03 2 田原川における多自然川づくり・環境整備内容の検討...3.2...

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3.2 田原川における多自然川づくり・環境整備内容の検討 田原川について、多自然川づくり・環境整備イメージを整理して説明資料を作成するとともに、 与那国町においてワークショップを開催し、地域住民の意見を反映させた整備内容を検討する。 3.2.1 多自然川づくり・整備のイメージ整理 (1) 田原川の現状の把握 田原川の現状について把握し、整備の方向性について検討を行う。 1) 与那国島について 与那国島は日本の最西端の島で周囲約 27.5km、面積約 28.9km2 の島である。 年の平均気温は 23.8℃、年間の総雨量は 2353.6mm で全国平均に対して約 1.4 倍の降雨 量となっている。 また、冬季は日最大風速が 10m/s を超える日が半数以上ある。 島内は主に祖納(そない)集落、比川(ひがわ)集落、久部良(くぶら)集落が存在し、 平成 25 年 9 月末時点の人口は 1558 人となっている。 図 3.2.1 与那国島の特徴 沖縄島 509km 石垣島 117km 台湾島 111km 与那国島 Google マップ ■日本最西端の島 ■周囲約27.5km、面積約28.9km 2 ■年平均気温23.8■年降水量:2353.6mm ■冬季は日最大風速10 m/sを超え る日が半数以上 国土地理院 祖納 比川 久部良 そない ひがわ

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3.2 田原川における多自然川づくり・環境整備内容の検討

田原川について、多自然川づくり・環境整備イメージを整理して説明資料を作成するとともに、

与那国町においてワークショップを開催し、地域住民の意見を反映させた整備内容を検討する。

3.2.1 多自然川づくり・整備のイメージ整理

(1) 田原川の現状の把握

田原川の現状について把握し、整備の方向性について検討を行う。

1) 与那国島について

与那国島は日本の最西端の島で周囲約 27.5km、面積約 28.9km2 の島である。

年の平均気温は 23.8℃、年間の総雨量は 2353.6mm で全国平均に対して約 1.4 倍の降雨

量となっている。

また、冬季は日最大風速が 10m/s を超える日が半数以上ある。

島内は主に祖納(そない)集落、比川(ひがわ)集落、久部良(くぶら)集落が存在し、

平成 25 年 9 月末時点の人口は 1558 人となっている。

図 3.2.1 与那国島の特徴

沖縄島509km

石垣島117km

台湾島111km

与那国島

Google マップ

■日本最西端の島■周囲約27.5km、面積約28.9km2

■年平均気温23.8℃■年降水量:2353.6mm■冬季は日最大風速10 m/sを超える日が半数以上

国土地理院

祖納

比川

久部良

そ な い

ひ が わ

く ぶ ら

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与那国島の地形の特徴として東西に細長い六角形の形をしており、 海岸線には断崖絶

壁が走っているため砂浜が少ないという特徴がある。

植生は島の北側には宇良部(うらぶ)岳やインビ岳には「ナガミボチョウジ-リュウキ

ュウガキ群落」や久部良(くぶら)岳には「ビロウ群落」が広がっており、特に宇良部(う

らぶ)岳には沖縄県の天然記念物であるヨナグニサンの生息地があり与那国島本来の植生

が残されている。

また、与那国島の生物相として、国内外で与那国島でのみ見られる種が多いのが特徴で、

特に県指定天然記念物である世界最大級の蛾である「ヨナグニサン」や数少ない日本在来

種である「ヨナグニウマ」やヨナグニシュウダ、アオナガイトトンボ、ヨシカワニナが生

息している。

図 3.2.2 与那国島の植生

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2) 田原川の流域の概要

田原川は、与那国島最高峰宇良部岳の山麓を源流とし、祖納集落の南側を流れ、東シナ

海に注ぐ流域面積 7.1 ㎞ 2、幹線流路延長 1.31km の2級河川であり、与那国島でしか生息

しない貴重な生き物の生息地となっている。

一方、近年では集落や農地からの汚水・濁水の流入や、テラピア類などの外来生物の定

着も見られる。

図 3.2.3 田原川流域図

与那国島特別地域気象観測所のデータによると、年間の降水量は 2353.6mm で全国平均

の約 1.4 倍で 7月が少雨傾向となっている。

また、年間の平均気温は 23.8℃で温暖な気候となっている。

図 3.2.4 与那国島特別地域気象観測所平均降雨量、平均気温

田原川

田原川

0

5

10

15

20

25

30

35

0

100

200

300

400

500

600

700

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

平均気温(℃)

雨量{mm月}

降雨量

平均気温

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3) 河道・流域の変遷

田原川の河道・流域の変遷について確認するため、過去から現在までの地形図、航空写

真を整理した。

昔の田原川は広大な肥沃な水田が広がっていたが、「満潮時には海水が浸入し収穫量が

半減し」また、「暴風ともなれば家畜は溺死し、野菜は枯れ、飲料水は濁り被害は甚大で

あった」ため、明治22年9月12日に開さく工事に着手し、9月24日完成した(工期

12日間)。

開削前の田原川は左側の図に示す通り、河口部がナンタ浜の東側に位置していたが、明

治 35年ごろに河口部を西側に開削し、更に埋立てにより現在の川の姿となっている。

その当時の状況を記した石碑が、今も田原川下流の嶋仲地区に設置されている。

図 3.2.5 河口部の開さくの状況

開さく前河口がナンタ浜の東にある。

開さく後(明治35年ごろの地形図)河口が現在の位置に開かれる。

田原川新川尻開さくの碑http://ameblo.jp/ikemar001/theme-10003027189.html

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「与那国町史編纂委員会事務局(編)(2002)交響する島宇宙日本最西端与那国島の地

名と風土.与那国町役場,与那国」.に、祖納集落と田原川の明治 37 年頃、昭和 13年頃、

昭和 30 年頃、昭和 41 年頃の状況が記載されている。

これをみると、田原川は、古くは島仲橋下流において洗濯等に利用されている。また、

集落内のほとんどの井戸は塩辛く飲料に適さなかったが、旧川添いの井戸はアマミンカー

とよばれる「甘水:かんすい」で簡易水道が敷設されるまでアマミンカーからの水汲みは

子供たちの日課であったと言われている。

図 3.2.6 明治から昭和初期の田原川と祖内集落の状況

出典:与那国町史編纂委員会事務局(編)(2002)交響する島宇宙日本最西端与那国島

の地名と風土.与那国町役場,与那国

航空写真をみると、昭和 61 年 12 月頃には、農道が建設され田原川の流れは現在の形と

ほぼ同じになっていることが確認できる。

明治37年 祖納集落 昭和13年

昭和33年田原川の島仲橋下での洗濯の様子

昭和41年

昭和30年

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表 3.2.1(1) 田原川の河道・流域の変遷

大きな変化はみられない農道が建設され、現在の形とほぼ同じとなっている。

昭和37年6月 昭和51年8月 昭和61年12月

農道はなく、現在の湿地内水路が本川となっている

祖納集落祖納集落

ナンタ浜ナンタ浜ナンタ浜ナンタ浜

祖納集落祖納集落祖納集落祖納集落

ナンタ浜ナンタ浜

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表 3.2.1(2) 田原川の河道・流域の変遷

大きな変化はみられない

平成24年12月

大きな変化はみられない

平成4年9月

ナンタ浜ナンタ浜

祖納集落祖納集落

祖納集落祖納集落

ナンタ浜ナンタ浜

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4) 河川状況

田原川の河川状況について整理した。

図 3.2.7 田原川の分類

○下流部(河口~ながやま橋)

河口からとやま橋までの区間の左岸は自然地形となっているが、右岸は急な護岸で覆わ

れており、親水性に乏しい状況となっている。

また、とやま橋からながやま橋までの区間も、急な護岸で覆われた直線的な河道となっ

ており、親水性に乏しいほか、生活排水が流入しており、水質はあまりよくない。

○中流部(ながやま橋~支川合流点)

ながやま橋上流には植林したマングローブ群落があり、ながやま橋から支川までの中流

部は農道整備に伴い整備された水路が流れている。

○上流部(支川合流地点~田原水園)

上流部である支川から田原水園には、宇良部岳を源流とする田原川の水源地として島の

飲料水や農業用水として古くから大切に守られている。

特に田原水園には石碑やベンチといった休憩施設が設けられ地域住民の憩いの場とな

っている。

○湿地内水路

湿地内水路には旧河川の護岸の跡や湿地内水路の水源である湧水の箇所が確認できる。

この現在の水路と湿地内水路に挟まれた「田原川湿地帯」には多くの野鳥の「休息場」

や「餌場」を提供している状況である。

ながやま橋河口

田原水園

支川

下流部

中流部

上流部

湿地内水路

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図 3.2.8 下流部の河川状況

水門

排水路出口

水門水門

とやま橋とやま橋

ながやま橋ながやま橋

しまなか橋しまなか橋

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図 3.2.9(1) 中流部及び湿地内水路の河川状況

マングローブ林

マングローブ林の中の状況マングローブ林の中の状況石積護岸の跡

湿地内水路の中の状況湿地内水路の中の状況

ながやま橋ながやま橋

支川支川

マングローブマングローブ田原川湿地帯田原川湿地帯

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図 3.2.9(2) 中流部及び湿地内水路の河川状況

湿地内水路の中の状況

護岸の跡護岸の跡

湿地内水路水源(湧水)

湿地帯の中の状況

マングローブマングローブ 田原川湿地帯田原川湿地帯

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図 3.2.10 上流部の河川状況

田原水園

取水堰

石碑

支川支川

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5) 生物

田原川では、沿岸付近の浅い海から汽水域にかけて生息する「オオクチユゴイ」や、雑

食性で淡水、汽水の様々な環境に適応する「ナイルティラピア」、イネを食害することが

あり問題視されている「スクミリンゴガイ」、日本では与那国島でしか確認されていない

「ヨシカワニナ」がよくみられる生き物として確認されている。

図 3.2.11 田原川でよく見られる生物

○下流部(河口~ながやま橋)

下流部では「コモチサヨリ」、「ミナミオカガニ」、「ホシマダラハゼ」等がみられる。

○中流部(ながやま橋~支川合流)

中流部では「タネカワハゼ」、「アオナガイトトンボ」、「テングヨウジ」等がみられる。

○上流部(支川合流~田原水園)

上流部では「オニヌマエビ」、「アカグチカノコ」、「チョウチンミドロ」、「ルリボウズハ

ゼ」などが主に生息している。

○湿地内水路

「ミツボシゴマハゼ」、「オキナワミズゴマツボ」、「オオアシハラガニモドキ」等がみら

れる。

ナイルティラピアオオクチユゴイ※要注意外来生物(環境省 2011年)

ヨシカワニナ※絶滅危惧Ⅰ類(環境省RDB)

スクミリンゴガイスクミリンゴガイ※要注意外来生物(環境省 2011年)

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6) 水質

田原川では経年的な水質調査は実施されていないが、平成 25年 7月 18 日3か所で水質

調査が実施されている。

調査結果として、上段のBOD(生物化学的酸素要求量:バクテリアが、水中の有機物

を酸化分解するのに必要な酸素量を示す水質汚濁の指標の1つ)では、3地点ともに

0.5mg/L 程度と綺麗な水質を有している結果となっている。

また、下段のSSは「水中に懸濁し水のにごりの原因となる物質の水質を表す指標の一

つ」である。(一般の河川では 25mg/L以下が動植物にとって正常な生育環境であるとさ

れている)

田原川では下流調査地点で 17mg/L と若干大きな値となっているが、いずれの地点も

25mg/L 以下で生息環境的に見ても良好な結果となっている。

図 3.2.12 田原川水質調査結果及び調査地点

17

7

1以下0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

下流 中流 上流

SS(mg/L)

0.5以下0.5以下0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

下流 中流 上流

BOD(mg/L)

ながやま橋河口

田原水園

支川

下流調査地点中流調査地点

上流調査地点

平成25年7月18日調査

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(2) 多自然川づくり・整備のイメージ整理

田原川の現状の整理結果より、多自然川づくり・整備のイメージを整理する。

現在、田原川は上流の田原水園付近では、親水施設が整備されているほか、取水のために

利用されているが、下流では、親水性に乏しくなっている。一方、明治から昭和初期にかけ

ては多くの利用がなされていた。

このため、田原川における多自然川づくり・整備の方向性としては、親水性を向上させ、

人々が昔のように川を利用できる環境整備が望ましいと考えられる。

現在の田原川では、下流にマングローブ林がみられ、また湿地内は貴重な生物が多数存在

するなどしている。このため、田原川にふさわしい整備内容としては、以下の項目に示すよ

うに、河川内の自然環境を良好に保ちつつ、人々が川と親しむことができるものと考えられ、

整備内容としては、以下の項目が挙げられる。

・マングローブ林の活用(ボードウォークや散策路など)

・湿地内環境の保全

県内で、上記の整備が行われた事例について整理した。

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① 国場川

那覇市を流れている国場川下流部の漫湖に繁茂しているマングローブ林には、ボードウォ

ークが設置されているほか、野鳥の観察小屋が設けられている。

また、当該地帯は特別鳥獣保護区に指定されており、湿地の保全・復元により鳥類の飛来

の回復に努めているところである。

図 3.2.13 国場川漫湖の環境整備の例

② 漢那ダム第二貯水池

宜野座村にある漢那ダム第二貯水池では、「利用者が気持ち良いと感じる水辺の景観機能」

や「利用者が環境について学習が出来る環境学習機能」を保全・再生するため、湿地帯を整

備している。

図 3.2.14 漢那ダム第二貯水池での環境整備の例

野鳥観察小屋野鳥観察小屋

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③ 奥首川

金武町を流れている億首川のマングローブ林内には、野鳥観察等が出来るようにボードウ

ォークが設置されている。

図 3.2.15 億首川の環境整備の例

http://blog.goo.ne.jp/inpre-anac/e/9e23e6cbda7d9e2e55b8e94510da34b8

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3.2.2 ワークショップの開催

(1) 目的

田原川において便益計測のアンケート調査を実施するが、住民の理解を深め便益計測の精

度向上に努めることを目的に、「田原川の自然環境について語る会(田原川の豊かな自然を

次世代へ残すために)」を開催する。

(2) 趣旨

田原川の自然とその利用について(コンサル)の説明を行い、住民からの質問・要望につ

いて質疑応答を行い、自然再生型川づくりに対する住民の理解を深め、また住民から河川に

関する課題や要望を整理した。

(3) 開催方法

1) 対象地域

田原川に隣接する祖内地域を対象とした。

2) 募集対象

対象地域の一般住民、自治会役員等を対象とした。

3) 周知方法

周知の方法として、祖内地域の与那国町役場の協力を得て、掲示板への掲示をお願いし

た。

さらに地元新聞 1 紙に、チラシの折り込み配布(190 枚)を開催 2日前と当日に実施し

た。

(4) 実施内容

主催者から開催趣旨や田原川の自然とその利用について説明を行う。その後、住民からの

質問・要望について質疑応答・意見交換を行った。当日配布資料を図 3.2.16~図 3.2.18に、

座席配置図を図 3.2.19に示す。また、事務局の出席者を表 3.2.2に示す。

<開 催 内 容>

・テ ー マ:田原川の豊かな自然を次世代へ残すために!

・開催年月日:平成 25年 11 月 2日(土)

・開催時間:17:00~18:30(夕方の部)

19:00~20:30(夜の部)

・場 所:与那国町構造改善センター 大会議室

・主 催:沖縄県環境生活部環境政策課

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図 3.2.16 「田原川の自然環境について語る会」の式次第

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図 3.2.17 「田原川の自然環境について語る会」の案内

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図 3.2.18 意見・要望記入用紙

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図 3.2.19 座席配置図

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表 3.2.2 事務局名簿

氏 名 職 名 備 考

久高 克己 沖縄県環境生活部環境政策課 主任

湯野 剛志 (株)建設技術研究所

徳永 智宏 (株)建設技術研究所

石飛 俊男 (株)建設技術研究所

宮良 工 (一財)沖縄県環境科学センター

庄島 興一 (有)沖縄環境地域コンサルタント

山内 盛和 (有)沖縄環境地域コンサルタント

上田 敏雄 (有)沖縄環境地域コンサルタント

(5) 開催結果

1) 参加状況

会への参加者は 13名であった。ワークショップの開催状況を

写真 3.2.1 に示す。

写真 3.2.1 ワークショップの開催状況

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2) 住民からの意見・要望について

田原川の自然環境、他の川での取り組み事例を紹介して田原川の整備の考え方や進め方

について事務局から説明し、概ねの理解を得られた。それに対し住民からは、田原川につ

いて様々な意見を頂いた。住民からの意見・要望要旨を表 3.2.3 に示す。

住民からの意見・要望要旨をまとめると、①本業務(自然再生事業)の内容に関する質

問、②自然再生事業での要望、③自然環境、④保全・再生等の検討についてであった。

表 3.2.3 住民からの意見・要望

No. 項目 市民からの意見・要望

1自然再生事業の内容について

農林関係との連携をしていかないといけない。ただ、あるものだけの保全・再生というものは、なかなか難しいのではないか。

2自然再生事業での要望について

与那国島では浄化槽が整備され、生活環境も良くなっているので、できればここ(田原川流域で浄化槽)を整備してもらい、次に公園を作ってもらえればと思う。

3(田原川左岸)の山裾は遊歩道を作って、みんなが釣りをすることができるような自然環境にし、水の流れを良くすれば生き物もたくさん生息できると思う。

4(湿地帯が)干上がっているものだから、水を蓄える面積がない。そういう現状を踏まえて、検討していく必要がある。

5地元の町役場にこの意義を理解させ、町役場がいろいろな意味で協力を惜しまない体制を是非、作って欲しい。

6 事業を実施する際には、地元に協力させて欲しい。

7恒常的に何名かを選んでも構わないので、地元の人達の意見を聞いて欲しい。知識のある人達がいるから、継続的に与那国町に協力してもらう体制をとっていただきたい。

8 BOD、SSなどの水質を改善して欲しい。

9

子供たちが遊べる環境が良いのだが、コンクリートで固めてしまうと水がすぐに海まで流れてしまうと思っている。そのため、専門家の意見を聞いて、ここはコンクリートを剥がした方がよいとか、石組みでやった方がよいとか、自然の石を持ってくる方がよいのか、そのままほっとく方がよいのか検討して欲しい。

10今、残っている遊休地は原野になっている。ここは、土地改良した田んぼとは全く違い、将来も利用できないような所にあるので、そこを浚渫して泥を全部取って欲しい。

11

自然環境について

昭和51年頃から、スッポン、メダカ、ドジョウ、スッポン、ウナギ等の生き物がほとんど見られなくなった。田原川の湿地帯が雑草に覆われ、水の流れが悪くなり、そういった生き物がいなくなったのではないか。

12

ウナギが来なくなったこと、ジャンボタニシが河口側に南下していること、これは、水門が原因の1つではないかと思う。マングローブの所まで浮き草みたいなもの(ホテイアオイ?)をパワーショベルで除去している。海水が入ってきた頃はほとんどなかった。水門の影響により、河川の生態系が大分、変わってきていると思う。

13田原川だけでなく、与那国にはいろいろな所に沼地がある。そこを良い環境に元に戻して欲しい。

14

保全・再生について

田原川の環境を保全・再生することについては、町民一人ひとりが田原川をいかに大切にし、自然に対する畏敬の念を持つことが大事である。ただ(環境を保全・再生を)やればいいというだけでは困る。

15その他

「長山橋」は昔からない。これは、誰が命名をして聞いたか分からないが、「島中橋」である。「長山橋」ではない。

16

農業をされている方へのお願いだが、田原川から水を取る前のタンクに農薬等が入ったまま取水をすると、タンクから水が溢れたときに農薬が川に流れてしまい(農薬のビンが捨てられていた時もあった)、生き物たちに対して危険である。県からもそういった指導をお願いしたい。