ネコでも分かる suprime-cam データ解析

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ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析. 国立天文台  小宮山 裕. すばる主焦点カメラ (Suprime-Cam). 8m 級望遠鏡の中で最大の視野 ( 直径 30 分角 = 満月の大きさ ) を持つすばる望遠鏡主焦点に取り付けらた、 2048 x 4096 pixel CCD を 10 枚並べた 8 千万画素 CCD カメラ すばる望遠鏡の観測時間の約 30 %で使用されている すばるが世界に誇る観測装置. すばる主焦点カメラ (Suprime-Cam). Suprime-Cam 2048x4096 pixel の CCD が 10 枚 - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

ネコでも分かるネコでも分かるSuprime-CamSuprime-Cam データ解析データ解析

国立天文台  小宮山 裕国立天文台  小宮山 裕

Page 2: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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すばる主焦点カメラ (Suprime-Cam)

• 8m 級望遠鏡の中で最大の視野 ( 直径 30 分角 = 満月の大きさ ) を持つすばる望遠鏡主焦点に取り付けらた、2048 x 4096 pixel CCD を 10 枚並べた 8 千万画素 CCD カメラ– すばる望遠鏡の観測時間の約 30 %で使用されている– すばるが世界に誇る観測装置

Page 3: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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すばる主焦点カメラ (Suprime-Cam)

• Suprime-Cam– 2048x4096 pixel の CCD が 10

枚– CCD チップ間にギャップがある

• 通常の観測– フィルターを装着し、特定の波

長の光を透過させ、 CCD で受ける

• 単色(白黒)画像が得られる

– 数秒から数十分間シャッターを開きっぱなしにして、 CCD に光をためる ( 積分、露出、露光 )

Page 4: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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データ解析とは

• 天文学者の目指すこと– 天体から放射される光を数値化する– そのために、

• より多くの光を集めるために望遠鏡を使用する• 望遠鏡で集めた光情報を記録するために CCDを使用する

• 我々が手にするのは・・・画像ファイル– 天体からの光は、観測する過程において、大気・望遠鏡・ CCDなど様々な要素から様々な影響(変形・変換・加算などなど)を受け、デジタルデータ(画像ファイル)となる

– これらの影響(変形・変換・加算などなど)を補正して、天体から来る真の光強度を画像ファイルから導き出すことが必要になる

Page 5: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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天体からの光が画像ファイルになるまで

星間物質 大気 望遠鏡光学系 フィルター CCD エレキ

吸収・散乱 吸収・散乱Seeing

Sky

吸収・反射Geom.Distortion

吸収・反射 QE

Bad pixel

Dark

バイアス

文献・色で補正

標準星Smothing

Sky sub.

Flat

Dist.Correction

Flat Flat

Triming

Dark sub.

Bias sub.

光電気信号

画像ファイル

基本的には手順を逆にたどって補正していけば元の情報 (天体からの放射 )を導くことができる

Page 6: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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天体からの光が画像ファイルになるまで

• 数式で表すと、– 天体からの光は、

raw = ((object + sky) ・ tobs ・ flat +dark ・ tdark)/gain + bias

– 空間情報は、raw(x,y) = opt(atm(object(x,y))

object raw

Page 7: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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データ解析に必要な情報

• 画像ファイル– 天体が写っている画像– 較正用 (Calibration) 画像

• 観測装置固有情報– ハワイ観測所  Suprime-Cam のページ

• http://www.naoj.org/Observing/Instruments/SCam/index.html

– Suprime-Cam の論文• Miyazaki et al. 2002, PASJ, 54, 833

• 文献– ADS: http://ads.nao.ac.jp/

• Web リソース– NED: http://nedwww.ipac.caltech.edu/

Page 8: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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データ解析の基本 :  FITSファイル

• 天文用画像ファイルの基本フォーマット– Flexible Image Transport System

• http://www.fukuoka-edu.ac.jp/~kanamitu/fits/

– ヘッダー部• 観測情報 ( 日時、座標、積分時間、フィルター、など )• 普通のテキストファイルのように、 more コマンドなどで

見ることができる– e.g., more SUPA00017034.fits

– データ部• ヘッダー部で指定された形式(データのバイト数やピクセ

ルの数など)に従って記述されている– Suprime-Cam の生データの命名規則

• 名前 ( 例 ):   SUPA00017456.fitsSuprime-Camの生データ

データ番号(Frame ID)

Page 9: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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データ解析の基本 :  FITSファイル画像 Viewer

• ds9– 開発 : SAO– http://hea-www.harvard.edu/RD/ds9/

• skycat– 開発 : ESO– http://archive.eso.org/skycat/

Page 10: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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データ解析の基本 : 画像解析ソフト

• IRAF– http://iraf.nao.ac.jp/

• MIDAS• SExtractor

– http://terapix.iap.fr/rubrique.php?id_rubrique=91

• SDFRED( ねこソフト )– Suprime-Cam の画像解析 ( 一次解析 ) に特化

• http://optik2.mtk.nao.ac.jp/subaru_red/SPCAM/• 複数のショットを合わせて一枚の大きな画像にするまで ( 半 ) 自動

でできる– 本解析実習ではこれを使用する– 質問・困ったときには・・・

[email protected] にメールで問い合わせ

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データ解析の流れ : SDFRED

• 画像ファイル名変換・画像確認 namechange.csh• Bias 引き・ overscan の切り取り overscansub.csh• Flat 作り mask_mkflat_HA.csh• 感度補正 ffield.csh• ゆがみ補正・微分大気差補正 distcorr.csh• PSF あわせ psfmatch_batch.csh• Sky の差し引き skysb.csh• AG Probe の影をマスク mask_AGX.csh• 画像のマスク blank.csh+• Matching( 組み合わせ規則作り ) makemos.csh• Mosaicing( 組み合わせ ) imcio2a• 一枚の大きな画像の完成!

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Suprime-Cam データの Jargon

• chip: 1枚の CCD、または CCD画像• frame: 1枚の CCD画像• shot: 1回の積分、または同時に撮られた CCD画像 10枚組み

Page 13: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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Bias Subtraction

• Bias とは– CCD のピクセルにたまった電荷を AD 変換

する際に付加される電圧が Bias 電圧VCCD=QCCD/C V = VCCD+Vbias AD 変換 : DN=f(V(x,y))

=f(VCCD(x,y))+f(Vbias(x,y))– Bias は CCD 読み出しエレキによって付加されるも

ので、天体からの光ではない 差し引くことが必要– 電荷 0 の状態で CCD を読み出すことによって Bias

画像  f(Vbias(x,y)) を得ることができる。– しかし Suprime-Cam の場合は Bias 画像は使わず、

代わりに overscan 領域で Bias 画像の代用とする

CCD

+

Bias

ADC

画像

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Bias Subtraction

• overscan とは– CCD は素子上を電荷が転送される– 実ピクセル数以上読み出せば、仮想的に電

荷 0 の状態を読み出すことができる (overscan)

– Suprime-Cam では各 columnごとに overscan から bias レベルを推定する

• overscan から bias レベルを推定し、画像全体から引き算してくれるタスクが、 overscansub.csh

• このタスクにより同時に overscan 領域が切り取られる– したがって出来上がった画像のサイズは小

さくなる2048pix32pix

Page 15: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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Flat Fielding

• 天体からくる光は 100 % CCD で受け取れるか?– 否。各所でどんどん減光されていく I = I0 ・ K ・ f(x,y) – 視野内で一様なもの (K)

• 星間吸収と大気による吸収は視野内で(ほぼ)一様– 視野内で不一様なもの ( f(x,y) )

• 望遠鏡光学系によって視野端に減光を受ける部分がある• フィルターの透過率も場所ごとに若干異なる• CCD もピクセルごとに異なる QE を持つ

– これら視野内で不一様な感度のムラをすべてひっくるめて補正するのが flat fielding

• どうやって補正するか?– 空間的に一様な光源が望遠鏡の前にあればいい

• dome flat screen に光を当てて一様 ( っぽい ) 光源を作る△

• object flat 画像の天体以外の部分を一様光源とみなす ○• twilight flat 日没直後・日出直前の空を一様光源とみなす△

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Flat Fielding

• object flat– 天球上で天体以外の部分 (sky) から来る光は空

間的に一定であるとみなす object 画像に写っている sky は f(x,y) を表す

– 十分な数の大きな良質な object 画像が必要• 一声 15 ショット以上必要• 良質= sky のカウントが十分。広がった天体が

写っていない。天体が混んでいない• 同じランのもので作るのが望ましいが、前後数ヶ

月くらいのものを混ぜて作ることもある

• object 画像 ( または domeflat, twilightflat 画像 ) から flat 画像 ( f(x,y) ) を作るタスクが mask_mkflat_HA.csh 、できた flat 画像で各 object 画像を割るタスクが ffield.csh x

f(x)

x

I(x)

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Geometry Correction

• 望遠鏡光学系により– 光軸から軸対象にスケールが変わる ( 像面歪曲、

distortion) : すばる主焦点固有の parameter あり

– 大気分散補正系 (ADC) で補正しきれないスケールの視野内の差が生ずる ( 微分大気差 )

• これらを補正するためには、画像変形(画像のピクセルグリッドの切り直し)が必要。このタスクが distcorr.csh– 二つの補正を一回にまとめることによって空間

情報の劣化を防ぐ– 出来上がった画像は周辺部に blank pixel (無効

ピクセル ) ができていて、光情報を含んでいるピクセルの形はもはや四角ではない。

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Sky Subtraction

• object 画像には天体からの光に加えて、大気の放射光、黄道光などの光が加算される。これらの光をまとめてsky(background) と呼ぶ

• ところが、 sky は空間的時間的に変動している。このため、各画像の sky は各画像から求めるほかない。– ユーザー指定のグリッド内の各ピクセルのカウントの分布を調べ、最頻値近くの値をとる

– グリッド間は bi-linear で補完する– Sky を推定し、画像から引き去る

タスクが skysb.csh– SDFRED では sky に対して天体が少ない

ことを仮定しているので、広がった天体などの場合には使えない

• 自動化は至難。 SDFRED では不可能

カウント値

頻度 sky

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Sky Subtraction

Mesh75pix

Mesh500pix Original

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多数画像の重ねあわせへ

• ここまで行ってきた操作は個々の CCD 画像のみ操作。1 枚だけの単一 CCD の解析はこの程度をやっておけばOK– Geometry Correction は他の望遠鏡・装置では必要ないことも多い

– 多くのソフトは独自に sky推定機能を持っているので、前述のsky subtraction は必要ないこともある

• S/N をあげるために多数の画像を重ね合わせる– S/N = ( 天体からの photon 数 )/( 主に sky からのノイズ )

= nobject / sqrt(nsky) = N ・ n0,object / sqrt(N ・ n0,sky)

∝ sqrt(N)– 画像の重ね合わせをするために特有な画像処理が必要になる。その方法をこれから見ていく

Page 21: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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通常の Suprime-Cam の観測方法

• Dithering– CCDのギャップを埋める– CCDの欠陥 (bad column)などを補完する意味もある

• S/Nをあげるためには– 相対的な位置– 観測条件の異なる画像を多数重ね合わせていくことが必要となってくる

Page 22: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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PSF Matching

• 点光源 ( 星 ) の光は、大気・光学系などの影響によって広がった星像として観測される。この星像の広がりを Point Spread Function (PSF) と呼ぶ

• 通常は大気ゆらぎによる影響が支配的なので、PSF は近似的に gaussian で記述することが多い

• 異なる PSF を持つ画像同士を重ね合わせる前には PSF の形を揃えてから重ね合わせる– 天体の形情報(と光強度)を損ねないため– 1 の gaussian を 2 の gaussian にするためには、 sqr

t(22 -1

2 ) の gaussian を畳み込んでやればよい

• 各画像の PSF の大きさを測定し、最大の大きさの PSF に形を揃える ( 画像をなまらせる ) タスクが psfmatch_batch.csh

+

Page 23: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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Mask

• 最終画像に使えない部分にはマスクをかけ、以後使わないようにする– Auto guider の影

• Auto guider は焦点面の直前にあるため、たまによいガイド星がない場合に Auto guider が視野中心側に出てきて、 Suprime-Cam の画像上に影を作る。

• この影は光学系によるケラレと同種なので補正できるが、 SDFRED では影の部分にマスクをかけて以後使わないようにしている。

• これを自動で行うタスクが mask_AGX.csh

– bad pixel 、 bad column 、人工衛星の trail 、cosmic ray 、 etc

• これらは blank.csh などを使ってマスクをかけていく

AutoGuider用 CCD

AutoGuider

Page 24: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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Matching

• 多数の画像を重ね合わせるには・・・– 画像に写っている天体(主に星)を使って、 frame 間の相対的位置、回転を決める

– 同時に天体の明るさから、 frame 間の相対的な明るさの比を決める

• このようにして、多数の画像間の相対的位置・回転・明るさの比の組み合わせを決めるタスクが makemos.csh

Page 25: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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Mosaicing

• Mosaicing– Matching で決まった多数の画像間の相対的位置・回

転・明るさの比の組み合わせに基づき、画像を並べて足し合わせる。このプログラムが imcio2a

– 重ね合わせの際にはオプションがある

• Median: CR や移動天体などはきれいに消えるが、 flux を取りこぼす可能性がある

• Mean: flux は保存するが、 CR や移動天体などが残る

• 一枚の大きな画像の完成

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その後の処理

• 標準星解析– 1 カウントが何等級に相当するか?– 明るさの分かっている星(測光標準星)を観測する

ことによって、等級原点を決定する• Color 補正 :   Suprime-Cam のフィルターと標準星の測光

に使われたフィルターとの間の微妙な違いを補正する• Airmass 補正 :  大気による吸収量は大気の厚みに比例する

として、補正をかける。

• 吸収補正– 星間物質による吸収を(必要に応じて)補正する– Schlegel et al. 1998, ApJ, 500, 525

Page 27: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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Photometry

• Photometry とは– 天体の位置や明るさ、大きさなどを測定すること– お手軽 photometry ソフト : SExtractor

• 銀河研究者の多くが使用• 天体の検出から測光までほぼ自動でやってくれる

– DAOphot• PSF fitting photometry• 星が混んでいる領域専用

– 実はねこソフトにも”measure” という測光ソフトが同梱されている

E. Bertin

Page 28: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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Astrometry

• Astrometry とは– 画像上の座標 (x, y) と天球上の座標(赤経赤緯)の

間を較正し、画像上に天球座標を張ること• 球面である天球を平面に投影したものが画像であるため、

単純な一次変換ではない。通常 3 次式以上で展開。– 位置標準星カタログ

• USNO-A2.0 catalog• 2MASS point source catalog

– World Coordinate System (WCS)• 画像の x,y を RA, Dec に ( 一次 ) 変換する係数が FITS 画像

に埋め込まれている• Suprime-Cam の単一画像にもついている。 ds9 などで出て

くる。ただし精度はよくないので注意が必要。

Page 29: ネコでも分かる Suprime-Cam データ解析

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3色合成

• 異なるフィルターで撮られた同じ領域の画像をRGB各色に割り振ることによって、 3 色カラー画像を作る– 右図 (Sextans A) の場合

• B V バンド画像• G R バンド画像• R I バンド画像

– ソフトウェア• IRAF: rgbsun

raster 変換• convert

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画像解析から Scienceへ

• フィルター 1 バンド– 光度関数 ( 星・銀河 )– 変光天体 (超新星、変光星、 AGN 、 MACHO 、系外惑

星 )– 移動天体 (衛星、小惑星、 KBO)– 形状測定 (重力レンズ、構造解析 )

• 複数のフィルターを用いる– 色を使った天体の classification

• High-z galaxies (LBG) 、星や銀河の色等級図– 特定の波長で光っている (吸収がある ) 天体の検出

• Ly emitter, 輝線領域、低金属量星– 距離の推定 (photometric redshift)– 星種族の推定 (SED fitting)