ぐる子さんの便り -...

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ぐる子 さんの 便り あなたの血糖値はなぜ下がらない?No.21 あなたの血糖値はなぜ下がらない? 誤った食生活を続けている場合・・・これが一番多い原因です・・・ オヤツ(間食)が、ほぼ毎日 ほとんどのオヤツは炭水化物(糖質)でできているので、糖尿病では少しのオヤツでも容易に血糖が昇します。「ちょっとずつだが毎日」よりも、「オヤツは週1日」のほうが、まだ血糖は落ち着きます。 食べかたが不規則 通常の食事と食事の間にオヤツをとったり、午後8時以降の遅い時間になにか食べると、次の食事時間 までに体内で処理しきれずに高血糖が残ってしまいます。朝食抜き、一日2食以下、夜食習慣、食事と 食事の間隔が短すぎる(4時間以内)、晩酌でのダラダラ食い、深夜勤務で食生活が通常よりずれている、 といった食生活も、血糖が不安定になりがちです。 炭水化物が多すぎる(糖質の重ね食い) ラーメンとチャーハン、スパゲティとパン、うどんとかやく御飯、おかずがわりにお好み焼きやタコ焼 き、イモ類の多いおかず・・・などなど、炭水化物ばかりの組み合わせになっていませんか? こんなものも高血糖の原因に あまり食事やオヤツとして認識していないものでも、高血糖を残します。缶コーヒー、スポーツドリン ク、栄養ドリンク剤、菓子パン、野菜ジュース、清涼飲料水、牛乳、のどあめ、ガム、はちみつ、黒砂 糖などは、そのようなものの代表です。 ストレス食い 日々のストレスが多い人では、それを和らげるために「ストレス間食」をしてしまう 場合があります。こんなときに食べたことは忘れてしまうことが多いようで、 「何も 食べていないのに…おかしい…」となりがちです。 「食べ物日記」を手帳に作り、その 日に口に入れたすべてを書きとめていくと、自分の食生活を振り返って考え直す良 い材料になります。 インスリンが効きにくい肉体(インスリン抵抗性の強い体)になっている場合 2型糖尿病の人で、体脂肪とくに内臓脂肪の多い肥満者、筋肉の少ない人、日々の運動量の少ない人 では、インスリンの効きめが悪い体になっています。多くの場合、肥満と共に高血圧や脂質異常症・ 脂肪肝も合併しており、いわゆる「メタボリック・シンドローム」の状態になっています。このような 体では、血糖を安定させるためのインスリンの必要量が多くなっているので、 「インスリンの無駄づか い」が起こっています。治療を薬にのみ頼らず、適度な運動を心がけ、余分な体脂肪を減らして、イ ンスリンの効きやすい体(インスリン抵抗性のない体)を作りましょう。筋肉が多く、ウエストが締 まった体が理想形です。 医者にも通っているし、薬も飲んでいるし、結構がんばっているんだけどなー、 いつも「血糖高いよ、 HbA1c 悪いよ」って小言をいわれてばかり……っていうあなた。なぜうまくいかないのでしょうか。 それにはワケがあります。原因を修正しなければ、いつまでも同じことの繰り返しです。 糖尿病になると、あなたが思っているよりも、インスリンの分泌量や分泌パターンが、健康な人に比 べ相当劣っています。糖尿病になりたての頃でさえ、インスリンの分泌能力はすでに健常人の半分ま で落ちていると言われています。残念ながら現在の医学では、たとえ飲み薬やインスリン注射で治療 中であっても健常人に戻せるわけではなく、なんの節制・工夫もしない状態では血糖を良くすること はできません。 gluco

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Post on 03-Jan-2020

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ぐる子さんの便り 【あなたの血糖値はなぜ下がらない?】No.21

あなたの血糖値はなぜ下がらない?

誤った食生活を続けている場合・・・これが一番多い原因です・・・

①オヤツ(間食)が、ほぼ毎日 ほとんどのオヤツは炭水化物(糖質)でできているので、糖尿病では少しのオヤツでも容易に血糖が上 昇します。「ちょっとずつだが毎日」よりも、「オヤツは週1日」のほうが、まだ血糖は落ち着きます。

②食べかたが不規則 通常の食事と食事の間にオヤツをとったり、午後8時以降の遅い時間になにか食べると、次の食事時間 までに体内で処理しきれずに高血糖が残ってしまいます。朝食抜き、一日2食以下、夜食習慣、食事と 食事の間隔が短すぎる(4時間以内)、晩酌でのダラダラ食い、深夜勤務で食生活が通常よりずれている、 といった食生活も、血糖が不安定になりがちです。

③炭水化物が多すぎる(糖質の重ね食い) ラーメンとチャーハン、スパゲティとパン、うどんとかやく御飯、おかずがわりにお好み焼きやタコ焼 き、イモ類の多いおかず・・・などなど、炭水化物ばかりの組み合わせになっていませんか?

④こんなものも高血糖の原因に あまり食事やオヤツとして認識していないものでも、高血糖を残します。缶コーヒー、スポーツドリン ク、栄養ドリンク剤、菓子パン、野菜ジュース、清涼飲料水、牛乳、のどあめ、ガム、はちみつ、黒砂 糖などは、そのようなものの代表です。

⑤ストレス食い 日々のストレスが多い人では、それを和らげるために「ストレス間食」をしてしまう 場合があります。こんなときに食べたことは忘れてしまうことが多いようで、「何も 食べていないのに…おかしい…」となりがちです。「食べ物日記」を手帳に作り、その 日に口に入れたすべてを書きとめていくと、自分の食生活を振り返って考え直す良 い材料になります。

インスリンが効きにくい肉体(インスリン抵抗性の強い体)になっている場合2型糖尿病の人で、体脂肪とくに内臓脂肪の多い肥満者、筋肉の少ない人、日々の運動量の少ない人では、インスリンの効きめが悪い体になっています。多くの場合、肥満と共に高血圧や脂質異常症・脂肪肝も合併しており、いわゆる「メタボリック・シンドローム」の状態になっています。このような体では、血糖を安定させるためのインスリンの必要量が多くなっているので、「インスリンの無駄づかい」が起こっています。治療を薬にのみ頼らず、適度な運動を心がけ、余分な体脂肪を減らして、インスリンの効きやすい体(インスリン抵抗性のない体)を作りましょう。筋肉が多く、ウエストが締まった体が理想形です。

医者にも通っているし、薬も飲んでいるし、結構がんばっているんだけどなー、 いつも「血糖高いよ、HbA1c 悪いよ」って小言をいわれてばかり……っていうあなた。なぜうまくいかないのでしょうか。それにはワケがあります。原因を修正しなければ、いつまでも同じことの繰り返しです。糖尿病になると、あなたが思っているよりも、インスリンの分泌量や分泌パターンが、健康な人に比べ相当劣っています。糖尿病になりたての頃でさえ、インスリンの分泌能力はすでに健常人の半分まで落ちていると言われています。残念ながら現在の医学では、たとえ飲み薬やインスリン注射で治療中であっても健常人に戻せるわけではなく、なんの節制・工夫もしない状態では血糖を良くすることはできません。

gluco

発行: 医誠会病院 糖尿病・代謝センター 2016 年 3月

内服薬・インスリン注射の作用効果が、高血糖を起こす時間に合っていない場合食事を始めると、すぐに血糖は上昇を始めます。健康な人では、食後すぐからインスリンが血中に鋭く多量に分泌され、食後 30~ 60分に最大量となり、食後血糖が跳ね上がらないように押さえこんでいます。糖尿病の人でも、食後に(間食後でも!)高血糖を起こさないためには、食後の早い時間に十分な量のインスリンが血中に供給されていなくてはいけません。インスリンを注射する時間や薬を飲む時間がバラバラだったり、注射しているインスリンや薬の種類・回数・量が不適当だった場合、低血糖と高血糖が一日のなかで交替して出てくることも不思議ではありません。

体内のインスリンがほとんど絶滅している場合1型の糖尿病や、血糖コントロール不良のまま 10年以上経過した2型糖尿病の一部、膵臓が荒れはてた慢性膵炎、膵臓を摘出した場合は、インスリンを分泌する能力が著しく低下しています。インスリン分泌能力が絶滅してしまうと飲み薬の効果はほとんど期待できなくなり、インスリン注射が治療の基本になります。多くの場合、血糖を落ち着けるためには、一日4回(通常は各食前と寝る前)のインスリン頻回注射が必要になります。それでもコントロールが難しい時は、小型ポンプでインスリンを持続的に皮下注入する治療法(CSII)を用いることさえあります。

腎臓や肝臓が相当悪い場合腎機能の低下 (腎不全)を合併している糖尿病では、飲み薬やインスリンが体内に残りやすくなるために低血糖がしばしば起きる場合があり、血糖の乱れの原因となります。病状の進んだ肝臓病 (慢性肝炎や肝硬変 )がある人では、肝臓でブドウ糖の出し入れを調節する能力が低下しているため、食後は高血糖に、逆に空腹時は低血糖になりやすくなっています。

強い糖尿病性胃腸症を合併している場合長い病歴をもつ糖尿病の人では「神経障害」が進んでいることがあります。神経障害の一つに自律神経障害があり、胃腸を動かす自律神経に異常がくるものを「糖尿病性胃腸症」といいます。糖尿病性胃腸症では食べ物が長く胃に滞留して腸へ送られなかったり、逆に胃腸の運動が亢進して、頑固な下痢を起こしたりして、腸からのブドウ糖吸収が不安定になるため、血糖が上下しやすい状態になります。また、胃を切った手術後も、食物の腸への通過が速くなりすぎて食後の高血糖を起こしやすくなります。

その他の高血糖、血糖不安定の原因

①インスリン注射手技が悪く、決まった単位が注射できていない場合。②混合型インスリン(濁っているインスリン)をよく振らずに注射している場合。③同じ場所ばかりインスリン注射をしたため、注射部位が硬くなって、インスリンの吸収が悪くなっている場合。

④注射したインスリンが皮下で分解されて作用が減弱している場合。⑤自分で測定した血糖値の結果に振り回されて、食事量やインスリン・飲み薬を勝手に調節している場合。⑥甲状腺機能異常など、他のホルモンの分泌異常を起こす病気がある場合。⑦ステロイド薬など、血糖を上げる作用のある薬を併用している場合。⑧血中に大量のインスリン抗体ができている場合。このように、血糖が不安定でコントロールが難しい例には、いろいろな原因があります。主治医によく相談し、対策を講じましょう。