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11. ノンパラメトリック検定

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11. ノンパラメトリック検定

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11.1 位置の違いの検定方法

母集団分布 F(x)と G(x)

(分布の形は等しく,位置に関して違いがあるとする)

X == (Xlぃ ・け Xn). . . F(x)からの標本

y == (y 1, • . • , Ym) . . . G ( x )からの標本

検定したい仮説は

帰無仮説 HO:母集団分布の中央値は等しい

対立仮説 Hl:母集団分布の中央値は等しくない

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11.1 位置の違いの検定方法

大きさ N =n+mの標本を大きさの順に並べる

り(1)< V(2) < ・・・ < V(n+m)

4番目に小さい標本 V(i)により viを決定する

1, り(i)ε{X1ぅX2,・・・ ,Xn}

。? り(i)ε {Y1,ν2γ ・.,Ym}

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11.1.1 ウィルコクソン検定

このとき,ウィルコクソン統計量 W は

N

TW=芝川

で与えられる

G ワイルコクソン統計量とはXl,x2ぃ ・・ ,Xnの順位の和

のことである (Wilcoxon,1945)

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11.1.1 ウィルコクソン検定

j(x), g(x). ..分布関数 F(x),G(x)の密度関数

このとき,j(x) == g(x +ム)で、あったとする

ム の値が大きい・・・

X の値の順位は比較的小さく位置づけられる

統計量 TWが小さな値をとるとき, 帰無仮説を棄却する

Xlγ.. ,xn

/ 『¥

¥

¥

¥

¥

¥

¥ 、・、

』司晶E唱』

Yl,... ,Ym

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11.1.1 ウィルコクソン検定

また,f(x) == g(x-ム)のよ うな状況を考える

ム の値が大きい…

X の値の順位は比較的大きい側に位置づけられる

ー ノ ~ Yl,... ,Ym Xl, . •• ,xn

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11.1.1 ウィルコクソン検定

統計量 Twが著しく大きな値や小さい値をとるとき

帰無仮説を棄却する

2つの母集団分布の中央値は等しいという帰無仮説が

真であるとする.このとき

E(巧)==予n(n -1)

V(巧)==万2 E(ViVj) ==

統計量 TWの平均と分散は

n(N + 1) T r/rn '¥ nm(N + 1) E(TW) == , v '~' ,..' -/ V(TW) == 12

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11.1.1 ウィルコクソン検定

ここで

巾 TW -E(TW) .L1一一一 I

ゾV(TW)

とおくと ,n, m が10より大きい場合に統計量 T1は

標準正規分布に近い分布をすることが知られている.

標本サイズが小さい場合には ワイルコクソン統計量の

正確な棄却点が計算されている.

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11.1.1 ウィルコクソン検定

検定統計量 Tlの有意水準 5%の検定は

IT11三1.96

であるならば,帰無仮説を棄却する.

正規分布を仮定 t検定が一様最強力検定

t検定に対するウィルコクソン検定の漸近効率は

U竺==0.955

ロジスティック分布を仮定したもとで ウィルコクソン

検定は一様最強力検定となる.

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11.1.1 ウィルコクソン検定

20匹のマウスをランダムに 2群に分け,一方は

対称群 X,他方の実験群 Y には,薬品を一定量

投与した後, リンパ球を数えた.

2群の母集団分布の型は,ほぼ同等であり ,

薬品によりリンパ球数は影響を受けるのか調べる

|帰無仮説HO:母集団分布の中央値は等しい |

を検定する

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11.1.1 ウィルコクソン検定

実験結果

表 11. 1マウスのリンパ球数

X159 91 64 53 75 69 36 43 53 99 Yl67 93 72 55 109 86 50 80 95 103

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11.1.1 ウィルコクソン検定

表 11.2順位づけられたデータ

りill 36 43 50 53 53 55 59 64 67 69

順位 1 2 3 4.5 4.5 6 7 8 9 10

vi 1 1 O 1 1 O 1 1 O l

υω 72 75 80 86 91 93 95 99 103 109

順位 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

vi O 1 O O 1 O O 1 O O

TW = 1 + 2 + 4.5 + . . . + 18 = 82

E(TW) = 105, V(TW) = 175 となる

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11.1.1 ウィルコクソン検定

統計量 Tlに適用すると

182 -1051 一一 = 1.73

1 - V175

となり,標準正規分布 5%点の 1.96より小さい

有意水準 5%で帰無仮説を棄却することはできない

リンパ球数は,薬品により影響を受けると結論できない

位置については不明でも母集団分布の型が等しいとき

ウィルコクソン統計量を用いる検定法は有効だと考えら

れる

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11.1.1 ウィルコクソン検定

また,ウイノレコクソン統計量は

Ti = ITw -E(TW)I

として用いられることが多くある. その理由のひとつとして,ウィルコクソン統計量は平均に対して対称とな

るからである.

(演習問題)

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マン・ウィットニー検定

ウィノレコクソン検定と 同様に,2つの母集団分布の

形は等しいとわかっているときに,分布の位置に

差があるかどうかを調べるのに有効な検定法.

検定した仮説は ウィルコクソン検定と同じく

帰無仮説 HO 母集団分布の中央値は等しい

対立仮説 Hl 母集団分布の中央値は等しくない

である

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マン・ウィットニー検定

母集団分布F(x)からの標本X== (Xlγ ・.,Xn)

母集団分布G(x)からの標本y== (Ylγ ・.,Ym)

2つを小さい順に並べ,Ye未満のX の個数を Ueとし,それらの和をとった統計量

/マン ・ウイットニーの U 統計量、

¥ U == Ul + U2 + . . . + Um

(Mann and Whitney, 1947)

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マン・ウィットニー検定

ウィルコクソン検定 TWとマン・ウイットニー検定 U

には

7n(m + 1) Tw=U +2

のような関係が成り立つので、マン ・ウイットニー検定と

ウィルコクソン検定は本質的には同じものである

(演習問題)

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マン・ウィットニー検定

表 11.3マウスのリンパ球数

X 53 61 63 81 Y 65 80 88 90 93

ν1未満の X は 3個あるので,Ul = 3となる.

同様にして,U2ニ 3,U3二 U4ニ Usニ 4 となる.

したがって,U = 3 + 3 + 4 + 4 + 4 = 18となる.

以上のことより,仮説は棄却されないことが分かる.

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11.2 尺度の違いの検定方法

標本順位を用いる

ワイルコクソン検定と考え方が似ている

2つの母集団分布の位置は等しいとわかっているときに,

分布の散らばりに差があるかどうかを調べるのに有効

s ウィルコクソン検定とは,適用の場面が全く異なる

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11.2 尺度の違いの検定方法

検定したい仮説は

帰無仮説 Ho:母集団分布の中央値は等しい対立仮説 Hl 母集団分布の中央値は等しくない

F(x)と G(り からの標本を,x = (Xl, • • • , Xn)と y= (Ylγ. . ,Ym)とする.大きさ N=n+mの標本 X と Y を大きさの順に並べる

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11.2.1 アンサリー・ブラッドレー検定

このとき,アンサリー.ブラッドレー検定は

立 N+1 TA ==ず(N+1)-Li|4-i |巧

である.

(Ansari and Bradley, 1960)

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11.2.1 アンサリー・ブラッドレー検定

j(x),g(x)を分布関数F(x),G(x)の密度関数とする.

j(x) = g(σx)のような場合 :

順位づけをするとき,σの値が大きいと Xの順位は

中央に位置づけられ,結果として TAは小さい値になる.

--、‘、/ ¥

/ ¥

/ ¥ / ¥

〆〆 、、

Yl, Y2,・・・ ,Yj,Xl,X2,... ,Xn,Yj+l,・・・ ,Ym

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11.2.1 アンサリー・ブラッドレー検定

f(x) == g(σx)のような状況において, 0 <σ 三1の

値のとき, X の値の順位は両側に位置づけられる.

つまり,統計量 TAは大きな値をとる.

シ(¥し

¥

¥

、、、J/

/

/ p〆「

Xl,X2,'" ,Xj,Yl,Y2γ ・・ , Ym, Xj+b . . . ,xn

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11.2.1 アンサリー・ブラッドレー検定

TAが著しく大きな値,もしくは,小さい値をとるとき,

帰無仮説を棄却する • (標本の大きさ nとm に関係する)

帰無仮説のもとで,統計量 TAの平均と分散はF

N=η十 m が偶数のとき,

n(N + 2) E(TA)二

N 二 η十 m が奇数のとき,

m(N2 - 4)

(TA)二

48(N -1)

η(N + 1)2 T rfrn ¥ nm(N + 1)(N2 + 3) E(TA)二 , V(TA)二4N ' . \~ rJ.} 48N2

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11.2.1 アンサリー・ブラッドレー検定

nとm が大きいときは

Z0 = TA -E(TA) -

2 - ♂雨

の分布は,帰無仮説のもとでは標準E規分布となる.

m, nが小さい時には,正確な棄却点が導出されている.

正規分布を仮定したもとで,アンサリー ・ブラッドレー検定のF 検定に対する漸近効率は 6/ぷ =0.608となる

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11.2.1 アンサリー・ブラッドレー検定

2種類の睡眠薬 Pl,P2の効能の比較のため, 24匹のマウスをランダムに 2群に分けて実験を行なった.

それぞれの効能の強さは,ほぼ同じであることは

わかっている.

i睡眠薬 Plに対する反応は個体差が大きく関係し,:睡眠薬P2は個体差の影響は少ないことが予想されている :

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11.2.1 アンサリー・ブラッドレー検定

睡眠薬を同じ濃度に希釈し, マウスが眠るまでの時間を

観測したところ,表 11.4のような結果を得た.

表 11.4マウスが眠るまでの時間

睡眠薬 Pl45 59 68 48 66 40 41 56 30 58 52 31

睡眠薬 P251 57 50 57 53 54 61 42 46 39 50 52

表 11.4について,アンサリ ー・ブラッドレー検定を

適用し,

rーーーーー

帰無仮説 HO 睡眠薬 Plと P2では個体差による

ぱらつきの聞に差はない

を検定する.

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11.2.1 アンサリー・ブラッドレー検定

データを大きさの順に並べる.

表 11.5順位づけられたデータ

日寺間 υ(z) 30 31 39 40 41 42 45 46 48 50 50 51

順位 2 3 4 5 6 7 8 9 10.5 10.5 12

vi 1 1 。1 。1 。1 。。。時間 υ(i) 52 52 53 54 56 57 57 58 59 61 66 68

順位 13.5 13.5 15 16 17 18.5 18.5 20 21 22 23 24

vi 。。。 。。1 。 l

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11.2.1 アンサリー・ブラッドレー検定

表 11.5から統計量 TA は

TA = 150 -{(11.5 + 10.5 + 8.5 + 7.5 + 5.5)

+(3.5 + 1 + 4.5 + 7.5 + 8.5 + 10.5 + 11.5)}

= 150 -90.5 = 59.5

アンサリー・ブラッドレ一統計量の平均と分散は,

E(TA)二 78, V(TA)二 74.61

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11.2.1 アンサリー・ブラッドレー検定

よって

である.

2 = 159三二Z8l= 2山、/74.61

!?戸百三百石眠不着予庄三弘一石 1351lより大きくなるので 帰無仮説は有意水準 5%で !

|棄却される J

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11.2.1 ムード検定

この検定法は,アンサリー .ブラッ ドレー検定と同様に,分布の散らばりに差があるかどうかを調べるのに有効な

検定法である.

母集団分布 F(x)とG(x)からの標本を 3 それぞれ

X = (Xlぃ ., Xη)とy= (Ylぃ .,Ym)とする.

大λノょの節をY

L」X

本標のm

'L

一了ペ訂

U3

N聞

大」の

キC

寸々

大き

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11.2.1 ムード検定

ムー ド検定は

日二三(iγ)¥によって与えられる.(Mood, 1954)

帰無仮説のもとで,統計量 TM の平均と分散は?

n(N2 - 1) TTlrn ¥ nm(N + 1)(N2

- 4) E(TM)二川 ? V(TM)=

180

で与えられることが知られている.

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11.2.1 ムード検定

η とm が大きいときには,

T? = TM - E(TM) 一-u ¥jV(TM)

の分布は,帰無仮説のもとでは標準正規分布となる.

サンプルサイズが小さいときは, Lau bscher et al. (1968) によって正確な棄却点が導出されている.

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11.2.1 ムード検定

アンサリー.ブラッドレー検定で用いた例でムード検定

を行う .

表 11.4のデータについてムード検定を適用し,

r 帰無仮説 Ho :睡眠薬 Plとぬでは個体差によ る

ぱらつきの聞に差はない

を検定する.

この表のデータを大きさの順に並べたものが,先ほどの

表 2.2である.統計量 TMは

TM = 805.75, E(TM) = 575, V(TM) = 11440

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11.2.1 ムード検定

よって,

805.75 -575 == 2.157

3 、/11440となることから,T3の値は標準正規分布における有意

水準 5%点より大きいので,帰無仮説は棄却される

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11.3 位置と尺度の違いの検定方法

これまでは,

分布の形が等しいということがわかっていて,に違いがあるかどうカ

その位置

もしくは,

分布の位置が等しいということがわかっていて,らばりに違いがあるかどうか

を調べるために有効な方法を述べてきた.

その散

ところで,母集団分布についての前提の知識がない場ムには,どのような検定が適切だろうか?

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11.3 位置と尺度の違いの検定方法

この章では,

帰無仮説 Ho:母集団分布は等しい

対立仮説 Hl:母集団分布は等しくない

のような仮説を検定するときに用いることができるいく

つかの検定法を紹介する.

。,1で表すと以下のようになる.

パl

IV¥

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11.3.1 ラページ検定

それぞれの母集団分布 F(x)とG(x)からの標本を?x = (Xl, . • • ,Xπ)とy= (Ylγ . ,Ym)とする.

大きさ N=n+mの標本 X とY を前と同様に大きさの順に並べる.

標本 V(i)が標本 X から得られたならば yi= 1とし,標本 Yから得られたならば yiニ Oとする.

1 vt=

O

V(i) ε{ Xl,・・・ ぅXn}

り(i)ξ {Yl, • ・・ , Ym}

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11.3.1 ラページ検定

この検定法は,位置の違いを検定するウィルコクソン

検定と尺度の違いを検定するアンサリー -ブラッドレー

検定を用いた検定統計量で,ラページ (1971)によって

TT.二(1iw-E(Tw) U 園、/V(Tw)

が提案された.

2

十(7:A-E(TA)

¥JV両

2

この検定統計量の極限分布は?自由度 2のが分布に従うことが知られている (Lepage,1971).

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11.3.1 ラページ検定

昆虫の生息地域によって成長に違いがあるか調査した.

北の方に生息する昆虫 7匹 (グループ。X)と南の方に

生息する昆虫 7匹 (グ、ループ Y)を抽出して,昆虫の

成長の違いを調査 した.知りたいことは,

帰無仮説HO 北方に生息する昆虫と南方に生息する

昆虫の成長の分布は等しい

である.

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11.3.1 ラページ検定

表 11.6のようなデータを得た.

表 11.6 昆虫の大きさ

グループ X 191 173 188 163 184 200 174

グループ Y 211 185 201 195 189 199 180

2つの母集団からの標本を一緒にして,それらを大きさ

の順に並べると ,表 11.7が得られる.

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11.3.1 ラページ検定

表 11.7順位づけられたデータ

V(i) 163 173 174 180 184 185 188

順位 1 2 3 4 5 6 7

vi 1 1 1 O 1 O 1

りω 189 191 195 199 200 201 211

順位 8 9 10 11 12 13 14

vi O 1 O O l O O

ラページ統計量 TLは

TL == 2.9755 + 0.0663 == 3.0418

となり ,5.991より小さいので帰無仮説を棄却しない.

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11.3.2 コルモゴロフ・スミルノフ検定

それぞれの母集団分布 F(x)とG(めからの標本を?

X = (Xl,'" ,Xn)とy= (Yl, ' " ,Ym)とする.

大きさ N=n十 m の標本 X とYを前と同様に大きさの順に並べる.

標本 V(i)が標本 X から得られたならば只 =1とし,

標本 Yから得られたならば只 =0とする.

V(i)ε{ Xl, • ., ,Xη}

り(i)ε {Yl,... ,Ym}

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11.3.2 コルモゴロフ・スミルノフ検定このとき, コルモゴロブ ・スミノレノフ検定 TK は

む=竺子部|kf五-SMと定義される.ただしdは標本数nとmの最大公約数である.(Kolmogorov, 1933; Smirnov, 1939)

伝統的な形としては,経験分布関数を用いた

TK = 石t -225|凡(X)-Gm(x)1

のような統計量が有名である.

凡(X)とGm(X)は標本 X とY からの経験分布関数

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11.3.2 コルモゴロフ・スミルノフ検定

ラページ検定で用いた例でコノレモゴロフ ・スミルノフ

検定を行う .

表 11.6のデータについてコルモゴロフ ・スミノレノフ

検定を適用し,

帰無仮説HO 北方に生息する見虫と南方に生息する

昆虫の成長の分布は等しい

を検定する.

2つの母集団からの標本を一緒にして,大きさの順に

並べると ,表 11.9が得られる.

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11.3.2 コルモゴロフ・スミルノフ検定

表 11.9順位づけられたデータ

りω 163 173 174 180 184 185 188

vi 1 1 1 O 1 O 1

EVi 1 2 3 3 4 4 5

り臼} 189 191 195 199 200 201 211

vi O 1 O O 1 O O

乞vi 5 6 6 6 7 7 7

表 11.9より

Tv = 12+1277 v X 一 (

日 12 2

である.よって,コルモゴロフ・スミルノフ検定の棄却

J'~'"の表より, 帰無仮説を有意水準 5% で棄却する

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11.3.3 クラーメル・フォン

ミーゼス検定

標本り(i)が標本 X から得られたならば院二 1とし,

標本 Yから得られたならば vi= 0とする.これを,

1 V(i)ε{ Xl) . . . ) Xη} vi = <

o V(i)モ{Yl). . . ) Ym}

と表す.このとき,クラーメル・フォンミーゼス検定は

ゐ=ネ芝 kd石-p2

で与えられている.

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11.3.3 クラーメル・フォン

ミーゼス検定

より伝統的な表記の仕方として,

f∞ (n凡(x)+ mGn(x)¥ T c = __' v,' . ~__ I (凡(x)_ Gm(x))2d ( I~ J. n\ .v_~ " 1_ ~: \J n\.v J )

十 m-'_∞ ¥ η十 m ノ

として与えられている.

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11.3.3 クラーメル・フォン

ミーゼス検定

標本 X とYのそれぞれの順位を九と Hjで表すとき,

Anderson (1962)により ,クラーメノレ・フォンミーゼス

検定は

長三 (nJmぷ工(R;一平i)

十三い-弓竺j)で与えられている.

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11.3.3 クラーメル・フォン

ミーゼス検定

標本数が小さい場合は, Anderson (1962)によって棄却点が与えられている.

標本数が大きい場合には, Anderson and Darling (1952) によって極限分布が与えられている.

表 11.6のデータを用いて クラーメル・フォンミーゼ、ス検定を行ってみる.

表 11.6のデータを大きさの順に並べたものが表 11.10となる.

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11.3.3 クラーメル・フォン

ミーゼス検定表 11.10順位づけ られたデータ

データ 163 173 174 180 184 185

順位 1 2 3 4 5 6

データ 189 191 195 199 200 201

順位 8 9 10 11 12 13

表 11.1より, Andersonによって提案されたクラーメル

・フォンミーゼス検定は

188

7

211

14

有意水準 5%の値 0.46136より小さいので棄却でき

ない

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11.3.4 バウムガートナー型検定

-コルモゴ、ロフ ・スミノレノフ検定やクラーメル・フォンミーゼス検定よりも検出力が高い

-位置の違いに対しては, ウィルコクソン検定と同程度の検出力が得られることが, Murakami (2006)によって示されている.

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11.3.4 バウムガートナー型検定

クラーメル ・フォンミーゼス検定検定の場合と同様に

標本 X とYのそれぞれの順位を九と Hjで表すとき,

1 ~ (九-雫戸)2

2n白布(1一品)m(叩刊TB

+土ず (同 一号~ilj)2 2m台古(1-古)η(Z71)

が提案されている.

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11.3.4 バウムガートナー型検定この統計量の極限分布は,

一岳会 Cj~) (4j

である.ただ、し,

(サ=同r(jj ) r (位ωiD)jρ !

標本の大きさが小さいときには 正確な棄却点が

M urakami (2007)によって与えられている.

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11.3.4 バウムガートナー型検定

表 11.6のデータを用いて,修正型パウムガートナー検定を行ってみる.

データを大きさの順に並べた表 11.10

表 11.10順位づけられたデータ

データ 163 173 174 180 184 185 188

順位 1 2 3 4 5 6 7

データ 189 191 195 199 200 201 211

順位 8 9 10 11 12 13 14

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11.3.4 バウムガートナー型検定

表 11.10より,修正型バウムガートナ一統計量 TB は

TR土x{19.5298 + 8.862041 } = 2.0107

-'J 14 '-----. ---- .J

となり,有意水準 5%の値 2.493より小さいので棄却することはできない.

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参考文献•

Ansari, A. R. and Bradley, R. A. (1960). Rank-sum tests for dispersions. The Annals of Mathematical Statistics, 31, 4, 1174-

1189. •

Anderson, T. W. (1962). On the distribution of the two-sample Cramer-Von Mises

criterion. The Annals of Mathematical

Statistics, 33, 3, 1148-1159. •

Anderson, T. W. and Darling, D. A. (1952). Asymptotic theory of certain “goodness of fit”

criteria based on stochastic

processes. The Annals of Mathematical Statistics, 23, 2, 193- 212.

Kolmogorov, A. (1933). Sulla determinazione

empirica

di

una legge

di

distribuzione. Giornale dell’Istituto Italiano degli

Attuari, 4, 83-91. •

Laubscher, F. Steffens, F. E. and De Lange, E. M. (1968). Exact critical values for Mood’s distribution-free test statistic for dispersion and its normal approximation. Technometrics, 10, 3, 497-507.

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参考文献•

Lepage, Y. (1971). A combination of Wilcoxon’s

and Ansari-

Bradley’s statistics. Biometrika, 58, 1, 213-217. •

Mann, H. B. and Whitney, D. R. (1947). On a test of whether one of two random variables is stochastically larger than the other. The Annals of Mathematical Statistics, 18, 1, 50-60.

Mood, A. M. (1954). On the asymptotic efficiency of certain nonparametric two-sample tests. The Annals of Mathematical Statistics, 25, 3, 514-522.

Murakami, H. (2006). A k-sample rank test based on modified Baumgartner statistic and its power comparison. Journal of the Japanese Society of Computational Statistics, 19, 1-13.

Murakami, H. (2007). Lepage type statistic based on the modified Baumgartner statistic. Computational Statistics and Data analysis, 51, 10, 5061-5067.

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参考文献

Smirnov, N. V. (1939). Sur

les écarts

de la courbe

de distribution empirique, Matematiceskii Sbornik N.S., 6, 3–26.

Wilcoxon, F. (1945). Probability tables for individual comparisons by ranking methods. Biometrics, 3, 3, 119-122.