主治医10の掟 島根大ws
TRANSCRIPT
みなさんはどう思いますか?「豊富な症例数」は研修する上で大切医師は患者・家族に客観的で中立的な立場
で接するべきであるEBM は NBM(Narrative-based Medicine) とは
異なる患者と向き合う事が大切だ患者を理解する事は基本的に可能患者に何が出来るかが大切だ
主治医とは
• 病気とではなく、患者と向き合い、そして寄り添おうとする、
• 患者の人生に思いを馳せようとする、
• 患者の人生のナビゲーターであろうとする、
• 家族とも向き合い、寄り添おうとする、
• ひたむきで誠実な態度を持つ、医師3
診断力 vs. 主治医力
診断力• ドクター G• 華やか• 学生・研修医にも分
かりやすい
主治医力• ナビゲーター• サポーター• メンター• 看取り・死に水をとる• 答えはいくつもある、○ × では答えられない• 地道な営み
4
診断 フォロー開始 死亡
主治医になるための 10 の掟1. 言葉を大切にする2. 2.5 人称の立場を理解し実践する3. 真の EBM を実践する4. Face to Face より Side by Side
5. 患者のすべてを知る努力をする、そして常に患者の味方になる6. Doing より Being
7. 高齢患者に感謝を、若年患者に慈愛を、同年代の患者にエールを!8. 最後は自分の良心に従う9. Be Assertive!
10. 一生感動、一生感謝、一生勉強
8
How to Deliver the bad news 悪い知らせの伝え方 (1/2)
望む 望まない% %
あなたの質問にも答える 99.2 0.0
わかりやすく伝える 98.0 0.0
正直に話す 96.6 0.8
要点を明らかに伝える 95.7 1.9
納得できるまで説明する 93.6 1.1
実際の写真やデータを用いて伝える 92.0 2.8
理解度を確認しながら伝える 91.9 3.2
具体的に話す 91.1 4.2
詳しく伝える 88.1 4.9
説明に用いた紙を渡す 84.7 4.8
丁寧に伝える 83.0 3.4
用紙に書きながら説明する 79.4 7.2
Fujimori et al. (2007) Psychooncology 16: 573-581.
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How to Deliver the bad news 悪い知らせの伝え方 (1/2)
望む 望まない% %
あなたの質問にも答える 99.2 0.0
わかりやすく伝える 98.0 0.0
正直に話す 96.6 0.8
要点を明らかに伝える 95.7 1.9
納得できるまで説明する 93.6 1.1
実際の写真やデータを用いて伝える 92.0 2.8
理解度を確認しながら伝える 91.9 3.2
具体的に話す 91.1 4.2
詳しく伝える 88.1 4.9
説明に用いた紙を渡す 84.7 4.8
丁寧に伝える 83.0 3.4
用紙に書きながら説明する 79.4 7.2
Fujimori et al. (2007) Psychooncology 16: 573-581.
10
How to Deliver the bad news 悪い知らせの伝え方 (2/2)
望む 望まない% %
質問や相談があるかどうか確認しながら説明する 76.4 6.2
心の準備ができる言葉をかける 69.0 5.5
医師が治療法を決める 69.2 17.2
病状の認識を確認する 50.9 12.8
淡々と伝える 35.0 41.8
段階的に伝える 31.8 21.9
不確実な段階でも伝える 26.8 58.4
断定的な口調で伝える 20.6 50.5
医師のペースで話す 14.3 68.4
専門用語を用いて話す 11.5 72.9
事務的に話す 5.5 80.1
曖昧に伝える 1.2 98.0
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How to Deliver the bad news 悪い知らせの伝え方 (2/2)
望む 望まない% %
質問や相談があるかどうか確認しながら説明する 76.4 6.2
心の準備ができる言葉をかける 69.0 5.5
医師が治療法を決める 69.2 17.2
病状の認識を確認する 50.9 12.8
淡々と伝える 35.0 41.8
段階的に伝える 31.8 21.9
不確実な段階でも伝える 26.8 58.4
断定的な口調で伝える 20.6 50.5
医師のペースで話す 14.3 68.4
専門用語を用いて話す 11.5 72.9
事務的に話す 5.5 80.1
曖昧に伝える 1.2 98.0
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Reassurance and Emotional support 安心感と情緒的サポートの提供
望む 望まない% %
最後まで責任を持って診療に当たることを伝える 96.6 0.8
あなたが希望を持てるように伝える 87.5 2.2
優しさをもって伝える 85.8 2.9
思いやりをもって伝える 83.9 3.4
あなたと同じように家族にも配慮する 94.1 2.7
気持ちに配慮しながら伝える 81.9 7.0
励ます言葉をかける 76.0 4.5
「一緒にがんばりましょうね」と言葉をかける 75.4 3.1
感情を表に出しても受け止める 73.3 4.7
「大丈夫ですよ」と言葉をかける 70.0 6.3
気持ちを和らげる言葉をかける 69.4 5.1
やんわりとした言葉を用いて伝える 50.8 16.8
「がん」という言葉を繰り返し使わない 33.5 14.9
Fujimori et al. (2007) Psychooncology 16: 573-581.
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Reassurance and Emotional support 安心感と情緒的サポートの提供
望む 望まない% %
最後まで責任を持って診療に当たることを伝える 96.6 0.8
あなたが希望を持てるように伝える 87.5 2.2
優しさをもって伝える 85.8 2.9
思いやりをもって伝える 83.9 3.4
あなたと同じように家族にも配慮する 94.1 2.7
気持ちに配慮しながら伝える 81.9 7.0
励ます言葉をかける 76.0 4.5
「一緒にがんばりましょうね」と言葉をかける 75.4 3.1
感情を表に出しても受け止める 73.3 4.7
「大丈夫ですよ」と言葉をかける 70.0 6.3
気持ちを和らげる言葉をかける 69.4 5.1
やんわりとした言葉を用いて伝える 50.8 16.8
「がん」という言葉を繰り返し使わない 33.5 14.9
Fujimori et al. (2007) Psychooncology 16: 573-581.
この言葉、どう思いますか?• 「さっさと患者をさばいて!」• 「この症例は・・・」• 「 DNAR ( Do Not Attempt to Resuscitate )を取得
する」• 「◯◯さんの IC ( informed consent )しよう!」• 「 EBM に基づいた医療」
• そこにはいつも「医師が上位で患者さんが下位」という前提が暗黙の内に存在する、と思う
潤いのある 2.5 人称• 作家 柳田邦男氏が提唱
• 専門家( 3 人称)として、専門性、冷静さ、豊かな経験に裏打ちされた視点に、患者 (1 人称 ) 、家族( 2 人称)の心情への配慮が加われば、乾いた関係ではなく潤いのある人間関係を構築できる
死 意味 医療者の態度
1 人称の“死” 自らの死
2 人称の“死” 親しい人の死
3 人称の“死” (専門家として関わる)他人の死
Face to Face
2.5 人称の“死” 主治医にとっての患者の死
Side by Side客観性を保ちながら主観的に
Evidence-based Narrative, EBN
• 医学的根拠である Evidence に基づいた医療,つまりEvidence-based Medicine ( EBM )を実践することはもちろん大切です。しかしさらにもう一歩,何のためにEBM を実践するのかを考えてみると,その目的は一人ひとりの人生観,死生観,価値判断に基づく物語り= narrative を充実させるためととらえられるのではないでしょうか。
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会田薫子.週間医学界新聞 2013.2.4
Face to Face より Side by Side
• 恋愛は’ Face to Face’ で、結婚は’ Side by
Side’
• よく、医療者は患者ともっと向き合うべき、といわれる
• しかし、本当に大切なのは、向き合うことから一歩進んで、そばで寄り添うこと
「臨床」とはまさに“ Side by Side” である
• 床(ベッド)に横たわる死に逝く患者さんのそばにそっと立って(臨んで)、患者さんの苦痛に癒しがもたらされることを、じっと待ち望む姿勢
• その時、患者さんの語りに真剣に耳を傾ける姿勢、医療従事者と患者の間に交わされる親密な対話こそが、医療の根本である。
– 斉藤清二ら,ナラティブ・ベイスト・メディスンの実践,金剛出版
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患者≠症例• 同じ人間• 歩んできた人生はさまざま• 病はその一部• その人の人生の中で病を位置づける
• だから、患者さんのすべてを知る努力が必要• そうすれば、患者さんが好きになり、味方
になれる
主語は常に“患者さん”
• サポーター– 患者さんの人生をその人にとって意味あるものにするた
めのお手伝いをする存在です。• ナビゲーター
– そのために時には患者さんに寄り添い、時には患者さんを導くナビゲーター的存在でありたいと願っています。
• メンター– 患者さんの「自立」と「自律」を支えたいと思っています。
Kansai for LIVESTRONG DAY
今中孝信先生の教え• Doing よりも Being
– 「ベッドサイドの椅子は、君達が座って患者さんの話をじっくり聴くためにある。」
– 「君達のなすべきことは、常に患者さんの傍にいて、患者さんがどんなことをされたのか、その眼に焼き付けておくことである。」
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7 .高齢患者に感謝を、若年患者に慈愛を、同年代の患者にエールを!
• 高齢者– 人生の先輩– 自分たちがあるのは先達の努力のおかげ
• 若年者–未来にバトンをつなぐ後輩–与え続ける
• 同年代– 一緒に未来を切り開く仲間–与え与えられる関係
患者さんとの関わりの中で
• 主治医だったから・・・– 喜びや後悔もたくさん経験できた
– 患者さんや家族とつながることができた
– ずっと覚えていられる
– 医師人生を変えることになる出会いが経験できた
みなさんはどう思いますか?「豊富な症例数」は研修する上で大切医師は患者・家族に客観的で中立的な立場
で接するべきであるEBM は NBM(Narrative-based Medicine) とは
異なる患者と向き合う事が大切だ患者を理解する事は基本的に可能患者に何が出来るかが大切だ
主治医になるための 10 の掟1. 言葉を大切にする2. 2.5 人称の立場を理解し実践する3. 真の EBM を実践する4. Face to Face より Side by Side
5. 患者のすべてを知る努力をする、そして常に患者の味方になる6. Doing より Being
7. 高齢患者に感謝を、若年患者に慈愛を、同年代の患者にエールを!8. 最後は自分の良心に従う9. Be Assertive!
10. 一生感動、一生感謝、一生勉強