付注1 原油、銅、小麦及びとうもろこし価格の変動要因の推 …通商白書...

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284 2011 White Paper on International Economy and Trade 付 注 原油、銅、小麦及びとうもろこしの 4 種類の財について、在庫と価格の二変数からなる以下の VAR モデルに よる価格変動要因の推計を行った。 (1)推計式 y t R 1 y t1 u t (VAR モデル) ただし、 y t 世界の在庫の対前年同月比 log(価格) 注 :小麦及びとうもろこしは、各国マーケットイヤーの最終月末在庫量の予測値(毎月更新)の世界計と前 年度の最終月末の在庫量とを比較。 R 1 :VAR モデルのパラメータに関する 2 × 2 行列 u t :誤差項 ラグの長さは情報量基準に基づき、1 期とした。 (2)価格変動の要因分解 推計した VAR モデルのパラメータを用いて、以下のように、財価格の変化を、①すう勢要因(在庫ショック、 価格ショックがゼロの場合の価格変動)、②すう勢外の需給要因(すう勢外の要因により需給の変化を通じて在 庫が変化し、それが価格変動に寄与した部分)、③すう勢要因及びすう勢外の需給要因により説明できない価格 のランダムな変化:価格ショックから算定できるものの 3 つに分解した(ここでは、②及び③を「需給バランス だけでは説明できない部分」とする。)。t-k時点を財の価格高騰が生じた時期とすることで、以降の変化を分 解することが可能である。 y t R 1 y t1 u t R 1 R 1 y t2 u t3勅 )+ u t R 1 R 1 R 1 y t3 u t4勅 )+ u t3勅 )+ u t =・・・・・・ T軸 k 1 y tk T軸 k 1 u tk +・・・+R 1 u t1 u t T軸 k 1 y tk :①すう勢要因 T軸 k 1 u tk +・・・+R 1 u t1 u t :②すう勢外の需給要因 及び ③すう勢要因及びすう勢外の需給要因により説 明できない価格のランダムな変化 付注 1 原油、銅、小麦及びとうもろこし価格の変動要因の推計

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Page 1: 付注1 原油、銅、小麦及びとうもろこし価格の変動要因の推 …通商白書 2011285 付 注 付 注 (3)推計期間 2002年1月~2010年12月(銅、小麦、とうもろこし)

284 2011 White Paper on International Economy and Trade

付 注  

原油、銅、小麦及びとうもろこしの4種類の財について、在庫と価格の二変数からなる以下のVARモデルによる価格変動要因の推計を行った。

(1)推計式

 yt=R1 yt-1+ut (VARモデル)

 ただし、

 yt :世界の在庫の対前年同月比log(価格)

⎡||

⎡||⎣

 注 :小麦及びとうもろこしは、各国マーケットイヤーの最終月末在庫量の予測値(毎月更新)の世界計と前年度の最終月末の在庫量とを比較。

R1 :VARモデルのパラメータに関する2×2行列 ut :誤差項ラグの長さは情報量基準に基づき、1期とした。

(2)価格変動の要因分解推計したVARモデルのパラメータを用いて、以下のように、財価格の変化を、①すう勢要因(在庫ショック、価格ショックがゼロの場合の価格変動)、②すう勢外の需給要因(すう勢外の要因により需給の変化を通じて在庫が変化し、それが価格変動に寄与した部分)、③すう勢要因及びすう勢外の需給要因により説明できない価格のランダムな変化:価格ショックから算定できるものの3つに分解した(ここでは、②及び③を「需給バランスだけでは説明できない部分」とする。)。t- k時点を財の価格高騰が生じた時期とすることで、以降の変化を分解することが可能である。

   yt=R1 yt-1+ut

=R1( R1 yt-2+ut- )+ut

=R1( R1( R1 yt-3+ut- )+ut- )+ut

=・・・・・・ = k

1  yt-k+ k1  ut-k+・・・+R1 ut-1+ut

  k1  yt-k :①すう勢要因

  k1  ut-k+・・・+R1 ut-1+ut:②すう勢外の需給要因 及び ③すう勢要因及びすう勢外の需給要因により説

明できない価格のランダムな変化

付注1 原油、銅、小麦及びとうもろこし価格の変動要因の推計

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285通商白書 2011

付 注

付 注

(3)推計期間 2002年1月~2010年12月(銅、小麦、とうもろこし) 2001年1月~2010年12月(原油)

(4)計測結果① VARモデル推計結果各財の在庫データ及び価格データを適用してVARモデルを計測した結果は付注第1-1表のとおり。価格の1

期ラグの変数の t値が全般的に低いものの、おおむね符号条件(マイナス)を満たしている。決定係数は良好である。

付注第1-1表 VARモデル推計結果

財 被説明変数説明変数

決定係数 財 被説明変数説明変数

決定係数在庫(-1) 価格(-1) 在庫(-1) 価格(-1)

原 油在庫 0.881

(12.094)-0.0003(-0.345) 0.55

小 麦在庫 0.917

(25.67)0.0023(0.506) 0.86

価格 0.199(1.286)

1.001(467.38) 0.97 価格 -0.0067

(-1.621)1.007

(194.06) 0.95

銅在庫 0.929

(26.93)0.0009(0.258) 0.87

とうもろこし在庫 0.938

(28.41)0.0003(0.046) 0.88

価格 0.009(0.938)

1.002(1002.55) 0.98 価格 0.0033

(0.126)1.008

(158.32) 0.95

(注)括弧内は t 値である。

② 価格変動の要因分解結果原油及び銅については2004年1月、小麦及びとうもろこしについては2006年8月を価格高騰が始まったタイミングと想定した上で、以降の時期について価格変動の要因分解を行った。その結果、2010年12月時点の在庫量の変動による価格水準は、原油:45.3ドル/ BBL(実績値89.2ドル/BBL)、銅:5,947ドル/Mt(同9,153ドル/Mt)、小麦:4.2ドル/ブッシェル(同7.6ドル/ブッシェル)、とうもろこし:3.7ドル/ブッシェル(同5.9ドル/ブッシェル)程度となった。

(5)データセット原油価格: ニューヨーク商品取引所データ。銅価格及び在庫量: ロンドン金属取引所データ。小麦、とうもろこし価格: シカゴ商品取引所データ。原油在庫量:米国(API/Monthly Statistical Report)、英国(DTI/Energy Trend)、ドイツ(BAFA/Amtliche Mineraloldaten)、フランス(IEA/Monthly Oil & Gas Survey)の月次データの合計値。小麦在庫量: 米国農務省「World Agricultural Supply and Demand Estimates」。とうもろこし在庫量: 米国農務省「Grain:World Markets and Trade」。

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286 2011 White Paper on International Economy and Trade

付 注  

付注2 「RIETI-TID2010」 について

本白書では、国連の SITC (Rev. 3)分類に準拠した貿易データを主要産業毎に素材、中間財、最終財に分類し、各国間や地域間の貿易額を時系列で明らかにするため独立行政法人経済産業研究所(RIETI)が作成した「RIETI-TID2010」を用いて、世界と東アジアの貿易構造の分析等を行った。ここでは、「RIETI-TID2010」に関し、分類の基本的考え方及びその作成手法について説明する。

1.基本的考え方「RIETI-TID2010」 においては、東アジアの製造産業活動を貿易動向から把握する観点から、域内で貿易取引が活発な産業に焦点を絞りつつ、全ての貿易財を日本の産業連関表の統合大分類を基にして分類し、更に産業毎に生産工程別に整理した貿易産業分類表を作成した(付注第2-2図)。これにより三角貿易構造について、産業別に生産工程間分業の進展を反映した分析を行い、対象国の競合、補完関係等の動的変化を明らかにする。

付注第2-1表 貿易データベース 「RIETI-TID2010」 の概要

対象国・地域

【ア ジ ア】:日本、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ブルネイ、カンボジア、インド

【北   米】:米国、カナダ、メキシコ【欧   州】:英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、オーストリア、ベルギー、ギリシャ、ルクセンブルク、

フィンランド、スウェーデン、アイルランド、ポルトガル、デンマーク、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、リトアニア、ラトビア、スロベニア、エストニア、キプロス、マルタ、ルーマニア、ブルガリア、ロシア、トルコ、ノルウェー

【南   米】:アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、チリ、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア

【オセアニア】:オーストラリア、ニュージーランド対象年 1980年~2009年(ただし国によってデータが存在しない年がある。)データの内容

国・地域の輸出額・輸入額が、相手国別(グループ・世界合計含む)、産業別(13分類)、生産工程別(5段階)、年別に整理されている。

留意点 ● 原則、輸入データCIF(運賃・保険料込み)で作成している。● 各国の台湾からの輸入は、台湾の各国輸出額に1.1を乗じてCIFに換算している。● 対象国以外の国・地域の合計額をRoW(Rest of the World)とする。● 世界合計額は、対象国(台湾を含む)とRoWの総和で算出している。● データの制約上、ベルギーとルクセンブルク、チェコとスロバキアは、同一国として整理している。● 貿易額の通貨単位はUSドルで、名目為替レートである。 (各国の年毎の為替レートは、UN Comtradeのホームページで確認することができる) http://comtrade.un.org/db/mr/daExpNotebyRepYear.aspx

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287通商白書 2011

付 注

付 注

付注第2-2図 貿易産業分類表の構

(統合大分類)01 農林水産業02 鉱業03 食料品

04 繊維製品

05 パルプ・紙・木製品

06 化学製品

07 石油・石炭製品

08 窯業・土石製品09 鉄鋼10 非鉄金属11 金属製品12 一般機械

14 輸送機械15 精密機械16 その他の製造工業製品

13 電気機械

産業連関表

データ整理

貿易産業分類表

素材

中間財

生産段階別 消費主体別

生産者

輸出

中間投入

資本形成

家計、政府等

最終消費

産業別

(BEC分類)

(SITC Rev.3)

01 食料品及び関連の農林水産業

02 繊維製品

09 電気機械10 家庭用電気機器

13 雑貨・玩具

08 一般機械

11 輸送機械12 精密機械

03 パルプ・紙・木製品(含むゴム、皮、油等)及び関連の農林水産業

04 化学製品(含むプラスチック)

05 石油・石炭製品及び関連の鉱業

07 鉄鋼、非鉄金属、金属製品及び関連の鉱業

06 窯業・土石製品及び関連の鉱業

輸出国 輸入国

加工品

部品

最終財 資本財

消費財

(SNA分類)

2.産業の分類産業については、日本の産業連関表の統合大分類(32部門)のうち農林水産業、鉱業を含む製造業の分類を

基礎として、13の産業に整理した(付注第2-3表)。東アジアの工程間分業の進展を効率的に反映するために、分類上、以下の点について工夫している。① 生産工程のうち原料、素材生産に相当する農林水産業、鉱業については、産業連関表の様に独立した産業として分類せず、それぞれ関連の製造業の川上産業として整理した。具体的には、「食料品」、「パルプ・紙」については、「農林水産業の関連商品」、また「化学製品」、「石油・石炭製品」、「窯業・土石製品」、「鉄鋼、非鉄金属、金属製品」については、「鉱業の関連商品」を含めて分類した。

② 非鉄金属、金属製品は、生産工程上類似している点が多いと見なせることから、一つの分類として整理した。更に、鉄鋼についても、生産工程上のBEC分類では加工品にしか分類されないため、同一産業として含めた。③ 電気機械については、東アジアの工程間分業の状況を踏まえ、電気機械と家庭用電気機器とに分けて整理した。

④ その他の製造工業製品は、雑貨・玩具として整理した。プラスチックについては、産業連関表の分類上はその他の製造業に含まれているが、生産工程の観点から雑貨・玩具に入れず化学製品に含めた。

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288 2011 White Paper on International Economy and Trade

付 注  

付注第2-4表 貿易財の生産工程別分類表

Category Sub - category BEC code BEC Title素 材(Primary goods)

1112131

Food and beverages, primary, mainly for industryIndustrial supplies, n.e.s., primaryFuels and lubricants, primary

中間財(Intermediate goods)

加工品(Processed goods)

1212232

Food and beverages, processed, mainly for industryIndustrial supplies, n.e.s., processedFuels and lubricants, processed

部 品(Parts & Components)

4253

Parts and accessories of capital goods, except transport equipmentParts and accessories of transport equipment

最終財(Final goods)

資本財(Capital goods)

41521

Capital goods, except transport equipmentOther industrial transport equipment

消費財(Consumption goods)

11212251522616263

Food and beverages, primary, mainly for household consumption Food and beverages, processed, mainly for household consumptionPassenger motor carsOther non-industrial transport equipmentDurable consumer goods n.e.s.Semi-durable consumer goods n.e.s.Non-durable consumer goods n.e.s.

注1) 本分類表は、BEC 分類の貿易財をSNA (System of National Account)の基準と関連づけて工程段階別に分類したもの(CEPII の研究成果を参照)。 SNAでは、使用の主体別(Producer, Household)で分けているためにCapital goods(Capital formation)とFinal goods (Final consumption)は別項目になるが、ここでは貿易取引を生産工程段階で整理するとの考え方から、Capital goods をFinal goods の一部としている。

注2) BEC code 32 については、321- motor spirits をhousehold consumption とother industrial transport equipment の使用に分けることも考えられるが、ここではその区別をしていない。

3.生産段階別の分類13分野に整理された産業を、更に素材、中間財(加工品、部品)、最終財(資本財、消費財)の3つのカテゴリー

(5つのサブカテゴリー)に分類した (付注第2-4表)1。これは、国連のBEC(Broad Economic Categories)分類を基に、貿易財の生産工程における性質から各産業の貿易データを3つのカテゴリーに集約し、SNA(System of National Account)の基準により分類したもの 2。

付注第2-3表 貿易産業分類表

生産段階別 素 材中間財 最終財

加工品 部 品 資本財 消費財産 業 別 1 2 3 4 51 食料品及び関連の農林水産業 ◎ ◎ ◎ ◎2 繊維製品 ◎ ◎ ◎ ◎3 パルプ・紙・木製品(含むゴム、皮、油)及び関連の農林水産業 ◎ ◎ ◎ ◎4 化学製品(プラスチック製品含む) ◎ ◎ ◎5 石油・石炭製品及び関連の鉱業 ◎ ◎6 窯業・土石製品及び関連の鉱業 ◎ ◎ ◎7 鉄鋼、非鉄金属・金属製品及び関連の鉱業 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎8 一般機械 ◎ ◎ ◎ ◎9 電気機械 ◎ ◎ ◎10 家庭用電気機器 ◎ ◎ ◎ ◎11 輸送機械 ◎ ◎ ◎ ◎12 精密機械 ◎ ◎ ◎ ◎13 玩具・雑貨 ◎ ◎ ◎ ◎

1 生産段階別分類については、F. Lemoine. et. al., (2004), “China’s Integration in Asian Production Networks and Its Implications”を参照。 2 BEC 分類は、1968 SNAの基本的商品の使用に基づく分類(Intermediate consumption, Final consumption 及び Gross capital formation)に対応している。

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289通商白書 2011

付 注

付 注

付注第2-5表 本データベース上の地域の定義

地  域 対       象       国EAST ASIA 日本、中国、香港、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイ、カンボジア、

ベトナムNAFTA 米国、カナダ、メキシコMERCOSUR アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラEU15 英国、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリア、ベルギー・ルクセンブルク、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、

アイルランド、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデンEU27 英国、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリア、ベルギー・ルクセンブルク、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、

アイルランド、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、ブルガリア、キプロス、チェコ・スロバキア、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、ルーマニア、スロベニア

ASEAN4 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイASEAN インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、カンボジア、ベトナムASEAN+6 オーストラリア、中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、韓国、シンガポール、タイ、ブルネイ、

カンボジア、ニュージーランド、ベトナム

※Not ASEAN 、Not EUは、上記の対象国以外の国を指す。※Exporter 「EAST ASIA」Importer 「Japan」を選択した場合、Exporterは、「Japan」以外の「East Asia」の国と「Japan」の貿易額が出る。※2009年ベトナムの輸入データは未公表のため、反映されていない。

4.使用データ「RIETI-TID2010」 においては、国連 COMTRADEの SITC データを使用している 3。SITC は HS より分類

が粗くなる可能性があるものの、分類上の特徴として、製造に使われた原料、製造段階、商品の使用、技術的進歩などを反映しているため 4、工程間分業を反映する上で望ましい性質を持っている。

5.地域の定義輸出国・輸入国で検索可能な地域およびその定義は、以下の通りとなっている。

3 HS は6桁の分類であるのに対し、SITCは最大5桁の分類。 4 国連のホームページにおいて SITC分類の特徴が説明されている。“The commodity groupings of SITC reflect (a) the materials used in production, (b) the processing stage, (c) market practices and uses of the products, (d) the importance of the commodities in terms of world trade, and (e) technological changes.” また、HS分類の特徴については次の通り。“The HS contributes to the harmonization of Customs and trade procedures, and the non-documentary trade data interchange in connection with such procedures, thus reducing the costs related to international trade.” (World Customs Organization) “In the Harmonized System goods are classified by what they are, and not according to their stage of fabrication, their use, or origin. The Harmonized System nomenclature is logically structured by economic activity or component material.” (University of British Columbia)

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290 2011 White Paper on International Economy and Trade

付 注  

本書の第2章第3節では、産業連関分析を多用している 1。ただし教科書的、一般的な産業連関分析を用いず、分析目的に合わせたデータの選択及び計算方法の改良を行っている 2。改良の主な特徴としては、一般的な競争輸入型産業連関表だけでなく、非競争輸入型産業連関表を使ったことである。付注3では、この分析手法を説明する。

ここでは、学術的な正確さよりも、分析手法になじみのない人のための直感的な表現を使っていること、定義をくり返し説明していることなどに、御理解をいただきたい。

付注3-1.競争輸入型と非競争輸入型の産業連関表の違い競争輸入型と非競争輸入型の産業連関表

付注 3-1 の記号の定義i:行(縦)、投入財番号、下付文字の左側j:列(横)、生産部門番号、下付文字の右側ただし、生産部門 iによって生産される財は、財 iであるとする。部門に○i jと表記されていれば、iの番号の付いた財が、jの番号の付いた生産部門に供給されるという意味になる。

zij :中間投入額(国産+輸入)zdij :国産財の中間投入額 zmij :輸入財の中間投入額fi :国内の最終財消費額(内需)fdi :内需の国産財消費額 fmi :内需の輸入財消費額ei :輸出額(外需) imi :輸入額vj :付加価値額 xi , xj:生産額mi :輸入係数

第2章第3節では、一般的な競争輸入型産業連関表(以下、「競争型」)だけでなく、非競争輸入型産業連関表(以下、「非競争型」)を併せて多用している。「競争型」(competitive)では、ある財を消費(需要)の統計データを作成する際に、国産品と輸入品を区別せず

「競い合う」(competitive)ものと扱い、一つのデータで表す(付注第3-1表)。これに対し「非競争型」(non-competitive)では、国産と輸入を「競い合わない」(non-competitive)別の財

と扱い、二つのデータに分けて表す(付注第3-2表)。つまり、「競争型」と「非競争型」の違いは、国内の需要を国産と輸入に分けて示すかどうかである。以下は、生産が二部門の産業連関表を例に説明する。なお、記号の定義は初出の項目の最後にその都度記載する。また、国内の最終需要部門をまとめて「内需」、輸出を「外需」と表現する。

付注3 本書第2章第3節で用いる産業連関分析

1 本稿の参考文献は、第2章第3節に属する。 2 基本的な産業連関分析については、宮崎(2002)、宍戸監修(2010)、藤川(2005)を参照。また今回使った分析については、宇多(2010)、

宇多(2011a)、宇多(2011b)を参照。

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291通商白書 2011

付 注

付 注

付注第3-1表の投入財と付注第3-2表の国産と輸入に分けられた投入財には、以下の関係が成立する。

 中間財の分解   ijijij zmzdz += (a3-1)  最終財の分解   iii fmfdf += (a3-2) 

「国産化率」の計算(「自給率」と「ローカル・コンテント率」)産業に関する国産と輸入の比率を示す「国産化率」の内、第2章第3節では「自給率」と「ローカル・コンテント率」の二つを用いた 3。「自給率」とは、車を例にすると、国内で流通する車に占める国産車の比率、つまり供給に占める国産の比率である。

 「自給率」  ii

i

imxx+ (付注第3-2表を横方向に計算)(a3-3) 

「ローカル・コンテント率」とは、同じく車を例にすると、車の生産に必要な中間財の国産の比率である。

 「ローカル・コンテント率」   (付注第3-2表を縦方向に計算)(a3-4) 

公表された「非競争型」と、仮定を設けて計算した「非競争型」の違い「競争型」のデータを「非競争型」に加工するための、中間財、最終財を国産と輸入に分離する作業は、非常に困難である。そのため多くの場合は、以下のように各財の投入(付注第3-1表の色付けをした箇所)における国産と輸入の比率は一定である、という仮定で作業をする。

jjjj

jj

zmzmzdzdzdzd

2121

21

++++

3 藤川(1998)の定義に倣った。なお、藤川(1998)ではこの二種類だけでなく、計四種類の「国産化率」を用いている。

付注第3-1表 競争輸入型産業連関表(「競争型」)の構造

生産部門 最終需要部門 輸入 生産

生産1 生産2 外需内需 z11 z12 f1 e1 -im1 x1 財の投入

(供給)財1

z21 z22 f2 e2 -im2 x2 財2付加価値 v1 v2

生産 x1 x2

付注第3-2表 非競争輸入型産業連関表(「非競争型」)の構造

生産部門 最終需要部門 輸入 生産

生産1 生産2 内需 外需zd11 zd12 fd1 e1 0 x1 国産

財1

zd21 zd22 fd2 e2 0 x2 財2zm11 zm12 fm1 0 -im1

財の投入(供給)

輸入 財1 0

zm21 zm22 fm2 0 -im2 財2 0 付加価値 v1 v2

生産 x1 x2

Page 9: 付注1 原油、銅、小麦及びとうもろこし価格の変動要因の推 …通商白書 2011285 付 注 付 注 (3)推計期間 2002年1月~2010年12月(銅、小麦、とうもろこし)

292 2011 White Paper on International Economy and Trade

付 注  

 国産率の計算   (a3-5) 

 輸入率の計算   (a3-6) 

 国産分の抽出   (a3-7) 

 輸入分の抽出   (a3-8) 

このように仮定を置いて「競争型」を加工した表と、実際に公表された「非競争型」から、それぞれ消費される財別、消費する部門別に「国産率」を抽出すると、付注第3-3図のようになる。付注第3-3図右側のように、輸入率が一定という仮定を置いて「国産率」を計算すると、すべての中間財と「内需」(国内の最終財消費)の国産と輸入の比率が同じになるため、行(横)方向の値がすべて同じになる。

付注3-2.基本的な計算中間投入係数の計算

付注 3-2 で追加した記号の定義aij :中間投入係数 adij :中間投入係数(国産のみ)bij :「波及効果」 bdij :「波及効果」(国産のみ)sfi :「内需」による「波及効果」の誘発額sei :「外需」による「波及効果」の誘発額 smi :輸入による「波及効果」の抑制額

まず財の生産によって、他の産業が受ける「直接の効果」をみるため、各産業が財を一単位生産するのに必要な、中間財の投入額を計算する。

iiii fdzdzd

imm ++-=-21

111

iiii fdzdzd

imm ++=21

1

--=

22221

11211

2

1

22221

11211

1001

fzzfzz

mm

fdzdzdfdzdzd

=22221

11211

2

1

22221

11211

00

fzzfzz

mm

fmzmzmfmzmzm

付注第3-3図 各財消費における「国産率」の視覚化 左「非競争型」、右「競争型」を仮定を設けて分割したもの

2005 年

非競争輸入

国産化率

2005 年

競争輸入

国産化率

備考:国産、輸入どちらも財の取引が存在しない箇所は灰色に塗ってある。

Page 10: 付注1 原油、銅、小麦及びとうもろこし価格の変動要因の推 …通商白書 2011285 付 注 付 注 (3)推計期間 2002年1月~2010年12月(銅、小麦、とうもろこし)

293通商白書 2011

付 注

付 注 「競争型」    =

2

22

1

21

2

12

1

11

2221

1211

xz

xz

xz

xz

aaaa

(付注第3-1表を用い計算)(a3-9) 

 「非競争型」   =

2

22

1

21

2

12

1

11

2221

1211

xzd

xzd

xzd

xzd

adadadad

(付注第3-2表を用い計算)(a3-10) 

レオンチェフ逆行列の計算次に、直接の最終財の取引とそれ以外の間接的な効果も含めた「波及効果」を求めるには、いわゆる「レオンチェフ逆行列」を求める必要がある。「レオンチェフ逆行列」とは、「各最終財の一単位当たりの消費から発生する、各産業における直接・間接の波及効果の総和」を行列で表したものである。

 「競争型」    -1

2221

1211

2221

1211

1001 -

-= aaaa

bbbb (a3-11) 

 「非競争型」  1

2221

1211

2221

1211

1001 -

-= adadadad

bdbdbdbd (a3-12) 

スカイライン分析スカイライン分析は、「内需」(国内の最終財消費)、「外需」(輸出)、輸入が各産業に対して与える、直接・間接の「波及効果」を測定してグラフ化する手法である。スカイラインチャートを描くためには、まず以下の生産額決定モデルの計算を行う必要がある。ただし、この計算では、「競争輸入型」を使い、輸入を最終財のマイナスの需要として扱うため、輸入による「波及効果」は「流出」ではなく、「抑制」になる。

 •生産額決定モデル     ++=2

1

2

1

2

1

2221

1211

2

1

-im-im

ee

ff

bbbb

xx

(a3-13) 

 •「内需」による誘発額   (a3-14) 

 •「外需」による誘発額   (a3-15) 

 •輸入による誘発抑制額   (a3-16) 

 •需給バランス       (a3-17) 

次に、これらの値を各部門の内需による誘発額に対する比に変換する。

=2

1

2221

1211

2

1

ff

bbbb

sfsf

=2

1

2221

1211

2

1

ee

bbbb

sese

=2

1

2221

1211

2

1

imim

bbbb

smsm

+=+2

1

2

1

2

1

2

1

smsm

xx

sese

sfsf

Page 11: 付注1 原油、銅、小麦及びとうもろこし価格の変動要因の推 …通商白書 2011285 付 注 付 注 (3)推計期間 2002年1月~2010年12月(銅、小麦、とうもろこし)

294 2011 White Paper on International Economy and Trade

付 注  

一般的なスカイラインチャートは、付注第3-7表の「生産比(参考)」に記したように、横軸に生産額 xの部門別構成比を置くが、本書では国内需要の構成比を置いている。これにより、一般的なスカイラインチャートでは「鉱業」のように自給率がゼロに近い部門の横幅が狭くなり、我が国産業の弱点の分かりにくいチャートになるのを防ぐことができる。なお、スカイラインチャートの描画には「Ray スカイラインチャート作成ツール」を使用した 4。

付注3-3.「国内残存率」の計算「間接の波及効果」の計算「間接の波及効果」の計算

付注 3-3 で追加した記号の定義gij :間接の波及効果(国産+輸入) gdij :間接の波及効果(国産のみ)

「レオンチェフ逆行列」(各最終財の一単位当たりの消費から発生する各産業における直接・間接の「波及効果」の総和)から、「波及効果」を誘発する元となった最終財の取引である、「直接の波及効果」を取り除くことで「間接の波及効果」を取り出すことができる。そのためには、「レオンチェフ逆行列」から単位行列を引けばよい。

  「競争型」    --=-

1001

1001 1

2221

1211

2221

1211

aaaa

gggg

(a3-18) 

  「非競争型」   --=-

1001

1001 1

2221

1211

2221

1211

adadadad

gdgdgdgd

(a3-19) 

「生産工程」と「全行程」の「国内残存率」「国内残存率」とは、ある最終財の需要によって生じる、ある生産部門の「波及効果」の内、国内に残る率を示す行列のことである。ここでは「生産工程」と「全行程」の二種類の「国内残存率」を定義している。「生産工程」は、国産の最終財が消費されたことを前提に求める、「波及効果」の「国内残存率」を表す。「全行程」は、最終財の消費で国産か輸入かという選択を含めて求める、「波及効果」の「国内残存率」を表す。

付注第3-4表 付注第3-1表をチャート描画用に加工したデータ

横軸 縦軸生産比(参考)

内需比需要 供給

国内需要 輸出 自給率 輸入

財121

1xx

x+ 21

1sfsf

sf+ 1

1sfsf

1

1sfse

1

1sfx

1

1sfsm

財221

2xx

x+ 21

2sfsf

sf+ 2

2sfsf

2

2sfse

2

2sfx

2

2sfsm

付注第3-5図 スカイラインチャートの描き方

2

1

fs fssf+

100%

2

2

fs fssf+

1

1

sfsm

1

1

sfse

1

1

sfsf

1

1

sfx

2

2

sfse

2

2

sfsf

2

2

sfsm

2

2

sfx

財1

財2

4 「Ray スカイラインチャート作成ツール」については、宇多(2011b)を参照。

Page 12: 付注1 原油、銅、小麦及びとうもろこし価格の変動要因の推 …通商白書 2011285 付 注 付 注 (3)推計期間 2002年1月~2010年12月(銅、小麦、とうもろこし)

295通商白書 2011

付 注

付 注

この「生産工程」と「全行程」の二種類の「国内残存率」の違いを、例を用いて説明する。この例は、最終財である車の生産から、部品、材料、資源の順で「波及効果」が流れるものとする。また、資源を除く国産財の購入率は一律80%であるとする。その状況で生じる「生産工程」、「全行程」の「国内残存率」の比率を示したのが、付注第3-6図である。付注第3-6図にある比率は、車(最終財)がそれぞれの生産部門に与える「波及効果」の「国内残存率」になる。これらの値のように、生産工程をさかのぼるほど、国内に残る「波及効果」は、かけ算で小さくなっていく。

「国内残存率」の計算方法「生産工程」と「全行程」では、計算方法が異なる。「生産工程」では最終需要部門(「内需」または「外需」)による国産財の消費があったものとして計算をするのに対し、「全行程」では最終需要部門による消費に国産財と輸入財が「競合」したことを計算に組み込むからである。

「国内残存率」など行列の表現方法次に付注第3-7表、付注第3-8表のように配置された「国内残存率」は複雑なため、サーモグラフィーの表現

を使って視覚化する。また、この色を使った表現は、中間投入行列や「間接の波及効果」の行列でも用いている(図2-2-2-3、図2-2-2-4、図2-2-2-7~図2-2-2-10)。

「全行程」

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%

最終財 中間財

80%

51%

車 部品 材料 資源

64%64%

「生産工程」

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%

最終財 中間財

80%

車 部品 材料 資源

64%64%

付注第3-6図 輸入による「国内残存率」の変化の例

付注第3-7表 「生産工程」の「国内残存率」の配置

最終財の消費第一財

最終財の消費第二財

直接 1

11fdfd=

2

21fdfd=最終財消費

1

1

11

11

fdfd

ggd

2

2

12

12

fdfd

ggd

間接

生産、第一部門

1

1

21

21

fdfd

ggd

2

2

22

22

fdfd

ggd

生産、第二部門

付注第3-8表 「全行程」の「国内残存率」の配置

最終財の消費第一財

最終財の消費第二財

直接 最終財消費

間接

生産、第一部門

生産、第二部門

1

1

ffd

2

2

ffd

1

1

11

11

ffd

ggd

2

2

12

12

ffd

ggd

1

1

21

21

ffd

ggd

2

2

22

22

ffd

ggd

Page 13: 付注1 原油、銅、小麦及びとうもろこし価格の変動要因の推 …通商白書 2011285 付 注 付 注 (3)推計期間 2002年1月~2010年12月(銅、小麦、とうもろこし)

296 2011 White Paper on International Economy and Trade

付 注  

付注3-4.「波及効果の収支」の計算「波及効果の収支」(非競争型)

付注 3-4 で追加した記号の定義beij :「外需」(輸出)による「波及効果の誘発」bmij :輸入による「波及効果の流出」bnij :「波及効果の収支」(「輸出による誘発」マイナス「輸入による流出」)bfdij :「内需」(国内最終需要)による波及効果

第2章第3節では、経常収支、貿易収支、所得収支といった一般的な収支に加え、「波及効果の収支」を分析に

用いる。「波及効果の収支」とは、「外需」(輸出)によって誘発される「波及効果」を「受取」とし、輸入によって流出する「波及効果」を「支払」とし、その差を「収支尻」として求めたものであり、他の収支と同様にプラスを黒字、マイナスを赤字とする。他の計算方法と同じく、「競争型」、「非競争型」の両方を用いる。これらの計算では、「国内残存率」と同じく、

輸入がなければ生じた「波及効果」と実際の「波及効果」を比較することを行う。

 •「受取」(輸出による)  (a3-20) 

右辺第1項が「直接の波及効果」、第2項が「間接の波及効果」になる。

 •「支払」(輸入による) 

++

-++

+

++

-++

=

22

11

2221

1211

22

11

2221

1211

22

11

22

11

22

12

efef

gggg

efdefd

gdgdgdgd

efef

efdefd

bmbm

(a3-21) 

右辺の第1項は最終財の輸入によって流出する「直接の波及効果」になる。第2項は生産工程で輸入によって流出する「間接の波及効果」になる。

+=2

1

2221

1211

2

1

22

12

ee

gdgdgdgd

ee

bebe

付注第3-9図 「国内分業率」の数値例と視覚化

国内残存率の色覚化横:波及効果をおこす「最終需要」

縦:縦:波及効果を受ける「産業」

国内残存率の表横:波及効果をおこす「最終需要」

80%

64%

51% 30%

6% 10% 0%

70% 10%最終需要

部品

部品

材料

材料

資源 車 部品 材料資源

資源

最終需要

部品

材料

資源

波及効果を受ける「産業」

Page 14: 付注1 原油、銅、小麦及びとうもろこし価格の変動要因の推 …通商白書 2011285 付 注 付 注 (3)推計期間 2002年1月~2010年12月(銅、小麦、とうもろこし)

297通商白書 2011

付 注

付 注

 •波及効果の収支     -=2

1

2

1

2

1

bmbm

bebe

bnbn

(a3-22) 

「受取」(輸出による誘発)と「支払」(輸入による流出)の差分を取る計算により、「波及効果の収支」が求まる。

 •「内需」による誘発額  (a3-23) 

値は比較のため、すべて「内需」によって生じる「波及効果」を分母に比を取る。

生産額決定式国内の生産額は、各最終需要によって生じる「波及効果」の合計である。「非競争」の場合は、輸入を内生変

数として扱うため、「内需」の「波及効果」と「外需」の「波及効果」を合計すれば、生産額が求まる。これに対し「競争型」の場合は、輸入を外生変数とするため、生産額決定式は式 a3-17を移項したものになる。

 •「非競争型」   (a3-24) 

 •「競争型」    (a3-25) 

雇用効果の計算雇用の計算には、「産業連関表」の付表である「雇用表」を用いた。「雇用表」は各生産部門の雇用者数を示したものであり、この各部門の雇用者数を生産額で割ることで、「雇用係数」を求めた。この「雇用係数」は、各部門が百万円の生産を行うことで雇用される人数を表している。これに各部門で生じた「波及効果」の金額をかけることで、生産への波及によって生じた雇用人数を求めることができる。なお、この計算では生産額と同じく、誘発元である「内需」と「外需」に雇用の誘発効果を分けて示すこともできる。

+=2

1

2221

1211

2

1

2

1

fdfd

gdgdgdgd

fdfd

bfdbfd

+=2

1

2

1

2

1

bebe

bfdbfd

xx

-+=2

1

2

1

2

1

2

1

smsm

sese

sfsf

xx