11-1 世界の地震活動(2014年11月~2015年4月) seismic...

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1120141120154Seismic Activity in the World (November 2014 – April 2015) 気象庁 Japan Meteorological Agency 今期間,世界でM6.0以上の地震は63回,M7.0以上の地震は5回発生した(日本及びその周辺は気 象庁,そのほかの地域は米国地質調査所[USGS]による).このうち最大のものは,2015425(日本時間)にネパールで発生したMw7.9の地震であった. 201411月~20154月のM6.0以上の地震の震央分布を第1(a)及び(b)に示す. 主な地震活動は以下のとおりである.特段の断りがない限り,Mw及び発震機構(CMT解)は気 象庁に,そのほかの震源要素はUSGSによる.また,時刻は日本時間である. 1)モルッカ海の地震(最大Mw7.0,第2(a)(c)201411151131分に,モルッカ海の深さ35kmMw7.0の地震が発生した.また,ほぼ同 じ場所で262333分に深さ42kmMw6.8の地震が発生した.これらの地震の発震機構(CMT解) は,西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である. 2)パプアニューギニア,ニューブリテンの地震(Mw7.4,第3(a)(d)20153300848分に,パプアニューギニア,ニューブリテンの深さ41kmMw7.4の地震 が発生した.この地震の発震機構(CMT解)は,南北方向に圧力軸を持つ逆断層型で,インド・ オーストラリアプレートと太平洋プレートの境界付近で発生した.この地震により,ソロモン諸 島のタロ島で3cmの津波を観測した. 3)ネパールの地震(Mw7.9,第4(a)(e)20154251511分に,ネパールの深さ15kmMw7.9の地震が発生した.この地震の発震 機構(CMT解)は南北方向に圧力軸を持つ逆断層型である.今回の地震の震央周辺はインド・オ ーストラリアプレートがユーラシアプレートに衝突し,沈み込んでいる地域で,大きな被害を伴 う地震が度々発生している場所である. 359

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11-1 世界の地震活動(2014年11月~2015年4月) Seismic Activity in the World (November 2014 – April 2015)

気象庁

Japan Meteorological Agency

今期間,世界でM6.0以上の地震は63回,M7.0以上の地震は5回発生した(日本及びその周辺は気

象庁,そのほかの地域は米国地質調査所[USGS]による).このうち最大のものは,2015年4月25日(日本時間)にネパールで発生したMw7.9の地震であった.

2014年11月~2015年4月のM6.0以上の地震の震央分布を第1図(a)及び(b)に示す. 主な地震活動は以下のとおりである.特段の断りがない限り,Mw及び発震機構(CMT解)は気

象庁に,そのほかの震源要素はUSGSによる.また,時刻は日本時間である. (1)モルッカ海の地震(最大Mw7.0,第2図(a)~(c))

2014年11月15日11時31分に,モルッカ海の深さ35kmでMw7.0の地震が発生した.また,ほぼ同

じ場所で26日23時33分に深さ42kmでMw6.8の地震が発生した.これらの地震の発震機構(CMT解)

は,西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である. (2)パプアニューギニア,ニューブリテンの地震(Mw7.4,第3図(a)~(d))

2015年3月30日08時48分に,パプアニューギニア,ニューブリテンの深さ41kmでMw7.4の地震

が発生した.この地震の発震機構(CMT解)は,南北方向に圧力軸を持つ逆断層型で,インド・

オーストラリアプレートと太平洋プレートの境界付近で発生した.この地震により,ソロモン諸

島のタロ島で3cmの津波を観測した. (3)ネパールの地震(Mw7.9,第4図(a)~(e))

2015年4月25日15時11分に,ネパールの深さ15kmでMw7.9の地震が発生した.この地震の発震

機構(CMT解)は南北方向に圧力軸を持つ逆断層型である.今回の地震の震央周辺はインド・オ

ーストラリアプレートがユーラシアプレートに衝突し,沈み込んでいる地域で,大きな被害を伴

う地震が度々発生している場所である.

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Page 2: 11-1 世界の地震活動(2014年11月~2015年4月) Seismic ...cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/report/kaihou94/11_01.pdf11-1 世界の地震活動(2014年11月~2015年4月)

2 0 1 4 年 1 1 月 1 5 日 M w 7 . 0

2 0 1 4 年 1 1 月 2 6 日 M w 6 . 8

世 界 の 地 震 活 動 ( 2 0 1 4 年 1 1 月 ~ 2 0 1 5 年 1 月 、 M ≧ 6 . 0 ) 震 源 は 米 国 地 質 調 査 所 ( U S G S 、 2 0 1 5 年 5 月 1 8 日 現 在 ) 、 モ ー メ ン ト マ グ ニ チ ュ ー ド M w は 気 象 庁 に よ る 。

2 0 1 5 年 4 月 2 5 日 M w 7 . 9

2 0 1 5 年 3 月 3 0 日 M w 7 . 4

世 界 の 地 震 活 動 ( 2 0 1 5 年 2 月 ~ 4 月 、 M ≧ 6 . 0 ) 震 源 は 米 国 地 質 調 査 所 ( U S G S 、 2 0 1 5 年 5 月 1 8 日 現 在 ) 、 モ ー メ ン ト マ グ ニ チ ュ ー ド M w は 気 象 庁 に よ る 。

第1図(a) 世界の地震活動(2014年11月~2015年1月,M≧6.0,深さ≦700km) Fig.1(a) Seismic activity in the World (November 2014 – January 2015, M≧6.0, depth≦700 km).

第1図(b) つづき(2015年2月~4月,M≧6.0,深さ≦700km) Fig.1(b) Continued (February – April 2015, M≧6.0, depth≦700 km).

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2014 年 11 月 15 日 11 時 31 分(日本時間、以下同じ)に、モルッカ海の深さ 35km で Mw7.0 の地震(今

回の地震①)が発生した。また、ほぼ同じ場所で 26 日 23 時 33 分に深さ 42km で Mw6.8 の地震(今回の地震②)が発生した。これらの地震は、共に発震機構(気象庁による CMT 解)が西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である。 気象庁は 15日 11 時 31 分の地震について、同日 12時 02 分に遠地地震に関する情報(日本国内向け、「震源の近傍で津波発生の可能性があります。日本への津波の有無については現在調査中です。」)、同日 12 時 56 分に同情報(日本国内向け、「この地震による日本への津波の影響はありません。」)を発表した。また、26 日 23 時 33 分の地震について、27 日 00 時 03 分に遠地地震に関する情報(日本国内向け、「この地震による日本への津波の影響はありません。」)を発表した。 1980 年1月以降の活動を見ると、今回の地震の震央周辺(領域a)では M7.0 以上の地震が時々発生

している。2007 年1月 21 日には Mw7.5 の地震が発生し、死者4人、負傷者4人などの被害が生じた。

領域a内のM-T図

11 月 15 日、26 日 モルッカ海の地震

プレート境界の位置 プレートの進行方向

震央分布図

(1980 年1月1日~2014 年 11 月 30 日、深さ0~100km、M≧5.0)

今回の地震

の震央位置

オーストラリア

*参考文献

Bird, P. (2003) An updated digital model of plate boundaries, Geochemistry Geophysics Geosystems, 4(3), 1027,

doi:10.1029/2001GC000252.

※本資料中、今回の地震の発震機構(CMT 解)と Mw は気象庁による。その他の地震の発震機構(CMT 解)と Mw は GlobalCMTによる。

その他の震源要素及び被害は米国地質調査所(USGS)による(2014 年 12 月1日現在)。プレート境界の位置と進行方向は Bird(2003)*より引用。

今回の地震①

ユーラシア プレート

プレートの進行方向はユーラシアプレ

ートを基にした相対的な方向である。

パプア ニューギニア

インドネシア

フィリピン

インド・オーストラリアプレート

モルッカ海

今回の地震②

第2図(a) 2014年11月15日, 26日 モルッカ海の地震(Mw7.0, Mw6.8) Fig.2(a) The earthquakes in the Molucca Sea (Mw7.0, Mw6.8) on November 15 and 26, 2014.

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第2図(b) 発震機構解析 Fig.2(b) Moment tensor solution.

第2図(c) 発震機構解析 Fig.2(c) Moment tensor solution.

N

S

EW

PT

N

10 degree

20 degree

30 degree

40 degree

50 degree

60 degree

70 degree

80 degree

90 degree

GUMO

WRAB

PMG

TATOHKPSQIZ

MBWA CTAO

SSE

CHTO

ENHKMI

INCNXAN MAJOBJT

KWAJ

MDJ

WAKE

LSA

PALKTARA

YSSHIA

TAU

ULNTLY

WMQ

MSVF

DGAR

PET

NIL

MAKZAAK

AFI

KURK ADK

CASY

UOSS

RAR

KIPPOHA

ABPO

GNIKIV

FURI

OBN

KMBO

N

S

EW

P

T

N

N

S

EW

P

T

N

10 degree

20 degr ee

30 degree

40 degree

50 degree

60 degree

70 degree

80 degree

90 degree

GUMO

WRAB

TATO

PMG

HKPSQIZ

MBWA CTAO

SSE

CHTO

ENHKMI

HNR

INCN

NWAO

XAN MAJOBJT

KWAJ

MDJ

LSA

PALKTARA

YSSHIA

TAU

ULNWMQ

MSVF

DGAR

NIL

MAKZ

SNZO

AAK

AFI

KURK

JOHN

ADKBRVK

CASY

UOSS

RARABPO

GNI

KDAK

KIV

COLA

FURI

OBN

KMBO

N

S

EW

P

T

N

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2015 年3月 30 日 08 時 48 分(日本時間、以下同じ)にパプアニューギニア、ニューブリテンの深さ41km で Mw7.4 の地震が発生した。この地震は発震機構(気象庁による CMT 解)が、南北方向に圧力軸を持つ逆断層型で、インド・オーストラリアプレートと太平洋プレートの境界付近で発生した。 気象庁は、同日 09 時 14 分に遠地地震に関する情報(日本国内向け、「太平洋で津波発生の可能性があ

ります。日本への津波の有無については現在調査中です。」)を、同日 10 時 22 分に遠地地震に関する情報(日本国内向け、「この地震による日本への津波の影響はありません。」)を発表した。この地震により、ソロモン諸島のタロ島で3cm の津波を観測した。 2000 年以降の活動を見ると、今回の地震の震央周辺(領域a)では、2000 年 11 月 16 日に Mw8.0、Mw7.8、

11 月 18 日に Mw7.8 の地震が連続して発生し、11 月 16 日の Mw8.0 の地震では、死者2人、住家被害多数の被害を生じている。 1970 年以降の活動を見ると、今回の地震の震央周辺(左下震央分布図内)では、M7.0 以上の地震が頻

繁に発生している。

震央分布図 (1970 年1月1日~2015 年3月 31 日、

深さ0~100km、M≧7.0)

3月 30 日 パプアニューギニア、ニューブリテンの地震

領域a内のM-T図

今回の地震 の震央位置

左図の範囲

*参考文献 Bird, P. (2003) An updated digital model of plate boundaries, Geochemistry Geophysics Geosystems, 4(3), 1027,

doi:10.1029/2001GC000252.

※本資料中、今回の地震の発震機構と Mw は気象庁による。その他の地震の発震機構と Mw は GlobalCMT による。震源要素は米国地質

調査所(USGS)による。過去の被害は、宇津及び(独)建築研究所国際地震工学センターによる「世界の被害地震の表」による。

プレート境界の位置と進行方向は Bird(2003)*より引用。海外の津波観測施設の観測値は米国海洋大気庁(NOAA)による(2015

年4月2日現在)。

インド・オーストラリア

プレート

オーストラリア

ニューギニア島

今回の地震

プレート境界の位置

プレートの進行方向

今回の地震、M8.0 以上の地震と、10 人以上の被害を

生じた地震に吹き出しを付けた。

震央分布図 (2000 年1月1日~2015 年3月 31 日、深さ0~100km、

M≧5.0)2015 年3月の地震を濃く表示

今回の地震

ニューギニア島

今回の地震の発震機構 (気象庁による CMT 解)

プレートの進行方向は、インド・オーストラリアプレートと太平洋プレートを

それぞれ固定した場合の相対的な方向である。

★ 太平洋

プレートa

タロ島

ニューブリテン島

第3図(a) 2015年3月30日 パプアニューギニア,ニューブリテンの地震(Mw7.4) Fig.3(a) The earthquake in New Britain, Papua New Guinea (Mw7.4) on March 30, 2015.

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解析に使用した観測点配置

3月 30 日 パプアニューギニア、ニューブリテンの地震の発震機構解析

2015 年3月 30 日 08 時 48 分(日本時間)にパプアニューギニア、ニューブリテンで発生した地震に

ついて CMT 解析及び W-phase を用いたメカニズム解析を行った。

1.CMT 解析 セントロイドは、南緯 5.1°、東経 152.6°、深さ 38km となった。

2.W-phase の解析 セントロイドは、南緯 5.0°、東経 152.4°、深さ 36km となった。

W-phase の解析では、震央距離 10°~90°まで 41 観測点の上下成分、

17 観測点の南北成分、14 観測点の東西成分を用い、200~1000 秒のフィル

ターを使用した。

注)W-phase とは P波から S波付近までの長周期の実体波を指す。

Mw M0 断層面解1(走向/傾斜/すべり角) 断層面解2(走向/傾斜/すべり角)

7.4 1.52×1020Nm 257.2°/32.9°/87.8° 79.9°/57.2°/91.4°

Mw M0 断層面解1(走向/傾斜/すべり角) 断層面解2(走向/傾斜/すべり角)

7.5 2.48×1020Nm 265.3°/20.0°/99.7° 75.1°/70.3°/86.5°

(W-phase に関する参考文献)

Kanamori, H and L. Rivera, 2008, Geophys. J. Int., 175,

222-238.

解析データには IRIS-DMC より取得した広帯域地震波形記録を

使用した。

また、解析には金森博士に頂いたプログラムを使用した。記し

て感謝する。

第3図(b) 発震機構解析 Fig.3(b) Moment tensor solution.

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152˚E 153˚E

5˚S

4˚S

20 km

150˚E 160˚E

10˚S

2015 年3月 30 日 08 時 48 分(日本時間)にパプアニューギニア、ニューブリテンで発生した地震について、米国地震学連合(IRIS)のデータ管理センター(DMC)より広帯域地震波形記録を取得し、遠地実体波を用いた震源過程解析(注1)を行った。 初期破壊開始点は、米国地質調査所(USGS)による震源の位置(4°45.7′S、152°33.6′E)とし

た。深さは USGS による震源(41km)よりも深い 50km とした。断層面は、気象庁 CMT 解の2枚の節面のうち、北北西傾斜の節面(走向 257°、傾斜 33°)を仮定して解析した。最大破壊伝播速度は 2.7km/sとした。理論波形の計算には CRUST2.0 (Bassin et al., 2000) および IASP91 (Kennett and Engdahl, 1991) の地下構造モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり(この結果は暫定であり、今後更新することがある)。 ・主なすべり域の大きさは走向方向に約 90km、傾斜方向に約 60km であった。 ・主なすべりは初期破壊開始より南東方向の浅い領域にあり、最大すべり量は 2.0m であった(周

辺の構造から剛性率を 30GPa として計算)。 ・主な破壊継続時間は約 40 秒であった。 ・モーメントマグニチュード(Mw)は 7.5 であった。 結果の見方は、http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/world/about_srcproc.html を参照。

斜方向

(km)

さ(km)

浅い

深い

A B

−45

−30

−15

0

15

30

45

60

75

90

−90 −75 −60 −45 −30 −15 0 15 30 45 60 75 90

15

30

45

60

0.0

0.5

1.0

1.5

0 10 20 30 40 50 60

モー

メントレート

(×101

9 Nm/s)

M6.05.04.5

星印は初期破壊開始点を示す。灰色の丸は本震の発生後3日以内の余震の震央を示す(M4.5 以上、USGS による)。青線はプレート境界を示す。

2015 年3月 30 日 パプアニューギニア、ニューブリテンの地震 - 遠地実体波による震源過程解析(暫定)-

(注1)解析に使用したプログラム M. Kikuchi and H. Kanamori, Note on Teleseismic Body-Wave Inversion Program,

http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/ETAL/KIKUCHI/

M0=2.28E+20Nm

破壊開始からの経過時間(秒)

断層面の設定に用いた節面(走向 257°、傾斜 33°、すべり角 88°)を赤線で示す。

震源時間関数

地図上に投影したすべり量分布

星印は初期破壊開始点、矢印は下盤側に対する 上盤側の動きを表す。

解析に用いたメカニズム解 (気象庁 CMT 解)

すべり量

→大きい 小さい←

断層面上でのすべり量分布

走向方向(km)

0 30 60 90 120

IU.PET.00P

UD

4.3

156.29

IU.PET.00SH

4.3

218.72

IU.ADK.00P

UD

20.9

157.28

IU.COLA.00P

UD

21.7

110.17

IU.MIDW.00P

UD

39.6

154.24

IU.TUC.00P

UD

58.0

42.86

IU.TUC.00SH

58.0

222.17

IU.KIP.00P

UD

59.6

112.73

IU.KIP.00SH

59.6

387.23

IU.POHA.00P

UD

62.5

102.24

IU.XMAS.10P

UD

83.4

102.74

IU.AFI.00P

UD

107.1

86.89

IU.RAR.00P

UD

114.1

89.64

GT.VNDA.00P

UD

177.9

130.90

IU.CASY.00SH

196.9

192.89

IU.NWAO.00P

UD

225.0

172.03

IU.MBWA.00P

UD

239.8

154.30

IU.CHTO.00P

UD

295.8

146.17

IC.QIZ.00P

UD

300.8

180.86

IC.KMI.00P

UD

304.3

163.82

IC.LSA.00P

UD

304.7

139.76

IU.TATO.00P

UD

316.0

199.86

IC.XAN.00P

UD

316.7

163.82

IC.WMQ.00P

UD

317.6

138.77

IC.SSE.00P

UD

322.2

203.52

IC.BJT.00P

UD

326.7

173.66

IU.ULN.00P

UD

328.4

165.92

IC.HIA.00P

UD

336.2

173.83

IC.MDJ.00P

UD

339.8

190.98

IC.MDJ.00SH

339.8

98.25

IU.MAJO.00P

UD

343.2

190.87

IU.YAK.00P

UD

348.7

159.38

IU.YSS.00P

UD

351.6

198.44

IU.TIXI.00P

UD

352.6

146.43

30 d

egre

e

50 d

egre

e

100

degr

ee

PET ADK

COLA

MIDW

TUC

KIPPOHA

XMAS

AFI

RAR

VNDACASY

NWAO

MBWA

CHTOQIZ

KMILSA

TATO

XAN

WMQ

SSE

BJT

ULN HIAMDJ

MAJO

YAK

YSS

TIXI

残差 0.1865

(秒)

観測波形(上:0.002Hz-0.5Hz)と理論波形(下)の比較

観測点分布

震央距離 30°~100°※1の 30 観測点※2(P波:29、SH 波:5)を使用。※1:近すぎると理論的に扱いづらくなる波の計算があり、逆に遠すぎる

と、液体である外核を通るため、直達波が到達しない。そのため、評価しやすい距離の波形記録のみを使用。

※2:IRIS-DMC より取得した広帯域地震波形記録を使用。

参考文献 Bassin, C., Laske, G. and Masters, G., 2000, The Current Limits of Resolution for Surface Wave Tomography in North America, EOS Trans AGU, 81, F897.

Kennett, B. L. N. and E. R. Engdahl, 1991, Traveltimes for global earthquake location and phase identification, Geophys. J. Int., 105, 429-465.

第3図(c) 遠地実体波による震源過程解析 Fig.3(c) Source rupture process: analysis using teleseismic body-wave.

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Page 8: 11-1 世界の地震活動(2014年11月~2015年4月) Seismic ...cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/report/kaihou94/11_01.pdf11-1 世界の地震活動(2014年11月~2015年4月)

気象庁が東海地域に設置している埋込式体積ひずみ計で観測された今回の地震の波形と理論波形の振幅比較により、地震のモーメントマグニチュード(Mw)の推定を行った。 理論体積ひずみは気象庁 CMT 解を用い、一次元

地球構造モデル PREM の固有モード周期 45 秒~3300 秒の重ね合わせにより計算した。その際に、スカラーモーメント量を Mw7.2 相当から 7.6 相当まで 0.1 刻みで変化させて、それぞれについて観測波形と比較した。 体積ひずみ計の観測波形と理論波形が最もよく

整合するのは、Mw7.4 相当の場合であった。

3月 30 日 08 時 48 分頃のパプアニューギニア、ニューブリテン付近の地震

- 体積ひずみ計の記録から推定される Mw -

理論波形と体積ひずみ観測点 8ヵ所の観測波形との比較(下図)データには周期 120-333 秒のバンドパスフィルタを時間軸の正逆両方

向にかけている。

田原福江観測点の観測波形と理論波形の振幅比較(上図)データには周期120-333秒のバンドパスフィルタを時間軸の正逆両

方向にかけている。網掛けは誤差(1σ)の範囲を示す。

田原福江観測点で観測された体積ひずみ波形

1秒サンプリング

体積ひずみ計の配置図

生波形

フィルター波形

第3図(d) 体積ひずみ計の記録から推定されるMw Fig.3 (d) The moment magnitude estimated from data of the borehole volume strainmeters.

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2015 年4月 25 日のネパールの地震

(1)概要

2015 年4月 25 日 15 時 11 分(日本時間、以下同じ)にネパールの深さ 15km で Mw7.9 の地震が発生

した。この地震の発震機構(気象庁による CMT 解)は南北方向に圧力軸を持つ逆断層型である。

気象庁は、今回の地震について4月 25 日 15 時 47 分(日本への津波の心配なし)と 16 時 46 分(震

源要素の更新)に遠地地震に関する情報を発表した。

余震は、今回の地震の震央から東南東方向へ約 200km にわたり発生している。最大の余震は、4月

26 日 16 時 09 分に発生した M6.7 の地震である(4月 30 日現在)。

また、今回の地震により、ネパール国内で死者 7,675 人、負傷者 16,392 人の被害を生じた。

今回の地震の震央周辺はインド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートに衝突し、沈み込

んでいる地域で、大きな被害を伴う地震が度々発生している場所である。

※本資料中、震源要素は米国地質調査所(USGS)による(5月5日時現在)。ただし、今回の地震の発震機構と Mw は気象庁による。

プレート境界の位置と進行方向は Bird(2003)*より引用。被害は、OCHA(UN Office for the Coordination of Humanitarian

Affairs:国連人道問題調整事務所)による(2015 年5月6日現在)。

*参考文献

Bird, P. (2003) An updated digital model of plate boundaries, Geochemistry Geophysics Geosystems, 4(3), 1027,

doi:10.1029/2001GC000252.

図1-1 震央分布図 (1980 年1月1日~2015 年4月 30 日、深さ0~60km、M≧5.0)

2015 年4月の地震を濃く表示

a 今回の地震

インド

中国

パキスタン

インド・オーストラリアプレート

プレート境界の位置

プレートの進行方向

ネパール

図1-2 領域a内のM-T図

ユーラシアプレート

第4図(a) 2015年4月25日 ネパールの地震(Mw7.9) Fig.4(a) The earthquake in Nepal (Mw7.9) on April 25, 2015.

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(2)地震活動 ア.余震の発生状況と今回の地震の発生場所の詳細 今回の地震(25 日 15 時 11 分、深さ 15km、Mw7.9)の発生後、28 日頃にかけてまとまった余震活動が見られた。このうち、最大の余震は、26 日 16 時 09 分に今回の地震の震央の東南東約 200km の深さ 17km で発生した M6.7 の地震であった(4月 30 日現在)。 余震は、今回の地震の震央から東南東方向に長さ約 200km、幅約 80km の範囲に分布しており、この地域のプレート境界に平行に分布している。 今回の地震の震央周辺は、北側にユーラシアプレート、南側にインド・オーストラリアプレートが位置し、ユーラシアプレートに対しインド・オーストラリアプレートが南南西方向から衝突し、沈み込む地域となっている。

インド・オーストラリア

プレート

カトマンズ

ユーラシアプレート

エベレスト

プレート境界の位置

プレートの進行方向

図2-1 震央分布図

(2015 年4月 25 日~4月 30 日、深さ0~60km、M≧4.0) (地形に陰影をつけて表示した)

図2-2 領域b内のM-T図及び回数積算図

イ.過去に周辺で発生した主な地震 1900 年以降の活動を見ると、今回の地震の震央周辺では、M7.5 以上の地震がしばしば発生している。このうち、最大の規模の地震は、1950 年8月 15 日に発生した M8.6 の地震である。また、最大の被害(死者 86,000 人以上)を生じた地震は、2005 年 10 月8日に発生した Mw7.6 の地震である。

死者 69,225 人

死者 86,000 人以上

図2-3 震央分布図※※ (1900 年1月1日~2015 年4月 30 日、深さ0~100km、Mw≧6.5)

※※本資料中、1900 年~2009 年の震源要素は国際地震センター(ISC)による。2010 年以降の震源要素は USGS による(2015 年5月

5日現在)。1976 年以降の Mw は GCMT、今回の地震の Mw は気象庁による。プレート境界の位置は Bird(2003)*より引用。

今回の地震の被害は OCHA(2015 年5月6日現在)による。その他の地震の被害は、理科年表、宇津及び国際地震工学センターの

「世界の被害地震の表」による。

インド

インド洋死者 20,023 人

死者 20,000 人 今回の地震

死者 7,675 人

死者 3,300 人

ネパール

*参考文献

Bird, P. (2003) An updated digital model of plate boundaries, Geochemistry Geophysics Geosystems, 4(3), 1027,

doi:10.1029/2001GC000252.

インド・オーストラリアプレート

プレート境界の位置

プレートの進行方向

ユーラシアプレート

死者 10,700 人

中国

第4図(b) つづき Fig.4(b) Continued.

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解析に使用した観測点配置

N

S

EWP

T

N

4月 25 日 ネパールの地震の発震機構解析

2015 年4月 25 日 15 時 11 分(日本時間)にネパールで発生した地震について CMT 解析及び W-phase

を用いたメカニズム解析を行った。

1.CMT 解析 セントロイドは、北緯 27.9°、東経 85.3°、深さ 12km となった。

2.W-phase の解析 セントロイドは、北緯 27.4°、東経 85.4°、深さ 26km となった。

W-phaseの解析では、震央距離 10°~90°までの 22観測点の上下成分、

12 観測点の南北成分、11 観測点の東西成分を用い、200~600 秒のフィル

ターを使用した。

注)W-phase とは P波から S波付近までの長周期の実体波を指す。

Mw M0 断層面解1(走向/傾斜/すべり角) 断層面解2(走向/傾斜/すべり角)

7.9 8.54×1020Nm 299.1°/6.3°/111.7° 97.3°/84.2°/87.7°

Mw M0 断層面解1(走向/傾斜/すべり角) 断層面解2(走向/傾斜/すべり角)

7.9 7.96×1020Nm 291.9°/6.6°/106.0° 95.9°/83.7°/88.2°

(W-phase に関する参考文献)

Kanamori, H and L. Rivera, 2008, Geophys. J. Int., 175,

222-238.

解析データには IRIS-DMC より取得した広帯域地震波形記録を

使用した。

また、解析には金森博士に頂いたプログラムを使用した。記し

て感謝する。

第4図(c) 発震機構解析 Fig.4(c) Moment tensor solution.

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84˚E 85˚E 86˚E

27˚N

28˚N

29˚N

50 km

80˚E 90˚E

30˚N

2015年4月25日15時11分(日本時間)にネパールで発生した地震について、米国地震学連合(IRIS)のデータ管理センター(DMC)より広帯域地震波形記録を取得し、遠地実体波を用いた震源過程解析(注1)を行った。 初期破壊開始点は、米国地質調査所(USGS)による震源の位置(28°08.8′N、84°82.4′E、深さ

15km)とした。断層面は、気象庁 CMT 解の2枚の節面のうち、北北東傾斜の節面(走向 299°、傾斜6°)を仮定して解析した。最大破壊伝播速度は3.0km/sとした。理論波形の計算にはCRUST2.0 (Bassin et al., 2000) および IASP91 (Kennett and Engdahl, 1991) の地下構造モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり(この結果は暫定であり、今後更新することがある)。 ・主なすべり域の大きさは走向方向に約 120km、傾斜方向に約 160km であった。 ・主なすべりは初期破壊開始点より南東方向にあり、最大すべり量は 5.3m であった(周辺の構造

から剛性率を 30GPa として計算)。 ・主な破壊継続時間は約 55 秒であった。 ・モーメントマグニチュード(Mw)は 8.0 であった。 結果の見方は、http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/world/about_srcproc.html を参照。

斜方向

(km)

さ(km)

浅い

深い

モー

メントレート

(×101

9 Nm/s)

0123456

0 10 20 30 40 50 60 70 80

A B

−100

−80

−60

−40

−20

0

20

40

60

80

100

−160 −140 −120 −100 −80 −60 −40 −20 0 20 40 60

5

10

15

20

25

M7.06.05.04.0

赤星印は今回の地震の初期破壊開始点を、青星印は5月 12 日の M7.3 の地震(USGS による)をそれぞれ示す。灰色の丸は本震の発生後3日以内の余震の震央を示す(M4.0 以上、USGS による)。青線はプレート境界を示す。

2015 年4月 25 日 ネパールの地震 - 遠地実体波による震源過程解析(暫定)-

(注1)解析に使用したプログラム M. Kikuchi and H. Kanamori, Note on Teleseismic Body-Wave Inversion Program,

http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/ETAL/KIKUCHI/

M0=1.43E+21Nm

破壊開始からの経過時間(秒)

断層面の設定に用いた節面(走向 299°、傾斜 6°、すべり角 112°)を赤線で示す。

震源時間関数

地図上に投影したすべり量分布

星印は初期破壊開始点、矢印は下盤側に対する 上盤側の動きを表す。

解析に用いたメカニズム解 (気象庁 CMT 解)

すべり量

→大きい 小さい←

断層面上でのすべり量分布

走向方向(km)

0 30 60 90 120

II.FFC.00P

UD

3.9

75.73

IU.TIXI.00P

UD

16.7

374.40

IU.COLA.00P

UD

20.1

220.00

II.KDAK.00P

UD

27.0

195.24

IU.YAK.00P

UD

28.0

430.09

IU.ADK.00P

UD

39.6

207.67

IU.PET.00P

UD

42.7

273.21

IU.YSS.00P

UD

50.7

380.59

IC.MDJ.00P

UD

52.8

374.89

IU.MIDW.00P

UD

61.5

164.46

IU.MIDW.00SH

61.5

984.12

IU.MAJO.00P

UD

65.1

295.82

IU.MAJO.00SH

65.1

1605.17

IU.JOHN.00P

UD

67.8

63.37

IU.TATO.00P

UD

86.9

198.33

IU.GUMO.00P

UD

91.4

117.72

IU.HNR.00P

UD

105.4

67.76

IU.HNR.00SH

105.4

1494.63

IU.PMG.00P

UD

112.3

101.00

IU.PMG.00SH

112.3

2008.15

IU.CTAO.00P

UD

121.9

92.65

II.KAPI.00P

UD

128.9

128.77

II.WRAB.00P

UD

129.4

101.68

II.TAU.00P

UD

139.4

76.31

IU.MBWA.00P

UD

141.7

164.68

IU.NWAO.00P

UD

151.0

153.76

IU.CASY.00P

UD

169.8

64.35

II.DGAR.00P

UD

200.2

288.43

II.ABPO.00P

UD

221.9

156.28

II.SUR.00P

UD

229.5

92.75

IU.LSZ.00P

UD

239.0

105.79

IU.TSUM.00P

UD

242.0

76.98

II.MBAR.10P

UD

250.5

66.98

IU.FURI.00P

UD

255.2

100.37

II.SHEL.00SH

256.1

290.47

IU.MACI.P

UD

300.0

75.55

IU.MACI.SH

300.0

794.99

IU.PAB.00P

UD

305.8

122.22

IU.PAB.00SH

305.8

663.56

II.KIV.00P

UD

306.7

143.78

II.CMLA.00P

UD

312.0

82.77

II.BFO.00P

UD

312.2

151.73

IU.GRFO.P

UD

313.4

181.98

II.OBN.00P

UD

321.9

223.28

IU.KONO.00P

UD

325.1

201.11

IU.KONO.00SH

325.1

635.05

II.ARU.00P

UD

334.0

311.85

II.BORG.00P

UD

334.3

164.14

IU.KEV.00P

UD

338.4

254.56

IU.KEV.00SH

338.4

495.81

IU.SFJD.00P

UD

343.8

174.35

IU.KBS.00P

UD

347.6

263.88

30 d

egre

e

50 d

egre

e

100

degr

ee

FFC

TIXI

COLAKDAK

YAK

ADK

PET

YSSMDJ

MIDW

MAJO

JOHN

TATO GUMO

HNRPMG

CTAO

KAPI

WRAB

TAU

MBWA

NWAO

CASY

DGAR

ABPO

SUR

LSZTSUM

MBARFURI

SHEL

MACI

PAB

KIV

CMLA

BFO

GRFO OBN

KONO

ARU

BORG

KEV

SFJD

KBS

残差 0.2205

(秒)

観測波形(上:0.002Hz-0.5Hz)と理論波形(下)の比較

観測点分布

震央距離 30°~100°※1の 44 観測点※2(P波:43、SH 波:9)を使用。※1:近すぎると理論的に扱いづらくなる波の計算があり、逆に遠すぎる

と、液体である外核を通るため、直達波が到達しない。そのため、評価しやすい距離の波形記録のみを使用。

※2:IRIS-DMC より取得した広帯域地震波形記録を使用。

参考文献 Bassin, C., Laske, G. and Masters, G., 2000, The Current Limits of Resolution for Surface Wave Tomography in North America, EOS Trans AGU, 81, F897.

Kennett, B. L. N. and E. R. Engdahl, 1991, Traveltimes for global earthquake location and phase identification, Geophys. J. Int., 105, 429-465.

第4図(d) 遠地実体波による震源過程解析 Fig.4(d) Source rupture process: analysis using teleseismic body-wave.

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気象庁が東海地域に設置している埋込式体積ひずみ計で観測された今回の地震の波形と理論波形の振幅比較により、地震のモーメントマグニチュード(Mw)の推定を行った。 理論体積ひずみは気象庁 CMT 解を用い、一次元

地球構造モデル PREM の固有モード周期 45 秒~3300 秒の重ね合わせにより計算した。その際に、スカラーモーメント量をMw7.7相当から8.1相当まで 0.1 刻みで変化させて、それぞれについて観測波形と比較した。 体積ひずみ計の観測波形と理論波形が最もよ

く整合するのは、Mw7.9 相当の場合であった。

4月 25 日 15 時 11 分頃のネパールの地震

- 体積ひずみ計の記録から推定される Mw -

理論波形と体積ひずみ観測点 8ヵ所の観測波形との比較(下図)データには周期 120-333 秒のバンドパスフィルタを時間軸の正逆両方

向にかけている。

田原福江観測点の観測波形と理論波形の振幅比較(上図)データには周期120-333秒のバンドパスフィルタを時間軸の正逆両

方向にかけている。網掛けは誤差(1σ)の範囲を示す。

田原福江観測点で観測された体積ひずみ波形

1秒サンプリング

体積ひずみ計の配置図

生波形

フィルター波形

第4図(e) 体積ひずみ計の記録から推定されるMw Fig.4 (e) The moment magnitude estimated from data of the borehole volume strainmeters.

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