---iso iso 取得により取引先との信頼関係をより強固に、また ...---iso...

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ISO9002 取得への取り組み <なぜ取り組んだのか?> ① 自社の製造工程の見直し。 --- ロスの軽減を目指してきたが、社内だけの取り組みに行き詰まりを感じた。 管理体制の整備の必要性を痛感した。 ② 社員教育の一つとして。 ---ISO 取得という一つの大きな目標を掲げることにより、社員の士気向上、気持ちの引き締め を狙った。 ③ 取引先との良好な関係を存続させるため。 ---ISO 取得が遅れると時代の流れ(お客様のニーズ)に取り残されるのではないか?という懸 念があった。また、ISO 取得により取引先との信頼関係をより強固に、また新しくお取引をさ せて頂く場合、品質における信頼性をアピールする証明になると考えた。 <取得に於いてメリットはあったか?> 取得までにそれなりの費用がかかるというデメリットはあるが、それ以上に取り組むことで生まれ るメリットが多々あった。 ① 留まり UP へのつながり。--- 数値目標を掲げ、その結果を提示することにより、社員の 歩留まりに対する意識が高まり、結果的に改善につながった。 ② 取引先企業からの評価 UP へのつながり。 --- 自社製品がいくら良品質であるとアピールしても、それを証明す るためには、実際に使って評価をして頂かないといけなかった が、ISO 取得という看板をつけることにより、品質管理面での第 一関門は突破できているのではないかと感じている。また、購 買先にも好印象を得ていると感じている。 1 / 14

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Page 1: ---ISO ISO 取得により取引先との信頼関係をより強固に、また ...---ISO 取得という一つの大きな目標を掲げることにより、社員の士気向上、気持ちの引き締め

ISO9002取得への取り組み <なぜ取り組んだのか?> ① 自社の製造工程の見直し。

---ロスの軽減を目指してきたが、社内だけの取り組みに行き詰まりを感じた。 管理体制の整備の必要性を痛感した。

② 社員教育の一つとして。 ---ISO 取得という一つの大きな目標を掲げることにより、社員の士気向上、気持ちの引き締めを狙った。

③ 取引先との良好な関係を存続させるため。 ---ISO 取得が遅れると時代の流れ(お客様のニーズ)に取り残されるのではないか?という懸念があった。また、ISO 取得により取引先との信頼関係をより強固に、また新しくお取引をさせて頂く場合、品質における信頼性をアピールする証明になると考えた。

<取得に於いてメリットはあったか?> 取得までにそれなりの費用がかかるというデメリットはあるが、それ以上に取り組むことで生まれ

るメリットが多々あった。 ① 留まり UP へのつながり。---数値目標を掲げ、その結果を提示することにより、社員の

歩留まりに対する意識が高まり、結果的に改善につながった。 ② 取引先企業からの評価UPへのつながり。 ---自社製品がいくら良品質であるとアピールしても、それを証明す

るためには、実際に使って評価をして頂かないといけなかった

が、ISO取得という看板をつけることにより、品質管理面での第一関門は突破できているのではないかと感じている。また、購

買先にも好印象を得ていると感じている。

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<当社の取り組みプロセス> 専任担当者を選び、ISO審査員養成集中コースに通わせ、ある程度の知識を持った後、コンサルタントと共に現行自社システムをベースにISO要求事項にあわせた品質マニュアル・関連規定を作成

していきました。取得後、ISOはとても良いものだと実感し、取得を考えられている方々のお役に立

てればと思い、何をしたのか?を公開していこうと考えました。 ※これはあくまで当社のプロセス公開が目的です。コンサル目的ではありませんので参考程度に

ご覧下さい。 規格番号 日パック工業の場合

4.1経営者の責任 4.1.1 品質方針 4.1.2組織 4.1.2.1 責任及び権限 4.1.2.2 経営資源 4.1.2.3 管理責任者 4.1.3 マネジメントレビュー

品質に対する方針を明確にし、文書化することが求められている。 当社では、品質方針では、自社がどういう性格でありたいかというものがベースになるよ

うにした。 当社では「お客様の信頼を勝ち取る商品造りを全社員で取り組みます」という品質方針を

設定した。またその下にある品質目標においては、具体的な数値を示したものにした。当

社においては「歩留まり1%UP」「顧客クレーム返品月間0件」「新規開拓5件」を掲げてみた。どのようにすべての階層によって理解され、実行され、維持されることを確実にする

か?では「品質方針」「品質目標」をポスターのように壁に貼り、各部門長にどのようにした

らこれらの目標が達成できるかという質問を投げかけた。 目標を明確にし、投げかけることによって(理解)、各部門長よりどのように実行するかと

いう部門別実行計画が出されるようになった(実行)ので、月に一度マネジメントレビューと

いう会議名をつけて計画の進捗状況の報告や、意見交換を行うようにした。このことによ

り、計画・実行・検証・改善(新たに計画の見直し)(P→D→C→A)というサイクルを生み出すことができた(確実な維持)。 業務の責任・権限及び相互関係を明らかにすることが求められている。 組織がどのように構成されているかを組織図に表し責任と権限と相互関係を明確にした。

また「職務分掌表」を作成し、どの工程では誰が責任者か?どのような能力が必要なの

か?関係書類の存在は?という内容を示した。QC 工程表を持ち合わせていなかったので取引先から頂いたサンプルを参考に代用として業務フロー図を作成した。また、品質マ

ニュアルに責任と権限を表す表を入れた。(文書化) 品質システムを構築運用するのに必要な経営資源は何かを明確にする。 当社では、品質マニュアルに左記の内容を準備すると記載した。(あまりくわしく書く必要

がない。採用人数計画や、予算配分などといった年度計画がこれにあたる。) 品質システムの維持、改善を主体業務として遂行する管理責任者の専任を行う。 当社では、とりあえず、専任担当者を決めて、ISO構築・維持に関する権限を与えると品

質マニュアルに記載した。 ちなみに専任担当者は、社長または経営者に臆することなく報告・進言でき、且つ衝突の

少ない間柄の者が良いと思います。また、ISO9000sは運営マニュアル色が濃いのでなるべく TOPに近い方が担当されるのが良いと思われます。折角ISOに取り組もうとして、意見の衝突があって空中分解しては本末転倒である。 構築された品質システムが、所期の機能・効果を発揮しているかを経営者が確認する行

為をマネジメントレビューと呼ぶ。 当社では、4.1.1 で書いたように、当社では 1 ヶ月に一度、部門長が集まってマネジメントレビューを行うことにした。品質方針・品質目標を達成するための部門ごとの計画及び進

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捗状況を部門別実行計画書に表し、社長に報告・提出する。マネジメントレビューの議事

録も記録として保管することにした。この会議において改善されるべき点等が報告された

場合、必ず次回にチェックを行うことにしている。 4.2品質システム 4.2.1一般 4.2.2 品質システムの手順 4.2.3品質計画

品質システムの構築とその文書化が求められている。この項目では「品質システムを確

立し文書化し、維持する」とあるがこの場合、品質システムを整備し、文書化し、それを常

に更新することを意味している。 ISO の規格の認証登録を使用とする場合、当然ながら第3者機関による審査を受けなければならない。そのため、「どの範囲を審査の対象にするか?その範囲内ではどのような

組織があるか?何を目的にしてその範囲の組織は活動しているのか?」を明確にするた

めに品質マニュアルを持つ必要がある。マニュアルとは自社のシステム一連の流れが書

き出され、審査員が審査時にこれに沿って審査ができる必要がある。 当社では、品質マニュアルに「品質方針」を 4.1に、「該当する事業範囲」を 4.0 に、また、4.1.2.1 に存在する組織を明確にするため「責任と権限表」を記載した。また、組織活動により必ず文書・記録は存在するので「品質システムに関する文書体系」を各項目最後に関

係書類をリストアップし、存在する全ての文書の一覧表を別途作成した。(文書管理につい

ては文書管理の項目を参照のこと。)審査の際、マニュアル内に業界内のみの常識用語

があった場合、審査員に解り易い様に、「用語の定義」を記しておくことも求められている。

当社では、「用語の定義」を添付文書として作成し、品質マニュアルに添付した。 構築された品質システム(それを文書化したのが一番大きなまとまりが品質マニュアル)

に基づく業務手順の要点を文書化し、実行することが求められている。 文書化された手続きとは行っていることを記述したもの(業務手順)になる。品質マニュア

ルが第一の一連の組織内活動業務手順文書として位置付けられているが、それに派生す

る形で、「○○規定」「○○手順書」「××指示書」「××仕様書」「△△記録」が存在してい

る。つまり品質マニュアルは大まかな活動手順を示すと共に、関連する「規定書」「手順

書」「作業マニュアル」「指示書」「規格書」「記録」を明示するものと言える。 当社では、品質マニュアル該当箇所(4.2)において「品質マニュアル」「規定書類」「手順書・指示書類」「記録類」の位置付けを表にして記した。そうすることにより、「どの作業段階

でもこの品質マニュアルに準じた派生文書が存在し、その手順どおりに実行して、記録も

手順書に示されたように残していっていますよ」という意思を表示していることになる。 品質要求事項を確保するために、どのような方法と体制で行うかを明確にすることがもと

められている。 一定の安定した製品を製造するためには一貫した流れがあります。それを品質計画と

ISO 要求事項では呼んでいます。品質計画書を作成しなさいと規格が要求しているのでこれをカバーする文書が無い場合、作成する必要があります。 当社では、フロー図に対し作業ごとの手順及び関連文書が記載された品質保証体系図及

び職務分掌表を品質計画と定義した。品質保証体系図とは、製品を製造するにあたり、

「どのような工程、設備、原材料、副原材料、人材、文書、記録が存在していますよ」という

一連の流れ、またマネジメントレビューや是正処置活動及び内部監査活動についてもフロ

ー図と関連文書との関係がわかるように対照表にしたもの。また人材・必要な能力・設備

については、職務分掌表というものを作成した。品質計画書を工程フロー図(QC 工程表のようなもの)に表すことにした。

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4.3契約内容の確認 自社が顧客の要求内容を理解し、それを満たすことができることを確認する。(契約内容の確認)そのために行う購買、設計以外の行為を手順書に示すことが求められている。 当社の場合、受注から納入に関する営業及びデリバリー業務の範囲の手順をそのまま文

書化し、品質マニュアルの中に入れ込んだ。内容については、顧客から注文や引き合い

があった場合、注文書をFAXか何かでもらい、受注確認を返信FAXするか、口頭受注の場合は注文請け書という簡単なメモ程度の記録用書類を作って対処したが、口頭受注後、

内容を顧客に FAX にて連絡するという手段も考えられる。とにかく、受注内容(種類・数・納期・納品場所など)に顧客と自社の間で違いがあってはいけないので証拠となる記録が

必要ということでした。 また、受注には変更や内容の修正が無いということは無いので、変更や修正があったとき

どのような手続きを踏んで関連部門に伝達していますか?その手順を文書化しなさい。 と規格が要求しているので、当社では、現在行っている手順をそのまま文書化して品質マ

ニュアルに書き込むのみとなった。修正の記録をどのようにして残すか?については変

更指示書が記録として自然と残るものであったのであまり悩む必要はありませんでした。 また、契約内容の確認の記録は維持すること、と規格が要求していますが、関係書類は

元々ファイリングされていたので、これもすんなりとクリヤーすることができた。ファイリン

グで気をつけないといけないのが、ヌケがあってはならないということでした。 実際の審査において、幸いヌケはありませんでしたが念入りにチェックをした方が良い。

4.4設計管理 当社は 9002の取り組みだったのでこの項目は除外となります。 4.5文書及び データの管理

品質システムに携わる人々に、必要で適切な情報を提供する。 文書とは、品質マニュアル、規定類、手順書、指示書、規格書類、データとは業務を遂行し

て発生する記録のことです。それらの管理の手順を文書化し、維持しなさい。と規格が要

求しています。管理の手順とは、まず文書、データ両方とも発行から保存、保管、廃棄まで

の一連の流れを決め、旧文書と新文書とが混在しないように管理しなさいということになり

ます。 当社ではこの項目については品質マニュアル内ではなく、文書管理規定というものを別途

作成した。そのなかで、1 次から4次という4段階に存在する文書及びデータを区切ることにした。また、外部文書という項目も別枠で設けた。 1次文書・・・品質マニュアル 2次文書・・・各規定 3次文書・・・各手順書・各指示書・フォーマット 4次文書・・・各記録類 外部文書・・・ISO9000s(1994)・購買品パンフレット又は製品仕様書 (外部文書については94年度版ではISO9001(1994)のみでも良いみたいですが、2000年度版での審査が始まっているので自社内で発行しない文書について外部文書として定

義しておいた方が良いみたいです。) まず、当社では文書及びデータ(1 次から4次文書全て)の作成者・発行者・承認者の印を押す押印欄を書類の中に作り、押印するよう義務付けることから始めました。そして、文書

管理規定の中に、1次文書から4次文書に関して、誰が(どの段階の担当者が)作成し、確認し、承認するかという簡単な表を作り、文書の管理体制を明示することにした。 また、存在する文書・記録の一覧表(文書リスト)を作成し、文書レベル(1 次文書、2次文書、3次文書、4次文書)、文書名、文書番号、版数、保管期間、所管といった情報を記載し

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た。 次に、文書の最新版をどのように管理するかということについては、1 次・2次文書については版数を記入し、配布先を 1 ページ目に記載し、文書リストを更新することにした。これにより、配布先での文書の最新版の管理が版数の照合作業といった簡単な方法でできる

ようになった。3,4次文書についても版数を記載し、現在使われている版数を文書リスト

に登録し、旧文書は廃棄又は朱で旧文書印を押して識別することにした。 また、旧文書の誤用を避けるため、旧文書は決められた者が回収又は廃棄すると品質マ

ニュアル内に記載した。 要するに、現在使用中の文書及びデータが、適切に承認された版(最新版)であることが

確認できることが文書管理の基本となっている。 4.6購買 問題が購買先から持ち込まれるのを避けるため、どのような手順でもって購買という行為

を管理しているか? この項の中で使われる用語で注意したいのが「供給者」と「下請負契約者」です。 「供給者」とは、自社のことを指し、「下請負契約者」とは、外注先も含める購入先のことを

指しています。 この項では欲しい物(原材料など)を入手するための手順を明確にし、文書にして維持す

ることを要求しています。 まず、製品を造るためには、その材料となるものを購入しなければいけません。物を購入

するという行為が発生するにあたり、人間は意識せずとも良いものを購入しようとします。

無意識のうちに、購入物を評価し、選定しているわけです。ISO ではそれを会社という組織の中で、どのような評価基準を持って選別し購入しているのか?一定の手順を文書化

し、その通りに購買という行為を行いなさいと要求しているのです。 当社ではまず、購買品を原材料、副原材料、副資材、機械・設備、配送、検査機器の校

正、と区分し、製品に与える影響度が高いものをA比較的低いものをBと定め、表に表した。その表に基づいて下請負契約者の調査・評価を「業者調査票」「業者評価票」というも

のを用いて行うことにした。これにより、「どこから購入するか?」に関する調査と「なぜそ

こから購入するのか?」という客観的証拠を示すことができた。「業者調査票」では、影響

度A・B両者ともに、業者名、住所、電話番号、取引コード(無くても良い)取引商品、品質、コスト、納期に関する調査、欄を作り、記入した。大企業でISOもとっくに取得済みという購入先は会社案内パンフレット参照と調査票の中に記入するのみにおわる。 つぎに「業者評価票」についてですが、品質、価格、納期についていくつか評価項目を

作り、購買担当者がその評価を○(満足)△(どちらでもない)×(不満足)という3段階評価

基準を作り、記入する事にした。また購入基準をその評価票に従って定めないと評価票を

使用している意味がなくなってしまうので影響度 Aの業者について×が無いこと、影響度B の業者について品質評価項目で×が無いこと、と品質マニュアル内に定め、一定の購入基準をクリヤーした購入先から購入しているという客観的証拠とした。 購買データに関する項目について この項目では、必要な情報を購入先(下請負契約者)に適切な方法で連絡しなさい。その

手順を文書化し、記録を維持管理することを要求しています。つまり、注文書には発注日、

購入したい物品、数量、納期、納品場所などといった内容が記載され、その注文書に起票

者印・確認者印必要に応じて承認者印がいる、ということです。 当社では、起票者印、確認者印を押していなかったので、押印欄を作り、発注後はファイリ

ングするだけのことになった。また、受注確認のため、必ず返信FAXを頂くようにした。

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4.7 顧客支給品の管理

顧客から支給されるものを管理する。 時には顧客が要求する品質を得るために、顧客から指定の材料、設備を支給されること

がある。その管理手順を文書化することが要求されている。 例としては、クリーニング屋がクリーニングというサービス(商品)を売るために、客からク

リーニングする服を預かり、クリーニングというサービスを客に提供する。 手順の中で何が顧客支給品なのか?ということを明確に示し、それをどのように識別する

か?どのように取り扱うか?ということを記述するのがよい。もし、顧客支給品の対商品

が、製品に組み込む部品や、材料、梱包資材であるならば、自社の購買の受け入れ、取り

扱い手順と同様でも良いと思われます。ただ自社購買と手順が違っていなければならな

い点は、顧客より支給された物品に損傷、紛失、その他不適となった場合、顧客に記録が

残る形で通知しなければならないという点です。 当社では、パッケージのデザイン原案や版下がこれにあたった。 この項の手順書も品質マニュアルの中に入れ込むことになった。簡単に示すと以下のよう

になる。 ① 顧客支給品の受け入れ(顧客から受領)(支給品の受け入れ) ② 内容の検証(不適がある場合は顧客に報告)(支給品の受け入れ検査) ③ 顧客によるデザイン最終校了 ④ 顧客支給品を顧客に返却する。(取り扱い・保管方法の明確化) 記録については、当社においては支給品の納品書が存在しておらず、新たに納品書を発

行して頂けるように顧客に要請することも無いと判断したので、担当者が日報に記入する

だけにした。製品に組み込む部品や、材料、梱包資材が顧客支給品ならば、納品書が存

在しているであろうから、記録についてはそれほど神経を使う必要もないであろうと思い

ます。 4.8 製品の識別及び トレーサビリティ

製造したものをさかのぼって追跡できるようにする。 「識別」とは必要に応じて区分すること。自社が製品を識別する際、使用する方法及び保

管する記録を定義する必要がある。部品番号、製品番号、バーコード、LOT 番号、シリアルナンバー、色コード、バージョンの記録。また、4.12 において状態の識別が求められているが、これは社内において、どれが受け入れ品、半製品、検査待ち品、完成品、出荷待

ち品、廃棄品、なのか?という「識別」のことである。 「トレーサビリティ」とは製品が何からできたか、今どこにあるのか、を調べられる要素。

(英語でトレースとは追跡、アビリティは能力、の意)大多数の企業はその規模の大小を問

わず、その事業活動の段階で何がどこへ行ったかを追跡する必要がある。何を使ってトレ

ース活動を行うかは、識別として使用する製品番号などがある。 もし、自社製品に何らかの問題があった場合、トレーサビリティがしっかり記録として維持

されていたならば、回収の業務が非常に容易である。 当社では、この 4.8の項目と後にでてくる 4.12状態の識別方法の項目が要求している手順を品質マニュアル外に「識別管理規定」として文書化した。 顧客支給品、購買品、半製品、テストピース、完成品、完成品保管、出荷品、テスト品、不

適合品、廃棄品、顧客返品製品、保留品それぞれについて 4.8 識別方法・固有の識別方法・トレーサビリティ検索コード・展開記録として、また 4.12 状態の識別方法の5項目に分けて表にして示した。

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<例>(当社の場合) 4.8 4.12

製品の種類・

場所 識別方法 固有の識別

方法 トレーサビリテ

ィ検索コード 展開記

録 状態の識別方

受入品 フィルム原反 (購買品)

納品書 品名 オーダーNO.

Lot No. メーカー製品

カード 納入日

Lot No. 品名 納入日

納品書

不合格:受入不

適合ラベル添

付@一次仮置

き 合格:「品名」記

入@受入合格

品置き場 上記に関する記録(データ)の維持保管管理が必要なのはいうまでも無い。

4.9 工程管理

どのようにそれを行うか? 自社の製造業務において製品の品質に影響を及ぼす工程の管理に関するもの。 解りやすく言うと、まず、どの工程で、どのような人員、設備が必要か明確にし、承認す

る。各工程では、どのような人員・設備によって、どのような作業が行われる必要がある

のか、またそれがどのような文書(指示書・作業手順書)に沿って行われているか、そして

その客観的証拠を示す記録が存在するのかということを手順として持っていなさい。ま

た、人員、設備のメンテナンスを自社の必要性に基づいて行いなさいということです。人

員、設備のメンテナンスとは、人員いついては、従事業務に関する必要とされる教育・訓

練をきちんと行い、その上で業務に従事させなさい、また能力を評価しなさい、ということ

で、設備のメンテナンスとは読んで字のごとく、定期点検を行い、整備不良による急な事

故が発生するのを未然に防ぐような体制を維持しなさい、ということです。つまり、常に同

じ作業環境を確保できる体制を整えなさい、ということです。 また、他にパラメータの監視項目、作業出来栄え基準の設定が要求されている。 当社では、工程を関された状態として稼動することを示すのに、前述した品質計画書(全

体の流れを示すフロー図)を使った。 ① 手順書について…品質に重大な影響を及ぼす影響のある工程の作業方法について

手順書を作成した。(写真付でアルバムのようなものを作成)複数の習熟した作業者

がおり、あまり複雑でない工程に関しては手順書を作らなかった。(一定した手順の存

在を要求事項は示しているが、手順書の存在を要求してはいないため省略した) ② 使用設備と作業環境について…品質マニュアル内に適切な設備及び作業環境を維持

するため、設備の保全を実施する。設備の保全とは。「1ヶ月点検記録」であると記す。 ③ 指示書、手順書への適合について・・・適合を証明するものとして各工程における「日

報」を定める。と記す。 ④ パラメータの管理・・・工程の中で決められた要素に対し、決められた人員が継続的に

監視する。と記す。 ⑤ 工程及び設備の承認・・・誰が設備の選定、承認をするかを記し、承認された設備は

「設備目録」に登録される。と記す。 ⑥ 作業出来栄え基準・・・出来栄え基準(良・不良の判定基準)を各工程にて定める。と記

す。 ⑦設備の保全・・・「設備目録」に、主要な工程設備を明確にし、機械、設備の保全のため

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に適当な人員、資材等を用意し、効果的に保全をする。品質計画書に定められた工程

を継続的に監視し、工程の保持に努める。と記す。 4.10 検査・試験 4.12 検査試験の状態

製品に対する規定要求事項が満たされていることを検証する。 検査・試験は以下の3つのステップに分けられる。 ① 受入検査・試験 ② 工程内の検査・試験 ③ 最終検査・試験 検査とは、要求事項が合格基準に達していることを確認する作業であり、試験とは分析及

び測定作業である。 当社では、品質マニュアル内に検査・試験(①受入検査)について項目別の検査の対象品

に対して検査の項目、検査内容、記録の表を作成した。 対商品 分類 検査項目 内容 記録

フィルム原反 アルミ原反

メーカー製品カ

ードの内容 納品書

伝票照合検査 製品カード検査

納品書 メーカー製品カ

ード 原材料 接着剤類 納品書

現品ラベル 伝票照合検査 納品書

副資材 ダンボール 外観、規格、 数量

伝票照合検査 外観のチェック

検査印付の納

品書 そしてこの表の後に、項目別に「誰が、これについて、どうやって、受け入れた品物につい

ての検査を行うか、また検査を行ったという証拠(記録)をどのように保管しているのか」と

いう補足説明を書き加えた。 注意したいのは、検査印だが、検査済みという印だけのことを指すのではなく、両者の合

意があるならば、誰かのネーム印でもいい。 また、「当社においては原材料の性質上、工程中でしか受け入れ品の良・不良が判別でき

ないため、伝票照合検査を受け入れ品とする為、未検査品を使用することは発生しな

い。」とした。 ②工程内検査(製品検査)について 当社では、品質マニュアル内に「工程内検査は、担当者が工程内において各セクションの

作業が管理された手順書または作業マニュアルに記載されている通り行い、その結果を

各工程記録に記録する」と定めた。実際には、行っている検査を挙げ、どのようにその検

査を行っているかを箇条書きにし、詳細な内容は作業手順書を参照するよう記した。当然

ながら、その記録も維持することが必要である。 ③最終検査について ISO要求事項検査・試験の項目においては、決められた手順どおりに作られ、決められた検査・試験を問題なく通過し、また通過したという関連文書・データが承認されるまで製品

を出荷してはならないと言っているので、このマークが付けてあれば、出荷しても良い製

品だ、と決めておくとやりやすい。 当社では、「最終製品の外装に張ってある製品シールに検印が押印指定あること」とした

が、本審査においては目ざとい審査員にここに要観察をつけられてしまった。製品シール

にはあらかじめ検印が押されたものが準備され、工程内検査、最終検査を通過した良品

を梱包しつつ、ダンボールに製品シールを貼っていたところ、「このシールを貼った時点で

は、日報にデータが記載されていない。規格要求事項との間に多少のズレが見られる」と

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いうことで要観察になってしまったのである。審査後は、「最終製品の外装に張ってある製

品シールに検印が押印指定あること」から「完成品置き場(倉庫)に置いてあること」に変

更になった。

4.11 検査、測定及び試験

装置の管理

検査に使う機器が正確な値を出しているという信頼性を維持するために、装置をどのよう

に管理するのか、どのように求められるレベルの精度を維持するか。(校正の手順) 校正対象機器は、品質に影響する装置のみにすることが必要である。 校正は装置がどれくらい正確か、又測定に必要な精度が維持されているかを判定するた

めに定期的に標準物質を用いて決められた担当者が行うか、外部機関を利用して行う。

一般には国家基準につながっていることを明確にする。(トレース) 当社では、検査機器の校正を全て外部機関(購入先機器メーカー)へ出すものについて

は、適切な期間を品質マニュアル内の手順に記し、その都度校正にだしている。またその

記録(校正証明書)も維持していることも手順書に記した。バネ量りなどといったものは、

標準物質を適当な期間をさだめて量ることにした。もちろんこの記録も維持されている。 4.12 検査・試験の状態

原材料、中間製品(半製品)、製品等の検査・試験の状態を明確にさせる。次工程への引

渡し、又は出荷の許可が出たもの(合格品、特別際用品)だけを使用、又は出荷する仕組

みを文書化し、遵守する。 当社では、先に述べたように、4.8識別管理規定内にこの項目を組み合わせることとし、その旨を品質マニュアルに記した。(4.8表参照)

4.13 不適合品の管理

自社の問題を整理する。(不良品の意図されない使用を防ぐことを確実にする手順を文書

に定めて維持する。) 製品を造れば、必ず良品(規格適合品)と一部の不良品(規格不適合品)が発生する。ISO要求事項では、製品の不適合を識別し、それについてどうするかを決め、可能ならばそれ

を合格品から隔離するように要求している。また、工程途中で何が起き、どんな不適合品

が発生したか、どういう処置と決定をしたかを記録に示す必要がある。 当社においては、情報を記録する方法を、日報と決めた。元々歩留まりというものに関心

が高かったためか、日報には記入欄が存在していたのである。不適合品を管理するため

の書類を新たに作るよりも、日報で管理する方が、簡単で効果的だと思われます。 ① 受入検査においての不適合 受入検査で発生した受入品の不適合は受入検査担当者が受入不適合カードを添付す

ることにより識別する。 ② 工程内及び最終検査で発生した不適合の管理 ・ 第一工程での不適合→日報・製品カードに内容記載のうえ、次工程に連絡する。 ・ 最終製品における不適合→直ちに工程内から除去され、指定場所に置く。 ・ 発生した不適合品の処置→工程責任者は不適合の内容を確かめ処置の判断を

行う ③ 処置の内容 ・ 廃棄処分(特に指示のないもの) ・ 特別採用(顧客と営業との間で判断する)

※不適合のラインは見極め基準による

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4.14 是正処置・予防処置

問題を明確にし、効果的に是正、及び予防の処置を実施し改善する。 是正処置及び予防処置は、両方とも品質改善のステップである。是正処置が必要になる

のは、主として不適合が起こった時、顧客の苦情又は補償の請求を受けた時、又は問題

がした請負契約者(仕入先)に起こった時である。 是正処置 是正処置の実行と不適合品の解決とは異なる。是正処置は、なぜその不適合が起こった

のか特定の問題を見つけ出し、次に必要な処置を講じて問題の再発防止をすること。 予防処置 もし起こると大きな問題になりそうな次のような問題(潜在的な問題)に対して行う必要が

ある。不適合の全ての発生、顧客の苦情、補償の請求、下請負契約者(仕入先)にかかわ

る問題、及び他の潜在要因。 製品のみだけでなく、製造工程にも問題は発生し、又は今後問題が発生する潜在的要因

があるはずなので、それらについても是正処置、予防処置の対象になる。また、起こった

問題全てが対象と定めると、大変なので処置を行うコスト(人的、金銭的)に対する効果が

低い場合は、対象外とするのが良い。 当社では以下のように定め、品質マニュアル内に記載した。 是正処置 ① 問題の発生(客先クレーム・社内クレーム) ② 当該不適合の部門長による原因調査 ③ 再発防止のための原因調査 ④ 不適合の発生状況及び提案内容は「是正処置報告書」に記録 ⑤ 権限委譲者(責任者)による処置の適切性の判断(処置の内容が真の原因に対し、有

効か?処置が問題の大きさに対して適切か?処置をとらなかった場合、遭遇するリス

クに対し、適当であるか?)及び是正処置の決定 ⑥ 是正処置の実施(処置の実施により、システム、関連規定、文書等の変更が必要な場

合、「是正処置報告書」及び各文書の「変更履歴」に記録する。) ⑦ 是正処置の効果の確認 ⑧ 処置の実施後、その効果の確認を行い、「是正処置報告書」に記載する。 ⑨ 処置の実施によって要因の教育が必要になった場合当該部門への要因の教育・訓練

の実施を指示する。 ⑩ 以上をマネジメントレビューに報告 予防処置 是正処置報告書の中から、共通する問題点を調査し、その書誌を予防処置報告書に記載

して、問題点の再発を防止する。 ① 是正処置報告書の収集とレビュー(見直し) ② 共通する問題点の調査・解析(統計的手法{データグラフなど}を使用) ③ 予防処置テーマの選定と効果の確認 ④ 予防処置の開始と効果の確認 ⑤ 文書の改定・訂正

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⑥ 必要な場合、教育・訓練の実施 ⑦ マネジエントレビューに報告

4.15 取り扱い、保管、包

装、保存及び引渡し

製品の面倒を見る 1)取り扱い 原材料の取り扱いの種々の場面で、製品の品質に影響を及ぼす問題が起こりえる。たと

えば、金属を取り扱う場合、銅をベースとする金属(銅、黄銅、青銅など)は、手の跡から腐

食が起こりやすい。腐食が性能に影響する場合には、手袋をはめて手の跡を防ぐことが

必要である。そのような特別な(特別でなくても)扱いの手順を文書化して維持することが

求められている。 当社では、取り扱いについて製品の尊称が無いように、 ① 原材料 ② 半製品 ③ 最終完成品 と場合わけをして簡単に手順を定めた。 ① については「フォークリフトまたは同等の機能をもつ機器にて運搬を行い、損傷の無い

ように取り扱うこと。また、受入合格品は h祖亭の場所に保管すること」とした ② については「フォークリフトまたは同等の機能をもつ機器にて運搬を行い、損傷の無い

ように取り扱うこと。また半製品は次工程に移るまでの間、所定の場所に補完するこ

と。」とした ③ については「作業担当者は、髪の毛等が製品に付着しないよう、防止を必ず着用し、

作業にあたること」とした 2)保管 在庫を適切な場所に保管し、適切な期間を定めて状態を点検する手順を文書化して維持

することが求められている。適切な場所とは、自社が適切と判断する場所であれば常識

の範囲内でどのような場所でも良い。 当社では保管場所の明示を行い、適切な期間を定めて経時変化を検証することにした。

それに使用する記録はチェック項目を挙げた簡単なものを用意した。 3)包装・梱包 製品を保護する 現在行っている梱包・包装については、作業手順書に書いてあるので、それを参照するよ

うに記した。 4)保存 劣化を防ぐ 製品が自社の管理下にある間に損なわれたり、劣化したり、汚染されたりすることがない

ように必要な方法を講じることである。 5)引渡し 顧客まで製品が無事に届くまでの間も自社の管理下であるという観点から、引渡し方法の

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手順を文書化することが要求されている。 考えられる方法は、 ① 4.6購買の項目で使用している、「業者評価票」で出荷を依頼する運送便会社の評価を行うこと

② 出荷する荷札に、ドライバーに注意を促すような札を添付する。 以上のような運送途中の事故防止策をとっても、事故は起こらないとは断言できないの

で、もし落下などと言った事故が発生した場合の処置の手順も書き加えた。

4.16 品質記録の管理

自社が実施したことを証明する。 品質記録には、製品が要求事項にあっていること、品質システムが有効に運用されていこ

とを示すすべての記録を含む。 品質記録の内容の例 ・ 設計記録 ・ 顧客の注文書 ・ 会議議事録(マネジメントレビュー等)、内部監査記録 ・ 不適合報告書・是正処置報告書 ・ 検査・試験の記録 ・ 教育・訓練の記録 ・ 保管記録及び受領書

当社では、4.5 文書管理の項目で、「文書管理規定」を作成し、その規定の中で文書と、記録の管理の手順を文書化している。 どのように管理するか? ①記録ごとに決められた方法でファイリングをし、背表紙・見出しをつけて識別する。 ②ファイリングされた記録類は、決められた場所に保管する。 ③記録類の保管期間を定める。(半永久の方が望ましい) ④文書・記録リストに登録する。 ⑤不必要な記録は確認のうえ廃棄する。

4.17 内部監査

「こうする」と決めた通りのことをしているか、それは役に立っているか?を社内でチェック

を行う ① 内部監査員の任命・・・教育・訓練の一環として管理責任者が教育をし、任命する。 ② 年間計画の作成・・・管理責任者は重要性を加味し、年間スケジュールをたてる。 ③ 監査チームの編成・・・監査チームは被監査部門に属しない人員で編成する。 ④ 監査の実施・・・品質マニュアル該当部、当該規定類、文書類、を読み、実際にその通

り活動が行われているかどうかを記録・担当者の証言などを客観的証拠としてチェッ

クする。 ⑤ 不適合報告書の報告・・・不適合が見つかった場合は、不適合報告書を作成する。 ⑥ 是正処置・・・不適合が見つかった場合、必要な是正処置を講じる。 ⑦ 再発防止・・・被監査部門の担当者は、取られた是正処置の再発防止を行い、その結

果を確認する。

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⑧ フォローアップ監査・・・管理責任者がとられた是正処置・再発防止処置の内容からフォ

ローアップ監査が必要だと判断した場合に、適当な時期に行う。またその記録を「不適

合/是背処置報告書」にて報告し完了を確認する。 ⑨ 内部品質監査の結果の報告はメネジメントレビューにて行う。 ネックとなるのは、内部監査員の教育であるが、自社の品質マニュアルを読み、その通り

行っているかどうかのチェックを行うように指示をすれば良い。 また、その行為が教育になるので、後述する教育・訓練の項目で定めている教育実施記

録として記録を残さなければならない。

4.18 教育・訓練

社員の経験、資格、能力、実力が業務に必要な技術及び資格に照らして十分かどうかを

定期的に見直す必要がある。この見直しに基づき、どのような教育・訓練がどのくらい必

要かを計画する。 まず、訓練の必要性の明確化が行われなければならない。どのようにおこなうか?だが、

当社の場合、現状を把握する材料として「職務分掌表」を使用した。この職務分掌表には

先述してあるように業務ごとに従事する要因のレベルが記入されたもの(スキルマップ)で

ある。そのレベルに従って目標レベルを設定し、教育・訓練の計画をたてる。 教育・訓練の計画は、「個人別教育記録」に記入し、結果も記入できるようにした。 また、検査担当者や、内部監査員、特殊工程といった特定の技能・知識を要する工程業務

を行う担当者に社内認定資格を与えることも必要である。その認定記録も維持する必要が

ある。 4.19 付帯サービス

アフターサービス 付帯サービスの要求事項は、顧客との契約書で取り交わされなければならない。しかし、

そのようなものが無くても、契約内容の確認の段階で合意したものは含まれる。付帯サー

ビスを伴う商品は、供給者(自社)からの保証書付で販売されることも多い。 例として ・ ソフトウェアのサポート ・ 据付後のサービス

付帯サービスに関する手順書は下記のような鼓目を考慮するのが良い ・ 付帯サービスプログラムの一般的な条項 ・ サービス活動の計画 ・ 予備部品の管理 ・ 付帯サービス指示書の作成 ・ 付帯サービスの記録 ・ 付帯サービス要員の教育・訓練

当社では、この項目を該当せずとし、除外した。 4.20 統計的手法

統計的手法の選択と使用 この要求事項は、統計的手法を使用する必要があるかどうかを判断することである。もし

そのような必要がなければ 4.20.2は必要が無いことになる。 しかし、品質方針または、品質目標において歩留まりに関する事柄や、顧客クレーム減に

関する事柄が挙げられている場合は、統計的手法を使うことがのぞましい。

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当社において、品質目標として歩留まり1%向上、顧客返品0件を挙げたのでそれに関す

る統計的手法が採用された。 次に品質マニュアル内での手順の文書化をおこなった。 ① 時計的手法が必要とされる対象業務の設定・・・先に述べたように歩留まりデータ・顧

客返品データが対象となる。 ② 必要な手法の記述・・・歩留まりデータは折れ線グラフ、顧客返品は総件数に対する内

訳が見られる棒グラフとした。 ③ 実施の手順・・・それぞれの手法について誰が何を元にグラフを作成するのかというこ

とを記述する。当社では個々の製品の工程ごとにおける歩留まりを記録表に記録しそ

れをグラフに表している。また、1 ヶ月ごとに平均値を出し、それを一定の期間のパーセンテージ推移をグラフに表した。それにより、目標値がどれくらい達成されているか

ということを視覚的に実感できるのである。 ④ 活用・・・作成したグラフをマネジメントレビューに報告することにより、社内の歩留まり

意識維持及び達成充実感維持をねらう。 統計的手法が=歩留まり向上ではなく、統計的手法を用いて現在の自社の状況を数値を

通して把握し、そうすることによって結果的に歩留まりが向上する。 以上

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