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MSM7582B π/4 シフト QPSK モデム
概要 MSM7582Bは、デジタル・コードレス電話用に開発されたπ/4 シフト QPSK 変復調 LSI です。本 LSI
は移動局(PS)及び基地局(CS)用両者に適用可能に設計されており、日本の第 2 世代コードレス電
話システムに最適な LSI です。
特長 ● 単一 3V 電源動作 (VDD:2.7V~3.6V)
(変調部)
● デジタル・フィルタによるベースバンド帯域制限用ルートナイキストフィルタ(ローオフ率α=0.5)内
蔵 ● バースト立上がりランプビット 2 シンボル
バースト立下がりランプビット 2 シンボル ● 直交信号成分 I, Q アナログ出力及び√I2+Q2 エンベロープ出力用の D/A コンバータ内蔵 ● 差動 I, Q アナログ出力形式 ● I, Q 出力 DC オフセット調整、ゲイン調整付
(復調部)
● 全デジタル化によるπ/4 シフト QPSK 復調方式 ● 入力 IF 信号周波数 1.2MHz/10.7MHz/10.75MHz/10.8MHz 適用可能 ● クロック再生回路 4 系統内蔵 (基地局用にも適用可能)
● 送受独立パワーダウン制御可能 ● アナログ基準電圧源内蔵 ● シリアル・インタフェースを用いたモード設定及びテスト回路内蔵 ● テストモード時、受信部位相検波出力、アイ・パターン、AFC 補正信号等モニタ可能 ● 伝送速度 384kbps ● 低消費電力 変調部動作時 : typ. 15mA (VDD=3.0V 時)
復調部動作時 : typ. 9mA (VDD=3.0V 時) 全体パワーダウン時 : typ. 0.01mA (VDD=3.0V 時)
● パッケージ: 32 ピンプラスチック TSOP (TSOP(1)32-P-0814-0.50-1K) (製品名:MSM7582BT3-K)
作成: 2011 年 10 月 12 日
前回作成: 2007 年 4 月 24 日
FJDL7582B-06
MSM7582B
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端子機能説明
●TXD 384kbps 送信データ入力端子です。
●TXCI 送信クロック入力端子です。コントロール・レジスタ CR0-B6 が"0"の時、この端子には TXD に同期
した 384kHz のクロックを入力して下さい。この時、本 LSI では内部の動作クロックを生成するために
APLL を用いている関係上、このクロックは連続信号である必要があります。 また、CR0-B6 が"1"の時、この端子には 3.84MHz のクロックを入力して下さい。この時、TXCO に
は TXCI を 1/10 分周した 384kHz のクロックが出力されますので、TXD にはこの 384kHz に同期して
送信データを入力して下さい。この場合には APLL を用いませんので 3.84MHz は連続である必要は
ありません。(図 1 参照)
●TXCO 送信クロック出力端子です。CR0-B6 が"0"の時、APLL 出力の 384kHz クロック信号がモニタとして
出力されます。また、CR0-B6 が"1"の時、TXCI の 1/10 分周の 384kHz のクロックが出力されます。
(図 1 参照) なお、CR0-B6="0"、CR5-B7="1"の時には、本端子にはバースト位置出力が現れます。
●TXW 送信データウィンドウ入力端子です。この端子によりバースト・データの送信タイミングを与えます。
この端子が"1"の時、変調データ出力が行われます。(図 1 参照)
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図 1 M7582B 送信側タイミングチャート
●I+、I- 変調直交信号 I 成分差動アナログ出力端子です。出力レベルは 1.6Vdc を中心値に 500mVpp で、
端子出力負荷条件は、R≧10kΩ、C≦20pF です。また、コントロール・レジスタ CR1-B7~B4 によりこ
れらの端子のゲイン調整、及び CR3-B7~B3 により I-端子のオフセット電圧調整が可能です。
●Q+、Q- 変調直交信号 Q 成分差動アナログ出力端子です。出力レベルは 1.6Vdc を中心値に 500mVpp で、
端子出力負荷条件は、R≧10kΩ、C≦20pF です。また、コントロール・レジスタ CR1-B3~B0 によりこ
れらの端子のゲイン調整、及び CR4-B7~B3 により Q-端子のオフセット電圧調整が可能です。
●ENV 変調直交信号のエンベロープ(√I2+Q2 包絡線)出力端子です。出力レベルは 1.6Vdc を中心値に
500mVpp で、端子出力負荷条件は、R≧10kΩ、C≦20pF です。また、コントロール・レジスタ CR2-
B7~B4 によりこれらの端子のゲイン調整が可能です。また、この端子はテスト・モード時、復調側の各
部内部信号をモニタする時にも使用されます。詳細はコントロール・レジスタの説明を参照して下さ
い。
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●SG
内部基準電圧出力端子です。出力電圧値は約 2.0V で、AGND 端子との間にバイパスコンデンサ
を入れて下さい。 SG 電位を外部で使用する場合は、バッファを介して使用して下さい。
●PDN0、PDN1、PDN2 各種パワーダウン制御端子です。基本的に PDN0 は待機モード/通信モードの制御、PDN1 は変
調部の制御、PDN2 は復調部の制御です。詳細は表 1 をご覧下さい。 なお、コントロールレジスタのリセットは 200ns 以上の幅で入力して下さい。 又、電源投入時には、電源電圧が 2.7V 以上になった後、必ず 200ns 以上、モード A に固定し、一
度コントロールレジスタの初期化を実行して下さい。
表 1 パワーダウン制御内容
●VDD +3V 電源端子です。
●AGND アナログ信号用グランド端子です。
●DGND デジタル信号用グランド端子です。AGND と DGND は基板上では 短距離で接続して下さい。
●MCK マスタクロック入力端子です。周波数は 19.2MHz です。
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●IFIN
復調部変調波入力端子です。IF 周波数は 1.2MHz/10.7MHz/10.75MHz/10.8MHz の 4 通りが選択
可能です。その選択は CR0-B4、B3 で行います。
●IFCK 復調部 10.7MHz/10.75MHz IF 周波数用クロック入力端子です。IF 周波数が 10.7MHz の時は
19.0222MHz を、10.75MHz の時は 19.1111MHz を入力して下さい。また、IF 周波数が 1.2MHz 及び
10.8MHz の場合、この端子を"0"か"1"に固定して下さい。(図 2 参照)
●X1、X2 水晶発振子接続端子です。19.0222MHz 又は、19.1111MHz クロックを IFCK に用いる場合、この端
子を利用して下さい。(図 2 参照)
図 2 IFCK、X1、X2 の使用方法
●RXD、RXC 受信データ及び受信クロック出力端子です。パワーオン時これらの端子出力には、後述の SLS1、
SLS2 で選ばれるクロック再生回路が用いられた出力が現れます。(図 3 参照)
図 3 RXD、RXC タイミングチャート
●SLS2、SLS1 受信側動作スロット選択信号です。本 LSI には各チャネルにクロック再生回路が 4 回路、AFC 情報
記憶レジスタが 4 回路入っており、これらの信号により 4 回路中の 1 回路が選択使用されます。(図 3参照)
(SLS2、SLS1) = (0, 0):スロット 1 (0, 1):スロット 2 (1, 0):スロット 3 (1, 1):スロット 4
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●RPR
クロック再生回路高速引き込み制御信号入力端子です。この端子が"1"の時クロック再生回路は高
速引き込みモードからスタートし、ある位相差内に入ると自動的に低速引き込みモードに変わります。
また、"0"の時は常に低速引き込みモードです。
●AFC AFC 動作範囲指定信号入力端子です。図 4 の様に AFC 情報は AFC 及び RPR が"1"になった時
リセットされ、一定時間経過後 AFC 動作が開始されます。AFC 平均回数は RPR が"1"の時小さく、
RPR が"0"の時大きくなります。また、AFC が"0"時には周波数誤差の算出はしませんが、保持してい
る誤差値を用い補正を行います。
●RCW クロック再生回路動作 ON/OFF 制御信号入力端子です。この端子が"0"の時 DPLL は位相修正を
行いません。
図 4 AFC 制御タイミングチャート
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●DEN、EXCK、DIN、DOUT
マイコン・インタフェース用シリアル・コントロール・ポートです。本 LSI 内部には 6 バイトのコントロー
ル・レジスタが用意されており、外部の CPU よりこれらの端子を用いてデータのライト/リードを行いま
す。DEN はイネーブル信号入力端子、EXCK はデータシフト用クロック信号入力端子、DIN はアドレ
ス及びデータ入力端子、DOUT はデータ出力端子です。入出力タイミングを図 5 に示します。
図 5 MCU インタフェース入出力タイミング またレジスタ・マップは以下のとおりです。
表 2 コントロール・レジスタマップ
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タイミングチャート ●送信データ入力タイミング
●送信クロック(TXCO)出力タイミング (CR0-B6=1 の時)
●送信バースト位置(TXCO)出力タイミング (CR0-B6=0 の時、CR5-B7=1 の時)
図 6 送信側(変調側)デジタル入出力タイミング
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動作説明 ●コントロールレジスタ内容一覧
(1) CR0 (基本動作モード設定)
注記:初期値とは、PDN 端子により、リセットをかけたときに設定される値です。
B7 ..................PS/CS 選択 1/ CS 用 (クロック再生 DPLL 部 4 回路 ON) 0/ PS 用 (クロック再生 DPLL 部 2 回路 ON)
B6 ..................送信タイミングクロック選択 0/ TXCI 入力 : 384kHz TXCO 出力 : APLL の 384kHz 出力 送信データ TXD は TXCI の立上がりに同期して入力。APLL オン 1/ TXCI 入力 : 3.84MHz TXCO 出力 : TXCI の 1/10 分周の 384kHz 出力 送信データ TXD は TXCO の立上がりに同期して入力。APLL オフ
B5 ..................変調 OFF/ON 制御 1/変調 OFF(固定位相) 0/変調 ON
B4、B3 ...........受信側入力 IF 周波数選択 (0, 0) (0, 1) : 1.2MHz (1, 0) : 10.8MHz (1, 1) : 10.7MHz/10.75MHz
B2 ..................送信エンベロープ出力 (I2+Q2 or √I2+Q2)選択 1/I2+Q2 出力 0/√I2+Q2 出力
B1、B0 ...........テストモード選択ビット。送信 ENV 端子に各モニタ出力が出力される。 (0, 0) : 送信エンベロープ (I2+Q2 or √I2+Q2) 出力 (0, 1) : 受信側位相検波出力 (1, 0) : 受信側遅延検波出力 (1, 1) : 受信側内部 AFC 情報出力
(2) CR1 (I, Q ゲイン調整)
B7~B4..........I+/I-出力ゲイン設定 3mV ステップ (表 3 参照) B3~B0..........Q+/Q-出力ゲイン設定 3mV ステップ (表 3 参照)
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(3) CR2 (ENV ゲイン調整)
B7~B4..........ENV 出力ゲイン調整 (表 3 参照) B3~B1..........未使用 B0 ..................LSI テスト制御ビット。読み出し専用で常に“1”です。
表 3 I、Q、ENV 出力ゲイン設定表
(4) CR3 (I-出力オフセット電圧調整)
B7~B3..........I-出力オフセット電圧調整 (表 4 参照) B2~B0..........未使用
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(5) CR4 (Q-出力オフセット電圧調整)
B7~B3..........Q-出力オフセット電圧調整 (表 4 参照) B2~B0..........未使用
表 4 Ich、Qch オフセット調整値
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(6) CR5
B7 ..................変復調バーストウィンドウ出力イネーブルビット 1/TXCO 端子に I, Q ベースバンド変調出力のバースト出力位置が出力される。 0/ TXCO 端子に送信タイミングクロック(384kHz)が出力される。
B6~B4..........ICT6~ICT4。LSI テスト制御ビット B3、B2 ...........ローカル反転モード設定ビット
(1, 1) : ローカル反転モード (0, 0) : 通常モード
B1 ..................発振回路部 X1、X2 端子 クロック波形整形モード切り替えビット 1/ クロック波形整形モード (下図 9 参照) 0/ 発振回路モード
B0 ..................クロック波形整形モード時 X1、X2 部パワーオン制御ビット 1/ 常時パワーオン 0/ 待機モード時の全体パワーダウン状態でパワーダウン。それ以外ではパワ
ーオン
(注) CR5-B6~B4 は本 LSI の試験に用いられる為、通常使用時には“0”に設定して下さい。
図 9 CR5-B1 によるクロック波形整形モード時の応用回路例
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パッケージ寸法図 (単位:mm)
表面実装型パッケージ実装上のご注意
SOP、QFP、TSOP、TQFP、LQFP、SOJ、QFJ(PLCC)、SHP、BGA 等は表面実装型パッケージであり、
リフロー実装時の熱や保管時のパッケージの吸湿量等に大変影響を受けやすいパッケージです。 したがって、リフロー実装の実施を検討される際には、その製品名、パッケージ名、ピン数、パッケージ
コード及び希望されている実装条件(リフロー方法、温度、回数)、保管条件などをローム営業窓口まで
必ずお問い合わせください。
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