化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2...

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化学物質の初期リスク評価書 Ver. 1.0 No.56 デカブロモジフェニルエーテル Decabromodiphenyl ether 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 CAS 登録番号:1163-19-5 2005 7 新エネルギー・産業技術総合開発機構 委託先 財団法人 化学物質評価研究機構 委託先 独立行政法人 製品評価技術基盤機構

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Page 1: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

化学物質の初期リスク評価書

Ver 10

No56

デカブロモジフェニルエーテル

Decabromodiphenyl ether

化学物質排出把握管理促進法政令号番号1-197

CAS 登録番号1163-19-5

2005 年 7 月

新エネルギー産業技術総合開発機構

委託先 財団法人 化学物質評価研究機構

委託先 独立行政法人 製品評価技術基盤機構

ii

序 文

目的

「化学物質の初期リスク評価書」は独立行政法人 新エネルギー産業技術開発機構から委

託された化学物質総合評価管理プログラムの一環である「化学物質のリスク評価及びリスク評

価手法の開発」プロジェクトの成果であるこのプロジェクトは「特定化学物質の環境への排

出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」 (化学物質排出把握管理促進法) の対象化

学物質を中心に有害性情報排出量等の暴露情報などリスク評価のための基礎データを収集

整備するとともにこれらを利用したリスク評価手法を開発し評価するものである

「化学物質の初期リスク評価書」では環境中の生物及びヒト健康に対する化学物質のリス

クについてスクリーニング評価を行いその結果環境中の生物あるいはヒト健康に悪影響を

及ぼすことが示唆されると判断された場合はその化学物質に対して更に詳細な調査解析及

び評価等の必要とされる行動の提案を行うことを目的とする

初期リスク評価の対象

化学物質排出把握管理促進法第一種指定化学物質のうち生産量環境への排出量及び有害

性情報などを基に選択した化学物質を初期リスク評価の対象とする環境中の生物への影響に

ついては有害性評価手法が国際的に整えられている水生生物を対象とするヒト健康への影

響については我が国の住民を対象とし職業上の暴露は考慮しない 公表までの過程

財団法人 化学物質評価研究機構及び独立行政法人 製品評価技術基盤機構が共同して評価書

案を作成し有害性評価 (環境中の生物への影響及びヒト健康への影響) については外部の有

識者によるレビューを受けその後経済産業省化学物質審議会管理部会審査部会安全評価

管理小委員会の審議承認を得ているまた暴露評価及びリスク評価については独立行政法

人 産業技術総合研究所によるレビューを受けている本評価書はこれらの過程を経て公表し

ている

なお本評価書の作成に関する手法及び基準は「化学物質の初期リスク評価指針 Ver 10」及び

「作成マニュアル Ver 10」としてホームページ (httpwwwnitegojp) にて公開されている

初期リスク評価書 Ver 04 (原案)

初期リスク評価書 Ver 01 有害性評価 リスク評価 暴露評価

暴露評価 リスク評価 有害性評価

初期リスク評価書 Ver 10 (公表版)

経済産業省 委員会

審議承認

暴露評価 リスク評価

レビュー レビュー

有害性評価

iii

要 約

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に用いられている化学物質排出

把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計結果」

によるとデカブロモジフェニルエーテルの届出排出移動量は2001 年度 1 年間に全国で

大気に 3 トン公共用水域に 1 トン排出され廃棄物に 87 トン下水道に 3 トン移動している

土壌への排出はないまた届出外排出量は推計されていない

環境中の生物に対する暴露マージンと初期リスク評価 デカブロモジフェニルエーテルは

1996 年度の環境庁の水質調査結果によると河川調査 33 地点のすべてで不検出 (検出限界 02

μgL) であったそこで環境中の水生生物に対するリスクを評価する推定環境濃度 (EEC) と

して検出限界の 12 の値である 01μgL を採用したしかしデカブロモジフェニルエーテ

ルは水に対してほとんど溶けない物質であり水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を

適切に評価できる有害性情報は得られておらず現時点で環境中の生物に対する初期リスク評

価を行なうことはできない今後水に対してほとんど溶けない物質の環境中の生物に対する

リスク評価法並びにそれに伴った環境中濃度の取得について検討する必要がある

ヒト健康に対する暴露マージンと初期リスク評価 デカブロモジフェニルエーテルは主とし

て飲料水 (河川水 01μgL)食物 (000005μgg)わずかに大気 (0030 ngm3) を通じてヒト

に摂取されヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量を経口吸入それぞれの経路で 0006 及

び 0000012μgkg日と推定したデカブロモジフェニルエーテルのヒトにおける定量的な健康

影響データは得られていないためヒト健康への影響のリスク評価には長期の動物試験データ

としてラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験における雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓の

髄外造血亢進を指標とした LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を用いた吸入暴露試験の

報告は得られていない経口経路の暴露マージン 190000000 はヒト健康に対する評価に用

いた毒性試験結果の不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエー

テルがヒト健康に悪影響を及ぼすことはないと判断する

iv

目 次

1 化学物質の同定情報 1 11 物質名 1 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 1 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1 14 CAS 登録番号 1 15 構造式 1 16 分子式 1 17 分子量 1

2 一般情報 1 21 別 名 1 22 純 度 1 23 不純物 1 24 添加剤又は安定剤 1 25 現在の我が国における法規制 1

3 物理化学的性状 1

4 発生源情報 2 41 製造輸入量等 2 42 用途情報 2 43 排出源情報 3

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源 3 432 その他の排出源 4

44 排出経路の推定 4

5 環境中運命 4 51 大気中での安定性 4 52 水中での安定性 5

521 非生物的分解性 5 522 生分解性 5 523 下水処理による除去 5

53 環境水中での動態 5 54 生物濃縮性 6

6 暴露評価 6 61 環境中分布推定 6

v

62 環境中濃度 7 621 環境中濃度の測定結果 7 622 環境中濃度の推定 9

63 水生生物生息環境における推定環境濃度 10 64 ヒトへの暴露シナリオ 11

641 環境経由の暴露 11 642 消費者製品経由の暴露 11

65 推定摂取量 11

7 環境中の生物への影響 12 71 水生生物に対する影響 12

711 微生物に対する毒性 12 712 藻類に対する毒性 12 713 無脊椎動物に対する毒性 12 714 魚類に対する毒性 12 715 その他の水生生物に対する毒性 13 716 底生生物に対する毒性 13

72 陸生生物に対する影響 14 721 微生物に対する毒性 14 722 植物に対する毒性 14 723 動物に対する毒性 14

73 環境中の生物への影響 (まとめ) 14

8 ヒト健康への影響 15 81 生体内運命 15 82 疫学調査及び事例 16 83 実験動物に対する毒性 18

831 急性毒性 18 832 刺激性及び腐食性 18 833 感作性 20 834 反復投与毒性 20 835 生殖発生毒性 22 836 遺伝毒性 23 837 発がん性 25

84 ヒト健康への影響 (まとめ) 27

9 リスク評価 27 91 環境中の生物に対するリスク評価 27

911 リスク評価に用いる推定環境濃度 28

vi

912 リスク評価に用いる無影響濃度 28 913 暴露マージンの算出 28 914 環境中の生物に対するリスク評価結果 28

92 ヒト健康に対するリスク評価 28 921 ヒトの推定摂取量 28 922 リスク評価に用いる無毒性量 29 923 暴露マージンの算出 29 924 ヒト健康に対するリスク評価結果 30

文 献 31

1

1化学物質の同定情報 11 物質名 デカブロモジフェニルエーテル 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 3-2846 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1-197 14 CAS登録番号 1163-19-5 15 構造式

16 分子式

C12Br10O

17 分子量

9592

2一般情報

21 別 名

デカブロモジフェニルオキシドビス(ペンタブロモフェニール)エーテルDBDPO

22 純 度

99以上 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

23 不純物

ノナブロモジフェニルエーテルオクタブロモジフェニルエーテル (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

24 添加剤又は安定剤

無添加 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

25 現在の我が国における法規制

化学物質排出把握管理促進法第一種指定化学物質

化学物質審査規制法指定化学物質 (第二種監視化学物質)

3物理化学的性状

外 観白色~灰白色固体 (USNLMHSDB 2001)

融 点305 (USNLMHSDB 2001)

沸 点425で分解 (化学物質評価研究機構 2002)

引 火 点データなし

Br

Br

Br Br

O

Br Br

BrBr

Br

Br

2

発 火 点データなし

爆 発 限 界データなし

比 重30 (詳細不明) (USNLMHSDB 2001)

蒸 気 密 度331 (空気 = 1)

蒸 気 圧lt10-4 Pa (20推定値) (EU IUCLID 2000)

分 配 係 数オクタノール水分配係数 log Kow = 101 (測定値) (化学物質評価研究機構 2001a)

1211 (推定値) (SRCKowWin 2003)

解 離 定 数解離基なし スペクトル主要マススペクトルフラグメントデータなし 吸 脱 着 性土壌吸着係数 Koc = 41times105 (推定値) (SRCPcKocWin 2003) 溶 解 性水00001 mgL (25) (SRCPhysProp 2002)

アセトン05 gkgベンゼン48 gkgo-キシレン87 gkg (Norris et al 1973) ヘ ン リ ー定 数121times10-3 Pam3mol (119times10-8 atmm3mol) (25推定値)

(SRCHenryWin 2002)

換 算 係 数(気相20) 1 ppm = 3990 mgm31 mgm3 = 0025 ppm

そ の 他400~800に加熱するとポリ臭素化ジベンゾジオキシン類が生成することが

ある (化学物質評価研究機構 2002)

4発生源情報

41 製造輸入量等

デカブロモジフェニルエーテルの 2001 年度の製造輸入量は 2323 トンと報告されている

(経済産業省 2003)

また別途調査したところデカブロモジフェニルエーテルの 1997 年から 2001 年までの 5

年間の製造量輸入量等は表 4-1 の通りであった (製品評価技術基盤機構 2003)輸入量は減

少傾向にある

表 4-1 デカブロモジフェニルエーテルの製造輸入量等 (トン) 年 1997 1998 1999 2000 2001

製造量 1150 1130 1110 1150 1030

輸入量 4640 3270 3620 2810 1450

輸出量 310 490 720 630 490

国内供給量 5480 3910 4010 3330 1990

(製品評価技術基盤機構 2003)

42 用途情報

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に使われ60が電子機器関連

30が繊維関連5が輸送関連5が建築関連に使用される (製品評価技術基盤機構 2003)

3

43 排出源情報

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源

化学物質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出

量の集計結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下2001 年度 PRTR データ) によるとデカ

ブロモジフェニルエーテルは 1 年間に全国合計で届出事業者から大気へ 3 トン公共用水域へ

1 トン排出され廃棄物として 87 トン下水道に 3 トン移動している土壌への排出はない

届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計されていない

a 届出対象業種からの排出量と移動量

2001 年度 PRTR データに基づきデカブロモジフェニルエーテルの対象業種別の環境 (大気

水域土壌) への排出量と移動量を表 4-2 に示したなお届出外対象業種からの排出量は推

計されていない (経済産業省 環境省 2003a)

表 4-2 デカブロモジフェニルエーテルの届出対象業種別の環境媒体への排出量等 (トン年) 届出

排出量 移動量 届出排出量合計

業種名

大気 水域 土壌 下水道 廃棄物 排出計 割合

()

化学工業 3 0 0 <05 30 3 75

繊維工業 0 1 0 3 35 1 25

非鉄金属製造業 0 0 0 0 9 0 0

プラスチック製品製造業 0 0 0 0 7 0 0

衣服その他の繊維製品製造業 0 0 0 0 4 0 0

パルプ紙紙加工品製造業 0 0 0 0 1 0 0

輸送用機械器具製造業 0 0 0 0 1 0 0

電気機械器具製造業 0 0 0 0 <05 0 0

合計 3 1 0 3 87 4 100

(経済産業省 環境省 2003a) 05 トン未満の移動量はすべて「<05」と表記した

なおデカブロモジフェニルエーテルを製造する段階でのデカブロモジフェニルエーテルの

排出原単位はゼロである (日本化学工業協会 2002a) ことから2001 年度 PRTR データに基づ

く届出対象業種からの排出量はすべてデカブロモジフェニルエーテルを使用する段階での排

出と考えられる (製品評価技術基盤機構 2004)

4

b 非対象業種家庭及び移動体からの排出量

2001 年度 PRTR データではデカブロモジフェニルエーテルの非対象業種家庭及び移動体

からの排出量は推計対象となっていない (経済産業省 環境省 2003b)

432 その他の排出源

2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外のデカブロモジフェニルエーテルの排出源

として海外ではポリマー製品から揮発ポリマー製品及び繊維製品からダストとしての排

出洗濯による繊維製品からの浸出があると報告されている (EU 2002)それぞれの排出率を

表 4-3 に示した

表 4-3 デカブロモジフェニルエーテルの製品からの年間排出率 製品種類 排出形態 排出段階 年間排出率 ()1)

揮発 製品使用時 0038 製品使用時 (屋外) 2 ポリマー製品

ダスト 破砕処分時 2

浸出 洗濯時 無視 繊維製品

ダスト 破砕処分時 2 (EU 2002) 1) 製品中のデカブロモジフェニルエーテル含有量に対するデカブロモジフェニル

エーテル排出割合を示す

しかしながら表 4-3 に示した排出率のうち「ポリマー製品使用時の揮発」「繊維製品洗濯

時の浸出」についてはその割合が極めて低いと考えられることまた「ポリマー製品使用時

(屋外) のダスト発生」はポリマー製品の屋外使用割合が不明なことを考慮し本評価書では

これらの排出量を考慮しないなおポリマー製品及び繊維製品の破砕処分時に発生するダス

トはすべて処理され環境中への排出はないと仮定した

44 排出経路の推定

デカブロモジフェニルエーテルはすべて難燃剤として使用されているという用途情報及び

2001 年度 PRTR データ等から判断して主たる排出経路はデカブロモジフェニルエーテルを

難燃剤として樹脂や繊維に配合する段階からの排出と考えられる製品からの排出量はわずか

と考えられるため排出量としては考慮しない

デカブロモジフェニルエーテルの放出シナリオとして1 年間に全国で大気へ 3 トン水域

へ 1 トン排出されると推定したただし廃棄物としての移動量及び下水道への移動量につい

ては各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない

5環境中運命

51 大気中での安定性

a OH ラジカルとの反応性

対流圏大気中ではデカブロモジフェニルエーテルと OH ラジカルとの反応速度定数が 34

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 2: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

ii

序 文

目的

「化学物質の初期リスク評価書」は独立行政法人 新エネルギー産業技術開発機構から委

託された化学物質総合評価管理プログラムの一環である「化学物質のリスク評価及びリスク評

価手法の開発」プロジェクトの成果であるこのプロジェクトは「特定化学物質の環境への排

出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」 (化学物質排出把握管理促進法) の対象化

学物質を中心に有害性情報排出量等の暴露情報などリスク評価のための基礎データを収集

整備するとともにこれらを利用したリスク評価手法を開発し評価するものである

「化学物質の初期リスク評価書」では環境中の生物及びヒト健康に対する化学物質のリス

クについてスクリーニング評価を行いその結果環境中の生物あるいはヒト健康に悪影響を

及ぼすことが示唆されると判断された場合はその化学物質に対して更に詳細な調査解析及

び評価等の必要とされる行動の提案を行うことを目的とする

初期リスク評価の対象

化学物質排出把握管理促進法第一種指定化学物質のうち生産量環境への排出量及び有害

性情報などを基に選択した化学物質を初期リスク評価の対象とする環境中の生物への影響に

ついては有害性評価手法が国際的に整えられている水生生物を対象とするヒト健康への影

響については我が国の住民を対象とし職業上の暴露は考慮しない 公表までの過程

財団法人 化学物質評価研究機構及び独立行政法人 製品評価技術基盤機構が共同して評価書

案を作成し有害性評価 (環境中の生物への影響及びヒト健康への影響) については外部の有

識者によるレビューを受けその後経済産業省化学物質審議会管理部会審査部会安全評価

管理小委員会の審議承認を得ているまた暴露評価及びリスク評価については独立行政法

人 産業技術総合研究所によるレビューを受けている本評価書はこれらの過程を経て公表し

ている

なお本評価書の作成に関する手法及び基準は「化学物質の初期リスク評価指針 Ver 10」及び

「作成マニュアル Ver 10」としてホームページ (httpwwwnitegojp) にて公開されている

初期リスク評価書 Ver 04 (原案)

初期リスク評価書 Ver 01 有害性評価 リスク評価 暴露評価

暴露評価 リスク評価 有害性評価

初期リスク評価書 Ver 10 (公表版)

経済産業省 委員会

審議承認

暴露評価 リスク評価

レビュー レビュー

有害性評価

iii

要 約

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に用いられている化学物質排出

把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計結果」

によるとデカブロモジフェニルエーテルの届出排出移動量は2001 年度 1 年間に全国で

大気に 3 トン公共用水域に 1 トン排出され廃棄物に 87 トン下水道に 3 トン移動している

土壌への排出はないまた届出外排出量は推計されていない

環境中の生物に対する暴露マージンと初期リスク評価 デカブロモジフェニルエーテルは

1996 年度の環境庁の水質調査結果によると河川調査 33 地点のすべてで不検出 (検出限界 02

μgL) であったそこで環境中の水生生物に対するリスクを評価する推定環境濃度 (EEC) と

して検出限界の 12 の値である 01μgL を採用したしかしデカブロモジフェニルエーテ

ルは水に対してほとんど溶けない物質であり水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を

適切に評価できる有害性情報は得られておらず現時点で環境中の生物に対する初期リスク評

価を行なうことはできない今後水に対してほとんど溶けない物質の環境中の生物に対する

リスク評価法並びにそれに伴った環境中濃度の取得について検討する必要がある

ヒト健康に対する暴露マージンと初期リスク評価 デカブロモジフェニルエーテルは主とし

て飲料水 (河川水 01μgL)食物 (000005μgg)わずかに大気 (0030 ngm3) を通じてヒト

に摂取されヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量を経口吸入それぞれの経路で 0006 及

び 0000012μgkg日と推定したデカブロモジフェニルエーテルのヒトにおける定量的な健康

影響データは得られていないためヒト健康への影響のリスク評価には長期の動物試験データ

としてラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験における雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓の

髄外造血亢進を指標とした LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を用いた吸入暴露試験の

報告は得られていない経口経路の暴露マージン 190000000 はヒト健康に対する評価に用

いた毒性試験結果の不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエー

テルがヒト健康に悪影響を及ぼすことはないと判断する

iv

目 次

1 化学物質の同定情報 1 11 物質名 1 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 1 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1 14 CAS 登録番号 1 15 構造式 1 16 分子式 1 17 分子量 1

2 一般情報 1 21 別 名 1 22 純 度 1 23 不純物 1 24 添加剤又は安定剤 1 25 現在の我が国における法規制 1

3 物理化学的性状 1

4 発生源情報 2 41 製造輸入量等 2 42 用途情報 2 43 排出源情報 3

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源 3 432 その他の排出源 4

44 排出経路の推定 4

5 環境中運命 4 51 大気中での安定性 4 52 水中での安定性 5

521 非生物的分解性 5 522 生分解性 5 523 下水処理による除去 5

53 環境水中での動態 5 54 生物濃縮性 6

6 暴露評価 6 61 環境中分布推定 6

v

62 環境中濃度 7 621 環境中濃度の測定結果 7 622 環境中濃度の推定 9

63 水生生物生息環境における推定環境濃度 10 64 ヒトへの暴露シナリオ 11

641 環境経由の暴露 11 642 消費者製品経由の暴露 11

65 推定摂取量 11

7 環境中の生物への影響 12 71 水生生物に対する影響 12

711 微生物に対する毒性 12 712 藻類に対する毒性 12 713 無脊椎動物に対する毒性 12 714 魚類に対する毒性 12 715 その他の水生生物に対する毒性 13 716 底生生物に対する毒性 13

72 陸生生物に対する影響 14 721 微生物に対する毒性 14 722 植物に対する毒性 14 723 動物に対する毒性 14

73 環境中の生物への影響 (まとめ) 14

8 ヒト健康への影響 15 81 生体内運命 15 82 疫学調査及び事例 16 83 実験動物に対する毒性 18

831 急性毒性 18 832 刺激性及び腐食性 18 833 感作性 20 834 反復投与毒性 20 835 生殖発生毒性 22 836 遺伝毒性 23 837 発がん性 25

84 ヒト健康への影響 (まとめ) 27

9 リスク評価 27 91 環境中の生物に対するリスク評価 27

911 リスク評価に用いる推定環境濃度 28

vi

912 リスク評価に用いる無影響濃度 28 913 暴露マージンの算出 28 914 環境中の生物に対するリスク評価結果 28

92 ヒト健康に対するリスク評価 28 921 ヒトの推定摂取量 28 922 リスク評価に用いる無毒性量 29 923 暴露マージンの算出 29 924 ヒト健康に対するリスク評価結果 30

文 献 31

1

1化学物質の同定情報 11 物質名 デカブロモジフェニルエーテル 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 3-2846 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1-197 14 CAS登録番号 1163-19-5 15 構造式

16 分子式

C12Br10O

17 分子量

9592

2一般情報

21 別 名

デカブロモジフェニルオキシドビス(ペンタブロモフェニール)エーテルDBDPO

22 純 度

99以上 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

23 不純物

ノナブロモジフェニルエーテルオクタブロモジフェニルエーテル (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

24 添加剤又は安定剤

無添加 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

25 現在の我が国における法規制

化学物質排出把握管理促進法第一種指定化学物質

化学物質審査規制法指定化学物質 (第二種監視化学物質)

3物理化学的性状

外 観白色~灰白色固体 (USNLMHSDB 2001)

融 点305 (USNLMHSDB 2001)

沸 点425で分解 (化学物質評価研究機構 2002)

引 火 点データなし

Br

Br

Br Br

O

Br Br

BrBr

Br

Br

2

発 火 点データなし

爆 発 限 界データなし

比 重30 (詳細不明) (USNLMHSDB 2001)

蒸 気 密 度331 (空気 = 1)

蒸 気 圧lt10-4 Pa (20推定値) (EU IUCLID 2000)

分 配 係 数オクタノール水分配係数 log Kow = 101 (測定値) (化学物質評価研究機構 2001a)

1211 (推定値) (SRCKowWin 2003)

解 離 定 数解離基なし スペクトル主要マススペクトルフラグメントデータなし 吸 脱 着 性土壌吸着係数 Koc = 41times105 (推定値) (SRCPcKocWin 2003) 溶 解 性水00001 mgL (25) (SRCPhysProp 2002)

アセトン05 gkgベンゼン48 gkgo-キシレン87 gkg (Norris et al 1973) ヘ ン リ ー定 数121times10-3 Pam3mol (119times10-8 atmm3mol) (25推定値)

(SRCHenryWin 2002)

換 算 係 数(気相20) 1 ppm = 3990 mgm31 mgm3 = 0025 ppm

そ の 他400~800に加熱するとポリ臭素化ジベンゾジオキシン類が生成することが

ある (化学物質評価研究機構 2002)

4発生源情報

41 製造輸入量等

デカブロモジフェニルエーテルの 2001 年度の製造輸入量は 2323 トンと報告されている

(経済産業省 2003)

また別途調査したところデカブロモジフェニルエーテルの 1997 年から 2001 年までの 5

年間の製造量輸入量等は表 4-1 の通りであった (製品評価技術基盤機構 2003)輸入量は減

少傾向にある

表 4-1 デカブロモジフェニルエーテルの製造輸入量等 (トン) 年 1997 1998 1999 2000 2001

製造量 1150 1130 1110 1150 1030

輸入量 4640 3270 3620 2810 1450

輸出量 310 490 720 630 490

国内供給量 5480 3910 4010 3330 1990

(製品評価技術基盤機構 2003)

42 用途情報

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に使われ60が電子機器関連

30が繊維関連5が輸送関連5が建築関連に使用される (製品評価技術基盤機構 2003)

3

43 排出源情報

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源

化学物質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出

量の集計結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下2001 年度 PRTR データ) によるとデカ

ブロモジフェニルエーテルは 1 年間に全国合計で届出事業者から大気へ 3 トン公共用水域へ

1 トン排出され廃棄物として 87 トン下水道に 3 トン移動している土壌への排出はない

届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計されていない

a 届出対象業種からの排出量と移動量

2001 年度 PRTR データに基づきデカブロモジフェニルエーテルの対象業種別の環境 (大気

水域土壌) への排出量と移動量を表 4-2 に示したなお届出外対象業種からの排出量は推

計されていない (経済産業省 環境省 2003a)

表 4-2 デカブロモジフェニルエーテルの届出対象業種別の環境媒体への排出量等 (トン年) 届出

排出量 移動量 届出排出量合計

業種名

大気 水域 土壌 下水道 廃棄物 排出計 割合

()

化学工業 3 0 0 <05 30 3 75

繊維工業 0 1 0 3 35 1 25

非鉄金属製造業 0 0 0 0 9 0 0

プラスチック製品製造業 0 0 0 0 7 0 0

衣服その他の繊維製品製造業 0 0 0 0 4 0 0

パルプ紙紙加工品製造業 0 0 0 0 1 0 0

輸送用機械器具製造業 0 0 0 0 1 0 0

電気機械器具製造業 0 0 0 0 <05 0 0

合計 3 1 0 3 87 4 100

(経済産業省 環境省 2003a) 05 トン未満の移動量はすべて「<05」と表記した

なおデカブロモジフェニルエーテルを製造する段階でのデカブロモジフェニルエーテルの

排出原単位はゼロである (日本化学工業協会 2002a) ことから2001 年度 PRTR データに基づ

く届出対象業種からの排出量はすべてデカブロモジフェニルエーテルを使用する段階での排

出と考えられる (製品評価技術基盤機構 2004)

4

b 非対象業種家庭及び移動体からの排出量

2001 年度 PRTR データではデカブロモジフェニルエーテルの非対象業種家庭及び移動体

からの排出量は推計対象となっていない (経済産業省 環境省 2003b)

432 その他の排出源

2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外のデカブロモジフェニルエーテルの排出源

として海外ではポリマー製品から揮発ポリマー製品及び繊維製品からダストとしての排

出洗濯による繊維製品からの浸出があると報告されている (EU 2002)それぞれの排出率を

表 4-3 に示した

表 4-3 デカブロモジフェニルエーテルの製品からの年間排出率 製品種類 排出形態 排出段階 年間排出率 ()1)

揮発 製品使用時 0038 製品使用時 (屋外) 2 ポリマー製品

ダスト 破砕処分時 2

浸出 洗濯時 無視 繊維製品

ダスト 破砕処分時 2 (EU 2002) 1) 製品中のデカブロモジフェニルエーテル含有量に対するデカブロモジフェニル

エーテル排出割合を示す

しかしながら表 4-3 に示した排出率のうち「ポリマー製品使用時の揮発」「繊維製品洗濯

時の浸出」についてはその割合が極めて低いと考えられることまた「ポリマー製品使用時

(屋外) のダスト発生」はポリマー製品の屋外使用割合が不明なことを考慮し本評価書では

これらの排出量を考慮しないなおポリマー製品及び繊維製品の破砕処分時に発生するダス

トはすべて処理され環境中への排出はないと仮定した

44 排出経路の推定

デカブロモジフェニルエーテルはすべて難燃剤として使用されているという用途情報及び

2001 年度 PRTR データ等から判断して主たる排出経路はデカブロモジフェニルエーテルを

難燃剤として樹脂や繊維に配合する段階からの排出と考えられる製品からの排出量はわずか

と考えられるため排出量としては考慮しない

デカブロモジフェニルエーテルの放出シナリオとして1 年間に全国で大気へ 3 トン水域

へ 1 トン排出されると推定したただし廃棄物としての移動量及び下水道への移動量につい

ては各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない

5環境中運命

51 大気中での安定性

a OH ラジカルとの反応性

対流圏大気中ではデカブロモジフェニルエーテルと OH ラジカルとの反応速度定数が 34

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 3: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

iii

要 約

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に用いられている化学物質排出

把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計結果」

によるとデカブロモジフェニルエーテルの届出排出移動量は2001 年度 1 年間に全国で

大気に 3 トン公共用水域に 1 トン排出され廃棄物に 87 トン下水道に 3 トン移動している

土壌への排出はないまた届出外排出量は推計されていない

環境中の生物に対する暴露マージンと初期リスク評価 デカブロモジフェニルエーテルは

1996 年度の環境庁の水質調査結果によると河川調査 33 地点のすべてで不検出 (検出限界 02

μgL) であったそこで環境中の水生生物に対するリスクを評価する推定環境濃度 (EEC) と

して検出限界の 12 の値である 01μgL を採用したしかしデカブロモジフェニルエーテ

ルは水に対してほとんど溶けない物質であり水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を

適切に評価できる有害性情報は得られておらず現時点で環境中の生物に対する初期リスク評

価を行なうことはできない今後水に対してほとんど溶けない物質の環境中の生物に対する

リスク評価法並びにそれに伴った環境中濃度の取得について検討する必要がある

ヒト健康に対する暴露マージンと初期リスク評価 デカブロモジフェニルエーテルは主とし

て飲料水 (河川水 01μgL)食物 (000005μgg)わずかに大気 (0030 ngm3) を通じてヒト

に摂取されヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量を経口吸入それぞれの経路で 0006 及

び 0000012μgkg日と推定したデカブロモジフェニルエーテルのヒトにおける定量的な健康

影響データは得られていないためヒト健康への影響のリスク評価には長期の動物試験データ

としてラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験における雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓の

髄外造血亢進を指標とした LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を用いた吸入暴露試験の

報告は得られていない経口経路の暴露マージン 190000000 はヒト健康に対する評価に用

いた毒性試験結果の不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエー

テルがヒト健康に悪影響を及ぼすことはないと判断する

iv

目 次

1 化学物質の同定情報 1 11 物質名 1 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 1 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1 14 CAS 登録番号 1 15 構造式 1 16 分子式 1 17 分子量 1

2 一般情報 1 21 別 名 1 22 純 度 1 23 不純物 1 24 添加剤又は安定剤 1 25 現在の我が国における法規制 1

3 物理化学的性状 1

4 発生源情報 2 41 製造輸入量等 2 42 用途情報 2 43 排出源情報 3

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源 3 432 その他の排出源 4

44 排出経路の推定 4

5 環境中運命 4 51 大気中での安定性 4 52 水中での安定性 5

521 非生物的分解性 5 522 生分解性 5 523 下水処理による除去 5

53 環境水中での動態 5 54 生物濃縮性 6

6 暴露評価 6 61 環境中分布推定 6

v

62 環境中濃度 7 621 環境中濃度の測定結果 7 622 環境中濃度の推定 9

63 水生生物生息環境における推定環境濃度 10 64 ヒトへの暴露シナリオ 11

641 環境経由の暴露 11 642 消費者製品経由の暴露 11

65 推定摂取量 11

7 環境中の生物への影響 12 71 水生生物に対する影響 12

711 微生物に対する毒性 12 712 藻類に対する毒性 12 713 無脊椎動物に対する毒性 12 714 魚類に対する毒性 12 715 その他の水生生物に対する毒性 13 716 底生生物に対する毒性 13

72 陸生生物に対する影響 14 721 微生物に対する毒性 14 722 植物に対する毒性 14 723 動物に対する毒性 14

73 環境中の生物への影響 (まとめ) 14

8 ヒト健康への影響 15 81 生体内運命 15 82 疫学調査及び事例 16 83 実験動物に対する毒性 18

831 急性毒性 18 832 刺激性及び腐食性 18 833 感作性 20 834 反復投与毒性 20 835 生殖発生毒性 22 836 遺伝毒性 23 837 発がん性 25

84 ヒト健康への影響 (まとめ) 27

9 リスク評価 27 91 環境中の生物に対するリスク評価 27

911 リスク評価に用いる推定環境濃度 28

vi

912 リスク評価に用いる無影響濃度 28 913 暴露マージンの算出 28 914 環境中の生物に対するリスク評価結果 28

92 ヒト健康に対するリスク評価 28 921 ヒトの推定摂取量 28 922 リスク評価に用いる無毒性量 29 923 暴露マージンの算出 29 924 ヒト健康に対するリスク評価結果 30

文 献 31

1

1化学物質の同定情報 11 物質名 デカブロモジフェニルエーテル 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 3-2846 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1-197 14 CAS登録番号 1163-19-5 15 構造式

16 分子式

C12Br10O

17 分子量

9592

2一般情報

21 別 名

デカブロモジフェニルオキシドビス(ペンタブロモフェニール)エーテルDBDPO

22 純 度

99以上 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

23 不純物

ノナブロモジフェニルエーテルオクタブロモジフェニルエーテル (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

24 添加剤又は安定剤

無添加 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

25 現在の我が国における法規制

化学物質排出把握管理促進法第一種指定化学物質

化学物質審査規制法指定化学物質 (第二種監視化学物質)

3物理化学的性状

外 観白色~灰白色固体 (USNLMHSDB 2001)

融 点305 (USNLMHSDB 2001)

沸 点425で分解 (化学物質評価研究機構 2002)

引 火 点データなし

Br

Br

Br Br

O

Br Br

BrBr

Br

Br

2

発 火 点データなし

爆 発 限 界データなし

比 重30 (詳細不明) (USNLMHSDB 2001)

蒸 気 密 度331 (空気 = 1)

蒸 気 圧lt10-4 Pa (20推定値) (EU IUCLID 2000)

分 配 係 数オクタノール水分配係数 log Kow = 101 (測定値) (化学物質評価研究機構 2001a)

1211 (推定値) (SRCKowWin 2003)

解 離 定 数解離基なし スペクトル主要マススペクトルフラグメントデータなし 吸 脱 着 性土壌吸着係数 Koc = 41times105 (推定値) (SRCPcKocWin 2003) 溶 解 性水00001 mgL (25) (SRCPhysProp 2002)

アセトン05 gkgベンゼン48 gkgo-キシレン87 gkg (Norris et al 1973) ヘ ン リ ー定 数121times10-3 Pam3mol (119times10-8 atmm3mol) (25推定値)

(SRCHenryWin 2002)

換 算 係 数(気相20) 1 ppm = 3990 mgm31 mgm3 = 0025 ppm

そ の 他400~800に加熱するとポリ臭素化ジベンゾジオキシン類が生成することが

ある (化学物質評価研究機構 2002)

4発生源情報

41 製造輸入量等

デカブロモジフェニルエーテルの 2001 年度の製造輸入量は 2323 トンと報告されている

(経済産業省 2003)

また別途調査したところデカブロモジフェニルエーテルの 1997 年から 2001 年までの 5

年間の製造量輸入量等は表 4-1 の通りであった (製品評価技術基盤機構 2003)輸入量は減

少傾向にある

表 4-1 デカブロモジフェニルエーテルの製造輸入量等 (トン) 年 1997 1998 1999 2000 2001

製造量 1150 1130 1110 1150 1030

輸入量 4640 3270 3620 2810 1450

輸出量 310 490 720 630 490

国内供給量 5480 3910 4010 3330 1990

(製品評価技術基盤機構 2003)

42 用途情報

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に使われ60が電子機器関連

30が繊維関連5が輸送関連5が建築関連に使用される (製品評価技術基盤機構 2003)

3

43 排出源情報

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源

化学物質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出

量の集計結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下2001 年度 PRTR データ) によるとデカ

ブロモジフェニルエーテルは 1 年間に全国合計で届出事業者から大気へ 3 トン公共用水域へ

1 トン排出され廃棄物として 87 トン下水道に 3 トン移動している土壌への排出はない

届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計されていない

a 届出対象業種からの排出量と移動量

2001 年度 PRTR データに基づきデカブロモジフェニルエーテルの対象業種別の環境 (大気

水域土壌) への排出量と移動量を表 4-2 に示したなお届出外対象業種からの排出量は推

計されていない (経済産業省 環境省 2003a)

表 4-2 デカブロモジフェニルエーテルの届出対象業種別の環境媒体への排出量等 (トン年) 届出

排出量 移動量 届出排出量合計

業種名

大気 水域 土壌 下水道 廃棄物 排出計 割合

()

化学工業 3 0 0 <05 30 3 75

繊維工業 0 1 0 3 35 1 25

非鉄金属製造業 0 0 0 0 9 0 0

プラスチック製品製造業 0 0 0 0 7 0 0

衣服その他の繊維製品製造業 0 0 0 0 4 0 0

パルプ紙紙加工品製造業 0 0 0 0 1 0 0

輸送用機械器具製造業 0 0 0 0 1 0 0

電気機械器具製造業 0 0 0 0 <05 0 0

合計 3 1 0 3 87 4 100

(経済産業省 環境省 2003a) 05 トン未満の移動量はすべて「<05」と表記した

なおデカブロモジフェニルエーテルを製造する段階でのデカブロモジフェニルエーテルの

排出原単位はゼロである (日本化学工業協会 2002a) ことから2001 年度 PRTR データに基づ

く届出対象業種からの排出量はすべてデカブロモジフェニルエーテルを使用する段階での排

出と考えられる (製品評価技術基盤機構 2004)

4

b 非対象業種家庭及び移動体からの排出量

2001 年度 PRTR データではデカブロモジフェニルエーテルの非対象業種家庭及び移動体

からの排出量は推計対象となっていない (経済産業省 環境省 2003b)

432 その他の排出源

2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外のデカブロモジフェニルエーテルの排出源

として海外ではポリマー製品から揮発ポリマー製品及び繊維製品からダストとしての排

出洗濯による繊維製品からの浸出があると報告されている (EU 2002)それぞれの排出率を

表 4-3 に示した

表 4-3 デカブロモジフェニルエーテルの製品からの年間排出率 製品種類 排出形態 排出段階 年間排出率 ()1)

揮発 製品使用時 0038 製品使用時 (屋外) 2 ポリマー製品

ダスト 破砕処分時 2

浸出 洗濯時 無視 繊維製品

ダスト 破砕処分時 2 (EU 2002) 1) 製品中のデカブロモジフェニルエーテル含有量に対するデカブロモジフェニル

エーテル排出割合を示す

しかしながら表 4-3 に示した排出率のうち「ポリマー製品使用時の揮発」「繊維製品洗濯

時の浸出」についてはその割合が極めて低いと考えられることまた「ポリマー製品使用時

(屋外) のダスト発生」はポリマー製品の屋外使用割合が不明なことを考慮し本評価書では

これらの排出量を考慮しないなおポリマー製品及び繊維製品の破砕処分時に発生するダス

トはすべて処理され環境中への排出はないと仮定した

44 排出経路の推定

デカブロモジフェニルエーテルはすべて難燃剤として使用されているという用途情報及び

2001 年度 PRTR データ等から判断して主たる排出経路はデカブロモジフェニルエーテルを

難燃剤として樹脂や繊維に配合する段階からの排出と考えられる製品からの排出量はわずか

と考えられるため排出量としては考慮しない

デカブロモジフェニルエーテルの放出シナリオとして1 年間に全国で大気へ 3 トン水域

へ 1 トン排出されると推定したただし廃棄物としての移動量及び下水道への移動量につい

ては各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない

5環境中運命

51 大気中での安定性

a OH ラジカルとの反応性

対流圏大気中ではデカブロモジフェニルエーテルと OH ラジカルとの反応速度定数が 34

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 4: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

iv

目 次

1 化学物質の同定情報 1 11 物質名 1 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 1 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1 14 CAS 登録番号 1 15 構造式 1 16 分子式 1 17 分子量 1

2 一般情報 1 21 別 名 1 22 純 度 1 23 不純物 1 24 添加剤又は安定剤 1 25 現在の我が国における法規制 1

3 物理化学的性状 1

4 発生源情報 2 41 製造輸入量等 2 42 用途情報 2 43 排出源情報 3

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源 3 432 その他の排出源 4

44 排出経路の推定 4

5 環境中運命 4 51 大気中での安定性 4 52 水中での安定性 5

521 非生物的分解性 5 522 生分解性 5 523 下水処理による除去 5

53 環境水中での動態 5 54 生物濃縮性 6

6 暴露評価 6 61 環境中分布推定 6

v

62 環境中濃度 7 621 環境中濃度の測定結果 7 622 環境中濃度の推定 9

63 水生生物生息環境における推定環境濃度 10 64 ヒトへの暴露シナリオ 11

641 環境経由の暴露 11 642 消費者製品経由の暴露 11

65 推定摂取量 11

7 環境中の生物への影響 12 71 水生生物に対する影響 12

711 微生物に対する毒性 12 712 藻類に対する毒性 12 713 無脊椎動物に対する毒性 12 714 魚類に対する毒性 12 715 その他の水生生物に対する毒性 13 716 底生生物に対する毒性 13

72 陸生生物に対する影響 14 721 微生物に対する毒性 14 722 植物に対する毒性 14 723 動物に対する毒性 14

73 環境中の生物への影響 (まとめ) 14

8 ヒト健康への影響 15 81 生体内運命 15 82 疫学調査及び事例 16 83 実験動物に対する毒性 18

831 急性毒性 18 832 刺激性及び腐食性 18 833 感作性 20 834 反復投与毒性 20 835 生殖発生毒性 22 836 遺伝毒性 23 837 発がん性 25

84 ヒト健康への影響 (まとめ) 27

9 リスク評価 27 91 環境中の生物に対するリスク評価 27

911 リスク評価に用いる推定環境濃度 28

vi

912 リスク評価に用いる無影響濃度 28 913 暴露マージンの算出 28 914 環境中の生物に対するリスク評価結果 28

92 ヒト健康に対するリスク評価 28 921 ヒトの推定摂取量 28 922 リスク評価に用いる無毒性量 29 923 暴露マージンの算出 29 924 ヒト健康に対するリスク評価結果 30

文 献 31

1

1化学物質の同定情報 11 物質名 デカブロモジフェニルエーテル 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 3-2846 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1-197 14 CAS登録番号 1163-19-5 15 構造式

16 分子式

C12Br10O

17 分子量

9592

2一般情報

21 別 名

デカブロモジフェニルオキシドビス(ペンタブロモフェニール)エーテルDBDPO

22 純 度

99以上 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

23 不純物

ノナブロモジフェニルエーテルオクタブロモジフェニルエーテル (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

24 添加剤又は安定剤

無添加 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

25 現在の我が国における法規制

化学物質排出把握管理促進法第一種指定化学物質

化学物質審査規制法指定化学物質 (第二種監視化学物質)

3物理化学的性状

外 観白色~灰白色固体 (USNLMHSDB 2001)

融 点305 (USNLMHSDB 2001)

沸 点425で分解 (化学物質評価研究機構 2002)

引 火 点データなし

Br

Br

Br Br

O

Br Br

BrBr

Br

Br

2

発 火 点データなし

爆 発 限 界データなし

比 重30 (詳細不明) (USNLMHSDB 2001)

蒸 気 密 度331 (空気 = 1)

蒸 気 圧lt10-4 Pa (20推定値) (EU IUCLID 2000)

分 配 係 数オクタノール水分配係数 log Kow = 101 (測定値) (化学物質評価研究機構 2001a)

1211 (推定値) (SRCKowWin 2003)

解 離 定 数解離基なし スペクトル主要マススペクトルフラグメントデータなし 吸 脱 着 性土壌吸着係数 Koc = 41times105 (推定値) (SRCPcKocWin 2003) 溶 解 性水00001 mgL (25) (SRCPhysProp 2002)

アセトン05 gkgベンゼン48 gkgo-キシレン87 gkg (Norris et al 1973) ヘ ン リ ー定 数121times10-3 Pam3mol (119times10-8 atmm3mol) (25推定値)

(SRCHenryWin 2002)

換 算 係 数(気相20) 1 ppm = 3990 mgm31 mgm3 = 0025 ppm

そ の 他400~800に加熱するとポリ臭素化ジベンゾジオキシン類が生成することが

ある (化学物質評価研究機構 2002)

4発生源情報

41 製造輸入量等

デカブロモジフェニルエーテルの 2001 年度の製造輸入量は 2323 トンと報告されている

(経済産業省 2003)

また別途調査したところデカブロモジフェニルエーテルの 1997 年から 2001 年までの 5

年間の製造量輸入量等は表 4-1 の通りであった (製品評価技術基盤機構 2003)輸入量は減

少傾向にある

表 4-1 デカブロモジフェニルエーテルの製造輸入量等 (トン) 年 1997 1998 1999 2000 2001

製造量 1150 1130 1110 1150 1030

輸入量 4640 3270 3620 2810 1450

輸出量 310 490 720 630 490

国内供給量 5480 3910 4010 3330 1990

(製品評価技術基盤機構 2003)

42 用途情報

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に使われ60が電子機器関連

30が繊維関連5が輸送関連5が建築関連に使用される (製品評価技術基盤機構 2003)

3

43 排出源情報

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源

化学物質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出

量の集計結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下2001 年度 PRTR データ) によるとデカ

ブロモジフェニルエーテルは 1 年間に全国合計で届出事業者から大気へ 3 トン公共用水域へ

1 トン排出され廃棄物として 87 トン下水道に 3 トン移動している土壌への排出はない

届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計されていない

a 届出対象業種からの排出量と移動量

2001 年度 PRTR データに基づきデカブロモジフェニルエーテルの対象業種別の環境 (大気

水域土壌) への排出量と移動量を表 4-2 に示したなお届出外対象業種からの排出量は推

計されていない (経済産業省 環境省 2003a)

表 4-2 デカブロモジフェニルエーテルの届出対象業種別の環境媒体への排出量等 (トン年) 届出

排出量 移動量 届出排出量合計

業種名

大気 水域 土壌 下水道 廃棄物 排出計 割合

()

化学工業 3 0 0 <05 30 3 75

繊維工業 0 1 0 3 35 1 25

非鉄金属製造業 0 0 0 0 9 0 0

プラスチック製品製造業 0 0 0 0 7 0 0

衣服その他の繊維製品製造業 0 0 0 0 4 0 0

パルプ紙紙加工品製造業 0 0 0 0 1 0 0

輸送用機械器具製造業 0 0 0 0 1 0 0

電気機械器具製造業 0 0 0 0 <05 0 0

合計 3 1 0 3 87 4 100

(経済産業省 環境省 2003a) 05 トン未満の移動量はすべて「<05」と表記した

なおデカブロモジフェニルエーテルを製造する段階でのデカブロモジフェニルエーテルの

排出原単位はゼロである (日本化学工業協会 2002a) ことから2001 年度 PRTR データに基づ

く届出対象業種からの排出量はすべてデカブロモジフェニルエーテルを使用する段階での排

出と考えられる (製品評価技術基盤機構 2004)

4

b 非対象業種家庭及び移動体からの排出量

2001 年度 PRTR データではデカブロモジフェニルエーテルの非対象業種家庭及び移動体

からの排出量は推計対象となっていない (経済産業省 環境省 2003b)

432 その他の排出源

2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外のデカブロモジフェニルエーテルの排出源

として海外ではポリマー製品から揮発ポリマー製品及び繊維製品からダストとしての排

出洗濯による繊維製品からの浸出があると報告されている (EU 2002)それぞれの排出率を

表 4-3 に示した

表 4-3 デカブロモジフェニルエーテルの製品からの年間排出率 製品種類 排出形態 排出段階 年間排出率 ()1)

揮発 製品使用時 0038 製品使用時 (屋外) 2 ポリマー製品

ダスト 破砕処分時 2

浸出 洗濯時 無視 繊維製品

ダスト 破砕処分時 2 (EU 2002) 1) 製品中のデカブロモジフェニルエーテル含有量に対するデカブロモジフェニル

エーテル排出割合を示す

しかしながら表 4-3 に示した排出率のうち「ポリマー製品使用時の揮発」「繊維製品洗濯

時の浸出」についてはその割合が極めて低いと考えられることまた「ポリマー製品使用時

(屋外) のダスト発生」はポリマー製品の屋外使用割合が不明なことを考慮し本評価書では

これらの排出量を考慮しないなおポリマー製品及び繊維製品の破砕処分時に発生するダス

トはすべて処理され環境中への排出はないと仮定した

44 排出経路の推定

デカブロモジフェニルエーテルはすべて難燃剤として使用されているという用途情報及び

2001 年度 PRTR データ等から判断して主たる排出経路はデカブロモジフェニルエーテルを

難燃剤として樹脂や繊維に配合する段階からの排出と考えられる製品からの排出量はわずか

と考えられるため排出量としては考慮しない

デカブロモジフェニルエーテルの放出シナリオとして1 年間に全国で大気へ 3 トン水域

へ 1 トン排出されると推定したただし廃棄物としての移動量及び下水道への移動量につい

ては各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない

5環境中運命

51 大気中での安定性

a OH ラジカルとの反応性

対流圏大気中ではデカブロモジフェニルエーテルと OH ラジカルとの反応速度定数が 34

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

(文献検索時期2002 年 4 月1))

ABC (2001) Effects of decabromodiphenyl oxide on the survival and reproduction of the earthworm

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BASF (1984b) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83

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Great Lakes Chemical (1974c) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Acute inhalation toxicity in the male

Albino rat Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974d) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary skin irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 5: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

v

62 環境中濃度 7 621 環境中濃度の測定結果 7 622 環境中濃度の推定 9

63 水生生物生息環境における推定環境濃度 10 64 ヒトへの暴露シナリオ 11

641 環境経由の暴露 11 642 消費者製品経由の暴露 11

65 推定摂取量 11

7 環境中の生物への影響 12 71 水生生物に対する影響 12

711 微生物に対する毒性 12 712 藻類に対する毒性 12 713 無脊椎動物に対する毒性 12 714 魚類に対する毒性 12 715 その他の水生生物に対する毒性 13 716 底生生物に対する毒性 13

72 陸生生物に対する影響 14 721 微生物に対する毒性 14 722 植物に対する毒性 14 723 動物に対する毒性 14

73 環境中の生物への影響 (まとめ) 14

8 ヒト健康への影響 15 81 生体内運命 15 82 疫学調査及び事例 16 83 実験動物に対する毒性 18

831 急性毒性 18 832 刺激性及び腐食性 18 833 感作性 20 834 反復投与毒性 20 835 生殖発生毒性 22 836 遺伝毒性 23 837 発がん性 25

84 ヒト健康への影響 (まとめ) 27

9 リスク評価 27 91 環境中の生物に対するリスク評価 27

911 リスク評価に用いる推定環境濃度 28

vi

912 リスク評価に用いる無影響濃度 28 913 暴露マージンの算出 28 914 環境中の生物に対するリスク評価結果 28

92 ヒト健康に対するリスク評価 28 921 ヒトの推定摂取量 28 922 リスク評価に用いる無毒性量 29 923 暴露マージンの算出 29 924 ヒト健康に対するリスク評価結果 30

文 献 31

1

1化学物質の同定情報 11 物質名 デカブロモジフェニルエーテル 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 3-2846 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1-197 14 CAS登録番号 1163-19-5 15 構造式

16 分子式

C12Br10O

17 分子量

9592

2一般情報

21 別 名

デカブロモジフェニルオキシドビス(ペンタブロモフェニール)エーテルDBDPO

22 純 度

99以上 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

23 不純物

ノナブロモジフェニルエーテルオクタブロモジフェニルエーテル (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

24 添加剤又は安定剤

無添加 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

25 現在の我が国における法規制

化学物質排出把握管理促進法第一種指定化学物質

化学物質審査規制法指定化学物質 (第二種監視化学物質)

3物理化学的性状

外 観白色~灰白色固体 (USNLMHSDB 2001)

融 点305 (USNLMHSDB 2001)

沸 点425で分解 (化学物質評価研究機構 2002)

引 火 点データなし

Br

Br

Br Br

O

Br Br

BrBr

Br

Br

2

発 火 点データなし

爆 発 限 界データなし

比 重30 (詳細不明) (USNLMHSDB 2001)

蒸 気 密 度331 (空気 = 1)

蒸 気 圧lt10-4 Pa (20推定値) (EU IUCLID 2000)

分 配 係 数オクタノール水分配係数 log Kow = 101 (測定値) (化学物質評価研究機構 2001a)

1211 (推定値) (SRCKowWin 2003)

解 離 定 数解離基なし スペクトル主要マススペクトルフラグメントデータなし 吸 脱 着 性土壌吸着係数 Koc = 41times105 (推定値) (SRCPcKocWin 2003) 溶 解 性水00001 mgL (25) (SRCPhysProp 2002)

アセトン05 gkgベンゼン48 gkgo-キシレン87 gkg (Norris et al 1973) ヘ ン リ ー定 数121times10-3 Pam3mol (119times10-8 atmm3mol) (25推定値)

(SRCHenryWin 2002)

換 算 係 数(気相20) 1 ppm = 3990 mgm31 mgm3 = 0025 ppm

そ の 他400~800に加熱するとポリ臭素化ジベンゾジオキシン類が生成することが

ある (化学物質評価研究機構 2002)

4発生源情報

41 製造輸入量等

デカブロモジフェニルエーテルの 2001 年度の製造輸入量は 2323 トンと報告されている

(経済産業省 2003)

また別途調査したところデカブロモジフェニルエーテルの 1997 年から 2001 年までの 5

年間の製造量輸入量等は表 4-1 の通りであった (製品評価技術基盤機構 2003)輸入量は減

少傾向にある

表 4-1 デカブロモジフェニルエーテルの製造輸入量等 (トン) 年 1997 1998 1999 2000 2001

製造量 1150 1130 1110 1150 1030

輸入量 4640 3270 3620 2810 1450

輸出量 310 490 720 630 490

国内供給量 5480 3910 4010 3330 1990

(製品評価技術基盤機構 2003)

42 用途情報

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に使われ60が電子機器関連

30が繊維関連5が輸送関連5が建築関連に使用される (製品評価技術基盤機構 2003)

3

43 排出源情報

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源

化学物質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出

量の集計結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下2001 年度 PRTR データ) によるとデカ

ブロモジフェニルエーテルは 1 年間に全国合計で届出事業者から大気へ 3 トン公共用水域へ

1 トン排出され廃棄物として 87 トン下水道に 3 トン移動している土壌への排出はない

届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計されていない

a 届出対象業種からの排出量と移動量

2001 年度 PRTR データに基づきデカブロモジフェニルエーテルの対象業種別の環境 (大気

水域土壌) への排出量と移動量を表 4-2 に示したなお届出外対象業種からの排出量は推

計されていない (経済産業省 環境省 2003a)

表 4-2 デカブロモジフェニルエーテルの届出対象業種別の環境媒体への排出量等 (トン年) 届出

排出量 移動量 届出排出量合計

業種名

大気 水域 土壌 下水道 廃棄物 排出計 割合

()

化学工業 3 0 0 <05 30 3 75

繊維工業 0 1 0 3 35 1 25

非鉄金属製造業 0 0 0 0 9 0 0

プラスチック製品製造業 0 0 0 0 7 0 0

衣服その他の繊維製品製造業 0 0 0 0 4 0 0

パルプ紙紙加工品製造業 0 0 0 0 1 0 0

輸送用機械器具製造業 0 0 0 0 1 0 0

電気機械器具製造業 0 0 0 0 <05 0 0

合計 3 1 0 3 87 4 100

(経済産業省 環境省 2003a) 05 トン未満の移動量はすべて「<05」と表記した

なおデカブロモジフェニルエーテルを製造する段階でのデカブロモジフェニルエーテルの

排出原単位はゼロである (日本化学工業協会 2002a) ことから2001 年度 PRTR データに基づ

く届出対象業種からの排出量はすべてデカブロモジフェニルエーテルを使用する段階での排

出と考えられる (製品評価技術基盤機構 2004)

4

b 非対象業種家庭及び移動体からの排出量

2001 年度 PRTR データではデカブロモジフェニルエーテルの非対象業種家庭及び移動体

からの排出量は推計対象となっていない (経済産業省 環境省 2003b)

432 その他の排出源

2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外のデカブロモジフェニルエーテルの排出源

として海外ではポリマー製品から揮発ポリマー製品及び繊維製品からダストとしての排

出洗濯による繊維製品からの浸出があると報告されている (EU 2002)それぞれの排出率を

表 4-3 に示した

表 4-3 デカブロモジフェニルエーテルの製品からの年間排出率 製品種類 排出形態 排出段階 年間排出率 ()1)

揮発 製品使用時 0038 製品使用時 (屋外) 2 ポリマー製品

ダスト 破砕処分時 2

浸出 洗濯時 無視 繊維製品

ダスト 破砕処分時 2 (EU 2002) 1) 製品中のデカブロモジフェニルエーテル含有量に対するデカブロモジフェニル

エーテル排出割合を示す

しかしながら表 4-3 に示した排出率のうち「ポリマー製品使用時の揮発」「繊維製品洗濯

時の浸出」についてはその割合が極めて低いと考えられることまた「ポリマー製品使用時

(屋外) のダスト発生」はポリマー製品の屋外使用割合が不明なことを考慮し本評価書では

これらの排出量を考慮しないなおポリマー製品及び繊維製品の破砕処分時に発生するダス

トはすべて処理され環境中への排出はないと仮定した

44 排出経路の推定

デカブロモジフェニルエーテルはすべて難燃剤として使用されているという用途情報及び

2001 年度 PRTR データ等から判断して主たる排出経路はデカブロモジフェニルエーテルを

難燃剤として樹脂や繊維に配合する段階からの排出と考えられる製品からの排出量はわずか

と考えられるため排出量としては考慮しない

デカブロモジフェニルエーテルの放出シナリオとして1 年間に全国で大気へ 3 トン水域

へ 1 トン排出されると推定したただし廃棄物としての移動量及び下水道への移動量につい

ては各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない

5環境中運命

51 大気中での安定性

a OH ラジカルとの反応性

対流圏大気中ではデカブロモジフェニルエーテルと OH ラジカルとの反応速度定数が 34

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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BASF (1984b) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83

with cover letter dated 031290 Huntingdon Research EPA Doc ID 86-900000368

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 6: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

vi

912 リスク評価に用いる無影響濃度 28 913 暴露マージンの算出 28 914 環境中の生物に対するリスク評価結果 28

92 ヒト健康に対するリスク評価 28 921 ヒトの推定摂取量 28 922 リスク評価に用いる無毒性量 29 923 暴露マージンの算出 29 924 ヒト健康に対するリスク評価結果 30

文 献 31

1

1化学物質の同定情報 11 物質名 デカブロモジフェニルエーテル 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 3-2846 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1-197 14 CAS登録番号 1163-19-5 15 構造式

16 分子式

C12Br10O

17 分子量

9592

2一般情報

21 別 名

デカブロモジフェニルオキシドビス(ペンタブロモフェニール)エーテルDBDPO

22 純 度

99以上 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

23 不純物

ノナブロモジフェニルエーテルオクタブロモジフェニルエーテル (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

24 添加剤又は安定剤

無添加 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

25 現在の我が国における法規制

化学物質排出把握管理促進法第一種指定化学物質

化学物質審査規制法指定化学物質 (第二種監視化学物質)

3物理化学的性状

外 観白色~灰白色固体 (USNLMHSDB 2001)

融 点305 (USNLMHSDB 2001)

沸 点425で分解 (化学物質評価研究機構 2002)

引 火 点データなし

Br

Br

Br Br

O

Br Br

BrBr

Br

Br

2

発 火 点データなし

爆 発 限 界データなし

比 重30 (詳細不明) (USNLMHSDB 2001)

蒸 気 密 度331 (空気 = 1)

蒸 気 圧lt10-4 Pa (20推定値) (EU IUCLID 2000)

分 配 係 数オクタノール水分配係数 log Kow = 101 (測定値) (化学物質評価研究機構 2001a)

1211 (推定値) (SRCKowWin 2003)

解 離 定 数解離基なし スペクトル主要マススペクトルフラグメントデータなし 吸 脱 着 性土壌吸着係数 Koc = 41times105 (推定値) (SRCPcKocWin 2003) 溶 解 性水00001 mgL (25) (SRCPhysProp 2002)

アセトン05 gkgベンゼン48 gkgo-キシレン87 gkg (Norris et al 1973) ヘ ン リ ー定 数121times10-3 Pam3mol (119times10-8 atmm3mol) (25推定値)

(SRCHenryWin 2002)

換 算 係 数(気相20) 1 ppm = 3990 mgm31 mgm3 = 0025 ppm

そ の 他400~800に加熱するとポリ臭素化ジベンゾジオキシン類が生成することが

ある (化学物質評価研究機構 2002)

4発生源情報

41 製造輸入量等

デカブロモジフェニルエーテルの 2001 年度の製造輸入量は 2323 トンと報告されている

(経済産業省 2003)

また別途調査したところデカブロモジフェニルエーテルの 1997 年から 2001 年までの 5

年間の製造量輸入量等は表 4-1 の通りであった (製品評価技術基盤機構 2003)輸入量は減

少傾向にある

表 4-1 デカブロモジフェニルエーテルの製造輸入量等 (トン) 年 1997 1998 1999 2000 2001

製造量 1150 1130 1110 1150 1030

輸入量 4640 3270 3620 2810 1450

輸出量 310 490 720 630 490

国内供給量 5480 3910 4010 3330 1990

(製品評価技術基盤機構 2003)

42 用途情報

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に使われ60が電子機器関連

30が繊維関連5が輸送関連5が建築関連に使用される (製品評価技術基盤機構 2003)

3

43 排出源情報

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源

化学物質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出

量の集計結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下2001 年度 PRTR データ) によるとデカ

ブロモジフェニルエーテルは 1 年間に全国合計で届出事業者から大気へ 3 トン公共用水域へ

1 トン排出され廃棄物として 87 トン下水道に 3 トン移動している土壌への排出はない

届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計されていない

a 届出対象業種からの排出量と移動量

2001 年度 PRTR データに基づきデカブロモジフェニルエーテルの対象業種別の環境 (大気

水域土壌) への排出量と移動量を表 4-2 に示したなお届出外対象業種からの排出量は推

計されていない (経済産業省 環境省 2003a)

表 4-2 デカブロモジフェニルエーテルの届出対象業種別の環境媒体への排出量等 (トン年) 届出

排出量 移動量 届出排出量合計

業種名

大気 水域 土壌 下水道 廃棄物 排出計 割合

()

化学工業 3 0 0 <05 30 3 75

繊維工業 0 1 0 3 35 1 25

非鉄金属製造業 0 0 0 0 9 0 0

プラスチック製品製造業 0 0 0 0 7 0 0

衣服その他の繊維製品製造業 0 0 0 0 4 0 0

パルプ紙紙加工品製造業 0 0 0 0 1 0 0

輸送用機械器具製造業 0 0 0 0 1 0 0

電気機械器具製造業 0 0 0 0 <05 0 0

合計 3 1 0 3 87 4 100

(経済産業省 環境省 2003a) 05 トン未満の移動量はすべて「<05」と表記した

なおデカブロモジフェニルエーテルを製造する段階でのデカブロモジフェニルエーテルの

排出原単位はゼロである (日本化学工業協会 2002a) ことから2001 年度 PRTR データに基づ

く届出対象業種からの排出量はすべてデカブロモジフェニルエーテルを使用する段階での排

出と考えられる (製品評価技術基盤機構 2004)

4

b 非対象業種家庭及び移動体からの排出量

2001 年度 PRTR データではデカブロモジフェニルエーテルの非対象業種家庭及び移動体

からの排出量は推計対象となっていない (経済産業省 環境省 2003b)

432 その他の排出源

2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外のデカブロモジフェニルエーテルの排出源

として海外ではポリマー製品から揮発ポリマー製品及び繊維製品からダストとしての排

出洗濯による繊維製品からの浸出があると報告されている (EU 2002)それぞれの排出率を

表 4-3 に示した

表 4-3 デカブロモジフェニルエーテルの製品からの年間排出率 製品種類 排出形態 排出段階 年間排出率 ()1)

揮発 製品使用時 0038 製品使用時 (屋外) 2 ポリマー製品

ダスト 破砕処分時 2

浸出 洗濯時 無視 繊維製品

ダスト 破砕処分時 2 (EU 2002) 1) 製品中のデカブロモジフェニルエーテル含有量に対するデカブロモジフェニル

エーテル排出割合を示す

しかしながら表 4-3 に示した排出率のうち「ポリマー製品使用時の揮発」「繊維製品洗濯

時の浸出」についてはその割合が極めて低いと考えられることまた「ポリマー製品使用時

(屋外) のダスト発生」はポリマー製品の屋外使用割合が不明なことを考慮し本評価書では

これらの排出量を考慮しないなおポリマー製品及び繊維製品の破砕処分時に発生するダス

トはすべて処理され環境中への排出はないと仮定した

44 排出経路の推定

デカブロモジフェニルエーテルはすべて難燃剤として使用されているという用途情報及び

2001 年度 PRTR データ等から判断して主たる排出経路はデカブロモジフェニルエーテルを

難燃剤として樹脂や繊維に配合する段階からの排出と考えられる製品からの排出量はわずか

と考えられるため排出量としては考慮しない

デカブロモジフェニルエーテルの放出シナリオとして1 年間に全国で大気へ 3 トン水域

へ 1 トン排出されると推定したただし廃棄物としての移動量及び下水道への移動量につい

ては各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない

5環境中運命

51 大気中での安定性

a OH ラジカルとの反応性

対流圏大気中ではデカブロモジフェニルエーテルと OH ラジカルとの反応速度定数が 34

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

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経済産業省 環境省 (2003b) 平成 13 年度 PRTR 届出外排出量の推計方法等の概要

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkohyotodokedegaisanshutudatahtm に

記載あり)

産業技術総合研究所(2003) 化学物質リスク管理研究センター第一回技術講習会テキスト産

総研―曝露リスク評価大気拡散モデル (AIST-ADMER モデル)

製品評価技術基盤機構 (2003) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

製品評価技術基盤機構 (2004) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 15 年度研究報告書 平成 15 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

通商産業省 (1992) 通商産業省基礎産業局化学品安全課 監修 化審法既存化学物質安全点検デ

ータ集 日本化学物質安全情報センター (製品評価技術基盤機構 化学物質管理情報

(httpwwwnitegojp から引用)

36

通商産業省 (1978)通商産業省公報 (1978 年 12 月 16 日) 製品評価技術基盤機構化学物質管理情

報 (httpwwwnitegojp から引用)

日本化学工業協会 (2002a) (社) 日本化学工業協会のレスポンシブルケアによる PRTR の実施

について-2002 年度化学物質排出量調査結果- (2001 年度実績)

日本化学工業協会 (2002b) PRTR 対象物質 簡易評価システム version20

日本産業衛生学会 (2002) 許容濃度等の勧告 産業衛生学雑誌 44 140-164

日本食品分析センター (1999) 平成 10 年度 食事中ダイオキシン類等の化学物質暴露量に関す

る調査 (II) (環境庁委託業務)

廃棄物研究財団 (2003) 化学物質の循環廃棄過程における制御方法に関する研究

(httpwwwjwrforjpshowcaseに記載あり)

東野晴行 北林興二 井上和也 米澤義尭 (2003) 暴露リスク評価大気拡散モデル (ADMER)

の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 7: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

1

1化学物質の同定情報 11 物質名 デカブロモジフェニルエーテル 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号 3-2846 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 1-197 14 CAS登録番号 1163-19-5 15 構造式

16 分子式

C12Br10O

17 分子量

9592

2一般情報

21 別 名

デカブロモジフェニルオキシドビス(ペンタブロモフェニール)エーテルDBDPO

22 純 度

99以上 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

23 不純物

ノナブロモジフェニルエーテルオクタブロモジフェニルエーテル (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

24 添加剤又は安定剤

無添加 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構 2002)

25 現在の我が国における法規制

化学物質排出把握管理促進法第一種指定化学物質

化学物質審査規制法指定化学物質 (第二種監視化学物質)

3物理化学的性状

外 観白色~灰白色固体 (USNLMHSDB 2001)

融 点305 (USNLMHSDB 2001)

沸 点425で分解 (化学物質評価研究機構 2002)

引 火 点データなし

Br

Br

Br Br

O

Br Br

BrBr

Br

Br

2

発 火 点データなし

爆 発 限 界データなし

比 重30 (詳細不明) (USNLMHSDB 2001)

蒸 気 密 度331 (空気 = 1)

蒸 気 圧lt10-4 Pa (20推定値) (EU IUCLID 2000)

分 配 係 数オクタノール水分配係数 log Kow = 101 (測定値) (化学物質評価研究機構 2001a)

1211 (推定値) (SRCKowWin 2003)

解 離 定 数解離基なし スペクトル主要マススペクトルフラグメントデータなし 吸 脱 着 性土壌吸着係数 Koc = 41times105 (推定値) (SRCPcKocWin 2003) 溶 解 性水00001 mgL (25) (SRCPhysProp 2002)

アセトン05 gkgベンゼン48 gkgo-キシレン87 gkg (Norris et al 1973) ヘ ン リ ー定 数121times10-3 Pam3mol (119times10-8 atmm3mol) (25推定値)

(SRCHenryWin 2002)

換 算 係 数(気相20) 1 ppm = 3990 mgm31 mgm3 = 0025 ppm

そ の 他400~800に加熱するとポリ臭素化ジベンゾジオキシン類が生成することが

ある (化学物質評価研究機構 2002)

4発生源情報

41 製造輸入量等

デカブロモジフェニルエーテルの 2001 年度の製造輸入量は 2323 トンと報告されている

(経済産業省 2003)

また別途調査したところデカブロモジフェニルエーテルの 1997 年から 2001 年までの 5

年間の製造量輸入量等は表 4-1 の通りであった (製品評価技術基盤機構 2003)輸入量は減

少傾向にある

表 4-1 デカブロモジフェニルエーテルの製造輸入量等 (トン) 年 1997 1998 1999 2000 2001

製造量 1150 1130 1110 1150 1030

輸入量 4640 3270 3620 2810 1450

輸出量 310 490 720 630 490

国内供給量 5480 3910 4010 3330 1990

(製品評価技術基盤機構 2003)

42 用途情報

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に使われ60が電子機器関連

30が繊維関連5が輸送関連5が建築関連に使用される (製品評価技術基盤機構 2003)

3

43 排出源情報

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源

化学物質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出

量の集計結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下2001 年度 PRTR データ) によるとデカ

ブロモジフェニルエーテルは 1 年間に全国合計で届出事業者から大気へ 3 トン公共用水域へ

1 トン排出され廃棄物として 87 トン下水道に 3 トン移動している土壌への排出はない

届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計されていない

a 届出対象業種からの排出量と移動量

2001 年度 PRTR データに基づきデカブロモジフェニルエーテルの対象業種別の環境 (大気

水域土壌) への排出量と移動量を表 4-2 に示したなお届出外対象業種からの排出量は推

計されていない (経済産業省 環境省 2003a)

表 4-2 デカブロモジフェニルエーテルの届出対象業種別の環境媒体への排出量等 (トン年) 届出

排出量 移動量 届出排出量合計

業種名

大気 水域 土壌 下水道 廃棄物 排出計 割合

()

化学工業 3 0 0 <05 30 3 75

繊維工業 0 1 0 3 35 1 25

非鉄金属製造業 0 0 0 0 9 0 0

プラスチック製品製造業 0 0 0 0 7 0 0

衣服その他の繊維製品製造業 0 0 0 0 4 0 0

パルプ紙紙加工品製造業 0 0 0 0 1 0 0

輸送用機械器具製造業 0 0 0 0 1 0 0

電気機械器具製造業 0 0 0 0 <05 0 0

合計 3 1 0 3 87 4 100

(経済産業省 環境省 2003a) 05 トン未満の移動量はすべて「<05」と表記した

なおデカブロモジフェニルエーテルを製造する段階でのデカブロモジフェニルエーテルの

排出原単位はゼロである (日本化学工業協会 2002a) ことから2001 年度 PRTR データに基づ

く届出対象業種からの排出量はすべてデカブロモジフェニルエーテルを使用する段階での排

出と考えられる (製品評価技術基盤機構 2004)

4

b 非対象業種家庭及び移動体からの排出量

2001 年度 PRTR データではデカブロモジフェニルエーテルの非対象業種家庭及び移動体

からの排出量は推計対象となっていない (経済産業省 環境省 2003b)

432 その他の排出源

2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外のデカブロモジフェニルエーテルの排出源

として海外ではポリマー製品から揮発ポリマー製品及び繊維製品からダストとしての排

出洗濯による繊維製品からの浸出があると報告されている (EU 2002)それぞれの排出率を

表 4-3 に示した

表 4-3 デカブロモジフェニルエーテルの製品からの年間排出率 製品種類 排出形態 排出段階 年間排出率 ()1)

揮発 製品使用時 0038 製品使用時 (屋外) 2 ポリマー製品

ダスト 破砕処分時 2

浸出 洗濯時 無視 繊維製品

ダスト 破砕処分時 2 (EU 2002) 1) 製品中のデカブロモジフェニルエーテル含有量に対するデカブロモジフェニル

エーテル排出割合を示す

しかしながら表 4-3 に示した排出率のうち「ポリマー製品使用時の揮発」「繊維製品洗濯

時の浸出」についてはその割合が極めて低いと考えられることまた「ポリマー製品使用時

(屋外) のダスト発生」はポリマー製品の屋外使用割合が不明なことを考慮し本評価書では

これらの排出量を考慮しないなおポリマー製品及び繊維製品の破砕処分時に発生するダス

トはすべて処理され環境中への排出はないと仮定した

44 排出経路の推定

デカブロモジフェニルエーテルはすべて難燃剤として使用されているという用途情報及び

2001 年度 PRTR データ等から判断して主たる排出経路はデカブロモジフェニルエーテルを

難燃剤として樹脂や繊維に配合する段階からの排出と考えられる製品からの排出量はわずか

と考えられるため排出量としては考慮しない

デカブロモジフェニルエーテルの放出シナリオとして1 年間に全国で大気へ 3 トン水域

へ 1 トン排出されると推定したただし廃棄物としての移動量及び下水道への移動量につい

ては各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない

5環境中運命

51 大気中での安定性

a OH ラジカルとの反応性

対流圏大気中ではデカブロモジフェニルエーテルと OH ラジカルとの反応速度定数が 34

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 8: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

2

発 火 点データなし

爆 発 限 界データなし

比 重30 (詳細不明) (USNLMHSDB 2001)

蒸 気 密 度331 (空気 = 1)

蒸 気 圧lt10-4 Pa (20推定値) (EU IUCLID 2000)

分 配 係 数オクタノール水分配係数 log Kow = 101 (測定値) (化学物質評価研究機構 2001a)

1211 (推定値) (SRCKowWin 2003)

解 離 定 数解離基なし スペクトル主要マススペクトルフラグメントデータなし 吸 脱 着 性土壌吸着係数 Koc = 41times105 (推定値) (SRCPcKocWin 2003) 溶 解 性水00001 mgL (25) (SRCPhysProp 2002)

アセトン05 gkgベンゼン48 gkgo-キシレン87 gkg (Norris et al 1973) ヘ ン リ ー定 数121times10-3 Pam3mol (119times10-8 atmm3mol) (25推定値)

(SRCHenryWin 2002)

換 算 係 数(気相20) 1 ppm = 3990 mgm31 mgm3 = 0025 ppm

そ の 他400~800に加熱するとポリ臭素化ジベンゾジオキシン類が生成することが

ある (化学物質評価研究機構 2002)

4発生源情報

41 製造輸入量等

デカブロモジフェニルエーテルの 2001 年度の製造輸入量は 2323 トンと報告されている

(経済産業省 2003)

また別途調査したところデカブロモジフェニルエーテルの 1997 年から 2001 年までの 5

年間の製造量輸入量等は表 4-1 の通りであった (製品評価技術基盤機構 2003)輸入量は減

少傾向にある

表 4-1 デカブロモジフェニルエーテルの製造輸入量等 (トン) 年 1997 1998 1999 2000 2001

製造量 1150 1130 1110 1150 1030

輸入量 4640 3270 3620 2810 1450

輸出量 310 490 720 630 490

国内供給量 5480 3910 4010 3330 1990

(製品評価技術基盤機構 2003)

42 用途情報

デカブロモジフェニルエーテルは配合原料として難燃剤に使われ60が電子機器関連

30が繊維関連5が輸送関連5が建築関連に使用される (製品評価技術基盤機構 2003)

3

43 排出源情報

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源

化学物質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出

量の集計結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下2001 年度 PRTR データ) によるとデカ

ブロモジフェニルエーテルは 1 年間に全国合計で届出事業者から大気へ 3 トン公共用水域へ

1 トン排出され廃棄物として 87 トン下水道に 3 トン移動している土壌への排出はない

届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計されていない

a 届出対象業種からの排出量と移動量

2001 年度 PRTR データに基づきデカブロモジフェニルエーテルの対象業種別の環境 (大気

水域土壌) への排出量と移動量を表 4-2 に示したなお届出外対象業種からの排出量は推

計されていない (経済産業省 環境省 2003a)

表 4-2 デカブロモジフェニルエーテルの届出対象業種別の環境媒体への排出量等 (トン年) 届出

排出量 移動量 届出排出量合計

業種名

大気 水域 土壌 下水道 廃棄物 排出計 割合

()

化学工業 3 0 0 <05 30 3 75

繊維工業 0 1 0 3 35 1 25

非鉄金属製造業 0 0 0 0 9 0 0

プラスチック製品製造業 0 0 0 0 7 0 0

衣服その他の繊維製品製造業 0 0 0 0 4 0 0

パルプ紙紙加工品製造業 0 0 0 0 1 0 0

輸送用機械器具製造業 0 0 0 0 1 0 0

電気機械器具製造業 0 0 0 0 <05 0 0

合計 3 1 0 3 87 4 100

(経済産業省 環境省 2003a) 05 トン未満の移動量はすべて「<05」と表記した

なおデカブロモジフェニルエーテルを製造する段階でのデカブロモジフェニルエーテルの

排出原単位はゼロである (日本化学工業協会 2002a) ことから2001 年度 PRTR データに基づ

く届出対象業種からの排出量はすべてデカブロモジフェニルエーテルを使用する段階での排

出と考えられる (製品評価技術基盤機構 2004)

4

b 非対象業種家庭及び移動体からの排出量

2001 年度 PRTR データではデカブロモジフェニルエーテルの非対象業種家庭及び移動体

からの排出量は推計対象となっていない (経済産業省 環境省 2003b)

432 その他の排出源

2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外のデカブロモジフェニルエーテルの排出源

として海外ではポリマー製品から揮発ポリマー製品及び繊維製品からダストとしての排

出洗濯による繊維製品からの浸出があると報告されている (EU 2002)それぞれの排出率を

表 4-3 に示した

表 4-3 デカブロモジフェニルエーテルの製品からの年間排出率 製品種類 排出形態 排出段階 年間排出率 ()1)

揮発 製品使用時 0038 製品使用時 (屋外) 2 ポリマー製品

ダスト 破砕処分時 2

浸出 洗濯時 無視 繊維製品

ダスト 破砕処分時 2 (EU 2002) 1) 製品中のデカブロモジフェニルエーテル含有量に対するデカブロモジフェニル

エーテル排出割合を示す

しかしながら表 4-3 に示した排出率のうち「ポリマー製品使用時の揮発」「繊維製品洗濯

時の浸出」についてはその割合が極めて低いと考えられることまた「ポリマー製品使用時

(屋外) のダスト発生」はポリマー製品の屋外使用割合が不明なことを考慮し本評価書では

これらの排出量を考慮しないなおポリマー製品及び繊維製品の破砕処分時に発生するダス

トはすべて処理され環境中への排出はないと仮定した

44 排出経路の推定

デカブロモジフェニルエーテルはすべて難燃剤として使用されているという用途情報及び

2001 年度 PRTR データ等から判断して主たる排出経路はデカブロモジフェニルエーテルを

難燃剤として樹脂や繊維に配合する段階からの排出と考えられる製品からの排出量はわずか

と考えられるため排出量としては考慮しない

デカブロモジフェニルエーテルの放出シナリオとして1 年間に全国で大気へ 3 トン水域

へ 1 トン排出されると推定したただし廃棄物としての移動量及び下水道への移動量につい

ては各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない

5環境中運命

51 大気中での安定性

a OH ラジカルとの反応性

対流圏大気中ではデカブロモジフェニルエーテルと OH ラジカルとの反応速度定数が 34

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

(文献検索時期2002 年 4 月1))

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BASF (1984b) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 9: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

3

43 排出源情報

431 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源

化学物質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出

量の集計結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下2001 年度 PRTR データ) によるとデカ

ブロモジフェニルエーテルは 1 年間に全国合計で届出事業者から大気へ 3 トン公共用水域へ

1 トン排出され廃棄物として 87 トン下水道に 3 トン移動している土壌への排出はない

届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計されていない

a 届出対象業種からの排出量と移動量

2001 年度 PRTR データに基づきデカブロモジフェニルエーテルの対象業種別の環境 (大気

水域土壌) への排出量と移動量を表 4-2 に示したなお届出外対象業種からの排出量は推

計されていない (経済産業省 環境省 2003a)

表 4-2 デカブロモジフェニルエーテルの届出対象業種別の環境媒体への排出量等 (トン年) 届出

排出量 移動量 届出排出量合計

業種名

大気 水域 土壌 下水道 廃棄物 排出計 割合

()

化学工業 3 0 0 <05 30 3 75

繊維工業 0 1 0 3 35 1 25

非鉄金属製造業 0 0 0 0 9 0 0

プラスチック製品製造業 0 0 0 0 7 0 0

衣服その他の繊維製品製造業 0 0 0 0 4 0 0

パルプ紙紙加工品製造業 0 0 0 0 1 0 0

輸送用機械器具製造業 0 0 0 0 1 0 0

電気機械器具製造業 0 0 0 0 <05 0 0

合計 3 1 0 3 87 4 100

(経済産業省 環境省 2003a) 05 トン未満の移動量はすべて「<05」と表記した

なおデカブロモジフェニルエーテルを製造する段階でのデカブロモジフェニルエーテルの

排出原単位はゼロである (日本化学工業協会 2002a) ことから2001 年度 PRTR データに基づ

く届出対象業種からの排出量はすべてデカブロモジフェニルエーテルを使用する段階での排

出と考えられる (製品評価技術基盤機構 2004)

4

b 非対象業種家庭及び移動体からの排出量

2001 年度 PRTR データではデカブロモジフェニルエーテルの非対象業種家庭及び移動体

からの排出量は推計対象となっていない (経済産業省 環境省 2003b)

432 その他の排出源

2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外のデカブロモジフェニルエーテルの排出源

として海外ではポリマー製品から揮発ポリマー製品及び繊維製品からダストとしての排

出洗濯による繊維製品からの浸出があると報告されている (EU 2002)それぞれの排出率を

表 4-3 に示した

表 4-3 デカブロモジフェニルエーテルの製品からの年間排出率 製品種類 排出形態 排出段階 年間排出率 ()1)

揮発 製品使用時 0038 製品使用時 (屋外) 2 ポリマー製品

ダスト 破砕処分時 2

浸出 洗濯時 無視 繊維製品

ダスト 破砕処分時 2 (EU 2002) 1) 製品中のデカブロモジフェニルエーテル含有量に対するデカブロモジフェニル

エーテル排出割合を示す

しかしながら表 4-3 に示した排出率のうち「ポリマー製品使用時の揮発」「繊維製品洗濯

時の浸出」についてはその割合が極めて低いと考えられることまた「ポリマー製品使用時

(屋外) のダスト発生」はポリマー製品の屋外使用割合が不明なことを考慮し本評価書では

これらの排出量を考慮しないなおポリマー製品及び繊維製品の破砕処分時に発生するダス

トはすべて処理され環境中への排出はないと仮定した

44 排出経路の推定

デカブロモジフェニルエーテルはすべて難燃剤として使用されているという用途情報及び

2001 年度 PRTR データ等から判断して主たる排出経路はデカブロモジフェニルエーテルを

難燃剤として樹脂や繊維に配合する段階からの排出と考えられる製品からの排出量はわずか

と考えられるため排出量としては考慮しない

デカブロモジフェニルエーテルの放出シナリオとして1 年間に全国で大気へ 3 トン水域

へ 1 トン排出されると推定したただし廃棄物としての移動量及び下水道への移動量につい

ては各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない

5環境中運命

51 大気中での安定性

a OH ラジカルとの反応性

対流圏大気中ではデカブロモジフェニルエーテルと OH ラジカルとの反応速度定数が 34

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

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の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 10: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

4

b 非対象業種家庭及び移動体からの排出量

2001 年度 PRTR データではデカブロモジフェニルエーテルの非対象業種家庭及び移動体

からの排出量は推計対象となっていない (経済産業省 環境省 2003b)

432 その他の排出源

2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外のデカブロモジフェニルエーテルの排出源

として海外ではポリマー製品から揮発ポリマー製品及び繊維製品からダストとしての排

出洗濯による繊維製品からの浸出があると報告されている (EU 2002)それぞれの排出率を

表 4-3 に示した

表 4-3 デカブロモジフェニルエーテルの製品からの年間排出率 製品種類 排出形態 排出段階 年間排出率 ()1)

揮発 製品使用時 0038 製品使用時 (屋外) 2 ポリマー製品

ダスト 破砕処分時 2

浸出 洗濯時 無視 繊維製品

ダスト 破砕処分時 2 (EU 2002) 1) 製品中のデカブロモジフェニルエーテル含有量に対するデカブロモジフェニル

エーテル排出割合を示す

しかしながら表 4-3 に示した排出率のうち「ポリマー製品使用時の揮発」「繊維製品洗濯

時の浸出」についてはその割合が極めて低いと考えられることまた「ポリマー製品使用時

(屋外) のダスト発生」はポリマー製品の屋外使用割合が不明なことを考慮し本評価書では

これらの排出量を考慮しないなおポリマー製品及び繊維製品の破砕処分時に発生するダス

トはすべて処理され環境中への排出はないと仮定した

44 排出経路の推定

デカブロモジフェニルエーテルはすべて難燃剤として使用されているという用途情報及び

2001 年度 PRTR データ等から判断して主たる排出経路はデカブロモジフェニルエーテルを

難燃剤として樹脂や繊維に配合する段階からの排出と考えられる製品からの排出量はわずか

と考えられるため排出量としては考慮しない

デカブロモジフェニルエーテルの放出シナリオとして1 年間に全国で大気へ 3 トン水域

へ 1 トン排出されると推定したただし廃棄物としての移動量及び下水道への移動量につい

ては各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない

5環境中運命

51 大気中での安定性

a OH ラジカルとの反応性

対流圏大気中ではデカブロモジフェニルエーテルと OH ラジカルとの反応速度定数が 34

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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32

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化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 11: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

5

times10-14 cm3分子秒 (25測定値) (SRCAopWin 2003) でありOH ラジカル濃度を 5times105~1

times106 分子cm3 とした時の半減期は 1~2 年と計算値される

b オゾンとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルとオゾンとの反応性については調査した範囲内では報告さ

れていない

c 硝酸ラジカルとの反応性

デカブロモジフェニルエーテルと硝酸ラジカルとの反応性については調査した範囲内では

報告されていない

d 直接光分解

デカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の低いジフェニル

エーテルを生じるとの報告がある (USNLMHSDB 2001)

52 水中での安定性

521 非生物的分解性

表層水中ではデカブロモジフェニルエーテルは太陽光により容易に分解され臭素置換数の

低いジフェニルエーテルを生じるとの報告があるしかし加水分解は受け難いと考えられる

(USNLMHSDB 2001)

522 生分解性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づく好気的生分解性試験では

被験物質濃度 100 mgL活性汚泥濃度 30 mgL試験期間 2 週間の条件において生物化学的

酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0であり難分解性と判定されているなおガスクロ

マトグラフ (GC) 測定での分解率も 0であった (通商産業省 1978)

嫌気的生分解性試験においても分解され難いことが報告されている (EU 2002)

523 下水処理による除去

デカブロモジフェニルエーテルの下水処理による除去については調査した範囲内では報告

されていない

53 環境水中での動態

デカブロモジフェニルエーテルは土壌吸着係数 Koc の値 41times105 (3 章参照) から水中の

懸濁物質及び底質に強く吸着されると推定されるデカブロモジフェニルエーテルの水への溶

解度は 01μgL (25) と極めて小さく蒸気圧も 10-4 Pa (20) と極めて小さくヘンリー定

数は 121times10-3 Pam3mol (25) と小さい (3 章参照)

以上及び 52 より環境水中にデカブロモジフェニルエーテルが排出された場合は水に溶

解せず生分解や加水分解されずに懸濁物質に強く吸着されて底質に移行すると推定される

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 12: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

6

揮散によっては除去されないと推定されるなお表層水中では太陽光により臭素が取れて臭

素置換数の低いジフェニルエーテルとなる可能性がある

54 生物濃縮性

デカブロモジフェニルエーテルは化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮

性試験で水中濃度が 60 及び 6μgL における濃縮倍率はそれぞれ 5 未満~52 及び 50 未満で

あり濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省 1976)

また放射性同位体で標識したデカブロモジフェニルエーテルを用いた 48 時間の濃縮性試験

で水中濃度が 20μgL の場合にはニジマスにはほとんど濃縮されなかったとの報告もある

(Norris et al 1974)一方デカブロモジフェニルエーテルの BCF はオクタノール水分配係数

log Kow の値 101 (3 章参照) から 37 と計算されている (SRC BcfWin 2003)分子量が 1000

以上の物質は濃縮され難くLog Kow が 7 を超えるような非常に大きい疎水性化学物質におい

ては生物膜による透過が制限される可能があるとの報告がある (若林 2003)デカブロモジ

フェニルエーテルの分子量は 959 (1章参照) であること水に対する溶解度が 00001 mgL (25

3 章参照)log Kow の値が 101 と非常に大きく疎水性化学物質であることから低い濃縮性を示

したと考えられる

なお生物濃縮性に関する分子量の閾値としては化学物質審査規制法では原則として 800

(ただし多ハロゲン化合物では 1000) (経済産業省 2004)国際機関等では 700~1000 (化学物

質評価研究機構 2003) が提案されている

6暴露評価

61 環境中分布推定

デカブロモジフェニルエーテルが大気水域または土壌のいずれかに定常的に排出されて定

常状態に到達した状態での環境中での分布をフガシティモデルレベル III (Mackay et al 1992)

によって予測した (表 6-1)変動要因として物理化学的性質及び環境中での移動分解速度を

考慮し環境因子は関東地域 100 kmtimes100 km を想定して大気の高さ 1000 m土壌表面積比率

80土壌中平均分布の深さ 20 cm水圏表面積比率 20平均水深 10 m底質層平均深さ 5 cm

とした環境への排出は大気水域及び土壌の各々に個別に排出される 3 つのシナリオを想

定した (化学物質評価研究機構 2001b)

大気に排出された場合は主として土壌に分布し水域に排出された場合は主として底質に分

布しまた土壌に排出された場合は主として土壌に分布すると推定される

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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製品評価技術基盤機構 (2003) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

製品評価技術基盤機構 (2004) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 15 年度研究報告書 平成 15 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

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若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 13: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

7

表 6-1 デカブロモジフェニルエーテルのフガシティモデルレベルIIIによる

環境分布推定結果 分布()

シナリオ 大気 水域 土壌 底質

シナリオ 1 (大気中に 100排出)

01 01 988 11

シナリオ 2 (水域中に 100排出)

00 54 00 946

シナリオ 3 (土壌中に 100排出)

00 00 999 01

(化学物質評価研究機構 2001b)

62 環境中濃度

621 環境中濃度の測定結果

a 大気中の濃度

大気中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の測定結果として 0006~0034 ngm3 が報告さ

れている (環境省 2002)この調査は発生源 (環境排出) の 1 つと考えられる焼却施設の周辺

一般都市地域及び農村地区の 3 種類のカテゴリーの地域ごとに実施された測定結果は焼却施

設周辺 (3 検体) では 0014~0034 ngm3 一般都市地域 (3 検体) では 0014~0020 ngm3農

村地域 (1 検体) で 0006 ngm3 (検出限界) 未満であったこの測定結果の幾何平均は 0014

ngm395 パーセンタイルは 0030 ngm3 となる

b 公共用水域中の濃度

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中濃度については環境庁において水質及び底

質の濃度を調査した結果が報告されている(環境庁 1988 1989 1997)デカブロモジフェニル

エーテルは底質から検出されているが水質からは検出されずデカブロモジフェニルエーテ

ルの土壌や底質への高い吸着性を反映していると考えられる

デカブロモジフェニルエーテルの全国の公共用水域中の濃度について19871988 及び 1996

年度に環境庁が調査している (環境庁 1988 1989 1997)表 6-2に結果を示すそれぞれの年

に 7514133 検体を測定していずれも不検出であったこれらの調査における検出限界はそ

れぞれの年度ごとに 0100602μgL であった

また2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果0000017~

0000058μgL が検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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32

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 14: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

8

表 6-2 デカブロモジフェニルエーテルの河川水中の濃度 調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (μgL) 検出限界 (μgL)

1987 075 (全国) nd 01 1988 0141 (全国) nd 006 1996 033 (全国) nd 02

(環境庁 198819891997) nd 不検出

底質中濃度の調査年度ごとの検出状況を表 6-3に示す底質中濃度の測定について環境省

は 2002 年にも実施している (環境庁 198819891997 環境省 2002)

表 6-3 デカブロモジフェニルエーテルの底質中濃度

調査年度 検出点数測定点数 検出範囲 (mgkg) 検出限界 (mgkg)

1987 1660 001-137 007 1988 39129 0004-6 0004 1996 1533 0030-058 0025 2001 55 00017-00088 00005

(環境庁 198819891997 環境省 2002)

他に2001 年における神奈川県の 2 河川各 2 か所計 4 地点での測定の結果53times10-6~66

times10-5 mgkg 検出されたとの報告がある (廃棄物研究財団 2003)

c 水道水中の濃度

調査した範囲においてデカブロモジフェニルエーテルの水道水中濃度に関する測定結果は入

手できなかった

d 食物中の濃度

1998 年度の環境庁による調査においては全国の 57 の家庭での食事について分析した結果

いずれの検体においても不検出 (検出限界 001μgg) であった (日本食品分析センター 1999)

また環境省において 2001 年度に焼却場周辺 (2 検体)一般都市地域 (2 検体) 及び農村地

域 (1 検体) に居住する住民の食事について調査した結果でもいずれも不検出 (検出限界

00001μgg) であった (環境省 2002)

魚体内濃度について環境庁における 19871988 及び 1996 年度の調査結果を表 6-4に示す

その結果いずれにおいても不検出 (検出限界 0005μgg) であった(環境庁 1988 1989 1997)

また2001 年度における調査においては焼却施設周辺水域のスズキムラサキガイイソガ

ニ及び一般都市周辺のボラとムラサキイガイについて測定した結果いずれも不検出 (検出限

界 00005μgg) であったと報告されている (環境省 2002) (表 6-4)

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

(文献検索時期2002 年 4 月1))

ABC (2001) Effects of decabromodiphenyl oxide on the survival and reproduction of the earthworm

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(1980) Hypothyroidism in workers exposed to polybrominated biphenyls The New England J

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BASF (1984a) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83 with

cover letter dated 031290 Huntingdon Research EPA Doc ID 86-900000367 OTS0522930

BASF (1984b) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83

with cover letter dated 031290 Huntingdon Research EPA Doc ID 86-900000368

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BFRIP Chemical Manufacturers Associations Brominated Flame Retardant Industry Panel (1998)

Bacterial reverse Mutation Assay on DBDPO Final report Unpublished Laboratory report

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rabbit Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974c) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Acute inhalation toxicity in the male

Albino rat Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974d) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary skin irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

Great Lakes Chemical (1974e) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary eye irritation in Albino

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 15: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

9

表 6-4 デカブロモジフェニルエーテルの魚体内濃度等

調査年度 検出点数測定点数検出範囲

(μgg) 検出限界

(μgg) 1987 075 nd 0005 1988 0138 nd 0005 1996 0138 nd 0005 2001 05 nd 00005

(環境庁 198719881996 環境省 2002) nd 不検出 ムラサキイガイ等を含む

622 環境中濃度の推定

a メッシュ毎の排出量の推計

濃度推定に必要な大気公共用水域及び土壌の各環境媒体のメッシュ毎の排出量を化学物

質排出把握管理促進法に基づく「平成 13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計

結果」 (経済産業省 環境省 2003a) (以下「2001 年度 PRTR データ」という) をもとに推

定する

届出排出量については事業所毎の排出量事業所の所在地の情報をもとにメッシュ毎に

割り振った (製品評価技術基盤機構 2004)

届出外排出量については届出外対象業種非対象業種家庭移動体からの排出量は推計

されていない

デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量を表 6-5に整理した (製品

評価技術基盤機構 2004)

表 6-5 デカブロモジフェニルエーテルの全国における環境媒体別排出量 (トン年) 排出区分 大気 水域 土壌

届出 3 1 0 合計 3 1 0

(製品評価技術基盤機構 2004)

b 大気中濃度の推定

622 aの方法で推定したメッシュ毎の大気への排出量物理化学的性状及び2001年の気象

データをもとにAIST-ADMER ver 10 (産業技術総合研究所 2003 東野ら 2003) を用いて5

kmメッシュ毎の年間平均の大気中濃度を推定する推定する大気中濃度は全国各地域 (北海

道東北北陸関東中部東海近畿中国四国九州沖縄) のうち大気への排出

密度 (2001年度PRTRデータから求めた地域別の大気への排出量 当該地域面積) が最も高い

地域の濃度とする

デカブロモジフェニルエーテルの地域別の大気への排出量及びその排出密度を表 6-6に示す

デカブロモジフェニルエーテルは東海地域における大気への排出密度が最も大きいためこ

の地域における大気中濃度を推定した

推定の結果東海地域における大気中濃度の年間平均の最大値は0026μgm3であった (製

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

(文献検索時期2002 年 4 月1))

ABC (2001) Effects of decabromodiphenyl oxide on the survival and reproduction of the earthworm

Eisenia fetida Study Number 46540 ABC Laboratories Inc Columbia Missouri (EU 2002

から引用)

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Great Lakes Chemical (1974d) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary skin irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 16: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

10

品評価技術基盤機構 2004)

表 6-6 デカブロモジフェニルエーテルの地域別大気への排出量及び排出密度

地域名 大気への排出量

合計(トン年) 地域面積

(km2) 大気への排出密度

(トンkm2年) 排出密度

順位

北海道 0 83500 0 - 東北 0 64000 0 - 北陸 0 17900 0 - 関東 0 32100 0 - 中部 0 31200 0 - 東海 27 18200 0000148 1 近畿 0002 27200 735times10-8 2 中国 0 31800 0 - 四国 0 18800 0 - 九州 0 39900 0 - 沖縄 0 2270 0 -

全国 27 3780001) 000000714 (製品評価技術基盤機構 2004) 1) 全国の面積には都県にまたがる境界未定地域を含む 太字は大気中濃度を推定した地域を示す

c 河川水中濃度の推定

デカブロモジフェニルエーテルの2001年度PRTRデータ (届出排出量) から推定した全国に

おける水域への排出量1トン年のうち河川への排出量は862 kg年と推定される

ここでは河川への排出量が最も多い事業所に着目しその排出先である河川水中濃度を推

定する推定には PRTR 対象物質簡易評価システム (日本化学工業協会 2002b) を使用し対

象化学物質の上記事業所における公共用水域への届出排出量物理化学的性状及び対象河川の

流量データを用いた

推定の結果デカブロモジフェニルエーテルの河川水中濃度は023μgL であった (製品評

価技術基盤機構 2004)

63 水生生物生息環境における推定環境濃度

水生生物が生息する環境の推定環境濃度 (EEC) を621 b 及び 621 c の公共用水域中の濃

度から求める

デカブロモジフェニルエーテルの公共用水域中の濃度としては環境庁による 1996 年度の調

査結果 (環境庁 1997) がありすべての検体で不検出 (検出限界 02μgL) であった

またデカブロモジフェニルエーテルの PRTR 対象物質簡易評価システムを用いて河川水中

濃度を推定した結果023μgL であった

そこで本評価書では EEC として測定年度が新しく調査地点も多いことから公共用水域中

濃度の測定結果を適切であると判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12

の値である 01μgL を採用する

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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rabbit Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974c) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Acute inhalation toxicity in the male

Albino rat Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974d) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary skin irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 17: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

11

64 ヒトへの暴露シナリオ

641 環境経由の暴露

デカブロモジフェニルエーテルの環境経由のヒトへの暴露経路は主として呼吸からの吸入

暴露と飲料水及び食物からの経口暴露が考えられる

642 消費者製品経由の暴露

入手した用途情報からはデカブロモジフェニルエーテルの消費者製品からの暴露はないも

のと考えられるので本評価書においては考慮しない

65 推定摂取量

本評価書において各経路からの摂取量を推定する際成人の空気吸入量を 20 m3人日飲料

水摂水量を 2 L人日魚類摂食量を 120 g人日とした

推定摂取量の算出は以下の仮定に従って求めた

デカブロモジフェニルエーテルの大気中濃度としては環境省による 2001 年度の調査結果が

ありその 95 パーセンタイルは 0030 ngm3 であったまたデカブロモジフェニルエーテル

の AIST-ADMER モデルを用いた東海地域の推定大気中濃度の最大値は 0026μgm3 であった

ここでは調査年度の新しい測定調査結果があるため環境庁による 2001 年度の大気中濃度の

95 パーセンタイルである 0030 ngm3 を用いた

飲料水についてはデカブロモジフェニルエーテルの水道水 (浄水) 中濃度の測定結果が入

手できなかったため水道水中濃度が河川水中濃度を超えることはないと考え河川水中濃度

の値で代用する環境庁の 1996 年度の調査結果は測定年度が新しく調査地点も多いことから

公共用水域中濃度の測定結果として適切であると判断しすべての検体で不検出であったこと

から検出限界の 12 の値である 01μgL を採用する

食物中のデカブロモジフェニルエーテル濃度の調査において1998 年度に測定した 57 検体

及び 2001 年度の 5 検体のすべてが不検出であった食事中濃度の調査検体数は 1998 年度が豊

富であり検出限界は 1998 年度が 001μgg検体数の少ない 2001 年度が 00001μgg である

調査検体数は少ないものの測定年度が新しく検出限界の低い 2001 年度の調査結果を採用する

のが適当であると判断し00001μgg の 12 の値を食物中濃度として採用する

これらの仮定をもとに推定したヒトでの摂取量は以下のとおりである

大気からの摂取量0030 (ng m3)times11000 (μgng)times20 (m3人日) = 00006 (μg人日)

飲料水からの摂取量01 (μgL)times2 (L人日) = 02 (μg人日)

食物からの摂取量00001 (μgg)times12times2000 (g人日)= 010 (μg人日)

成人の体重を平均 50 kg と仮定して体重 1 kg あたりの摂取量を求めると次のようになる

吸入摂取量00006 (μg人日) 50 (kg人) = 0000012 (μgkg日)

経口摂取量(02+010) (μg人日) 50 (kg人) =0006 (μgkg日)

合計摂取量0000012+0006=0006 μgkg日

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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BASF (1984b) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83

with cover letter dated 031290 Huntingdon Research EPA Doc ID 86-900000368

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 18: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

12

7環境中の生物への影響

71 水生生物に対する影響

711 微生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果を表 7-1に示す

OECD テストガイドライン 209 に準拠して行なわれた試験で活性汚泥の呼吸阻害を指標と

した 3 時間 NOEC は 15 mgL 以上であった (Schaefer and Siddiqui 2001)

表 7-1 デカブロモジフェニルエーテルの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度

() エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

細菌 活性汚泥

ND 3 時間 NOEC 呼吸阻害 ≧ 15 Schaefer amp Siddiqui 2001

ND データなし

712 藻類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果を表 7-2に示す

海産珪藻のスケレトネマタラシオシラ属及び緑藻のクロレラの生長阻害に関して72 時間

及び 96 時間 EC50 がいずれも 1 mgL 超であった (Walsh et al 1987)しかし本試験では助剤

にアセトンを使用しておりこれらの EC50 はいずれもデカブロモジフェニルエーテルの水への

溶解度を超えている

表 7-2 デカブロモジフェニルエーテルの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験

方式 温度 ()

エンドポイント 濃度 (mgL)

文献

海水 Skeletonema costatum (珪藻スケレトネマ)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Thalassiosira pseudonana (珪藻タラシオシラ属)

72 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Chlorella sp (緑藻クロレラ)

止水 助剤 1)

ND

96 時間 EC50 生長阻害 gt 1

Walsh et al 1987

ND データなし 1) アセトン

713 無脊椎動物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの無脊椎動物に対する試験報告は得ら

れていない

714 魚類に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果を表 7-3に示す

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

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経済産業省 環境省 (2003b) 平成 13 年度 PRTR 届出外排出量の推計方法等の概要

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkohyotodokedegaisanshutudatahtm に

記載あり)

産業技術総合研究所(2003) 化学物質リスク管理研究センター第一回技術講習会テキスト産

総研―曝露リスク評価大気拡散モデル (AIST-ADMER モデル)

製品評価技術基盤機構 (2003) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

製品評価技術基盤機構 (2004) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 15 年度研究報告書 平成 15 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

通商産業省 (1992) 通商産業省基礎産業局化学品安全課 監修 化審法既存化学物質安全点検デ

ータ集 日本化学物質安全情報センター (製品評価技術基盤機構 化学物質管理情報

(httpwwwnitegojp から引用)

36

通商産業省 (1978)通商産業省公報 (1978 年 12 月 16 日) 製品評価技術基盤機構化学物質管理情

報 (httpwwwnitegojp から引用)

日本化学工業協会 (2002a) (社) 日本化学工業協会のレスポンシブルケアによる PRTR の実施

について-2002 年度化学物質排出量調査結果- (2001 年度実績)

日本化学工業協会 (2002b) PRTR 対象物質 簡易評価システム version20

日本産業衛生学会 (2002) 許容濃度等の勧告 産業衛生学雑誌 44 140-164

日本食品分析センター (1999) 平成 10 年度 食事中ダイオキシン類等の化学物質暴露量に関す

る調査 (II) (環境庁委託業務)

廃棄物研究財団 (2003) 化学物質の循環廃棄過程における制御方法に関する研究

(httpwwwjwrforjpshowcaseに記載あり)

東野晴行 北林興二 井上和也 米澤義尭 (2003) 暴露リスク評価大気拡散モデル (ADMER)

の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 19: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

13

メダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であると報告 (通商産業省 1992) されているが

本試験では助剤として界面活性剤を用いておりLC50 はデカブロモジフェニルエーテルの水へ

の溶解度を超えている

表 7-3 デカブロモジフェニルエーテルの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

生長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度

(mgL) 文献

淡水 Oryzias latipes (メダカ)

約 02 g

JIS 半止水 助剤 1)

25 ND ND 48 時間 LC50 gt 500 (n)

通商産業省 1992

ND データなし(n) 設定濃度 1) 硬化ヒマシ油 (HCO-20)

715 その他の水生生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルのその他の水生生物 (両生類等) に関す

る試験報告は得られていない

716 底生生物に対する毒性

デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果を表 7-4に示す

米国材料試験協会 (ASTM American Society for Testing and Materials) のガイドライン及び

US EPA のテストガイドラインに準拠した底生生物のオヨギミミズの繁殖阻害試験で59の

有機物含有条件下の 28 日間 NOEC が 3841 mgkg 乾土以上であった (Krueger et al 2001)

ポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大きくなりそれに

伴って生物膜の透過性が小さくなるために水生生物に対する毒性や蓄積性が低下することが考

えられる

またデカブロモジフェニルエーテルはその水溶解度以下で無脊椎動物に毒性を示さないと

報告されている (EU 2002)

表 7-4 デカブロモジフェニルエーテルの底生生物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ

成長段階 試験法 方式

温度 ()

硬度 (mg CaCO3L)

pH エンドポイント 濃度 文献

淡水 Lumbriculus variegates (貧毛類 オヨギミミズ)

ND ASTM1)

及び

US EPA TG 流水

23plusmn2 129 ND 28 日間 NOEC繁殖阻害

≧ 3841 mgkg 乾土

(m)

Krueger et al 2001

ND データなし(m) 測定濃度 1) ASTM米国材料試験協会 (American Society for Testing and Materials) テストガイドライン

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 20: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

14

72 陸生生物に対する影響

721 微生物に対する毒性

調査した範囲内ではデカブロモジフェニルエーテルの微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に

関する試験報告は得られていない

722 植物に対する毒性

OECD テストガイドライン 208 に準拠した植物の毒性試験が行なわれているトウモロコシ

タマネギライグラスキュウリダイズ及びトマトを用いて土壌での生育試験が行なわれた

がいずれの種でも最高処理濃度の 5349 mgkg 乾土で影響はみられなかった (Porch and

Krueger 2001)

723 動物に対する毒性

OECD でテストガイドライン化が検討されているシマミミズ (Eisenia fetida) の 28 日間繁殖

毒性試験では最高処理濃度の 4910 mgkg 乾土でも影響はみられなかった (ABC 2001)

73 環境中の生物への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する毒性については生長阻害致死

繁殖などを指標に検討が行われているが水系の藻類魚類では助剤を用いた試験報告のみで

ありいずれの結果も水への溶解度を遥かに超えたものである

微生物に関しては活性汚泥の呼吸阻害を指標とした 3時間NOECが 15 mgL以上であった

藻類では緑藻や珪藻を用いた生長阻害試験について報告されておりいずれも 1 mgL 超で

あった

無脊椎動物では甲殻類に対する毒性試験結果は得られていないなお貧毛類のオヨギミ

ミズを用いた 28日間の底質試験が行なわれており生長阻害を指標としたNOECが 3841 mgkg

乾土以上であったポリ臭素化ジフェニルエーテル類では臭素数の増加に伴って分子量が大き

くなりそれに伴って生物膜の透過性が小さくなるため水生生物に対する毒性や蓄積性は

低下することが考えられまたデカブロモジフェニルエーテルは水への溶解度以下で無脊椎動

物には毒性を示さないとの報告もある

魚類への毒性はメダカに対する 48 時間 LC50 が 500 mgL 超であった

陸生生物に関しては数種類の植物及びシマミミズの報告があるがいずれも最高処理濃度

(4910~5349 mgkg 乾土) でも影響はみられていない

以上現時点では水生生物の藻類甲殻類魚類に対する影響を適切に評価できる有害性情

報は得られていない

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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BASF (1984b) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 21: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

15

8ヒト健康への影響

81 生体内運命

a 吸収

デカブロモジフェニルエーテルは後述 bのラットの経口投与試験 (Klasson Wehler et al

2001 Morck and Klasson Wehler 2001 Norris et al 1973) で微量が肝臓脂肪組織等の器官か

ら検出されていることから一部は胃腸から吸収されると推定されるが最高で約 98が未変

化のまま糞中に排泄されたとの報告もある (El Dareer et al 1987)

ヒトや動物の経皮吸収に関する報告は得られていないなおin vitro でマウスの皮膚を用い

た実験が行なわれており63060 nmol の 14C-デカブロモジフェニルエーテルをマウスの背

部より得た表皮小片を含む培養液に添加し 24 時間後に洗浄したところそれぞれ 20533

19 (12096108 nmol 相当) の放射能が表皮小片から検出されたとの報告がある (Hughes et

al 2001)

b 分布代謝

雄ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm の濃度で餌に混ぜて投

与し (期間不明)肝臓をホモジナイズして得た抽出液のデカブロモジフェニルエーテル濃度を

測定した実験で肝臓中の濃度に換算した値として対照群で 021plusmn043μgg であったが25000

ppm 群で 209plusmn089μgg50000 ppm 群では 860plusmn283μgg と用量に依存して増加した

(Hazleton Laboratories 1980)

雌雄の SD ラットに 01 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他

にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を 2

年間経口投与 (混餌) した実験で肝臓では投与 1 か月後まで脂肪組織では投与 6 か月後ま

で対照群に比較して臭素量の有意な増加が認められたが12 か月目には両器官とも対照群に

比較して臭素量に有意差は認められなかったまた雄の SD ラットにデカブロモジフェニル

エーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニ

ルエーテル 08を含む) 1 mgkg日を 90 日間混餌投与した実験では肝臓と脂肪組織の臭素量

に対照群との差は認められなかった (Norris et al 1975)

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0027748の濃度で含む飼料を 9~11

日間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えてそれぞれその翌日 (10

~12 日目) に剖検した実験では剖検時に肝臓で検出された放射能は101112 日目の低用

量群で投与量の 044902130109高用量群で 000700070016であったな

おいずれの群でも糞中への排泄は投与量の約 85であった (El Dareer et al 1987 )

雌雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 1 mgkg を単回強制経口投与した実

験では24 時間以内に 906が糞中に排泄された投与 16 日後には副腎と脾臓でごく微量の

放射能が認められたのみであった (Norris et al 1973 1974 1975)

雄の SD ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 29 mgkg を単回強制経口投与した実験

では72 時間後に投与放射能量の約 90が糞中で005未満が尿中で検出された組織残

留は投与放射能量の約 3で肝臓筋肉皮膚脂肪組織空腸結腸等で検出された投

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 22: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

16

与 72 時間後までの糞中に8 つのフェノール類代謝物が検出されたこれらフェノール類代謝

物 (脱臭素化ジヒドロキシルジフェニルオキシド) の存在からデカブロモジフェニルエーテ

ルが酸化的脱臭素化反応経由で代謝されさらにその水酸基が同一のフェニル環において脱ヒ

ドロキシル化されエポキシドへの酸化さらにはジオールへ酸化される可能性が推定されて

いる (Klasson Wehler et al 2001 Morck and Klasson Wehler 2001) がこれ以上の報告は得られ

ておらず詳細は不明である

生後 31019 日の NMRI マウスに 14C-デカブロモジフェニルエーテルをそれぞれ単回経口

投与した実験で投与 24 時間後の脳に生後 310 日目に投与したマウスではともに 04

生後 19 日目に投与したマウスでは 006の放射能が検出されたさらに投与 7 日後の脳中放射

能は生後 310 日目のマウスで投与 24 時間後の約 2 倍に増加したが生後 19 日目のマウス

には変化はなかったデカブロモジフェニルエーテルあるいはその代謝物が出生直後の児の脳

に蓄積されやすいのではないかと考察されている (Viberg et al 2001) が毒性学的意義は不明

である

c 排泄

雄の F344 ラットにデカブロモジフェニルエーテルを 0025~499の濃度で含む飼料を 11 日

間 (うち 8 日目のみ 14C-デカブロモジフェニルエーテル) 与えた実験では投与開始 9~12 日

後の糞中に投与量の 91~101の放射能が認められた糞中に排泄された 14C のうち 72~98

はデカブロモジフェニルエーテルとしてまたその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

雄の F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 107 mgkg を単回静脈内投与した実

験では72 時間後までに投与量の 74の放射能が糞中または腸内容物として検出された糞中

にみられた標識化合物のうち 37が未変化体でその他に 3 種類の代謝物が検出された (El

Dareer et al 1987 US NTP 1986)

F344 ラットに 14C-デカブロモジフェニルエーテル 0947 mgkg を尾部より単回静脈内投与し

た実験では投与 4 時間後までに投与量の約 7が胆汁中で検出された (US NTP 1986)

82 疫学調査及び事例

デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例について表 8-1に示す

他にもデカブロモジフェニルエーテルが電子機器解体作業者の脂肪組織及びゴム加工工場の

作業者の血液から対照群に比較して有意に高い濃度で検出されたとの報告 (Sjodin et al 1999

Thuresson et al 2002)血液提供者の血液中及び米国の国家ヒト脂肪調査 (National Human

Adipose Tissue Survey) に保管されていたサンプルの脂肪組織中からデカブロモジフェニルエ

ーテルが検出されたとの報告 (Patterson et al 2000 Stanley et al 1991) があるがいずれもデカ

ブロモジフェニルエーテルの暴露状況は不明である

母乳センター (Motherrsquos Milk Center) 提供の母乳サンプル中のデカブロモジフェニルエーテ

ルはほとんどが検出限界以下であった (Meironyte et al 1998 1999 Noren and Meironyte 1998)

ボランティア 50 人の皮膚に 5のデカブロモジフェニルエーテルを混合したワセリンを週 3

回3 週間にわたって適用した結果9 人に刺激性を示したがその他の反応は最終適用から 2

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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httpwwwsafenitegojpdataindexpk_hyokahyoka_home に記載あり)

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(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

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環境省 (2002) 報道発表資料 (平成 14 年 12 月 24 日) 平成 13 年度臭素系ダイオキシン類に関す

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環境庁 (1989) 昭和63年版化学物質と環境

環境庁 (1997) 平成9年版化学物質と環境

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産業技術総合研究所(2003) 化学物質リスク管理研究センター第一回技術講習会テキスト産

総研―曝露リスク評価大気拡散モデル (AIST-ADMER モデル)

製品評価技術基盤機構 (2003) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

製品評価技術基盤機構 (2004) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 15 年度研究報告書 平成 15 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

通商産業省 (1992) 通商産業省基礎産業局化学品安全課 監修 化審法既存化学物質安全点検デ

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(httpwwwnitegojp から引用)

36

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について-2002 年度化学物質排出量調査結果- (2001 年度実績)

日本化学工業協会 (2002b) PRTR 対象物質 簡易評価システム version20

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日本食品分析センター (1999) 平成 10 年度 食事中ダイオキシン類等の化学物質暴露量に関す

る調査 (II) (環境庁委託業務)

廃棄物研究財団 (2003) 化学物質の循環廃棄過程における制御方法に関する研究

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東野晴行 北林興二 井上和也 米澤義尭 (2003) 暴露リスク評価大気拡散モデル (ADMER)

の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 23: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

17

週間まで認められなかった (IPCS 1994 Norris et al 1973)

ボランティア 200 人にデカブロモジフェニルエーテルの固体及び 2溶液 (溶媒不明) を 24

時間ずつそれぞれ皮膚に適用したところ固体を直接適用した場合に刺激性を示した例がみら

れた (Industrial Bio-Test Laboratories 1975)

ポリブロモジフェニル化合物及びポリブロモジフェニルエーテル化合物の製造に少なくとも

6 週間携わった男性作業者 35 人のうち 4 人に血清中の甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇が認めら

れた報告 (Bahn et al 1980)デカブロモジフェニル及びデカブロモジフェニルエーテルに 3 年

以上暴露されていた作業者 18 人のうち43 歳の白人男性 1 人に甲状腺がん50 歳の白人男性

1 人に甲状腺ろ胞上皮腺腫53 歳男性 1 人に甲状腺機能低下が認められた報告 (Bialik 1982) が

あるがいずれもデカブロモジフェニルエーテルの影響であるかどうかは不明である

表 8-1 デカブロモジフェニルエーテルの疫学調査及び事例 対象集団

性別人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献

電子機器解体作業者

男性 15 名女性 4 名 対照群 病院清掃従

事者女性 20 名パソ

コン使用事務員女性

20 名

ND ND 平均勤続

年数 平均年齢 血清中

DBDPO

平均濃度 a) (μgkg lipid)

病院清掃 従事者

16 48 lt 07

パソコン 使用事務員

17 54 lt 07

電気機器 解体作業者

2 46 48

a) GCMSで測定

Sjodin et al 1999

ゴム加工工場のゴム

加工作業従事者7名

製品製造作業従事者

12名 対照群 食肉処理作

業従事者18名

ND ND 血清中DBDPO

平均濃度a) (μgkg lipid) ゴム加工従事者 451 製品製造従事者 556 食肉処理従事者 33 血清中の脂質平均含有量は067 a) GCMSで測定

Thuresson et al 2002

米国血液提供者12名 ND ND DBDPOの検出限界 (1 pmolg lipid) 以上が5検体 Patterson et al 2000

1987年度の米国の国

家ヒト脂肪調査に保

管されていたサンプ

ND ND HRGCMSによる測定でヒトの脂肪組織から00007μgkg (700 pgg) 以下のDBDPOが検出

Stanley et al 1991

27~32 歳の女性 (母乳センター提供

の母乳サンプル)

ND ND DBDPO のほとんどが検出限界以下

Meironyte et al 1998

1999 Noren and Meironyte

1998

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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BASF (1984b) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83

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Great Lakes Chemical (1974d) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary skin irritation in Albino

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 24: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

18

対象集団 性別人数

暴露状況 暴露量 結 果 文献

ボランティア50人 パッチテスト 3回週times

3週間

ワセリ

ン003 mLに対

して5の含有

950に刺激性その他の反応はなし IPCS 1994 Norris et al

1973

ボランティア男性80人女性120人

皮膚に直接接

触 及び2溶液 (溶媒不明) 24時間ずつ

ND 直接接触法で刺激性 Industrial Bio-Test

Laboratories 1975

ポリブロモジフェニ

ル化合物及びポリブ

ロモジフェニルエー

テル化合物の製造に

あたる男性作業者35人 (平均年齢359歳)

少なくとも 6週間

(対象期間は

1973年1月1日~1978年5月1

日)

ND 435で血清中甲状腺刺激ホルモン濃度の上昇 Bahn et al 1980

デカブロモジフェニ

ル及びDBDPOに3年以上暴露されていた

作業者18人

3年以上 ND 甲状腺がん甲状腺ろ胞上皮腺腫甲状腺機能低

下が各1人ずつ Bialik 1982

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル

83 実験動物に対する毒性

831 急性毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 8-2に示す (Great

Lakes Chemical 1974abc US NIOSH 2002)

デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験はラットで経口投与及び吸入暴露ウサギで

経皮投与が行なわれているがいずれの試験でも最高投与量群まで死亡はみられなかった

(Great Lakes Chemical 1974abc)ラットの吸入暴露試験では48200 mgm3 群に斜視運動量

の増加がみられた (Great Lakes Chemical 1974c)

表 8-2 デカブロモジフェニルエーテルの急性毒性試験結果 マウス ラット ウサギ

経口LD50 (mgkg) ND gt 5000 ND 吸入LC50 (mgm3) ND gt 48200 (1時間) ND 経皮LD50 (mgkg) ND gt 3000 gt 2000

ND データなし

832 刺激性及び腐食性

デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性の結果を表 8-3に示す

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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Great Lakes Chemical (1974a) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Acute oral toxicity in the Albino rat

Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974b) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Acute dermal toxicity in the Albino

rabbit Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974c) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Acute inhalation toxicity in the male

Albino rat Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974d) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary skin irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

Great Lakes Chemical (1974e) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary eye irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 25: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

19

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 500 mg

を適用した試験では無傷及び有傷皮膚のいずれにも刺激性はみられなかった (Great Lakes

Chemical 1974d)

NZW ウサギの皮膚にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフ

ェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では

刺激性はみられなかった (Norris et al 1973 1974)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では軽度の刺激性がみられた (Ethyl Corporation 1986)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) の固体 (dry-solid) 100 mg を

適用した試験では適用 24 時間後の結膜にごく軽度な発赤浮腫及び眼脂がみられた (Great

Lakes Chemical 1974e)

NZW ウサギの眼にデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェ

ニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を適用した試験では刺

激性はみられなかった (Norris et al 1973)

表 8-3 デカブロモジフェニルエーテルの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法

投与方法

投与期間 投与量 結 果 文献

ウサギ NZW

経皮適用

24時間 固体 500 mg 刺激性なし

Great Lakes Chemical 1974d

ウサギ NZW

経皮適用 24時間 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973 1974

ウサギ NZW

眼 1回 固体 100 mg 適用1時間後に角膜に軽度 (mild) の刺激性がみられたが244872時間

後及び7日後には刺激性を示さなかっ

Ethyl Corporation 1986

ウサギ NZW 雌雄各3匹

眼 1回 固体 100 mg 24時間後に結膜でごく軽度な発赤 (46)ごく軽度な浮腫 (26)ごく軽

度な眼脂 (16)

Great Lakes Chemical 1974e

ウサギ NZW

眼 ND 記載なし デカブロモジ

フェニルエー

テル製品 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

刺激性なし Norris et al 1973

ND データなし DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

(文献検索時期2002 年 4 月1))

ABC (2001) Effects of decabromodiphenyl oxide on the survival and reproduction of the earthworm

Eisenia fetida Study Number 46540 ABC Laboratories Inc Columbia Missouri (EU 2002

から引用)

ACGIH American Conference of Governmental Industrial Hygienists (2002) TLVs and BEIs

Bahn AK Mills JL Snyder PJ Gann PH Houten L Bialik O Hollmann L and Utiger RD

(1980) Hypothyroidism in workers exposed to polybrominated biphenyls The New England J

Med 302(1) 31-33

BASF (1984a) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83 with

cover letter dated 031290 Huntingdon Research EPA Doc ID 86-900000367 OTS0522930

BASF (1984b) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83

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OTS0522931

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Great Lakes Chemical (1974d) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary skin irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 26: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

20

833 感作性

調査した範囲内では実験動物に対する感作性に関する報告は得られていない

834 反復投与毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 8-4に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 031006200

125002500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及

び病理組織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥大甲状腺のろ

胞細胞過形成が雌の 50000 ppm 群で腺胃の潰瘍がみられた (US NTP 1986)しかしこの

結果は発がん性試験における非腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理は

なされておらず有意差の有無については不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査

は実施されていない

ラットにデカブロモジフェニルエーテル (純度不明) を 01001000 ppm (雄 0770 mgkg

日雌 0880 mgkg日相当) 含む飼料を 28 日間与えた試験では投与に関連する症状の発

現及び病理組織学的変化はみられなかった (Great Lakes Chemical 1977)

雌雄の F344 ラットに純度 97~99のデカブロモジフェニルエーテルを 03100620012500

2500050000 ppm 含む飼料を 13 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組

織学的変化はみられなかった (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雌の 25000 ppm 以上の群で脾臓の髄外造血亢進雄の 25000 ppm 以上の群で前胃の

表皮肥厚雄の 50000 ppm 群で肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾臓の線維化下顎リンパ節

のリンパろ胞過形成がみられた (US NTP 1986)しかしこの結果は発がん性試験における非

腫瘍性変化として記載されているためいずれも統計的処理はなされておらず有意差の有無に

ついては不明でありまた血液生化学的検査や血液学的検査は実施されていない

なお臭素数が異なるポリブロモジフェニルエーテル混合物であるデカブロモジフェニルエ

ーテル製品を用いた以下の試験結果が報告されている

雄の SD ラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (0880800 mgkg日相当純度 774

他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を

0100100010000 ppm 含む飼料を 30 日間与えた試験では1000 ppm 以上の群で肝臓肥大

甲状腺肥大が10000 ppm 群で肝臓における小葉中心性の細胞肥大及び空胞化腎臓の硝子滴

変性が認められた (Norris et al 1973)

雌雄の SD ラットに 0001011 mgkg日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純

度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08

を含む) を含む飼料を 100~105 週間与えた試験では投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化は認められなかった (Kociba et al 1975)

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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Great Lakes Chemical (1974d) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary skin irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

Great Lakes Chemical (1974e) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary eye irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 27: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

21

以上のデータから反復投与毒性に関しては経口投与試験で肝臓甲状腺胃脾臓等

に影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年

間の混餌投与試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓に

髄外造血亢進がみられており (US NTP 1986)NOAEL を求めることはできないこの試験の

非腫瘍性変化については統計的処理が行なわれておらずまたこの試験では血液生化学的検

査や血液学的検査は実施されていないが調査した範囲内では他に長期間の毒性試験はなく

本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断する

表 8-4 デカブロモジフェニルエーテルの反復投与毒性試験結果

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

マウス B6C3F1 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

マウス B6C3F1 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97 不純物に NBDPO

25000 ppm 以上 雄 肝細胞の小葉中心性肥大甲状腺肥

大甲状腺のろ胞性細胞過形成 50000 ppm 雌 腺胃の潰瘍 (650) 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

28 日間 01001000 ppm (雄 0770 mgkg日相当 雌 0880 mgkg日相当)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし (肝臓及び脂肪組織における

臭素含有率の増加のみ)

Great Lakes Chemical 1977

ラット F344 雌雄各 10匹群

経口 投与

(混餌)

13 週間 031006200125002500050000 ppm 純度 97~99 換算値は原報に

記載なし

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

されていない

US NTP 1986

ラット F344 雌雄各 50匹群

経口 投与

(混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当)

25000 ppm 以上 雄 前胃の表皮肥厚

雌 脾臓の髄外造血亢進 50000 ppm 雄 肝臓の血栓症及び肝細胞の変性脾

臓の線維化下顎リンパ節のろ胞過形成 血液生化学的検査や血液学的検査は実施

US NTP 1986

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 28: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

22

動物種等 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

純度 94~97 不純物に NBDPO

されていない LOAEL 25000 ppm (1120 mgkg日相当) (本評価書の判断)

ラット SD 雄

経口 投与

(混餌)

30 日間 0100100010000 ppm (DBDPO 774NBDPO 218

OBDPO08) (0880800 mgkg日相当)

1000 ppm 以上 肝臓肥大甲状腺肥大 10000 ppm 肝臓小葉中心性の細胞肥大及

び空胞化腎臓の硝子滴変性

Norris et al 1973

ラット SD 雌雄50匹群

経口 投与

(混餌)

100-105週間

0001011 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

投与に関連する症状の発現及び病理組織

学的変化なし Kociba et al 1975

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル 太字はリスク評価に用いたデータを示す

835 生殖発生毒性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する生殖発生毒性試験結果を表 8-5に示す

雌雄の SD ラットに交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に0330100 mgkg

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口投与 (混餌) した試験では

同居開始日から出産までの期間の長さ妊娠匹数及び妊娠率新生児の生存率体重及び性比

に投与による影響はなかった (Norris et al 1975)ただし本報告では最高用量群が 100 mgkg

日でありそれ以上の用量群での影響についても試験されるべきであるが調査した範囲内で

は他に生殖毒性試験はなく本評価書ではこの報告を採用して評価した

SD ラットの妊娠 6~15 日目に 0101001000 mgkg日のデカブロモジフェニルエーテル

製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテ

ル 08を含む) を強制経口投与し妊娠 21 日目に帝王切開した試験では胎児数胎児の体

重頭臀長及び性比に投与の影響はみられなかった1000 mgkg 群の母動物の肝臓で臭素含有

量の増加がみられたが症状の発現はなかった胎児に関しては1000 mgkg 群の 1397 例で

皮下浮腫が1497 例で化骨遅延がみられともに対照群に比較して統計的に有意な増加であ

った (Dow Chemical 1985 Norris et al 197319741975)本試験で使用した製品はデカブロモジ

フェニルエーテルの純度が低く上記の胎児に対する影響がデカブロモジフェニルエーテルに

よるものかどうか不明でありその後次の試験が行なわれた

SD ラットの妊娠 0~19 日目に純度 97のデカブロモジフェニルエーテル 01003001000

mgkg日を強制経口投与し20 日目に帝王切開した試験では黄体数着床数吸収胚数生

存胎児数胎児の性比体重外表骨格及び内臓に投与の影響は認められなかった (Hardy et al

2002)本報告では純度 97のデカブロモジフェニルエーテルを用いていることからも本評価

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 29: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

23

書は発生毒性試験としてより信頼できるものであると評価した

以上から生殖毒性に関してデカブロモジフェニルエーテル純度 774の製品を使用した

試験で 100 mgkg日まで親動物及び児動物に影響はみられていないまた発生毒性に関して

はデカブロモジフェニルエーテルの投与による影響はみられていない

表 8-5 デカブロモジフェニルエーテルの生殖発生毒性試験結果

動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献

ラット SD 雄10~20匹群 雌20~40匹群

経口投与 (混餌)

交配 60日前か

ら交配期間妊

娠期間及び哺

育期間 (分娩

後21日目まで)

0330100 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

同居開始日から出産までの期間の長さ

妊娠匹数妊娠率新生児生存率体重

及び性比に投与の影響なし

Norris et al 1975

ラット SD 雌 20 匹 投与

群 30 匹 対照

経口投与 (強制)

妊娠 6-15 日目

の 10 日間 妊娠 21 日目に

帝王切開

0101001000 mgkg日 (DBDPO 774NBDPO218

OBDPO08)

母動物 1000 mgkg日 肝臓の臭素含有量の増加のみで症状の

発現はなし 胎児 皮下浮腫

対照群 2142 100 mgkg日 361 1000 mgkg日 1397

化骨遅延 対照群 8142 100 mgkg日 461 1000 mgkg日 1497

Dow Chemical 1985 Norris et al 1973 1974 1975

ラット SD 雌25匹群

経口投与 (強制)

妊娠 0-19 日目

の20日間投与 妊娠 20日目に

剖検及び帝王

切開

01003001000 mgkg日 純度9734

黄体数着床数吸収胚数生存胎児数

胎児の性比体重骨格及び主要器官に

投与の影響なし

Hardy et al 2002

DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル

836 遺伝毒性

デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験の結果を表 8-6に示す

バクテリアを用いた in vitro 試験ではネズミチフス菌による復帰突然変異試験で純度 97

のデカブロモジフェニルエーテルを用いた場合は S9添加の有無に関わらず陰性であった (US

NTP 1986)その他ヘキサブロモジフェニルエーテルペンタブロモジフェニルエーテル

オクタブロモジフェニルエーテルとの混合物を用いた試験で陽性を示したことが報告されてい

る (BASF 1984ab) が試験の詳細は不明であるマウスリンフォーマ試験シリアンハムス

ターの胚細胞を用いた形質転換試験CHO 細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換

試験ではいずれも陰性であった (US NTP 1986)

in vivo 試験では交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間に 0330100 mgkg

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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Great Lakes Chemical (1974b) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Acute dermal toxicity in the Albino

rabbit Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974c) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Acute inhalation toxicity in the male

Albino rat Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974d) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary skin irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

Great Lakes Chemical (1974e) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary eye irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 30: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

24

日相当のデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナブロモジフェニルエーテ

ル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) を経口 (混餌) 投与したラットの親

及び児の骨髄細胞を用いた小核試験で陰性であった (Norris et al 1975)

以上復帰突然変異試験染色体異常試験等得られた試験結果は全て陰性であるがin vitro

試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性の有無

については明確に判断できない

表 8-6 デカブロモジフェニルエーテルの遺伝毒性試験結果 試験系

試験材料 処理条件 物質組成

用量 結果 a)

- S9 +S9 文献

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537

プ レ イ ン キ

ュ ベ ー シ ョ

ン法

純度 97 100-10000 μgplate

(DMSO 溶媒)

- -

US NTP 1986

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535

+ +

TA1537TA1538

プレート法 DBDPO

HBDPO

PeBDPO

OBDPOの混合

物 50-5000 μgplate

- -

BASF 1984a b

復帰突然 変異試験

ネズミチフス菌 TA98TA100TA1535TA1537 大腸菌 WP2 uvrA

プレート法 15-5000 μmolplate

(DMSO 溶媒)

- -

BFRIP 1998

形質転換

試験 シリアンハムスター胚

細胞 pH 67 10-25μgmL - - LeBoeuf et

al 1996

染色体異

常試験 CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

7-10μgplate - - US NTP 1986

マウスリ

ンフォー

マ試験

マウスリンフォーマ

L5178YTK 細胞 F344 ラット

の S9 0625-10 μgmL

- - McGregor et al 1988

in vitro

姉妹染色 分体交換 試験

CHO 細胞 SD ラットの

S9 50-500μgmL(DMSO 溶媒)

- - US NTP 1986

in vivo

小核試験 親及び児ラットの骨髄

細胞 交配 60 日前

か ら 交 配 期

間妊娠期間

及 び 哺 育 期

間 経口投与(混

餌)

DBDPO 774NBDPO218OBDPO08

3-100 mgkg日

Norris et al 1975

a) - 陰性 + 陽性 DBDPO デカブロモジフェニルエーテル NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル OBDPO オクタブロモジフェニルエーテル HDBDPO ヘキサブロモジフェニルエーテル PeDBDPO ペンタブロモジフェニルエーテル

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 31: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

25

837 発がん性

デカブロモジフェニルエーテルの実験動物に対する発がん性試験の結果を表 8-7に示す

雌雄の B6C3F1 マウスに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000

ppm (雄 032006650 mgkg日雌 037607780 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与

えた試験では雄の 25000 ppm 以上の群で肝細胞腺腫または肝細胞がんの発生が増加したま

た雄の 25000 ppm 以上の群で甲状腺肥大が増加したが甲状腺ろ胞腺がんの発生は増加しな

かったUS NTP では肝臓の腫瘍発生について対照群の試験終了時 (103 週) の生存数が

少なかったこと (1950)最高用量群における増加が途中死亡数などを考慮した Life Table

Tests 及び発生した腫瘍の偶発性などを考慮した Incidental Tumor Tests では統計的に有意とは言

えないことからデカブロモジフェニルエーテルの雄マウスに対する発がん性の明確な証拠に

はならない (equivocal evidence of carcinogenicity) としている (US NTP 1986)

雌雄の F344 ラットに純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを 02500050000 ppm

(雄 011202240 mgkg日雌 012002550 mgkg日相当) 含む飼料を 103 週間与えた試

験では雄の 25000 ppm 以上の群及び雌の 50000 ppm 群で肝細胞腫瘍結節または肝細胞がん

の発生が有意に増加したUS NTP ではさらにこれらの腫瘍について顕微鏡観察を行なったと

ころ腫瘍結節は球形で一つの肝小葉より大きくまた腫瘍結節の細胞の大きさや色の特徴

が通常とは異なり細胞質空胞化や核異型が認められたことからこれらの腫瘍の発生につい

てはデカブロモジフェニルエーテルの雌雄ラットに対する発がん性の或る程度の証拠になる

(some evidence of carcinogenicity) としたなおLife Table Tests によると雄の 50000 ppm 群

で膵臓の腺房細胞腺腫が有意に増加したがIncidental Tumor Tests では有意差はなくまたこ

の腺腫の増加に用量依存性は認められなかった (US NTP 1986)

またラットでは 834 で述べた 2 年間の経口投与 (混餌) 試験が行なわれているが投与に

関連する症状の発現及び病理組織学的変化はみられなかった (Kociba et al 1975)

以上から発がん性に関してはUS NTP が行なった試験において雄ラットの最低用量群

から肝細胞腫瘍結節または肝細胞がんの発生が有意に増加しているがこの試験は投与量が非

常に高くまたマウスを用いた試験においては対照群の生存率が低かったことから現段階

でデカブロモジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できない

国際機関等での発がん性評価を表 8-8に示す国際機関等ではIARC がヒト発がん性に関

するデータがなく動物で限られた証拠しか得られないとしてグループ 3 (ヒトに対する発がん

性について分類できない物質) にUS EPA でも同様の理由により C (ヒト発がん性があるかも

しれない物質) に分類している

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 32: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

26

表 8-7 デカブロモジフェニルエーテルの発がん性試験結果 動物種性

別週齢 投与 方法

投与期間 投与量 結 果 文献

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

1950 2550 2450 例 319 1125 724

119 825 424 419 1525 1124

019 325 324

雌 (ppm)

0 25000 50000

マウス B6C3F1 雌 雄 各

50 匹群 9 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 032006650 mgkg日相当) (雌 037607780 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO 投与終了時生存数

肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝細胞腺腫または

肝細胞がん 甲状腺ろ胞腺腫 または腺がん

2750 3150 3250 例 427 931 732

227 331 632 627 1131 1232

027 131 332

US NTP 1986

雄 (ppm) 0 25000 50000 投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節 肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん 膵臓腺房細胞腺腫

3550 2450 2650 例 135 624 1326 135 724 1326 035 024 226

雌 (ppm)

0 25000 50000

ラット F344 雌雄

50 匹群 7-8 週齢

経口投与 (混餌)

103 週間 02500050000 ppm (雄 011202240 mgkg日相当) (雌 012002550 mgkg日相当) 純度 94~97不純物に NBDPO

投与終了時生存数

肝臓腫瘍結節

肝臓腫瘍結節また

は肝細胞がん

4050 3350 3450 例 140 333 734 140 533 734

US NTP 1986

統計的有意差あり (Life Table Tests a)及び Incidental Tumor Tests a) P lt 005) a) 投与終了時の生存個体を対象として行なう統計処理法 (Life Table Tests 途中死亡数などを考慮

Incidental Tumor Tests発生した腫瘍の偶発性などを考慮) NBDPO ノナブロモジフェニルエーテル

表 8-8 国際機関等でのデカブロモジフェニルエーテルの発がん性評価 機関 出典 分類 分類基準

IARC (2002) グループ 3 ヒトに対する発がん性について分類できない物質 ACGIH (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない US EPA (2002) C ヒト発がん性があるかもしれない物質 US NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 33: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

27

84 ヒト健康への影響 (まとめ)

デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合そのほとんどが未変化のまま糞中に

排泄される尿への排泄は 01以下長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられてい

ない

ヒトの皮膚にデカブロモジフェニルエーテルの固体またはワセリンとともに適用した場合

刺激性を示したとする報告がある

実験動物に対するデカブロモジフェニルエーテルの経口投与による急性毒性試験の LD50 は

5000 mgkg 以上吸入経路の LC50 は 48200 mgm3 以上 (1 時間)経皮では 2000 mgkg 以上で

ある動物実験では皮膚への刺激性はなく眼にごく軽度の刺激性を示している感作性の報

告はない

反復投与試験では肝細胞の肥大や変性甲状腺の肥大前胃の表皮肥厚脾臓での髄外造

血亢進等の影響がみられている純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラッ

トの 2年間の経口投与 (混餌) 試験でも高用量群では肝細胞の変性や脾臓の線維化が認められ

最低用量群である 25000 ppm 群では雄に前胃の表皮肥厚雌に脾臓での髄外造血亢進がみられ

ており本評価書では 25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL と判断した

生殖毒性に関してはラットにデカブロモジフェニルエーテル製品 (純度 774他にノナ

ブロモジフェニルエーテル 218オクタブロモジフェニルエーテル 08を含む) 100 mgkg

日を交配 60 日前から交配期間妊娠期間及び哺育期間経口投与 (混餌) しても親動物及び児

動物に影響はみられていない発生毒性に関してはラットに純度 97のデカブロモジフェニ

ルエーテル 1000 mgkg日を妊娠中の 20 日間強制経口投与しても母動物及び胎児に影響はみら

れていない

遺伝毒性では復帰突然変異試験染色体異常試験等の報告があり試験結果は全て陰性で

あるがin vitro 試験系の限られた報告しか得られておらずデカブロモジフェニルエーテルの

遺伝毒性の有無については明確に判断できない

発がん性に関してUS NTP はマウスに対する発がん性の証拠はないがラットに対する

肝臓腫瘍結節及び肝細胞がんの発生率の増加を根拠に発がん性を示す証拠があるとしている

しかしUS NTP が行なった試験は餌としての投与量が 2500050000 ppm と非常に高く

またマウスを用いた試験における対照群の生存率が低かったことから現段階でデカブロモ

ジフェニルエーテルが発がん性を示すと判断できないIARC はデカブロモジフェニルエー

テルをグループ 3 (ヒトに対する発がん性について分類できない物質) に分類している

9リスク評価

91 環境中の生物に対するリスク評価

環境中の生物に対するリスク評価は水生生物を対象としその影響を 3 つの栄養段階 (藻

類甲殻類魚類) で代表させるリスク評価は無影響濃度等 (NOECLCEC)を推定環境

濃度 (EEC) で除した値である暴露マージン (MOE) と無影響濃度等として採用した試験結果

の不確実係数積を比較することにより行う

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 34: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

28

911 リスク評価に用いる推定環境濃度

本評価書ではデカブロモジフェニルエーテルの EEC として 1996 年度の環境庁による測定

結果が調査年度が新しく測定地点も多いことからEEC に採用する濃度として適切であると

判断しすべての検体で不検出であったことから検出限界の 12 の値である 01μgL を用いる

(63 参照)

912 リスク評価に用いる無影響濃度

デカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質であり (53 参照)3 つの

栄養段階を代表する生物種 (藻類甲殻類魚類) のいずれについても調査した範囲では影

響を適切に評価できる試験報告は得られなかった (7参照)

913 暴露マージンの算出

912 よりデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する影響を適切に評価できる

試験報告が得られていないことから環境中の生物に対する暴露マージン (MOE) は算出でき

ない

914 環境中の生物に対するリスク評価結果

913 より現時点でデカブロモジフェニルエーテルの環境中の生物に対する初期リスク評価

を行なうことはできないデカブロモジフェニルエーテルは水に対してほとんど溶けない物質

であり今後環境中の生物に対するリスク評価方法並びにそれに伴った環境中濃度の取得に

ついて検討する必要がある

92 ヒト健康に対するリスク評価

ヒト健康に対するリスク評価は我が国の住民を対象とするデカブロモジフェニルエーテ

ルのヒトにおける定量的な健康影響データは得られていないためヒト健康に対するリスク評

価には長期の動物試験データを用いることとする (8参照)リスク評価は実験動物に対する

無毒性量等 (NOAELLOAEL) を推定摂取量で除した値である暴露マージン (MOE) と評価

に用いた毒性試験結果の不確実係数積を比較することにより行う

921 ヒトの推定摂取量

デカブロモジフェニルエーテルは主として飲料水を含む食物わずかに大気を通じてヒト

に摂取されることが推定されそれぞれの経路からの 1 日推定摂取量を表 9-1に示す (64 参照)

吸入及び経口経路のヒトの体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量 00000120006μgkg日をヒト

健康に対する初期リスク評価に用いることとした

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 35: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

29

表 9-1 デカブロモジフェニルエーテルの1日推定摂取量

摂取経路 推定摂取量 (μg人日)

体重 1 kg あたりの 1 日推定摂取量

(μgkg日) 吸入 大気 (呼吸) 00006 0000012 経口 飲料水 02

食物 010 小計 030

0006

全経路 合計 030 0006

922 リスク評価に用いる無毒性量

経口経路では純度 94~97のデカブロモジフェニルエーテルを用いたラットの 2 年間の経

口投与 (混餌) 試験で最低用量群である 25000 ppm 群に雄では前胃の表皮肥厚雌では脾臓

の髄外造血亢進がみられており25000 ppm (1120 mgkg日相当) を LOAEL として採用する

(US NTP 1986)

調査した範囲内では吸入暴露の試験報告は得られていない

生殖発生毒性試験ではいずれも最高用量まで影響はみられていないため本評価書の対象

としない

発がん性に関しては現段階で発がん性を示すと結論付けることはできない

なおEU は本評価書と同じ試験において全身毒性を考慮してリスク評価を行うことを断っ

た上で雄の 50000 ppm 群の肝細胞変性を指標として 25000 ppm を NOAEL に採用している

(EU 2002)我が国の環境省も同試験における雌の 25000 ppm 群の脾臓での髄外造血亢進前

胃のアカントーシス (表皮肥厚) を指標に 1120 mgkg日 (雄) を NOAEL としている (環境省

2003)米国 EPA は 1988 年に評価しKociba らの 2 年間の経口投与 (混餌) 試験において最高

用量群でも影響が出ていないことから1 mgkg日を NOEL としている (US EPA 2002)

IPCSカナダ環境省保健省及びオーストリア保健高齢者担当省ではデカブロモジフェニ

ルエーテルのリスク評価を実施していない

923 暴露マージンの算出

デカブロモジフェニルエーテルは経口及び吸入の暴露経路が想定されるが吸入経路の推

定摂取量が非常に小さくまた吸入暴露試験の報告は得られていないためここでは経口経路

による暴露マージン (MOE) のみを算出した (表 9-2)

a 経口経路での暴露マージン

ラットの 2 年間経口投与 (混餌) 試験から得られた LOAEL 1120 mgkg日を用いて以下の

ように算出した

MOE=LOAEL ヒト体重 1 kg あたりの 1 日推定経口摂取量

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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33

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Norris JM Ehrmantraut JW Gibbons CL Kociba RJ Schwetz BA Rose JQ Humiston

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Toxicological and Environmental Factors involved in the selection of decabromodiphenyl

oxide as a fire retardant chemical Applied Polymer Symposia 22 195-219

Norris JM Ehrmantraut JW Gibbons CL Kociba RJ Schwetz BA Rose JQ Humiston

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Toxicological and Environmental Factors involved in the selection of decabromodiphenyl

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34

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平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

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化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 36: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

30

=1120 (mgkg日) 0006 (μgkg日)

=190000000

不確実係数動物とヒトの種差についての不確実係数 (10)

個人差についての不確実係数 (10)

LOAEL の使用 (10)

不確実係数積1000

表9-2 デカブロモジフェニルエーテルの暴露マージンと不確実係数積

摂取経路 体重 1 kg あたりの

1 日推定摂取量 (μgkg日)

NOAEL (mgkg日)

MOE 不確実係数積

吸入 0000012 -1) -2) -2) 経口 0006 1120 3) 190000000 1000 4)

1) 調査した範囲では影響を適切に評価できる試験報告は得られていない 2) 算出せず 3) LOAEL を用いた 4) 種差 (10)times個人差 (10)timesLOAEL の使用 (10)

924 ヒト健康に対するリスク評価結果

表 9-2に示したようにデカブロモジフェニルエーテルの経口経路における MOE 190000000

は不確実係数積 1000 よりも大きく現時点ではデカブロモジフェニルエーテルがヒト健康に

悪影響を及ぼすことはないと判断する

31

文 献

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BASF (1984b) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83

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1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

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NY

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NY

SRC Syracuse Research Corporation (2003) KowWin Estimation Software ver 166 North Syracuse

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2003) PcKocWin Estimation Software ver 166 North

Syracuse NY

SRC Syracuse Research Corporation (2002) PhysProp Database North Syracuse NY

(httpescsyrrescominterkowphysdemohtm から引用)

Stanley JS Cramer PH Thornburg KR Remmers JC Breen JJ and Schwenberger J (1991)

Mass spectral confirmation of chlorinated and brominated diphenylethers in human adipose

tissues Chemosphere 23 1185-1195 (EU 2002 から引用)

Thuresson K Jakobsson K Hagmar L Sjodin A and Bergman A (2002) Decabromodiphenyl

ether exposure to workers manufacturing rubber and in an industrial setting producing rubber

coated electric wires Organohalogen Compounds 58 165-168

US EPA Environmental Protection Agency (2002a) ECOTOX (ECOTOXicology) database

(httpwwwepagovecotoxから引用)

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(httptoxnetnlmnihgovcgi-binsishtmlgenHSDB から引用)

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2001

Viberg H Fredriksson A Jakobsson E Orn U and Eriksson P (2001) Brominated flame retardant

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209) in the neonatal mouse Poster presentation Second International Workshop on

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2002 から引用)

Walsh GE Yoder MJ McLaughlin LL and Lores EM (1987) Responses of marine unicellular

algae to brominated organic compounds in six growth media Ecotox Environ Safety 14

215-222

化学物質評価研究機構 (2001a) 平成 12 年度経済産業省委託研究 化学物質有害性リスク調査

35

等報告書 補遺 1-オクタノールと水との間の分配係数試験 (HPLC)

化学物質評価研究機構 (2001b) 化学物質有害性リスク調査等報告書-PRTR 法指定化学物質

の環境挙動生態影響健康影響- 平成 12 年度経済産業省委託研究

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第 一 法 規 出 版 東 京 (httpwwwcerijorjpceri_jpkoukaisheetsheet_indx4htm

httpwwwsafenitegojpdataindexpk_hyokahyoka_home に記載あり)

化学物質評価研究機構 (2003) 疎水性化合物の濃縮性に及ぼす立体的かさ高さの影響について

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

環境省 (2002) 報道発表資料 (平成 14 年 12 月 24 日) 平成 13 年度臭素系ダイオキシン類に関す

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環境庁 (1989) 昭和63年版化学物質と環境

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輸 入 の 合 計 数 量 に 関 す る 公 表 ) 官 報 平 成 15 年 3 月 11 日

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記載あり)

経済産業省 (2004) 化学物質の「1-オクタノール水分配係数」又は「分子量」を魚介類の体内

における濃縮度を判定するための知見として取り扱うことについて (案) (平成 16 年 5

月 28 日)

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

経済産業省 環境省 (2003a) 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に

関する法律 (化学物質排出把握管理促進法)に基づく届出排出量及び移動量並びに届出

外排出量の集計結果について〈排出年度平成 13 年度〉

経済産業省 環境省 (2003b) 平成 13 年度 PRTR 届出外排出量の推計方法等の概要

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkohyotodokedegaisanshutudatahtm に

記載あり)

産業技術総合研究所(2003) 化学物質リスク管理研究センター第一回技術講習会テキスト産

総研―曝露リスク評価大気拡散モデル (AIST-ADMER モデル)

製品評価技術基盤機構 (2003) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

製品評価技術基盤機構 (2004) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 15 年度研究報告書 平成 15 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

通商産業省 (1992) 通商産業省基礎産業局化学品安全課 監修 化審法既存化学物質安全点検デ

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(httpwwwnitegojp から引用)

36

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について-2002 年度化学物質排出量調査結果- (2001 年度実績)

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(httpwwwjwrforjpshowcaseに記載あり)

東野晴行 北林興二 井上和也 米澤義尭 (2003) 暴露リスク評価大気拡散モデル (ADMER)

の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 37: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

31

文 献

(文献検索時期2002 年 4 月1))

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BASF (1984b) Ames metabolic activation test to assess the potential mutagenic effect of Muster 83

with cover letter dated 031290 Huntingdon Research EPA Doc ID 86-900000368

OTS0522931

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Great Lakes Chemical (1974b) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Acute dermal toxicity in the Albino

rabbit Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974c) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Acute inhalation toxicity in the male

Albino rat Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

Great Lakes Chemical (1974d) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary skin irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

1) データベースの検索を 2002 年 4 月に実施し発生源情報等で新たなデータを入手した際には文献を更新し

32

Great Lakes Chemical (1974e) Toxicity data on DBDPO (DE-83) Primary eye irritation in Albino

rabbits Unpublished Laboratory Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

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Report Intl Res amp Dev Corp (EU 2002 から引用)

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The pH 67 Syrian hamster embryo cell transformation assay for assessing the carcinogenic

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33

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Toxicological and Environmental Factors involved in the selection of decabromodiphenyl

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34

NY

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化学物質評価研究機構 (2001b) 化学物質有害性リスク調査等報告書-PRTR 法指定化学物質

の環境挙動生態影響健康影響- 平成 12 年度経済産業省委託研究

化学物質評価研究機構 (2002) 化学物質ハザードデータ集 経済産業省化学物質管理課監修

第 一 法 規 出 版 東 京 (httpwwwcerijorjpceri_jpkoukaisheetsheet_indx4htm

httpwwwsafenitegojpdataindexpk_hyokahyoka_home に記載あり)

化学物質評価研究機構 (2003) 疎水性化合物の濃縮性に及ぼす立体的かさ高さの影響について

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

環境省 (2002) 報道発表資料 (平成 14 年 12 月 24 日) 平成 13 年度臭素系ダイオキシン類に関す

る調査結果について (httpwwwenvgojppresspressphp3serial=3839 に記載あり)

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経済産業省 (2003) 告示第 53 号 (平成 13 年度 化学物質審査規制法 指定化学物質の製造及び

輸 入 の 合 計 数 量 に 関 す る 公 表 ) 官 報 平 成 15 年 3 月 11 日

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記載あり)

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(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

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関する法律 (化学物質排出把握管理促進法)に基づく届出排出量及び移動量並びに届出

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経済産業省 環境省 (2003b) 平成 13 年度 PRTR 届出外排出量の推計方法等の概要

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkohyotodokedegaisanshutudatahtm に

記載あり)

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製品評価技術基盤機構 (2003) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

製品評価技術基盤機構 (2004) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 15 年度研究報告書 平成 15 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

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36

通商産業省 (1978)通商産業省公報 (1978 年 12 月 16 日) 製品評価技術基盤機構化学物質管理情

報 (httpwwwnitegojp から引用)

日本化学工業協会 (2002a) (社) 日本化学工業協会のレスポンシブルケアによる PRTR の実施

について-2002 年度化学物質排出量調査結果- (2001 年度実績)

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る調査 (II) (環境庁委託業務)

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(httpwwwjwrforjpshowcaseに記載あり)

東野晴行 北林興二 井上和也 米澤義尭 (2003) 暴露リスク評価大気拡散モデル (ADMER)

の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
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32

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(EU 2002 から引用)

IPCS International Programme on Chemical Safety (1994) Environmental Health Criteria 162

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Klasson Wehler E Moumlrck A and Hakk H (2001) Metabolism of polybrominated diphenyl ethers in

the rat Second International Workshop on Brominated Flame Retardants May 14-16

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Kociba RJ Frauson LO Humiston CG Norris JM Wade CE Lisowe RW Quast JF Jersey

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toxicity test with Lumbriculus variegatus using spiked sediment with 5 total organic carbon

Wildlife International Ltd Project Number 439A-114 Wildlife International Ltd Maryland

United States (EU 2002 から引用)

LeBoeuf RA Kerckaert GA Aardema MJ Gibson DP Brauninger R and Isfort RJ (1996)

The pH 67 Syrian hamster embryo cell transformation assay for assessing the carcinogenic

potential of chemicals Mutat Res 356 85-127

Mackay D Paterson D and Shiu WY (1992) Generic Models for evaluating the regional fate of

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McGregor DB Brown A Cattanach P Edwards I McBride D Riach C and Caspary WJ

(1988) Responses of the L5178Y tk-positive-tk-negative mouse lymphoma cell forward

mutation assay III 72 coded chemicals Environ Mol Mutagen 12 85-154

Meironyte D Bergman A and Noren K (1998) Analysis of polybrominated diphenyl ethers in human

milk Proceedings from Polymer Additives and Monomers Organohalogen Compounds 35

387-390 (EU 2002 から引用)

Meironyte D Noren K and Bergman A (1999) Analysis of polybrominated diphenyl ethers in

33

Swedish human milk A time-related trend study 1972-1997 J Toxicol Environl Health Part

A 58 329-341 (EU 2002 から引用)

Morck A and Klasson Wehler E (2001) Metabolism of decabromodiphenyl ether (BDE-209) in the rat

Poster presentation Second International Workshop on Brominated Flame Retardants May

14-16 Stockholm University Sweden pp291-294 (EU 2002 から引用)

NIST National Institute of Standards and Technology (1998) NISTEPANIH Mass Spectral Library

Gaithersburg MDNoren K and Meironyte D (1998) Contaminants in Swedish human milk

Decreasing levels of organochlorine and increasing levels of organobromine compounds

Organohalogen Compounds 38 1-4 (EU 2002 から引用)

Norris JM Ehrmantraut JW Gibbons CL Kociba RJ Schwetz BA Rose JQ Humiston

CG Jewett GL Crummett WB Gehring PJ Tirsell JB and Brosier JS (1973)

Toxicological and Environmental Factors involved in the selection of decabromodiphenyl

oxide as a fire retardant chemical Applied Polymer Symposia 22 195-219

Norris JM Ehrmantraut JW Gibbons CL Kociba RJ Schwetz BA Rose JQ Humiston

CG Jewett GL Crummett WB Gehring PJ Tirsell JB and Brosier JS (1974)

Toxicological and Environmental Factors involved in the selection of decabromodiphenyl

oxide as a fire retardant chemical J Fire Flamm Combust Toxicol 1 52-77 (EU 2002

IPCS 1994 から引用)

Norris JM Kociba RJ Schwetz BA Rose JQ Humiston CG Jewett GL Gehring PJ and

Mailhes JB (1975) Toxicology of octabromodiphenyl and decabromodiphenyl oxide Environ

Health Perspect 11 153-161

Noren K and Meironyte D (1998) Contaminants in Swdish human milk Decreasing level of

organochlorine and increasing level of organobromine compounds Organohalogen Compounds

38 1-4 (EU 2002 IPCS 1994 から引用)

Patterson DG Sjodin A and Bergman A (2000) Brominated flame retardants in serum from US

blood donors Organohalogen Compounds 47 45-48 (EU 2002 から引用)

Porch JR and Krueger HO (2001) Decabromodiphenyl oxide (DBDPO) a toxicity test to determine

the effects of the substance on seedling emergence of six species of plants Wildlife

International Ltd Project Number 439-101 Wildlife International Ltd Maryland United States

(EU 2002 から引用)

Schaefer EC and Siddiqui AI (2001) Decabromodiphenyl oxide an activated sludge respiration

inhibition test Wildlife International Ltd Project Number 439E-106 Wildlife International

Ltd Maryland United States (EU 2002 から引用)

Sjodin A Hagmar L Klasson-Wehler E Kronholm-Diab K Jakobsson E and Bergman A (1999)

Flame retardant exposure polybrominated diphenyl ethers in blood from Swedish workers

Environ Health Perspect 107 643-648

SRC Syracuse Research Corporation (2003) AopWin Estimation Software ver 190 North Syracuse

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2003) BcfWin Estimation Software ver 214 North Syracuse

34

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2002) HenryWin Estimation Software ver 310 North Syracuse

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2003) KowWin Estimation Software ver 166 North Syracuse

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2003) PcKocWin Estimation Software ver 166 North

Syracuse NY

SRC Syracuse Research Corporation (2002) PhysProp Database North Syracuse NY

(httpescsyrrescominterkowphysdemohtm から引用)

Stanley JS Cramer PH Thornburg KR Remmers JC Breen JJ and Schwenberger J (1991)

Mass spectral confirmation of chlorinated and brominated diphenylethers in human adipose

tissues Chemosphere 23 1185-1195 (EU 2002 から引用)

Thuresson K Jakobsson K Hagmar L Sjodin A and Bergman A (2002) Decabromodiphenyl

ether exposure to workers manufacturing rubber and in an industrial setting producing rubber

coated electric wires Organohalogen Compounds 58 165-168

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(httpwwwepagovecotoxから引用)

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US NLM National Library of Medicine (2001) HSDB Hazardous Substance Data Bank

(httptoxnetnlmnihgovcgi-binsishtmlgenHSDB から引用)

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209) in the neonatal mouse Poster presentation Second International Workshop on

Brominated Flame Retardants May 14-16 Stockholm University Sweden pp279-281 (EU

2002 から引用)

Walsh GE Yoder MJ McLaughlin LL and Lores EM (1987) Responses of marine unicellular

algae to brominated organic compounds in six growth media Ecotox Environ Safety 14

215-222

化学物質評価研究機構 (2001a) 平成 12 年度経済産業省委託研究 化学物質有害性リスク調査

35

等報告書 補遺 1-オクタノールと水との間の分配係数試験 (HPLC)

化学物質評価研究機構 (2001b) 化学物質有害性リスク調査等報告書-PRTR 法指定化学物質

の環境挙動生態影響健康影響- 平成 12 年度経済産業省委託研究

化学物質評価研究機構 (2002) 化学物質ハザードデータ集 経済産業省化学物質管理課監修

第 一 法 規 出 版 東 京 (httpwwwcerijorjpceri_jpkoukaisheetsheet_indx4htm

httpwwwsafenitegojpdataindexpk_hyokahyoka_home に記載あり)

化学物質評価研究機構 (2003) 疎水性化合物の濃縮性に及ぼす立体的かさ高さの影響について

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

環境省 (2002) 報道発表資料 (平成 14 年 12 月 24 日) 平成 13 年度臭素系ダイオキシン類に関す

る調査結果について (httpwwwenvgojppresspressphp3serial=3839 に記載あり)

環境庁 (1988) 昭和62年版化学物質と環境

環境庁 (1989) 昭和63年版化学物質と環境

環境庁 (1997) 平成9年版化学物質と環境

環境省 (2003) 化学物質の環境リスク評価 第 2 巻 平成 15 年 3 月

経済産業省 (2003) 告示第 53 号 (平成 13 年度 化学物質審査規制法 指定化学物質の製造及び

輸 入 の 合 計 数 量 に 関 す る 公 表 ) 官 報 平 成 15 年 3 月 11 日

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkasinhouetcjittaityousakouhyoupdf に

記載あり)

経済産業省 (2004) 化学物質の「1-オクタノール水分配係数」又は「分子量」を魚介類の体内

における濃縮度を判定するための知見として取り扱うことについて (案) (平成 16 年 5

月 28 日)

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

経済産業省 環境省 (2003a) 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に

関する法律 (化学物質排出把握管理促進法)に基づく届出排出量及び移動量並びに届出

外排出量の集計結果について〈排出年度平成 13 年度〉

経済産業省 環境省 (2003b) 平成 13 年度 PRTR 届出外排出量の推計方法等の概要

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkohyotodokedegaisanshutudatahtm に

記載あり)

産業技術総合研究所(2003) 化学物質リスク管理研究センター第一回技術講習会テキスト産

総研―曝露リスク評価大気拡散モデル (AIST-ADMER モデル)

製品評価技術基盤機構 (2003) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

製品評価技術基盤機構 (2004) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 15 年度研究報告書 平成 15 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

通商産業省 (1992) 通商産業省基礎産業局化学品安全課 監修 化審法既存化学物質安全点検デ

ータ集 日本化学物質安全情報センター (製品評価技術基盤機構 化学物質管理情報

(httpwwwnitegojp から引用)

36

通商産業省 (1978)通商産業省公報 (1978 年 12 月 16 日) 製品評価技術基盤機構化学物質管理情

報 (httpwwwnitegojp から引用)

日本化学工業協会 (2002a) (社) 日本化学工業協会のレスポンシブルケアによる PRTR の実施

について-2002 年度化学物質排出量調査結果- (2001 年度実績)

日本化学工業協会 (2002b) PRTR 対象物質 簡易評価システム version20

日本産業衛生学会 (2002) 許容濃度等の勧告 産業衛生学雑誌 44 140-164

日本食品分析センター (1999) 平成 10 年度 食事中ダイオキシン類等の化学物質暴露量に関す

る調査 (II) (環境庁委託業務)

廃棄物研究財団 (2003) 化学物質の循環廃棄過程における制御方法に関する研究

(httpwwwjwrforjpshowcaseに記載あり)

東野晴行 北林興二 井上和也 米澤義尭 (2003) 暴露リスク評価大気拡散モデル (ADMER)

の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 39: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

33

Swedish human milk A time-related trend study 1972-1997 J Toxicol Environl Health Part

A 58 329-341 (EU 2002 から引用)

Morck A and Klasson Wehler E (2001) Metabolism of decabromodiphenyl ether (BDE-209) in the rat

Poster presentation Second International Workshop on Brominated Flame Retardants May

14-16 Stockholm University Sweden pp291-294 (EU 2002 から引用)

NIST National Institute of Standards and Technology (1998) NISTEPANIH Mass Spectral Library

Gaithersburg MDNoren K and Meironyte D (1998) Contaminants in Swedish human milk

Decreasing levels of organochlorine and increasing levels of organobromine compounds

Organohalogen Compounds 38 1-4 (EU 2002 から引用)

Norris JM Ehrmantraut JW Gibbons CL Kociba RJ Schwetz BA Rose JQ Humiston

CG Jewett GL Crummett WB Gehring PJ Tirsell JB and Brosier JS (1973)

Toxicological and Environmental Factors involved in the selection of decabromodiphenyl

oxide as a fire retardant chemical Applied Polymer Symposia 22 195-219

Norris JM Ehrmantraut JW Gibbons CL Kociba RJ Schwetz BA Rose JQ Humiston

CG Jewett GL Crummett WB Gehring PJ Tirsell JB and Brosier JS (1974)

Toxicological and Environmental Factors involved in the selection of decabromodiphenyl

oxide as a fire retardant chemical J Fire Flamm Combust Toxicol 1 52-77 (EU 2002

IPCS 1994 から引用)

Norris JM Kociba RJ Schwetz BA Rose JQ Humiston CG Jewett GL Gehring PJ and

Mailhes JB (1975) Toxicology of octabromodiphenyl and decabromodiphenyl oxide Environ

Health Perspect 11 153-161

Noren K and Meironyte D (1998) Contaminants in Swdish human milk Decreasing level of

organochlorine and increasing level of organobromine compounds Organohalogen Compounds

38 1-4 (EU 2002 IPCS 1994 から引用)

Patterson DG Sjodin A and Bergman A (2000) Brominated flame retardants in serum from US

blood donors Organohalogen Compounds 47 45-48 (EU 2002 から引用)

Porch JR and Krueger HO (2001) Decabromodiphenyl oxide (DBDPO) a toxicity test to determine

the effects of the substance on seedling emergence of six species of plants Wildlife

International Ltd Project Number 439-101 Wildlife International Ltd Maryland United States

(EU 2002 から引用)

Schaefer EC and Siddiqui AI (2001) Decabromodiphenyl oxide an activated sludge respiration

inhibition test Wildlife International Ltd Project Number 439E-106 Wildlife International

Ltd Maryland United States (EU 2002 から引用)

Sjodin A Hagmar L Klasson-Wehler E Kronholm-Diab K Jakobsson E and Bergman A (1999)

Flame retardant exposure polybrominated diphenyl ethers in blood from Swedish workers

Environ Health Perspect 107 643-648

SRC Syracuse Research Corporation (2003) AopWin Estimation Software ver 190 North Syracuse

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2003) BcfWin Estimation Software ver 214 North Syracuse

34

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2002) HenryWin Estimation Software ver 310 North Syracuse

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2003) KowWin Estimation Software ver 166 North Syracuse

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2003) PcKocWin Estimation Software ver 166 North

Syracuse NY

SRC Syracuse Research Corporation (2002) PhysProp Database North Syracuse NY

(httpescsyrrescominterkowphysdemohtm から引用)

Stanley JS Cramer PH Thornburg KR Remmers JC Breen JJ and Schwenberger J (1991)

Mass spectral confirmation of chlorinated and brominated diphenylethers in human adipose

tissues Chemosphere 23 1185-1195 (EU 2002 から引用)

Thuresson K Jakobsson K Hagmar L Sjodin A and Bergman A (2002) Decabromodiphenyl

ether exposure to workers manufacturing rubber and in an industrial setting producing rubber

coated electric wires Organohalogen Compounds 58 165-168

US EPA Environmental Protection Agency (2002a) ECOTOX (ECOTOXicology) database

(httpwwwepagovecotoxから引用)

US EPA Environmental Protection Agency (2002b) Integrated Risk Information System National

Library of Medicine (httptoxnetnlmnihgovcgi-binsishtmlgenIRIS から引用)

US NIOSH National Institute for Occupational Safety and Health (2002) Registry of Toxic Effects of

Chemical Substances STN online

US NLM National Library of Medicine (2001) HSDB Hazardous Substance Data Bank

(httptoxnetnlmnihgovcgi-binsishtmlgenHSDB から引用)

US NTP National Toxicology Program (1986) US Department of Health and Human Services

Toxicology and carcinogenesis studies of decabromodiphenyl oxide in F344N rats and B6C3F1

mice (feed studies) Technical Report No 309

US NTP National Toxicology Program (2001) US Department of Health and Human Services Public

Health Service National Toxicology Program 9th Report on Carcinogens Revised January

2001

Viberg H Fredriksson A Jakobsson E Orn U and Eriksson P (2001) Brominated flame retardant

uptake retention and developmental neurotoxic effects of decabromodiphenyl ether (PBDE

209) in the neonatal mouse Poster presentation Second International Workshop on

Brominated Flame Retardants May 14-16 Stockholm University Sweden pp279-281 (EU

2002 から引用)

Walsh GE Yoder MJ McLaughlin LL and Lores EM (1987) Responses of marine unicellular

algae to brominated organic compounds in six growth media Ecotox Environ Safety 14

215-222

化学物質評価研究機構 (2001a) 平成 12 年度経済産業省委託研究 化学物質有害性リスク調査

35

等報告書 補遺 1-オクタノールと水との間の分配係数試験 (HPLC)

化学物質評価研究機構 (2001b) 化学物質有害性リスク調査等報告書-PRTR 法指定化学物質

の環境挙動生態影響健康影響- 平成 12 年度経済産業省委託研究

化学物質評価研究機構 (2002) 化学物質ハザードデータ集 経済産業省化学物質管理課監修

第 一 法 規 出 版 東 京 (httpwwwcerijorjpceri_jpkoukaisheetsheet_indx4htm

httpwwwsafenitegojpdataindexpk_hyokahyoka_home に記載あり)

化学物質評価研究機構 (2003) 疎水性化合物の濃縮性に及ぼす立体的かさ高さの影響について

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

環境省 (2002) 報道発表資料 (平成 14 年 12 月 24 日) 平成 13 年度臭素系ダイオキシン類に関す

る調査結果について (httpwwwenvgojppresspressphp3serial=3839 に記載あり)

環境庁 (1988) 昭和62年版化学物質と環境

環境庁 (1989) 昭和63年版化学物質と環境

環境庁 (1997) 平成9年版化学物質と環境

環境省 (2003) 化学物質の環境リスク評価 第 2 巻 平成 15 年 3 月

経済産業省 (2003) 告示第 53 号 (平成 13 年度 化学物質審査規制法 指定化学物質の製造及び

輸 入 の 合 計 数 量 に 関 す る 公 表 ) 官 報 平 成 15 年 3 月 11 日

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkasinhouetcjittaityousakouhyoupdf に

記載あり)

経済産業省 (2004) 化学物質の「1-オクタノール水分配係数」又は「分子量」を魚介類の体内

における濃縮度を判定するための知見として取り扱うことについて (案) (平成 16 年 5

月 28 日)

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

経済産業省 環境省 (2003a) 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に

関する法律 (化学物質排出把握管理促進法)に基づく届出排出量及び移動量並びに届出

外排出量の集計結果について〈排出年度平成 13 年度〉

経済産業省 環境省 (2003b) 平成 13 年度 PRTR 届出外排出量の推計方法等の概要

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkohyotodokedegaisanshutudatahtm に

記載あり)

産業技術総合研究所(2003) 化学物質リスク管理研究センター第一回技術講習会テキスト産

総研―曝露リスク評価大気拡散モデル (AIST-ADMER モデル)

製品評価技術基盤機構 (2003) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

製品評価技術基盤機構 (2004) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 15 年度研究報告書 平成 15 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

通商産業省 (1992) 通商産業省基礎産業局化学品安全課 監修 化審法既存化学物質安全点検デ

ータ集 日本化学物質安全情報センター (製品評価技術基盤機構 化学物質管理情報

(httpwwwnitegojp から引用)

36

通商産業省 (1978)通商産業省公報 (1978 年 12 月 16 日) 製品評価技術基盤機構化学物質管理情

報 (httpwwwnitegojp から引用)

日本化学工業協会 (2002a) (社) 日本化学工業協会のレスポンシブルケアによる PRTR の実施

について-2002 年度化学物質排出量調査結果- (2001 年度実績)

日本化学工業協会 (2002b) PRTR 対象物質 簡易評価システム version20

日本産業衛生学会 (2002) 許容濃度等の勧告 産業衛生学雑誌 44 140-164

日本食品分析センター (1999) 平成 10 年度 食事中ダイオキシン類等の化学物質暴露量に関す

る調査 (II) (環境庁委託業務)

廃棄物研究財団 (2003) 化学物質の循環廃棄過程における制御方法に関する研究

(httpwwwjwrforjpshowcaseに記載あり)

東野晴行 北林興二 井上和也 米澤義尭 (2003) 暴露リスク評価大気拡散モデル (ADMER)

の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 40: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

34

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2002) HenryWin Estimation Software ver 310 North Syracuse

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2003) KowWin Estimation Software ver 166 North Syracuse

NY

SRC Syracuse Research Corporation (2003) PcKocWin Estimation Software ver 166 North

Syracuse NY

SRC Syracuse Research Corporation (2002) PhysProp Database North Syracuse NY

(httpescsyrrescominterkowphysdemohtm から引用)

Stanley JS Cramer PH Thornburg KR Remmers JC Breen JJ and Schwenberger J (1991)

Mass spectral confirmation of chlorinated and brominated diphenylethers in human adipose

tissues Chemosphere 23 1185-1195 (EU 2002 から引用)

Thuresson K Jakobsson K Hagmar L Sjodin A and Bergman A (2002) Decabromodiphenyl

ether exposure to workers manufacturing rubber and in an industrial setting producing rubber

coated electric wires Organohalogen Compounds 58 165-168

US EPA Environmental Protection Agency (2002a) ECOTOX (ECOTOXicology) database

(httpwwwepagovecotoxから引用)

US EPA Environmental Protection Agency (2002b) Integrated Risk Information System National

Library of Medicine (httptoxnetnlmnihgovcgi-binsishtmlgenIRIS から引用)

US NIOSH National Institute for Occupational Safety and Health (2002) Registry of Toxic Effects of

Chemical Substances STN online

US NLM National Library of Medicine (2001) HSDB Hazardous Substance Data Bank

(httptoxnetnlmnihgovcgi-binsishtmlgenHSDB から引用)

US NTP National Toxicology Program (1986) US Department of Health and Human Services

Toxicology and carcinogenesis studies of decabromodiphenyl oxide in F344N rats and B6C3F1

mice (feed studies) Technical Report No 309

US NTP National Toxicology Program (2001) US Department of Health and Human Services Public

Health Service National Toxicology Program 9th Report on Carcinogens Revised January

2001

Viberg H Fredriksson A Jakobsson E Orn U and Eriksson P (2001) Brominated flame retardant

uptake retention and developmental neurotoxic effects of decabromodiphenyl ether (PBDE

209) in the neonatal mouse Poster presentation Second International Workshop on

Brominated Flame Retardants May 14-16 Stockholm University Sweden pp279-281 (EU

2002 から引用)

Walsh GE Yoder MJ McLaughlin LL and Lores EM (1987) Responses of marine unicellular

algae to brominated organic compounds in six growth media Ecotox Environ Safety 14

215-222

化学物質評価研究機構 (2001a) 平成 12 年度経済産業省委託研究 化学物質有害性リスク調査

35

等報告書 補遺 1-オクタノールと水との間の分配係数試験 (HPLC)

化学物質評価研究機構 (2001b) 化学物質有害性リスク調査等報告書-PRTR 法指定化学物質

の環境挙動生態影響健康影響- 平成 12 年度経済産業省委託研究

化学物質評価研究機構 (2002) 化学物質ハザードデータ集 経済産業省化学物質管理課監修

第 一 法 規 出 版 東 京 (httpwwwcerijorjpceri_jpkoukaisheetsheet_indx4htm

httpwwwsafenitegojpdataindexpk_hyokahyoka_home に記載あり)

化学物質評価研究機構 (2003) 疎水性化合物の濃縮性に及ぼす立体的かさ高さの影響について

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

環境省 (2002) 報道発表資料 (平成 14 年 12 月 24 日) 平成 13 年度臭素系ダイオキシン類に関す

る調査結果について (httpwwwenvgojppresspressphp3serial=3839 に記載あり)

環境庁 (1988) 昭和62年版化学物質と環境

環境庁 (1989) 昭和63年版化学物質と環境

環境庁 (1997) 平成9年版化学物質と環境

環境省 (2003) 化学物質の環境リスク評価 第 2 巻 平成 15 年 3 月

経済産業省 (2003) 告示第 53 号 (平成 13 年度 化学物質審査規制法 指定化学物質の製造及び

輸 入 の 合 計 数 量 に 関 す る 公 表 ) 官 報 平 成 15 年 3 月 11 日

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkasinhouetcjittaityousakouhyoupdf に

記載あり)

経済産業省 (2004) 化学物質の「1-オクタノール水分配係数」又は「分子量」を魚介類の体内

における濃縮度を判定するための知見として取り扱うことについて (案) (平成 16 年 5

月 28 日)

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

経済産業省 環境省 (2003a) 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に

関する法律 (化学物質排出把握管理促進法)に基づく届出排出量及び移動量並びに届出

外排出量の集計結果について〈排出年度平成 13 年度〉

経済産業省 環境省 (2003b) 平成 13 年度 PRTR 届出外排出量の推計方法等の概要

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkohyotodokedegaisanshutudatahtm に

記載あり)

産業技術総合研究所(2003) 化学物質リスク管理研究センター第一回技術講習会テキスト産

総研―曝露リスク評価大気拡散モデル (AIST-ADMER モデル)

製品評価技術基盤機構 (2003) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

製品評価技術基盤機構 (2004) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 15 年度研究報告書 平成 15 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

通商産業省 (1992) 通商産業省基礎産業局化学品安全課 監修 化審法既存化学物質安全点検デ

ータ集 日本化学物質安全情報センター (製品評価技術基盤機構 化学物質管理情報

(httpwwwnitegojp から引用)

36

通商産業省 (1978)通商産業省公報 (1978 年 12 月 16 日) 製品評価技術基盤機構化学物質管理情

報 (httpwwwnitegojp から引用)

日本化学工業協会 (2002a) (社) 日本化学工業協会のレスポンシブルケアによる PRTR の実施

について-2002 年度化学物質排出量調査結果- (2001 年度実績)

日本化学工業協会 (2002b) PRTR 対象物質 簡易評価システム version20

日本産業衛生学会 (2002) 許容濃度等の勧告 産業衛生学雑誌 44 140-164

日本食品分析センター (1999) 平成 10 年度 食事中ダイオキシン類等の化学物質暴露量に関す

る調査 (II) (環境庁委託業務)

廃棄物研究財団 (2003) 化学物質の循環廃棄過程における制御方法に関する研究

(httpwwwjwrforjpshowcaseに記載あり)

東野晴行 北林興二 井上和也 米澤義尭 (2003) 暴露リスク評価大気拡散モデル (ADMER)

の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 41: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

35

等報告書 補遺 1-オクタノールと水との間の分配係数試験 (HPLC)

化学物質評価研究機構 (2001b) 化学物質有害性リスク調査等報告書-PRTR 法指定化学物質

の環境挙動生態影響健康影響- 平成 12 年度経済産業省委託研究

化学物質評価研究機構 (2002) 化学物質ハザードデータ集 経済産業省化学物質管理課監修

第 一 法 規 出 版 東 京 (httpwwwcerijorjpceri_jpkoukaisheetsheet_indx4htm

httpwwwsafenitegojpdataindexpk_hyokahyoka_home に記載あり)

化学物質評価研究機構 (2003) 疎水性化合物の濃縮性に及ぼす立体的かさ高さの影響について

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

環境省 (2002) 報道発表資料 (平成 14 年 12 月 24 日) 平成 13 年度臭素系ダイオキシン類に関す

る調査結果について (httpwwwenvgojppresspressphp3serial=3839 に記載あり)

環境庁 (1988) 昭和62年版化学物質と環境

環境庁 (1989) 昭和63年版化学物質と環境

環境庁 (1997) 平成9年版化学物質と環境

環境省 (2003) 化学物質の環境リスク評価 第 2 巻 平成 15 年 3 月

経済産業省 (2003) 告示第 53 号 (平成 13 年度 化学物質審査規制法 指定化学物質の製造及び

輸 入 の 合 計 数 量 に 関 す る 公 表 ) 官 報 平 成 15 年 3 月 11 日

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkasinhouetcjittaityousakouhyoupdf に

記載あり)

経済産業省 (2004) 化学物質の「1-オクタノール水分配係数」又は「分子量」を魚介類の体内

における濃縮度を判定するための知見として取り扱うことについて (案) (平成 16 年 5

月 28 日)

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementnew_pagenousyukudo1126htm に記載

あり)

経済産業省 環境省 (2003a) 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に

関する法律 (化学物質排出把握管理促進法)に基づく届出排出量及び移動量並びに届出

外排出量の集計結果について〈排出年度平成 13 年度〉

経済産業省 環境省 (2003b) 平成 13 年度 PRTR 届出外排出量の推計方法等の概要

(httpwwwmetigojppolicychemical_managementkohyotodokedegaisanshutudatahtm に

記載あり)

産業技術総合研究所(2003) 化学物質リスク管理研究センター第一回技術講習会テキスト産

総研―曝露リスク評価大気拡散モデル (AIST-ADMER モデル)

製品評価技術基盤機構 (2003) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 14 年度研究報告書 平成 14 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

製品評価技術基盤機構 (2004) 化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発プロジェクト

平成 15 年度研究報告書 平成 15 年度新エネルギー産業技術総合開発機構委託研究

通商産業省 (1992) 通商産業省基礎産業局化学品安全課 監修 化審法既存化学物質安全点検デ

ータ集 日本化学物質安全情報センター (製品評価技術基盤機構 化学物質管理情報

(httpwwwnitegojp から引用)

36

通商産業省 (1978)通商産業省公報 (1978 年 12 月 16 日) 製品評価技術基盤機構化学物質管理情

報 (httpwwwnitegojp から引用)

日本化学工業協会 (2002a) (社) 日本化学工業協会のレスポンシブルケアによる PRTR の実施

について-2002 年度化学物質排出量調査結果- (2001 年度実績)

日本化学工業協会 (2002b) PRTR 対象物質 簡易評価システム version20

日本産業衛生学会 (2002) 許容濃度等の勧告 産業衛生学雑誌 44 140-164

日本食品分析センター (1999) 平成 10 年度 食事中ダイオキシン類等の化学物質暴露量に関す

る調査 (II) (環境庁委託業務)

廃棄物研究財団 (2003) 化学物質の循環廃棄過程における制御方法に関する研究

(httpwwwjwrforjpshowcaseに記載あり)

東野晴行 北林興二 井上和也 米澤義尭 (2003) 暴露リスク評価大気拡散モデル (ADMER)

の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 42: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

36

通商産業省 (1978)通商産業省公報 (1978 年 12 月 16 日) 製品評価技術基盤機構化学物質管理情

報 (httpwwwnitegojp から引用)

日本化学工業協会 (2002a) (社) 日本化学工業協会のレスポンシブルケアによる PRTR の実施

について-2002 年度化学物質排出量調査結果- (2001 年度実績)

日本化学工業協会 (2002b) PRTR 対象物質 簡易評価システム version20

日本産業衛生学会 (2002) 許容濃度等の勧告 産業衛生学雑誌 44 140-164

日本食品分析センター (1999) 平成 10 年度 食事中ダイオキシン類等の化学物質暴露量に関す

る調査 (II) (環境庁委託業務)

廃棄物研究財団 (2003) 化学物質の循環廃棄過程における制御方法に関する研究

(httpwwwjwrforjpshowcaseに記載あり)

東野晴行 北林興二 井上和也 米澤義尭 (2003) 暴露リスク評価大気拡散モデル (ADMER)

の開発 大気環境学会誌 38 (2) 100-115

若林明子 (2003) 化学物質と生態毒性 改訂版 丸善 東京

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献
Page 43: 化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-197 … 物質名..... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号..... 1 1.3 化学物質 1.4 CAS 登録番号

化学物質の初期リスク評価書 No56 デカブロモジフェニルエーテル

作成経緯 2004 年 3 月 Ver04 初期リスク評価指針 Ver10 に基づき原案作成 2005 年 2 月 有害性評価部分経済産業省化学物質審議会管理部審査部会 第

21 回安全評価管理小委員会 審議了承 2005 年 7 月 Ver10 公表 初期リスク評価責任者

プロジェクトリーダー 中 西 準 子 有害性評価外部レビュア 環境中の生物への影響 (7 章) 九州大学名誉教授 小 林 邦 男 ヒト健康への影響 (8 章) 大阪市立大学医学部第一病理学教室 福 島 昭 治 初期リスク評価実施機関リスク評価担当者

財団法人 化学物質評価研究機構 清 水 康 資 奈 良 志ほり 林 浩 次 三 浦 千 明

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 小 藤 めぐみ 連絡先 財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所

112-0004 東京都文京区後楽 1-4-25 日教販ビル 7F tel 03-5804-6136 fax 03-5804-6149

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター リスク評価課 住所 151-0066 東京都渋谷区西原 2-49-10 tel 03-3468-4096 fax 03-3481-1959

  • 表紙
  • 要約
  • 目次
  • 1章 化学物質の同定情報
    • 11 物質名
    • 12 化学物質審査規制法官報公示整理番号
    • 13 化学物質排出把握管理促進法政令号番号
    • 14 CAS登録番号
    • 15 構造式
    • 16 分子式
    • 17 分子量
      • 2章 一般情報
        • 21 別名
        • 22 純度
        • 23 不純物
        • 24 添加剤又は安定剤
        • 25 現在の我が国における法規制
          • 3章 物理化学的性状
          • 4章 発生源情報
            • 41 製造輸入量等
            • 42 用途情報
            • 43 排出源情報
            • 44 排出経路の推定
              • 5章 環境中運命
                • 51 大気中での安定性
                • 52 水中での安定性
                • 53 環境水中での動態
                • 54 生物濃縮性
                  • 6章 暴露評価
                    • 61 環境中分布推定
                    • 62 環境中濃度
                    • 63 水生生物生息環境における推定環境濃度
                    • 64 ヒトへの暴露シナリオ
                    • 65 推定摂取量
                      • 7章 環境中の生物への影響
                        • 71 水生生物に対する影響
                        • 72 陸生生物に対する影響
                        • 73 環境中の生物への影響(まとめ)
                          • 8章 ヒト健康への影響
                            • 81 生体内運命
                            • 82 疫学調査及び事例
                            • 83 実験動物に対する毒性
                            • 84 ヒト健康への影響(まとめ)
                              • 9章 リスク評価
                                • 91 環境中の生物に対するリスク評価
                                • 92 ヒト健康に対するリスク評価
                                  • 文献