通 信 網 技 術 -...

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CONTENTS 情報流通時代のサービス・ネットワーク・ビジョン(グローバル・メガメディア・ネットワーク:GMN) 企業間情報流通のためのアプリケーションプラットフォーム(Nex'BASE) 共通線 No.7 信号方式を用いたインターネット接続基盤技術の確立 ATM トラヒックの観測・収集・評価・解析(ATM Probe98) ベストエフォート&ギャランティーサービスの実現(ATM シェアリンクサービス) 高度インテリジェントネットワーク(高度 IN)技術による新公衆電話サービス 交換機容量 40Gbit/s、高機能・低消費電力の ATM コア交換機(MHN-Aπ) 信号網接続による市内交換機機能のオープン化 ファイバチャネル ATM 接続装置(FC-IWU)πシステムのプラットフォームを用いた中高速コンピュータ通信技術 1580nm 帯 EA 変調器集積 DFB レーザモジュール 端面入射屈折型フォトダイオードを用いた低コスト・高速・高感度な受光モジュール ATM-PDS システム用ハイブリッド集積光トランシーバモジュール 光コネクタ用精密部品のオールプラスチック化 光線路試験の自動化ツールを小型・軽量化(mini-TEM) 画期的に低電力化した ISDN 端末専用カードサイズ ONU 20Mbit/s のイーサネット無線 LAN システム 1.9GHz帯加入者系無線アクセスシステム(λシステム)のサービス開始、高機能化 2GHz 帯で動作する無線端末 RF パワーアンプ用の MOSFET 電磁干渉の有無を検証し、無線基地局の最適配置を提供する電磁環境設計システム 次世代通信衛星用大型アンテナの展開試験に成功 衛星回線で大量情報を一括高速転送 チューナ一体型衛星インターネット受信ボードの開発 内蔵ファームウェアの切り替えで多様なサービスに対応できるラインカード なお、掲載されている研究所名は、移行本部発足前の名称となっております。

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Page 1: 通 信 網 技 術 - NTT公式ホームページ¼ˆSS7)を介して、既存網とIP網とを融合するネットワーク (NW)接続基盤の確立が望まれています。研究所では、SS7網

CONTENTS

通 信 網 技 術

情報流通時代のサービス・ネットワーク・ビジョン(グローバル・メガメディア・ネットワーク:GMN)

企業間情報流通のためのアプリケーションプラットフォーム(Nex'BASE)

共通線No.7信号方式を用いたインターネット接続基盤技術の確立

ATMトラヒックの観測・収集・評価・解析(ATM Probe98)

ベストエフォート&ギャランティーサービスの実現(ATMシェアリンクサービス)

高度インテリジェントネットワーク(高度IN)技術による新公衆電話サービス

交換機容量40Gbit/s、高機能・低消費電力のATMコア交換機(MHN-Aπ)

信号網接続による市内交換機機能のオープン化

ファイバチャネル - ATM接続装置(FC-IWU)-

πシステムのプラットフォームを用いた中高速コンピュータ通信技術

1580nm帯EA変調器集積DFBレーザモジュール

端面入射屈折型フォトダイオードを用いた低コスト・高速・高感度な受光モジュール

ATM-PDSシステム用ハイブリッド集積光トランシーバモジュール

光コネクタ用精密部品のオールプラスチック化

光線路試験の自動化ツールを小型・軽量化(mini-TEM)

画期的に低電力化した ISDN端末専用カードサイズONU

20Mbit/sのイーサネット無線LANシステム

1.9GHz帯加入者系無線アクセスシステム(λシステム)のサービス開始、高機能化

2GHz帯で動作する無線端末RFパワーアンプ用のMOSFET

電磁干渉の有無を検証し、無線基地局の最適配置を提供する電磁環境設計システム

次世代通信衛星用大型アンテナの展開試験に成功

衛星回線で大量情報を一括高速転送

チューナ一体型衛星インターネット受信ボードの開発

内蔵ファームウェアの切り替えで多様なサービスに対応できるラインカード

なお、掲載されている研究所名は、移行本部発足前の名称となっております。

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企業間情報流通のためのアプリケーションプラットフォーム(Nex'BASE) WWWを使ったアプリケーションシステムは、インターネッ

トの標準的なサービス提供技術として定着していますが、より魅

力的なサービスを提供するために、外部のシステムやアプリケー

ションとの連携によるシステムの構築が求められています。

Nex'BASE は以下の特長を備えることで、先進技術を使った

WWWシステムの早期開発を実現します。

(1)HTTPの制御、HTMLやXMLテキストの生成、リレーショ

ナルデータベースの操作を効率良く記述できるスクリプト言語に

よるアプリケーション構築環境を提供します。このスクリプト言

語により、CGI方式によるアプリケーションプログラムと比較し

て記述量を最大で4分の1に削減します。また、複合データ型

や関数定義もサポートしており、高度なアプリケーションの記述

も可能です。

(2)Nex'BASEはJavaで記述されており、連動するWWWサー

バやリレーショナルデータベースも幅広く選択できるので、性能

重視、コスト重視といった目的に合わせた組み合わせによりシス

テムを構築できます。

(3)Javaで記述されたアプリケーションやライブラリをスクリプ

トで使用することができます。これにより、CORBA*ライブラ

リを使用した分散処理システムやXMLライブラリを使用した情

報流通システムなど、Javaで提供される豊富な技術を組み合わ

せて、システムを構築することができます。また、Javaの環境

独立性により、アプリケーションの高い可搬性を実現します。

 このような特長を活用して、研究所の技術をNex'BASEに

よって結合して情報流通システムを構築する実験を進めていま

す。また、スクリプトレベルでのXML処理機能やアプリケーショ

ンサーバとの連携機能の検討を進めており、企業間情報流通シス

テム構築のための機能拡充を続けていきます。

(ソフトウェア研究所)* CORBA: Common Object Request Broker Architecture

情報流通時代のサービス・ネットワーク・ビジョン(グローバル・メガメディア・ネットワーク:GMN) 情報流通サービスの実現とその研究開発の企画推進を目的とし

て、グローバル・メガメディア・ネットワーク(GMN)構想の

詳細化を進め、4つの目標:①メガバイトクラスの情報ブロック

を瞬時に転送できる性能の実現、②ネットワークを介する経済活

動が可能な安全・安心なネットワークサービスの実現、③すべて

のお客さまが簡単・快適・便利に使えるネットワーク機能の実

現、④電話サービスと同程度のコストでの実現、を設定しました。

 GMN構想は、4階層化されたサービス体系の提供を目指して

います。バックボーン基本転送サービスは、GMNアクセス&コ

アネットワークの伝達機能を提供するサービスです。マルチプロ

トコル転送サービスは、IP*1パケット転送機能のようにさまざま

なネットワーキングプロトコルをサポートするサービスです。情

報配信プラットフォームサービスは、ネットワークリソースの最

適設定・使用環境の設定/サポートなどの高度な機能を提供する

サービスです。例として、マスデリバリシステム(MDS)によ

る高効率な情報配信があげられます。情報流通アプリケーション

プラットフォームサービスは、社会活動の特定のアプリケーショ

ンの基盤として連結した機能を提供するサービスであり、認証・

決済、電子現金・IC*2カードなどのサービスを提供します。

 GMN構想は、段階的なサービスレベルに応じた連続的な技術

開発とサービス開発を目指しています。最初のステップ(GMN-

1)では、IPネットワークの高性能化・高機能化を行います。つ

ぎのステップ(GMN-2)において、GMNの基本目標を実現す

る本格的なマルチメディアサービスを実現します。さらに、

GMN-3において革新的なサービスを実現します。

 新たな情報流通サービスをいち早く具現化し、広く社内外の

人々に示すために、最新のR&D成果を盛り込んだテストベッド

としてGEMnet*3を構築します。GEMnetは、国際競争力のあ

る新たな情報流通サービスの開拓、要素技術の研究成果の評価検

証、およびビジネスに向けたサービスの可視化を目指しています。

(技術開発支援センタ)*1 IP: Internet Protocol

*2 IC: Integrated Circuit

*3 GEMnet: Global Electrum Cyber Society and Megamedia Network

      for NTT R&D Testbed

●Nex'BASEシステム構成

●GMNのサービス体系

6

アプリケーション・ソフトウェア�

アプリケーション プラットフォーム�

GMNミドルウェア�

GMNアクセス&コアネットワーク�

認証サーバ�

転送サーバ�

ネットワークサービスミドルウェア�

マルチプロトコル転送系�

ATMネットワーク�

セッションマネージャ�

アドレスサーバ�

情報流通アプリケー�ションプラットフォーム�

サービス�

情報配信�プラットフォーム�サービス�

マルチプロトコル転送�サービス�

バックボーン基本転送�サービス�

ONU CS ONU CS

GMNアーキテクチヤ� サービス�

Nex’BASE�スクリプト�

さまざまな�Webクライアント�

スクリプトによる�サービスの組み立て�

サービス�コンポーネント�

HTML�VRML�XML(SMIL etc.)�

RDB, ORDB

業務�データ�

文書�データ�

高品質�画像�

構造�データ�

ERP

XML製品�

情報流通�プラット�フォーム�表示・操作系�

プラットフォーム�(ブラウザ,PDAなど)�

Java�アプリケーション�

JDBC�ライブラリ�

CORBA�ライブラリ�

XML�ライブラリ�

システム専用�ライブラリ�

情報流通�サービスハブ�(Nex’BASE)�

Java�

コラボレーション�カスタマコンタクト�

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共通線No.7信号方式を用いたインターネット接続基盤技術の確立 インターネットなどの IP系通信需要の増加に伴い、アクセス

ラインとして、既存電話網/ISDN*1を用いたダイヤルアップ接

続サービスに対する要求が大きくなってきています。この中で、

既存電話網/ ISDN で使用している共通線No .7 信号方式

(SS7)を介して、既存網と IP 網とを融合するネットワーク

(NW)接続基盤の確立が望まれています。研究所では、SS7網

とIP網とのゲートウェイ機能を実現するリモートアクセスサー

バ(RAS)の開発および接続検証を進め、以下の(1)に示すイン

ターネットダイヤルアップNNI*2接続サービスを実現するイン

ターネット接続基盤を確立しました。また、このNW基盤上で、

以下の(2)に示すインターネットコールウェイティングなどの新

IP系サービスを提供するサービス提供基盤の確立も併せて開発を

進めています。

(1)インターネットダイヤルアップNNI接続サービス

 電話網、ISDNを用いたダイヤルアップによるインターネット

アクセス呼の効率的伝達のため、NTT 網内にRASを配備し、

MHN-S*3などGC*4交換機とSS7を介し、NNI接続をさせるこ

とにより、インターネットサービスプロバイダ(ISP)までを

ショートカットさせるシステム基盤を確立しました。このシステ

ム基盤では、電話網の効率的な設備投資、料金の低減化、アクセ

スポイント(AP)のアウトソース化を実現しています。

(2)新 IP系サービス

 既存網と IP網の融合を図った新 IP系サービスとして、イン

ターネットコールウェイティングサービス、Webクリックツー

ダイヤル(バック)サービス、IN連携フリーダイヤルサービス

などを実現するサービス提供基盤を構築します。

(ネットワークサービスシステム研究所)*1 ISDN: Integrated Services Digital Network

*2 NNI: Network Node Interface

*3 MHN-S: Multimedia Handling Node-STM

*4 GC: Group Unit Center

ATMトラヒックの観測・収集・評価・解析(ATM Probe98) ATM*1網をインターネットバックボーンやイントラ・エクストラネットとして使用するケース

が増加しています。こうしたネットワークではさまざまなプロトコル、アプリケーションのトラ

ヒックが流れます。そのため、上位層を含めてさまざまな測定項目をもつ柔軟で安価なトラヒック

モニタ装置が待望されていました。また、こうしたモニタ装置は、単純なトラヒック量の測定にと

どまらず、トラヒック管理、品質管理・セキュリティに対応できることが望まれます。

 そこで研究所では、トラヒックモニタ装置:ATM Probe98を開発しました。ATM Probe98

は、ATM網を流れるトラヒックの各プロトコル層におけるトラヒック情報を測定、収集、評価を

行うシステムです。

 Probeのトラヒック測定に関するすべての設定入力は、WWWサーバ(Manager)で提供する

Probe設定ページによって行います。ManagerからProbeへの設定は、インターネットを介して

SNMP*2によって行います。ここで、ProbeはVxWorksを、ManagerはWindows NTをそれ

ぞれOSとして採用しています。VxWorksはリアルタイム処理に適したOSです。

 ATM Probe98は、つぎの8項目の測定機能をもちます。括弧内は測定単位を示します。

(1)VP*3別トラヒック(バイト数またはパケット数)

(2)指定VPI*4のみ、またはVPIの区別なしでのプロトコル別トラヒック(バイト数またはパケッ

 ト数)

(3)指定VPIのみ、またはVPIの区別なしでのアプリケーション別トラヒック(バイト数またはパ

 ケット数)

(4)指定したVPIのみ、またはVPIの区別なしでの交流トラヒック(バイト数またはパケット数)

(5)指定したVPIのみ、またはVPIの区別なしでのアプリケーション別交流トラヒック(バイト数)

(6)発ポート別上位100トラヒック

(7)着ポート別上位100トラヒック

(8)セル数/1mm秒データの記録

 また、つぎのシミュレーションが可能です。

 キューバッファ量とキュー出力帯域が設定可能な擬似キューでの損失セル数、系内滞在時間(セ

ルが擬似キュー内で滞在した時間)をシミュレートします。キューバッファ量とキュー出力帯域

は同時に3種類設定できます。

 ATM Probe98は、すでにTAO*5の「研究開発用ギガビットネットワーク」、学術情報ネット

ワークで使用開始されており、実網のトラヒック測定、トラヒックの把握、キューシミュレーショ

ンによる設定帯域の擬似的変更とその影響分析などの利用が期待されています。

 今後は、 ATM Probeの品質管理、セキュリティ機能の追加、拡張を予定しています。

(マルチメディアネットワーク研究所)*1 ATM: Asynchronous Transfer Mode

*2 SNMP: Simple Network Management Protocol

*3 VP: Virtual Path

*4 VPI: Virtual Path Identifier

*5 TAO: Telecommunication Advancement Organization of Japan

●共通線No.7信号方式を用いたインターネット接続基盤

●接続構成

7

GW : Gateway�RAS : Remote Access Server�SG : Signaling Gateway�MG : Media Gateway�GK : Gate Keeper�APL Server : Application Server��

電話�FAX PC コールセンタ�

RAS

MG

SG

GK APL server

GW

Web

企業内LAN��

Internet電話/ISDN網��

NO. 7 信号網�

高速IP転送網�

SCP

ATM交換機�

光力プラなど�

Probe

Probe

Probe

光力プラなど�

ATM交換機�

Manager

ユーザ端末�

[WWWサーバ]�

ATM交換機� ATM交換機�

ATM交換機�

回線集約装置�

ATM交換機�

Internet

Internet

Internet

Internet

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ベストエフォート&ギャランティーサービスの実現(ATMシェアリンクサービス) 1997 年4 月より帯域保証型のATM専用サービスである

ATMメガリンクサービスを提供していますが、これに加えて

1998年12月からベストエフォート&ギャランティー型のサー

ビスであるATMシェアリンクサービスの提供を開始しました。

このサービスは、200kbit/s~9Mbit/sまでの保証速度(ギャ

ランティー)と、1Mbit/s~10Mbit/sまでの最高速度(ベス

トエフォート)を有するバーチャルチャネル(VC*1)をお客さま

に提供するサービスです。ATMシェアリンクサービスは、ご契

約時に通信の方向別の回線速度を非対称にご指定いただくことも

できるなどの特徴も有しています。

 このサービスの実現のために、保証速度と最高速度をVCレベ

ルで制御するGFR*2機能と、パケット単位のセル廃棄機能であ

るEPD*3機能を開発しました。GFR機能は、一定の帯域を共有

させる複数のVCについて、それぞれのVCの保証速度を確保し

つつセルを読み出します。あるVCが空きの場合、ほかのVCの

セルを読み出すことで、空き帯域の状況に応じて最高速度が提供

されます。EPD機能は、バッファあふれによりセルを廃棄する

場合に、IPパケットを構成するセルをすべて廃棄します。これに

よって、一部情報が欠落した IPパケットを伝送することがなく

なるため、IPの効率的な伝送が実現できます。

 今後は、お客さまのさらなるご要望にお応えするため、サービ

スの多様化、高度化を図っていく予定です。

(アクセス網研究所、マルチメディアシステム開発推進センタ)*1 VC: Virtual Channel

*2 GFR: Guaranteed Frame Rate

*3 EPD: Early Packet Discard

高度インテリジェントネットワーク(高度IN)技術による新公衆電話サービス 変造テレホンカードの横行は、社会問題にまでなりました。こ

の変造テレホンカード問題を抜本的に解決するために、研究所は

ICカード技術と高度IN*1技術を使った新公衆電話システムを開

発し、1999年3月に新公衆電話サービスの名称でサービスを

開始しました。

 このサービスでは、高度 INの技術により ICテレホンカード

1枚1枚を認証し、度数をネットワーク側で管理することでカー

ドの偽造やカード度数の改ざん(不正にカード度数を増加させる

など)を阻止する機能を実現しました。

 高度INはサービス管理階層、サービス制御階層、サービス動

作階層から構成され、ネットワークの物理的な構成に対応させる

と、それぞれサービス管理ノード(SMS*2)、サービス制御ノー

ド(MHN-SCP*3)とサービス動作機能をもつ交換機(MHN-S)

に対応させることができます。高度INの特徴は、サービスを実

現するソフトウェアを部品化し、交換機(MHN-S)に準備して

おき、サービス制御機能(シナリオ)を集中配備したサービス制

御ノード(MHN-SCP)から各部品を制御することです。

 ICテレホンカードに対する、より高いセキュリティを確保した

ことで、変造テレホンカードの横行で販売中止をしていた高額

カードの販売(2,000円券、3,000円券)と、テレホンカード

による国際通話を ICテレホンカードに限定して開始しました。

 今後、新公衆電話サービスにおいて2B通信機能の実現、保守

/運用機能の充実を図る予定です。また、高度IN技術を使った

UPT*4、番号ポータビリティ、IPネットワークと公衆網とを連携

させるサービスの検討を行っています。

(ネットワークサービスシステム研究所)*1 IN: Intelligent Network

*2 SMS: Service Management System

*3 MHN-SCP: Multimedia Handling Node-Service Control Point

*4 UPT: Universal Personal Telecommunication

●GFRとEPDの動作

8

●高度IN技術による新公衆電話システム

伝送路IF

伝送路IF

専用線装置�

最高速度�

共用帯域��

保証速度�

バッファあふれ時、パケットを構成する全セルを廃棄�

各VCバッファから順に�セルを読み出し�

共通線信号網�

ICテレホンカード�

IC公衆電話機�

ネットワーク�

ISDN回線� 交換機�(MHN-S)�

情報転送網�

ICテレホンカード�の度数�

サービス管理ノード�(SMS)�

サービス制御ノード�(MHN-SCP)�

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交換機容量40Gbit/s、高機能・低消費電力のATMコア交換機(MHN-Aπ) 研究所では、新ノード(NS8000シリーズ)の最新型ATM

コア交換機(MHN-Aπ*1)の開発を進めてきましたが、通信・放

送機構様の「TAO研究開発用ギガビットネットワーク」の構築

において、長距離国際移行本部の協力により、この交換機を核交

換機として導入することとなりました。この研究開発用ギガビッ

トネットワークは、全国10拠点へのATM交換機の設置とギガ

ビット級の超高速光ファイバ回線を特徴とする列島縦断型ネット

ワークであり(図は主な拠点を示しています)、全国各地の研究

機関、地方自治体、企業などの研究開発用に提供されるもので

す。1999年1月から急ピッチでネットワーク構築が始まり、無

事1999年4月1日にサービスを開始しました。

 このネットワークの核システムとして導入したMHN-Aπは、

最大交換容量40Gbit/s、回線対応バッファ20万セルという大

容量性を実現しているだけでなく、低電力LSIの採用やパッケー

ジ結合などを通じて、前機種のMHN-Aに比べ約3分の1の小

型化・低消費電力化を実現しています。機能的な面では、

1.5Mbit/sから2.4Gbit/sまでの多様な回線対応パッケージ、

多様なベアラサービス機能、豊富なトラヒック制御機能・OAM*2

機能などが特徴としてあげられます。また、これまでのさまざま

なネットワークへの導入で培ってきた高信頼性および高保守性に

より、安定的なサービスを提供することができます。この研究開

発用ギガビットネットワークでの5年間の運用を通じて、利用者

に満足いただけるサービスを提供するとともに、より使いやすい

システムへと進化させていきたいと思います。

(ネットワークサービスシステム研究所)*1 MHN-Aπ: Multimedia Handling Node-ATMπ

*2 OAM: Operation Administration and Maintenance

信号網接続による市内交換機機能のオープン化 NTTネットワークオープン化の一環として提供される市内交

換機機能のオープン化は、MHN-SやD70といったNTT市内交

換機を他事業者のSCP*1から直接INAP*2信号により制御するこ

とによって、事業者独自のサービス提供を可能とします。ところ

が、このような制御形態を実現するためには、他事業者SCPか

らのINAP制御メッセージを常時監視し、不正な制御指示を排除

する網保護機能が必要になります。この保護機能を実現するため

に、①接続事業者情報管理、②INAP制御メッセージ監視、③信

号網使用に伴う精算情報収集、といった機能を有するアプリケー

ションゲートウェイ機能を開発しました。

 このゲートウェイ機能は、MHN-Sでは各ノード内に配備さ

れ、既存交換機(D70-SAP*3)に対しては付加モジュールとし

て配備されますが、それぞれのゲートウェイ機能を実現するソフ

トウェアは同一のプログラムを流用することとし、ソフトウェア

開発費を低減させています。

 この機能により提供可能となる市内交換機機能のオープン化を

実現することにより、以下のような効果が期待されます。

(1)サービス開発コストの抑止

 サービスに依存していないINAPを適用しているので、個々の

サービス提供のためにNTT市内交換機の改造を行う必要があり

ません。

(2)サービス競争の促進

 他事業者が独自にサービス開発できるので、事業者間のサービ

ス競争を促進することができます。

(3)公正競争条件の確保

 当社もこのオープン化された市内交換機機能を利用してサービ

スを提供することにより、他事業者との公正競争条件を確保でき

ます。

 なお、今後はPHS網や移動体通信網との相互接続などに対応

し、多様なサービスに対応できる市内交換機機能をオープン化し

ていく予定です。

(ネットワークサービスシステム研究所)*1 SCP: Service Control Point

*2 INAP: Intelligent Network Application Protocol

*3 SAP:Service Access Point

●TAO研究開発用ギガビットネットワークの構成

●市内交換機機能オープン化の網構成

9

:ATM交換機間通信回路(ギガビット級)�:ATM交換機設置場所�:共同利用型研究開発施設�:通信・放送機構リサーチセンタ�:通信回線中継交換機能設置場所�

札幌�

仙台�

つくば�

幕張�

東京�

長野�

金沢�

名古屋�

大阪�

けいはんな�

岡山�

高松�

高知�

福岡�

北九州�

NTT網�

INAP信号�SCP

共通線信号網�

ゲートウェイ機能�

S-POI共通線�信号網�

付加モジュール�

D70-SAP MHN-S

他事業者網�

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ファイバチャネル -ATM接続装置(FC-IWU)- 映像制作、医療、3次元CAD*1/CAM*2などの分野を中心と

して、コンピュータで処理する情報量が増加し、大容量の情報の

蓄積、高速の読み出し/書き込みが必要となっています。また、

金融業界や公共機関においては、単に情報を蓄積するだけでなく、

管理の容易化、情報保全のためのバックアップが必要とされてい

ます。コンピュータやサーバと記憶装置間相互をギガビットクラ

スの速度で接続する伝送媒体/ネットワークとしてファイバチャ

ネル(FC)が提供されています。ファイバチャネル-ATM接続

装置(FC-IWU*3)は、FCネットワークとATM網を接続する装

置で、FC-IWUによりファイバチャネルを利用した記憶装置への

高速アクセス、高速転送が広域網を介して利用可能となります。

 FC-IWUにおいては、双方向の同時通信において、150Mbit/s

のATM網の全帯域を使用しうるスループットを実現していま

す。また、FC-IWUは、市販のFCスイッチをANSI*4標準のイ

ンタフェースで接続し、FCプロトコルのみを参照しデータの中

継を行うため、同一ATM 回線上で、多様な上位プロトコル

(SCSI*5、TCP/IP*6、映像)の転送が可能です。ファイバチャネ

ルは、映像のディジタル化に伴い、映像制作/編集用ネットワー

クへの適用も有力となっています。このようなFCネットワーク

を、ATM網を介して接続することにより、災害対策としての遠

隔地へのファイルバックアップ、複数事業所間の共同作業による

映像制作などの新たなサービスの展開が可能となります。FC-

IWUは1998年11月より、当社で商品化し販売しています。

 今後は、ATMシェアリンクなど新たなATM網サービスのイ

ンタフェースをサポートし、より安価なサービスを提供していく

予定です。

(マルチメディアネットワーク研究所)*1 CAD: Computer Aided Design

*2 CAM: Computer Aided Manufacturing

*3 FC-IWU: Fibre Channel-ATM Interworking Unit

*4 ANSI: American National Standards Institute

*5 SCSI: Small Computer System Interface

*6 TCP/IP: Transmission Control Protocol/Internet Protocol

πシステムのプラットフォームを用いた中高速コンピュータ通信技術 近年のインターネット需要の爆発的な増加や企業におけるコン

ピュータ化など、コンピュータ通信の需要が高まっています。現

在、個人での利用者は主にメタリックケーブルを適用した

32kbit/s~128kbit/sの低速サービスをコンピュータ通信に利

用していますが、中高速サービス(数百kbit/s~10Mbit/s)が

安価に提供されれば、需要がシフトすることが想定されます。こ

の需要に対応するために、電話・ISDNなどを低コストで提供す

るπシステム上に、ピーク10Mbit/s(最低300kbit/s)程度

のコンピュータ通信を多重して提供する光アクセスシステムの開

発を行いました。

 具体的な技術として、実効的に高速な伝送容量を経済的に提供

するために、シェアドアクセス方式を開発しました。この方式は、

πシステムが広帯域であり、また複数の加入者がひとつの局側装

置を共用するという特徴を最大限に活用し、空いている伝送容量

を使用したい利用者が公平に共用(シェアドアクセス)する方式

です。すなわち、スターカプラを介してOSU*1に接続されている

複数のONU*2のうち、1人の利用者しか使用していない場合は、

最大空き容量(例えば10Mbit/s)を1人の利用者で使用可能で

あり、複数(例えば32人)の利用者が同時に使用している場合

は、均等な容量を各利用者に割り付けることが可能となります。

この技術により、最大10Mbit/s、最低でも300kbit/s程度の

速度を保証した通信を電話・ISDNと同時に提供可能であり、現

在の電話・ISDN 環境に中高速コンピュータ通信サービスをス

ムーズに追加することが可能となります。

(アクセス網研究所)*1 OSU: Optical Subscriber Unit

*2 ONU: Optical Network Unit

●ATM網を介したファイバチャネルネットワーク間接続の構成

●シェアドアクセス技術の概要

10

ATMインタフェース:STM-1/OC-3c(150 Mbit/s)�

FCスイッチ�FCスイッチ�

テープライブラリ� ディスクアレイ� ディスクアレイ�

TCP/IP

ATMメガリンク�

SCSIプロトコル�1 Gbit/s 1 Gbit/s

FC-IWUFC-IWU

電話/ISDN

ONU

ONU

コンピュータ�

スターカプラ�

光ファイバ�

共用帯域�

個別帯域(電話/ISDN)�

共用帯域(コンピュータ通信)�

(10Mbit/s)�

帯域�

3 ONUで使用�ONUあたり2Mbit/s

5 ONUで使用�ONUあたり3.3Mbit/s

1 ONUで使用�10Mbit/s

時間�

optical line terminal

OSU

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1580nm帯EA変調器集積DFBレーザモジュール インターネットの普及に代表される膨大な通信需要に対応する

ためには、異なる波長の光を1本の光ファイバに多重化して伝

送する波長多重(WDM*1)光通信技術は、極めて重要な技術で

す。従来のWDM方式では1550nm帯の波長を用いています

が、光ファイバ増幅器の広帯域化により1580nm帯での通信も

可能となり、WDM方式への期待はますます高まってきていま

す。したがって、このような広い波長帯域を用いた大容量WDM

通信に用いることのできる高性能光源の開発は、極めて重要と

なってきています。

 EA*2変調器集積DFB*3レーザは小型、低駆動電圧、低チャー

プ、高速変調可能な信頼性の高い光通信用光源です。研究所で

は、10Gbit/sで動作する1550nm帯EA変調器集積DFBレー

ザの開発をすでに完了し、今回新たにデバイス構造の再設計によ

り1580nm帯EA変調器集積DFBレーザを実現し、10Gbit/s、

40kmの伝送実験に成功しました。 わずか2.5cm×2cm×

1cmのパッケージのモジュールに、レーザ駆動用の60mA程

度の電流と EA 変調器駆動用の2V の電圧を加えるだけで、

10Gbit/s以上の高速で変調された低チャープな光が得られま

す。副モード抑圧比40dB以上の単一モードで発振する波長ス

ペクトルを図に示します。

 EA変調器集積DFBレーザは基幹伝送系の大容量WDM通信

用の光源としてばかりでなく、イントラネットに代表される近距

離大容量伝送システムへの応用も期待され、それらのシステムに

おいてキーコンポーネントとして重要な役割を果たすことが期待

されます。

(光エレクトロニクス研究所)*1 WDM: Wavelength Division Multiplexing

*2 EA: ElectroAbsorption

*3 DFB: Distributed Feedback Laser

端面入射屈折型フォトダイオードを用いた低コスト・高速・高感度な受光モジュール マルチメディア時代の膨大な通信需要に対応するために、大容

量の光ファイバ通信システムとして、超高速の時分割多重システ

ムやさまざまな波長の光を利用する光波長分割多重システムの研

究開発が活発に行われています。これらのシステムにおいて、光

信号を受信するフォトダイオードは重要なデバイスであり、高速、

高感度かつ低コストな受光モジュールの開発が求められていました。

 研究所では、光軸ずれ許容度の大きな新構造の端面入射屈折型

フォトダイオード(RFPD*)を開発し、これを用いた低コストな

高速、高感度なモジュールを実現しました。 端面に逆メサ構造の

光入射端面を有し、側方からの入射光が入射端面で屈折し、上層

の光吸収層で吸収される構造を有しています。屈折光が光吸収層

に対し斜めに通過するため、実効的な吸収長は大きく増大し、薄

い吸収層でも大きな量子効率が得られるようになります。また、

RFPDは垂直方向の光軸ずれ許容度が素子長によって決まりま

す。このため、素子長の設計により光軸ずれ許容度を容易に大き

くすることができ、低コスト化が図れるシンプルな単レンズ構成

により、高速な受光モジュールを実現できるようになりました。

このモジュールの1.55μm入射光に対する受光感度は1.0A/W

と大きく、3dB帯域として38GHzの超高速応答特性を実現して

います。

 この受光モジュールは、超大容量のフォトニックネットワーク

を構成する上で、重要な役割を果たすことが期待されています。

今後は、さらなる高速化と高出力化を目指して研究開発を進める

予定です。

(光エレクトロニクス研究所)* RFPD: Refracting-Facet Photodiode

●1580nm帯EA変調器集積DFBレーザモジュール

●RFPDの基本構造概念図

11

入射光�

傾斜光入射端面�

光吸収層�

p -電極�n -電極�

SPECTRUM10dB/div0�

��

dBm�����

-40�������

-80

-7.72

#235 09-02�100mA 25 deg.

1.5674 μm 1.5924 1.6174

RES 0.1nm Wp 1.5924 5nm/div

98.02.05 19:56�AUR 1

●単一モードでの発振スペクトル

●モジュール外観写真

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ATM-PDSシステム用ハイブリッド集積光トランシーバモジュール マルチメディア時代における伝送容量の増大、サービスニーズ

の多様化に対応できる次期加入者システムの一つとしてATM-

PDS*1システムの構築が望まれています。1心のファイバを用い

たこのシステムでは、波長1.3μmのバースト信号(上り)と波

長1.55μmの連続信号(下り)を用いて双方向同時伝送を行う

ため、小型で低コストであるとともに、波長多重(WDM)機能

や高速のバースト動作機能を有する高性能な光トランシーバモ

ジュールが必要となります。

 研究所では、低コスト化に有望なプレーナ光波回路(PLC*2)

を用いたハイブリッド集積技術とCMOS*3-IC技術を用いて、国

際標準であるITU-T*4で勧告されたクラスBとCの両方の仕様に

対応したONU用の光トランシーバモジュールを開発しました。

 この光トランシーバモジュールは、小さなPLC プラット

フォーム上にレーザダイオード(LD)と受信用フォトダイオー

ド(R-PD)、送信パワーモニタ用フォトダイオード(M-PD)お

よび波長1.3μmと波長1.55μmの信号を合分波するWDMフィ

ルタをハイブリッド集積し、その周囲にCMOSプロセス技術を

用いて作製したレーザドライバIC、プリアンプICおよびメイン

アンプ ICを配置した構成となっています。このモジュールでは、

送信受信の同時動作が必要なために送信受信部間の光と電気のク

ロストーク抑制が重要な技術課題ですが、3次元電磁界解析技術

を用いた設計と光素子の配置や光回路構成の工夫により、光のク

ロストークを-40dB以下に、電気のクロストークを-100dB以

下に抑制することに成功しました。

 このモジュールおよびその設計・作製技術は、ATM-PDSシ

ステムをはじめとする次世代の光加入者システムの構築に重要な

役割を果たすことが期待されています。

(光エレクトロニクス研究所)*1 ATM-PDS: Asynchronous Transfer Mode-Passive Double Star

*2 PLC: Planar Lightwave Circuit

*3 CMOS: Complementary Metal Oxide Semiconductor

*4 ITU-T: International Telecommunication Union-Telecommunica-

tion Standardization Sector

光コネクタ用精密部品のオールプラスチック化 光ネットワークのアクセス系への普及に伴い、光コネクタには

一層の低コスト化が要請されています。研究所では、光コネクタ

のキーパーツであるフェルールとスリーブをプラスチックで成形

する技術を開発しました。フェルールは光ファイバを保持するた

めの部品、スリーブは光ファイバの端面同士を正確に位置決めす

るための部品です。1μm以下の寸法精度が要求されるため、従

来はセラミックス素材の高精度加工により作製されてきました。

 研究所ではコストが低く抑えられ、大量生産にも向いているプ

ラスチック材料に着目し、セラミックスと同程度の精度を実現す

る精密射出成形技術の研究を進めてきました。この結果、従来

10μmが限界とされてきたプラスチック材料の成形精度を1μm

以下にまで高めることを可能とし、フェルールとスリーブのオー

ルプラスチック化を実現しました。高精度成形を実現する上での

重要なポイントは、樹脂と金型です。フェルールでは樹脂の流動

性が高い液晶ポリマーを、スリーブでは弾性率が大きいエポキシ

樹脂を採用しました。また、フェルール金型ではファイバ孔と

フェルール外径の偏心を1μm以下にするため、金型内に偏心を

調整するメカニズムを導入しました。プラスチックフェルールと

スリーブを使用した光コネクタは平均損失0.2dB以下、反射減

衰量40dB以上という、従来のコネクタと同等レベルの光学特

性を実現しています。また信頼性に関しても検討を行い、温湿度

サイクル試験や繰り返し着脱試験で十分な信頼性を有しているこ

とを確認しています。

 この技術により光コネクタの大幅なコストダウンが可能とな

り、光ネットワークを経済的に構築するための原動力になること

が期待されます。

(光エレクトロニクス研究所)

●光コネクタ内での光ファイバの接続状態図

12

●光トランシーバモジュールの構成

●光トランシーバモジュール

●プラスチック光コネクタの接続損失分布図

100�

80�

60�

40�

20�

0�

サンプル数:110�

平均接続損失:0.14dB�

標準偏差:0.10dB�

接続損失(dB)�

0 0.4 0.8 1.2 1.6 2個数�

プラスチック�フェルール�

プラスチック�スリーブ�

光ファイバ�

送信部     受信部�

データ入力�クロック入力�

メインアンプ IC

レーザドライバIC

WDMフィルタ�

1.3μm�

1.55μm

ベアチップ�プリアンプ IC

データ出力�

リセット信号�入力�

M-PD LD R-PDガラスエポキシ基板�

PLCプラットフォーム�

レーザドライバIC

メインアンプ�IC

M-PD

R-PD

WDMフィルタ�プリアンプIC

LD

PLCプラットフォーム�

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光線路試験の自動化ツールを小型・軽量化(mini-TEM) 現在、光線路保守支援システム(AURORA*1)未導入ビルに

おいて光ケーブル工事試験は、IDテスタ*2とOTDR*3を用いて

損失試験、パルス試験を行っています。しかし、これらの測定器

による試験では、1心ごとに試験器と心線との接続/測定/取り

外しを繰り返すので、心線数に比例して膨大な接続時間が必要と

なります。そこで、光ファイバ網のメタル並のコスト実現という

大きな目標のために、光ケーブル試験の効率化を目的とした「光

線路試験支援ツール(mini-TEM*4)」を開発しました。

 mini-TEMは制御測定装置と可搬型ファイバセレクタから構成

され、そのどちらも小型・軽量のため持ち運びが可能です。また、

ほとんどのFTM*5に設置でき、簡易な方法でMT*6収納部と成端

ケーブルや光分岐モジュールを接続できるので、さまざまな光

ケーブル試験業務に適用できます。

 mini-TEMは手動で行っていた光ファイバとの接続/試験/解

析/良否診断/帳票作成までを自動で行うため、従来に比べて大

幅な試験時間短縮が可能です。自動測定機能により、昼間の業務

集中時間帯を避けた夜間での測定ができ、空き時間の有効活用も

可能です。さらに、mini-TEMを既存のAURORAと併用するこ

とで、多数の光ケーブル試験の時間短縮も可能です。

 これらの特長を生かし、阪神大震災以後、当社で定めた被災後

半日で被災地域特定、4日で被災心線箇所特定を実現させるた

め、mini-TEMを用いた光線路被災把握システムを現在開発して

います。実現は2000年3月末を予定しています。

(アクセス網研究所)*1 AURORA: Automatic Optical Fiber Operation Support System

*2 IDテスタ: Optical Fiber Identifier

*3 OTDR: Optical Time Domain Refletometer

*4 mini-TEM: mini-Test Equipment Module

*5 FTM: Fiber Termination Module

*6 MT: Mechanical Transferal

画期的に低電力化したISDN端末専用カードサイズONU 近年のISDN回線数の急増に伴い、ISDNサービスをターゲッ

トとしたFTTH*1の普及の可能性が見えてきました。この普及を

加速させるかぎは、設置・使用形態の自由度が高い小型ONUの

実現にあります。装置の低電力化は、バッテリバックアップ機構

のスリム化、運用時における装置内温度上昇の抑制を可能とする

ため、小型ONU実現のポイントとなります。

 その実現性を確認するために、市販単4電池1本で停電時に

5 時間の通話が可能な ISDN 端末専用のカードサイズ個別型

ONU(世界最小電力・サイズ)のプロトタイプを開発しました。

このONUは50Mbit/s STM-PDS*2システムに適用するもの

で、研究所が開発した最先端の1V級動作部品/モジュールを搭

載しています。これら1V級動作部品/モジュールの搭載ととも

に、サービス対応部(ユーザインタフェース部)をプラグ形式で

共通処理部と接続する新規構成法、高精度モジュール設計法の適

用により、このONUは従来のONU(ISDN端末×1構成、端

末無給電形式を仮定)に比べ、10分の1の低電力化(150mW)、

2.5分の1の小型化(60cc)が可能であることが確認されまし

た。その結果、カード型のみならず、情報コンセント内蔵型など、

お客さまのあらゆる設置・使用形態に対応可能なONUが実現で

きることがわかりました。

 さらに、この構成技術を局内装置に適用することで、モジュー

ル実装密度が向上し、局装置の低コスト化につながります。今後

は、低電圧動作部品/モジュールの歩留まり向上などを推進し、

事業導入に向けた検討を行う予定です。

(アクセス網研究所)*1 FTTH: Fiber To The Home

*2 STM-PDS: Synchronous Transfer Mode-Passive Double Star

●mini-TEMの構成

●プロトタイプONU全体構成

13

●ONUカード/ISDNインタフェースプラグ実装ONUモジュール

可搬型ファイバセレクタ�

制御測定装置�

MT収納部�

ISDN回線インタフェース�プラグ�

バッテリホルダ�

カードホルダ/� イジェクタ部�

ONUカード�

バッテリホルダ�ONUカード�

ONUカード/ISDN回線インタフェースプラグ装着状態�

ISDN回線�インタフェースプラグ�

市販単4電池�(乾電池/充電池互換)�

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20Mbit/sのイーサネット無線LANシステム 近年普及しつつある無線LANシステムに対しても伝送速度の

高速化が望まれており、各種標準化が進められています。しか

し、高速化に際して多重波干渉による波形ひずみが問題となりま

す。この問題を解決するため、新たなパケットモードOFDM*1変

調方式の開発を進めてきました。その検討結果をもとに、1998

年7月にイーサネット系国際標準規格であるIEEE*2802委員会

にLucent Technologies社様と共同提案し、5GHz帯無線

LAN標準規格に採用されるに至りました。このOFDM変調方式

を実装するとともに、MAC*3レイヤ機能を含めてIEEE802.11

規格に準拠した5GHz帯高速イーサネット無線LAN装置のプロ

トタイプを開発し、世界に先駆けて20Mbit/sの高速データ伝

送に成功しました。同装置はOFDM変調方式の適用で、複雑な

回路構成の適応等化器や大型化の原因となる可変指向性アンテナ

を使用することなく、高品質な高速データ伝送を可能としました。

 また、端末のフレキシブルな利用を考慮し、基地局間ハンドオ

フのサポートのみならず、有線/無線間の切り替えにおいても

PCのネットワーク情報再設定を必要としない“シームレス移動”

を実現し、チャネルの有効利用を図る複数基地局の自律分散チャ

ネル共用アルゴリズムや基地局を介さない端末間のショートカッ

ト転送技術、高度なセキュリティ確保のための公開鍵認証や

FEAL*4による暗号化など、IEEE802.11規格に加えた拡張機能

の充実も図られています。

 今後は、IEEE802.11標準化を推進するとともに、本規格に

準拠したPCMCIA*5タイプ無線LANカードを実現するため回路

のLSI化による小型化を進め、商用化を行います。

(ワイヤレスシステム研究所)*1 OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing

*2 IEEE: The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.

*3 MAC: Medium Access Control

*4 FEAL: Fast Data Encipherment Algorithm

*5 PCMCIA: Personal Computer Memory Card International Associa-

      tion

1.9GHz帯加入者系無線アクセスシステム(λシステム)のサービス開始、高機能化 現在の有線網では、住宅の集中した都市部と、住宅が点在する

山間部などでは加入者当りのコストに数倍から数十倍の格差があ

り、この問題を根本的に解決する新しいインフラの構築が望まれ

ています。研究所では、こうした高コストエリアにおける高度通

信サービスの提供と設備コストの改善を図るため、1.9G-FWA*シ

ステムを開発し、1998年11月北海道十勝地区でサービスを開

始しました。(このシステムの愛称は「λシステム」としました。)

 λシステムは、NTT交換機から加入者宅までを、銅線に代わ

り無線で結ぶ新しいシステムです。すでに確立されているPHS

技術を利用することにより、加入者インタフェースを変更するこ

となく、アクセス系設備のコスト削減を図ることができるととも

に、保守を簡易化することができます。さらに、従来距離的な制

約から ISDN や高速ディジタル伝送サービス(64kbit/s、

128kbit/s)を提供できなかったお客さまに対しても、サービ

スの提供が可能になります。また、このシステムはノードインタ

フェースとして、国際標準に準拠したV5多重インタフェースを

採用しており、グローバルな展開を目指しています。

 今後は、ナンバーディスプレイサービスの提供、ISDN容量増

大などの高機能化を進めていく予定です。

(アクセス網研究所)* FWA: Fixed Wireless Access

14

●5GHz帯高速イーサネット無線LAN装置のプロトタイプ

●システム構成

無線アクセス制御局装置�(WAC)�

無線アクセス中継局装置(WRS)�

光エントランス�

無線エントランス� (2GHz帯)�

~20km(中継により延長可能)�

FWA オペレーションシステム�

W-OpS

Vインタフェースプロトコル�変換装置(V-PTE)�

 1~2km�(最大5km)�

無線アクセス基地局装置�   (WCS)�

無線アクセス加入者局装置�   (WSU)�

LD-SLT

WAC-BOX NTT局舎�(RT-BOXなど)�

V5.2

A /I-RT� 32M

屋内設置用�屋外設置用�

PHSエアインタフェース� (1.9GHz帯)�

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2GHz帯で動作する無線端末RFパワーアンプ用のMOSFET 画像情報などの大容量データを高速転送可能な次世代の無線ア

クセスシステムであるIMT2000をはじめ、無線LANやAWA*1

への関心が高まっています。これらの次世代無線アクセスシステ

ムに用いる端末の高性能化のため、高周波で高効率動作が可能

で、かつ低コストなMMIC*2の実現が望まれています。シリコン

系素子は化合物半導素子に比べて低価格であり、とくに高周波で

低消費電力動作が可能なSOI*3技術のMMICへの適用が有望視

されています。

 端末の送信出力段であるRF*4パワーアンプに用いるMMICに

おいて最も重要な構成素子がパワーMOSFETです。従来のSOI

技術を用いたパワーMOSFET*5は寄生バイポーラ効果のため耐

圧が低く、RFパワーアンプへの適用には不向きでした。SOI技

術の長所を生かしつつ、かつ寄生バイポーラ効果の問題を解決す

るため、ボディ領域の埋め込み酸化膜を除去し、ボディ領域から

直接ボディコンタクトを取ることに特徴を有するQuasi-SOIパ

ワーMOSFET(写真)を考案し、今回2GHz 帯用のパワー

MOSFETを開発しました。ソースドレイン間耐圧は、従来のSOI

構造の素子の2倍以上の14V、電力付加効率はシリコン系の素

子ではトップデータの68%(@2GHz)を達成しました(図)。

 今後は、お客さまにより低価格な端末を提供できるようRFパ

ワーアンプとしてモジュール化を進めるとともに、より高速な通

信が可能となるよう、5GHz帯で動作するRFパワーモジュール

を開発していきます。

(入出力システム研究所)*1 AWA: Advanced Wireless Access

*2 MMIC: Microwave Monolithic Integrated Circuit

*3 SOI: Silicon on Insulator

*4 RF: Radio Frequency

*5 MOSFET: Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor

電磁干渉の有無を検証し、無線基地局の最適配置を提供する電磁環境設計システム 近年、2.4GHz帯無線LANや事業所コードレスなどの構内無

線システムがオフィスにおいて普及してきています。このような

コードレス化が進むと同じ周波数帯域を使用する無線機器が接近

して配置されるようになり、無線電波の干渉によりデータの転送

効率が悪くなったり、電話がかかりにくくなるという通信障害が

懸念されます。また、基地局配置設計では、通信エリアや基地局

数に関するお客さまからのさまざまなご要望に応じた柔軟な基地

局配置を実現する必要があります。

 電磁環境設計システムは、無線電波干渉などの電磁環境や建材

の電波伝搬に対する影響などをコンピュータシミュレーションを

用いて総合的に評価することにより、最適な基地局配置や効率的

な無線通信が可能な屋内環境を提供します。このシステムは、

CADを用いた建物形状などの入力部、電波伝搬特性シミュレー

タと通信特性シミュレータを組み合わせた解析部、通信可能エリ

アや受信可能チャネル数分布などを表示する出力部から構成され

ます。

 このシステムは、①2.4GHz帯無線LANと構内無線システム

に対応しており、電波伝搬特性と通信特性を総合的に評価するこ

とにより各受信位置におけるスループット分布まで推定可能、②

解析アルゴリズムは実験データにもとづいて最適化されており、

推定電界強度と実際のオフィスにおける測定値は5dB以内で一

致する、という特長を持っています。

 このシステムを使用することで、お客さまのご要望に応じた通

信エリアの実現が可能となるほか、通信障害の原因解析や対応策

の検討なども容易になります。今後は、より使いやすいPC上で

動作するシステムの開発を行うほか、次世代の無線システムへの

対応を進めていく予定です。

(マルチメディアネットワーク研究所)

●システムの構成

15

●試作したMOSFETの断面写真

●電源電圧と電力付加効率の関係

●ビル内におけるチャネル数分布推定結果

今回開発した技術�

2GHZ���������������

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

80

70

60

50

40

電源電圧(V)�

電力付加効率�(%)�

従来技術�

受信可能チャ�ネル数分布�

入力部(PC)� 出力部(PC)�

建物構造�材質�

基地局�配置�

無線シス�テム種別�

解析部(WS)�

通信可能�エリア�

スループッ�ト分布�

電波伝搬シミュレータ�・レイトレーシング法�

通信特性シミュレータ�・DSPツールによる� 信号解析�・2.4GHz帯無線LAN、� 事業所コードレス� に対応�

CADを利用�

基地局� コンクリート壁� 0

5

10

15

受信可能チャネル数�

埋め込みSiO2

ソースボディ電極�ドレイン�

ソース�ゲート�

ドレイン局所�配線�

オフセット�

Si

支持基板�

SiO2

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次世代通信衛星用大型アンテナの展開試験に成功 研究所では、衛星搭載用大型展開アンテナの直径10m試作モ

デルにおいて、地上での展開試験に成功しました。大型のアンテ

ナ鏡面を用いると地上ビームを絞り込むことができるとともに、

地上での微弱な電波を衛星側で受けることも可能になります。そ

の結果、地上との伝送速度を向上させたり、地上系装置を小型化

することができることから、次世代の衛星通信のためのキーテク

ノロジとして期待されています。このような大型宇宙構造物を

「モジュール構成」で構築すると、設計製造コストの削減、地上

試験の簡易化、サイズについての柔軟設計が可能となります。

 今回展開試験に成功した試作モデルは、直径4.8mのモジュー

ルと呼ばれる基本構造を7つ結合することによって構成されま

す。個々のモジュールは、電波の反射面となる金属メッシュ(金

メッキした金属素線の編み物)とケーブルネットワーク、全体を

傘のように展開させるためのトラス構造から構成されます。7モ

ジュール結合した状態での展開時直径10m、収納時直径1m以

下、重量約80kgの軽量かつ収納効率の高い大型鏡面を実現しま

した。

 展開試験は構造物自体の重さを軽減させるために地上15mの

高さの天井から張力が一定に保たれたケーブルを介して、各モ

ジュールの中心と周囲を吊り下げる方法で行いました。今回の7

モジュール結合状態での試験により、中央に位置し全周囲をほか

のモジュールで拘束されたモジュールの展開特性を明らかにする

とともに、各モジュール間に展開速度の非同期が起きた場合の特

性についても把握することができました。

 さらに、モジュール構成の特徴を生かした展開信頼性評価法と

して、各モジュールについては個別の展開試験を行って固有の特

性を同定した上で、それらを結合した全体構造としての軌道上展

開特性は、解析で求めるという手法を試みました。

(ワイヤレスシステム研究所)

衛星回線で大量情報を一括高速転送 インターネットアクセスに代表されるようなマルチメディア通

信では、コンテンツの大容量化などによりネットワークに流れる

情報量が急増しています。しかし、地上公衆網のみによる通信で

は情報取得に長い時間がかかるため、早急な改善が望まれていま

す。そこで、高速で経済的な情報取得に適したネットワークサー

ビスを提供するため、上り回線としては地上回線を使い、下り回

線としては大容量な衛星回線を使用したマルチメディア衛星通信

システムの実用化開発を進めています。このシステムは1996

年6月より東海大学様、株式会社学習研究社様などと共同実験を

実施しており、1998年10月にNTTサテライトコミュニケー

ション株式会社による商用サービスが開始されました。

 さらに、1998年4月よりアジアマルチメディアフォーラム

(AMF)において、このシステムを用いた衛星インターネットプ

ロジェクトをアジア各国と推進しています。このプロジェクトで

は非対称通信サービスのほかに、新規に開発したATM衛星アダ

プタ(写真)を用いてATMオリエンテッドなアプリケーション

を検証しています。開発した装置はOC-3cのインタフェースを

有し、衛星回線を用いたエンドエンドのATM伝送を可能としま

す。この装置はシンガポールONEプロジェクトにおける日本か

らシンガポールへの映像配信に採用されました。

 今後は、アプリケーションで要求される速度の高速化を考慮

し、より便利で高速・高機能な衛星通信システムの開発を進めて

いきます。

(技術開発支援センタ)

16

●試作モデルの展開試験

●ATM衛星アダプタ

●主要諸元

Item Description

Inputinterface

Operatingvoltage

Dimensions

Weight

D-sub 25-pin connectorRS-4228-bit parallel interface

SC-type connectorMultimode optical fiberOC-3c(155Mbit/s)

AC 90 V to 110 V(50/60Hz)

99mm(H)× 480mm(W)× 250mm(D)4kg

Outputinterface

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チューナ一体型衛星インターネット受信ボードの開発 インターネットアクセスに代表されるようなマルチメディア通

信では、コンテンツの大容量化などによりネットワークに流れる

情報量が急増しています。これに対応し、高速で経済的なイン

ターネットアクセス回線、イントラネットシステムを提供するた

め、上り回線として経済的な地上回線を使い、下り回線として大

容量な衛星回線(約30Mbit/s)を使用したマルチメディア衛星

通信システムのサービスが開始されました。

 このシステムのお客さま宅に設置する装置は、これまで小型ア

ンテナ(直径50cm)、ディジタル衛星放送規格対応チューナ

(B4サイズ程度)、MPEG2-TS*1からIPパケットを組み立てる

プロトコルアダプタ(A4サイズ程度)から構成されていました。

このたびの研究開発では、ユーザ局装置の高機能化、経済化を

図ったPCI*2バス対応パソコン用ボードを完成しました。従来の

チューナ機能およびプロトコルアダプタ機能をパソコン用PCIバ

スカード1枚に搭載し、MPEG2-TSによる映像配信とIPパケッ

トによるデータ通信の統合化、衛星区間の信号を利用者のグルー

プごとに異なる暗号鍵での秘匿機能などの高機能化を実現しまし

た。開発したボードのインタフェースは汎用的なPCIバスインタ

フェースを使用していることから、さまざまなパソコンに対応可

能です。また、開発したプロトコル処理LSIの性能は、単体で約

45Mbit/sまでのデータ受信が可能ですので、今後の衛星回線の

高速化にも利用することができます。

 今後も、より便利で高機能な衛星通信技術の開発を進めていき

ます。

(ワイヤレスシステム研究所)*1 MPEG2-TS: Moving Picture Experts Group 2-Transport Stream

*2 PCI: Peripheral Component Interconnect

内蔵ファームウェアの切り替えで多様なサービスに対応できるラインカード アクセス系の光ファイバ化の推進に伴い、RSBM-F/U*1、πシ

ステムのようなアクセス系装置がユーザビル、柱上、電話用ケー

ブル、さらには、各家庭に設置されるようになってきました。こ

のため、アナログ電話サービスからISDNサービスへの移行など

のサービス変更時には、SLIC*2、BOCU*3のような専用のライン

カードを差し替えするために人が出向く必要があり、派遣費用が

増加したり、サービス切り替え時間が長くなることが予想されます。

 サービス共用形ラインカードは、遠隔からサービスモード切り

替えやサービス対応新規ファームをダウンロードすることによっ

て、上記課題を解消することが可能となります。この実現方法と

して、直流特性、交流特性ともにパラメータ修正などにより変更

可能となるプログラマブルなハード構造を採用しており、ライン

カードに内蔵しているコントローラから制御されます。また、頻

度の高い基本機能(アナログ一般、アナログ公衆、INS64)に

対応したファームは内部不揮発性メモリにあらかじめ記憶されて

おり、このファームの切り替え指示だけでサービス変更が可能な

構成にもなっているため、サービス切り替え時間を短縮し、頻繁

なダウンロードによる網の輻輳を回避するようにしています。今

後新たなサービス(オフトークなど)を提供する場合は、新規

サービス用ファームをダウンロードするだけで簡単に新サービス

の提供が可能となります。このラインカードは既存のラインカー

ドと互換性をもたせてあり、そのまま既存の装置に適用すること

が可能です。

 このラインカードは、機能確認試験、フィールド試験を終了

し、1999年度から本格的に導入される予定です。

(ネットワークサービスシステム研究所)*1 RSBM-F/U: Remote Subscriber Module for Feeder Point/User  

       Building

*2 SLIC: Subscriber Line Interface Circuit

*3 BOCU: Basic Office Channel Unit

●サービス共用形ラインカードの開発

17

●チューナ一体型衛星アダプタボード

アナログ� 一般電話�

アナログ� 公衆電話�オフトーク�

ISDN�(INS64)�

新規�サービス�

端末�

直流回路�

コント�ローラ�

不輝発性�メモリ�

試験インタフェース�

交流回路�保

護�

サービス共用形ラインカード�

ノード�OpS�インタ�フェース�

信号ハイウェイ�

ファームダウンロード�

切替指示�

光アクセス系装置�(RSBM-F/U,πシステム)�

(通話路重量)�

(コマンド)�

ノード�

ISDN網�

DDX網�

高度化EOS

OpS端末�ダウンロードサーバ�

S-OpS/EOS�サーバ�

サービスモード�切替指示�

ファームダウンロード指示�