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3
ムギヒケナガアブラムシの生態に関する研究 13 一勺 和剤及び粉腎Iの虎理が,稻根喰葉虫の寄生消長 に何んな影轡を及ぼすか営明かに窺われる。 即ち,第3,4表及び第1園を綜合して見ると, 水和剤区の幼虫の総数は無虚理区に比して極めて 少いが,蝿の総数に於て噂あまり差がない,叉蝿 期中の總虫教には無虚理区と異って可成りの髪動 が見られる(X2=13.77,P=0.02)こと等から考 えられることは,DDT水和剤は幼虫に對し忌避 的の効果はあるが,必ずしも株元に於ける蛎化を 妨げるものではないと云うことである。 粉剤区を此較して見ると,水和剤区とは逆に, 幼虫に對しては忌避的効果は見られないが,株元 に於ける踊化は之を妨げると云うこ.とが考えられ る。 要言すれば,稻恨喰葉虫の防除の爲に,水稻苗 根にDDTの水和剤叉は粉剤を挿狭時に施用する ことは有効のようであり,特に水和剤に希望がか けら#'しよう。 (農林省農覗試験場北陸支場〕 ムギヒケナカア'ブラムシ〃”り嚥加"’ L, g”"α仰"州KIRBYの生態に関する研究(豫報) ・川獺美.爾 杉山章牢 I、 1 北陸地方に於ける麥作は9月下旬より翌年6月 下旬迄の長期に亘り,交長い積雪下にあって種交 の障害を受けるが,卿虫の加害によって一層拍車 をかけられるQ野外に於けるこれら麥の珊虫の発 生消長は麥の播種帆出種期,好虫の天敵の發生,、 及び麥作全期間の氣象條件により左右される。 、蕊に昭和23年度に於けるムギヒケナガアブラム シの發生淌長について予報的に略報し度いと思 う。 a.移住及び移動についてムギヒゲナガズ プラムシは春と秋の2回,麥類に移住する様であ る。小麥農科24号の生育と本虫の發生を共に詞ざ て見ると,小麥の播睡適期前後,有翅胎生雌虫が移 住して來る°初期に移住して來る有翅虫は,麥種 子のまだ播いてない,整地した圃場にとり残され た雑草(主として禾木科)で世代をくりかへす。 言いかへれば,雑草上で世代とくりかへし,麥の 発芽をまって麥に加害することになる。この有翅 虫は騎に麥を求めて移住して來るものか,或は移 住期に機会的に麥に來るのであるかは明でない。 移住しはじめる候は年によって異る。當地方の播 種適期は9月20日頃であるが,それ以前に播種す れば本虫の加害は増加し,播種期を遅くすれば加 害は少くなるようである。之は秋期の有翅胎生雌 虫は越多前,多くは麥から麥に移動するもので, 從って早播は世代が多く,晩播ぽ少いことム関連 9 がある様であ、る。 b.秋の發生消長9月5日播と10月5日播, 小麥農林24号を抜取調査をなした結果は,第1,2 表の如くである。 第1表9月5日播圃場の抜坂調査表 一一 諜均心 -鋤嘩鏥哩 -1平 調査月目、廻ミ|株数|有翅早 9月20日‘99 .〃29日13 10月1日240 ユ1月4日1国 〃8日50 〃12日60 "18日60 |合計I |班、堀蝉廻10.0 I 7017100 3961 313 11 備考:有早有翅胎生雌虫,無早無翅胎生雄虫 1

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  • ムギヒケナガアブラムシの生態に関する研究 13一勺

    和剤及び粉腎Iの虎理が,稻根喰葉虫の寄生消長

    に何んな影轡を及ぼすか営明かに窺われる。

    即ち,第3,4表及び第1園を綜合して見ると,

    水和剤区の幼虫の総数は無虚理区に比して極めて

    少いが,蝿の総数に於て噂あまり差がない,叉蝿期中の總虫教には無虚理区と異って可成りの髪動

    が見られる(X2=13.77,P=0.02)こと等から考

    えられることは,DDT水和剤は幼虫に對し忌避

    的の効果はあるが,必ずしも株元に於ける蛎化を

    妨げるものではないと云うことである。

    粉剤区を此較して見ると,水和剤区とは逆に,

    幼虫に對しては忌避的効果は見られないが,株元

    に於ける踊化は之を妨げると云うこ.とが考えられ

    る。、

    要言すれば,稻恨喰葉虫の防除の爲に,水稻苗

    根にDDTの水和剤叉は粉剤を挿狭時に施用する

    ことは有効のようであり,特に水和剤に希望がか

    けら#'しよう。

    (農林省農覗試験場北陸支場〕

    ムギヒケナカア'ブラムシ〃”り嚥加"’L,

    g”"α仰"州KIRBYの生態に関する研究(豫報)=

    ・川獺美.爾杉山章牢

    I、

    1

    北陸地方に於ける麥作は9月下旬より翌年6月

    下旬迄の長期に亘り,交長い積雪下にあって種交の障害を受けるが,卿虫の加害によって一層拍車

    をかけられるQ野外に於けるこれら麥の珊虫の発

    生消長は麥の播種帆出種期,好虫の天敵の發生,、

    及び麥作全期間の氣象條件により左右される。

    、蕊に昭和23年度に於けるムギヒケナガアブラム

    シの發生淌長について予報的に略報し度いと思

    う。

    a.移住及び移動についてムギヒゲナガズ

    プラムシは春と秋の2回,麥類に移住する様であ

    る。小麥農科24号の生育と本虫の發生を共に詞ざて見ると,小麥の播睡適期前後,有翅胎生雌虫が移

    住して來る°初期に移住して來る有翅虫は,麥種

    子のまだ播いてない,整地した圃場にとり残され

    た雑草(主として禾木科)で世代をくりかへす。

    言いかへれば,雑草上で世代とくりかへし,麥の

    発芽をまって麥に加害することになる。この有翅

    虫は騎に麥を求めて移住して來るものか,或は移

    住期に機会的に麥に來るのであるかは明でない。

    移住しはじめる候は年によって異る。當地方の播

    種適期は9月20日頃であるが,それ以前に播種す

    れば本虫の加害は増加し,播種期を遅くすれば加

    害は少くなるようである。之は秋期の有翅胎生雌

    虫は越多前,多くは麥から麥に移動するもので,

    從って早播は世代が多く,晩播ぽ少いことム関連9

    がある様であ、る。

    b.秋の發生消長9月5日播と10月5日播,

    小麥農林24号を抜取調査をなした結果は,第1,2

    表の如くである。

    第1表9月5日播圃場の抜坂調査表

    一一

    諜均心J〃1200

    -鋤嘩鏥哩

    0-1平調査月目、廻ミ|株数|有翅早

    9月20日‘99

    .〃29日13

    10月1日240、

    ユ1月4日1国

    〃8日50

    〃12日60

    "18日60

    |合計I’|班、堀蝉廻10.0

    早麺

    ’ I7017100

    3961

    3131

    11

    備考:有早有翅胎生雌虫,無早無翅胎生雄虫

    1

  • 戸一一一一一一一一一一一一

    北 陸 病 害 虫研究会会報第2号14

    9月第4,5,6牛旬毎に低下してゆくが,、小麥に於

    ける本虫の秋の加害最盛期は9月の第4牛旬より

    第6半増]の間であった,’0月以降は虫数も低下して行き,11月の第2,3,4半旬では全く虫影が認め

    られなくなる餌,之に反し10月5日播の圃場では

    11月第2牛旬頃でも卿虫の寄生が相鴬見られた。

    この原因は早播(9月5日)の11月第2年旬の平均

    草丈は36.0~43.0cm,堂数は5~10本であるが,晩

    播(10月5日)の全旬の平均草丈は13.0T-,]j7.5cm

    華数は3~5本であり,叉前者は葉,輩が固く,後

    者は柔軟で若登しい線色を保っていたことの様に老へられる。

    次に秋の槻察によると,本虫は1~2令幼虫でも

    移動性弧く,野外観察でば一つの葉上に口吻を差込み葉液を吸收する場合,秦皮の固い時は直ちに

    移動する。新葉から新葉へと移動するのも之が爲めである。抜取調査の結果を總合して考察すれば

    生育の良好と恩はれる小麥'(草丈が高く,蕊数が多く乞至葉数の多い)には水虫の寄生が多くみられた。

    =C。根璽期間及び融雪期の消長本年は稀に見る少雪であったので雪の冴虫に對する關係を深く考察する/ぎとは出來なかったが,’2月下旬より3月中旬までの降雪期間中,積雲下にある小麥を掘出して虫数を調べた臆第2表のように’月の第4,第6牛旬,2月の第5牛旬に僅か乍ら生な虫を認め得た。

    別に獅虫24匹(有翅型1令1,2令3,4令5,無翅型

    第3表飼育瀦丙のアブラムシの7帳〔野外〕.一一菫琵===言二一一=二一一・一==

    第2表-110月5日播圃場の抜収調査表-

    調査月10株平均

    78.3

    災|採数|有?|僻|幼虫'零''6|調舗一暫晒詔野釦羽、海724,1

    ""|=$|「'"''月s圖’6$''’43、4〃’2153.’3’"16'ilO 114151231

    〃18 1 31420221

    〃2 4・106619 3

    11l。k";〃30112 1 9 ,

    12月2日7. 41%6

    11|”〃473

    1;〃1124

    〃24ユ2

    1.‘1月4日10

    〃119グ

    〃2 0 票

    〃3111 1 ’ 1

    |了I2月郡日

    3月8日

    〃9

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    "2120J 〔

    〃3 1 . 2 0 (

    4月15日20 〔

    第2表-210月5日播圃場の抜坂調査表

    32.0●

    33.0

    20.7

    31.0

    17"2

    1,5.7

    35.7

    96099

    2L生0qQ0000000

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    調査月日弱鋤有,誌阜|額虫i"'|8|合計l鶴''月8日’9113119’24

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    ~許可

    I

    9月5日播の4姿は9月8日發芽した。本年は第

    1葉及び第2葉展開の頃には多数の有翅虫が移住

    し來り,加害を始めているのが見られた。気温は2

    一一

    画一

  • 15ムギヒケナガアブラムシの生態に関する研究

    1令6,2令6,無翅胎生雌虫3)を着生せしめたノj、麥

    農林2鍔・を栽培したポットを四面金網の飼育箱

    に入れ,12月30日より3月30日迄の間野外に放

    第5表春期の発生消長(昭和24年〕

    調査首~辺j霊簔|有阜|無阜|幼虫|計11

    12

    12

    100

    47

    41

    40

    14

    lll

    26

    日日日

    89』0710418

    2112322

    月月月

    坐す〃″″″6〃〃

    2釦5491

    250073535

    1』04-3221

    15

    457573536

    5555221

    15

    置し,直接甥虫が雲に鯛れない様に観察をつ壁け

    た結果は第3表の如くであった。即ち胎生するも

    のや,晩皮するものも見られた,叉口吻を娼眠の

    中に差込んだま曳姥死したもの,稗落して機械的

    傷害を受けて籍死したものもあり,凍土上で3日

    |間移動することなく仮死状態のまム静止し吾交の

    呼気に要りやム微動するもの,葉翰の中で生存

    するもの等も見られた。併し3月30日には全部が

    死滅してしまった。

    向様なポット4箇を何》覆うことなく野外に放置し,生存虫数を調ぺた成繊は第4表の如くであ

    った。圃場に於ける抜取調秀では3月上旬に生存

    虫は認められなかったが,この調査では極く少数

    ではあったが生存してv,るのが見られた。第4表

    第4表.融雪後迄の甥虫の消長のⅣo、2の

    〔野外ポツ1、〕 根雪後の幼

    1111

    の型、4-41

    |’

    1111

    春に移住して來た有翅虫は穂上で無翅胎生雌虫

    第1代を産するが,之は秋の無翅胎生雌虫第1代

    よりも大型であり,休色は梢褐色を帯びている。

    春の最盛期は5月の第6牟旬で,麥の穂が完熟

    式る頃大艦6月中旬ごろには無翅胎生雌虫はこの

    穂_上で磯死するに至る(第6表)。

    第6表春期に於ける最盛期の崎虫の消長

    薙言ミ可~~T--11

    -5-謹聴唖認

    一。謡抑麺0

    2 ’’111

    314

    |根雪後虫6とある●一.、一ユロ= 5月26日〃27

    ;h2:圓’

    根雪前

    幼虫|無'i計21324

    坐|訓ァ|l

    sol'21"

    "'.|”

    315 475

    656

    』702

    3

    330

    窪首、ー、’

    11月12日

    '3月,日11月1SH

    '3月2日’一一-弓

    のは,根雪

    期簡中に胎

    ーーー

    DjO 275

    |幼虫|無阜|計 805 4090

    ‘|職|"|‘|量‘|,,|.墓燗‐_-虫が生存し

    :|:に1撰|"」jl"|"|,|1二識字備考:根雲期間”日

    d..春の發生消長4月の第6半旬に入って有

    翅虫の移住が見られた。9月5日播のノj藩の田穂始

    めは5月5日,出穂期は5月10日,出穂揃ば5月13

    日であったが,有翅虫の飛來の最・も多かったのは

    5月第2半旬で,出穂期とほ蛍一致している(第5

    表)。若し何等かの理由により;本虫の移住期が出

    穂期の後であれば被害は少くなり,出穂期より先

    であれば止葉上にあって出穂を藍ち穂に集中寄生

    をはじめるから,小麥の襖害感大となる筈である

    が,此の薦に開しては未だ実醗を欠いて居る。

    35I

    39I ’731調査総数 6680 113 、

    この頃には氣温の急上昇が見られ少数の有翅虫が

    生じていづれかへ飛び去るが,一部の無翅虫は畦

    間の雑草上で世代を