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39 「有償ボランティア」をめぐる先行研究の動向 東根 ちよ Graduate School of Policy and Management, Doshisha University 1 なお本稿において有償のボランティアは存在し得ないとの批判も根強い有償ボランティアという名称を次の二点の理由で使 用している一つ目の理由は現段階において個人の活動形態を表す用語として浸透しているためである。「有償ボランティアとい う用語に内包される矛盾を解決するために「 有償スタッフ 」互酬性ボランティア」「生活支援型ボランティア」「ボランティア的有 給労働等の名称が提示されることもあるがそれ以上に有償ボランティアは地域において日常的に使用される用語となっている二つ目の理由は、「有償ボランティアという用語に対する疑問が生じない社会福祉以外の研究分野労働政策税法等においてはこのような個人の活動形態を有償ボランティアとして捉え論じられているためである2 全国社会福祉協議会1987]「住民参加型在宅福祉サービスの展望と課題において当該支え合い活動はその特徴から住民参加 型在宅福祉サービスと称されている3 ただしボランティアの有償化現象自体は 1980 年代以前からも見られた (「善意へ二百円の日当”」 朝日新聞 1967 3 9 日付夕刊 8 )。 4 庄司洋子武川正吾木下康仁藤村正之編1999]『福祉社会事典弘文堂P987 5 一方援助に対し一定の謝礼金が生じる有償ボランティア場合によっては援助者に労働者意識を与え援助の受け手に消 費者意識を与える可能性もある概要 本稿はいわゆる有償ボランティアに関 する先行研究を時系列に整理した上で今後の 研究課題について考察を行っている有償ボランティアと称される個人の活動 形態は 1980 年代高齢者介護分野における会 員制の支え合い活動の特徴として現れたと 考えられているまた 1998 年の NPO 法の施行 以降は会員制の支え合い活動のみならずNPO 法人内部における活動形態としても広が りをみせている一方、「有償ボランティアの位置づけはかねてから曖昧なまま運営され続 けておりその点が時として有償ボランティ に過度の負担を強いたり既存の法制度の 適用に関して実務的な課題を生じさせたりして いる本稿の考察からは、「有償ボランティアは個人として独立して活動を行う個人形態組織の一員として活動を行う組織所属形 の二つの形態が存在することが確認された加えて今後の有償ボランティア研究には実証的研究の蓄積と先行研究で示される四つ の基盤整備の方向性に関して具体的な検討が求 められている1.はじめに いわゆる有償ボランティア 1 と称される 個人の活動形態は1980 年代に出現した高齢 者介護分野における会員制の支え合い2 の特徴として現れたと考えられている 3 定まった定義は存在しないが例えば庄司川ほか編19994 、「ボランティア活動の担 い手に対して実費や報酬といった金銭の収受 を認めることとしているこのような有償 ボランティアボランティアに類する活動 形態でありながらも一定の謝礼金が介在す ることで援助を行う側にとっては活動の促進 や継続の一要因となり援助を受ける側にとっ ては気兼ねない利用につながる等のメリットが 指摘され 5 全国に広がった加えて1998 年の 特定非営利活動促進法以下NPO の施 行以降はNPO 法人内部においても有償ボ ランティアと称される人々が多数存在するに 至っているこのような実態からは、「有償ボ ランティアが社会的に必要とされる活動形態

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「有償ボランティア」をめぐる先行研究の動向

東根 ちよ

Graduate School of Policy and Management, Doshisha University

1 なお、本稿において、有償のボランティアは存在し得ないとの批判も根強い「有償ボランティア」という名称を、次の二点の理由で使用している。一つ目の理由は、現段階において、個人の活動形態を表す用語として浸透しているためである。「有償ボランティア」という用語に内包される矛盾を解決するために、「 有償スタッフ 」「互酬性ボランティア」「生活支援型ボランティア」「ボランティア的有給労働」等の名称が提示されることもあるが、それ以上に「有償ボランティア」は地域において日常的に使用される用語となっている。二つ目の理由は、「有償ボランティア」という用語に対する疑問が生じない社会福祉以外の研究分野(労働政策、税法等)においては、このような個人の活動形態を「有償ボランティア」として捉え、論じられているためである。

2 全国社会福祉協議会[1987]「住民参加型在宅福祉サービスの展望と課題」において、当該「支え合い」活動はその特徴から「住民参加型在宅福祉サービス」と称されている。

3 ただし、ボランティアの有償化現象自体は 1980年代以前からも見られた(「善意へ二百円の“日当”」朝日新聞 1967年 3月 9日付夕刊 8面)。4 庄司洋子、武川正吾、木下康仁、藤村正之編[1999]『福祉社会事典』弘文堂、P9875 一方、援助に対し一定の「謝礼金」が生じる「有償ボランティア」は、場合によっては援助者に労働者意識を与え、援助の受け手に消費者意識を与える可能性もある。

概要

 本稿は、いわゆる「有償ボランティア」に関する先行研究を時系列に整理した上で、今後の研究課題について考察を行っている。 「有償ボランティア」と称される個人の活動形態は 1980年代、高齢者介護分野における会員制の「支え合い」活動の特徴として現れたと考えられている。また 1998年の NPO法の施行以降は、会員制の「支え合い」活動のみならず、NPO法人内部における活動形態としても広がりをみせている。一方、「有償ボランティア」の位置づけはかねてから曖昧なまま運営され続けており、その点が時として「有償ボランティア」に過度の負担を強いたり、既存の法制度の適用に関して実務的な課題を生じさせたりしている。 本稿の考察からは、「有償ボランティア」には個人として独立して活動を行う「個人形態」と、組織の一員として活動を行う「組織所属形態」の二つの形態が存在することが確認された。加えて、今後の「有償ボランティア」研究には、実証的研究の蓄積と、先行研究で示される四つの基盤整備の方向性に関して具体的な検討が求

められている。

1.はじめに  いわゆる「有償ボランティア 1」と称される個人の活動形態は、1980年代に出現した高齢者介護分野における会員制の「支え合い」活動 2の特徴として現れたと考えられている 3。定まった定義は存在しないが、例えば庄司・武川ほか編[1999]4は、「ボランティア活動の担い手に対して、実費や報酬といった金銭の収受を認めること」としている。このような「有償ボランティア」は、ボランティアに類する活動形態でありながらも一定の「謝礼金」が介在することで、援助を行う側にとっては活動の促進や継続の一要因となり、援助を受ける側にとっては気兼ねない利用につながる等のメリットが指摘され 5全国に広がった。加えて、1998年の特定非営利活動促進法(以下、NPO法)の施行以降は、NPO法人内部においても「有償ボランティア」と称される人々が多数存在するに至っている。このような実態からは、「有償ボランティア」が社会的に必要とされる活動形態

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となっているといえるだろう。 一方、そのような実態に比して、この個人の活動形態を「労働者」や「ボランティア」等との関係性の中でどのように位置づけていくのかという今後の方向性に関しては具体的に検討されておらず、今なおその位置づけは不明瞭である。そして、このような現状は特に、「有償ボランティア」に対し労働関連法令(財団法人日本労務研究会[2005]、小野[2007a]、皆川[2008]等)や税法(小林[2003]、渡辺[2005]、田中・忠岡[2005]等)をどのように適用するか(あるいは適用しないか)という、現行の法制度との関係性をめぐって問題が顕在化する。明確な規定が存在しないことは「有償ボランティア」が枠組みにとらわれず柔軟に活動できることに寄与している反面、場合によっては単なる「低廉な労働力」として機能してしまう危険性を孕んでいる。そのため、曖昧なまま運営され続ける「有償ボランティア」の制度基盤を、実態に即しながら構築していくことが必要であるというのが本稿の背景にある問題意識である。 以上の状況をふまえ、本稿は、これら「有償ボランティア」の実態や名称の是非を問うことではなく、今後の方向性を検討していく際の一材料となることをめざし「有償ボランティア」に関する先行研究の動向の考察を目的とする。対象とする先行研究は、「有償ボランティア」について論じる論文・文献・報告書であり、対象とする論文・報告書は、NII学術情報ナビゲータ(Cinii)および国立国会図書館サーチ(NDL Search)により検索を行った 6。その後、両検

索システムから検出された論文・報告書において参考・引用されている論文・文献・報告書を補完した結果、参考文献にあげた論文 64件、文献 25件、報告書 8件が対象となった。対象とする先行研究の期間は 1980年から 2013年であり、研究経緯の整理を行う際の時代的な背景は、ボランティアの有償化をめぐる経緯がまとめられている仁平[2012]を参考にしている。 なお、本稿の構成は以下のとおりである。第2章では本稿で取り上げる「有償ボランティア」の概念と背景について確認し、第 3章では「有償ボランティア」に係る研究の経緯について確認する。そして、第 4章においては第 3章の内容をふまえ「有償ボランティア」に関する先行研究の動向について考察を行う。

2.「有償ボランティア」の概念と背景

 既述のとおり、「有償ボランティア」には明確な定義が存在しないが、小野[2007c]を参考に図式化すると、無償を基本とするボランティア活動と貨幣を媒介とする労働の中間的なあり方で図 1の網掛け部分に位置すると考えられる 7。庄司・武川ほか編[1999]8において定義されているように「ボランティア活動の担い手に対して、実費や報酬といった金銭の収受を認める」活動形態であるといえるだろう。 このように、図 1の網掛け部分に位置する「有償ボランティア」は、1980年代に出現した住民参加型在宅福祉サービス 9を中心に、様々な

6 2014年 3月 31日時点において「有償ボランティア」をキーワード検索した結果、Ciniiにおいては 39件、NDL Searchでは 51件が検出された。ただし、キーワード検索の結果、検出されたものの、「有償ボランティア」について論じられていないもの等は省いている。

7 一方、「実費を受け取るボランティア」に関しては、「ボランティア活動」であるとする意見も存在する(大阪ボランティア協会[1987]等)。8 前掲脚注 4 参照9 前掲脚注 2 参照

図 1 「有償ボランティア」の位置づけ出所:小野[2007c]をもとに筆者作成

「有償ボランティア」をめぐる先行研究の動向 41

形態で存在している(表 1)。加えて、表 1のように全国的に展開されている活動以外にも、NPO法人や任意団体に所属する「有償ボランティア」も多い。なお、「高齢者の生きがい就労」を目的とするシルバー人材センターは、「有償ボランティア」と労働関連法令の関係を検討する際に度々参考にされる形態であるため 10、記載している。 また、ボランティアに対する「語り」の変化に着目し、その誕生と終焉の経緯を詳細に論じ

る仁平[2012]では、1980年代にボランティア像が変化する中、ボランティアの有償化現象が現れた背景について分析されている。仁平[2012]における記述をもとに、「有償ボランティア」の経緯をみると、ボランティアを特徴づける概念が「贈与」(他者のため)から「交換」(返礼を伴う「贈与」)に変化する中で「有償ボランティア」が出現した 1980年代、「互酬性」概念とともに「有償ボランティア」が活発化した1990年代、NPOという新しい概念が誕生する

10 山口[2003]、皆川[2008]等

出所:筆者作成

表 1 全国展開される「有償ボランティア」の類型

東根 ちよ42

ことにより、「有償ボランティア」と NPO概念との関係性や今後の方向性に関する議論が出始める 2000年以降に区分できる。 そこで本稿では、各年代の特徴から 1980年代を出現期、1990年代を拡張期、2000年以降を展開期と位置づけ、各年代ごとに先行研究の整理を行い、内容を確認したい(表 2)。

3.「有償ボランティア」研究の経緯

3. 1 1980 年代:出現期

 はじめに、「有償ボランティア」が出現した1980年代の研究動向をみてみたい。「有償ボランティア」という用語が生み出された経緯は定かではないが 11、いずれにしても「有償ボランティア」に関する先行研究が見え始めるのは 1980年代であり、この時期の研究動向はボランティアの有償化に対する賛否が主な論調となっていた。

3.1.1 批判的見解

 まず、1980年代の先行研究で目立つのは「有償ボランティア」に対する批判的見解である。新しく出現した個人の活動形態である「有償ボ

ランティア」に対しては、既存の分野からの批判が大きく、類似するホームヘルパー等の労働者からも無償を基本とするボランティアからも批判的な見解が度々述べられていた。 本稿が対象とする先行研究のうち「有償ボランティア」に関して記述された最も古いものは、日本ホームヘルパー協会から発行される井上[1985]である。井上[1985]はホームヘルパーの立場から、「安上がりな福祉労働力」である「有償ボランティア」という担い手が出現することにより、ホームヘルパー業務が家事の延長やボランティアで足り得ることだと認識されることを懸念している。 また、ボランティアの無償性を重要視する見解からは、「有償ボランティア」はボランティアとは異なるものであるという主張が度々なされていた(大橋[1986]、鈴木幸[1989]等)。例えば、ボランティア活動が本来有する意味 12

を重要視する大橋[1986]は、「有償ボランティア」は公的な在宅福祉サービスを制度化する上で一定の役割を果たしたが、あくまでも在宅福祉サービスのシステムと有給職員のあり方についての問題であり、ボランティアに関わる問題ではないと指摘する。同じく、岡本栄一氏は「これまで無償を原則としていたボランティア活動がゆさぶりをかけられている」として、「有償ボランティア」の存在を疑問視している(大阪

11 先行研究において、「有償ボランティア」という用語が生み出されたきっかけは、神戸ライフ・ケアー協会であると指摘するものが最も多い。新谷、土肥、小林[1987]のほか、熊田博喜[1998]「戦後日本のボランティア政策の史的動態に関する一考察」『東洋大学大学院紀要 第 35集』、加藤裕子、土肥隆一、大沢隆、佐藤進[1986]「有料福祉、その展開と問題点」『社会福祉研究 第 39号』など。

12 この点に関し大橋謙策氏は、「そもそもボランティアとは “自立と連帯の社会・地域づくりをめざして自発的、自律的、自覚的、社会的に活動を行う人” であり、ある者が他者へ一方的に援助を提供するというよりも、“情けは人のためならず” という性質をふまえて展開されるべき活動である。その活動には、“他者との中で自己をより豊かに実現する活動”、“地域・社会づくりにおける創造的・先駆的活動”、“原則として金銭的対価を求めない活動” といった性質を内在させたものでなければならない。」(大橋[1986]、P42)と述べている。

出所:仁平[2012]を参考に筆者作成

表 2 「有償ボランティア」の経緯

「有償ボランティア」をめぐる先行研究の動向 43

ボランティア協会監修[1987]、P220)。両者はいずれも、ボランティア元来の意義を重要視する側面からアプローチを行っている 13。 そのような中、先行研究において、1980年代の「有償ボランティア」批判として大きな影響を及ぼしているものが、1986年に東京都社会福祉審議会から発表された答申「東京都におけるこれからの社会福祉の総合的な展開について」である。同答申において「有償ボランティア」は、ボランティア活動の精神的基盤を危うくすることにもなりかねず、最低賃金制度を含む労働を曖昧なものにする上、パート市場を混乱させることになるとして強く批判されている。加えて、当時「有償ボランティア」による援助が積極的に行われていた在宅福祉サービスの領域は、事故が起きた際の責任の所在を明確にしておく必要があるため、実費弁済以外の支払いを原則として避けるべきと主張されている。東京都社会福祉審議会の答申には、1980年代「有償ボランティア」に向けられた批判的見解が集約されていた。

3. 1. 2 現場からの要請

 前述のように「有償ボランティア」に対する批判的な見解が発表される一方、1980年代に「有償ボランティア」の必要性を積極的に述べる見解は、地域生活を営む上での現実的な必要性に基づき「有償ボランティア」組織を運営する側から主張されていた。 例えば、土肥み[1985]、土肥隆[1987]、安藤[1987]においては「有償ボランティア」組織を運営する立場から、「有償ボランティア」は現場からの要請であるとの主張がされている。ボランティア活動の担い手に対して一定の「謝礼金」を支払うことは、援助者と利用者の間に「対等な関係」を生み出し、援助者の活動の「継続性」につながり、利用者に「頼みやすさ」を生み出すということが、「有償ボランティア」が求められる具体的な理由として指摘されている。1980年代以降、批判を受けながらも着実に「有償ボランティア」活動が地域に根付いていく背景には、このような現場からの要請

があったと考えられるだろう。

3. 1. 3 小括

 仁平[2012]においては、1980年代、ボランティアを特徴づける概念が「贈与」(他者のため)から「交換」(返礼を伴う「贈与」)に変化したことが「有償ボランティア」が生まれる一因になったと指摘されている。同時に、何がボランティアであって何がボランティアでないかという「ボランティアの同定問題」が先鋭化した時期でもあったと指摘されているが、まさに「ボランティアの同定問題」の中で「有償ボランティア」が揺れ動いている時期が 1980年代である。 そして、新しく出現した個人の活動形態である「有償ボランティア」は、無償を基本とするボランティアからも、ホームヘルパー等の類似する労働形態の側からも批判的な見解を受けながら、いずれにも統合されることがない一方、現場の要請からはその必要性が度々論じられていたというのが 1980年代(出現期)の研究動向であった。

3. 2 1990 年代:拡張期

 続いて、1990年代の研究動向をみてみたい。仁平[2012]において、1990年代に「有償ボランティア」を特徴づける概念として「互酬性」が打ち出されたことが、「有償ボランティア」が拡張するきっかけとなったと指摘されている。このような理論的な概念の普及とともに、実態としても「有償ボランティア」が地域に広がりをみせる中、1990年代には先行研究が多数発表されることになった。

3. 2. 1 理論的な積極的側面

 1990年代の「有償ボランティア」は、その「論理矛盾にもかかわらず現実はますます進行」しており、先行する現実に対し理論的な裏づけが求められていた(西尾・村松編[1994]、P230)。そして、それまで「有償ボランティア」

13 この点に関し山田[2005]は、実証的研究から「有償ボランティアは無償のボランティアと似て非なるもの」と結論づけている。

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に否定的であった論者が、その有用性を積極的に捉える論考を行う傾向が見え始めた。例えば、京極[1993]は、かつて「有償ボランティア」を消極的に捉えていたが、活動が地域に広がる中、「有償ボランティア」を互酬性ボランティアとして「捉え直す必要性を痛感している」と述べている 14。 そのような中、1980年代の福祉供給システムの多元化を積極的に位置づけ、政策的にも推進した三浦文夫氏は、厚生省(現厚生労働省)の「介護ボランティア等の時間貯蓄制度に関する研究会」の座長を務めるなど「有償ボランティア」的な取り組みを政策的にも推し進めていた。その際、「有償ボランティア」の推進を理論的に後押ししたのは、仁平[2012]においても指摘されている「互酬性」概念であった。栃本[1993]もこの「互酬性」概念を重要視し、「チャリタブル(慈善的)ボランティアからレシプロシティ(互酬性)ボランティアへ」として、「有償ボランティア」の存在を積極的に肯定している。 また、社会学の立場からは、互酬関係に基づく「有償ボランティア」による援助は、人が地域生活を営む上での選択の多様性を支えるものとして積極的に評価された(高野[1993][1999]、高橋[1996])。同時に、互酬性概念に基づき行われる「有償ボランティア」活動は、都市化に伴い薄れつつあった地域コミュニティの再生に寄与するという意見もみられるようになる(高橋[1996]、園田[1999])。 さらに、1990年代の「有償ボランティア」の積極的な側面を後押しするものとして影響を及ぼしたのが、1993年に中央社会福祉審議会地域福祉専門分科会によりまとめられた「ボランティア活動の中長期的な振興方策について(意見具申)」である。同意見具申で「有償ボランティア」は「ボランティアの本来的な性質から離れるものではない」と結論付けられ、続く

『平成 12年版 国民生活白書』においても、「有償ボランティア」は多様なボランティア活動を生み出すものであると公的に評価されるに至った(経済企画庁[2000]、P205)。

3. 2. 2 ジェンダー視点からの批判

 一方、1990年代には、1980年代には見られなかった批判的な見解も指摘されるようになる。その一つが「有償ボランティア」により実施される援助内容がケア労働であり、援助者の多くが女性である実態から、「有償ボランティア」活動が「ジェンダー非中立」なものであるとの指摘であった。 1990年代以降、ジェンダー論の立場からは「有償ボランティア」に対し厳しい批判が行われている 15。この点に関連する内容を特に詳細に論じているのが森川[1998]である。森川[1998]は 1980年代から推進された「有償ボランティア」を含む福祉サービス供給システムの多元化が、「性別役割分業に固定された女性が、公的なサービスの不足を「住民によるサービス」として低賃金で処理する構造を確立することになっている」ことを指摘する(森川[1998]、P404)。事実、「有償ボランティア」活動の援助者を性別にみると女性が圧倒的に多く、ジェンダーの視点から見た場合の問題が内包されていた。

3. 2. 3 小括

 1980年代に既存分野からの批判的な見解が多く公表された「有償ボランティア」であるが、現場からはその必要性が度々主張され、1990年代には全国的に活動が広がりをみせる。そして、1990年代に入り活動が地域に根付き始めてからは、「有償ボランティア」を理論的に積極的に捉える視点として「互酬性」「福祉供給

14 ほかにも、かつてボランティアの報酬性を否定していた阿部志郎氏は(阿部志郎[1973]「ボランティアの思想的性格」『地域活動研究第 6巻 2号』)、1992年の中央社会福祉審議会地域福祉専門分科会において、「互酬性」原理に基づく「有償ボランティア」を積極的に評価している。

15 「有償ボランティア」に対し、ジェンダーの視点から批判を行う先行研究はその後多々発表されている。「有償ボランティア」により対処される「家事」は特別の技能や訓練を要さない、「女なら誰でもできる」仕事であるという隠れたセクシズムがあることを指摘する、上野千鶴子[2000]「月曜評論 家事援助と身体介護は一体」『信濃毎日新聞』のほか、井上清美[2004]「「子育てを支援する」人々の意識とジェンダー―A市ファミリー・サポート・センター事業への調査から―」『家族研究年報 No.29』では、「有償ボランティア」により実施される「ファミリー・サポート事業は、ジェンダー規範によって女性に固定化された子育てというケアワークを、女性の側に再固定化するというシステムを内包して」おり、「こうした構造は、ジェンダーの視点からみれば、是正すべき問題性を抱えている」と指摘している。

「有償ボランティア」をめぐる先行研究の動向 45

主体の多元化」「地域コミュニティの再生」が指摘され、否定的な視点として「ジェンダー非中立」が指摘され始めた。 1980年代に出現して以降、位置づけが不明瞭のまま広がりをみせる「有償ボランティア」に関して、その積極的側面と消極的側面のいずれもの議論が出揃ったというのが 1990年代の研究動向であったといえる。

3. 3 2000 年以降:展開期

 1998年に NPO法が施行されたことに伴い、「有償ボランティア」を取り巻く研究動向は、

2000年代に入り変化をみせる。具体的には、それまで以上に多様な研究分野から「有償ボランティア」という活動形態が注目され始めた。そのきっかけとなったのが、2000年 8月に提訴されたいわゆる「流山訴訟」である。同訴訟は、NPO法人流山ユー・アイネットが実施する「有償ボランティア」事業に対し、当該事業を収益事業とみなし法人税を課すことができるか否かが争われた事案である。流山訴訟では、「有償ボランティア」の法的位置づけに関して様々な論点が提起されたが、最終的に東京高等裁判所は 2004年 11月、「有償ボランティア」事業に法人税を課すとする税務署の主張を肯定し「現行法の解釈、運用としては、ユー・アイネットの主張を採用することは困難である」と結論付けた。「有償ボランティア」が社会的に定着しつつあった 2000年代には、流山訴訟をきっかけに、不明瞭な位置づけに置かれている「有償ボランティア」に対する税法や労働関連法令の適用等、実務的な対応課題が論点としてあげられるようになった。

3. 3. 1 税法の適用

 流山訴訟の判決が確定した 2004年から翌年にかけては、税法上の観点から「有償ボランティア」を検討する先行研究が多く公表されている(小林[2003]、武田[2004]、渡辺[2005]、田中・忠岡[2005]等)。流山訴訟を検討するいずれの先行研究においても、現行法上においては裁判所の判決には妥当性があるとした上で、「東京高裁も本件は立法論の問題であると判示し、その早急な解決は立法府に委ねられたので

あり、このような回答を引き出したことに流山訴訟の意義がある」(渡辺[2005]、P7)と、「有償ボランティア」という新しい活動形態に対する今後の対応の必要性を指摘している。 このような状況のなか、流山訴訟の原告代理人であった堀田力氏は、当該判決を受け「ボランティア認知法(正式名:ボランティアの法的地位を定める法律)」を提言した(堀田[2005])。同法においては、謝礼金を伴う「有償ボランティア」はボランティア活動の一種として法的に位置づけ、「労働」と区別すべきとの内容が示されている。一方、大場[2005]では、提示されたボランティア認知法案を検討した結果、同法案はボランティアと労働者の区別が適切に行われるものではないと指摘する。大場[2005]の主張によると、「ボランティア認知法」では「有償ボランティア」の就労実態や「対価」の実態の客観面を考慮せず、本人の意思によって労働者性を判断する結果、「悪質な事業者」を適切に排除できない。また、実費弁済まではボランティアであるが、活動時間に応じて対価が支払われている「有償ボランティア」は就労実態や対価によって「労働者性が認められる場合がある」というべきであり、具体的には「指揮監督下の労働」および「使用従属性」に従って判断するのが妥当であり、「ボランティア振興法」的なものの制定が必要であると結論付けている。

3. 3. 2 労働関連法令の適用

 税法の適用と同様、「有償ボランティア」に対する具体的な対応策が問題にされたのは労働関連法令においてであった。2000年代に入り、労働法分野において「有償ボランティア」の存在は、労働者保護の観点から問題のある事例として着目されている(財団法人日本労務研究会[2005]、浦坂[2008]、皆川[2008]、村中[2008])。 労働者保護の観点からは、曖昧な位置づけにある「有償ボランティア」に労働関連法令を適用することが望まれる。浦坂[2008]は現在のNPO法人におけるボランティアスタッフの労働環境のあり方を問題視し、実際に「有償ボランティア」とそうでない人の境は曖昧であるだけでなく、NPO活動に関わる大半が「有償ボランティア的存在」であり、リスク管理やセー

東根 ちよ46

フティネットのサポート体制が整備されていない不安定な労働環境下に置かれていると述べる。また、NPO法人に所属する「有償ボランティア」が「低廉な労働力」とならないように「労働者として扱われる人はそのように扱う」という主張が存在するが、無い袖は振れないという前提の前では「そうしたくてもできない」状況が存在すると指摘する。 また、「有償ボランティア」の実証的研究を行っている労働政策研究・研修機構[2006]は、「有償ボランティア」の位置づけは使用従属性の観点から「労働者性」をみても、個人の意識面から「ボランティア性」をみても、無償ボランティアと有給職員との中間に位置するが、「より無償ボランティアに近い」ことを明らかにしており、このような現状をみても安易に労働関連法令を適用することが出来ないのが実態となっている。

3. 3. 3 NPO 概念との関係

 また、2000年代の「有償ボランティア」に関する研究の流れとしてもう一つ重要なのは、NPO概念との関係である。「有償ボランティア」に対する関心は、1998年の NPO法の施行に伴い、2000年代に NPO労働をはじめとする「多様な働き方」が認識され始めたことを契機として一層高まった。この点に関して、独立行政法人労働政策研究・研修機構は 2004年から2007年にかけて、非正規労働や NPO労働研究に関わる研究員を中心に実証的研究を行っている 16。これらの研究では、「有償ボランティア」の能力や意識は、有給職員よりもボランティアに近いことが示されているが、労働者に仕事内容が近づくと内在的意識が有給職員に近くなる可能性があり、社会的ニーズが高まり「有償ボランティア」が増えるのであれば、新たな法的枠組みが望まれることが指摘されている(小野[2005])。

3. 3. 4 小括

 流山訴訟や NPO法の施行がきっかけとなり、

不明瞭な位置づけのまま運営され続けてきた「有償ボランティア」に対し、税法や労働関連法令をどのように適用していくのかという、既存の法制度との関係性について具体的な検討が行われ始めたのが 2000年代の研究動向であった。同時に、「有償ボランティア」の実証的研究が行われると、無償ボランティアと有給職員との中間に位置するが、「より無償ボランティアに近い」という実態が明らかになった。また、2000年以降に関しては、このように不安定な位置づけに置かれ続ける「有償ボランティア」の基盤整備を行うため、今後の方向性について具体的に示す先行研究も見え始めるのだが、この点については次章で確認したい。

4.考察

 本章では今一度、年代別の研究動向を振り返るとともに、「有償ボランティア」の二つの活動形態を確認した後、今後の研究課題について考察を行いたい。

4. 1 年代別の研究動向

 1980年代、「有償ボランティア」という活動形態が出現した時期には、ボランティアの立場からは「ボランティアとは異なるものである」として、ホームヘルパー等の類似する労働形態の立場からは「安上がりな福祉労働力である」として、批判的な見解が主張されていた。一方、神戸ライフ・ケアー協会のように、現場からは「有償ボランティア」という新しい活動形態の必要性が度々論じられていたのがこの時期の研究動向であった。 続いて、「有償ボランティア」活動が拡張される 1990年代には、「有償ボランティア」をめぐる理論的な研究が進行した。「有償ボランティア」を積極的に捉える視点としては、「互酬性」「福祉供給主体の多元化」「地域コミュニティの再生」が指摘され、批判的に捉える視点として、新たに「ジェンダー非中立」の視点が指摘され始めた。「有償ボランティア」に対して、積極

16 岩田[2004]、小野[2005]、労働政策研究・研修機構[2006][2007]等。

「有償ボランティア」をめぐる先行研究の動向 47

的側面と消極的側面のいずれもの議論が出揃ったのが 1990年代の研究動向であったといえる。 その後、2000年以降は、NPO概念との関係も相まって、不明確なまま拡大し続ける「有償ボランティア」に対する具体的な対応策が税法や労働関連法令の分野において示されるとともに、「有償ボランティア」の今後の方向性について具体的に示す先行研究が見え始めた。 以上の 「有償ボランティア 」をめぐる先行研究を確認する中で、「有償ボランティア」には二つの活動形態があることに気づく。

4. 2 「有償ボランティア」の活動形態

 本稿においては、「有償ボランティア」に関する先行研究の動向を確認しているが、先行研究を確認する中で、「有償ボランティア」には、個人として独立して活動を行う「個人形態」と、組織の一員として活動を行う「組織所属形態」の、二つの形態を認めることができる。そして、「有償ボランティア」に関わる先行研究のなかにも、「個人形態」に着目するものと「組織所属形態」に焦点をあてるものがある。この点は後の「有償ボランティア」の基盤整備を検討する際にも重要となるため、先に確認しておきたい。 まず、図 2のように個人形態の「有償ボラン

ティア」は、1980年代に育児・介護を含む家事を、会員制の「有償ボランティア」による「支え合い」の仕組みにより対応しようとする試みのなかで発生した。個人形態の 「有償ボランティア 」は、市町村や社会福祉協議会、NPO法人等が会員同士のコーディネートを行うが、援助活動はあくまでも会員同士で行われ、報酬(謝礼金)に関しても全額が「有償ボランティア」に支払われる。また、個人形態の「有償ボランティア」は、公的福祉サービスの未整備を補うように 1980年代に「ボランティアの有償化」の流れのなかで生じ、新しい「ボランティア」の形態として着目されたことから、主として社会福祉領域の研究対象として議論されてきた。その内容は、第 3章の第 1節「1980年代:出現期」で確認したとおりである。 一方、個人形態の「有償ボランティア」に対して、組織に所属する形態の「有償ボランティア」が存在する。これが、図 3の仕組みで活動を行う「有償ボランティア」である。 組織に所属する形態の「有償ボランティア」は 1998年の NPO法の施行に伴い、「多様な働き方」が認識され始めたことを背景に、NPO法人のスタッフの一形態として急増することになる。個人形態の「有償ボランティア」は新しい「ボランティア」の形態として着目されたのに対し、組織に所属する形態の「有償ボランティ

図 2 個人形態の 「 有償ボランティア 」出所:筆者作成

図 3 組織所属形態の「有償ボランティア」出所:筆者作成

東根 ちよ48

ア」は新しい「働き方」として着目されたことから、主に労働政策領域において議論されることになった。その内容は、第 3章の第 3節「2000年以降:展開期」の動向である。組織に所属する形態の「有償ボランティア」は組織のスタッフであり、図 3のように外部の「依頼者」に対して何らかの援助を行う場合であっても、関係性はあくまでも依頼者と組織間で成り立っている。 以上のように、「有償ボランティア」の活動形態には、個人として独立して活動を行う「個人形態」と NPO法人など組織の一員として活動を行う「組織所属形態」の、大別して二つの形態が存在する。この点を前提として、今後の「有償ボランティア」の研究課題には以下の二点を挙げることができる。

4. 3 実証的研究の蓄積

 一つ目の検討課題は、実証的研究の蓄積である。「有償ボランティア」を論じる先行研究をみてみると、理念的な研究が比較的多く行われている反面、「有償ボランティア」の実態を捉えるために詳細な実証的研究を実施しているの

は、財団法人日本労務研究会[2005]、労働政策研究・研修機構[2006]等、一部に留まっている。両者の実証的研究では、既述のとおりボランティアと労働者のいずれにも適合しない、援助活動の実態が明らかにされている。しかし、多様な「有償ボランティア」の実態を明らかにするための実証的研究は未だ不十分であり、研究の蓄積が必要であろう。「有償ボランティア」の実態が明らかにされていない中では、NPO法人内部、地域の自主的な活動や会員制の活動として、「有償ボランティア」がなし崩し的に拡張しているという実情も存在する。 現場の要請から発生した「有償ボランティア」活動は、今や不可欠な活動形態となっていることが、1980年に多くの批判を受けながらも依然として「有償ボランティア」の形態で援助活動が継続されている現状から見てとれる。今後の具体的な方向性を検討するためにも、実態をより明らかにしていくことが必要だろう。

4. 4  「有償ボランティア」の基盤整備の方向性

 二つ目の検討課題は、「有償ボランティア」

出所:筆者作成

表3 「有償ボランティア」の方向性

「有償ボランティア」をめぐる先行研究の動向 49

を「労働」や「ボランティア」等との関係性の中でどのように位置づけていくかという具体的な方向性の検討である。この点に関しては、2000年代に入り、「有償ボランティア」の今後の方向性について論じる先行研究が見られるようになる。現在、不明瞭である「有償ボランティア」の位置づけが「現状のままでよい」とする主張は管見の限り見当たらず、今後何らかの基盤整備が必要であるとするのは共通の認識となっている。一方、その方向性については、2000年代に入り大別して四つの論が提示されており、これらをまとめたものが表 3である。以下では、各方向性について確認するとともに、これまでの経緯をふまえ若干の考察を行いたい。

4. 4. 1 区分方式

 一つ目は、「有償ボランティア」を、報酬(謝礼金)の程度に応じてボランティアと労働者に分類するという、両者の区分方式であり、この方向にはさらに二つの可能性がある。 まずは、岩田[2004]で示されている、「有償ボランティア」を労働者として積極的に保護しようとするものである。岩田[2004]は、「有償ボランティア」を、「活動経費の実費支給を超える対価は金銭や換金できるものではなく、エコマネー(地域通貨)や換金のできない時間預託制度の利用」に限定するなどし、実費支給を超える対価を金銭や換金できるもので受け取る場合は、雇用もしくは請負・業務委託と考えるべきとの見解を示している。この論では「有償ボランティア」を労働者として適切に保護することが可能となるだろう。一方課題点として、現行の「有償ボランティア」の実態は、「労働者として扱われるべき人はそのように扱い、適切な処遇と法的保護が適用されるべき」という正論に対し、脆弱な財政基盤ゆえに「そうしたくてもできない」状況が存在している(浦坂[2008])。また、労働政策研究・研修機構[2006]では、「有償ボランティア」の実態が、使用従属性と個人の意識面のいずれからみても、無償

ボランティアと有給職員との中間に位置するが「より無償ボランティアに近い」ことが示されている。岩田[2004]が示すように「有償ボランティア」を雇用もしくは請負・業務委託と位置づける場合には、「労働者よりもボランティアに近い」という実態にそぐわない対応となってしまうため、「有償ボランティア」が現在社会で担っている社会的意義を失わせる可能性が懸念として残る。 もう一方の区分方式は、宮守[2012]が示す方向性である。宮守[2012]は、1980年代に出現した「有償ボランティア」は NPO概念が出てくる以前の古い概念であり、現在の「有償ボランティア」は有償スタッフとボランティアに分類すべきであると指摘する。岩田[2004]が示す方向性と異なる点は、「有償」部分の扱いである。宮守[2012]は余剰金が出た場合には、ボランティアに対し NPO法人の配当金として還元することで「有償」部分を捉えなおす方法を提示する。宮守[2012]の方向性では、ボランティアに対する「報酬(謝礼金)」の捉えなおしが可能となる。一方、この方向性に関しては、前述した NPO法人等における組織所属形態の「有償ボランティア」に対しては有効であるが、個人形態の「有償ボランティア」の場合には援助活動はあくまでも個人間で行われ、報酬(謝礼金)に関しても全額が援助の受け手から「有償ボランティア」に手渡されるため、個人形態の「有償ボランティア」への対応が残された課題となる。

4. 4. 2 独自の労働形態

 続く二つ目の形態は、「有償ボランティア」を独自の労働形態として位置づける方向性である。山口[2003]において一つの可能性として示されている 17、「高齢者の生きがい就労」を目的とするシルバー人材センター事業と同様、「有償ボランティア」を労働関連法令の適用を受けない就労形態として位置づけるというものである。現在シルバー人材センター事業の有償労働は市場的対価性がないと判断され、労働関

17 山口[2003]では、この可能性のほか、「サービスの提供が有償で対価性があると判断し、派遣労働とかパートタイム労働と似たものとして位置づける考え方」および「形のうえでは有償であっても、実質的には無償で対価性がなく、好意の関係であって純粋の法律関係ではないという考え方」が示されている(山口[2003]、P30)。

東根 ちよ50

連法令は適用されない独自の労働形態として位置づけられている。また、山口[2003]をうけ、皆川[2008]においても労働法の観点から、「有償ボランティア」をシルバー人材センター事業と同様の形態として位置づける方向性についてふれられている。「有償ボランティア」を独自の労働形態として位置づけた場合には、報酬(謝礼金)の金額等を当事者が自由に設定できる。また、独自の形態と位置づけることで、労働者かボランティアかという問題からは解放されるだろう。一方、この方向を採用した場合には、労働者としての保護の対象からは外れるため、山口[2003]で示されるように「ボランティア団体に、シルバー人材センターのような仲介者としての役割を果たすよう義務づける」ことが求められる(山口[2003]、P30)。ただし、「有償ボランティア」を運営する団体が仲介者としての役割を果たし得ない場合、具体的には前述の組織所属形態の「有償ボランティア」の場合には労働者となる余地があるため、注意が必要だろう。

4. 4. 3 ボランティアに包摂

 三つ目は、「有償ボランティア」をボランティアの一種として位置づけることで、ボランティアに包摂する方向性である。「ボランティア認知法」を提案する堀田[2005]では、この方向性が主張されている。この論に関しては、使用従属性と個人の意識面のいずれからみても、無償ボランティアと有給職員のうち「より無償ボランティアに近い」という「有償ボランティア」の実態に沿うものとなることが期待される。一方課題点として、「有償ボランティア」を労働者と区別しボランティアに包摂したとしても、「有償」の範囲や、他の労働者性のある活動との概念整理を行わなければ、「低廉な労働力」として作用する恐れがある。2000年の流山訴訟をきっかけに提示された、堀田[2005]の「ボランティア認知法」や、それを受けて提言されている大場[2005]の「ボランティア振興法」に関しては、それ以降は実現に向けた具体的な検討が管見の限りなされておらず、その点も併

せて課題といえよう。

4. 4. 4  「参加所得」「市民労働」として位置づけ

 四つ目は、仁平[2012]で指摘されている「有償ボランティア」を「参加所得」や「市民労働」として位置づける方向性である。仁平[2012]では、現在大半の「有償ボランティア」が担っている援助はこれまで無償で担われてきたアンペイドワークやボランタリーワークであり、これらの援助に対して生活できる対価を支払う「参加所得」や「市民労働」と称される仕組みを確立する方向性が示されている。ボランティア活動の有償化に関しては、常に「市民社会の自立性に反する」ことや「国家による社会権の保障の引き下げ」につながることが懸念されていた 18。このような状況下において、仁平[2012]が示す方向性では、「ボランティア活動は多様な支払い対象の活動の一つ 」となることで、これらの懸念から解放され得る。一方、課題点として、「有償ボランティア」と援助の受け手の個人間で実際にやり取りされている「報酬(謝礼金)」をどのように位置づけていくのかという点が解決されなければ、現在の「有償ボランティア」の実態には馴染まない可能性がある。特に個人形態の 「有償ボランティア 」には、「報酬(謝礼金)」が援助の受け手の心理的な負担感を緩和することや、あくまでも「有償ボランティア」と受け手のやり取りに基づくことで「互酬」関係が生み出されるという積極的な側面が存在する。このように積極的な側面を有する個人間の「報酬(謝礼金)」のやり取りを、どのように捉えなおしていくかという点が課題となるだろう。  以上のように、2000年代に入ってからは、「有償ボランティア」に対する今後の基盤整備の方向性が具体的に示されている。記述のとおり、現段階において示されている今後の方向性は、大別すると①ボランティアと労働者に区分する方向、②独自の労働形態として位置づける方向、③ボランティアに包摂する方向、④「参加所得」

18 ボランティア活動の自立性を論じ、国家による社会権の保障の引き下げに対する批判を行うものとして、中野[1999]、渋谷[1999]などがあげられる。両論文はボランティアに係る後の論議に大きな影響を及ぼすことになった。

「有償ボランティア」をめぐる先行研究の動向 51

「市民労働」とする方向の四つであった。本稿においては各方向性に関してメリットと課題を指摘するに留まったが、今後は実証的研究を踏まえた上で、「有償ボランティア」の活動形態を支える具体的な制度基盤を構築していくことが求められている。

5.おわりに

 「有償ボランティア」と称される個人の活動形態は、1980年代に出現した高齢者介護分野における会員制の「支え合い」活動である住民参加型在宅福祉サービスの特徴として現れたと考えられている。また近年「有償ボランティア」は、これら「支え合い」活動のみならず、NPO法人内部における活動形態としても不可欠なまでに広がりをみせている。一方、これらの広がりに比して「有償ボランティア」の位置づけはかねてから曖昧なまま運営され続けており、その点が時として「有償ボランティア」に過度の負担を強いたり、既存の法制度の適用に関して実務的な課題を生じさせたりしている。 そのような中、本稿は「有償ボランティア」に関するこれまでの先行研究を整理し、考察することを目的とした。そして、先行研究の動向の考察からは、「有償ボランティア」には個人として独立して活動を行う「個人形態」と、組織の一員として活動を行う「組織所属形態」の二つの形態が存在することが確認された。加えて、今後の「有償ボランティア」研究には、実証的研究の蓄積が必要であると同時に、先行研究で示される四つの基盤整備の方向性に関して具体的な検討が求められている。 本稿を通じても「有償ボランティア」の活動実態と研究状況の間には乖離のある様子がうかがえた。「有償ボランティア」を社会的に意義ある活動形態としていくためには、その積極的側面と懸念の双方に着目しながら、曖昧なまま運営され続ける「有償ボランティア」に対する基盤整備を行っていくことが必要だろう。

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渋谷望[2003]『魂の労働』青土社

スーザン・エリス[2004]『なぜボランティアか?』海象社

西山志保[2010]『[改訂版]ボランティア活動の論理』東信堂

仁平典宏、山下順子編[2011]『労働再審 5 ケア・協働・アン

ペイドワーク』大月書店

仁平典宏[2012]『「ボランティア」の誕生と終焉』名古屋大学

出版会

日本ボランティアコーディネーター協会編[2011]『市民社会の

創造とボランティアコーディネーション』筒井書房

日本ボランティア社会研究所ボランティア学習事典編集委員会

編[2003]『まあるい地球のボランティア・キーワード 145』

春風社

森典子、上松由紀子、秋山憲治編[2006]『男女共生の社会学』

学文社

妻鹿ふみ子編著[2010]『地域福祉の今を学ぶ』ミネルヴァ書房

山岡義典編[2001]『NPO基礎講座 2』ぎょうせい

山田誠[2005]『介護保険と 21世紀型地域福祉』ミネルヴァ書

■報告書

岩田克彦[2004]「雇用と自営、ボランティア―その中間領域で

の多様な就業実態と問題の所在―」『ディスカッションペー

パー 04-010』労働政策研究・研修機構

小野晶子[2005]「「有償ボランティア」という働き方―その考

え方と実態―」『労働政策レポート vol.3』労働政策研究・研

修機構

諸外国におけるボランティア活動に関する調査研究実行委員会

[2007]「諸外国におけるボランティア活動に関する調査研究

(文部科学省委託研究)」

財団法人日本労務研究会[2005]「有償ボランティア活動の実態

及び労働基準関係法令適用に当たっての問題点に関する調査

研究報告書(厚生労働省委託研究)」

労働政策研究・研修機構[2004]「就業形態の多様化と社会労働

政策―個人業務委託と NPO就労を中心として―」『労働政策

研究報告書 No.12』労働政策研究・研修機構

労働政策研究・研修機構[2006a]「多様な働き方とその政策課

題について」『労働政策レポート vol.5』労働政策研究・研修

機構

労働政策研究・研修機構[2006b]「NPOの有給職員とボランティ

ア―その働き方と意識―」『労働政策研究報告書 No.60』労働

政策研究・研修機構

労働政策研究・研修機構[2007]「NPO就労発展への道筋―人材・

財政・法制度から考える―」『労働政策研究報告書 No.82』労

働政策研究・研修機構