The Association for School Mental Health

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学 校メンタル ヘ ル ス，Vol．12，　NQ 、2 ：61 −70 ，2009

〈原著論 文〉

大学生の perfectionism とメンタル ヘ ルス との 関係一 大学生版 Perfectionism　Scaleの作成及び集団適応効力感 を媒介 変数とした検討 一

煙 山 千 尋t）　 清 水 安 夫

2）

　本研 究 で は，1）心理 ・社会 的適応 及び不 適応 と関連 の あ る 「自己志 向的完全主義」 と 「社会規定的完全主 義」の 要素を含 ん だ，

大学生 特有 の perfectionismの 認知 及び 行動傾 向 を 多次元的に ア セ ス メ ン トする指標 を作成 し，その 信頼性 と妥 当性 を検 討す る

こ と，2）大学生 の 集 団適応 を媒介 変数 とした、perfectionism とメ ン タル ヘ ル ス の 関係性を検討する こ とを 目的と した。

　調査 対 象者 は，首 都 圏 内 の 4年 制私 立大 学 に 在籍 す る 大学生 240 名 （男 性82 名，女’性158 名，平 均 年 齢＝＝19．79 歳，SD＝

1．07）で あ っ た。調査 内容 として，フ ェ イス シート，大学 生版 Perfectionism　 Scale （Multidimensional 　Perfe ⊂tionism

〜⊂ale 　for　University　Students；以 後 MPSUS と略），集 団適応効 力感尺 度 （具 志堅・清 水，2007 ），精神的健康パ ター

ン （橋本 ・

徳永，2000 ）に 回答を求め た 。

　探索 的 因子分 析 の 結 果，5因 子各 5項 目で構成 され る大学生 特 有の perfectionismをア セ ス メ ン トす る MPSUS の 構造 が 明

らか に な っ た。各 因子 の α 係数は，0．7フ2 か ら 0．854 の 値で あ り，検証 的 因子 分析 の 適合 度 指標 は十 分 な値 を示 した （GFI ≡

0．907，AGFI ＝ 0．877 ，⊂Fl； O、971，　 RMSEA ＝ O．036 ）。さらに，共分 散構造分 析 に よ る階層 的重 回帰モ デ ル を検討し た結果，

「Afraid　of 　Mistakes」に 関 する完全性の 傾 向が 高い ほ ど，メ ン タル ヘ ル ス が悪化 す る とい う直接的 な影響性が示 され た。また，

「Objective　Evaluation 」，「Higher　Purposes」 か ら集団適 応効 力感 へ の直接 的 な影 響性 と，集団 適応効 力感 を介 し てメ ン タ

ル ヘ ル ス に与 え る 間接的 な影響性 と が認 め ら れ た。

　本 研 究 の 結 果 5 因 子 各 5項 目で 構 成 さ れ，信 頼 性 と妥 当 性 を有 す る MPSUS が開 発 され た。ま た，集 団 適 応 効 力 感 が

perfe⊂tionism とメ ン タル ヘ ル ス の 調整 変数 とな るこ とが 示 唆 され たた め，今後 は，集 団適応効 力感 を高め る心理 的介 入 を実践 し，

perfe⊂tionism 及 び メ ン タ ル ヘ ル ス に 与 え る影 響 を検 討 したい 。

【キー

ワー

ド】大学 生，perfectionism，集 団適 応効 力感，メ ン タ ル ヘ ル ス，階層 的重 回帰 モ デル

1　 緒 言

　社会一

般 に お い て ，高 い 目標を設定 し，その 達成 に 向

か っ て 邁 進 し，完 全 に や り遂 げ よ う と努 力 す る こ と は，

肯定的な評価 を得 る。しか し，全て の 行動 に お い て， 個

人 内で 設定 した高い 水 準を 凵指 し，そ の 基 準 を少 しで も

達成で きない 場合 に は，失敗で あ る と見な し，失敗感や

挫折感 の 増幅⊥｝

，や る気の 減 退 や 白 己 評 価 の 低下 を 引 き

起 こ すパ ーソ ナ リテ ィ の 特性が あ る

2〕。

　 こ の ように，自己の 行動 に関 して ，過度に完全性を求め る

傾 向 に あるパ ーソナ リテ ィ特性をperfec：tionisrn （パ ーフ ェ

1）桜 美林大 学大 学 院 国際学 妍 究科

2〕桜 美林大学健康福祉学群

　 連絡 先 ：〒 194−OZ94　 東京 都 町田 市常 盤 町 3758　 　 　 　 桜美 林穴 学健 康福祉 学群　清水安夫研 究室 内

ク シ ョ ニ ズ ム ）と言う3・’1，／，。perfectionism傾 向の 高い 者 は，

すべ て にお い て完壁 を目指す傾向に あ るた め，「完璧で な け

れば失敗で ある」 と捉え る心理的な特徴があるtt〕。完全で

な けれ ば 意 味が な い ，完 全 で な けれ ば失敗 した の と同 じだ

と考え る傾向が 強い に も関わ らず，その一方で，完全な状

態 が実現する こ とは稀で あるた め，主観的な失敗を繰 り返

し経験す るこ とも指摘され て い る耐

。また，perfectionism

を 強 く示す者 は，非現実的な高い 口標基準を 設定 し，脅

迫的な まで に固執する こ とに より，自己の 価値を決 め よ う

とす る傾向に ある：1。そ のた め，設定 した基準へ の 達成に

失 敗す る と，生 産性 の 減少，不健康化，自己統制力の 低

下，人間関係 の 悪化，自尊心 の 低 下 を引 き起 こす と言う了〕。

精 神 疾 患 の 診 断 基 準 を記 載 した DSM −IV−TR 沼｝に よる と

，

1）erfcc ：ti〔川 ismは，強迫性パ ーソナ リテ ィ 障害の 基 本的特

徴 の一

つ として 定義 され，「自ら課 した 高い 基準の た め に，

」二、大学 生 の perfectionism とメ ン タル ヘ ル ス との 関係

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吾 しい 機能の 障害 と苫痛 が 引 き起 こ され る。 L一うした 人達

は，計画の すべ て の 細部に わ たっ て絶対約に 完全 にな る よ

うに 没 頭 す る た め に ，決 して 計画が 終了す る こ とが ない 」

と説 明 され て い る一

　現在 まで に，perfectiOnism と心理的，行動 的不適応

との 門係が，多 くの 研究で 取 り上 げられ て い る。例 えば，

p 漁 ctbnism は，抑 うっ゜ ］°）

，不安1］：

，ス ｝・レス⊥2〕，バ ー

ン ァ ウ トISI，

な どの 精神的不健康 との 関連が 認 め られ て い

る。さ ら に，低 い 社会 的 ス キ ル141，摂食障害

1’／，アル コ

ー

ル 依存症，思春期やせ 症］’

な どの 不適応行動 との関係も

深い こ とが ，明 らか に な っ て い る。

　 と り わ け，大 学 生 力 属 し て い る 青 年 期 に お い て は，

perfecti〔）nism 傾 向が高 L 者 ほ ど，ミス を過度に x “ ：す る

傾 向が高 く，また，自己の 定 め る基準 と実際の 行動 との

格 差 を大 き く認識す る こ とに よ り，ス トレ ス 9 劣等感 を

抱 き やす い こ とが 報告 さ れ て い る1 。特 に ，女 f学生 の

場合，最 も頻繁に感 じる ス トレ ス の 原因は ，友人 との 直

接約な衝突 に よ る もの で は な く，良好な関係を 維持 しよ

う とす る と きや，良好な関係 が 維持 で き なか っ た とき に

感 じ る 疲 弊 感 や 劣 等 感 で あ る こ とが 報告 さ れ て お りEn／，

友入 鬨係に お け る PCI’f（K：ti〔｝nism が ，ス トレ ス 要因 とな る

と考えられ る。文部科学省1匸1／

は，大学生 の 不 登投増加

の つ の 要因 として ，perfeetionist’llを特徴 とした性格傾

向 を挙げて い る。そ れ に よ る と，真面 r卜 勤勉で あ り，

あ らゆ る こ とを完全 に こ なそ うとす る こ とが バ ーン ァ ウ

トを 誘引 し，一

方 で ，失 敗 を 恐 れ て 何 も手 につ か な くな

る な ど，強迫的 な観念 に 捕 わ れ る あま りに ，自分 と も他

入 と も折 り合 い が 付か な くな り，不 登 校 に 陥 る結果 に な

る と分析 して い る、、さ らに，ma田・；）

に よ る と，大学 生 の

perfe〔tOniSm が ，「課題 に なか なか 着手で き ない 」「浹 め

られt 期 日 まで に 課題が 提 出で きない 」 等，必要 以上 に

課題を遅 らせ る 「先延 ば し行勤 」 を促進 させ，また，課

題 を 先延 ば し させ る過 程 で，不 安や 不快感 を増幅 して い

る こ とが示唆されて い ◎，

　 こ れ ま で に 我 が 国 及 び 欧 米 で 作 成 さ れ て い る

i）（．lf（．LtiOIIil 　ln 　Scaleは，　 perfe¢ tionism を多次 元 パ ー

ソ

ナ リテ ィ 構造 として 測定 して きた もの が 主 流 で あ る．例

え ば，大 谷・桜 井

2／

は，ile’witt ＆ FlettU”）が 開 発 した

、1u星t補 mensi 〔，11且l　Pe1伽 tionism 　Scale （MPS ）の 目本語版

を作成して い る。「n 本耳版 MPS 」 は，原尺度 と同 じ因．r一

輪造 を示 し，自分自身に 完全性を求め る「自己 志向的

’全

土 義 （self −oriented 　perfe・t’）nism ）」，他者に 完全性を求 め

る 「他者志向的完令 主 義（  ther−oriented 　pcrfeetiotiism）」，

他 者 か’完 全仕 を 求 め られ て い る と 感 じ る

「社会 規 定 的

宅全 ！／義 （soelally 　pr　serihed 　perfecti  nism ）」の 3 つ の

ド位尺度か ら構戊 されて い る．。また，桜 井

・大谷

e， は，

Fr 〔 tMarten ，　Lahart，＆ Rosenli［ate 　lの Perfeclionism

Scaleの 凵 己 志向的完 全 主 義を取 り上げ，自　dS −’，向的完

全 主義 を よ り構 造 的 に捉 え る尺 度 （Multidimen 　 onal

Self−orienL 　d　Perfection・m 　Scale：MSPS ＞を作成した。

MSPS で は，自己に完全性を課す側面として，「充全 で あ

りた い とい う欲求 」，「自分 自身 に 高い 凵標を 課す傾 向 」，「ミス を 過度 に 蟻 に す る傾白 亅，「自分 の 行 動 に 漠 然 と した

疑 い を持つ 傾 向 」 の 4つ の 1大i子が抽 出されて い る　 さ ら

に．小堀 ・丹野．は

， Hew 爵 ＆ ドletピ が示 した 3つ の次

元 の うち，自己 志向的丗

全 ＋ 義の 11蒜 凵に 焦点を当て た 「多

次元完全主 裁 認 知 尺 度 （Multjdimensi〔maH ）にrfect 　 mlsm

Cognition　lnvento1｝

：MPCI ）」 を作成 して い る 。　MPC ⊥は，

完 企 主 義の 認知が ，「高目標設置 」，「

完全性の 追求一，「ミ

ス へ の とらわ れ 」 の 3 因 r一に より構成され て い る　。

　前 述 の とお り，pe  ecL 三〇 nism が 心 理 的不適応や 不適 応

行 動 と関連 して い る こ と は，多くの 先行研究 に より報告

されて い る。特 に，Perfeetionism　Scaleの 中で も，最も

心 理 ・社会的不適応 と関連が 見られ るの は，他者か ら充

全性 を 求 め られ て い る と感 じ る「ネ1会規 定 的 完 全 † 義 」

で あ る こ とが 輾 告さ れ て い る22）。　

・方 ，

「自分 に 高 い 目標

を課す領向」 は，む し ろ，適応傾向 と関係する こ とが 見

出 されて い る1〕。同様 に，「高い 日標設定」 は，抑うつ ，バ ー

ン ァ ウ トや 絶望感に 陥 りに くく，「ミ ス を気 に す 7 傾 向」，「行動疑念」 は，抑うっ に 陥りやす い 性格特性で ある 乙 と

が 示唆 されて い るIU〕。

　 し か し，現 在 ま で に 我 が 国 で 作 成 さ れ て い る

Perfectioni　In　Scaleは，大 学 生 を 対 象 と し た もの が 多

い が ，我 が 国 に お け る 大学 生 の 現状や ， 大学 生 特 有の

petfeeLiunism を考慮して 作成 されナ 尺度 は見 られ な い。

また，大学生の perfccLionisrnと集団 適応 との 幽連性に つ

い て ，’絲田に 検討 された研究 も見られない の が現状で ある。

　 近 年，対人関係の 問題 を ：L訴 と した 大学 生 の 相談件 数

が 増加 して お り，H 体的な内容 として ， 家族 ， 友人，知人，

異性 との 関係に類型化 され る もの ガ i5心 とな っ て い る．、、

ま た，大 学 生 に と っ て ，対 人 関係 の 閲 題 は ，目常生 活 の

中で 景 も遭遇頻度の 崗 い ス トレ ス フ ル な状 況 を作 り出 す

もの で あ る こ と も報告され て い る一4’

。 由 田 ・大野 れ こ よ

る と，こ の よ うな対人問題を抱 えて い る大学 生 の 共 通 の

背景 と して ，大 学 生の 抱える 「臼己不確実感」 や’不全 感」

が 挙げ られ る と 言う。また，「友 人 との 関係性 を築 けな い 」，r教員 とうま くコ ミ ュ ニ ケ

ーシ ョ ン が 収 れない 」，「

学内で

の 居場所 を見つ けられ な い」 な ど，対 人 関係 をL 因 とし

た 大学生活 へ の 不適応問題を抱 え る 大学生 の 増加 も指摘

され て い る　1。

　 そ こ で ，本研究 で は，研 究 を遂 行 す る上 で の ア セ ス メ

ン ト指標 の 開発 及 び，闇発 さ れ た心 理 的指標 を活 用 して

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学 校 メンタル ヘ ルス 　 M ｝1．12，N こ｝．2　LO〔19

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の 集 「II適応モ デル の 検討 を 目的 と した n 具体的 に は，心

理 ・社会的適応及 び不適応 と関連性 が 深 い 「自己 志 向

的完全主義 」 と 「社会規定的完全 主義 」 の 要素を含ん

だ，大学 生 特有 の perfGcLionism の 認知及び行動傾 向を

多次 元的 に ア セ ス メ ン トす る指標 を作成 し，その 信頼 性

と妥当性 を検討す る。さ らに， 大学 生 の 集団内に お け る

個人の 適応 に 対する見込 みや自信を示す「集 団適応効 力

感 」L’ti〕 を媒介変数 と した，　 perfectionism と メ ン タル ヘ

ル ス の 関係性 を検討す る こ と と した 。大学生の メ ン タ ル

ヘ ル ス とperfectionismの 関連性 を 明 らか に す るた め に

は，我 が 国の 大 学生の 特性や 性質 ， 大学生 を取 り巻 く口

常生活環境など，学生 の 現状を考慮 した 因子構造を持 っ

Perfeetiollis．　m 　Scaleを新た に 作成 す る必 要が あ る。また，

大学生 の 対 人関係を背景と した 心 理 的，行動的不適応問

題 が 指摘 され て い る こ と25湖

を考慮す る と，集団適応を

変数 と し て 加 え た 検討 を 行 うこ とに は，今後 の 学生 相談

や個 別 対 応 を考慮 す る上 にお い て 意義が あ る。特 に ，小

堀 ・丹野2u

の研究に お い て，　 perfeetioniSmは，個人の

中で 安定 したパ ーソナ リテ ィ と して提え られ て い る．そ

の た め ，外部 か らの 働きか けに よる，心理的な変容 の 効

果 は 必 ず しも期 待 で きな い 。しか し，具志 堅 ・清 水2ω

に

よ る準実験的介入 研究か ら，集団適応効 力 感の 心理 的変

容 は，比較的容易で あり，集団を活用 して の 心理的介入

プロ グラ ム が有効で あ る 可能性が推察され る。こ の こ と

か ら，本研 究に よ り，perfe（ltionism と集 団 適 応，メ ン タ

ル ヘ ル ス の 関係性を明確 に す る こ とに よ り， 今後 ， 大学

生 の メ ン タ ル ヘ ル ス の 向 上 を 目的 と した 集団適応 に焦点

を瑠て た介 入 方法論 の 確立 が 可能となる と考 え られ る。

皿　 方 法

1．調 査対象者

　調査対象者 は ，首都 圏 内の 4年制 私 立 大 学 に在籍 し，一

般教養共通科 目を履修す る大学生 1− 4年生 24・O名 （男

性 82名，女 性 158名）で あ っ た。対象者の’r均年齢 は，

19．79歳 （S1）＝LO7 ） で あっ たu

2．調査期間

　調査 期間 は，2009 年 1月 19 「d− 2009 年 1 月22 日の 大

学の 講義内に実施 した。

3．調査内容

1） フ エ イ ス シート

　学年，所属 （学科，学群），

を求め た。

性別，年齢 に つ い て Lql答

2）大学生版 Perfectionism 　 S⊂ale （Mult ［dimensional

　 Perfe⊂tionism 　S⊂ale 　for　 University　 Students：

　 MPSUS ） の原案

　MPSUS の 原案は，大学生 17名に よ る自由記述に よ り

得 られ た項 目及 び，「多次 元 完全 」ド義認知尺度 」L’L）

，

「r一

ども用多次元自己 志向的完全主 義尺度」t’8），「新完全 主 義

尺度」4）

の 項 目を参考 に作成した。項 H の 作成に 当た り，

心琿学 を専攻 す る大学教 員 1名 と大学院生 2名に よる協

議 を行 い，理論的 な整合性 と内容 の 妥当性 に 配慮 し，項

目の 選 定 を行 っ た。「自己 志 向的完全 主義」 の 側面と し

て ，

「完企 1生の追求」，

「授業 に関す る perfeeLi〔mism 」，「成

績・結果に 関する perfeetionism」，

「準備

・確認 に 関する

perfectionism」，「失 敗 ・ミス を恐 れ る傾 向」，「対 人 関 係

に 関す る perfecti〔mism 」，「高い 囗標を 立て る傾向」 の 7

側面 42項 Liを設定した。さらに ，「社会規定的完全 主 義」

の 側面と して ，「他者か ら完全 性 を求 め られ て い る と感 じ

る傾向」 の 6項 目 を含 め，全 8側 面 48項 目で搆成 した。

また，各項 口へ の 回答 は，「全 く当て は まらない （1）」

一 「か

な り当て は ま る（4）」 の 4件法で 求 めた u

3）集団適応効力感尺度25：

　本尺 度 は ，「 リーダーシ ッ プ 」，「

信頼 」，「受 容 」，「共

感性」 の 4因 子 各3項 目か ら構成 され て い る尺 度で あ る。

各項 目へ の 回答 は，「全 くそ うで ない （1）」

一 「か な りそ

うで ある （5）」 の 5件法で 求め た。

4）精 神 的 健 康 パ ターン （Mental　Health　Pattern；

　 MHP −1）29 ｝

　メ ン タ ル ヘ ル ス の 測定 に は，ス トレ ス と生 きが い （QOL）

の 2 つ の 次元か ら，メ ン タル ヘ ル ス を ポジ テ ィ ブな側面と

ネガ テ ィ ブな側面 の 両側面か ら捉え る こ とが P∫能で あ る

MHP −］を使用 した。　 MHP −1に お ける 測定可能な内容 は，「心理 的ス トレス 」，「社会的 ス トレ ス 」，「身体的ス ト レ

ス 」，「生 きが い （QOL）」 の 4 っ の 領域で あっ た 。各項 目

へ の 回 答 は，「全 くそ ん な こ とは な い （1）」一 「か な りそ

うで あ る（4）」 の 4件法で求め た。

4．調査方法

　調査方法 は ，講義 の 担当教員に許 口∫を 得た E．で ，集合

調査法 に て 実施 した。

5．倫 理 的配 慮

　調査 の 目的，個人情報 の 守秘の 誓約，調査 は無記名で

実施 し回答 は任意で あ る こ と，得 られ た デー

タは 研究以

外の 口的で 使用 しない こ と を質問紙 の 表紙 に記載した。さ らに ，質問紙 の 配布時に は，凵 頭 に お い て も同様 の 説

明 を 行 っ た。以 上 の 点 で 合意が 得 られ，協 力 が 可能 な者

の み か ら回答 を得た 。

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大学生の perfectionism とメ ンタル ヘ ルス との 関係

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6．分 析 方 法

1）大学生版 Perfe⊂tionism　S⊂aie （MPSUS ）の 作成

　（1）探索的因子分析及び信頼性分析

　　MPS しS の 因子構 造 を明 らか に す る た め に ，探索 的

　因子 分析 （最尤 法 ・Pmmax 回 転） を 実施 した n ま

　た，各因子 の 信頼性 を検証す るた め に ，信頼性係数

　（Cr〔｝nbach’

s α ）の 算出 を行 っ た。なお，分析 に は ，

　 SPSS12 ．0 を川 い た。

　 （2）検証的因子分析

　　探索的因 子分析に よ り拙出さ れ た仮説モ デル の 構成

　概念 妥当性を検証す るた め に，険証的因 子 分析 （最尤

　法 ）を行 っ た u その 際，モ デル の 識別性 を確保 す る た

　め に ，各潜在変数の 分散 を 1 に拘束 し，誤差変数か ら

　観測変数 へ の各 パ ス を 1に拘束した。な お，分析 に は ，

　Amos5 を川 い た。

2）　階 層 白旬重 回 り帚分 オ斤

　大学 生 の perfectionism 及び集団適応効力感が ，メ ン

タ ル ヘ ル ス に’チえ る影響 を検討す る た め に，共分散構造

分析を川 い た階層的重回帰モ デル の 検証を行 っ た 、な お，

分析 に は Amos5 を使用 した t．

皿 　結果

1．大学生 版 Perfectionism　Scale （MPSUS ＞の 作成

1）探索的因 子 分析 及 び信頼性分析

　探索的因子分 析を行 い ，い ずれ の 因子 に 対 して も負荷

量 が 0，40未満 で あ る項 凵及 び，複数の 因 rに 重 複 して 0，4（，

以 上 の 負荷量 を示 した項 H を 除 外 し，項 日選 定 を行 っ た／t

その 結果，固有値 1．O以 Eを示す ， 解釈 可能な5閃子 が

抽出 され た。それ ぞれ の 因 r一に対す る負荷 量 は O．40 以 上

で あり，各 5項 目計 25項 目で 構成 され た （Table　1）。

　第 1因子 は，

「うま くい か ない と， 自分 を責 め た くなる1

な ど の 5 項 凵か ら構 成 され て お り，完全性 を求 め る こ と

に よ り，自分の 失敗や ミス を 過度 に 気 に し，過剰な 自

責 ・惨苦 を経験 す る と い う内容で ある と解釈 され た た め ，「Afraid〔レf　Mistakes；AM （失敗 へ の 不 安）」 と命名 した （α

＝0．846）。 第 2因 f は，「他者 か ら，私 は完檗な人間だ と

思われ て い る 」 な どの 5項 口か ら構成 されて お り，過度

に 他者か らの 評 価 を 気 に し，他者か ら完全性 を求 め られ

て い る と感 じ る内容で あ る と解釈 さ れ た ため ，「−Obje （itive

Evaluatjou ；｛〕E （他者評価）」 と命名 した （tX；〔｝．853），

第 3 因子 は ，「目標 は 高けれ ば高 い ほ ど，や る 気 が で る．亅

な どの 5 項 目か ら構成 され て お り，高い 目標 を掲げ，最

商 の 水準 を 日指 す とい う内 容 で あ る と解 釈 さ れ た た め，「｝ligher　Pu η〕oses ；HI ⊃

（高 い 目標設定）」 と 命名 し た （α

＝0，854）。第 4 因子は ，「忘 れ物が な い か， 何回 も確認 す

る」 な どの 5項 凵か ら構 成 され て お り，準備を丹念 に 行

い，確認作業を繰 り返 し行う内容で あ る と解釈 され た た

め，「Persistent　C 〔mfirmation ；PC （確認へ の 固執）」 と命

名 した （α＝

｛，．832 ）。第 5 因子 は，「休 まず に 授業 に 出席

しなければな らない 」 な どの 5項 Kか ら構成され て お り，

授業内容や成績 に関す る pe ・・fectionism傾向を示す 内容で

ある た め，「Learning　Pe  ection ；LP （学業へ の 完全性）」

と命名 した （α＝0，772 ）。

2）妥当性 の検討

　探 索的因子分析 に よ っ て選 定 され た 5囚 ∫∠25項 目を

基 に，検証的因子分析 に よ る尺度の 構成慨念 妥 当 性 の 検

討 を行 っ た。そ の 結果，それ ぞれ の 潜在変数か ら観測変

数 へ の パ ス 係数 は，い ずれ も十 分 な 値で あ り （O．44i−

0．875 ＞，全て 有意で あっ た （p く0，001）。また，モ デル の

適合を表す 各指標 は，CFI＝O．ge’7，　 AGIF 箒0．877 ，　 CFI

＝O．971 ，RMSEA ＝｛〕．036 を示 し，高い 適 合 性が 認 め ら

れ た （TabEe　1）、

2．階層的重回帰分析

　大 学 生 の pe漁 ctbllism 及 び 集 団 適 応 効 力感 が，メ ン タ

ル ヘ ル ス に 与 え る影響 を階層的 に検討す るた め に，共分

散構造分析 に よる階層的電回帰 モ デル 倹証を行 っ た。そ

の 結 果，Figure　1に 示 す よ うに，　 MPSUS の OE ，　 IIPか

ら集 団 適応効力感へ の パ ス 係数の 慓準化推定値 （OE ：

fi　・一　LO．21Z 　P く0．Ol ；HP ： β ＝＝O．255 ．　p＜0，00　D 及 び ，

AM か ら MHP −1へ の パ ス 係数 の 標準化推定 値 （β＝0，420 ，

pく0．O〔｝1）が 有意な値 を示 した 。また ，集 団適応効力 感か

ら MIIP −1 へ の パ ス 係 数 の 標 準化推定 値 は ，−O．268 を示

した （p くO．OOj）t．さ らに，集団適応効力感及びMHP −1

か ら各因子へ の パ ス 係数 の 標準化 推定値 は，全 て O．1％

水準で 有意で あっ た t．なお，モ デル の 適合度指標は，良

好 な値 が 検出 さ れ た （GFI ＝0．952，　AOFI ＝｛｝．90〔〕，　CFI 亟

O ．966 ．RMSEA ＝0，064） （Figure　1）。

W 　考察

1．大学生版 Perfectioni5m〜cale （MPSU 〜） の 作成

　探索的因子分析 に よる因’構 造 を検討 した結果，「AII’ai （⊥

・fMistakes ；AM 」、「Oblec，ti・ e　Eva］uati ・ n ；OE 」，「High ・・

PurP 〔｝ses ；HP 」，「PersisienL（］onfirmaLion ；PC 」，「Learning

Per・r’eetion ；LP 」 の 5因子各5項 目が 抽出され た。各因 了

σ）α 係数 は，十分 な値 を示 し， 全て の 因子 に お け る内的整

合性 が確認 され，尺 度の 信頼性が 示 唆され た 。 また ， 探

索的因子分析 に よ り抽出 され た 因子構 造 を検討す るた め

に，共 分 散構 造 分 析 に よ る検 証 的 因 子分析を行 っ た 結果，

モ デル の 適 合度 指標 は，許 容 範 囲 内の 数 値 で あ り，尺 度の

64

学校 メンタル ヘ ル ス 　Vol ．12，　M ．22009

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Table 　1　 因子分 析の 結果

因子 負荷量

Fl F2 F3 F4 F5

第 1 因子 ：Afraid　of 　Mistakes　 AM （a ＝O．846）

33．失 敗す る と，自分 が み じめ に 思 え て くる

32 ，大 事 な場面で 失敗 す る と，情 け な くな る

34 ．うま くい か ない と，自分 を賣め た くなる

35 ．失敗す る の は ，自分 に 力が な い とい うこ とだ

31．些 細 な失 敗で も，周 りの 人 か らの評価 は下 が る だ ろ う

0．9020

．8590

．8200

．6410

．440

一〇．085−0 ．043

−0．056−0．0850

．208

一〇．0200

．0140

．0740

．065−0．171

一〇．0260

．009

−0．027−0．0720

．153

一〇．067

−0．119

−0．0360

．0980

．088

第 2 因子 ： Objective　Evaluation；OE （α　・＝O、853）

　20．他者は，私が 良い 結果 を出すの を当然だ と思 っ て い る

　 22 ．他者 か ら，私 は 常に 良い 結 果 を求め られ て い る

　 19，他者 か ら，私 は期待 され て い る

　 24．他者 か ら，私 は完 璧 な人 間 だ と思 われ て い る

　 23，他 者 か ら，私 はで きな い こ とが な い と思 わ れ て い る

0．0730

．097−0．096−0．125−0．064

0．8110

．8020

．7180

．6990

．670

一〇、0370

．0040

．0500

．0080

．045

一〇．026−0．0180

．0190

．028

−O．049

0．0050

．003−0．048−0．031

−0．013

第 3 因子 ：Higher　Purposes；HP 〔α ＝0．854 ）

　 ア，目標 は高 けれ ば高 い ほ ど，や る 気 が 出 る

　 9．高い 目標 を持つ 方 が，自分の ため に なる

　 10，他の 人に は達成で きない よ うな 目標 を立て る

　 12．常 に最高の 水準 を目指 したい

　 39．一度 決 め た こ とは，最 後 まで や り とげ な い と気 が すま な い

一〇．0410

．022−0．0460

．0800

．102

一〇．063

−0．0500

、0790

．183

−O．029

630 、851 一〇．034

50O ．8240 ．025

79O ．7380 ．013

830 、670 一〇．017

290 ．5090 ．027

一〇．004−0、030−0．041

−0．0050

，175

第 4 因子 　Persistent⊂onfirmation 　P⊂ （α＝e．832 ）

27．忘 れ物 が な い か，何 回 も確 認 をす る

28．戸 締 りが で きて い る か ，何 回も確認 をする

26 ，念に は念 をい れ な い と ，気 が す ま な い

30 ．集合時間 や 集合 場所 は ，何回 も確 認 す る

25．どん な に確 認 して も．何 か をや り残 して い る よ うで不安 だ

一〇．110

−0．0860

．0920

．0430

．244

一〇，004　　　　0．012−0．035　　　−0．015

0．079 　　　 0．077−0．051　　　 −0．040−0．006　　　　0．013

第 5 因子 ： Learning　Perfe⊂t「on ，　LP （a ＝O、772）

　 4，授 業 は，私 語 や居 眠 り をせ ずに，集 中 して 受け なけ ればなら ない

　　τ．授 業の 内 容 を聞き漏 ら して は い け な い

　 2．休 ま ずに 授 業に 出席 し なけ れ ば な らな い

　 13，悪い 成績 を取る こ とは 許 され な い

　15 ．良い 成績 を取 る た め に ，試験 勉 強 や レ ポートは，手 を抜 か ない

0．9210

．8280

．6400

．5660

．491

一〇，030−0．0830

．1040

，1750

，153

一〇．0690

，004−0．0790

．126−0．061

一〇．040−0．090−0 ．0980

．2030

．061

0 ．103−0 、027

−0 ．024

−O．1390

．118

一〇．1240

．0640

．034・0．0920

．056

0，8040

、ア070

．7060

．5500

．438

因子 間相関 12345FFFFF 1．000O ．2301

．0000

．1140

．BO61

．000

O．3920

．1020

．2001

．OOO

O．2470

．2690

、4510

．3021

．000

適合 度 指標 ：GFI− 0 ．907 ，　AGFI − O．877、⊂FI＝0，971、RMSEA ＝O．036

65大学生 の perfectionlsm とメ ン タル ヘ ルス との 関係

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リー

ダー

シ ッ プ

＠

e！

e2 信　頼

　 O．359th’th

　　＼0749dett

＠

e3 受　容

O，782tt’社会 的ス トレス e6

集団適応

効 力感

゜9770

．889T±t

e4 共 感 性

一〇 268t±一

一〇．070

0010DO63

一〇Z55”th

一〇 217★★

／

MHP −1

゜’42 °

フ　 002800090

．］23

O．812★ ± t

身体 的ス トレス eア

一〇．　 076

一〇．］37ttt

AM OE HP P（：

QOL e8

LP

GFI≡0．952AGFI＝O、900（：Fi＝O．966RMSEA ≡O．064”’

ρ＜0001 ，k ★pく0．01

Flgure　1　階層的重回帰モ デ ル

構成概念妥当性が 確認 さ れ た．以 Eの こ とか ら，本研究で

作成され た 尺度は，信頼性 と妥 当性を保持 した 尺度 で あり，

大学生の perfectiOnismを アセ ス メ ン トす る こ とが 可 能 な尺

度 で あると言える、

　本研 究 で は，自分 自身 に 完 全 性 を 求め る「自己 志 向 的

完全主義」 の 側面 と して ，「完 奈性の 追求」，「授業に 関す

る perfectionism」，「成績

・結果 に 関す る pelfec・tiuIlism」，

「準備 ・確認に 関す る perfectionism」，「失敗・ミス を恐

れ る傾 向」，「対入関係 に 関す る perf’ectionism 」，「高 い 巨

標を立 て る傾向 」 の 7側面を設定 して い た、しか し，分

析 の 結果，「授業 に関 す る perfectlonisnl」 と

「

成績 ・結

果 に 関す る perfet：Li〔｝nism 」 が，　 LP に 統一され，一

つ の

因子 を構 成 す る に 至 っ た。こ れ は，内 容 を 聞 き漏 らさ ず

に 授 業を受 け る こ とや ， 休まず に 授業に 出席 す る こ とが，

良い 学業成 績 を修 め る こ とに 直 結 す る た め ，

一貫 した過

程 と して一

つ の 囚子 に 統合 され た もの と推察さ れ る。

　 ま た ，1．高 い 目標 を 立て る傾 向 」 に

「完全性 の 追求 」

が 含 まれ ，HP 因．子を構 成 した。桜 井 ・大 谷

1／に よ る と，

自己 に 完全性 を求 め る 完全主 義者 は，まず自己 に 高い H

漂 を課 し，そ の 目標 を完 全 に 達 成 しよ う と努 力 す る こ と

に よ り，完 全に 達成 しなければい け ない とい う思い が 強

くな る こ とが霰告され て い るP。す な わ ち，目標 を達成 し

よ うと努力す る遇程に は，「高 い 口標を   て る傾向」 と 「完

全 性 の 追求」 の 両側面が 含 まれ て お り，一連 の プ ロ セ ス

に あ る と考え られ る。そ の た め，高い Ht／￥を立 て ，それ

を遂行 しようと完全性を追求する 内容が 統合 され，　 ・つ

の 因 子 を構成 した と考え られ る。

　 また，本研究 に お い て 抽 出さ れ た 下位尺度 の 構成 は ，

MSPS1 ｝の 4 ド位尺度 （完 全 で あ りた い とい う欲求，自分

自身に 高い 目標 を課 す傾向 ， ミス を過度 に気 に す る傾向 ，

自分 の 行動に漠 然 と した 疑 い を持つ 傾 向 ）に，他者か ら完

全 陸を 求 め られ て い る と感 じる「社会規定的完全 主 義」 の

側面を加 え た 内容 で あ る と考 え られ る、，MSPS の 「完全 で

あ りた い とい う欲求」 は ，自己 に 求め る peffe¢ tienism の

基本的な性質 で あ る“；。大学生 は

， 課題や授業 とい っ た

学業 上 の 出来 張な どに 対 して，積極 的 に関わ り，改善の

必 要 性 を 自覚 して い る こ とが 報告 さ れ て い る1°）

c この こ

とか ら，大 学 生 に とっ て ，授業や そ の 中で の レ ボートや

66

学校 メ ンタル ヘ ルス 　 VD且，12，　N “．2　2009

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発表 ，ゼ ミ等 の 大学で の 活動 は

， 日常生 活の 大部分 を 占

め る こ とが 推測 され るた め，自己 に求 め る完 全性 の 側而

と して ，LP とい う因子 に 限定 され た こ とが 想定され る。

そ の た め ，本研究で 開発 さ れ た MPSUS は，大学 生 の 特

徴を適切 に捉えた Perfectionism　Scaleで あ る と考える 。

　しか しなが ら，大学生 特有の perfeetiollistnの 要素 の一

つ と して抽出 され る と 予測 して い た，「対人関係に関す る

perfeeLionism」 は ，探索的因 子 分析の 結果か ら は抽出 さ

れ なか っ た 。近年 ， 大学生 を取 り巻 く対人関係 の 問題 が

深刻化 して お り1／s），その 背景に は，perfccLionismを特徴

と した 思考が あ る こ とが 示唆 さ れ て い るIS）c しか し，本

研究の 結果か らは ，対人関係に 関す る perfectionismは 抽

出 されず，仮説 と異な る結果 とな っ た。その た め，今後は，

大学生 の 対人関係 にお け るpert’ee’tionism 思考や行動の 項

目内容を再検討 し，大学 生 の 対人関係の 問題に起 因す る

心 理 的 ・社 会 的 不 適 応 の 予 防 や 改 善に 貢献 した い と考 え

る。また， 本調査 は

， 大学の 授業内に お い て， 対象者が

調査の 内容や 口的に 同意 を した 上 で 調査協力 に至 っ た 事

を考慮す る と，木研究の 対象者が，調査 に協力的で あり，

大学生 活 に お い て も適応度が 高い 集団 に 所属 し て い た 口∫

能性 は 否め な い 。そ の た め，今後，調査対象者の 偏 りが

無 い よ う可能な限 り配慮 し， 幅広 い 大学生を対象 とした

調査 を行 うこ とが 必 要で あ る。

2．階層的重回帰分析

　共分散構造分析 に よ る階層的重回帰モ デ ル を検討 した

結果，モ デル の 適合度 は十分 に高い 値 を示 し，モ デル の

有用性 が 認め られ た。

　 モ デ ル に よる と，大学 生 の 集 団適応効 力感が 高 い ほ

ど，メ ン タル ヘ ル ス が 良好で ある とい う結果が 認 め られ

た。大学 生 の「対人関係」 に類型化 され る相談が 増加 し

て い る実態刻

や，対 人関係が，日 常生 活 の 中で 最 も遭遇

頻 度 の 高い ス トレ ス フ ル な状況 を 作 り出すもの で ある こ

と2’O

か ら ， 大学生 に とっ て，対人 関係 に関する不適応 が

ス トレ ッ サー

となり得 る こ とが推察 され る。そ の・方で ，

対人関係を 円滑に行い ，集団 に 適応して い る こ とが ，ス

トレ ス を低減 させ ．メ ン タ ル ヘ ル ス を 向 上 させ る こ とが，

本研究 に お い て 示唆 された。

　．・方，AM か らMHP −1 へ の 影 響性が 認め られ，ミス や

失敗 を過度 に気 に す る傾 向が 高 い ほ ど，メ ン タル ヘ ル ス

が悪 化 す る こ とが 示 され た。こ れ は ，先行研究［2〕 と同様

の 結果で あ り，日本人 の 人学生 を対象 と した 場 合 に お い

て も， perfectienisnl傾 r励 縞 い 学生 は，あ らゆ るこ とを

完 全 に行 お う とす るた め，失敗を過度 に 恐れ る傾 向に あ

る こ とが 推 測 さ れ た。ま た，完 全 性 を常 に 求め る た め ，

課 題が なか な か達 成 され ず，その 過 程 に お い て 自尊心 や

白信 の 低下やス ト レス の 増幅 を 引 き起 こ し，メ ン タル ヘ

ル ス を悪化 させ る こ とが推察 され る。

　また，OE ，　 HP か ら集団適応効力感へ の 有意な影響性

が 認め られ た。こ れ は，他者か ら完全性 を求め られ て い る

と感 じ る傾向が 高 い ほ ど， 集団適応へ の 自信 が 低 ドす る

こ とを示 して い る。一方，高 い 目標 を掲げる傾 向が 高 い

ほ ど，集団適応へ の効力感が促進 される こ とが 示 された。

先行研究2・221

に よ る と，他者か ら完全性 を求め られ て い る

と感 じ る 「社会規定的完全 主 義」 は，1）eli6cLionism 　Seale

の 中で も，抑うつ な どの 心 理 的不適応 と最も関連す る こ

とが 示唆 され て い る。一方で ，高い 目標を課す傾 向は ，

精神的健康や 適応傾向と関連す る こ とが報告され て い る。

こ れ らの 知 見 と比較して み る と，本研究 の 対象者で あ る

大学生に お い て も，先行研究 と同様の 結果 が得 られた と

考え られ る．

　さ らに ，OE，　 HP の 両 因 子 は，集 団 適応効 力 感 を媒

介 し，MHP −1 に 影響を与えて い る こ とが 示 さ れた。こ

の 結果 よ り，OE ，　 HP は，直接的に メ ン タ ル ヘ ル ス に は

影響 しない もの の ，集団適応効力感が 向上す る こ とに よ

り，メ ン タル ヘ ル ス の 改善 に 寄 与す る 可能性が 見出 さ れ

た。つ ま り，集団適応効力感 は，perfecti  nism とメ ン

タル ヘ ル ス の 調整変 数 とな る とい うこ とが 示唆 された 。

perfecti  nism は，個入 の 中で 安定 したパ ーソ ナリテ ィで

あ る2n

こ とか ら，心 埋 的介 入 に よ る変化 の 可能性 は低 く，

望 ま しい 方向へ と 変容 さ せ る こ と は 容易 で は ない と考 え

られ る。しか し，peribctiOflismの 高い 大学 生 で あっ て も，

集団適応 を促 し，集団適応効力感を 向上 させ る こ とを 目

的 と した 心 理的介 入 に よ り，メ ン タル ヘ ル ス の 改 善や 向

hの 可能性が 見込まれ る と考えられ る。

　 これ まで の先行研究 にお い て，集 団 適応効 力 感 を高め

る介入方法 の 実践例 と して は，Projeet　Adventure（PA ）

が 有 効 で あ る こ とが報告 され て い る2c’・　31 ）

。また，対 人 関

係の 円滑化 を 口的 と した 心 理 的介 入 方法 と して，構成的

グルー

プ・エ ン カ ウン タ

ー32・3’S），ス トレ ス マ ネジ メ ン ト絢

，

ソー

シ ャ ル ス キ ル トレー

ニ ン グ35 ｝

な どが 実践 され ，その

効果が 実証 され て い る。と りわ け，近年で は，生 活 環 境

が 大 き く変化す る大学新 入生を対象 とし， 人間関係の 構

築や 大 学 生 活 へ の 適 応 を 目的 と した 支援 プロ グラム が 実

践 さ れて い る3f’）。そ こ で，今後 は，集 団へ の 適応 を促す

有効 な心 理 的介入 の 実践を行 い， perfectionism傾向を示

す大 学生の メ ン タ ル ヘ ル ス 向上 へ の 効果の 検討を行 う必

要が あ る。その 際，授業 を積極的に 選択 し，出席 して い

る学生は，適応度が 高 い 可能性が あるた め，大 学入 学初

期 に，全て の 新 入 生 を対 象に 予防的介 人 を行 うな ど，不

適応反応が 高 い 学生 へ の 攴援の 必 要性が 高 い と考え られ

る 。 特 に，女 子学生 の 場合，友人 との 関係を維持す る こ

67

大学 生の perfectionism とメ ンタル ヘ ル ス との 開 係

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とや，良好 な 関係が 維持 で き な い こ とが ス トレ ス 要因 と

な るIF’｝

こ とを踏まえ，性差を考慮 した 上 で，プロ グ ラム

を推進 す る必 要 が あ る。

V 　 総 括

　本研究 の 口的は，大学生特有 の Perfectionism　Scale

を作 成 し，

さ らに，集団適応効力感 を媒 介変数 と した

perfectionism とメ ン タ ル ヘ ル ス の 関係性 を検 討す る こ

とで あっ た，そ の 結果，信頼性及び妥当性 を備えた 5因

r一各 5 項 目 （計 25 項 目） か ら 成 る，「MpSUS 」 が 作成

され た。ま た，本研 究 で 作成 され た Perfectionism　Scalc

の「．Afraid　 of 　Mistakes」 か ら MHP −1へ の 直接的な影響

及 び，「OhjecLhe 　Evaluati〔）n 」，「Higher 　Pprposes 」 か

ら集団適応効力感 を媒介 し た間接的な MHP −1 へ の 影響

性 が 認 め られ た 。こ の 結果 よ り，ミス や 失敗 を過度 に 気

にす る．者ほ ど メ ン タル ヘ ル ス が 悪化 し，また，他者評価

を必．要 以 上 に気 に しす ぎ る者 ほ ど集団適応効力感 を低 ド

さ せ ，そ の 結果 と して ，メ ン タル ヘ ル ス が 悪化す る こ と

が 示 さ れ た。一方，高 い 目標 を 設 定 す る こ とは，集 卜rl適

応効力感 を 高め，メ ン タル ヘ ル ス を 向上 させ る 口∫能性 を

示唆 した ，本研究の 結果，集団適応効力感 が メ ン タル ヘ

ル ス の 調 整変 数 で あ る こ とが 認 め られ た こ とか ら，今後，

perfectionig．m 傾向の 高い 大学生 に 対 して は，対人関係能

力の 向．一ヒを図 る トレー

ニ ン グを実践す る こ とに より，メ

ン タ ル ヘ ル ス の 改 善・向 Hが 期 待で き る と考え られ る。

また ，今後 は ，口∫能 な 限 り対象者の 偏 りを解消 し た 調査

を実施 す る 必 要性が あ る 。

【謝辞】

　本調査 を．実施 す るに あた り，快 くご協力 くださ っ た 大

学生 の 皆様に 厚 く御礼申し上げます n

【文 献】

O 石 田 裕 昭 （2005 ）．大 学 生 の完 全 主義 傾 向 と課題 解 決 方 略 の

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学 校 メ ンタル ヘ ル ス

68

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N 工工一Eleotronio 　Library 　

The Association for School Mental Health

NII-Electronic Library Service

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ー・ハッ ス

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ーン診 断検 査

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　 　 トーヨ ー

フィ ジカル

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　　の 関連の 検討一　学校 メ ン タル ヘ ル ス ，9，57−63．31）清 水 安 夫

・煙 山千 尋

・具 志 堅 太

一・尼 崎 光 洋 （2009＞，大

　　学 生 の 野 外 教育 プ ロ グ ラ ム 参加 に よ る 生 きる 力 の 変 容一ラ

　　イ フス キ ル とス トレ ス を指標 と した 検討一　体 育研 究、42，　 　 21 −27 ．32）橋 本健

・煙 山 千 尋

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ー部 員

　　を対象 と した構成的 グル ープ ・エ ン カ ウ ン ター

の 効果一運 動

　　部活 動 内に お け る 成長促 進 的 支援 の 実践一　学校 メ ン タル ヘ

　　ル ス ，11，55−62．33 ）清水安夫 （2003 ）．ス ポーツ に お ける 自己開示 と表現 　体育

　　の 科 学，53 （12），925−929．34 ）平 井啓 ・

平 井麻紀 ・前野 正 子・保坂隆 ・L］田 富美雄 （ZOO5 ）．

　 　看 護 師 に 対 す る構造 化 され た心 理学 的 サ ポー

トグル ープ に よ

　　る 介入 プ ロ グラ ム の 開発 に 関 する 予 備研 究 　心 身医学 研 究，　 　45　（5＞，　359−366，35 〕相川充 （1999 ）．ソ ー

シ ャ ル ス キル 教育 とは何 か 　國 分康孝

　　 （監） ソー

シ ャ ル ス キ ル トレー

ニ ン グ教 育 で 子 ど もが変 わ る

　　　図 書文化

36 ）西村 昭徳・石 崎

一記 （2008），リ レ

ーシ ョ ン を重 視 した オ リ

　　エ ン テー

シ ョ ン が 新入生の 大学生活適応感に 及 ぼ す影 響　東

　 　 京成徳 大学 人文 学部 研 究紀 要，15，51−60．

（2 ‘♪09 年 6 月 30 口受稿／ 2009 年 9 月 29 日受理 ）

69

k 学 生 の perfectionism とメ ン タル ヘ ルス との 関 係

N 工工一Eleotronio 　Library 　

The Association for School Mental Health

NII-Electronic Library Service

<OriginalArticte>

Development ofthe Multidimensional Perfectionism Scale for

University Students : The Relationship between Perfectionism and

SelfeMcacy for Group Adaptation

Chihiro KEMURI"YIAMA i),

Ylisuo SHIMIZU 2}

Abstract

Thc purposc ofthis study was to develop a perfectionism scale fbr university students and to inyestigate the

relationsamongperfectionism,selfefficacyforgroupadaptation,andmentalhearthofuniversitystttdents.

Thc subjects were 240 univcrsity studcnts (male=82, female=158, mean age=19.79, SD=1.07). They were askcd

to answer a set of guestionnaires including a face sheet, Multidimensional Perfectionism Scale for University Students

(MPSUS) which was developed in this study, Selferacacy for Greup Adaptation Scale (Gushiken et al., 2007), and the

Mental Health Pattern (MHP-1; Hashimoto et aL, 2000),

The results ofexploratory factor analysis revealed a 5-factor solution with 25 items ofthe MPSUS. Each of the

factors demonstrated acceptable internal consistency with Cronbach's alpha reliability values ranging from O,772 to

O,8S4, A confirmatory factor analysis indicated rhat the s. tructural validity ofthe MPSUS showed acceptable fit indices

(GFI=O,90Z AGFI=O,877, CFI=O.971, RMSEA=O.036). Covariance Structure Analysis r ¢ yealed that Selfeflicacy

for Group Adaptation was negatively associated with Mental Health Pattern but `EAfraid

of Mistakes" was dircctly and

positively associated with the Mental Health Pattern. On the other hand, "Objective

Eyaluatioli" and "Higher

Purposcs"

are significantly associated with Mcntal Health Pattern indirectly through SelFeMcacy fbr Group Adaptation.

The results suggested that the reliability and the structural validity of the MPSUS as a scale for assessingJapanese

university students' perfectionisnnvas statistiealty satisfied. The rcsult ofeovariance structure analysis revealcd that passcoecacients among each of the scales indicated higher perfectionism negatively influenced university students' mental

health dircctly, On the other hand, selfeMcacy fbr group adaptation moderates the negatiye efllect between perfectionism

and inental health,

In future research, efllective methods ofpsychological and educational intcrvention should be considered in order

te enhanc ¢ sclFeMcacy for group adaptation.

Keywords : uniyersity students, perfectionism, setFeMcacy fbr group adaptation, mental health, hierarchical

regressionmodel

Journal ofSchool Mental Hcalth

2009, Vbl. 12, No.2 pp.61.70

1)GraduateSchooLoflnternationalStudies,J.EObcrljnUniversit}r

2)CoLlegeofHcalthandWelfare,J.F.OberlinUnivcrsity

Corrcspondence concerning this articlc should be sent te : Chihire KEMURIYAMA, Yasuo SHIMIZU Laboratory, College of Health

andWelfare,J.F,OBERLINUniversity,3758TokiwaMachida,TokyoJapan194-O294(E-mailaddress:kem-chern@hetmail.co,jp)