球状黒鉛鋳鉄の衝撃値などについて · u.d,c. dる9.13l:d20.け8:74d...

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U.D,C. dる9.13l:d20.け8:74d 球状黒鉛鋳鉄の衝撃値などについて Impact Vaiue$QfSpheroidalGraphite CastIron 西 夫* 一* 球状黒鉛鋳鉄の衝撃値を向上するために行った実験結果について述べた。すなわち化学成分中Cを 2・5~4.0%,Siを1.5、3.5%,Mnを0.2~1.4%,Pを0.03~0.15%の範囲に変化せしめてその衝撃値 の変化を調査し,あわせて硬度,引張強さも一部につき調査した。なお顕微鏡組織との関連性特にフェ ライト量,パーライト呈,男鉛量およびその大きさなどの衝撃値にあたえる影響がわかった。 〔Ⅰ〕緒 球状黒鉛鋳鉄の衝 値に関してi・ま, れているが,少数の試料によってその化学成分と衝撃値 との関係をしらべたものが大部分で,各元素の影響も使 用原料銑がことなり製造方法がことなるためか必ずしも 一定していない。 また球状黒鉛鋳鉄の黒鉛量ならびにその形状,大小と 値の関係忙ついては,取扱が困雌なためかほとんど 発表がない= このため現在不足しているデータを補充 し,かつもつとも衝 となる成分範囲を定めるた めにこの実験を行った。 実験を行うにあたってほ,通常の 球状黒鉛鋳鉄の成分元素中,比較的 に影響が大であると考えられるC, Si,MT】,Pの四元 について調査す ることにした。各元素の単独の影響 ほある程度判明しており,カ 材料の関係などから実験回数も制限 されたので,(C,Si)および(Si, Mn,P)の組合せにより検討した二. 〔ⅠⅠ〕実験方法 u‖ 第1図 イ♂ /十 2J _.ノ_シウルピー試尾 ∴・-・「-1; Fig.1.Casting of TestPiece 東北電気銑(No.79) 凍北電気銑(No.89) 本院湖 低燐銑 Fe-Si Fe-Mn Fe-P 3.8211.17 3.85 C,Si,Mn,Pの四元素の影響をす べて組合せることが,実験回数の関係で不可能なので, 二つの系列にわけて行った。すなわち第一系列はC-Si の二元酉己置で,第二系列はSトMnAPの三元酉己置の組合 せにより実験を行った。 第一系列はCを2.5,3.0,3.5,4.0ノ%,Siを15,2.0, 2.5,3.0,3.5%の各々の組合せにより20槙 の試料を,50 kgの高周波電気炉を用いて熔製したr.弟】図aにホす 片に鋳造し,国中に示す位置からJISA-4号妄 びにシヤルピー衝 第二系列はSi l.0,1.4%,Pを 試片を採取した。 片なら を1.5,2.0,2.5,3.0%,Mnを0.2,0.6, 0.03,0.07,0.11,0.15%のおのおのの弧 合せにより64畦の試料をタンマン電気炉を用いて熔 * 日立製作所亀有工場 0.28 0.029 0.4 0.02 0.27 0.036 0.06 0.024 73.92 24.44 た。.弟】図bに示す を採取した。 使用 片に鋳造しシヤルピー衝撃試験片 解材料は東北電気銑を主とし, 軟鋼屑,木炭粉,Fe-Si,Fe-Pなどを これに低燐銑, 加して成分を 整した。これら使用材料の化学分析値を弟1表に示し た。 一部の試料は完全焼鈍を目標として,9000cで1時間 保持後700~740DCに(Si%により変化させ)24時間保 持して焼鈍を施した⊂. 鋳造のまゝのもの,および 鈍したものにつき,第→ 系列においてはシヤルピー衝撃試験,引張試験,硬度試 験を行いかつ顕微鏡組織を調べた。第二系列においては シヤルピー衝撃 険および硬度試験を行い,顕微鏡組織

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U.D,C. dる9.13l:d20.け8:74d

球状黒鉛鋳鉄の衝撃値などについてImpact Vaiue$QfSpheroidalGraphite CastIron

西 山 太 夫* 小 池 敬 一*

内 容 梗 概

球状黒鉛鋳鉄の衝撃値を向上するために行った実験結果について述べた。すなわち化学成分中Cを

2・5~4.0%,Siを1.5、3.5%,Mnを0.2~1.4%,Pを0.03~0.15%の範囲に変化せしめてその衝撃値

の変化を調査し,あわせて硬度,引張強さも一部につき調査した。なお顕微鏡組織との関連性特にフェ

ライト量,パーライト呈,男鉛量およびその大きさなどの衝撃値にあたえる影響がわかった。

〔Ⅰ〕緒

球状黒鉛鋳鉄の衝 値に関してi・ま,

さなが

れているが,少数の試料によってその化学成分と衝撃値

との関係をしらべたものが大部分で,各元素の影響も使

用原料銑がことなり製造方法がことなるためか必ずしも

一定していない。

また球状黒鉛鋳鉄の黒鉛量ならびにその形状,大小と

衝 値の関係忙ついては,取扱が困雌なためかほとんど

発表がない= このため現在不足しているデータを補充

し,かつもつとも衝 となる成分範囲を定めるた

めにこの実験を行った。

実験を行うにあたってほ,通常の

球状黒鉛鋳鉄の成分元素中,比較的

に影響が大であると考えられるC,

Si,MT】,Pの四元 について調査す

ることにした。各元素の単独の影響

ほある程度判明しており,カ 解

材料の関係などから実験回数も制限

されたので,(C,Si)および(Si,

Mn,P)の組合せにより検討した二.

〔ⅠⅠ〕実験方法

u‖

第1図 鋳

イ♂

†ガ

/十 2J

_.ノ_シウルピー試尾∴・-・「-1;

追 試

Fig.1.Casting of Test Piece

東北電気銑(No.79)

軟 鋼 屑

凍北電気銑(No.89)

本院湖 低燐銑

Fe-Si

Fe-Mn

Fe-P

3.8211.17

3.85

C,Si,Mn,Pの四元素の影響をす

べて組合せることが,実験回数の関係で不可能なので,

二つの系列にわけて行った。すなわち第一系列はC-Si

の二元酉己置で,第二系列はSトMnAPの三元酉己置の組合

せにより実験を行った。

第一系列はCを2.5,3.0,3.5,4.0ノ%,Siを15,2.0,

2.5,3.0,3.5%の各々の組合せにより20槙 の試料を,50

kgの高周波電気炉を用いて熔製したr.弟】図aにホす

片に鋳造し,国中に示す位置からJISA-4号妄

びにシヤルピー衝

第二系列はSi

l.0,1.4%,Pを

試片を採取した。

片なら

を1.5,2.0,2.5,3.0%,Mnを0.2,0.6,

0.03,0.07,0.11,0.15%のおのおのの弧

合せにより64畦の試料をタンマン電気炉を用いて熔

*

日立製作所亀有工場

0.28 0.029

0.4 0.02

0.27 0.036

0.06 0.024

73.92

24.44

た。.弟】図bに示す

を採取した。

使用

片に鋳造しシヤルピー衝撃試験片

解材料は東北電気銑を主とし,

軟鋼屑,木炭粉,Fe-Si,Fe-Pなどを

これに低燐銑,

加して成分を

整した。これら使用材料の化学分析値を弟1表に示し

た。

一部の試料は完全焼鈍を目標として,9000cで1時間

保持後700~740DCに(Si%により変化させ)24時間保

持して焼鈍を施した⊂.

鋳造のまゝのもの,および 鈍したものにつき,第→

系列においてはシヤルピー衝撃試験,引張試験,硬度試

験を行いかつ顕微鏡組織を調べた。第二系列においては

シヤルピー衝撃 険および硬度試験を行い,顕微鏡組織

試料番号

2.522.48

2.57

2.55

2.49

2.92

3.02

3.17

3.14

3.07

3,56

3.39

3.41

3.42

4.14

4.044.23

4.18

4.13

G.C

l.751.78

1.92

1.93

1.88

2,14

2.11

2.47

2.52

2.47

2.87

2.77

2.66

2.81

2.71

3.26

3.20

3.393.33

3.29

Si

l.45

1.99

2.50

2.94

3.52

1,45

2.01

2.48

2.95

3.44

1.52

1.99

2.57

2.96

3.46

1.61

2.13

2.57

3.15

3.55

第 一

系 列 の 分 析 値ChemicalComposition of First Series

0.26

0.27

0.27

0.29

0.29

0.27

0.270.28

0,28

0,28

:-∴::0.32

0.28

0.29

0.29

0.34

0.35

0.31

0.34

0.34

0.047

0.040

0.036

0.040

0.041

0.031

0.031

0.028

0.032

0.030

0.039

0.030

0.042

0.028

0.032

0.045

0.033

0.0340.043

0.02l

0.022

0.024

0.021

0.026

0.020

0.019

0.016

0.026

0.020

0.014

0.019

0.016

0.019

0.020

0.019

0.022

0.023

0.022

0.024

0.019

史U2551

91770

16」∴

r

r

r

r

r

r‥r

r

r

r

G

TTTTT

TTTTT

6(UO

600

0.066

0.058

0.063

0.055

0.053

0.041

0.0640.041

0.053

0.049

55

0(UOOO

22

33333

lhJ5555

00000

33333.44444

05(UrJ

5(U5∧U5

5(U5(U5

2233

12233

12233

Mg処理は Cu-Mg(72:28)合金で行い,Fe-Si(Si75%)で接往した。

第 二 系 列 の 分 析 値ChemicalComposition of Second Series

ー53

773(U

5566

66143

5仁U866

11111

1412q)

55745

TLl

l

l

l

06324

79(U12

11222

6.443q)

8110(U

12222

3.4

0011.

953

34.4-

111.

95177

32222

10000

74663

66660

00001

523(古

0(UO3

1111

54950100

281

001

00〇.

139039槻11316900(U(UO

0(X)246

45り〃34

00110

(UO(UOO

61873

71一436

01100

00000

1.41■

0.

0.27 0.

0.25:0.075

0.29.0.100

4091

2322

0000

(U(UOO

0220

89408

31239】

00000

00000

10694

33323

(UOOOO

OOOO(U

09922

33223

0000▲nV

OO(UOO

0290

32ュ

.4.4.4-4

0000

3

5(U753

.4

4。4-3.45

0

0(UOOO

41211

44.4一44

0000(U

31278

44433

(UOO(UO

96亡UO

333一4-

∧UOOO

53479

96広U65

33333

92812

76866

33333

95195

66686

33333

769

0064

333

735一633

36311

35595

33333

2.59 0.25

2,57!0.63

2.61.0.61

2.44

.2.622.93■ 2.71

0

lL

2.98iO.252.9410.24

雲:3享;3:喜…3.17:0.49

∧U31.133

1937000〇.

6〔0

05110〇.

772ウ】5

36153

0▲nVl10

(UOOO(U

38357

71637

▲n)l100

<U(UOOO

00(UO

1569

2232

0000

0000

3200

66600

2り]332

∧UOO(UO

OOO(U(U

670【02

22323

00000

(UOOOO

99q)56

23122

爪U(UOOO

OO(UOO

8206

4443

00(U(U

4433

0000

ll

lll

l1

00000

00

00(UO(U

OO

l⊥0(U

(U(U

9nU

430

.39

00

90635

35233

00000

Mg一処理 九すg-Yi-Fe(24:65:11)合金を使用

100

010

lュl1

00(U▲‖)

0(U(UO

llll1

00000

000(U(U

0.01

0.01

0.01

0.01

0.01

0.01

0.01

0.01

0.01

をしらべた。

なお本実験においては衝撃試験片は切欠のないものを

使用した。

試料の化学分析値ほ,第一系列を弟2表に第二系列を

弟3表に示した。

(り C′S;を変化した場合の衝撃値

鋳放しおよび焼鈍の衝撃値を弟2図に示Lた=鋳放し

ではSiの低いほど衝撃値が高く,焼鈍したものではS壷

が2~2・5%で最高値を示しており,Cが低いほど高い

値を示している。 片に鋳造上の欠陥を認めたものをの・

ぞいて有意差換定を行った結果,鋳放し,焼鈍いずれの∫

場合においてもCおよびSiが1%の危険率で有意で

、!い.

---一統能

一一●

へN軽やか下′や)

噂湘

⑦②④

⑦-・・、

⑧④

上、・、、

〆二一一、ミ

鉛 鋳 鉄

β=2.∫%

C=jβ%

C=言古%

β==4.β%

\ホヤ、

ヾ∴・

/J 2♂ 2.J プ♂.タJ

∫/(%)

2図 衝撃値己・こ対するSiおよごCの影響

Fig.2.Effect of Silicon and

Content onImpaet Value

(N鞋宗一さ)

嬰蘭島

Carbon

、-さ- .:トー

〟〃(%)

んグ

の 衝 撃 値 等 に つ い て

・∴㌻、∵ト・せ一

些■

J

悍 -J・-、ご

〃〃 (%)

第4図 衝撃値に対するMnおよびPの影響

(Si2.0%)Fig.5.Effect of Manganese and Phosphorus

Content onImpact Value(Si2.0.?i)

(N尽心㌣烏)嬰蘭蕪

第3図 衝撃値i・こ対する Mnおよび二 P の影響

(Sil.5%)Fig.3.Effect of Manganese and Phosphorus

Content onImpact Value(Sil.5%)

あることがわかった。

なお統計的手法により等間隔の場合の直交多項式し2)を

利用して衝撃値 yの函数型を推定して,つぎのごとき

実験式をえた。

鋳放し状態でほ

y=1.88-1.52(C-3・25)一1.Oi(C-3.25)2-0.313)

-1.16(Si-2.5ト ‖(1)

∴' 押- ∴ノ こ了

〟刀(%)

第5図 衝撃値に対するMnおよご:Pの影響

(Si2.5%)Fig.5.Effect of Manganese and PhosphoruS

Content onImpact Value(Si2.5_%)

焼鈍状態では

Y=9.72-1.80(C-3.25)一1.04(Si-2.5)一3.64((Si

-2.5)2-0.5)……………(2)

ただしCおよびSiほ分析値(%)である。

日 立 評

(N§や㌣阜)聖跡間違

β

J

三/1、

d肝l 金 属 特 集 第2集

βJ /♂ Jイ

〝〝(%)

第6図 衝撃値に対するMnおよびPの影響

(Si3.0%)Fig・6・Effect of Manganese and Phosphorus

Content onImpact Value

(2)Si′Mn′Pを変化した場合の衝撃値

鋳放しおよび焼鈍状態の衝撃値を弟3図~葬る図に示し

た。困のパラメータはPで㊤P=0.03%,(可P=0.07%,

桓)P=0.11%,④P=0.15%である。

MnおよびP の増加とともにあきらかに衝撃値が低

下している.コSi3%ではMnによる衝撃値の低下率が緩

和されている。有意差検定を行った結果は,鋳放しでは

Mnが1′%の危険 で,Pが5%の危険率で有意である。

焼鈍状態でほMnおよびPが1%の危険率で有意であ

●●

統計的手法により 間隔の場合の直交多項式を利用し

て衝撃値yの函数型を推定して,つぎのごとき実験式

をえた。

鋳放しでは

y=1.82十0.262(Si-2.25)一1.4‡(Sト2.25)2-0.313†

-1.15(Mn-0.8)+0.42((Mn-0.8)㌻-0.2I

-11.4(P-0.09)

焼鈍状態でほ

y=4.80-0.238(Si-2.25)一0.681((Si-2.25)2

-0.313-3ユ2(Mn-0.8)-0.578†(Mn-0.8)2

-0.2)一42.0(P-0.09)-122((P-0.09)2

ー0.002)

ただしSi,Mn,Pは分析値(%)である。

(3)C.~s;を変化した場合の引張強さ,硬度,伸び

C,Siを変化した第一系列の鋳放しおよび焼鈍状態の

(~ミ量)

功群鱒諒

へhmハ)

∴・\、

ぼ②㊨†

④②⑦⑦

、.′…≠\

・㌧.度

イr;妄㌢

話芸表声≠

ゴ・・、、ミ■

一一■、-、

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′′ メご~、≠、

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好一----、、Jo\、、

、→--、 ヽ③

、、 0

、、-④

/J 2(フ Z5 jβ JJ

J/(%)

第7図 第一系列 の 機 械 的性質Fig.7.MechanicalProperties of First

Series Samples

引張致さ,硬度および伸びを第7図に示した。l頸のパラ

メータはCでITC=2.5%∴富)C=3.0,%,(罰C二3.5ノ%,(牟

黒 鉛 鋳 鉄 の 衝 撃 値 等 に つ い て

%No.

800

782-2

788-12

3

786-1

2

785-12

3

783-12

765

784-1

2

793-1

2

769

792-1

2

T-3

T-28

T-57

T-31

T-58

T-27

T-47

T-20

T-48

T-9

T-34

T-11T-41

T-61

T-51

T-45

2.512.48

2.57

2.55

2.49

2.92

3.02

3.173.14

3.07

3.56

3.39

3.41

3.42

3.36

j.14

4.04

4.23

4.18

4.13

3.91

3.563.69

3.68

3.55

3.64

3.633.69

3.62

3.26

3.81

3.75

3.65

3.57

3.53

3.86

500

7711.

239911

831

黒 鉛畳 な ら び に フ エ ラ

Relation betweepImpact Value

C.C

%

2.14

2.11

2.472.52

2.47

2.87

2.772.66

2.81

2.71

3.26

3.20

3.39

3.333.29

3.17

2.91

2.80

2.912.94

3.01

2.93

2.92 L

0.76

0.70

0.65

0.62

0.61

0.78

0.91

(U2∧U

766

00(U

937「▲5

66766

0(UOO<U

84454

ハ0888(古

ハU(U(UOO

・4▲5971

760076

0000(U

3(U7

677

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2.502.94

3.52

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l

qU54

049.4

2223

29766

5q)594

112ウ】3

13755

銘U1515

12233

3465(8

01105

22222

ll(U

675

222

1.57

1.66

1.63

1.42

3.07

2.97

2.95

2.91

・C=4,0_%である.。

引張強さほ,鋳放しではSi2%位で最大値を示し焼鈍

イ ト 量 と 衝 撃 値の 関係

andGraphiteandFerriteContent

値 kg一叫cm2;検鍬こよるフェライト量%Mn

0.31

0. 7799

2222

77888

22222

∧U

OOO∧U

32更Uq)q)

33222

0000(U

.451.44

33333

0(U(UO

O

l▲4515

26042

0011(U

135(U3

6〇.436

(Ul100

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(U▲4り力60

11(UOl

.201

3685。4

11100

51557

32110

62997

33110

l16史U.4

2210(U

93013

22225

106▲×)3

22121

67∧UJ】4

3

10211

1

焼 鈍 後 と 鋳一放 し 焼 鈍 後

11.6

14.2

12.3

10.8

5.8

8.6

10.9

12.5

11.5

6.9

8.2

11.2

14.2

11.0

7.1

12635

9史U(XU(バ〉6

65011

史U8539

00320

75387

002228

り力

42764

3

ー・\-.ヽ-.222

00000/-1.`\■

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\55(U

(UO(U23

2

00035

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、、

1-・11・

11.1

<UOOOO■、

、■

1555100甜扇15531060005015

80

98

(99.8)100

100

80

(99.5)100

100

100

(U8(UOO

79000111

085(U(U

■UOOOO

∧U∧UOOO

(る99(UO

<UO840

(Unごりこ〃∩)

(U(UO▲nUO

O

4

0▲‖)0

0

111

1

状態ではSi2%位まで大差なくそれ以上Siが増すとと

もに強くなっている。硬度は鋳放しではSiの増加とと

日 金 属 特 集

もに硬くなり,焼鈍状態ではSi2%位までは大差なく,

それ以上Siが増加するとともに硬くなっている。伸び

ほ鋳放しおよび焼鈍状態ともSi2%附近で最大値を示

している。

(4)Si′Mn′Pを変化した場合の硬度

Si,Mn,Pを変化した第二系列の鋳放しおよび焼鈍状

態の硬度を弟4表に示した。硬度は鋳放しおよび焼鈍状

態ともMnの増加につれて硬くなっているっ

(5)化学成分を変化した場合の組織

試料の顕微鏡組織ならびに第5表から,C,Si,Mn,P

を変化した二系列の鋳放しおよび焼鈍状態の組織図をつ

くると舞10囲および弟1】図のごとくなる。_・一部の顕微鏡

組織を弟8図,舞9図に示した。もちろんこの範囲はほ

かの黒鉛化に影響をあたえる元素の存在,あるいほマグ

号 第2集 別冊第16号

ネシウム処理条件などによって移動すると考えるが,化

学成分の組織にあたえる影響をある程度推察しうるもの

と考える二.

(る)黒鉛形状ならびにその大きさの影響

第8図,弟9図の写真などで判明するごと・∴本実験試

料では黒鉛の形状に大なる変化はない亡 しかし第一系列

では同一試料から3ないし4個の衝 けを採取して試

験しており,これらの衝撃値の変動が認められるから,こ

の試料を顕微鏡下で観察して,黒鉛をその大きさならび

に形状の面から分類し,これと衝撃値との関連性を示し

たものが弟12図である二.黒鉛球は焼鈍によってその平均

直径ならびにその数が増加している。また黒鉛畳も部分

的にかなり変化しているが,黒鉛量が一定ならば,比較的

大きな票鉛が均一に分布している方が衝撃値が高いとい

Sl=2.0% Mn=0.2% Si=2.0% Mn=0.6% Si=2.0% Mn=1.0% Si=2.0% Mn=1.4%

第8囲 顕

X50 Si,Ml-を変化した組織-1(P=0.07%)

傲 鏡 写 真 Fig.8.Micro-StruCture

球 状 黒 鉛 鋳 鉄 の 衝

(謹)、り

値 等 に つ い て

Si=2.5% Mn=0.2%

Si=3.0% Mn=0.2%

鋳 撤

Si=2.5% Mn=0.6% Si=2.5% Mn=1.0.%

×50 Si,Mnを変化した組払一2(P=0.07%)

第9同 額 徴 鏡 写

焼 舵

封■.罰l.お■ 一〟

し・・・-

J■ ・一一

、、; ∴

第10図 化学成分と組織との関係Fig.10.Relation betweenChemical

Composition and Micro・StruCture

えるのではないかと考える二形状の面からほ本実験試料

Si二2.5% Mn=1.4%

Fig.9.Micro-StruCture

舵 銃

し-、 ♂♂■、ヽ

βZ β♂■、ヽ

1●い、・

第11図 化学成分と組織との関係

Fig.11.Relationbetween Chemical

Composition and Micro-StruCture

中には片状または準片状黒鉛はほとんど存在しないの

で,形状の影響を見出すことはできなかった。

本実験の試料の一部についてその黒鉛量を定量しノ衝撃

日 立 評

/

Z

/

Z

/

Z/

J

/汐

∵〝

/♂

/♂

ノ♂

β

ノ∂

β

rJ訂)

錦 放仙〃

野)ヽ

ヽヽ一へ

合モ勅聞

冴7

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、---_.′

J甘 榔

、--■■

〝 汐

∵十

、-、

プア だJ) ′-~

′■-■、 新

仏≠)一・′、\

(〃必′

ββ)

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′(\

ヽ_

〟好

′へ\

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一-~ヽ■ヽ

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ガ~、-、

JZ)ンー ヽ

2

脚J

′へ

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/へヽ

/∬)/~

ン′ /Z御)

一へヽ

27

〟) 、

\〝

」汀J′、

ガ ガ ガ βJガ ガ ガ ∬ 〝 ∫

黒鉛狐革Xが〝新 黒鉛尤蚤X肋郡

●~~一一一

完全誠状の果金色数

黒鉛場数r ) 内の数字は衝垂億

・■

-

-●-

J/=ZJ

∴--)

こ・~.-i

第12図 黒鉛の大きさと衝撃値の関係Fig・12・Relation between Size of Graphite

andImpact Value

値との相関をしらべた。その結果(弟5表および弟13図,

弟l」図参照)黒鉛量と衝撃値の相関係数ほ,鋳放しで

0・086,焼鈍後で0・405であったこ この検定にはMn含有

量のことなるものはのぞいてあるが,Si量がひとしくな

いため相関度が低くなっているので,化学成分のひとし

いものについては黒鉛量の影響がさらにあきらかにあら

われるものと考える。

〔ⅠⅤ〕結果の鳶察

(り 衝撃値とほかの機械的性質との関係について

銅についてはその硬度と衝撃値との間に関係があるこ

とが知られているので,球状黒鉛鋳鉄では衝 値とほか

の機械的性質との間にいかなる関係があるかをしらべて

みた。第一系列のものをとりその硬度,伸びと衝撃値と

の相関検定を行った.。引脹強さはその値がかなりばらつ

いていること,引張強さ~硬 の間にはほぼ直線的関係

がなりたつことが知られているので(3)(4),今回は除外L.

た。相関検定結果を葬る表に示した。.硬度(ズ)および

伸び(y)に対する衝撃値(Z)の東相関係数ほ

(~母心かl塵)嘩魁

第2集 号61第皿川別

∴J ∴ ∴J、∴lミ

黒鯛呈 (%)

ござ.tン 、J.、

JJ

第13図 黒鉛量 と 衝 撃値 と の 関 係Fig・13・Relationbetween Graphite Content

Impact Value

、-一

三モ

Z〃 2Z Z一 之♂

黒 舘 (%)

、'J十/

(箋宗.患)

第14図 黒 鉛量 と 衝 撃値 と の 関 係

Fig・14.Relationbetween Graphite Content

Impact Value

相 関 検 定 結 果Results of Correlation AnalysIS

単 相 関 係 数(試料数39)

硬 度

∴ヽ、

硬 度(ズ)

衝(・ノ

伸 び

(y)

伸 び一衝撃値(y) (Z)

旦若g=←0・9529**

板r=-0・8234*串

忍1・・g= 0・8737*串

**1%の危険率の有意水準で相関がある

n叫=′、/1一意二=0・950**1

-0.9529

-0.8234

1

-0.8234

-0.9529 -0.8234

1 0.8ア37

0.8737 1

-0・8234ll;

硬度~伸び~衝撃値の間には密接な関係があることがわ

かる二弟】5図に硬度と衝撃値,第1咽に伸びと衝撃値の

関係を図示した。

(2)化学成分の影響

球 状 黒 鉛 鋳 鉄 の 衝 撃 値 等 に つ い て

球状黒鉛鋳鉄の硬度および伸びと衝撃値が関連を有す

ることがわかったので,W.S.Pellini(6)ぉよびC・F・Rey-

nolds(5)などの発表した機械的性質と成分の影響を参考

ミこして検討した。

(i)Siの影響

Siは黒鉛化を促進するため鋳放しでフェライ1、を析

出しやすくし,また焼鈍のさいのパーライトの分解を促

進する。しかしSiが3.5%以上となれば鋳放しの伸び

が減少し(5〉, 値も減少するであろう。また黒鉛の大

きさは小粒となり,その数は増加する傾向がある′-ノこの

ことも衝撃値を減少する原因と考えられる。

(ii)Mnの影響

Mnは黒鉛化を妨げMnl%以上,Si3%以■~Fではパ

ーライトを焼鈍によって完全に分解することは困であ

る。衝撃値,伸びなどは鈴放し状態ではMnl%以上で

急激に減少するが,焼鈍したものではその影響は比較的

小となり,Si3%以上の場合はMnが高くてもパーライ

トの分解は比較的容易になり機械的性質も向上する・二・

(iii)Pの影響

PはパーライIおよぴフェライト中に固熔して脆くす

る.⊃この影響は鋼では比較的敏感笹あらわれるが鋳鉄で

ほそれはど敏感でなく,0.1%以下のPは影響がないと

いう説もあるが,やほり伸びおよび衝撃値はPとともに

直線的に減少するようである′_.

(iv)Cの影響

Cの影響ほその化合炭素量と遊離炭

状,大小などによってきまり,その影響を一

,黒鉛の形的に諭ず

ることはむづかしい。もしマトリックスの状態が同一で

あるとすれば,黒鉛球の存在によってそのマトリックス

の有効断面積を減少し,同時に黒鉛の形状,大小による

影響があらわれる。この黒鉛粒による影響は衝撃値に比

較的あらわれやすいものと考える。

(3)組織と衝撃値との関係について

(i)フェライトおよびパーライト畳と衝撃値との

関係

試料のフェライト量が増加すれば衝撃試験の 形見が

増加し衝撃値が向上する。

W.S.Pellini(6)によるとパーライト量が0~20%の範

囲では伸びの変化は少い,本実験試料も同様の傾向をも

っている。これに反しパーライトの多い部分では少量の

フェライトによって衝撃傾が 化しやすい。この場合ブ

ルアイ組織の黒鉛周囲のフェライトは硬度が小であるか

ら変形に対して経衝作用をなすものと考えられる。しか

L Si量が増すとともにシリコフェライトの硬度が増加

して緩衝作用も少くなると思われる。

(ii)黒鉛の形状,大きさ,分布の影響

〝 jり・∴1

重義㌣ぎ

■些棚㌫

∧U

硬 度(仙)

第15図 衝 撃 値 と 硬 度 と の 関 係~-

Fig.15・Relation betweenImpact Value and⊇

Hardness

(z真.恕)

■警備違

ハ〃y

2〃 j汐

伸 ひ-t (%)

第16図 射 撃 値 と 伸 び の 関 係

Fig,16.Relation betweenImpact Value and

Elongation

書、‡心■-†鍛鋳鉄についての南淡氏の研究(7)によれば,黒

鉛の大きさが小になるほど亀裂の進行に対するクッショ

ンの作用が増加して,引張強さが増加する。しかしこの一

場合にも伸びの値は黒鉛の大きさによってあまり変化し

ていない。考 (1)において述べたごとく,伸びと衝▲

撃値との間にはある程度比例関係がなりたつことから県

日 立 評 金 属 特

鉛量が同一の場合にほ衝撃値は黒鉛の大きさによってあ

まり影響を受けないものと考えられる。

また球状黒鉛は焼鈍炭素とことなり,その大きさによ

って球状化の程度をことにすることは少いから,球状黒

鉛がある程度の大きさを有する方が切欠効果が減少して

衝撃値が向上するものと考えられる.∴黒鉛の分布は均一

分布がのぞましく,黒鉛量が多くなると黒鉛球が部分的

に密集しやすくこの部分から破断Lやすい。

黒鉛の形状が球状から片状に近づくにつれて切欠効果

が増大して,応力集中率が高くなって宕 値が低下する

が,その程度を数字的に示すことは困難である。R.W.

Lindsayの黒鉛球状化率と引張強さ,伸びとの関係図(u

から判断すると準片状黒鉛が20%程度存在したとき,引

張強さの減少は約10%,伸びの減少は約4%であるこ本

実験試料はつねに組織中に完全球状黒鉛を90%以上含ん

でいるので,黒鉛の形状の影響はほとんどあらわれなか

ったものと考えられる。

(iii)黒鉛量の影響について

球状黒鉛鋳鉄の黒鉛量 l■

中に占める割合がどのように

した場合に,黒鉛が断面

化するかをしらべてみ

た。黒鉛球が均一に分布していると仮定して試料断面に

おいて黒鉛の占める面積を計算したものが弟7表であ

る。第一系列の焼鈍試料中フェライト量が95%以上のも

のについての窯鉛量と衝撃値の関係を弟17図に示した、

この場合,黒鉛量は全炭素量にひとしいものと考え

量のことなるグループ別に黒鉛量および衝撃値の平均を

求めたのである。

黒鉛量が3.4%以上で衝撃値が急に低下している理由

は,黒鉛が多くなると部分的に密集しやすくなる傾向が

認められることから,その有効断面積が減少したためで

はないかと考える。

一般に,地鉄の組織,成分の相違が小であり,慧鉛の

形状および大きさ,分布などがほぼ同一の場合にほ.衝

撃値ほ黒鉛量によって変化するはずである。実際に検定

を行った結果,地がフェライトのみからなる焼鈍 片iこ

ついてほ,黒鉛量と衝撃値の間に相関が認められるが.

放しのものについては相関ほ認められなかった

〔Ⅴ〕緒 言

状黒鉛鋳鉄の化学成分をC2.5、4.0%,Sil.5、3.5

%,MnO・2~1・4%,PO.03~0.15%の範囲で変化させそ

の衝 値などを 査した結果,つぎのようなことが判明

した。

(り 各元素の機械的性質にあたえる影響

第一系列のC,Siを変化した場合,第二系列のSi,

Mn,Pを変化した場合の二系列で,それぞれ二元配

第2集 別冊第16号

第 7 表 試料断面中に黒鉛の占める面積Table7.Area of GraphiteinSectionof

Test Piece

飴 重 量 (%) 黒鉛容 量

(N鳥ふ苧・き)

嘩場蕪

6.13

6.77

7.41

8.06

8.68

9.29

9.91

10.52

11.12

11.73

12.32

(%):警雷宗に黒鉛の占め(%)

、・、

11 ∴! ∴-∵

栗鉛の占める面積(%).'、

、さ

/β ZZ Z♂ j♂ Jイ g8 〃

黒鉛雲量 (%)

第17国 男 鉛 量 と 衝 撃 値 の 関 係

Fig・17・Relation betweenImpact Value andGraphite Content

三元配置法による有意差検定を行った結果

(a)鋳放しの衝撃値iこ対してはC,Si,Mnは1%

の危険率で有意であり,Pほ5%の危険率で有意であ

る。

(b)焼鈍後の衝撃値に対してほC,Si,Mn,Pほい

づれも1%の危険率で有意である。

(c)鋳放しの硬度に対してはMnが1%の危険率で

有意であり,焼鈍後の硬度に対してはSiおよびMnが

5%の危険率で有意である。

球 状 黒 鉛 鋳 鉄 の 衝

このほか.焼鈍状態の引 強さおよび鋳放Lの伸びと

Si量との間には関係があるらしいことがわかった。こ

の結果を用いて突放範囲内における衝撃値と化学成分の

関係式を導いた_ノ

さら古こ衝撃値はC2.5~3.5%,Si2.0~2.5焉の範囲で

高く,Mn,Pは可及的少い方がのぞましい。Si含有量

が3%以上になればMnは1%程度含有Lても′ミーライ

ト増加による影響は比較的少い「

(2)組織について

本実験試料の黒鉛形状ほほとんど変化がないので,黒

鉛形状の影響はあきらかでなかったが,一部 料につい

てしらべた結果でほ,黒鉛の人きさがひとLく,分布が

均・一であれば衝撃値が高いようである。黒鉛の直径はあ

る程度大きい方が切欠効果が減少する意味で有利である

と考えられる.二.

また黒鉛量が大になれば当然衝 lい.㌧ 下するはずで

あるが,検定の結果はSi量がことなるため,焼鈍後の

衝撃値と黒鉛是との間に相関が認められるに過ぎなかつ

た⊂

パーライト量ほ衝撃値に大きな影響をあたえるほずで

あるが.本実験ではパーライ†が連続的に変化した試料

がえられなかったため,その影響をあきらかにできなか

値 等 に つ い て

ったがSi量の特に高い部分をのぞいては,衝撃値はフ

ェライト量にはぼ比例して増加すると考えられる。

(3)衝撃値とほかの機械的性質との相関について

衝撃値と硬度および伸びとの間に高度の相関が認めら

れ,靡度および伸びの値によってある程度衝撃値を推定

することができるようである。

終りに本研究に対して御懇篤な御教示を賜わった村上

先生に厚く御礼申上げるとともに,試料の作 ならびに

試験に協力された加藤氏をはじめ,御支援御協力を賜わ

った方々に深く謝意を表する。

参 芳 文 献

(1)A.L.Carr,W.Steven:MetalTreatmentand

(2)

(3)

(4)

(5)

DropForging,Oct.1953

田口:実験計画法 日本化学会プリント(昭28)C.K.Donoho:Foundry,78 96(June1950)

I).G.Reese:Foundry,78120(May1950)C.F.Reynolds,H.F.Taylor:Transactions of

A.F.S.,P.6871952

(6)W.S.Pellini,G.Sandoz&H.F.Bishop:Trans-

actions of A.S.M.,46 418

南牧:鋳物,24 9(昭27-4)R.W.Ljndsay,A.Shames:Transactions of

A.F.S.,P.6501952

(9)谷村:鉄と鋼,38 38(昭27-9)