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Page 1: 山下町県有地等利活用計画 - ur-net.go.jp · PDF file山下町県有地等利活用計画 3 計画の対象地区の概要 所 在 地 : 横浜市中区山下町47番地他

平平成成1177月月99月月

神神奈奈川川県県

山山下下町町県県有有地地等等利利活活用用計計画画

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山下町県有地等利活用計画

1

目 次

Ⅰ はじめに··································································································································································P2

Ⅱ 山下町地区の現況

1 行政計画······························································································································································P6

(1) 神奈川県の行政計画

(2) 横浜市の行政計画 2 都市計画······························································································································································P8

(1) 「横浜国際港都建設計画都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」

(2) 「横浜国際港都建設計画都市再開発の方針」

(3) 地域・地区等

3 周辺の状況等····················································································································································P9

(1) 周辺状況 (2) 経済動向 (3) 地元要望 4 NHK横浜放送局の移転······························································································································P10

5 県立新ホールの整備 ·····································································································································P11

Ⅲ 利活用計画

1 利活用の基本的な考え方····························································································································P13

2 山下町県有地の整備にあたって···············································································································P14

(1) 整備の方針 (2) 整備手法 (3) 整備計画 (4) ソフト・運営面の魅力づけ (5) 事業実施にあたって

3 その他···································································································································································P32

(1) 整備スケジュール (2) 県民への広報計画 (3) 現NHK横浜放送局

参考資料······························································································································································P35

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山下町県有地等利活用計画

2

Ⅰ はじめに

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山下町県有地等利活用計画

3

■計画の対象地区の概要

所 在 地 : 横浜市中区山下町 47 番地他

面 積 : 12,765 ㎡(県有地:12,197 ㎡、民有地:568 ㎡)

東側 警友病院跡地 3,347 ㎡(県有地)

西側 元山下町分庁舎敷地他 9,418 ㎡(県有地 8,850 ㎡

、民有地 568 ㎡)

歴史的建造物 : 旧露亜銀行横浜支店

旧横浜居留地48番館…神奈川県指定重要文化財

山下町地区は、横浜市内の中心部に位置し、行政・企業の中枢機能や商業、文化、観光

拠点が集積している。山下町県有地は、同地区内にまとまった広さを有する貴重な土地で

あり、一部に民有地が所在している。

山下町県有地は、山下公園、元町、中華街など観光・商業地を結ぶ地域にあることから、

この土地の利活用は、街に回遊性を生み出し、都心部の活性化を高める可能性をもっている。

また、地元経済界、商店街等から、山下町県有地について地域の活性化や魅力向上に資す

る施設整備の要望が出されるなど、大きな関心を集めており、将来的な利活用のあり方が課

題となっている。

こうした中、平成16年8月に、神奈川県と日本放送協会(NHK)との間で、横浜放送

局の同地への移転に関する基本的な方向について協議が整ったことを踏まえ、同年10月か

ら学識経験者や地元経済界等の意見を参考として、この地区全体の将来像を見据えた利活用

の検討を進めてきた。

また、平成16年2月に設置された「県立ホール系文化施設のあり方検討会」から、県民

ホールと一体的な運営を行う新ホールの必要性が指摘され、同地での新設計画が進められて

いる。

この計画は、本地域の活性化等には、公共施設の整備だけではなく、民間のノウハウと活

力も取り入れた戦略的視点が重要であるとの考え方に基づき、山下町県有地等の利活用の基

本的な考え方や整備の方向等を定めたものである。

計画の目的

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山下町県有地等利活用計画

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■ 山下町県有地等周辺図

山下公園

山下町県有地等

現NHK横浜放送局

県 庁

日本銀行

横浜開港資料館

県民ホール

山下公園

旧露亜銀行

延べ床面積 1,520 ㎡

旧横浜居留地 48 番館

延べ床面積 74 ㎡

かながわドームシアター

延べ床面積 3,721 ㎡

民有地(駐車場)

山下町分庁舎

延べ床面積 807 ㎡

横浜情報文化センター

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山下町県有地等利活用計画

5

Ⅱ 山下町地区の現況

1 行政計画

2 都市計画

3 周辺の状況等

4 NHK横浜放送局の移転

5 県立新ホールの整備

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山下町県有地等利活用計画

6

山下町地区に関しては、神奈川県や横浜市の行政計画や都市計画に示す位置づけが行われてい

る。また、山下町地区周辺は、優れた立地特性や多くの地域資源等を有しており、文化芸術関連

施設の設置やNHK横浜放送局の移転を契機に、地元要望でもある「地区の活性化」を期待され

ている。

(1) 神奈川県の行政計画~「神奈川力構想・地域計画」(平成 16 年 12 月策定)

神奈川県では新しい総合計画として「神奈川力構想・プロジェクト 51」を平成 16 年 3 月

に策定した。計画においては、地域の個性ある発展を図るため、地域の将来像と諸施策を

明らかにした「神奈川力構想・地域計画」を定めており、横浜地区については、国際文化

交流都市圏として、「世界に開かれた文化芸術都市・横浜」を将来像に掲げ、地域の将来ビ

ジョンの一つに「国際性豊かな交流・集客のまちづくり」を示している。

神奈川県では、地域の将来像と諸施策を明らかにした「神奈川力構想・地域計画」にお

いて、横浜地区の将来ビジョンを示している。

また、横浜市では、関内・関外地区の活性化のために中心市街地活性化法に基づく計

画の策定のほか、文化芸術・経済の振興と魅力的な都市空間形成を併せた都市ビジョン

「文化芸術創造都市」を打ち出している。

1 行政計画

「横浜地区の将来像と地域プロジェクト」

■地域の将来像

「世界に開かれた文化芸術創造都市・横浜」

~市民の力が創り出すみどり豊かで国際的な魅力あふれる

文化芸術創造都市をめざして~

■地域の将来ビジョン

「国際性豊かな交流・集客のまちづくり」

・横浜地区の優れた特性や地域資源を生かした新たな文化、産業、技術などの

創出に努める

・国際交流・集客都市の整備、積極的な情報発信による都市の賑わいの創出に

努める

■地域プロジェクト

①国際交流都市の魅力づくりとプロモーション

②国際的な研究開発拠点の形成と産業の活性化

③魅力あふれる都市基盤の整備

④地球市民意識の醸成と国際交流・協力の推進

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山下町県有地等利活用計画

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(2) 横浜市の行政計画 ア 「中心市街地(関内・関外地区)活性化基本計画」

横浜市では、地区の歴史的特色を活かしながら旧市街地としての魅力ある街づくりを

進めるために「中心市街地(関内・関外地区)活性化基本計画」を平成 12 年 5 月に策定

した。

イ 「(仮称)横浜市の文化芸術政策に関する中期的方針」(策定中)

横浜市では、「文化芸術創造都市・横浜」の実現に向け、「都市政策の一環としての

文化芸術政策」についての基本的な考え方や施策の方向性、具体的な取り組みを明らか

にした「(仮称)横浜市の文化芸術政策に関する中期的方針」の策定作業を進めている。

主な事業目標

・横浜ならではの都市構造を生かした魅力ある空間づくり

・来街と回遊を促す交通基盤の再編

・新しい活力の集積を促す業務・教育・文化機能の充実

・特色ある商業地区の魅力向上

基本方針

・創造の場と機会を充実し、世界に通用する個性を発信します

・魅力ある空間形成と創造的産業の集積を図り、都市の活力を高めます

・文化芸術と地域や社会をつなぐ市民を支援します

・創造の担い手づくりに投資します

・歴史や資源を活かし新たな文化基盤を創ります

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山下町県有地等利活用計画

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(1) 「横浜国際港都建設計画都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(平成 15 年 3 月策定)

・ 主要用途の配置の方針

商業・業務地(関内・関外地区)については、高次の商業・業務、文化機能等の集積

を誘導し、利便性の高い活気のある地区を形成する。

(2) 「横浜国際港都建設計画都市再開発の方針」(平成 15 年 3 月策定)

2号再開発促進地区(関内・関外地区)

ア 再開発、整備の主たる目標

・ 開港以来の歴史的魅力を生かしながら、土地利用の高度化を適正に誘導する

・ 地区の回遊性を高めるため歩行者空間の整備を図る

・ 鉄道新線、駐車場等の整備を進めることにより、横浜の中心市街地としての活性化を

図る

イ 用途、密度に関する基本方針、その他の土地利用計画の概要

・ 業務・商業施設、文化施設等、都心地区にふさわしい機能を備えた市街地とする

ウ 建築物の更新の方針

・ 敷地の共同化、歴史的・文化的資産の保全・活用、歩行者空間整備、駐車場の整備、

鉄道新線との接続等を図る

(3) 地域・地区等

ア 用 途 地 域 : 商業地域(防火地域)

イ 容積率/建ぺい率 : 600%/80%

ウ 高 度 地 区 : 最高限第7種(31m以下)、最低限第1種(14m以上)

エ 街づくり協議指針等 : 横浜市街づくり協議要綱

「山下公園及び日本大通り周辺地区」

「都市計画」は、都市の長期的なビジョン(マスタープラン)を示すとともに、区域の土

地利用や都市施設、市街地開発事業等に関する計画を県及び市町村が定めるものであ

り、山下町県有地の所在する山下町地区については、次の計画がある。

2 都市計画

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山下町県有地等利活用計画

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(1) 周辺状況

ア 立地特性

・ 横浜港開港以来の歴史と文化を持つ地域に位置する

・ 県・市などの行政・経済・文化の中心として情報が集まる地域である

・ みなとみらい線開通により、地域のポテンシャルが向上しつつある

イ 地域資源

・ 山下公園周辺、中華街、元町等の集客力ある観光資源が存在する

・ 博物館、美術館、ホール等の文化施設が複数分布している

・ 地区内を含めた周辺に歴史的建造物が多数存在する

(2) 経済動向

・ みなとみらい線の開通以降、関内地区における業務ビルの空室率は、減少の傾向が

見られる

・ 地区周辺の開発は、近年住宅系再開発の割合が多くなっているが、近隣に小学校が

少ないなど課題も抱えている

・ 近年地価については下げ止まりの傾向が見受けられ、周辺には、地価の上昇する地

点もある

(※ 山下町県有地の路線価・・・590 千円/㎡~600 千円/㎡ :平成 17 年 国税庁)

(3) 地元要望

・ 周辺地域への魅力向上・観光振興に寄与する恒久文化・芸術関連施設を整備すること

・ 商業活性化につながる利活用を図ること

・ 開港の地で歴史的建物も多いことから、その雰囲気を残すこと など

山下町県有地の所在する山下町地区は、すぐれた立地特性や地域資源を有する地区で

ある。また、地元商店街等から山下町県有地の利活用等について多くの要望が寄せられ

ている。

3 周辺の状況等

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山下町県有地等利活用計画

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NHKが希望する条件等

・敷地面積 6,500 ㎡程度(県と共有)

・建物の概要 局舎(3階)及び放送用電波塔

・延床面積 4,900 ㎡程度

・その他 災害対策基本法の「指定公共機関」

耐震性能の確保(官庁施設総合耐震計画基準 1.5)

電源・空調設備のバックアップシステム確保(24 時間運用)

緊急報道、日常業務に支障のない機能的なレイアウト

賑わいの創出と「開かれたNHK」の推進

バリアフリーと地球環境への配慮

NHK横浜放送局の移転については、平成 16 年 8 月に山下町県有地の一部を移転用

地とする方向で、NHKと県の間で基本的な協議が整い、平成 17 年 3 月に移転協議に

関する確認書を締結した。現在、引き続き、具体化に向けて協議を進めている。

4 NHK横浜放送局の移転

「開かれたNHK」の事例 ~水戸放送局

①オープンスタジオ

~いばらきわいわいスタジオ

②6面マルチビジョン

③デジタル体感コーナー

④わいわいギャラリー

⑤NHKライブラリー

⑥番組公開ライブラリー

~水戸アーカイブス

⑦メッセージカメラ

⑧キッズミニ写真館

⑨キャスター体験スタジオ

2 3

5 6 7 8

①オープンスタジオ

~いばらきわいわいスタジオ

⑥番組公開ライブラリー

~水戸アーカイブス

⑤NHKライブラリー

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山下町県有地等利活用計画

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■県立新ホール整備の必要性とその背景

・新たな文化芸術の流れが進行する中で、本県のホール系文化施設は相対的に地盤沈下を起

こしている

・県民ニーズとして、文化芸術への関心が高いこと、鑑賞の場の多くを東京に依存している

こと、身近な場所で質の高い芸術を安く鑑賞できることを望んでいること、文化芸術活動

のための稽古場が不足していることなどが明らかになった

・「県立ホール系文化施設のあり方検討会」から県民ホールと一体的な運営を行う新たな中

規模ホールの整備を検討するよう提言があった

・山下町県有地における「賑わい」の創出が求められている

神奈川県では、「神奈川力構想・プロジェクト51」に県立文化施設の整備を位置づ

けるとともに、その具体化について「県立ホール系文化施設のあり方検討会」を設置し

て検討を進めてきた。その結果、県民ホールの再整備の方向として、新たに中規模なホ

ールを整備するという方針がまとまり、計画の推進を図っている。

5 県立新ホールの整備

( % )

6 0 . 5

5 6 . 5

1 4 . 6

1 4 . 3

1 4 . 0

1 3 . 9

5 . 3

0 . 8

0 . 8

0 . 6

0 . 3

1 . 3

4 . 3

0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0

県民ホール

(平成 15 年度県民ニーズ調査「神奈川の文化芸術」)

※本県では、文化芸術鑑賞機会を東京に大きく依存している(複数回答)

(平成 16 年度県民ニーズ調査「県民の生活と県政についての意識調査」)

9.7 30.3 13.2 1.4 3.439.1

2.9

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

平成16年度

非常に重要である かなり重要である どちらとも言えない さほど重要ではない まったく重要ではない わからない 無回答

※身近な場所での鑑賞機会の充実を望む県民が多い

横浜市

東京都

川崎市

県央地区

湘南地区

横須賀三浦地区

西湘地区

足柄上地区

静岡県

津久井地区

山梨県

その他

無回答

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山下町県有地等利活用計画

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Ⅲ 利活用計画

1 利活用の基本的な考え方

2 山下町県有地の整備にあたって

3 その他

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山下町県有地等利活用計画

13

まちづくりの

コンセプト

神奈川の顔としてふさわしい拠点づくり

キーワード

地域の賑わいの創出

文化芸術の創造発信

関内地区の歴史・文化の継承

山下町県有地等利活用計画

まちづくりのコンセプト及びキーワード

「神奈川の顔としてふさわしい拠点づくり」

山下町地区は、神奈川県の政治・経済の中心地として行政・企業の中枢機能、商業、

貿易、観光拠点が集積し、横浜開港以来の文化と歴史を有する地に位置している。

また、山下町県有地は、高度利用が可能であり、まとまった広さを有する貴重な土地

であることから、中心市街地の業務・商業機能の活性化や周辺地域への魅力向上・観光振

興に寄与する恒久文化芸術関連施設や地域の賑わいづくりに資する施設の整備が求め

られている。このため、山下町県有地等利活用に当たり、コンセプトを「神奈川の顔と

してふさわしい拠点づくり」とし、さらにキーワードとして「地域の賑わいの創出」、「文

化芸術の創造発信」、「関内地区の歴史・文化の継承」の三点から利活用計画を策定する

こととした。

山下町県有地は、横浜市内の中心部に位置するまとまった広さを持つ貴重な土地であり、

神奈川県及び横浜市の行政計画や都市計画、周辺の状況等から、山下町県有地の周辺地域

を含めた中心市街地の活性化や文化創造の拠点づくり、関内地区の歴史・文化の継承等が

望まれている。

これらを踏まえて、「まちづくりのコンセプト」や「まちづくりのキーワード」について、

次のとおり設定した。

1 利活用の基本的な考え方

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山下町県有地等利活用計画

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(1) 整備の方針

2 山下町県有地の整備にあたって

(ア) 神奈川県及びNHKによる中核施設の整備

地元要望でもある周辺地域の魅力向上や観光振興に寄与するため、文化芸術関連

施設とNHK新横浜放送局を中核施設として整備を行う。

文化芸術関連施設は、県立の新ホールとして芸術鑑賞や創造活動等の拠点とする

とともに、NHK新横浜放送局は、視聴者プラザ等のサービス機能を備えることと

し、両施設は連携して地域活性化と賑わいの創出を図る。

(イ) 民間施設の整備

神奈川県及びNHKによる中核施設との相乗効果が期待でき、人を集め、賑わい

の創出に資する施設を整備する。また、山下公園、中華街、元町などの観光資源間

の動線上にあることから、新たな回遊動線を形成するための賑わいの空間や歩行者

のための通路や広場を配置するとともに地域にふさわしい景観づくりを図る。

ア 「地域の賑わいの創出」

県立新ホールとNHK新横浜放送局を文化創造の拠点としていく。県立新ホール

は創造型劇場として舞台芸術の創造発信を行い、NHK新横浜放送局は、地域に開

かれた放送局として、放送機能強化を図るとともに視聴者参加型施設を整備し、地

域情報発信や緊急災害報道に的確に対応するとともに、公開放送やイベント、映像

関係の情報資源の活用を図りながら、県民が気軽に立ち寄り参加できる、地域の文

化拠点を目指す。

イ 「文化芸術の創造発信」

(ア) 歴史的建造物の保存・活用

山下町県有地内にある旧横浜居留地48番館及び旧露亜銀行横浜支店の歴史的

建造物は、文化・観光資源として利活用を図る。また、その外観を街並みの景観づ

くりなどに活用する。

(イ) 統一感のある街並みの創出

山下町地区の街並みや景観、歴史的資産を継承しつつ、山下町県有地全体として

まとまりのある計画とするため、一体的なデザインの屋外空間並びに各街区の関係

性を意識した建物の外観デザインの実現を図り、質の高い調和のとれた都市景観の

形成を目指す。

また、クルーズ客船や遊覧船などの船上や、ベイブリッジなどの対岸からの「海

からの景観」に対して、形態や色彩などが調和するよう配慮する。

これらを実現するため、事業者間においてデザイン基本計画に基づくデザイン調

整を行う。

ウ 「関内地区の歴史・文化の継承」

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山下町県有地等利活用計画

15

(2) 整備手法

(ア) 街区の設定

地区の西側をA街区、東側をB街区とし、B街区は2つの街区(B1街区及びB2

街区)として設定する。

(イ) 施設配置の方針

B1街区には、県立新ホールとNHK新横浜放送局を合築し、土地の高度利用を図

るとともに、施設の周辺に賑わい広場や歩行者空間を整備する。

また、A街区及びB2街区には、民間施設を配置する。

なお、地区の一部を所有している民間地権者については、土地による権利変換によ

りB2街区の一部を取得する。

ポトク

山下町県有地の整備に当っては、直接建設、PFI、等価交換方式及び第一種市

街地再開発事業の4つの手法が考えられるが、山下町県有地と民間駐車場用地と一

体となったまちづくりが図られることなどから、第一種市街地再開発事業(個人施

行)が最も望ましい手法であり、この手法により整備を図る。

ア 市街地再開発事業による整備 ~P36参照

イ 整備イメージ

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山下町県有地等利活用計画

16

ポケットパークのイメージ

エントランスロビーのイメージ

賑わい広場のイメージ

全体イメージ図

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山下町県有地等利活用計画

17

(3) 整備計画

(ア) 統一感のある街並みの創出

山下町地区の街並みや景観、歴史的資産を継承しつつ、魅力的な都市空間を創造

し、安全で快適な魅力ある街づくりを進める。この実現のため、デザイン基本計画

を定め、街区全体でデザインを統一化し、「神奈川の顔」としてふさわしい拠点づ

くりを図る。

ア 神奈川の顔としてふさわしい拠点づくり

(イ) 統一的デザインの担保

デザイン基本計画により構築された街並みを将来的に担保あるものにするため、

その方策として有効な手法である地区計画を当地区に定める。

(ウ) デザイン基本計画

魅力ある街並みを演出するため、統一感のあるデザインを導入する。

a.景観形成の目標

・地区のアイデンティティを表現する

・調和した街並みを創出する

・地域のにぎわい空間を創出する

・歴史と記憶を活かす

b.デザイン規定の設定

・質の高い都市景観を実現するため、最低限必要となる事項を遵守事

項として設定

c.デザイン指針の対象項目の設定

・統一感のあるデザインとするためのデザイン調整の対象を設定

山下町県有地利活用計画

A街区 B2街区B1街区

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山下町県有地等利活用計画

18

A街区整備イメージ

歩道状空地と低層階による街並み整備

商業等

旧露亜銀行

外壁等の保存活用

歴史資源の活用

空地

A・B街区

一体の

広場状空地

《賑わい拠点》

イ A街区の整備

(ア) 基本的方向性

・ 再開発事業に基づき、民間事業者が施設を建設する

・ 地元企業における利活用を検討する

・ 業務、商業、学校等の施設を誘導する

・ 住宅及び共同住宅の設置は原則として排除する

・ 旧露亜銀行横浜支店を歴史・観光資源として保存・利活用する

・ B1街区と一体となる広場・歩道状空地を整備し、賑わいを創出する

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山下町県有地等利活用計画

19

(イ) 整備する施設

a 民間施設

県立新ホールとNHK新横浜放送局との相乗効果を発揮し、地域の賑わいづく

りや周辺地域の魅力向上に資する施設を誘導する。具体的には、地域の文化創造

につながる集客力のある商業施設、地域の活性化につながる業務施設の誘導を基

本とし、住宅及び共同住宅は原則として排除する。

なお、旧露亜銀行横浜支店の保存・利活用方策などに関する民間事業者の提案、

事業性等についても考慮する。

民間事業者は、利活用計画に基づく基本的方向性を踏まえ、建物の用途及び形

状などの与条件により総合的に選定する。

【望ましい用途のイメージ】

・地域資源と連携するもの(例:福祉、ホテルなど)

・集客が期待できるもの (例:商業、観光、アミューズメント、結婚

式場など)

・情報や文化に資するもの(例:業務、教育、文化など)

b 旧露亜銀行横浜支店の保存・活用 ~P38参照

① 保存等整備箇所

保存等の整備が望まれるものは、次のとおりである。

・壁廻り(道路に面する外壁2面の修復)

なお、できる限り内部空間(1~2階の中央階段吹き抜け)のイメージも

再現する。

本建物のあるA街区は民間事業者による施行を想定していることから、事

業者公募の要件として、保存・活用への誘導を行うこととする。

② 助成について

民間事業者による保存・活用の促進を図るため、助成措置を行う。

③ 民間に譲渡した場合の建物保存の方策

歴史的建造物の所有者が民間事業者となった後も、引き続き保存する担保と

して、「横浜市認定歴史的建造物」等の認定などを検討する。

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山下町県有地等利活用計画

20

B1街区整備イメージ

歴史資源の活用

旧 48 番館

B1B2街区間

うるおい空間の

確保

オオーーププンンススペペーーススとと

建建物物エエンントトラランンススのの一一体体的的整整備備

にによよるる賑賑わわいいづづくくりり

NHKエントランス・

公開スタジオ等

賑わい広場 ポケット

パーク

歩道状空地と低層階による街並み整備

ホール

エントランス

A・B街区

一体の

広場状空地

《賑わい拠点》

うるおいゾーン

ウ B1街区の整備

(ア) 基本的方向性

・ 県立新ホールとNHK新横浜放送局を合築して配置し、都市機構が再開発事業

に基づき建設する

・ 県立新ホールとNHK新横浜放送局による情報発信、文化創造の拠点を形成す

・ 旧横浜居留地 48 番館を一体的に保存・活用し、歴史・観光資源の継承を図る

・ 本町通り及び交差点付近には、建物のエントランスと一体となる賑わい広場を

整備する

・ B2街区との間にポケットパークと空地を配置し、うるおいゾーンを形成する

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山下町県有地等利活用計画

21

(イ) 整備する施設

a 県立新ホール

県立新ホールについては、県立新ホールの整備方針に基づく中規模ホールを整備

することとし、NHK横浜放送局と連携した文化創造の拠点づくりを図る。

① 目的と役割

・県立新ホールは、県民ホールと一体的に運営する視覚系舞台芸術の総合拠点を

目指すものであり、「芸術の創造」「人材の育成」「賑わいの創出」の3つのテ

ーマを満たす「創造型劇場」として整備する

・県立新ホールは、質の高いミュージカル、中規模オペラ、ダンス、バレエ、演

劇などの視覚系の舞台芸術作品を創造・発信することを主目的とし、1,300 席

の中規模ホールとする

・また、県民の鑑賞ニーズに応えた長期公演も行える集客力の高い施設とし、地

域の賑わいの創出に貢献する施設とする

② 施設の概要

・舞台形式は、プロセニアム(額縁)形式とし、多面舞台とするとともにオーケ

ストラピットを整備する。また、吊物機構、照明等舞台設備の充実を図る

・座席のゆとりなどの快適さや座席から舞台までの距離に配慮する

・また、稽古場となる大・中・小スタジオを設置するとともに、県民の芸術文化

活動を支援するための情報・相談コーナーの設置やホワイエの快適さに配慮す

・高齢者や障害者の芸術鑑賞のため、バリアフリーに配慮する

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山下町県有地等利活用計画

22

b NHK新横浜放送局

NHK新横浜放送局は、地域に開かれた放送局として、放送機能強化を図る

とともに視聴者参加型施設を整備し、地域情報発信や緊急災害報道に的確に対

応するとともに、公開放送やイベント、映像関係の情報資源の活用を図りなが

ら、県民が気軽に立ち寄り参加できる、地域の文化拠点を目指す。

① 施設整備にかかる条件等

・平成21年度を目途に開局

・土地面積6,500㎡程度(県と共有)

・機能的な放送センター

・アンテナを受送信に支障のない高さに設置

・業務用車両庫の1階への配置

・遮音、振動対策性能の確保

※整備に当たっての基本的考え方~「デジタル化で広がる新たな放送文化」

(「平成 16 年度~18 年度 NHK ビジョン」より抜粋)

○地域からの期待にこたえる放送サービスの強化

地域に向けた放送を充実するとともに、全国に向けた発信を強化し、存

在感のある放送をめざします。

○視聴者とともに歩む、地域密着の事業展開

地域の暮らしや課題に向き合う“身近な公共放送”として、地元メディ

アや自治体との連携、番組とイベントとの多角的展開を図り、地域の活性

化に貢献する事業を推進します。

○「開かれたNHK」を推進する放送会館の建設

公開放送やイベントが実施しやすいスペースを設け、視聴者が気軽に立

ち寄り、番組に参加できる地域の文化拠点を目指します。

② NHK新横浜放送局主要設備の内容(イメージ)

・スタジオ :公開番組の制作にも対応できるものとする。

・視聴者プラザ:視聴者に開放されたスペースとして番組公開ライブラリーや放

送体験コーナー、展示コーナーなどを設置する。

・放送センター:緊急災害報道に対応できる機能的なものとする。

・電波塔 :受送信に支障のない高さとする。(地上高約 90m)

③ 県立新ホールとの連携

c 旧横浜居留地 48 番館の保存・活用 ~P39参照

保存復元等必要な整備を実施し、チケット販売ブース、文化・芸術情報端末コー

ナーなど立地にあわせた利活用を検討する。

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山下町県有地等利活用計画

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エ B2街区の整備

(ア) 基本的方向性

・ 再開発事業に基づき、民間事業者が施設を建設する

・ 民間地権者は、土地による権利変換を行い、自らが施設を建設する

・ 地元企業における利活用を検討する

・ 業務、商業、学校等の施設を誘導する

・ 住宅及び共同住宅の設置は原則として排除する

・ 本町通り沿いに歩道状空地を整備する

・ B1街区との間に空地を配置し、うるおいゾーンを形成する

(イ) 整備する施設

a 民間施設

県立新ホールとNHK新横浜放送局との相乗効果を発揮し、地域の賑わいづく

りや周辺地域の魅力向上に資する施設を誘導する。具体的には、地域の文化創造

につながる集客力のある商業施設、地域の活性化につながる業務施設の誘導を基

本とし、住居系施設は原則として排除するものとする。

なお、賑わいの創出などに関する民間事業者の提案、事業性等についても考慮

する。

民間事業者は、利活用計画に基づく基本的方向性を踏まえ、建物の用途及び形

状などの与条件により総合的に選定する。

【望ましい用途のイメージ】

・地域資源と連携するもの(例:福祉、ホテル、大型バス駐車場など)

・集客が期待できるもの (例:商業、観光、アミューズメント、結婚

式場など)

・情報や文化に資するもの(例:業務、教育、文化など)

B1B2街区間

うるおい空間の

確保

B2街区整備イメージ

歩道状空地の整備

うるおいゾーン

商業等

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山下町県有地等利活用計画

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(4) ソフト・運営面の魅力づけ

山下町県有地の利活用にあたっては、周辺地域の魅力向上に資する地区周辺の回

遊性向上等について、関係機関と協議を行い、具体的な方策を行っていく必要があ

る。

ア 地区周辺の回遊性向上のための方策事例

(ア) 観光バス待合所機能の設置

周辺観光スポットとの連携のため、駐停車機能を含めた待合所等の設置検討

(イ) ハマチャリ受付所の設置

現在、横浜市が行っている「ハマチャリ(貸自転車)」の当地区内での受付所の

開設検討

(ウ) みなとみらい100円バス停留所の設置

みなとみらい100円バスの横浜駅~赤レンガルートの当地区までの延長、及び

元町までの延長検討

(エ) 近隣文化施設間の連携

文化施設間で連携した共同イベント、入場料割引などの検討

イ 地区の施設自体の魅力づけ方策事例

(ア) 地区のブランドイメージを表すネーミングの募集

楽しさ・新しさを表すネーミングの公募

(イ) 地域のランドマークの整備

地区周辺の文化・観光スポットへの出発点・終着点やグループ旅行者の集合離散

スペースとなるような地域ランドマークの整備

(ウ) ライトアップ

横浜居留地の演出の一環としてのライトアップ導入による夜の都市景観の演出

(エ) バリアフリー、ユニバーサルデザイン対応

トイレをはじめとする人にやさしいまちづくりの実施

ウ 公開空地などを活用した魅力づけ方策事例

公開空地等を文化芸術活動の発表の場や地元シェフによる料理教室、県内産直物品

販売などに利用する。

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山下町県有地等利活用計画

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(5) 事業実施にあたって

当地区の整備は、第一種市街地再開発事業により、次のような役割分担のもと、

都市機構と民間事業者の共同施行とする。

○都市機構の施行部分

事業計画、地権者間調整、権利変換計画、B1棟の建設など

○民間事業者の施行部分

A棟、B2棟の企画・立案、テナント誘致、建設など

ア 再開発事業の施行者

市街地再開発事業の施行者については、再開発事業の実績、資金調達能力、事業

遂行能力などを有する者により行う必要がある。当地区で個人施行者として想定さ

れる者は、神奈川県、民間事業者、都市機構である。又、これらの者による共同施

行などが考えられる。

■神奈川県による施行の場合

事業実施に当たって、県施設以外の施設の事業費を調達しなければならない

ことから困難と考えられる。

■都市機構による施行の場合

これまでの再開発事業での実績、事業遂行能力、資金調達能力などに加え、

公平性・透明性、利益追求を目的としないことなどが特徴として挙げられる。

また、この事業を都市機構が施行する場合には、「民間に出来ることは民間に

委ねる」という原則から、民間事業者との適正な役割分担のもと、共同施行と

なることが望ましい。

■民間事業者による施行の場合

民間の活力、事業遂行能力、資金調達などの面で期待できる。特に、当地区

の規模であれば、様々な能力を持つ事業者間でJVを組んで施行することも想

定され、各社の総合力の発揮も期待できる。

ただし、適切な民間事業者の選考に際してはPFIと同様に多くの手続きと

時間を要する。また、特定の企業の利益追求が主たる目的となる可能性がある。

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山下町県有地等利活用計画

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a スケジュール(予定)

日 時 予 定

平成17年10月 記者発表

平成17年11月上旬 説明会、公募開始

平成18年1月中旬 公募終了

平成18年1月~3月 設計選定プロポーザル審査委員会開催

平成18年3月 設計者の決定

B1街区

山下町県有地利活用計画

イ B1街区の事業について

(ア) 都市機構の役割

県立新ホールとNHK新横浜放送局によって構成されるB1棟は、市街地再開

発事業の施行者である都市機構が建設する。したがって、B1街区施設建築物に

関する設計業務・工事監理業務及び建設工事の発注を都市機構が行う。

(イ) 設計者の選定

公募型プロポーザル方式により実施する。

…設計者の選定にあたって、具体的な設計図面の提出は求めずに、実施体制や

実績に関する資料、設計にあたっての実施方針やプロジェクトに対する提案

の記述(技術提案書)を求め、それらによって当該設計業務に最も適した設

計者を選定する方法。

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山下町県有地等利活用計画

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b (仮称)横浜山下町地区第一種市街地再開発事業B1街区施設建築物設計業務

プロポーザル審査委員会

設計者の選定は、都市機構神奈川地域支社が行うが、十分な競争性・透明性及び

公正性・公平性の確保が求められることから、県の要望により外部の有識者に委嘱

して審査委員会を設置し、選定基準に基づき選定する。

審査委員会は、各分野の専門的見地からの意見を参考とするために、それぞれの代表

により構成する。 委員(敬称略)

委員名 役職等 専門分野等 備 考

北沢 猛 東京大学教授 都市デザイン 委員長

北山 恒 横浜国立大学教授 建築設計

上山 良子 長岡造形大学名誉教授 景観

眞野 純 世田谷パブリックシアターテクニカルディレクター ホール専門家

山本 正人 神奈川県県民部部長 施設計画者

三杉 三郎 神奈川県県土整備部次長 施設計画者

吉国 浩二 NHK横浜放送局長 施設計画者

宮野 博 NHK技術局施設建築部長 施設計画者

木下 庸子 都市再生機構 再開発事業施行者

c 公募与件(概要、例示)

項 目 内 容

敷地条件

○所在地

○敷地分割の設定

○敷地面積と土地面積の設定

施設計画にあたっての基本方針

○上位計画、関連計画の概要

○都市計画等

○山下町県有地等利活用計画

施設計画にあたって留意事項

○上位計画、関連計画、都市計画等の遵守

○山下町県有地等利活用計画の遵守

○デザイン基本計画の遵守

○県立新ホールの基本理念(基本方針)

○県立新ホールの主要機能と概算面積

○NHK新横浜放送局の基本理念

○NHK新横浜放送局の主要機能と概算面積

その他

事業手法 ○第1種市街地再開発事業の概要

○高度利用地区(想定)

その他特記事項 ○業務スケジュール、業務内容

○48番館の概要

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山下町県有地等利活用計画

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d 技術提案書の提出者を選定するための基準(例示)

項 目

会社の業務経歴及び能力

(過去十年間の同種・類似業務の実績、技術的能力の保持) 【審査のウェートは約10分の4】

技術者の経験及び能力

(総括責任者及び主任技術者の経験・能力) 【審査のウェートは約10分の6】

e 技術提案書特定のための評価基準(例示)

項 目

実施計画の評価

(動員計画の妥当性、工程計画の妥当性) 【審査のウェートは約10分の1】

業務の実施方法

(計画の理解度、業務の実施方針の妥当性、明瞭性) 【審査のウェートは約10分の1】

業務の実施に係る提案

(構造計画、建設経費、複合建築物の配置、地域の賑わいに繋がる施設計画) 【審査のウェートは約10分の8】

(ウ) 工事施工者の選定にあたって

建設業者の選定にあたっては、工事の発注工事費額がWTOに該当することが想

定されるため、一定の能力を有する者による一般競争入札により実施する。

なお、地元企業の参画についても、一定の配慮を求めるなど引き続き検討を進め

るものとする。

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山下町県有地等利活用計画

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a スケジュール(予定)

日 時 予 定

平成17年10月 記者発表

平成17年11月上旬 説明会、公募開始

平成18年1月中旬 公募終了

平成18年1月~3月 (仮称)山下町県有地等民間事業者

選定委員会開催

平成18年3月 事業者の決定

ウ A街区及びB2街区の事業について

(ア) 都市機構の役割

A棟・B2棟を建設することとなる民間事業者は、都市機構と市街地再開発事

業の共同施行者となり、市街地再開発事業の権利変換に基づき都市機構から土地

を取得し、建物の企画・立案・テナント誘致などを行う。

(イ) 民間事業者の公募

市街地再開発事業の共同施行者として参画することとなる民間事業者は、「地域

の賑わいの創出」、「民間活力の導入」といった観点から広く公募を行う。

その選定にあたっては、総合評価一般競争入札方式を視野に入れ、十分な競争

性・透明性及び公正性・公平性の確保が求められることから、(仮称)山下町県有

地等民間事業者選定委員会を設置し、選考過程や結果の公表に努める。

山下町県有地利活用計画

A街区 B2街区

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山下町県有地等利活用計画

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b (仮称)山下町県有地等民間事業者選定委員会

選定基準に基づき提出された事業計画を評価し、決定するものとする。

委員(敬称略)

氏 名 役職等 専門分野等 備考

小林 重敬 横浜国立大学大学院教授 都市計画 委員長

北山 恒 横浜国立大学教授 建築設計

近田 玲子 ㈱近田玲子デザイン事務所主宰 照明デザイナー、景観

奥津 勉 日本公認会計士協会

神奈川県会相談役 公認会計士

野並 直文 横浜商工会議所

観光情報サービス部会長 地元団体

古谷 幸治 神奈川県総務部副部長 行政

国吉 直行 横浜市都市整備局上席調査役 行政

吉国 浩二 NHK横浜放送局長 放送、文化

藤野 芳夫 都市再生機構神奈川地域支社 再開発事業施行者

c 公募与件(概要、例示)

項 目 内 容

敷地条件

○所在地

○地区内権利者の状況

○敷地分割の設定

○敷地面積と土地面積の設定

施設計画にあたっての基本方針

○上位計画、関連計画の概要

○都市計画等

○山下町県有地等利活用計画

施設計画にあたって留意事項

○上位計画、関連計画、都市計画等の遵守

○山下町県有地等利活用計画の遵守

○民間権利者の権利床計画

○用途制限、建築範囲の制限

○旧露亜銀行横浜支店の保存・利活用

○公開空地の充実

○デザイン基本計画の遵守

その他

事業手法 ○第1種市街地再開発事業の概要

○高度利用地区(想定)

その他特記事項

○測量・地質調査・埋蔵文化財・土壌汚染

○瑕疵担保責任・公租公課・引渡し物件

その他

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山下町県有地等利活用計画

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d 審査項目(例示)

資格審査

項 目 内 容

基本的要件【可否の評価】

○業務に携わることを予定する単体企業又は複数の企業によ

るグループであること

○応募企業及び応募グループの構成員の企業名及び携わる業

務等が明らかであること

○応募企業及び応募グループの構成員が他の応募グループの

一員でないこと

参加資格要件【可否の評価】

○地方自治法施行令第167条の4の規定に該当しないこと

○県の指名停止措置を受けていないこと

○債務の不履行があり、所有する資産に対し、仮差し押さえ

等の命令がなされていないこと

○事業税及び消費税を滞納していないこと

○2年以内に銀行取引停止処分がないこと

その他失格要件【可否の評価】○虚偽の記載がある場合、書類に不備がある場合

○与件等に違反している場合、その他不正行為がある場合

事業提案審査の項目

項 目 内 容

基礎項目【可否の評価】

○負担金に係る提案価格が、県の予定額未満の場合

○与件の開発条件を満たしていない場合

○事業遂行能力が要件を満たしていない場合

・収支状況 ~経常損益が赤字でない

・自己資本額 ~債務超過状態でない

・キャッシュフロー ~マイナスでない

・有利子負担額 ~100%以上でない

・利払能力 ~1.0 倍未満でない

事業計画審査(100点満点)

参加者負担金

(配点60点)

○共同施行者負担金の総額(県有地処分価格)

・負担金の額が最も多いもの(第1位)を満点とし、次順

位以下は総額の比率で減点する。この算定で 40 点以下と

なる場合は、40 点とする。

全体コンセプト、総合評価 (配点20点)

○神奈川の顔としてふさわしい拠点づくり

○地域企業との連携、調和

○旧露亜銀行の保存への取り組み姿勢点

地区にふさわしい施設計画 (配点10点)

○施設の利用計画

○県立新ホール、NHK新横浜放送局との相乗効果

○賑わいの拠点・広場計画

○統一ある街並みへの配慮

○環境への配慮

地区にふさわしい賑わいの

創出

(配点10点)

○地区の賑わいの創出手法

○地区周辺の魅力向上

○旧露亜銀行横浜支店の利活用の形態

○賑わい創出ゾーンの演出

○うるおいゾーンの演出

特別点

(最高で5点を加点)

○提案内容が非常に地域の活性化に寄与する場合

○集客数が非常に多く見込まれる場合

○文化情報を発信する力が特別に高い施設の場合

○旧露亜銀行の保存の度合いが非常に高い場合 など

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山下町県有地等利活用計画

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(1) 整備スケジュール

年 度 主 な 事 項 議 会 関 連

7月~9月

再開発事業の要請

10 月~12 月

平成17年度

1月~3月

平成18年度

平成19〜21年度

3 その他

設計選定プロポーザル 民間事業者公募

B1街区 A・B2街区

県ホール・NHKオープン

A街区・B2街区工事期間

権利変換計画認可

設計者・民間事業者の決定

事業者募集状況等

に係る報告

再開発事業の事業認可

都市計画決定

基本設計

実施設計

設計

積算

工事発注準備

新ホール設置に係る

債務負担の設定議案上程

新ホール取得に関する

議案上程

山下町県有地利活用計画

に係る報告

民間地権者は、土地による権利変換

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山下町県有地等利活用計画

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(2) 県民への広報計画

山下町県有地は県民の貴重な財産であり、その利活用にあたっては、広く県民に情報提供

を行う。

ア 広報時期及び内容

(ア) 平成17年秋

・B1街区の設計者募集、A・B2街区の共同事業者募集における公募内容

(イ) 山下町県有地オープン時期

・山下町県有地の利活用イメージ、街のネーミング募集

イ 広報の手法

情報化社会に普及した電子媒体を積極的に活用するとともに、従来の手法も交えた多面

的広報に努める。

(ア) 電車、バス等の公共移動機関

・地元交通関連会社との連携による中吊広告などのポスターの掲出

(イ) 地元企業や周辺商店街などの活用

・横浜商工会議所、神奈川県観光協会や山下公園通り・元町・横浜中華街の地元商店街

との連携によるポスターの掲出

(ウ) インターネットの利用

・県ホームページの活用

(エ) 行政などの機関紙

・県、市、都市機構などの機関紙を活用

(オ) マスコミ等の活用

・NHKなどと連携した迅速かつ広域的な情報伝達

・新聞やラジオ、テレビ等の番組や県広報番組の活用

(カ) 県庁の活用

・県本庁舎の懸垂幕の活用

県 民

地元企業

山下町県有地等利活用計画

事業の実現

広報

参画

賑わいの創出

地域活性化

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山下町県有地等利活用計画

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(3) 現NHK横浜放送局

平成21年度(目途)に、新NHK横浜放送局が山下町県有地に開局した後、現放送局用

地の利活用について検討する必要性が生じる。 現放送局用地は、横浜市中区の中心に位置し、横浜市中心市街地(関内・関外地区)活性

化基本計画に基づき、商業等の活性化と市街地の整備改善の一体的推進を図っている地区で

ある。

したがって、現放送局用地の利活用にあたっても、開港以来の歴史的魅力を生かしながら、

土地利用の高度化を図り、業務・商業施設、文化施設など都心地区にふさわしい機能を備え

た市街地形成を目指す計画としていかなければならない。今後、関係機関と協議しながら、

検討していく。

■敷地概要 ■現建物概要

所在地 横浜市中区本町1-4 構造等

RC造

地上5階地下1階

敷地面積 887.13 ㎡ 延床面積 3,064 ㎡

地域地区 商業地域、防火地域 竣 工 昭和 38 年 1 月

容積率・建ぺい率 800%・80%

高度地区 最低限1種高度地区(14m以上)

■位置図 ■現況写真

現 NHK

横浜放送局

基本方針

○みなとまちの歴史や文化の蓄積を生かしながら新しい文化を生み出す街

○特色あるにぎわいの界隈を巡り歩いて楽しめる街

○多様な都市機能がコンパクトに複合した魅力あふれる街

⇒「OLD&NEW 横濱」~港と歴史を快遊する創造都市~

「活性化基本計画」より

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山下町県有地等利活用計画

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参考資料

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山下町県有地等利活用計画

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参考資料

整備手法の比較

山下町県有地の整備は、直接建設、PFI、等価交換方式及び第一種市街地再開発事業の4つ

の手法が考えられるが、山下町県有地と民間駐車場用地と一体となったまちづくりが図られるこ

となどから、当地区の整備手法については、第一種市街地再開発事業(個人施行)が最も望まし

い手法であると考えられる。各整備手法の概要と比較検討は以下のとおり。

① 直接建設

② PFI(プライベート ファイナンス イニシアチブ)

PFI方式イメージ図

→ 公共施設等をPFI事業者(民間)が建設 公共団体等に譲渡

③ 等価交換方式

等価交換方式イメージ図

+ →

土地所有者 等価交換事業者が 土地所有者、等価交換事業者が

建物を建設 それぞれ土地、建物を区分所有

県とNHKがB1棟を建設し、民間事業者がA、B2街区を建設する。

PFI方式は、民間の資金・経営能力・技術的能力等を活用する手法で、民間事業者が公

共施設等を整備し、地方公共団体等に譲渡後維持管理及び運営を行う場合(BTO方式)

と、公共施設等を整備し、維持管理及び運営を行った後に、地方公共団体に譲渡する場合

(BOT方式)が一般的である。

当地区の場合、PFI事業者がB1棟を建設し、A、B2街区はPFI事業者以外の民

間事業者が別途建設することが想定される。

等価交換方式は、遊休地を活用したい土地所有者が、ノウハウを持たない又は建設資金

を用意できない場合などに、等価交換事業者(民間)がその遊休地に建物等を建設し、土

地所有者の土地の一部と、等価交換事業者の建設費用の一部を等価で交換する。その結果、

土地所有者、等価交換事業者がそれぞれ、土地、建物等を区分所有するというケースが一

般的である。

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山下町県有地等利活用計画

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④ 第一種市街地再開発事業(個人施行)

第一種市街地再開発事業イメージ図

土地所有者2名 土地は共有

(敷地分割する場合も有る)

整備手法概略比較表

直接建設 PFI 等価交換

方式

第一種市街地再開発

事業(個人施行) 備考・判定基準

一体的

まちづくり △ △ △~○ ○

△:街区毎デザイン調整

○:全街区一体的整備

スケジュール ○ △ ○ ○ ○:間に合うスケジュール

△:スケジュール上難しい

県の資金調達

の容易さ - ○ ○ ○

○:資金調達等が容易

-:通常と同じ

施行の要件 - △

(VFMの評価)-

(地権者同意等)

-:特に無し

△:施行の要件有り

税、登記の

優遇措置 - - - ○

○:税等の優遇有

-:通常と同じ

手続きの公平

性・透明性 - ○ - ○

○:法手続で高くなる

-:一般の場合と同じ

総合評価 △ △ ○ ◎

【市街地再開発事業の主な特徴】

・県有地と民有地の一体的な高度利用が可能となる

・事業の公平性・透明性が確保される

・所有地の活用により整備費の軽減が図られる

・税及び登記の優遇がある

従前権利者は

権利床を取得

施行者は保留床を取

得、譲渡

第一種市街地再開発事業(個人施行)は、都市再開発法に基づき、施行地区内で計画的

に行われる建築物等の整備に関する事業。「権利変換方式」により、権利者の従前の土地、

建物に関する権利の種類、資産額に応じ、従後の建物の床等の権利に等価で交換する。事

業の公共性等から税等の優遇が図られる。

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山下町県有地等利活用計画

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参考資料

地区内歴史的建造物の建築物概要と文化的価値

(1) 旧露露亜亜銀銀行行横横浜浜支支店店

-建築物の概要-

■竣 工 年:大正10年(1921 年)

■構造・規模:RC造(一部壁煉瓦造)、地上3階、塔屋1階 建築面積 478.73 ㎡

延床面積 1,520.49 ㎡

■設 計:バーナード・M・ウォード 施工:不明

-沿革の概要-

大正10年~ 露亜銀行横浜支店

大正12年 関東大震災では外壁の損傷。倒壊は免れる。(一時的にドイツ領事館として使用)

昭和34年~ 法務省横浜入国管理事務所

昭和53年~ 神奈川県警友会が警友会館別館(事務所)

平成 2年 「横浜市歴史を生かしたまちづくり要綱」に基づく歴史的建造物に登録

平成 8年 神奈川県が取得

-建物の価値-

建物の価値を客観的に把握するため、県が、平成15年度に調査を実施しており、この結果、

① 横浜居留地の山下町にあって外国資本銀行の唯一の遺構である。

② 煉瓦造からRC造への変換期の混構造であるが、このような技術で建設された建物は少なく、

また関東大震災を経て残っている数少ない遺構である。

③ シンメトリーな外観を有する古典バロック的デザインでRC造による最初期のものである

など、歴史的、技術的、学術的、意匠的価値を有している建物であることが判明している。

■ 震災被災古写真

図 3-5 1 階、2階平面図

写真、平面図は、(財)文化財建

造物保存技術協会「元警友病院

別館調査報告書平成 16年 3月」

より

■煉瓦造写真

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(2) 旧横横浜浜居居留留地地 4488 番番館館

-建築物の概要-

■竣 工 年:明治16年(1883 年)

■構造・規模:煉瓦造、 建築面積・延床面積とも 74.54 ㎡

■設 計:不明 施工:不明

-沿革の概要-

明治16年~ J.P.モリソン(1844~1931)が経営するモリソン商会の建物として用いられる

大正12年 関東大震災で損壊し、2 階建てであった建物が平屋建てに、面積規模も6割に縮小

昭和15年~ ヘルム兄弟商会の所有

昭和53年~ 神奈川県が取得

平成13年 神奈川県重要文化財に指定(保存工事済み)

-文化的価値-

横浜最古の洋風建築 石灰製の目地を持つフランス積み(設計・施工にフランス人の建築家・技術者が関与)

≪参考:神奈川県「文化財だより」より≫

旧横浜居留地48番館は、明治 16 年の創建から大正 15 年まで、明治・大正期の横浜の外国人商

人の代表的存在であるJ.P.モリソン(1844~1931)が経営するモリソン商会の建物として用い

られ、その後ヘルム兄弟商会の所有となり、昭和 53 年から神奈川県の建物となって今日に至って

います。

関東大震災で、当初 2階建てであったものが平屋となり、また、平面規模もおよそ 6割に縮小さ

れていますが、現存の部分はよく当初の姿をとどめています。

石灰製の目地を持つフランス積みによる煉瓦造の建物であり、また、設計尺度はメートル法によ

るとみなされ、設計・施工にフランス人の建築家・技術者の関与が会ったと目される点でも希少性

を持つ遺構です。

また、北側主入口のアーチ上部に置かれたキーストーンには、「48」という数字の下に「四十八」

と漢数字が縦に描かれており、これは、明治 19 年出版の「日本繪入商人録」の居留地 48 番館の建

物に描かれたキーストーンと同じとみなされる貴重なものです。

■ 建物内部写真 ■ 建物外観写真