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1 三角関数の復習
1.1 三角関数とは
三角関数は、角度と x座標、y座標を関連づけます XY座標に、原点を中心半径 1の円を書きます。そこ
に、適当な角度で線を引きます。角度の測り方は x軸から反時計まわりに測ります。今、角度を θ (シータ)
とします。このとき、線と円周の交点の x 座標が cos θ(コサイン シータ)、y 座標が sin θ(サイン シー
タ)となります。どちらがどちらかわからない場合は、筆記体の sと cを使って覚える方法があります。
x
y
x
y
θ θ
sinθ
cosθ
1 1
s
c
x
y
θsinθ
1
cosθ
また、線の傾き(=高さ底辺
)と角度 θ を結びつけるのが tan関数(タンジェント関数)です。この実習では
tanはあまり使いません。
1.2 特別な角度の三角関数の値
一般に、cos θ や、sin θ の値を求めるのは簡単ではありません。関数電卓やコンピュータが必要です。しか
しいくつか特別な角度では求めることができます。
1.2.1 0◦, 90◦, 180◦, 270◦
これは簡単です。下の図のようになるのは明らかです。
x
y
x
y
x
y
x
y
0°90°
180°270°
cos0 1
sin 0 0
° =
° =
cos90 0
sin 90 1
° =
° =
cos180 1
sin180 0
° = −
° =
cos 270 0
sin 270 1
° =
° = −
1
1.2.2 30◦, 60◦, 45◦
a
bc
2 2 2c a b= +
三平方の定理
(ピタゴラスの定理)
これは、すぐにはわかりませんが、三平方の定理を使って、少し考えればわ
かります。
三平方の定理(あるいはピタゴラスの定理)とは、直角三角形において、
(斜辺の長さ)2 =(底辺の長さ)2 +(高さ)2
というものでした。
直角二等辺三角形
底辺の長さが 1の直角二等辺三角形に(二等辺三角形なので、高さも 1になる)、三平方の定理を使って斜
辺の長さを求めてみます。
すると、下の図のような計算から、斜辺の長さは√2であることがわかります。
ここで全体をで割ると、斜辺の長さが 1の直角二等辺三角形の底辺と高さは 1√2であることがわかります。
x2 2 2
2
1 1
2
2
x
x
x
= +
=
=45°
45°
2
1
2
底辺が1の長さの直角二等辺三角形に三平方の定理を使うと
斜辺の長さが
であることがわかる
全体を で割ると
斜辺の長さが1の直角二等辺三角形の
底辺と高さの長さは1
2 である
1
2
2
2
1
1
1
1
1
45°
45°
45°
45°
2
正三角形の半分
一辺の長さが2の正三角形を半分にしたものを考えます。
出来た三角形は、底辺がの長さが 1、斜辺の長さが 1になります。これに三平方の定理を使って、高さを求
めてみましょう。
答は√2です。
全体を 2で割ると、斜辺の長さが 1の場合、底辺の長さは 1√2、高さは
√32 となることがわかります。
60°
60° 60°
60°
30°
1
2x
2 2 2
2
2
2 1
4 1
3
3
x
x
x
x
= +
= +
=
=
2 2
2
60°
30°
1
2
3
60°30°
1
1
2
3
2
一辺の長さが2の正三角形を考える
これを半分にして
三平方の定理で高さを求める
全体を2で割る
3
この結果から、斜辺の長さが 1 の、三種類の三角形の底辺の長さと高さがわかりました。(左の三角形は、
正三角形の半分の三角形を横倒しにしたもので、右の三角形と実質的には同じものである)
1
2
1
2
1
45°
45°60°30°
1
2
3
2
1
60°30°
1
2
1
3
2
x
yy
y
30° 45°
60°
11
1
3cos30
2° =
1cos 45
2° =
1cos60
2° =
sin 30
1
2
°
=
sin 45
1
2
°
=
sin 60
3
2
°
=
x
x
これから
cos 30◦ =
√3
2≈ 0.87
cos 45◦ =1√2≈ 0.71
cos 60◦ =1
2= 0.5
sin 30◦ =1
2= 0.5
sin 45◦ =1√2≈ 0.71
sin 60◦ =
√3
2≈ 0.87
ということがわかります。
4
さらに、対称性を利用して、120◦、135◦、150◦、210◦、225◦、240◦、300◦、315◦、330◦ の sinと cosもわか
ります。以上より、三角関数の sin、cosが手計算で求められるのは下に示す角度です。
30° 45° 60°x
0°
90° 120° 135° 150°
180° 210° 225°
270°
240°
300° 315° 330°
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
xx
x
x
x
y
y
y
y
y
y
y
y
y y
y y
y y
y y
5
1.3 実習
実習 1-1
以下の表を埋めましょう。ルートが含まれる場合は、正確な値と概算の小数も記入しましょう。
角度 θ sin θ cos θ
0◦
30◦
45◦
60◦
90◦
120◦
135◦
150◦
180◦
210◦
225◦
240◦
270◦
300◦
315◦
330◦
360◦
6
実習 1-2
実習 1-1の表を使って、sin θ と cos θ のグラフを書きましょう。まず、実習 1-1で求めた点を書き入れ(プ
ロットするといいます)、それをなめらかにつないでグラフを完成させましょう。
0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° 210° 240° 270° 300° 330° 360°45°135° 225° 315°
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
-0.2
-0.3
-0.4
-0.5
-0.6
-0.7
-0.8
-0.9
1
0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° 210° 240° 270° 300° 330° 360°45°135° 225° 315°
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
-0.2
-0.3
-0.4
-0.5
-0.6
-0.7
-0.8
-0.9
1
sinθ
cosθ
7
いくつかの決められた角度以外の一般的は角度での sinや cosの値は、関数電卓やコンピュータを使わない
と求められません。しかしここで使った角度の sin、cosは電卓やコンピュータがなくても求められるように
しておきましょう。
1.4 一般的な角度での三角関数
一般的な角度での sin、cos を計算するために、コンピュータを使います。関数電卓では角度の単位は deg
(度)ないし rad(ラジアン)が選べる場合が多いですが、Excelでは、三角関数を使う場合は、角度の単位は
ラジアンを使うことになっています。
1.4.1 ラジアン
ラジアンは角度の単位です、半径が 1の円の円弧の長さを使って角度を表します。
半径 1の円の円周は 2π です。よって、一周分の角度、すなわち 360◦ は 2π ラジアンになります。同様に考
えて、180◦ は π ラジアン、90◦ は π2 ラジアンになります。
θ
1
x
y
O
円弧の長さで
角度を表現するθ
1
x
y
O
θ
1
x
y
O
θ
1
x
y
O
θ=360°なら、
弧の長さは2π
θ=180°なら、
弧の長さは π
θ=90°なら、
弧の長さは2
π
一般に
度で表した角度 =ラジアンで表した角度
π× 180
ラジアンで表した角度 =度で表した角度
180× π
という関係があります。
8
1.4.2 実習
実習 1-3
Excelを使って、度で表した角度をラジアンで表した角度に直してみましょう。
まず、データの説明、θ(度)、θ(ラジアン)を書きましょう。
次に、0から 360までの数列を作ります。0、1まで書いたら、両方を選択して、右下の■を下に下げれば簡
単です。
Excelでは π を pi()で表すことができます。度からラジアンに直す式
=B3/180*2*pi()
を打ち込み、■を下に下げて、表を完成させましょう。
360◦ が 2π になっていることを確認しましょう。180◦、90◦ などの値も確認しましょう。
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実習 1-4
ラジアン単位で表した角度を使って、sin θのグラフを書きましょう。
まず、表を作ります。データの説明 sin θを打ち込み、その下に
=sin(c3)
を打ち込み、■を下に下げて、表を完成させましょう。
表ができたら、θ(ラジアン)と sinθの列を選択し、グラフを作ります。挿入タブから、散布図を選びま
す。(平滑線:なめらかな曲線)がいいでしょう。
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実習 1-5
同様にして、cos θ も計算してみましょう。
さらに、横軸を度で表した θ を選んで、sin θ、cos θ のグラフを作り、前に手書きで書いたグラフと比較し
てみましょう。(間をあけて表を選択するときは、ctrlキーを押しながら選択する)
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実習 1-6
前の実習では、1◦ 刻みで 0◦ から 360◦ まで計算しました。Excel を使ってもけっこう大変だったと思い
ます。そこで、簡単のためにもう少し間引いてみたらどうなるでしょう。極端な例として、0◦、90◦、180◦、
270◦、360◦ の 4点だけで計算してみましょう。
新しいシートを出して、前と同じように計算します。
そして、やはり同様にグラフを書いてみます。
1◦ 刻みで計算したグラフと比べると、少し違っています。データ数が少なすぎると正しい結果が得られま
せん。しかし、あまりデータ点が多いのもデータ処理が大変です。
この問題は、またあとで議論します。
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