07 - laerdal.com · センター)と私は、日本医療教授システム学会の今後の...

4
1 発行 レールダル メディカル ジャパン株式会社 マーケティング部 Laerdalがお届けするシミュレーション教育と医療の今 ――「リアル ライフ」 R eal S CENE. 医療の現場から。 07 〒102-0082 東京都千代田区一番町8 一番町FSビル TEL 03‐3222‐8080 FAX 03‐3222‐8081 URL http://www.laerdal.co.jp 制作協力 株式会社産業編集センター Journalistic Paper to think about Simulation Training and Life. 2009 Autumn Winter 大阪市立大学医学研究科 総合診療センター/ 卒後医学教育学 准教授 首藤太一 先生 姿使使姿Life Support Club 90 10 使PROFILE Taichi Shuto MD,PhD 1963年大阪府出身。1988年大阪市立大学 医学部卒。1994年には同大学大学院を卒業 し、第2外科助手に。2005年に大阪市立大 学総合診療センター 講師に就任。現在は准 教授を務める傍ら、消化器外科学会や臨床 外科学会、肝臓学会などの指導医・評議員を 担う。これまで手がけた手術は、肝胆膵・肝臓 外科領域で2,000例以上にのぼる。

Upload: others

Post on 26-Jun-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 07 - laerdal.com · センター)と私は、日本医療教授システム学会の今後の 活動の指針を得るために、3月26日にスタバンガー市に あるSAFERを訪れた。

ー 1 ー

発行 レールダル メディカル ジャパン株式会社   マーケティング部

Laerdalがお届けするシミュレーション教育と医療の今 ――「リアル ライフ」

Real SCENE.医療の現場から。

07

〒102-0082 東京都千代田区一番町8 一番町FSビル

TEL 03‐3222‐8080 FAX 03‐3222‐8081URL http://www.laerdal.co.jp 制作協力 株式会社産業編集センター

Journalistic Paper to think about Simulation Training and Life.

2009 Autumn 〜 Winter

大阪市立大学医学研究科総合診療センター/卒後医学教育学准教授

首藤太一先生

学生たちの活動が表す

シミュレーション教育の理想の姿

シミュレーションセンターの役割と教育の今後

「シミュレーション教育において重

要なのは施設や設備だけではあり

ません。医療手技を習得するために

必要なことは『人に教えること』。良

い臨床医は良い指導医でもありま

す。シミュレータはあくまで一つの

ツールにすぎません。大切なのは使

い方なのです」

 

スキルスシミュレーションセン

ターが設立して2年半。大阪市立大

学では、学生たちが積極的にシミュ

レーションセンターを活用してい

る。その一つが学生自らがシナリオ

を作る、急変対応の勉強会だ。ここ

で最も勉強になるのは、シミュレー

タを使った実技ではなく、シナリオ

作りの過程だという。「本当に、この

場合に不整脈が起こるのか」「適切

な数値はどのくらいなのか」。学生

たちは真剣だ。シミュレーションセ

ンターおよび、シミュレータの機能

を上手く活用した活動だと言える。

学生たちが目を輝かせて取り組む姿

に、首藤先生はやりがいを感じるの

だと言う。

 

また、学生インストラクターによ

るAEDを用いた心肺蘇生講習会も

実施されている。学生サークル「医

学部Life Support Club

」が、院内勤務

者を主な対象に開催し、これまでの

受講生は1,200名にのぼる。

「最初は学生が教えることに、不安の

声がありました。しかし、スポーツ教

室などでは学生インストラクターな

んて珍しくありませんよね。実際彼

らのパフォーマンスは素晴らしい。

講習会も大好評でした。受講者は、

改めて手技を学ぶことで病院の職員

だという自覚を持つことができ、講

師役の学生たちは、教えることが何

よりも自分たちの学びになることが

分かったのです」

 

スキルスシミュレーションセン

ターで教える者は、赤いジャケット

を着る。講習会のアンケートで、学

生たちや講師から聞こえてくるのは

「自分が受講者の時より勉強になっ

た」「教えることは楽しい」という声

ばかり。赤いジャケットを着ること

が学びへの道を切り開いている。

 

こうして、学生たちを主体に施設

を活用することは、シミュレーショ

ン教育のより良い普及、啓発にもつ

ながっていく。首藤先生は「シミュ

レーションセンターの役割は三つあ

る」と言う。三つの役割とは教育、啓

発、宣伝だ。教育には教えるという

意味だけでなく、教育の証という意

味が込められている。啓発とは、内

部への啓発効果だ。

 

今年の春、病院のホールで近隣住

民を対象に、学生による心肺蘇生講

習会を開催した。見学者を含めると

参加者は100名を超え、テレビの

取材まで入り、活気溢れる講習会と

なった。病院の職員も参加し、学生や

参加者と一体となって取り組んだ。

病院と患者に元気を与え、内部への

シミュレーション教育の認知度向上

にもつながったのである。

 

さらに宣伝の役割として、

2008年夏からは、オープンキャ

ンパスでセンターを開放。その結果、

大阪市立大学への入学希望者が激増

した。現在、医学部のある大学約90校

中、10位以内の人気を誇る。訪れた学

生は口を揃えて言う。「施設があると

ころで勉強したい」。スキルスシミュ

レーションセンターを介して、大学

の評価はぐんぐん上がっている。

 

学生の積極的な参加と、施設・設

備の上手な使い方で、大阪市立大学

は理想のシミュレーション教育の在

り方に、着実に近付いているのだ。

PROF I L ETaichi Shuto MD,PhD1963年大阪府出身。1988年大阪市立大学医学部卒。1994年には同大学大学院を卒業し、第2外科助手に。2005年に大阪市立大学総合診療センター 講師に就任。現在は准教授を務める傍ら、消化器外科学会や臨床外科学会、肝臓学会などの指導医・評議員を担う。これまで手がけた手術は、肝胆膵・肝臓外科領域で2,000例以上にのぼる。

Page 2: 07 - laerdal.com · センター)と私は、日本医療教授システム学会の今後の 活動の指針を得るために、3月26日にスタバンガー市に あるSAFERを訪れた。

ー 2 ー

 池上敬一先生(獨協医科大学越谷病院救命救急センター)と私は、日本医療教授システム学会の今後の活動の指針を得るために、3月26日にスタバンガー市にあるSAFERを訪れた。 二次救命処置(ALS)コースでのMiniAnneを用いたBLS練習の場面を見学。スクリーンに映し出された

映像に従い、23名の医師受講生がBLS練習をしていたが、その場にインストラクターはいない。Laerdal NorwayのHarald Eikeland氏は、成人学習理論に基づきMiniAnneを開発したと説明した。 学習者は自己の状態を分析、目標との差を認識し、それを目指して自分の学習スタイル、学習速度で学ぶものである。そのような学習を実現するのがMiniAnneキットだ。欧州ではMiniAnneを用いた自己トレーニングで地域の蘇生率向上を目指している。このキットを制作者の意図に沿って用いるには、学習者にも指導者にも成熟した成人学習文化が求められる。 医療従事者は医科学の知見をたくさん教育したいと願いがちであり、多くの内容をアルゴリズムに盛

り込もうとする。しかし教育学者であるEikeland氏は「学習者に配慮して、アルゴリズムは単純化すべきだ」とアメリカ心臓協会(AHA)に主張し続けた。その結果、国際ガイドラインG2000では以前に比べ、アルゴリズムが単純化したという歴史秘話に触れた。 ノルウェー蘇生協議会のALSコースでは、シミュレーション後のディブリーフィングに長い時間をかけていた。学習者はこの過程で自己の洞察を得て、目標へ近づくことができる。この場面での指導者にはファシリテーションの能力が必要であり、単なるスキル訓練ではなく、医療チーム力の向上にはファシリテータ養成が鍵となる。 この見学を通じてレールダルは蘇生率向上を目指す、医療教育の会社だと改めて認識した。

Laerdalの今をお伝えします。

Real TIMES.救急医療のリアル・ニュース。

V o i c e . シミュレーションに携わる先生方の生の声をお届けします

SAFER見学と欧米の蘇生率向上について

筑波大学

松本 尚浩先生

JSISH

WISER

 

2009年7月2日から5日にわた

り、日本医療教授システム学会(JSI

SH)主催の医療教授システム国際シ

ンポジウムが東京で開催されました。

このシンポジウムは今年で3回目。メ

イン会場だった千代田区の学術総合セ

ンターでは、7月2日から4日の終日

にかけて、医療従事者に対する教育デ

ザインやシステム、シミュレーション

医療教育に関するさまざまなプログラ

ムが実施されました。

 

このイベントのために招聘講師とし

て来日したのは、ハワイ大学医学部シ

ミュレーションセンター(S

imTiki

)ディ

レクターのB

enjamin B

erg

氏(MD)ら3

名と、ピッツバーグ大学メディカルセン

ター(WISER)よりシミュレーショ

ンディレクターのPaul Phram

pus

氏(M

D)らの4名。それぞれが医療専門職者

でありながら、センターの専属スタッ

フとして日々教材の開発や運営、ファ

シリテーションなどの業務に従事して

いる、いわばシミュレーション医療教

育のプロフェッショナルたちです。

 

シンポジウムの2、3日目は海外招

聘講師陣とJSISHによるコラボ

レーションプログラムを実施。午前中

は全体講演やパ

ネルディスカッ

ション、午後は来

場者が8ブース

をローテーショ

ンする形でのハ

ンズオンセッ

ションなどが行

われました。

 

総勢7名の米

国講師陣は「シ

ミュレーションのデザイン方法」や「カ

リキュラムへの統合方法」「シミュレー

ションの評価方法」といった、シミュ

レーション実践において常に教育者の

頭を悩ませるテーマを中心に、高性能

シミュレータSim

Man®

などを用いなが

らセミナーを実施。来場者との間で活

発な意見交換が行われました。

 

2009年7月5日、東京新宿

の国立国際医療センターにおい

て、日本医療教授システム学会と

レールダル

メディカル

ジャパンの共

催による、「W

ISE

R N

ursing Sim

ulation S

ymposium

in Tokyo

」が開催されまし

た。これは、ピッツバーグ大学メディ

カルセンターのシミュレーションセン

ター(WISER)が開発した看護シ

ミュレーション研修会であり、世界中

から看護教育者が受講するというWI

SERの人気コースの一つです。

 

東京開催にあたって、WISERの

看護シミュレーションに関わる4名の

ディレクターとファカルティが来日。

シミュレーション教育の黎明期を迎え

ている日本の看護教育の現状に合わせ

て、シミュレーション看護教育の概念

より導き出された理論と方法論や実践

のためのノウハウ、卒前教育と卒後教

育でのアプローチ方法の違いなどにつ

いてセッションが行われました。

 

来場した約40名は、いずれも卒前あ

るいは卒後の看護教育に携わる教育者

であり、各講演テーマに対する関心の

高さもひとしお。午前中に行われた講

義での質疑応答は、大幅に時間を延長

しました。また、午後のハンズオンセッ

ション(3ブー

スをローテー

ション)では、

医療教育先進

国・米国にお

ける最前線の

シミュレー

ション看護ト

レーニングを

実際に体験。さ

らに講師陣と

の自由な対話

を通して、今後の学内演習や院内研修

にシミュレーション教育を導入・活用

するための大きな学びを得ることがで

きました。

※WISER:W

inter Institute for Simulation,

 

Education and R

esearch;最前線

第3回医療教授システム国際シンポジウム開催

WISER N

ursing Simulation Sym

posium in T

okyo

● SimTiki ホームページ http://simtiki.simmedical.com/

●日本医療教授システム学会(JSISH)  http://www.asas.or.jp/jsish/index.html

●WISERホームページ http://www.wiser.pitt.edu/

Page 3: 07 - laerdal.com · センター)と私は、日本医療教授システム学会の今後の 活動の指針を得るために、3月26日にスタバンガー市に あるSAFERを訪れた。

ー 3 ー

● 患者のアセスメントと治療について理解する

● 批判的思考法のスキルを理解する● チームコミュニケーションについて

理解する●アルゴリズムを理解する● ビデオ録画を用いたディブリー

フィングを通じて学習者による振り返りと改善を実施する

 このシナリオ集は、小児救急医療に携わり、アセスメントと治療を行う必要のある職種を対象として、多様な設定でご活用いただくことができます。

 レールダルSimBaby専用シナリオ集には、4つのスキル指導シナリオと8つの症例指導シナリオが含まれています。症例指導シナリオには、呼吸不全関連やショック関連、不整脈関連のシナリオを収録。 心停止を含めたさまざまな小児の症状を参加者が診断・管理できるようにデザインされています。

 これらのシナリオは、小児医療の基本から高度な技術までを対象とした学習目標に取り組むためのものです。すべてのシナリオの行動目標や治療は、2005年度ガイドラインを基本としながら、レールダルSimBabyで使用するために特別に開発されたものであり、各シナリオは次の点を重視して作成されています。

本や映画などをご紹介。今回は 1 ページにご登場の首藤先生のおすすめ。My

Favorites.

 『失楽園』の著者としても有名な渡辺 淳一さんの初期作品です。学生時代に感化された一冊。渡辺さんは医学博士で、初期作品では医療を題材にした小説を多く執筆されています。他に『ダブル・ハート』もオススメいただきましたが、すでに絶版になっているようです。

詳しくはこちらにアクセス↓http://www.bunshun.co.jp/

cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784167145262

Book.

著者:渡辺 淳一価格:590円(税込み)

「光と影」

MarchNovember〜

展示会・イベントスケジュール

P i c k U p P r o d u c t . 製品情報

レールダルの製品をより効率的・効果的に活用するために欠かせないシナリオ集が登場します。ご期待ください。

SimBaby®専用トレーニングシナリオ集がいよいよ発売!

レールダルSimBaby®トレーニングシナリオバインダーリリース予定:2009年12月価格:未定対象職種:学生・研修医・開業医・小児科医・救命医・看護師・救命士

L a e r d a l I n f o r m a t i o n .

■Topics 1  大学薬学部でのハートシムACLSトレーニングシステム活用事例

■Topics 2  レールダル オリジナル本革ポケットマスクケース発売のお知らせ

 九州保健福祉大学では、薬剤師の臨床能力向上を目指してさまざまな取り組みが行われています。今回は心筋梗塞で倒れた45歳男性のシナリオをご紹介いただきました。 詳細はWEBでご覧ください。

 レールダルのポケットマスクご愛用者様への特別企画として、プレミアムポケットマスクケースができました。100%ハンドメイドの本革で製作された、こだわり満載のポケットマスクケースです。 レールダルは革の染色から特別に注文。染色後はなめし工程にもたっぷりと時間をかけ、手触りを何度も触って確かめました。半世紀にわたり革製品を作りあげてきた熟練職人が、一つ一つ丁寧に作り上げた逸品です。価格は8,610円(税込み)。詳細はWEBをご参照ください。

九州保健福祉大学URL:http://www.phoenix.ac.jp/faculty/p_sciences/ps_kisokei.html

URL:http://www.laerdal.co.jp/doc/41297248/JP-LATHER-POKECT-MASK.html

URL: http://www.laerdal.co.jp/doc/14528518/290012-Heratsim-Interactive-ACLS-Training-Syst.html

■Topics 3 レールダルマガジン配信中!

■Topics 4 ディスカッションフォーラムの日本語版サイトがオープン!

 レールダルでは新製品の情報やイベント案内、広報誌RealLIFE.(年2回/春・秋)など、皆様へのお役立ち情報を不定期で配信しています(隔月に一度程度)。購読を希望される方は、WEB登録フォームからご登録ください。

 シミュレーションユーザーネットワーク(SUN)ディスカッションフォーラムの日本語のサイトがオープンしました。皆様のアクセスをお待ちしています。

アクセスはこちらのURLから:http://simulation.laerdal.com/forum/forums/62/ShowForum.spx

 一度、メールアドレスを登録すると次からは直接、個人ページにジャンプします。ぜひこのページを通じて世界中のユーザー間の意見交換を参考にしてください。SUNページをどこから見ていいのかわからない、まずはどんな雰囲気か見てみたい、という方はトップページの「News」や「Post」をのぞいてみてください。 アクセスはこちらのURLから:http://simulation.laerdal.com/

URL: https://x262.secure.ne.jp/~x262007/laerdal/mailmagazine/

写真提供文藝春秋

2009.11.7〜 8.軽井沢(軽井沢プリンスホテルウエスト)第17回日本小児集中治療WShttp://www.jspicc.jp/workshop/index.html

2009.11.10.東京(帝京大学)シミュレーションセッション at 帝京大学医学部

(SUN特別企画)http://www.laerdal.co.jp/

2009.11.13 〜 14.福岡(福岡国際会議場)日本救急看護学会http://jaen.umin.ac.jp/council.htm

2009.11.13 〜 14.岐阜(長良川国際会議場)日本航空医療学会http://the16th-koukuuiryou.jp/

2009.11.26 〜 27.東京(日本橋プラザ)JSISH SimEXPOhttp://www.asas.or.jp/jsish/index.html

2009.11.26 〜 27.石川(金沢歌劇場)第18回全国救急隊員シンポジウム http://www.congre.co.jp/kyukyu_kanazawa/

2009.11.27〜 28.千葉(幕張メッセ)第29回日本看護科学学会/モーニングセミナーhttp://www.jans29.com/index.html

2009.11.29 〜 12.1.横浜(パシフィコ横浜)第54回日本未熟児新生児学会 http://jspn54.umin.jp

2010.1.9 〜 10.神戸(神戸国際会議場)第一回世界災害看護学会http://wans.umin.ne.jp/index.html

2010.2.12 〜 13.千葉(海外職業訓練協会(OVTA))第15回集団災害医学会http://square.umin.ac.jp/jadm2010/

2010.2.20 〜 21.東京(学術総合センター)第3回日本医療教授システム学会http://www.asas.or.jp/jsish/index.html

2010.3.4 〜 6.広島(リーガロイヤルホテル広島、広島県立総合体育館)第37回日本集中治療医学会http://icm2010.umin.jp/

2010.3.5〜 7.京都(国立京都国際会館、グランドプリンスホテル京都)第74回日本循環器学会http://www2.convention.co.jp/jcs2010/jpn/update.html

●海外情報2009.11.14 〜 18.FL.USA(Orange County Convention Center)AHA Scientific Sessions/Japan Nighthttp://scientificsessions.americanheart.org/portal/scientificsessions/ss/

2010.1.23 〜 27.Arizona.USA(Phoenix Convention Center, Phoenix,)IMSH 2010http://www.ssih.org/public/

●国内情報2009.11.6 〜 7.佐賀(佐賀市アバンセ)第28回日本蘇生学会http://www.nksnet.co.jp/sosei28/

Page 4: 07 - laerdal.com · センター)と私は、日本医療教授システム学会の今後の 活動の指針を得るために、3月26日にスタバンガー市に あるSAFERを訪れた。

ー 4 ー SimMan®and SimBaby®are registered trademarks of Laerdal Medical Japan K.K. ⓒ 2009 Laerdal all rights reserved

From Editor:皆さまのお役に立つ情報をご提供できますよう、今後も発行を続けてまいります。何かご意見がありましたら、ぜひ[email protected]までよろしくお願いします。ご意見をくださいました方には粗品を送らせていただきます。

レールダルのページにアクセスしてみてください

www.laerdal.co.jp/SUNミーティング年2回(春・秋)、情報交換ミーティングを開催しています。各施設にて実施されるシミュレーション教育プログラムやトレーニングシナリオなど、新しい情報交換の場としてお役立てください。

Real TA LK.医療といのちとレールダル。

教わり、教える連鎖が高める技術

学生も、職員も、市民も、子供も。皆が使えるシミュレーションセンターを実現。

公立大学法人

横浜市立大学附属病院

臨床腫瘍科・乳腺外科

准教授 

シミュレーションセンター長

秋山浩利先生(写真中央)

PR

OF

ILE

 

Hirotoshi Akiyam

a

MD 

1988年札幌医科大学

卒。1998年から横浜市立大学医学部勤務。消化器病態外科学

(

旧第二外科)

の准教授を務める。

麻酔科

准教授 

救急部

診療部長 

シミュレーションセンター 

救急危機管理部門

(CRM)責任者 

中村京太先生(写真左)

PR

OF

ILE

 

Kyota Nakam

ura

MD 

1994年横浜市立大学医

学部卒。現在も同大学にて麻酔科指導医、救急科専門医として勤務

している。

シミュレーションセンター専任管理者 

看護師

紙谷あゆ美さん(写真右)

PR

OF

ILE

 

Ayumi K

amiya 

シミュレーションセンターに専任管

理者として常勤。トレーニングの準備、運営など、マネジメン

トすべてに携わる。

シミュレーションセンターに

ついて教えてください。

秋山 

2年前、学生が手技を学ぶ

施設「スキルラボ」を改装して設

立されました。最大の特長は、学

生だけでなく職員や地域の人たち

も対象としているところです。

中村 

この施設のおかげで、新入

職員のオリエンテーションや部署

ごとの講習を、まとめて実施でき

るようになりました。

紙谷 

さまざまな講習会に合わ

せて、シミュレータや講師の方を、

コーディネートできるだけの設備

と各科・各部署の協力体制がある

のも特長です。

秋山 

現在の講習内容は、救急救

命と内視鏡や腹腔鏡といった外科

の二本柱。BLSやAEDはもち

ろん、ICLS研修も行い、学生の

カリキュラムにもシミュレーショ

ントレーニングが含まれています。

また、外部に向けても、大学のオー

プンキャンパスでの体験会やキッ

ズセミナーを開催しています。

紙谷 

キッズセミナーは保護者

の方、講師も含めると100人を

超える大きなセミナーです。参加

者には着用した手術着と手袋、聴

診器をプレゼント。私の子供も参

加し、学校で発表しました。運営

がとにかく大変ですが、参加者に

ご好評いただいているセミナーで

すね。

施設を開設したことで感じる

変化はありますか。

秋山 

教える側の教育に対する意

識が変わったと思います。医療手

技は、先輩たちの手技を見よう見

まねで学ぶもの。いざ技術を誰か

に教えようと思っても、教え方が

分からない状態でした。しかも、一

度きりの教育はその場限りの教育

になってしまう。

 

そこで、外科寺子屋のプログラ

ムでは「級」を設定しました。昇級

制度を設けることで学習を継続で

き、自分の力も知ることができる

からです。教える側も受講者のレ

ベルが分かり教えやすい。さらに

級が上がれば、受講者に教える側

に回ってもらうこともできます。

モチベーションを維持したまま学

習することができるのです。

中村 

実際、学生はめきめきと力

を付けてきていると思います。さ

らに、レールダル製品の特長であ

るシンプルな操作性がトレーニン

グには欠かせません。単純なシナ

リオの方が複雑なもの以上に大

切。重要なのは、その現象にいか

に対応できるかですから。

秋山 

学生が他病院の研修で「横

浜市立大学の学生は優秀だね」と

褒められることがあります。現場

での即戦力になっていることがう

れしいですね。

中村 

講師不足に頭を悩ますこ

とも、以前よりは少なくなってき

ました。それは教えることが、講

師自身のやりがいにつながって

いるからです。一度教えた人がリ

ピーターになってくれることが多

い。それほどシミュレーション教

育は、教える技術の向上に重要な

役割を果たすのです。

秋山 

ユニフォームも作りまし

た。講師にも渡し、今やステータ

スの一つとなっています。

紙谷 

院内と学内での認知度も

上がっています。シミュレーショ

ンセンターが関わっていない講習

が実施された時でも、間違って問

い合わせが来たことがありまし

た。「シミュレーションと言えば

ココ!」という意識がある証拠で

すね。

今後の目標を教えてください。

秋山 

講習会を充実させ、手技の

教本となるようなプログラムを創

り上げたいと考えています。

中村 

受講する研修医も増えて

きました。私は系統的に受講でき

るような、カリキュラムレシピを

作りたいですね。

紙谷 

私は現在、マネジメント表

作りに取り組んでいます。これは

講習会の準備から実施までをま

とめたもので、「いつ」「どこで」

「何が必要か」などを記入できる

フォーマットです。こうすれば、誰

でも講習会のセッティングをする

ことができます。

秋山 

周囲の協力を得ながらも、

受講者が教える側に回り、互いに技

術を高めていく、相乗効果のあるシ

ミュレーショントレーニングを今

後も継続させていきたいですね。

「Real LIFE.」編集者からのお知らせ

Real LIFE.はデジタル配信もしております、ご希望の方は、「[email protected]」までご一報ください。購読料は無料です。

より効果的なディブリーフィングを追究動画が教えてくれるトレーニングの現実シミュレーションセンターの天井にはカメラとマイクが完備されている。トレーニングの様子を録画し、動画を使ってディブリーフィングするためだ。その場に合った手技ができているか、チームとの連携は取れているかなど、VTRがリアルに教えてくれる。

センター内には外科シミュレータも充実している。

模擬病室の天井にはいくつかのカメラが設置されている。さまざまな角度から受講者たちの様子をとらえる。

横浜市立大学附属病院 シミュレーションセンター URL : http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~skills/