1.4 周波数帯共用に関する実験 - nict...電波研究所季報 dult --5db...

14
Vol. '2:l No.143 電波研究所季報 May 1981 pp.179-192 1.4 周波数帯共用に関する実験 1. 4 EXPE MENTSONFREQUENCYSHARING Inordertoevaluatethecharacteristicsoftheinterference between broadcasting.satellite-service (BSS)feederlinks,andbetweenBSSfeederlinkand fixed-satellite-service (FSS) up-link,ex ri mentsusingtheBSElinkandlaboratorysimulatedlinkwerecarriedout. Subjective and objective evaluationofco-channelandadjacent-channel interferencesbetween links mentioned abovewas performed. a. 上りリンク干渉に関する測定調査 I 一-FMテレビ隣接チャネノレ聞の干渉実験一一 大内智H 青* 石塚仁好* 1. 概要 放送衛星回線の上りリンクにおける隣接チャネ Jv 隣接チャネル閣の干渉を想定し, FM-TV 2 波による 干渉実験を行った。実験は,主局と可搬A 局を用いて行 い,干渉レベルの測定,妨害検知限の測定を行った。 2. 実験の経緯 WARC-BS において,放送衛星下り回線のチャネル プランは確定した。第 1 図に示すように,チャネルバン ド幅 27MHz ,チャネ J レ間隔 19.18MHzとなり,我が 国へのチャネル配分は, 1,3,5 ……15 8 波と決った。 また,同一チャネル混信保護比 31dB, 隣接チャネル混 信保護比 15dB となった。 一方上りリンクに関しては,何も決定されてはいない が,同一チャネルはもとより,隣接,次隣接チャネルと の干渉特性を求める乙とは,衛星放送の実用化を前にし て, トランスポンダ及び地上受信設備の設計に必要なこ とである。また,次隣接チャネルについては,我が国l ζ 割り当てられたチャネル間では,衛星の軌道位置での希 望信号対非希望波比(D/U )は OdBと考えなければな らず, トランスポンターには,その面での考慮も必要であ る。 乙こでは,放送衛星の上りリンク周波数配列を,下り 本鹿島支所第二宇宙通信研究室 179 11. 7GHz ザマー\,lj ¥ 27MHz 、\ fN=11727.48+19.18(N 1 )〔MHz 第l 図放送衛星下り回線のチャネル配列 リンクと同じと仮定し,チャネノレ聞の干渉特性をテレビ ジョン信号の S/I(信号対干渉波比)及び画像の主観評 価により求め,上りリンクの混信保護比を求める。 3. 実験の内容 可搬A局(大阪)を希望信号局(D局),主局を非希 望波局(U 局)に見立て,同時に BSIC 送信する。 D の信号は無変調とし, U 局はカラーパーで変調する。両 局の局波数差及び D/Uをパラメータとし, D 局の信号 (D 信号)の復調後のベースパンドビデオ帯のノイズ, 及び干渉波レベルを,通常 S/Nを測定するのと同じ方 法で測定した。また, D 信号を静止画で変調し,写真撮 影,主観評価,妨害検知限の測定を行った。 干渉レベルの測定における D/Uは, 5, 10, 15,20 dB 4 種類について行い, 2 波の周波数は最大 50MHz まで離して測定した。 D/Uの設定は,衛星内の小信号 抑圧効果のために,下り回線のレベル差からは,そのま

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Vol. '2:l No. 143 電波 研究所季報 May 1981 pp.179-192

1.4 周波数帯共用に関する実験

1. 4 EXPE悶MENTSON FREQUENCY SHARING

In order to evaluate the characteristics of the interference between broadcasting.satellite-service

(BSS) feeder links, and between BSS feeder link and fixed-satellite-service (FSS) up-link, ex戸ri・

ments using the BSE link and laboratory simulated link were carried out. Subjective and objective

evaluation of co-channel and adjacent-channel interferences between links mentioned above was

performed.

a. 上りリンク干渉に関する測定調査 I

一-FMテレビ隣接チャネノレ聞の干渉実験一一

大内智H青* 石塚仁好*

1. 概要

放送衛星回線の上りリンクにおける隣接チャネJv,次

隣接チャネル閣の干渉を想定し, FM-TV2波による

干渉実験を行った。実験は,主局と可搬A局を用いて行

い,干渉レベルの測定,妨害検知限の測定を行った。

2. 実験の経緯

WARC-BS において,放送衛星下り回線のチャネル

プランは確定した。第1図に示すように,チャネルバン

ド幅27MHz,チャネJレ間隔19.18MHzとなり,我が

国へのチャネル配分は, 1,3, 5……15の8波と決った。

また,同一チャネル混信保護比31dB, 隣接チャネル混

信保護比15dBとなった。

一方上りリンクに関しては,何も決定されてはいない

が,同一チャネルはもとより,隣接,次隣接チャネルと

の干渉特性を求める乙とは,衛星放送の実用化を前にし

て, トランスポンダ及び地上受信設備の設計に必要なこ

とである。また,次隣接チャネルについては,我が国lζ

割り当てられたチャネル間では,衛星の軌道位置での希

望信号対非希望波比(D/U)はOdBと考えなければな

らず, トランスポンターには,その面での考慮も必要であ

る。

乙こでは,放送衛星の上りリンク周波数配列を,下り

本鹿島支所第二宇宙通信研究室

179

11. 7GHz ザマー\,lj一、

/~\ l\l ¥ 27MHz 、\

fN=11727.48+19.18(N 1)〔MHz〕

第 l図放送衛星下り回線のチャネル配列

リンクと同じと仮定し,チャネノレ聞の干渉特性をテレビ

ジョン信号の S/I(信号対干渉波比)及び画像の主観評

価により求め,上りリンクの混信保護比を求める。

3. 実 験 の 内 容

可搬A局(大阪)を希望信号局(D局),主局を非希

望波局(U局)に見立て,同時に BSIC送信する。 D局

の信号は無変調とし, U局はカラーパーで変調する。両

局の局波数差及び D/Uをパラメータとし, D局の信号

(D信号)の復調後のベースパンドビデオ帯のノイズ,

及び干渉波レベルを,通常 S/Nを測定するのと同じ方

法で測定した。また, D信号を静止画で変調し,写真撮

影,主観評価,妨害検知限の測定を行った。

干渉レベルの測定における D/Uは, 5,10, 15, 20

dBの4種類について行い, 2波の周波数は最大50MHz

まで離して測定した。 D/Uの設定は,衛星内の小信号

抑圧効果のために,下り回線のレベル差からは,そのま

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電波研究所季報

DUlt

-- 5dB -ー+日+ー lOdB

~ー 15dB

ーローロ-- 20dB

II-1.4 周波数帯共用に関する実験

(dB〕。

5 ど線的叩吋川一納骨制裁け「

180

50 40 20 30

希望波と干渉波の周波数差〔MHz〕

干渉妨害による S/(I+N+D)の劣化(その 1)第2図

10 156

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20

+so +30 -10 0 +10 希望信号を基準とした干渉波の中心周波数〔MHz〕

-30 -50

千渉妨害による S(I+N+D)の劣化(その 2)

第2図IC,可搬A局で測定した, 2波の中心周波数の

差と信号対干渉雑音電力比 (S!(J+N+D)) の関係の

測定結果を示す。縦軸の S/(J+N+D)は干渉がない

場合の値,すなわち, SINで正規化している。 乙の測

定では, D信号はB1チャネルに置いている。乙れより,

D/Uが5dBの場合には,隣接チャネルでも大きな妨

害を受け, 50MHz離れても, 1.5~2dBの劣化がみら

までは読み取れないが, D/UがOdBならば, 2波の

レベルは同じになることを利用して,測定のたびどとに

一度 D!UOdB にし, それからU局の送信電力を,設

定する D!Uの分だけ下げるととで行った。

中心周波数の差による干渉レベルの測定

第3図

結定現t4.

4. I

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Vol. 27 No. 143 May 1981

(dB〕

181

ど叩執市吋け一議什庁

二七ノ

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lOdB主局

可搬A局

20dB主局

可搬A局

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ロ一一ーー『ロ

nu

Fhu

- 10 50 20 30

希望放と干渉j止の周波数差〔MHz〕

;;fH 図主局と可燃A局における S/(N+I+D)の劣化

アは, D信号である。妨害波は,図の右側の変調波であ

り,左側のそれは,j混変調により生じたものである。 IF

での受信帯域幅は, 140±13.5 MHzである。

4.2 妨害検知限の測定

主局の受信系及び,簡易受信設備(SRE)を使用し

て, D信号iζ与える妨害の検知限を,主観評価により測

定した。測定方法は,通常行われる方法(CCIRRec.

500-1 IC定められた 5段階評価法)ではなく, モニタテ

レビ上で,蘭像iζ妨害が表れる,あるいは妨害が見えな

くなる D/U を求めた。

実験は,ややI暗い室内で,当所の職員が l名ずつモニ

タテレビの前に立ち,U局の送信レベルを自分で自由lζ

変えて検知限を探した。 D信号の変調は静止画,U局は

カラーパーで変調した。検知限が見付かると, 直ちにD

局, U局とも無変調波に変えて, D/U の測定を行い,

記録した。

第 1 表IC淑~定結果を示す。主局の受信帯域幅は 25

MHz, SREは27MHzである。平均値の 9596信頼区

間(C.I.)は, 次式より求める。

第 5図 IF結城での希望信号と干渉波 (D/Ul5dB,1!1心周波数先 20MHz,受信帯域的 27MHz〕

れる。

第3図は,D/U がSdBと 15dBの場合について,

妨害波が希望信号の上又は下にある場合の S!(l+N+

D)を求めたものである。干渉波が下側にあるときの方

が,妨害がやや大きいように見える。

第4図は,可搬A局における測定結果と,主局での測

定結果を比べたものである。乙れより,干渉特性は,地

上局の受信系の特性,特Iζ帯域フィ Jレタの特性に左右さ

れる乙とがわかる。

第5図は,周波数差が20MHz, D/U 15 dBのとき

の,受信 IF信号のスペクトラムである。中心のキャリ

40

C. I. =t(O. 05,ν)「三= ・・・・・・(1) 、f n

乙乙で,t(0.05,ν〕は,自由度 ν=n-l,危険率596

のスチューデントのt分布確率値である。(1)式による推

定では,測定値が正規分布するか,あるいはその良い近

似を与えるものでなければならないが,乙 ζではその検

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182 JI-1. 4 周波数帯共用に関する実験 電波研究所季報

第1表隣接,次隣接チャネル閲干渉妨害の検知限 D/U

干渉波の位置

受信システム

隣接チャネル 次隣接チャネル

単位dBx=7.47 x=G.52

s=2.7 s=2.0 n=l4

C.I.=王土1.56 C.I.=王±1.15

x=l3.83 x=lO. 51

s=6.2 s=5.2 n=l3

C.I.=x土3.75 C.I. =x±3.14

主:平均値 s:;標準偏差 C.I.:信頼区間 n::被験者数

定は行っていない。

第1表で, SREによる結果にばらつきが多いのは,

妨害波が無くても存在するノイズに,惑わされたためと

考えられる。今回の測定では, SREはl.6mゆアンテナ

を使用したが,干渉のない場合の画質は4~5で,モニ

タに近づくとわずかにノイズが見える状態であった。

との測定結果から,干渉検知限は受信機の特性により

異なるζ とがわかる。受信帯域幅は,主局の方がやや狭

いが,それ以上iζ帯域フィルタの特性が異なる。主局は

7次, SREは3次のバターワースフィルタで, 乙の差

が出ているものと恩われ0。また,同等の SREであっ

ても,回路方式等の関係か,妨害の出方iζ違いがあり,

雑音やビート状の妨害になるものと,色に妨害が出るも

のとがあった。今回の測定に使用した SREは,雑音,

ビート状の妨害が主として発生するものである。

5. まとめ

干渉検知限の測定から,隣接チャネル混信保護比は,

下り回線における混信保護比15dBを,そのまま上り回

線に当てはめても,おおむね妥当であると考えられる。

また,次隣接チャネルについては, 12dB程度であろ

う。とれらは,受信機の特性と深く関係しており,今後

十分な検討を必要とする。

トランスポンダの FM-TV信号2チャネル共通増幅

については,衛星内の増幅器を,飽和領域で動作させた

ままでは,全く可能性はない。

実用放送衛星に, BSと同様のトランスポンダを使用

する場合には,我が国のチャネル聞では上りリンクの

D/UはOdBであるととを考慮し,次隣接チャネル混

信保護比に相当する減衰特性を持つフィルタを,チャネ

ルどとに入力部iζ用意する必要がある。

受信機の,標準的性能を確立するために,複数波が入

力された場合の特性を,早急に測定するととが,今後の

課題である。

b. 上りリンク干渉に関する測定調査 II

一一FMテレビと PCM-PSKテレビ回線閣の干渉実験一一

杉本格二* 大内智晴*吉本繁需* 山本 輪、*

1. まえ がき

BS回線における PCM-PSK-TV信号と, FM-TV

信号との聞の上りリンク干渉の基礎資料を得るために,

同一チャネルで2波を同時に送出し,相互間の品質劣化

を測定した。との結果, D/U(希望波対非希望波電力

比〉に対する S/N,BER (Bit Error Rate :ピット誤

り率)及び雑音検知限の D/Uすなわち混信保護比が得

られた。

*鹿島支所第二宇宙通信研究室

2. 実験概要

BS主局からは TV信号を PCM符号化, PSK変

調を行うω。一方NHKの可搬B型送受信装置(可搬B

局)からは, FM変調した TV信号を BS中継器に向

け,同時に送出する。希望波を一定にし,非希望波の送

信電力(EIRP)を変化するととにより, 中継器入力で

の D/U(希望波対非希望波比)を変化させる。乙のと

き,希望波を受信し FMc争PSK(FMから PCM-PSK

へ与える干渉を示す。以下「吟」は同じ意味)の場合は

BERと画質・音質を, PSKc争FMの場合は SINと画

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Vol. 27 No. 143 May 1981

第1表標準パラメータ

PCM-PSK-TV

Ba h-

M

H

F

4

一オ

EhE

FM-TV

映像周波数偏移 12MHZp-p

ON

600kHz

4.5MHz

エ ンファシス

ディスパーサル

音声副搬送波周波数

向 上周波数偏移 | 土1阻 Iz

質・音質とを測定する。

また,主観評価として画面及びスピーカでの干渉の検

知限(評価川 5と4との境界)での D/Uを,十数人の

被験者により測定した。

なお,可搬B局は主局のごく近傍IC::設置し,ピーム中

心は衛星方向iζ設定するため,両者のパスは同ーと見な

せ, EIRPの比を衛星中継器の入力点における D/Uと

する。また,表示するデータは,第1表のように, PCM

-PSK-Tvm, FM-TVとも標準パラメータ t引を用いた

ものである。

3. FMc::>PSK実験

183

第1図に示したように希望波である主局から送出する

PCM-PSK信号は,中継器到達レベルが標準となるよ

うに EIRPを設定する。一方可搬B局の FM信号の送

信電力を変化し, D/U対 BER特性を求めたのが第2

図である。②は衛星中継器には PSK信号だけを送信

し,受信 IFで FM干渉信号を印加した, 予備実験の

データである。①の中継器による干渉を起とさせると,

同一BERを得るのに D/Uが約ldB多く必要となり,

中継器による劣化が認められる。 FM波のベースパン

ド信号としては, CB(Color Bar)と lkHzトーンを

用いているが,これを変化させるあるいは FMのパラ

メータ(エンファシス,ディスパーサル)を変化させて

も,特iζ差は見られなかった。

PCM実験(I)では,干渉波ではなくランダム雑音を加

えているが,この結果の Eb/No(ピット当たりの電力

対雑音密度: Eb/No=C/No-78.1dB)を D/Uとみな

して比較すると, BERが10-s付近では一致している

が,干渉が多くなってくると,干渉実験の方が BERの

劣化は大きくなる。これは, FM波のスペクトルが

PSKのそれに比べて狭い範囲にあり,乙の部分の D/U

が全帯域の D/Ui乙比べ小さくなっているため, BER

が悪くなっていると考えられる(雑音による場合はスベ

クトルが全帯域で等しい。)。

次に,雑音検知限(雑音が見えはじめ又は聞とえはじ

める点)の D/Uのデータを処理したものを第2表に示

す。測定は画像2種と音楽とを視聴し,可搬B局の送信

電力を検知限に設定し,乙のときの D/Uを測定する方

BS主局十可搬B局

第l図 FMc:>PSK干渉実験プロック図

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電波研究所季報n-1.4 周波数帯共用に関する実験184

楽「-コ包日

FMc::>PSK検知限D/U

人物画\込ことR第2表

サンプノレ数: 14

D : PSK 64Mbps, 4 1> TBT

U : FM 12MHzpp, Emoh. ON Disp. ON

o. 79

14. 7

15.3

13. 0 14.0 日岐下 13. 5

0.41

映像と音声との差はなかった。可搬B局内はかなり騒音

があるため,音声の測定時にヘッドセットを用いた。こ

の結果商像とほぼ同ーの検知限が得られたため,問題は

なかったと思われる。

検知限iζ対する BERは,第2図により 10-5ぐらい

で,ガウス雑音を用いた場合の PCM復調器での誤り

訂正が不完全になりはじめる点とほぼ一致している。し

たがって, BERが同一ならばガウス雑音による場合

と, FM波による干渉の場合とでは,雑音検知限は同ー

であるととがわかった。

0.38

14.3

14.8

0.31

14.6

14.1 均

偏準標

出同国70H

0.20 0.16 95%信頼区間

中継器入力で干渉

RxIFで干渉〈コ

F吋

Cコv司

PSKc:争FM実験

前項とは逆IL,第3図のように希望波は可搬B局から

一定レベルで送出し,主局の送信電力を変化させ, D/U

対可搬B局における映像 SIN(無評価)特性を測定す

る。乙乙で,雑音電力(N)は,干渉によって生じる雑

音電力 (I)をも含めたものと定義し, S/(N+I)をSI

Nと表現する。

測定結果を第4図に示す。なお, 3.と同様の予備実験

4, 20

法lとより行った。 PCM-PSK伝送におけるピット誤り

による映像及び音声への雑音は,ガウス雑音によるもの

とは明白に区別でき(I),かっ D/Uによる BERの変化

が大きいため,予想どおり個人差やソースによるバラツ

キが少なかった。検知限の D/Uは14~15dBであり,

D1U〔dB〕

FMc::>PSK干渉の D/U-BER特性

15 10

第2図

0 F寸

邸主 局十可搬B局

c:;::J-ji PSKc::>FM干渉実験ブロック図第3図

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Vot 27 No. 143 May 1981

:51

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.---一一一→→

10 20 初 40 :fJ--ao D/U(dB〕

第3表 PSKc:>FM検知限D/U

サンプル数: 13 単位〔dB〕

\寸こと|カラーパー|人物画|音 楽

平 均 23.0 23.3 10.1

標準偏差 5.8 7.0 2.4

上 限 35. 7 36.0 14. 7

下 限 13.6 13.6 6.9

95%信頼区間 3.15 3.80 1. 30

第4図 PSKc:>FM干渉の D/U-S/N特性

アの D/Uを補正して,真の D/Uとした。帯域制限は

中継器ではなく受信側で行われているため, ζのように

して求めた D/Uは,中継器入力でのものとは厳密には

一致しないが,差が小さいためほとんど誤差はないと考

えられoo次iζ第3表に示す雑音検知限について述べる。検知限

付近では, D/Uに対する S/Nの変化が小さいため及

び主観上熱雑音によるものと区別がつきにくいため,検

知限の D/Uのバラツキが大きくなる。平均値では映像

が23dB,音楽がlOdBと大きく差が出た。映像検知限

の映像 S/Nは41~・42dB程度となった。は時間及びケーブル接続の問題があり,実施できなかっ

た。無干渉時の S/Nは約45dBである。 D/Uが4~20dBの範囲での D/Uと SINの関係は, D/UをCl

N とみなしたときの熱雑音による FM改善係数(21.5

dB<Z>)と同一であり, PSK波は FM帯織内ではラン

ダム雑音と同じ特性を示す。 D/Uが20dB以上になる

と,熱雑音により S/Nが抑圧される。なお,熱雑音の

場合tとみられる, C/NがlOdB付近でのスレッショル

ド特性はみられなかった。

FM波は受信 IFで25MHzで帯域制限されてい

る。 PSK波はζの帯域よりも広がっているため,キャ

リアにおける D/Uと,復調器に入力され.0IF‘信号の

D/Uとは差が生じる。乙のため, PSK装置の入力信号

を PN符号とし, PSK波を帯域制限フィルタを適して

電力比を測定した。との結果, PSK装置を4相で動作

させると 0.2dB, 8相では0.5dBの差となり,キャリ

5. まとめ

BS回線で同一キャリア周波数で FM-TV波と PC

M-PSK-TV波が上りリンクで干渉した場合,希望波が

FMでは26dB,PSKでは15dBのD/Uが確保される

と,映像・音声とも,主観評価では干渉は検知されない

ζとがわかった。

筆書考文献

(1)杉本裕二,大内智晴,吉本繁欝,山本稔;「特殊方

式伝送特性の測定調査工一-NTSCカラーテレビジ

ョン信号の DPCM-PSK伝送」,電波研季報,本号,

II, 1.2, d.

(2)梶川賞ほか;「テレピジョン信号伝送特性の測定調

査J,電波研季報,本号, II,1.2, b.

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186 Il-1.4 周波数帯共用に関する実験 電波研究所季報

c. 上りリンク干渉に関する測定調査 III

一一FMテレビ相互間及びFMテレビ対 FDM電話回線聞の干渉実験一一

大内智晴*笹岡秀一*山本 着、*泉 武博**

1. 概 要

衛星回線上りリンクの局波数共用基準策定のための基

礎データを得るために,放送衛星回線及び固定通信衛星

回線について,それぞれに与える干渉妨害を測定した。

実験は,①放送衛星上りリンク相互間の干渉@放送衛

星と固定衛星による FMテレピジョン伝送回線との干

渉③放送衛星と固定衛星 FDM電話回線との干渉に

ついて行った。

前記@,③の実験では,放送衛星回線が希望信号とな

る場合と非希望波となる場合についてそれぞれ測定し

た。 BSが希望信号の回線となる場合には,仮想の固定

通信衛星回線に対する上りリンクから, BS回線への漏

れ込みを非希望波として想定する。一方,放送衛星回線

が非希望波となる場合には, BSを通信衛星に見立て,

広帯域 FMテレビジョン信号又は FDM電話信号と等

価江雑音による変調信号を送信し,それに対す2る放送衛

星回線からの干渉を測定した。

干渉の評価は希望信号がテレビジョン信号の場合に

は,映像での主観評価による妨害検知限の測定,電話の

場合には雑音負荷特性の測定である。

実験は主局と,主局の傍に置いた可搬B局を用いて行

った。

i. 希望信号対非希望波比(D/U)の設定

上りリンク干渉実験では,衛星の入力における希望信

号と非希望波の比(D/U)をパラメータとして測定が行

われる。したがって D/Uをいかにして設定するかが問

題である。最も簡単な方法は2局の送信電力を変えて,

衛星受信電力をそれぞれ求めるととであるが,実験で

は,非希望波局(U局)の送信電力を50dB以上も変化

させねばならず,送信機の出力コントロールだけで所要

の Dfi;lJを得るととは難しい。そ乙で今回は, U局の送

信アンテナをオフセットするζとにより, D/Uを変化

させる方法を用いた。しかし,この方法ではアンテナオ

*鹿島支所第二宇宙通信研究室料 NHK技術本部計画部

フセット角と D/Uの関係,すなわち送信アンテナパタ

ーンをあらかじめ求めておく必要がある。また,上り回

線の D/Uは衛星における受信信号レベルの比であるか

ら衛星の受信信号レベルに関するテレメトリデータを

読めばよいはずであるが,テレメトリで測定できる信号

強度の範囲は狭く, D/Uの測定は不可能である。そ乙

で,下り回線の信号レベル比から上り回線の D/Uを求

めなければならない。しかしながら,衛星の送信機

(TWT増幅器)の入出力特性は非直線性を有し,レベ

ル差のある信号を共通増幅した場合,小信号は抑圧を受

ける。また, BSのトランスポンダは AGC回路を持っ

ており,衛星の出力すなわち下り回線のレベルは上り回

線のレベルが変化しても,ほぽ一定i乙保たれているとい

う制約がある。

乙れらの点を考慮し,送信アンテナパターンは, 2局

の周波数をわずかにずらして同時に送信し,一方の局の

アンテナをオフセットしたときの下り回線の受信レベル

差を,アンテナオフセット角と同時に読み取り,とれに

小信号抑圧効果の補正を行った結果を送信アンテナパタ

ーンとした。

小信号抑圧効果は,主局より Bzチャネルとオーダワ

イヤ(4波のうちの1波)の2波を同時に送信し,主局

のアンテナ給電部でのレベル差と,受信波でのレベル差

を,それぞれスペクトラムアナライザの管面上で測定し

た。その結果を第1図iζ示す。実験の結果は,最大7dB

/ ,

10

EU

〔唱〕組出品格恥畑4Fで

10 20 初 40 50

衛星到達レベル差〔dB〕

第1図小信号抑圧効果

60

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Vol. 'Zl No. 143 May 1981

-10

まサ

手lj

f尋 +-15

〔dB〕

-20

-25

-0.15-0.10-0.05 0 0.05 0.10 0.15

オフセット角〔deg)

第2図主局送信アンテナパターン(El方向)

の抑圧が測定された。とれは,理論上の値6dBよりも

大きし局内あるいは衛星の周波数特性等が原因として

考えられるが,今回の測定では一応との測定結果を使用

した。

第2図及び第3図は,とのようにして測定した14

GHz送信アンテナパターンである。

3. 放送衛星上りリンク相互閣の干渉

放送衛星回線(以下 BS/FM~TV と略す)上りリン

ク相E聞の干渉は,同一チャネJレを使用する他国の放送

衛星上りリンクからの干渉と考えるととができる。 BS/

FM-TVの変調諸元は BS実験での標準パラメータと

同様である。すなわち

映像周波数偏移:12MHzp-p

音声サプキャリア周波数偏移: 2MHz11-P

エネルギー拡散信号:フレーム周期三角波

エネルギー拡散度: 22dB (600 kHz相当)

映像エンファシス: CCIRRec. 405-1

3. 1 干渉レベルの測定

希望信号(以下D信号〉を無変調,非希望波(以下U

波)をカラーパーで変調し, D/UとD信号のベースパ

ンド復調出力におけるビデオ帯域の干渉レベル(S/I)

187

-5

-10

-15

-20

-25

-30

-35

、J

3

,町田A

z

,t

1、制叩

0

ωγ

訓告

F

・7

ンツ

1フ

局B

Z

a

一a

可図

角。命先M

を求めた。測定結果はU波が熱雑音の場合,すなわち

C/Nと S/Nの関係とよく一致している。

3.2 妨害の検知限

D信号及びU波をカラーパー又は静止画で変調し,妨

害の検知限を求めた。実験は RRL及び NHKの職員

により行われ, 1人づつモニタテレピを注視しつつ送信

アンテナを動かし〈衛星実験〉又はアッテネータを回し

(屋内実験), D/Uを変えて妨害が現れ,あるいは消え

る点を探させた。検知限が見つかったら直ちに両信号を

キャリアにし,スペクトラムアナライザで両信号のレベ

ル差を読み,小信号抑圧効果の補正をして上り回線での

D/Uを求めた。

第1表iζ,乙のようにして測定した BS/FM-TV閣

の干渉妨害検知限を示す。表中 C.I.は信頼区間で,

x±C.I. I乙入る確率が95.liぢである。すなわち,

C.I. =t(ρ,ν〉「三=・…・・(1)令J n

ζ とで, t(ρ,ν)は,危険率ρ〈とこでは0.05),自由

度川ζ従うスチューデントの t分布である。(1)式の関係

を使うためには,標本が正規分布するか,あるいはその

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188 Il-1. 4 周波数帯共用に関する実験 電波研究所季報

鶏寵の| カラー |カラベ静止画舗装の変|カラベ日| カラ十測定方法| 衛星実験 | 室平 均値Z 37.9 dB 40.8 dB 37.4dB 31.3 dB

標準備差s 2.06 dB 3.1 dB 5.12dB 5.16dB

データ数n 12人 12 人 17 人 18 人

信類区C間. I. 1.31 dB 1.97 dB 2.63 dB 2.56 dB

近似が成り立つ乙とを仮定しなければならないが,今回

の結果については特に分布の検定は行っていない。

第1表の結果より,平均値の差の検定を行うと,衛星

実験及び室内実験のそれぞれ二つの結果の聞には,有意

な差が認められる。すなわち, U波の変調内容が異なる

と,希望信号の変調内容が同じでも検知限は異なる。ま

た,逆にU波の変調内容が同一でも, D信号の変調内容

により検知限は異なる乙とがわかる。乙の検定には二つ

の標本が独立で,等しい標準偏差をもっ正規分布に従う

ものと仮定する必要がある。 2組の標本の標準偏差が等

しいかどうかの検定は,

F=Si2/S22又は S22/S12の大きい方……(2)

とF分布を用いて行う。分散が等しいと判明したら,

t= i'1-i'2 、/(鈍1ーl)S12+(n2-l)S22

d’'•.鈍2(n1+n2-2:】.一...(3) n1+n2

は自由度 ν=n1+均一2のスチューデントの t分布に従

うととから, 2組の標本の平均値に有意な差が認められ

るかどうかの判定をする。

衛星実験と室内実験の差については,両者の平均値は

どく近いが,(2)式から同じ分散とは推定できないから検

定できない。

4. 放送衛星回線が,固定衛星FMテレビジ

ョン回線に与える干渉

BS/F -TVが,固定業務の FMテレビジョン回線

(以下 CS/FM-TVと略す〉に与える影響について,

BS/FM-TV相互間の干渉と同じ方法で測定した。 CS/

FM-TVの変調諸元は,インテルサットのフルトラン

スポンダの伝送諸元を想定し,

映像周波数偏移 21.SMHzp-p

エネルギー拡散信号 フレーム周期,三角波

エネルギー拡散 lMHz

映像エンフアジス CCIR Rec. 405-1

S/FM-TVがBS/FM-TVから受ける干渉妨害

鶏露の| カラー |カラベ静止爾轄の変|ヵー|叩| カラー測定方法| 衛星実験 | 室内実験

平均値 E 29.3 dB 32.9 dB 30.9 dB 29.8 dB

標準偏差s 3.67 dB 5.44 dB 3.42dB 5.30 dB

データ数n 19 人 19 人 16人 16人

信頼区C間. I. 1.77 dB 2.62dB 1.82dB 2.82 dB

である。音声信号は付加していない。

4.1 干渉レベルの測定

D信号(CS/FM-TV)を無変調, U波(BS/FM-TV)

をカラーパーで変調し, 3.1項と同様の測定を行った。

測定の結果は BS/FM-TV相互聞の場合と同じく, DJ

U と S/Iの関係は, CJNと SINの関係とよく一致し

ていた。

4.2 妨害の検知限

BS/FM-TV相E聞の干渉と同じ方法で測定したCS/

FM-TVが BS/FM-TVから受ける干渉の検知限の測

定結果を第2表に示す。

乙とでも平均値について検定を行うと,衛星実験にお

ける妨害波の違いによる検知限の差は,ととでも認めら

れる。室内実験においては, U波の変調内容が同じでD信号の変調内容が異なる場合には有意な差は認められな

い。また, D信号, U波ともカラーパーの組合せによ

る,衛星実験と室内実験の聞には有意な差はないととが

わかった。

s. 放送衛星回線が,固定衛星FD M電話回

線から受けあ干渉

BS/FM四 TVが,固定衛星業務の FDM電話回線上

りリンク(以下 CS/FDM-TPと略す〉から受ける影響

を測定した。非希望波となる CS/FDM-TPは雑音負荷

により,その回線諸元は次の2種類とした。

1. 電話回線60チャネル試験音周波数偏移

加'2kHzrms

2. 電話回線900チャネル試験音周波数偏移

270kHzrms

5.1 干渉レベルの測定

D信号を無変調, U波を規定の周波数偏移としたとき

の D/Uと S/Iの関係は, U波が900チャネルの場合

には, CJNと SINの関係とよく一致した。一方60チ

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189 1981 May No. 143 Vol. Z'l

FDM-FM 900チャネル伝送レベルー22dBr測定通話路 38鴎ikHz

60.

MW

〔国噌〕

Z\凶白同\凶恩紘

第3表部./FM-TVがCS/FDM-TPから受ける干渉妨害の検知限

平均値Z 31.4 dB 30.7 dB 34.6 dB 31.5 dB

標準偏差s 4.14 dB 4.49 dB 3.66 dB 5.10 dB

データ数n 17 人 15 人 20 人 20 人

信頼区間 2.13 dB 2.49 dB 1. 71 dB 2.38 dB c. I.

| カラーパー |

1~~ *'v1~い I ~~;t.Jv I札 Jレ| 衛星実験 |

カラーバー

室内実験

希望信号の変調内容

妨害波の変調内容

測定方法

30

20

D/U。rC/N 〔dB〕

第4図(&) D/U対 S/I特性(FDM900チャネJレ〉

70

w

m

〔国司〕

Z\回

h。同\悶恩紘

干渉波FM-TV信号カラ-/{-

ディスパーザル・オン

10

ャネJレの場合には, C/Nと S/Nの関係に比べ3~6

dB良い結果となった。とれは, 60チャネルの場合には

変調波はガウス分布とはならず,中心周波数に強いキャ

リアが立ち,更に,帯域が狭いためと考えられる。

5.2 妨害の検知限

他の上りリンク干渉と同じ方法で,映像に与える妨害

の検知限を求めた。第3表iζ測定結果を示す。 D信号の

変調はカラーパーである。

第3表の測定結果から妨害が CS/FM-TP60チャ

ネルの場合は衛星実験と室内実験には有意な差があり,

900チャネルのときには差がないという結果になった。

また, 60チャネルと 900チャネルの聞には,衛星実験で

は有意差がなく,室内実験では有意な差が認められた。

今回の BS/FM-TV相E間, BS/FM-TVから CS/

FM-TV, CS/FDM-TPから BS/FM-TVの干渉妨害

の検知限測定結果にはばらつきがあり,残念ながら衛星

実験と室内実験に差があるかどうか,希望信号の変調内

容により検知限が異なるかどうかについては推定できな

い。希望信号の内容が同じで,妨害波の変調内容が異な

る場合には,明らかに検知限lζ差がある。

6. FDM-FM固定衛星通信回線が,放送衛

星上り回線から受ける干渉FDM~FM 60チャネル伝送レベルー-2ldBr測定通話路 3886kHz

現}20

D/U or C/N 〔dB〕

第4図(b) D/U対 S/I特性(FDM60チャネJレ〉

10

40

FM伝送では,復調後の干渉雑音のスペクトルはD

信号とU波の電力周波数スペクトルに依存する。 D信号

のスペクトルは,多重電話のチャネル数及び周波数備移

量に関係する。一方,干渉波のスペクトルは,周波数偏

移を一定値としても,画像信号により,あるいはエネル

CS/FDM-TP に対する BS回線の影響を調べるため

に, BSを用いて CS/FDM-TPtζ対する BS/FM-TV

の干渉特性を測定した。実験は, BSを固定通信衛星に

見立て,主局と BSの聞に FDM-FM電話回線を設定

した(とれは擬似的な回線であり, BSへは多重電話回

線に相当する雑音を FM変調し送信している)。また,

可搬B局からは BS/FM-TV波を送信し, これを非希

望波として実験を行った。

干渉の程度は, D/U,U波のスペクトル, D信号の変

調方式などに依存する。そこで,これらのパラメータを

変えながら, FM復調後の S/Iを測定した。

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電波研究所季報

FDM-FM 900チャネルエンファシス・オン伝送レベル -20d8r FM-TV 美人画,ディスパーサル・オンD/U=20dB

J[-1.4 周波数帯共用に関する実験

60

802kHz rms 30

第5図{叫雑音負荷特性(FDM900チャネJレ)

干渉波の変調内容が美人画,エネルギー拡散ONの場合

-10 0

負荷レベル〔dB〕

FDM-FM 900チャネルエン77シス・オン伝送レベルー2似BrFM-TV カラーノfー,ディスパーサル・オフ

D/U=20dB

50』一一一--一一・・・ーー・ー---

40

802kHz rms

60

〔同司〕

H

+ロ+Z\ω思肱

-IO

負荷レベル(dB〕

第5図(防雑音負荷特性(FDM900チャネJレ)

干渉波の変調内容がカラーパー,エネルギー拡散OFFの場合

ギー拡散の有無により変化する。また干渉雑音のスペク

トJ叶とより, FDM多重電話の各遥話路の S/Iが異な

る。 ζれらの影響を調べるために, CS/FDM-TP及び

BS/FM-TVのパラメータを変化させて測定を行った。

6.1 D/U対 S/I特性

D/U Iζ対する S/Iの測定結果を第4図に示す。とと

で,実際に測定したのは D/(U+N)と S/(N+D+I)

{Nはノイズ, I は相互変調, Dlまひずみを表す}であ

り,熱雑音や伝送路ひずみが大きい場合には正確でなく

なる。しかし,図の範囲では, C/N》D/U,SパN+D)

》S/Iであるので, D/U及び S/Iと一致する。図から

わかるように, D/Uが4dB以下と小さくなっても S/I

の急激な劣化が起とらない。との現象は,熱雑音の場合

に C/N=lOdB付近tζスレッショルドがあり,それ以

下では急激な劣化がある乙とと相違している。それゆ

え, D/Uがかなり惑くなっても,周波数偏移を増す乙

とにより所要の S/Iが確保できる。また,第4図には,

D/U対 S/I特性との相違を明らかにするために, C/N

対 S/I特性の理論値ものせである。乙ζでは, FM復

調部の前l乙挿入されている帯域炉波器の実効帯域帽を

25MHzとして計算している。図から干渉波の方が熱雑

音の場合の理論値に比べ,復調後の S/(N+D+I)が惑

い乙とがわかる。乙の原因は,干渉波の方が電力スペク

トルが中心部分に集中しているためである。そ乙で,干

渉波の熱雑音換算の実効帯域幅といったものを求めてみ

ると, lOMHz以下となっており, 60チャネルの場合

には4MHz相当になっている。

干渉波の熱雑音換算の帯域隔は,信号及び干渉波のス

ペクトルに依存するので,各種の組合せについて値を求

めておくと便利である。乙れに対し実験及び理論的検討

を進めるととは,今後の課題である。

干渉波及び信号波のスペクトルと S/I

900チャネルiζ対する雑音負荷特性を第5図に示す。

負荷レベルを変えると信号電力はそれに比例して変化す

るが, S/(N+D+I)は負荷レベルに対して複雑な変化

をしている。との原因は,負荷レベルを変えるととによ

り信号のスペクトルが変化すると,干渉雑音が変化する

ためである。また,図の(晶)と(b)を比較すると, TVの画

像信号が美人画の場合とカラーパーの場合とでは特性が

かなり異なる。カラーパーの場合には,高域のチャネル

の S/(N+D+I)が低域のチャネルのものに比べて6

dBほど悪い。一方,美人画では,雑音負荷レベルiζ対

する高域と低域の S/(N+D+I)の変化の様子が異な

り,負荷レベルが小さい場合には高域のチャネルの SI

(N+D+I)の方がよくなっている。

とのように, TVの画像信号により S/Iが変わると

190

6.2

Page 13: 1.4 周波数帯共用に関する実験 - NICT...電波研究所季報 DUlt --5dB -ー+日+ー lOdB ~ー15dB ーローロ-- 20dB II-1.4 周波数帯共用に関する実験

191

値想予の一Aロ場

いUM

AHn

FDM-FM 60チャオJレl伝送レベル-21c1BrI! 240kHz slot Ii EIRP-112dBm I•

FM-TV I! カラー/{- 1: ディスパーサル竺オンI’

(D/U)min-3.“B I¥

50ト一一一一一一---\\---J--ーー一一一一一一一v

70 、、、、ls

1981 May No. 143 Vol. 'Zl

60

ω

〔母〕H

+ロ+Z\国

FDM-FM鉛Oチャネル伝送レベルー2剖Br381路kHzsl。t回RP-112dBm

同+白+Z\凶固ま晴

40

40 -2 1 0 l 2 7ンテナ・オフセット角度(deg)

アンテナ・オフセット角度対S/(N+D+I)特性

3 -3

30

3 2 -2 -1 0 1

アンテナ・オフセット角度(deg〕

-3 第6図(a)

アンテナ・オフセット角度対S/(N+D+I)特性

FM-TVのスペクトルの形状による S/Iの差が小さく

なっている。 FDM-FMの変調指数は通常かなり大き

しスペクトJレ分布はガウス形とみなせる。それゆえ,

通常の周波数偏移を使用する場合には, FM-TVのスペ

クトルの形状により S/Iが大きく変わる乙とはないと

恩われる。

6.3 アンテナ・オフセ・7ト角度に対すg特性

FDM-FMの900チャネル及び60チャネルに対し

て, U局のアンテナを BS方向に向けた場合の最悪の

D/UをlOdB等に設定し, それよりアンテナを振って

アンテナ・オフセット角度対 S/(N+D+I)特性を測定

した。結果を第6図に示す。図には,可搬B局の Az方

向のアンテナ送信パターンを基にした S/Iの計算値

(破線)ものせている。また最悪の D/Uに対する最悪

の S/Iの予想値と, D/Uが十分に良い場合の S/(N+

D+I)の値ものせている。これらは測定結果とよく合

っている。図(c)では最悪の D/Uを3.6dBに設定して

いるが,乙の場合に最悪の S/Iの計算値と実測値とに

約3dBの差がある。 ζの原因は,計算値の方は熱雑音

の影響を考慮せず,スレッジョルド現象を考えなかった

ためと思われるが,更に検討を要する。

以上のように, U局のアンテナ方向に対する特性は,

送信アンテナパターン,最悪の D/U,干渉なしの場合

第6図(c)

、ハ II .計値 川り"r可搬B局のAz方向 In i i' iアンテナ送信パターンIi¥

, Iiを基に求めたS/I I

¥J ¥ ! ¥ 1: :

》 ¥ I k料2・値’一一i一一・--! --ーしー・

~vA ~\t

70

60

50「.,.ーーーーー,ーーー・ーーー・・・ーー______,_ __ ..ーー・・・・・・・・・・・・・・ーFM-TV 台ラーバーデ{7.パーサL・オン

(D八J)min=lOdB

u ~/ \可制のh方向 /¥ j i 7ンテナ送信パターン 1l ! ¥ を碁にしたS/Iの計算 iu I !Ill ’ νi j 1一一一-昔寸. 』 A ll !

E切L-------幽-一切一聞.’..川.. 実測値〆 ¥¥ E ”

・1・1 トM-TV¥¥ f カラーパー,¥¥ , ディスパーザル・オ7i¥ I (D/U)抽ー1幽

一半一最悪のS/Iの予想鑑

も一一最悪のS/Iの予想値

‘ ’ ‘ ‘ ‘ ‘ 、、、

〔同唱〕

同+口+Z\回国立時

-2 -1 0 1 2

7ンテナ・オフセット角度〔deg)

アンテナ・オフセット角度対S/(N+D+I)特性

40

3 -3

第6図。b)

とがわかった。乙の現象は干渉の評価を複雑にさせる。

しかし,雑音負荷レベルが十分に大きくなると,すなわ

ち FDM-FMのスペクトル分布がガウス形に近づくと,

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192 Il-1.4 周波数帯共用に関する実験 電波研究所季報

の S(N+D)などを基にして計算で求められるととが

明らかとなった。それゆえ上りリンクの干渉のおおまか

な評価は,計算で求める乙とができる。

唱11111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111II I

ぺ:・・i:、こY