にセパレート形スケールユニットに適用します。

0誤差

有効長

a2

X 測定位置

指示精度:± (μm)ε

±

a2

①と②の表記において、①の a、②の±a/2は同じ指示精度の規格値となります。 リニヤスケールは、一定ピッチの目盛をもつ直線スケールを基準にして移動量、変位量を検出しています。目盛を検出することで、目盛と同ピッチの2相正弦波信号が得られ、それらを電気回路で内挿することで直線スケールの目盛より細かい読取りもできるようになっています。内挿とは2相正弦波を補間し、分解能に相当するパルス信号に分割することです。例えば、目盛ピッチが20μmの場合、1μm 分解能での読取りが可能です。ここで、この内挿処理の正確さによって目盛ピッチ範囲内において誤差が生じます。これを内挿精度と呼びます。リニヤスケールの指示精度の規格値は、前記一定間隔で検査した誤差と内挿精度を含めたものが対象となります。

■リニヤスケールの精度

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精密測定機器の豆知識

35精密測定機器の豆知識

投影機編■正立正像と倒立逆像正立正像とは、スクリーン上の投影像が載物台上の測定物と、上下・左右の向き及び移動方向が全て一致する像のことを言います。また、下図のように上下・左右の向き及び移動方向が逆の場合を倒立逆像と言います。

■倍率精度ある呼び倍率を持つ投影レンズにて、基準となる寸法(基準スケールの使用長さ)をスクリーンに拡大投影させた時、その投影像の実測値と基準となる寸法との比率のことをいい、下記の式で算出できます。(測定精度とは違います。)

■照明方法●透過照明…測定物を透過光で観察する照明方法で、特に輪郭部を拡大投影・測定する場合に使用します。

●垂直反射照明…測定物の表面に垂直光を当てる照明方法で、表面形状の観察・測定する場合に使用されます。

(ハーフミラーもしくはハーフミラー内蔵式投影レンズを併用)●斜め反射照明…測定物の表面に斜めから光を当てる照明方法で、像のコントラストが強調され立体的かつシャープに観察できます。但し、寸法測定する際誤差が生じやすくなりますので注意が必要です。

■テレセントリック光学系像側焦点位置に絞りを設けることにより主光線は光軸と平行になるという原理を用いた光学系で、光軸方向にピントをずらしても像がボケるだけで像中心の大きさが変わらないことが特長です。

測定投影機・測定顕微鏡では、絞りを置く代わりにコンデンサレンズの焦点位置にランプのフィラメントを置いて、平行光線で照明して同様の効果を持たせています。(下図参照)

■作動距離焦点を合わせた時、投影レンズ先端から測定物上面までの距離(空間)のことをいいます。

本カタログでは符号のL2が相当します。

■視差読取りに際し、視線の方向によって生ずる誤差のことを言います。

■視野直径スクリーン上に映し出される測定物の大きさの直径・範囲のことを言います。

ΔM(%)= L-IM ×100   IM

ΔM:倍率精度 L:スクリーン上での基準物の像の実測点 I :基準の寸法(標準スケールの使用長さ)M:投影レンズの倍率

呼び倍率:投影レンズに表示された倍率(公称倍率ともいいます。)

光源(ランプ)

コンデンサレンズ

物体面

測定ワーク 投影レンズ 投影スクリーン面

像側焦点位置主光線

透過照明の場合

光軸

L2

投影レンズ

ハーフミラー

載物台 測定物

視野直径(φmm) = 投影機のスクリーン径(φmm)

          使用する投影レンズの倍率

(例題)φ500mmのスクリーン径で、投影レンズ5×を使用した場合

  φ100mmの範囲が投影スクリーンいっぱいに映し出されます。

(例) 500(φmm) = 100(φmm) 

5(×)

F

F

F

F

F

正立正像タイプの場合 倒立逆像タイプの場合

X軸の動きY軸の動き測定物

スクリーン

載物台上面

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36 精密測定機器の豆知識

顕微鏡編■開口数(N.A.=Numerical Apertureの略)開口数N.A.は対物レンズの分解能、焦点深度、像の明るさ等を決める重要な値です。開口数N.A.は次の式で表され、この数値が大きいほど高解像で焦点深度の浅い像が得られます。  N.A.=n・Sinθnは対物レンズ先端と試料との間の媒質が持つ屈折率で空気の時は n = 1.0 となります。θは対物レンズの一番外側を通る光線とレンズの中心(光軸)とのなす角度です。

■分解能(R=Resolving powerの略)ごくわずかに離れた点または線を見分けることが出来る最小の間隔を分解能といい、解像限界を表します。分解能(R)は開口数N.A.と波長λで決まります。

■作動距離(W.D.=Working Distanceの略)焦点が合ったときの試料上面から対物レンズ先端までの距離をいいます。

■同焦距離焦点が合ったときの試料上面から対物レンズの取付け位置までの距離をいいます。

■無限遠補正光学系対物レンズと結像(チューブ)レンズを使って像を作る光学系を無限遠補正光学系といいます。

■有限補正光学系対物レンズ単独で像を有限な位置に作る光学系を有限補正光学系といいます。

■焦点距離 (f=focal lengthの略)主点から焦点までの距離で、f1は対物レンズの焦点距離、f2は結像(チューブ)レンズの焦点距離です。倍率は対物レンズの焦点距離と結像(チューブ)レンズの焦点距離の比で決まります。(無限遠補正光学系の場合)

■焦点光学系において無限遠物点に対する共役点です。物体空間に無限遠物点がある場合の焦点を像焦点といい、像空間に無限遠物点がある場合の焦点を物体焦点といいます。物体焦点を前側焦点、像焦点を後側焦点ともいいます。

■焦点深度(DOF=Depth of Focusの略)顕微鏡で焦点を合わせたとき、その面の前後にピント面をずらしても、なお鮮明に見える範囲をいいます。開口数が大きいほど焦点深度は浅くなります。

■明視野照明と暗視野照明明視野照明は対物レンズを通して垂直に照明し試料を観察するための照明方法です。暗視野照明は対物レンズの外側から試料を照明し(光軸に対して傾いた光線で試料を照明する)傷のない平らな部分は暗黒で凹凸や傷のある部分のみが明るく輝かせて観察するための照明方法です。

■アポクロマート対物レンズとアクロマート対物レンズアポクロマート対物レンズは三つの色の光(赤青黄)について色収差(色のにじみ)補正を行ったレンズです。アクロマート対物レンズは二つの色の光(赤青)について色収差補正を行ったレンズです。

R = λ  (μm) λ= 0.55μm(基準波長)

2・N.A.

(例)1× = 200(mm)    (例)10× = 200(mm) 200(mm) 20(mm)

対物レンズの倍率 = 結像(チューブ)レンズの焦点距離             対物レンズの焦点距離

 DOF(mm)=  λ    λ= 0.55μm(基準波長)

    2・(N.A.)2

(例)M Plan Apo100×のN.A.は0.7

 このときの焦点深度は 0.55(μm) =0.6(μm)      2×0.72

■倍率光学系によって生ずる物体の拡大像の大きさと、物体の大きさの比をいいます。横倍率、縦倍率、角倍率があるが、一般に倍率という場合は横倍率をいいます。

■主光線光軸外の物点からでて、レンズ系の開口絞りの中心を通る光線です。

■開口絞りレンズ系において、光線束を制限する絞りです。明るさも絞りといいます。

■視野絞り光学機器の視野を制限する絞りです。

■テレセントリック系主光線が焦点を通るように配置された光学系で、焦点合わせの誤差によって結像倍率に変化が生じません。

■正立正像光学系による拡大像が載物台上の測定物と上下左右の向き及び移動方向が全て一致する像のことをいいます。

■視野数(F.N.=Field Numberの略)・実視野・モニタ表示倍率試料面のどれくらいの範囲が観察されるかは、接眼レンズの視野絞りの直径によって決まり、この大きさをmmで表した値を視野数といいます。実視野は実際に対物レンズで拡大観察されている物体面での範囲の事をいいます。 実視野は以下の式で算出できます。

1.顕微鏡で観察できる被検物の範囲(直径)

実視野(mm)=接眼レンズの視野数対物レンズ倍率

(例) 1×レンズの実視野は 24(mm)=

  10×レンズの実視野は2.4(mm)=

24(mm)1

24(mm)10

2.モニタ観察範囲

3.モニタ表示倍率

モニタ観察範囲(mm)=

モニタ表示倍率 = 対物レンズの倍率×

カメラ撮像素子の大きさ(縦×横)対物レンズの倍率

モニタ上の表示対角線長(mm)カメラの撮像素子の対角線長(mm)

●撮像素子の大きさ 単位 mm

形 式 対角長 長辺(横) 短辺(縦)1/3インチ 6.0 4.8 3.61/2インチ 8.0 6.4 4.82/3インチ 11.0 8.8 6.6

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精密測定機器の豆知識

37精密測定機器の豆知識

CCDカメラレンズ

ビデオ信号高速A/Dコンバータ

フレームグラバ

640画素

480画素

CRT

PC

アンプ

画像測定機編■画像測定

●エッジ検出

●オートフォーカス

●パターン認識

XY平面内の測定

ピント合わせ/Z測定

アライメント/位置決め/欠損チェック

画像測定機では主に、次の内容の処理を行っています。

■画像の記憶

画像は、1つ1つの画素の濃淡が集まって構成されています。ちょうど、目の細かい方眼紙に、1マスずつ塗りつぶして絵にしているのと同じです。

■グレースケールコンピュータは画像を内部で数値に置き換えて扱っています。その数値は画素ごとに管理されています。この数値をどのくらいのしきい調で管理するかによって、画質が変わってきます。この諧調は2値化と多値化の種類があり、一般的には256階調(グレースケール)で管理されています。

あるレベル以上の明るさはすべて白とし、それ以下はすべて黒としています。

黒から白の間を256分割して濃度を表現する。そのため、忠実な画像が表示できます。

2値化 白1

0

灰色

多値化 白

255

127

0

灰色

■画像の違い2値化画像と256階調画像

2値化サンプル画像 256階調サンプル画像

■しきい値による画像の変化

この3枚の絵は同じ画像を異なる、スライスレベル(しきい値)によって2値化したものです。このように、2値化画像では、スライスレベルの違いにより、異なる画像になってしまいます。そのため、設定したしきい値によって、数値が変わってしまうため、高精度測定には使用できません。

■寸法計測画像自体は、画素で構成されています。従って、測定したい間にいくつの画素が有るかカウントし、それに、1画素の大きさを掛ければ長さに換算することが可能です。例えば下図のような四角いワークを例に、全長が300画素あったとします。    撮影倍率時の画素サイズが10μmだとすると・・・10μm×300画素=3000μm=3mm となるわけです。

300画素10μm

■エッジ検出実際にワーク端面(エッジ)を、画像からどのようにして検出しているのか、次に白黒画像を例に説明します。エッジはある任意の範囲から行われます。この範囲を視覚的に表したものがツールと呼ばれ、ワーク形状や測定内容にあわせ、複数用意されています。

ツール

グレースケール

255

127

0

① ② ③ツール位置

エッジ検出は、左図のようにツール上のグレースケールを読み取り、明暗の境を人間の目に代って検出します。

244 241 220 193 97 76 67 52 53 53243 242 220 195 94 73 66 54 53 55244 246 220 195 94 75 64 56 51 50

ピクセルが持つグレースケールの例

①スキャン開始位置②エッジの検出位置③スキャン終了位置

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38 精密測定機器の豆知識

■高分解能測定

グレースケール

ツール位置

グレースケール

ツール位置

拡大すると…

エッジとして認識する位置が最大で、1画素分ずれる可能性があります。これでは、分解能の高い測定が不可能です。

エッジ検出の分解能を高めるための画像処理として、サブピクセル処理を行います。隣接する画素情報から、補間曲線を求めてエッジを検出させます。これにより、1画素よりも高い分解能で測定を行うことができます。

グレースケール

ツール位置

サブピクセル処理無しの画像信号

画像信号の波形がこれだけアナログ波形に近づきます。

グレースケール

ツール位置

サブピクセル処理した画像信号

■複数画面にわたる測定測定部位の大きさによっては、1画面内に収まらない場合があり、測定できません。そこで、通常CCDセンサとステージを制御し画像を取得した位置情報を内部で管理しています。そのため、下記のように、大きいなサイズの円でも、ステージを移動しながらエッジを検出していくことで、測定が可能です。

■測定点の求め方

このように、1つ1つの測定位置が実データとして管理しながら測定を行うため、1画面に収まらない寸法でも、問題なく測定が可能です。

機械本体系

M

Mz

My

Mx

Vx

VyV

画像系

測定機本体の位置M=(Mx、My、Mz)

検出した位置(画像中心より)V=(Vx、Vy)

実際の座標値は X=(Mx+Vx) Y=(My+Vy) Z=Mz となります。

■オートフォーカスの原理CCDカメラの画像内からだけでは、平面測定は行えますが高さ測定は行えません。そこで、通常は高さ測定のオートフォーカス(AF)機構を備えています。AFレーザを使用するものもありますが、一般的な画像を用いたAFの仕組みについて説明します。

Z軸を上下に移動しながら、画像を解析します。解析はコントラストで、鮮明に見えていれば、コントラストはピークになり、ピントがずれていれば、コントラストが低くなります。従って、コントラストがピークを示した高さがピントの合った位置ということになります。

CCD

ピント位置

Z座標

コントラスト

■ピントによるコントラストの変化エッジがぼやけているためコントラストが低い

エッジが鮮明でコントラストが高い

走査線方向のコントラスト

走査線方向のコントラスト

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精密測定機器の豆知識

39精密測定機器の豆知識

表面粗さ測定機編■JIS B 0601:2001 製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語、定義及び表面性状パラメータ■JIS B 0632:2001 製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-位相補償フィルタの特性■JIS B 0633:2001 製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-表面性状評価の方式及び手順■JIS B 0651:2001 製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-触針式表面粗さ測定機の特性

トランスデューサ

測定曲線触針先端

基準線基準案内スキッド

呼び形状の除去

断面曲線変換器

輪郭曲線フィルタλ

によるパラメータの評価

測定断面曲線

増幅器

送り装置

対象面

測定ループ

外乱

プローブ

駆動部

縦方向信号伝達部入力出力 入力出力

送り装置

コラム

プローブ(ピックアップ)

触針

対象物

固定具

測定台

測定ループ

触針の形状理想的な触針の形状は球状先端をもつ円すいです。先端半径 : rtip=2μm、5μm、10μm円すいのテーパ角度 : 60°、90°理想的な測定機では、特別な指示がない限り、円すいのテーパ角度は 60°

° ° °

° ° °

μ μ μ

μ μ μ

カットオフ値と触針先端半径の関係粗さ曲線用カットオフ値λ c、触針先端半径 rtip、及びカットオフ比λ c/λ sの関係

λ λμ λ λ 最大

μ最大サンプリング間隔

μ

注 1 Ra>0.5μ mまたは Rz>3μ mの表面に対しては、通常、rtip=5μ mを用いても測定結果に大きな差を生じさせない。

注 2 カットオフ値λ sが 2.5μ m及び 8μ mの場合、推奨先端半径を持つ触針の機械的フィルタ効果による減衰特性は、定義された通過帯域の外側にある。したがって触針の先端半径または形状の多少の誤差は測定値から計算されるパラメータの値にはほとんど影響しない。

特別なカットオフ比が必要な場合には、その比を明示しなければならない。

静的測定力触針の平均位置における測定力 : 0.75mN測定力変化の割合 : 0N/m

標準特性値:触針の平均値における静的測定力

注1  触針の平均位置における静的測定力の最大値は、付け替え方式の触針など、特殊な構造のプローブでは、4.0mNです。

触針の先端曲率半径の呼び値μ

触針平均位置における静的測定力

静的測定力の変化の割合の許容差

μ

輪郭曲線のためのフィルタは、位相遅れ(輪郭曲線が波長に依存してひずむ原因)のない位相補償フィルタ。位相補償フィルタの重み関数は、カットオフ値で 50%の振幅伝達率となる正規(ガウス)分布です。

断面曲線測定断面曲線にカットオフ値λ sの低域フィルタを適用して得られる曲線

粗さ曲線

カットオフ値λ の高域フィルタ

粗さ曲線パラメータ

断面曲線パラメータ

定義:実表面とそれに直角な平面との交線

←測定

定義:対象面上を移動する触針先端部の中心の軌跡

定義:測定曲線を量子化したデータ

← 変換

実表面の断面曲線

測定曲線

測定断面曲線

カットオフ値λ の低域フィルタ

断面曲線

←平面の傾斜、円筒部品の円弧などの呼び形状を最小二乗法によって除去

うねり曲線

カットオフ値λ ~λ を通過域とする帯域通過フィルタ

うねり曲線パラメータ

λ λ λ

振幅伝達率

波長

粗さ曲線 うねり曲線

粗さ曲線カットオフ値λ cの高域フィルタによって、断面曲線から長波長成分を遮断して得た輪郭曲線

うねり曲線断面曲線にカットオフ値λ f及びλ cの輪郭曲線フィルタを順次かけることによって得られる輪郭曲線。λ f輪郭曲線フィルタによって長波長成分を遮断し、λ c輪郭曲線フィルタによって短波長成分を遮断

表 1-非周期的な輪郭曲線の粗さパラメータ Ra, Rq, Rsk, Rku, R⊿q並びに負荷曲線及び確率密度関数とそれらに関連するパラメータの基準長さ

表 2-非周期的な輪郭曲線の粗さパラメータ Rz, Rv, Rp, Rc, Rtの基準長さ

表 3-周期的な粗さ曲線の粗さパラメータの測定及び周期的、非周期的な輪郭曲線の Rsm測定のための基準長さ

基準長さの指定がない場合の基準長さ決定手順

図:基準長さの指定がない場合の非周期的な面における基準長さ決定手順

図:基準長さの指定がない場合の周期的な面における基準長さ決定手順

μ基準長さ 評価長さ

≦≦≦≦≦

μ

基準長さ 評価長さ

≦≦≦≦≦

は、 を測定するときに用いる。は、 を測定するとき

だけに用いる。

基準長さ 評価長さ

≦≦≦≦≦

記録波形、視覚検査などによるの推定

推定値と表 から基準長さを推定

基準長さの推定値によって測定した

最終基準長さによるパラメータを測定

長い方または短い方の基準長さに変更

短い方の基準長さに変更

測定値と表 、表 、表 のパラメータの範囲が満足されているか?

はい

はい

いいえ

いいえ

短い方の基準長さが試されているか?

測定断面曲線からRSmを推定

推定値と表3から基準長さを推定

基準長さの推定値によってRSmを測定

最終基準長さによるパラメータを測定

表3の条件を満たすように基準長さを変更

測定値は表3の条件を満足しているか?

はい

いいえ

JIS B 0633 : 2001 (ISO 4288 : 1996)

JIS B 0632 : 2001 (ISO 11562 : 1996)

JIS B 0601 : 2001 (ISO 4287 : 1997)

■蝕針式表面粗さ測定機の特性

■位相補償フィルタの特性

■データ処理の流れ

■輪郭曲線の種類

■粗さパラメータの基準長さJIS B 0651 : 2001 (ISO 3274 : 1996)

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40 精密測定機器の豆知識

高さ方向のパラメータ(山及び谷)断面曲線の最大山高さ Pp粗さ曲線の最大山高さ Rpうねり曲線の最大山高さ Wp 基準長さにおける輪郭曲線の山高さ Zpの最大値

高さ方向のパラメータ(高さ方向の平均)断面曲線の算術平均高さ Pa粗さ曲線の算術平均高さ Raうねり曲線の算術平均高さ Wa基準長さにおける Z(x)の絶対値の平均

断面曲線の二乗平均平方根高さ Pq粗さ曲線の二乗平均平方根高さ Rqうねり曲線の二乗平均平方根高さ Wq基準長さにおける Z(x)の二乗平均平方根

断面曲線のスキューネス Psk粗さ曲線のスキューネス Rskうねり曲線のスキューネス WskPq, Rq, Wqの三乗によって無次元化した基準長さにおける Z(x)の三乗平均

上記の式は Rskの定義である。Psk及び Wskも同様Psk, RskおよびWskは、偏り度(高さ方向の確率密度関数の非対称性の尺度)

断面曲線のクルトシス Pku粗さ曲線のクルトシス Rkuうねり曲線のクルトシス WkuPq, Rq, Wqの四乗によって無次元化した基準長さにおける Z(x)の四乗平均

上記は Rkuの定義である。Pku及び Wkuも同様Pku, RkuおよびWkuは、縦座標値の確率密度関数の鋭さの分量

負荷曲線と確率密度関数とそれらに関連するパラメータ負荷曲線(アボット負荷曲線)切断レベル cの関数として表された輪郭曲線の負荷長さ率の曲線

断面曲線の負荷長さ率 Pmr(c)粗さ曲線の負荷長さ率 Rmr(c)うねり曲線の負荷長さ率 Wmr(c)評価長さに対するレベル cにおける輪郭曲線要素の負荷長さMl(c)の比率

断面曲線の切断レベル差 Pδc粗さ曲線の切断レベル差 Rδcうねり曲線の切断レベル差 Wδc与えられた負荷長さ率の2つの切断レベルの間の垂直の距離

Rδc = c(Rmr1) – c(Rmr2); Rmr1 < Rmr2

断面曲線の相対負荷長さ率 Pmr粗さ曲線の相対負荷長さ率 Rmrうねり曲線の相対負荷長さ率 Wmr基準とする切断レベル c0と輪郭曲線の切断レベル Rδcによって決まる負荷長さ率

Pmr, Rmr, Wmr = Pmr (c1), Rmr (c1), Wmr (c1)ここで

c1 = c0 – Rδc (Pδc, Wδc) c0 = c(Pmr0, Rmr0, Wmr0)

確率密度関数(振幅分布曲線)評価長さにわたって得られる高さ Z(x )の確率密度関数

評価長さ 0 20 40 60 100Rmr(c),%

平均線c

Zp3

Zp2 Zp4

Zp5 Zp

1

基準長さ

Zv3

Zv1 Zv

2 Zv5

Zv4

記号 用いた輪郭曲線測定したままの輪郭曲線による位相補償高域フィルタ適用の輪郭曲線による

1

0ln(x)

ln

Z dxRa =75

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100Rmr0 Rmr

c1

c0

Rδc

平均線

評価長さ 確率密度

Rs k=Rq lr

Z x dxlr1 1

33

0

( )

Rku=Rq lr

Z x dxlr1 1

44

0

( )

断面曲線の最大谷深さ Pv粗さ曲線の最大谷深さ Rvうねり曲線の最大谷深さ Wv基準長さにおける輪郭曲線の谷深さ Zvの最大値

断面曲線要素の平均高さ Pc粗さ曲線要素の平均高さ Rcうねり曲線要素の平均高さ Wc基準長さにおける輪郭曲線要素の高さ Ztの平均値

断面曲線の最大断面高さ Pt粗さ曲線の最大断面高さ Rtうねり曲線の最大断面高さ Wt評価長さにおける輪郭曲線の山高さ Z pの最大値と谷深さ Zvの最大値との和

断面曲線の最大高さ Pz粗さ曲線の最大高さ Rzうねり曲線の最大高さ Wz基準長さにおける輪郭曲線の最大山高さ Zpと最大谷深さ Zvとの和

旧 JIS規格や ISO4287:1984では、記号 Rzは 「十点平均粗さ 」を指示するために使われていた。新旧

規格による測定値の差が、無視できるほど小さいとは限らないので、注意しなければならない。(図面の指示は新旧どちらの規格で指示されているのか確認要)

Rp

基準長さ

基準長さ

Rv

Rp

基準長さ

Rz

Rv

基準長さ

Zt1 Zt

2

Zt3

Zt4

Zt5 Zt6

評価長さ基準長さ

Rt

Rz Rz Rz

基準長さ

Xs2Xs1 Xs3 Xs4 Xs5 Xs6

dZ( x)dX

dZ( x)dX

dZ( x)dX

dZ( x)dX

dZ( x)dX

複合パラメータ断面曲線の二乗平均平方根傾斜 P⊿q粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜 R⊿qうねり曲線の二乗平均平方根傾斜 W⊿q基準長さにおける局部傾斜 dz/dxの二乗平均平方根

横方向のパラメータ断面曲線要素の平均長さ PSm粗さ曲線要素の平均長さ RSmうねり曲線要素の平均長さ WSm基準長さにおける輪郭曲線要素の長さ Xsの平均

JISだけのパラメータ十点平均粗さ RzJISカットオフ値λc及びλsの位相補償帯域通過フィルタを適用して得た基準長さの粗さ曲線において、最高の山頂から高い順に 5番目までの山高さの平均と最深の谷底から深い順に 5番目までの谷深さの平均との和

中心線平均粗さ Ra75測定曲線に減衰率 12db/octでカットオフ値λ cのアナログ高域フィルタを適用して得られる曲線で、平均線からの偏差で表した粗さ曲線(75%)を用いて得られる算術平均高さ

JIS B 0601 : 2001 (ISO 4287 : 1997)■パラメーターの定義

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精密測定機器の豆知識

41精密測定機器の豆知識

輪郭測定機編■追従角度

スタイラス送り方向に対して測定物の形状にスタイラスが上り、下りできる限界角度を追従角度といいます。スタイラス先端角度が12°の片角スタイラス(図)の場合は、上り77°、下り87°であるが円錐スタイラス(30°円錐)だと、さらに限界傾斜が緩やかになります。見かけ上77°であっても上り斜面の表面粗さの影響によって、77°以上の斜面も部分的に存在するし、また、測定力にも影響します。

■スタイラス半径補正スタイラスの先端半径(0.025mm)により、記録図形は、測定物の表面上を転がるボールの中心の軌跡となります。このスタイラスの先端半径をデータ処理上補正することにより、正確な測定値と、形状記録を得ることができます。

■円弧歪スタイラスが円弧運動すると、記録図形のX軸方向に歪による誤差が生じます。円弧歪を補正する手段としては、①機械的に補正する方法②電気的に補正する方法

③ソフトウエア演算によって補正する方法があります。上下方向に変位量の大きい測定物を高精度に測定する場合には、円弧歪補正が必要です。

■精度X軸・Z軸の検出部はスケールを内蔵していますので、百分率による倍率精度表示ではなく各軸の指示精度で表示されています。

下り

上り 77°以下 87°以下

記録図形

測定物の輪郭

:スタイラス半径

スタイラス

スタイラススタイラス測定アーム

δ

支点

δ:円弧歪

■Z軸検出方式X軸駆動検出についてはデジタルスケールによる検出が一般的ですが、Z軸検出方式としては、アナログ方式(差動トランスなど)とデジタルスケール方式があります。アナログ方式は、測定倍率や測定レンジによってZ軸分解能が変化しますが、デジタルスケール方式は、スケールの分解能に従います。一般的には、デジタルスケール方式の方が高精度です。

■安全装置輪郭形状の急斜面、バリ等によって、スタイラス先端に過負荷が発生した場合、スタイラス破損防止のため、自動的に動作停止し、警報ブザーで知らせます。一般的には、送り方向(X軸方向)の負荷と上下方向(Z軸方向)の負荷に分けて装備しています。

■円弧作動・直線作動スタイラスの上下運動によって、スタイラス先端が描く軌跡で、円弧と直線があります。直線の場合は、機械的構造が複雑となり、円弧の場合はスタイラスの上下変位量が大きいと、円弧歪(δ)によって、記録図形に歪を生じます。(左下図参照)

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42 精密測定機器の豆知識

測定動作が完了した後、輪郭形状を解析する手段として、以下の2通りがあります。①記録計測定された輪郭形状は、測定時の測定倍率に従って正確に記録計上に記録されます。記録された輪郭形状に対して、スケールを当て読取り、測定倍率で割って実寸法を得る方法と、あらかじめCAD等で作ったテンプレート{(実寸法±公差)×測定倍率}を記録図形に当てて比較測定する場合があります。どちらの方法も、読み取り時やテンプレート作成時にスタイラス半径補正を、また、読み取り誤差や、人による誤差は避けられないことを考慮しなければなりません。

②データ処理部と解析プログラム測定された輪郭形状をリアルタイムにデータ処理部へ入力し、専用の解析プログラムでマウスやキーボードを使って解析します。角度、半径、段差、ピッチ等は数値でダイレクトに表示され、また座標系を組合わせた解析も簡単に行えます。記録図形はスタイラス半径補正をした図形がプロッタやレーザプリンタに出力されます。

■輪郭形状解析方法

■主な測定例

■設計値照合図形に指示された寸法の解析より、むしろ“形”として設計データと比較し、その偏差を表示・記録します。また、マスターとなる測定物を設計データに変換して測定データとの比較を行います。特に、その部分の形が商品機能を左右する場合や、組合わせ部品との関係で形が影響する場合には多く利用されています。

■ベストフィット測定された輪郭形状データに基準がある場合は、基準によって設計値照合を行いますが、基準がない時や、形だけを照合したい場合は、設計データと測定データのベストフィットを行います。

ベストフィットは、両データから偏差量を求め、その二乗和が最小になる座標系を求めて、設計データに対して、測定データを重ね合わせます。

測定データ

設計データ

測定データ

設計データ

〈ベストフィット処理後〉〈ベストフィット処理前〉

■データ合成スタイラス追従角度の制限により、従来は複数箇所に分割して測定・評価していた形状において、共通要素(線、点)同士を重ねることで、あたかも1つの図形として合成する機能です。実際の形状のイメージでの表示が可能になり、各種解析も通常通り行なえます。

データ合成

データ2データ1

非球面レンズ形状測定 内歯車歯形測定

ねじ溝形状測定 ゲージ測定雌ねじ形状測定

ベアリング内外輪形状測定

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精密測定機器の豆知識

43精密測定機器の豆知識

真円度・円筒形状測定機による検証例

 同心度

 真円度円形形体の幾何学的に正しい円からの狂いの大きさ

図示例

真円度・円筒形状測定機による検証例

公差域

 真直度直線形体の幾何学的に正しい直線からの狂いの大きさ

 平面度平面形体の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさ

 円筒度円筒形体の幾何学的に正しい円筒からの狂いの大きさ

データム円の中心に対する円形形体の中心の位置の狂いの大きさ(平面形体の場合)

 同軸度データム軸直線と同一直線上にあるべき軸線のデータム軸直線からの狂いの大きさ

 直角度データム直線または、データム平面に対して直角な幾何学的直線または、幾何学的平面から直角であるべき直線形体または、平面形体の狂いの大きさ  

 円周振れデータム軸線を軸とする回転面をもつべき対象物または、データム軸線に対して垂直な円形平面であるべき対象物をデータム軸直線の周りに回転したとき、その表面が指定した位置または、任意の位置で指定した方向に変位する大きさ

■測定前の調整について

偏心による測定誤差を避けるために、対象物の測定する箇所の中心を測定機の回転軸に十分に一致するように心出し調整を行う必要があります。

 全振れデータム軸直線を軸とする円筒面ともつべき対象物または、データム軸直線に対して垂直な円形平面であるべき対象物をデータム軸直線の周りに回転したとき、その表面が指定した方向に変位する大きさ

図示例

真円度・円筒形状測定機による検証例

公差域

図示例

真円度・円筒形状測定機による検証例

公差域

図示例

真円度・円筒形状測定機による検証例

公差域

φ

図示例

真円度・円筒形状測定機による検証例

データム中心

φ

公差域

φ

真円度・円筒形状測定機による検証例

φ

データム軸線公差域

φ

図示例

真円度・円筒形状測定機による検証例

φ

公差域

図示例

真円度・円筒形状測定機による検証例

データム軸線

公差域

指定方向:半径方向データム軸直線と交わりデータム軸線に対して垂直な方向

データム軸線

公差域

指定方向:軸方向データム軸直線に平行な方向

図示例

真円度・円筒形状測定機による検証例

データム軸線

公差域

指定方向:半径方向データム軸直線と交わりデータム軸線に対して垂直な方向

データム軸線

指定方向:軸方向データム軸直線に平行な方向

データム軸線

図示例

φφ

φφφ

φφφ

偏心量(μ )

図:偏心量と真円度誤差 図:傾きと楕円誤差

真円度誤差μ

偏心補正機能がある測定機の場合

心出し調整

回転軸に対する対象物の軸の傾斜は、測定する箇所の横断面が楕円として現れる原因となるため、対象物の軸を回転軸に十分に平行に調整する必要があります。

水平出し調整

φφ

φφφ

φφφ

傾き

傾きによる誤差μ

図示例

真円度・円筒形状測定機による検証例公差域

図示例

真円度・円筒形状測定機による検証例

公差域

図示例

D

D e

θ

データム

真円度測定機編

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44 精密測定機器の豆知識

■ 真円度測定機■ 幾何偏差の定義及び表示■ 製品の幾何特性仕様( )̶ 幾何公差の表示方式̶形状、姿勢、位置及び振れの公差表示方式

測定図形に対して、偏差の二乗和が最小となる円を一つ当てはめ、その円の中心座標位置を測定図形の中心と考え、これに同心で測定図形に内接および外接する二円の半径差を真円度とする方法

測定図形を挟む二円の同心円の半径差が最も小さくなるように二円の中心座標の位置を探し出し、この中心座標を測定図形の中心と考え、このときの二円の半径差を真円度とする方法

で規定されている方法

測定図形に外接する円を決定し、その円の中心を測定図形の中心と考え、それと同じ中心を持ち、測定図形に内接する円を描き、二つの円の半径差を真円度とする方法

測定図形に内接する円を決定し、その円の中心を測定図形の中心と考え、それと同じ中心を持ち、測定図形に外接する円を描き、二つの円の半径差を真円度とする方法

■測定記録図形に含まれる山成分■フィルタのカットオフ値の違いによる真円度の値の差フィルタのカットオフ値が異なると真円度値にも大きく影響するので、使用用途に適したフィルタを設定する必要があります。

■真円度の評価方法半径法によって真円度を評価するには、その中心を明確に定義する必要があり、評価方法として以下の4つがあります。

真円度の値を示すときの記号 真円度の値を示すときの記号

真円度の値を示すときの記号 真円度の値を示すときの記号

測定記録図形

1山/回転の成分測定機の回転中心に対する測定対象物の偏心量の大きさに起因心出し調整次第で同じ測定対象物においても 山回転成分の大きさは変化心出し調整次第で同じ測定対象物においても 次ハーモニックの大きさは変化

2山/回転の成分-楕円成分①測定対象物を測定機にセッティングする際、水平出し調整が十分でない場合②測定対象物が加工段階で加工機の回転軸に正確に取り付けられていなかったりした場合の振れ回りによる③ピストンなどのように測定対象物自体が設計上楕円形状に加工されている場合

3~5山/回転の成分測定対象物の保持に起因①測定する際に三爪チャックを使用して締め付けが強すぎて変形する場合。軟物質や薄肉部品などを測定する際に注意が必要②部品加工時のチャックの影響により、チャックから部品を取り外したときに内部に溜まった応力が解放され変形する場合

5~15山/回転の成分加工方法並びに加工工程などにおける不安定要素に起因

15山/回転以上の成分加工機のビビリ、チップ刃具、潤滑油や部品自体の材質材料に起因

角度

振幅

角度

振幅

角度振幅

振幅

角度

振幅

角度

振幅

角度

振幅

振幅

角度

角度

振幅

角度

LSC最小二乗中心法 MZC最小領域中心法

MCC最小外接円中心法 MIC最大内接円中心法

゜゜

゜゜

゜゜

゜゜

゜゜

゜゜

゜゜

゜゜

゜゜

低域フィルタ

フィルタなし

山回転 山回転 山回転 山回転

帯域フィルタ

山回転 山回転 山回転

Δ

Δ

Δ

Δ

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精密測定機器の豆知識

45精密測定機器の豆知識

微小(ビッカース)

微小表面材料特性

ブリネル

ショア

ポータブル(押込み式)

スポンジ、ゴム、プラスチック

ロックウェル

ビッカース

ロックウェルスーパーフィシャル

反発式ポータブル

ウェハー材 質

硬さの種類

形 状

検査、判定

超硬合金、セラミックス(切削工具)鉄鋼材料(熱処理材、原材料)非鉄金属材料プラスチック砥石鋳物スポンジ、ゴム

材料の強さ、物性熱処理過程浸炭硬化層深さ脱炭層深さ炎、高周波焼入れ硬化層深さ焼入れ性試験溶接部の最高硬さ溶接金属の硬さ高温硬さ(高温特性、熱間加工性)破壊じん性(セラミックス)

※●:適している。 ▲:やや適している。

薄板(安全カミソリ、金属箔)薄膜、メッキ、塗装、表面層(窒化層)小形部品、針状部品(時計、ミシン針)大形の試料(構造物)金属材料の組織(多層合金の相別の硬さ)プラスチック板スポンジ、ゴム板

硬さ試験機編■硬さの種類と硬さ試験機の選定基準

(2)ヌープ硬さヌープ硬さは、対稜角が172°30′と130°の横断面が菱形のダイヤモンド四角錐に試験力Fを加えて試料に押し込んだ後、圧子を取り去ったときのくぼみの長い方の対角線長さd(mm)から計算されるくぼみの投影面積A(mm2)で試験力を割った値です。なおヌープ硬さは微小硬さ試験機のビッカース圧子をヌープ圧子に交換することにより測定できます。

(3)ロックウェルおよびロックウェルスーパーフィシャル硬さロックウェルおよびロックウェルスーパーフィシャル硬さは、ダイヤモンド圧子(先端の円錐角120度、先端の曲率半径0.2mm)または球圧子(鋼球又は超硬合金球)を用いて、まず初試験力を加え、次に試験力を加え、再び初試験力に戻したとき、前後2回の初試験力における圧子の侵入深さの差h(μm)から硬さ算出式で求めます。初試験力が98.07Nのときロックウェル硬さといい、初試験力が29.42Nのときロックウェルスーパーフィシャル硬さという。なお圧子の種類、試験力および硬さ算出式の組合せに固有の記号を設けてスケールといいます。なおJISではスケールまたは硬さについて規定しています。

:::定数

= = ==

■硬さの定義

(1)ビッカース硬さビッカース硬さは、任意の試験力で試験できる最も応用範囲の広い試験方法です。特に9.807N以下の微小硬さの応用分野は非常に多くなっています。ビッカース硬さは、ダイヤモンド正四角錐(対面角θ=136度)に試験力F(N)を加えて試料に押し込んだ後、圧子を取り去ったときのくぼみの対角線長さd(2方向の平均、mm)から計算される圧子と試料との接触面積S(mm2)で試験力F(N)を割った値です。kは、定数(1/g=1/9.80665)

ビッカース硬さの誤差は次の式でえられます。なおΔd1は顕微鏡の誤差、Δd2はくぼみ読み取りの誤差、aは圧子先端の対向面によって生じる稜線の長さ、Δθの単位は度です。

::= = ==

θ

Δ Δ Δ- - - - -Δ × - Δθ≒

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46 精密測定機器の豆知識

ロックウェル硬さ

ロックウェルスーパーフィシャル硬さ

ロックウェル硬さ

試料の最小厚さ

(mm)

試料の最小厚さ

(mm)

試料の最小厚さ

(mm)

■ロックウェル/ロックウェルスーパーフィシャル硬さと試料最小厚さの関係

■ロックウェル硬さの種類 ■ロックウェルスーパーフィシャル硬さ試験機の種類

=>≒

:試料の厚さ:対角線の長さ:くぼみの深さ

〔例〕試料厚さ:試料硬さ:試験力: ( )対角線長さ:

ビッカース硬さ

2000

1000

500300200

100

503020

0.001

0.0020.0030.005

0.010.020.030.05

0.1

0.20.30.5

123

0.001

0.0020.0030.005

0.01

0.020.030.050.1

0.20.30.5

1

2

試料の最小厚さ くぼみの対角線長さ 0.001

0.0020.0030.005

0.01

0.020.030.05

0.1

0.20.30.5

1235

10

203050

9.807×10-3

19.61×10-3

29.42×10-3

49.03×10-3

98.07×10-3

0.19610.29420.4903

0.9807

1.9612.9424.9039.807

19.6129.4249.03

98.07

196.1294.2490.3

硬さ記号 試験力

HV0.0005 4.903×10-3

■ビッカース硬さと試料最小厚さの関係

スケール 圧子 試験力(N) 用途15N 147.1 浸炭、窒化等

の鋼の薄い表面硬化層30N ダイヤモンド 294.245N 441.315T 147.1

軟鋼、黄銅、青銅等の薄板30T 直径1.5875mm球 294.245T 441.315W 147.1

プラスチック、亜鉛、軸受け合金30W 直径3.175mm球 294.245W 441.315X 147.1

プラスチック、亜鉛、軸受け合金30X 直径6.35mm球 294.245X 441.315Y 147.1

プラスチック、亜鉛、軸受け合金30Y 直径12.7mm球 294.245Y 441.3

スケール 圧子 試験力(N) 用途A 588.4 超硬合金、薄鋼板

肌焼鋼鋼(100HRB以上~70HRC以下)

D ダイヤモンド 980.7C 1471F 588.4 軸受けメタル、焼鈍銅

黄銅硬アルミ合金、ベリリウム銅、リン青銅

B 直径1.5875mm球 980.7G 1471H 588.4 軸受けメタル、砥石

軸受けメタル軸受けメタル

E 直径3.175mm球 980.7K 1471L 588.4

プラスチック、鉛M 直径6.35mm球 980.7P 1471R 588.4

プラスチックS 直径12.7mm球 980.7V 1471

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精密測定機器の豆知識

47精密測定機器の豆知識

振動計測機器編

■振動ピックアップの選定ポイント

■振動関連用語の説明振動ピックアップ・振動計測機器について、重要なパラメータを以下に解説します。①振動数(Frequency)  単位:Hz(ヘルツ)  記号:f振動体が1秒間に繰返し運動する回数を言います。また逆数を周期(T)と言います。T=1/f(秒) なお振動数は、周波数と表される場合もあります。

回転体の振動を扱う場合、回転数(rpm:1分間に廻る回数、revolution per minutes)と振動数の関係は、次の通りです。(rpmは、非SI単位。SI単位:min-1。)     例】 1200rpm ÷ 60秒 = 20Hz       1200回転は、20Hzです。

②変位(Displacement) 単位:m、mm、μm  記号:D, d振動体が基準位置(主として静止時の位置)に対して動いた距離を言います。

d=D sinωt

単に振幅という場合はDを指します。しかし、従来からの習慣で2Dを用いて両振幅とする場合が多いです。     片振幅 D 0-P(zero to peak)     両振幅 2D P-P(peak to peak)

③速度(Velocity) 単位:m/s、cm/s、mm/s  記号:V, v振動体が繰返し動く速さで、変位が単位時間に変化する割合を言います。

カタログ表記例)0.001~19.99cm/s o-p

 V = d Dsinωt

dt●速度測定のメリット 設備診断に多く用いられるパラメータで、構造物の疲労破壊と密接に関連しています。

ISO規格では、振動の激しさ(シビアリティ)を規定するパラメータとして取扱われています。

④加速度(Acceleration) 単位:m/s2、cm/s2、mm/s2 記号:A,a速度が単位時間に変化する割合を言います。

カタログ表記例)0.01~199.9cm/s2 o-p

 a = dv =

d2

 Dsinωt dt dt2

●加速度測定のメリット 動的破壊を取扱うパラメータとして有効とされており、特に高速で回転している回転体の破壊や故障に対する取組みとして広く利用されています。

カタログ表記例) 0.001~19.99mm p-p

DANGER

低                 振動数                 高

サーボ型加速度ピックアップ

DC振動数 Hz

1000010001001010.1

非接触型変位ピックアップ

動電型速度ピックアップ

圧電型加速度ピックアップ

振動ピックアップ

高               加速度                低

加速度ピックアップの応用例 _身近なものから宇宙まで_

原子力発電の耐震検査

スポーツ用品の開発・検査(ラケット・ヘルメット)

建築物の制振、免振、検査、診断

地質調査

地震計、地震観測

輸送関係の振動モニタ

公害振動の計測(鉄道、道路、土木工事、工場)

機器の保護、インターロック(ハードディスクのヘッド保護)

超精密加工(半導体の露光ライン)

発電設備の監視、保守(発電所~送電~変電)

船舶(動力) 航空・宇宙(エンジン等の機械振動の計測)

車両の安全、信頼性向上(エアバッグ、トラクションコントロール)

安全・公害(手持ち工具の振動検査)

車両の走行実験(エンジン、走行性能、乗り心地、積載物への影響)

設備診断(プラント配管の漏液、回転機械の異常)

T=1/f(秒)

2DD

t

●v-f-dの関係 ●v-f-Gの関係 ●d-G-ftの関係

■振動図表使用方法の図解 d :変位(mm)片振幅 v :速度(cm/s) G :加速度(980cm/s2) f :振動数(Hz) ft :変位と加速度が与えら  れたときの振動数(Hz)

■振動ピックアップと振動計測機器の機種選定ポイント

サーボ

圧 電

動 電

非接触

ピックアップ ポータブル振動計(グランドノイズメータ) 振動監視装置

V405、407

V311TE、TB、SB、TFV301SS、TA、TB、SB、TC、TDV331TBV238J、V231、V233、V237LV240M、V242TU1-FH、U1-FH-S、U1-FMA、V235B、V241、241M、241T、V241GV(H)、(L1)、(L2)V462B-8、MX

AVT-103/104

AVT-CZ、AVT-3000DZ、AHV-1000AZ

AVT-B2、AHV-1000BU、AHV-11A

   ̶

AVR-145L

AVR-145Z

AVR-145、150

AVR-145X

圧電型加速度ピックアップ・振動計特にベアリングの評価には高周波特性(10Hkz)は必要。

動電型速度ピックアップ・振動計

非接触型変位ピックアップ・振動計

主に動電型速度ピックアップ・振動計

サーボ型加速度ピックアップ・振動計

動電型速度ピックアップ(小形)・振動計

圧電型加速度ピックアップ(超小形)・振動計

サーボ型加速度ピックアップ・振動計

動電型速度ピックアップ・振動計

サーボ型加速度ピックアップ・振動計

圧電型加速度ピックアップ・振動計

動電型速度ピックアップ・振動計

サーボ型加速度ピックアップ・振動計

・・・仕様に関する要求事項?目的に適した

振動ピックアップ・振動計・・・用途?振動ピックアップの・・・・・・使用分野?

産業機械工作機械

高速回転機械内燃機関

発電所タービン発電補機類

輸送機械自動車・船・航空機

大型構造物

建築物

地盤振動

各種振動試験

運動状況のモニタ異常振動監視設備診断

異常振動監視

安全評価乗り心地評価

動剛性評価耐震設計データ

環境測定耐震診断

地震観測公害振動調査機械基礎調査

研究開発動剛性・振動数特性評価

歯車やころがり軸受を使用した回転・往復運動に起因する振動とその高調波の広い振動領域の測定を目的とする場合。被測定物の振動数特性に影響しない振動ピックアップの大きさが必要な場合。

すべり軸受を使用した回転運動に起因するアンバランスやカップリングの異常の測定が目的の場合。

定常状態の振動監視を目的とする場合。回転軸を非接触で測定することを目的とする場合。ケーシングの振動を測定する場合。比較的低振動数を速度・変位で測定する場合。

低速振動の測定を目的とする場合。

高周波、騒音レベルの測定を目的とする場合。

大きさより出力感度を優先し、低振動数領域の測定を目的とする場合。

50Hz以下の低振動数が主な測定範囲であり、振動レベルも数Gal以下まで精密に測定することが必要な場合。(1m/s2=100Gal)

全振動数領域のピックアップが必要な場合、目的に応じて複数のピックアップの選択が必要。機器の運動制御を目的として使用する場合。

※ 振動図表を用いて2つのパラメータから他の不明なパラメータの大きさを求めることができます。

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48 精密測定機器の豆知識

加速度波形

変位波形

地震波の進行方向

P波

S波

P S

地震観測機器編■地震の基礎知識地震は地下の地殻の破壊による断層の発生によって引き起こされた弾性波が、地中を伝播して地表を振動させる現象です。この地殻の破壊による振動は、震源から各方向に向かって地中の岩盤内を地震の進行方向と同方向に進行する粗密波(P波:Primary Wave)と、進行方向と直角に振れながら進行する横波(S波:Secondary Wave)とがあります。これらの波の性質からP波のほうが早く伝わり、S波はP波より遅れて進行しますが、S波の振幅は一般的にP波より大きいため、被害をおこすのはこのS波であるといわれています。図1を例にとると、最初の2~3秒間の小さな振幅部分がP波であり、次の急激に振幅が増加した点からがS波になります。

※商品の仕様欄で、感度方向としてZ(上下)方向を備えている場合には、P波検知に適しています。また、感度方向としてX、Y(水平)方向を備えている場合には、S波検知に適しています。

■用途と機能からの選定 ■気象庁震度階「新旧対比」概略早見表制御用地震計

表示用地震計

計測震度計 強震計

水平/上下(機種によって異なる)

水平全方向

直交3方向

直交3方向

工場設備の緊急遮断貯水タンクの緊急遮断高圧ガス、燃料タンク等の緊急遮断発電所等の電源、送電の遮断OA機器の記憶装置の保護回路起動変圧器の保護回路の起動鉄道等の警報、非常停止高層ビル等の地震、風に対するモニタダム、橋梁、河川堤防の地震防災モニタ自治体の地域防災集合施設での避難・誘導保全・保守マニュアルとの連携小・中域の地震観測ネットワーク

最大加速度表示最大速度表示相当震度表示計測震度表示SI値表示地震波形収録警報出力制御出力感度方向

機能

用途

■地震関連用語の説明

平成7年 兵庫県南部地震の波形P波、S波のモデル

参考加速度

備考: 計測震度は、地震波の振動数および継続時間により異なりますので実際の地震とは若干の違いが生じます。

加速度と計測震度の関係については、直接の対応関係にはなく、あくまでもめやすとしてご利用ください。

ガル(Gal) 加速度の単位cm/s2、ガリレオの名にちなんだ単位震度 ある場所の地震動の強さを表したもの。日本では気象庁震

度階級は0から7まで10階級定めている。従来は体感により決めていたが現在は地震計による計測を導入。マグニチュードは小さくても震源近くでは震度は大きくなる。

SMAC型強震計 日本で強震観測に使われている代表的な加速度地震計。強震測定委員会(Strong Motion Accelerometer Committee)の頭文字から名称が決まった。

マグニチュード 地震そのものの大きさ(規模)を定量的に表す尺度であるが、定義は何種類かある。気象庁から発表される日本付近の浅い地震のマグニチュード(M)は、M=logA+logΔ-0.83ただし、Aは最大地震動振幅[μm]、Δは観測点の震央距離[km]の式で決める。マグニチュードは大きくても震源から遠い地点の震度は小さい。

計測震度 震度階 旧震度階 加速度(t:1sec.) (体感) (Gal)0.54 0

00.6

0.7 0.80.9 1

11

1.5 21.7

22.5

2.3 2 52.7

3

83.2 3 153.5 203.7

4

254.3 504.4 4 604.7

5

804.9 5弱 1005.0 1105.4 1805.4 5強 1905.7

6

2505.9 6弱 3206.0 3406.1 3806.1

7

4006.4 6以上で 5806.4 6強 破壊現象から 600

7事後判定

6.9 1,000

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精密測定機器の豆知識

49精密測定機器の豆知識

三次元測定機の性能評価として、2003年にJISが改訂になりました。この新規格では、従来の検査項目に加え、スキャニング測定や、ロータリーテーブルの規格が追加になっています。また、「不確かさ」の考え方も盛り込まれるようになっています。2003年時点で、表1の通り規格化がされています。

下記は、JISの一部抜粋です。

図2 最大許容プロービング誤差   測定目標点

図4 ロータリーテーブル付   三次元測定機の評価

図3 最大許容スキャニングプロービング誤差測定目標断面と評価の考え方

表1 JIS B 7440(2003)シリーズ

MPEE=A+L/K≦BMPEE=A+L/KMPEE=B

A :製造業者によって提供される定数(μm)K :製造業者によって提供される無次元の定数L :測定された長さ(mm)B :製造業者によって示された規格の上限値(μm)

■三次元測定機の性能評価方法

寸法標準器を用いて、指定された長さの両端を挟み込む形で、図1の7方向各5試験長さ測定を3回繰返し行います。それによって得られた105個の長さ測定の不確かさを含む結果すべてが、製造業者の示した規格値よりも小さい場合、その三次元測定機の性能が検証されたことになります。このとき、最大5個までは規格値を超えても構いませんが(同じ位置における3回の測定内での2つのNGは不可)、その場合には、その箇所をさらに10回繰返して測定を行い、10回全ての不確かさを含む結果が規格内であれば合格となります。最大許容指示誤差で考慮しなければならない不確かさは、「寸法標準器の校正の不確かさ」と「寸法標準器のアライメント方法による不確かさ」の2つです。(この2つを合成した拡張不確かさを全試験結果に加えた値が、規格値以下でなければなりません。)この規格は、マイクロメートル(μm)を単位として、以下3つのうちのどれかで表します。

■最大許容指示誤差 MPEE【JIS B 7440-2(2003)】

検査用標準球上の目標点(図2:25点)を測定し、その全ての測定点から、最小二乗球の中心を計算します。さらにその25の測定点に対して、最小二乗球の中心からの距離Rをそれぞれ計算し、Rmax - Rmin を求め、その値に「スタイラスチップの形状の不確かさ」と「検査用標準球の形状の不確かさ」を合成した拡張不確かさの値を加えた値が、規格値以下であれば、合格となります。

■最大許容プロービング誤差 MPEP【JIS B 7440-2(2003)】

スキャニングプローブ搭載時の精度規格です。JIS B 7440-2(2003)で初めて規格化されました。検査基準球の指定4断面をスキャニング測定し、4断面全ての測定点を用いて計算した最小二乗球中心に対して、全測定点の存在する範囲(図3-A寸法)と4断面全ての測定点を用いて計算した最小二乗球の中心を基準にした時、校正された基準球半径値と最大測定点との距離もしくは最小測定点との距離で大きい方(図3-B寸法)を計算し、それぞれの値に「スタイラスチップの形状の不確かさ」と「検査用標準球の形状の不確かさ」を合成した拡張不確かさの値を加えた値が、両方とも規格値以下であれば、合格となります。

■最大許容スキャニングプロービング誤差 MPETHP【JIS B 7440-4(2003)】

ロータリーテーブル上に図4のように2本の基準球を設置し、0°および+方向へ7箇所、-方向に7箇所の合計15位置にロータリーテーブルを回転させ、2つの基準球の中心座標をそれぞれ測定します。 このとき、基準球中心座標の半径方向成分・接線方向成分・回転軸軸方向成分それぞれのバラツキ(範囲)+基準球の形状の不確かさの値が、規格値以下であれば、合格となります。

■最大許容回転軸半径方向誤差MPEFR・最大許容回転軸接線方向誤差MPEFT・ 最大許容回転軸軸方向誤差MPEFA【JIS B 7440-3(2003)】

三次元測定機編

22.5゜

22.5゜a22.5゜

22.5゜

22.5゜

内容 JIS規格No. 時期1 用語 JIS B 7440-1(2003) 2003/42 寸法測定 JIS B 7440-2(2003) 2003/43 ロータリーテーブル付三次元測定機 JIS B 7440-3(2003) 2003/44 スキャニング測定 JIS B 7440-4(2003) 2003/4

図1 最大指示誤差測定方向

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精密測定機器の豆知識No.R284④2010年3月発行

発行:株式会社ミツトヨ   川崎市高津区坂戸1-20-1 〒213-8533

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163 1003 ④E-(CH)BU 118

精密測定機器の豆知識

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M3 Solution Center…商品の実演を通して最新の計測技術をご提案しています。事前に弊社営業課にご連絡ください。 UTSUNOMIYA 宇都宮市下栗町 2200 〒321-0923 電話 (028) 660-6240 ファクス (028) 660-6248 TOKYO 川崎市高津区坂戸 1-20-1 〒213-8533 電話 (044) 813-1611 ファクス (044) 813-1610 SUWA 諏訪市中洲 582-2 〒392-0015 電話 (0266) 53-6414 ファクス (0266) 58-1830 ANJO 安城市住吉町 5-19-5 〒446-0072 電話 (0566) 98-7070 ファクス (0566) 98-6761 OSAKA 大阪市住之江区南港北 1-4-34 〒559-0034 電話 (06) 6613-8801 ファクス (06) 6613-8817 HIROSHIMA 呉市広古新開 6-8-20 〒737-0112 電話 (082) 427-1161 ファクス (082) 427-1163 FUKUOKA 福岡市博多区博多駅南 4-16-37 〒812-0016 電話 (092) 411-2911 ファクス (092) 473-1470 ※M3 Solution CenterのM3 (エムキューブ)はMitutoyo, Measurement, Metrologyの3つのMを表しています。 

計測技術者養成機関…各種のコースが開催されています。 詳細は弊社営業課にご連絡ください。 ミツトヨ計測学院 川崎市高津区坂戸1-20-1 〒213-8533 電話 (044) 822-4124 ファクス (044) 822-4000

お問い合わせは  東北営業課 仙台市若林区卸町東 1-7-30 〒984-0002 電話 (022) 231-6881 ファクス (022) 231-6884 仙台オフィス 電話 (022) 231-6881 秋田オフィス 電話 (018) 887-3830 郡山オフィス 電話 (024) 931-4331 北関東営業課 宇都宮市平松本町 796-1 〒321-0932 電話 (028) 660-6240 ファクス (028) 660-6248 宇都宮オフィス 電話 (028) 660-6240 つくばオフィス 電話 (029) 839-9139 伊勢崎オフィス 電話 (0270) 21-5471 新潟オフィス 電話 (025) 281-4360 さいたまオフィス 電話 (048) 667-1431 南関東営業課 川崎市高津区坂戸 1-20-1 〒213-8533 電話 (044) 813-1611 ファクス (044) 813-1610 川崎オフィス 電話 (044) 813-1611 東京オフィス 電話 (03) 3452-0481 厚木オフィス 電話 (046) 226-1020 富士オフィス 電話 (0545) 65-7008 甲信営業課 諏訪市中洲 582-2 〒392-0015 電話 (0266) 53-6414 ファクス (0266) 58-1830 諏訪オフィス 電話 (0266) 53-6414 上田オフィス 電話 (0268) 26-4531  東海営業課 安城市住吉町 5-19-5 〒446-0072 電話 (0566) 98-7070 ファクス (0566) 98-6761 安城オフィス 電話 (0566) 98-7070 名古屋オフィス 電話 (052) 741-0382 小牧オフィス 電話 (0568) 74-7261 四日市オフィス 電話 (059) 350-0361 浜松オフィス 電話 (053) 464-1451 関西営業課 大阪市住之江区南港北 1-4-34 〒559-0034 電話 (06) 6613-8801 ファクス (06) 6613-8817 大阪オフィス 電話 (06) 6613-8801 金沢オフィス 電話 (076) 239-1807 栗東オフィス 電話 (077) 552-9408 神戸オフィス 電話 (078) 924-4560 中四国営業課 東広島市八本松東 2-15-20 〒739-0142 電話 (082) 427-1161 ファクス (082) 427-1163 東広島オフィス 電話 (082) 427-1161 岡山オフィス 電話 (086) 242-5625 西部営業課 福岡市博多区博多駅南 4-16-37 〒812-0016 電話 (092) 411-2911 ファクス (092) 473-1470 福岡オフィス 電話 (092) 411-2911 霧島オフィス 電話 (0995) 48-5842