平成17年度に係る業務実績報告書平成17年度の評価・点検については 平成...

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平成17年度に係る業務実績報告書 平成18年6月 独立行政法人 農業環境技術研究所

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  • 平成17年度に係る業務実績報告書

    平成18年6月

    独立行政法人 農業環境技術研究所

  • 第Ⅰ章 独立行政法人農業環境技術研究所の概要

    1 業務の目的及び内容 1

    2 事務所の所在地 1

    3 資本金の状況 1

    4 役員の状況 1

    5 職員の状況 2

    6 設立の根拠となる法律名 2

    7 主務大臣 2

    8 沿革 2

    9 組織図 2

    第Ⅱ章 平成17年度に係る業務の実績

    Ⅰ 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置 3

    1 評価・点検の実施 3

    2 研究資源の効率的利用 7

    3 研究支援の効率化及び充実・高度化 10

    4 連携、協力の促進 11

    5 管理事務業務の効率化 16

    6 職員の資質向上 17

    Ⅱ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を

    達成するためとるべき措置

    1 試験及び研究並びに調査 18

    A 農業生態系の持つ自然循環機能に基づいた食料と環境の安全性の確保 18

    B 地球規模での環境変化と農業生態系との相互作用の解明 38

    C 生態学・環境科学研究に係る基礎的・基盤的研究 47

    2 専門研究分野を活かした社会貢献 56

    3 成果の公表、普及の促進 59

    Ⅲ 予算(人件費の見積りを含む 、収支計画及び資金計画 64。)

    Ⅳ 短期借入金の限度額 74

    Ⅴ 重要な財産を譲渡し、又は担保にしようとするときは、その計画 74

    Ⅵ 余剰金の使途 74

    Ⅶ その他農林水産省令で定める業務運営に関する事項 74

    1 施設及び設備に関する計画 74

    2 人事に関する計画(人員及び人件費の効率化に関する目標を含む ) 74。

  • - 1 -

    第Ⅰ章 独立行政法人農業環境技術研究所の概要

    1 業務の目的及び内容

    1)目的

    農業生産の対象となる生物の生育環境に関する技術上の基礎的な調査及び研究等を

    行うことにより、その生育環境の保全及び改善に関する技術の向上に寄与する。

    (独立行政法人農業環境技術研究所法 第 条)3

    2)業務の範囲

    (1)農業生産の対象となる生物の生育環境に関する技術上の基礎的な調査及び研

    究並びにこれに関連する分析、鑑定及び講習を行うこと。

    (2)前号の業務に附帯する業務を行うこと。

    (独立行政法人農業環境技術研究所法 第 条)10

    2 事業所の所在地

    〒 茨城県つくば市観音台 丁目 番 号305-8604 3 1 3

    電話 (代表)029-838-8148

    Fax 029-838-8199

    Web http://www.niaes.affrc.go.jpサイト

    3 資本金の状況

    独立行政法人農業環境技術研究所の資本金は平成 年度末で 千円とな17 34,353,270

    っている(表Ⅰ 。平成 年度においては、「独立行政法人農業環境技術研究所法」-1 17)

    附則第 条に基づき、平成 年度に国から、現物出資を受けた 千円相当5 13 34,353,270

    の土地・建物等を維持した。

    ( )表Ⅰ-1資本金の内訳 単位:円

    平成 年度中 平成 年度末 備 考17 17

    増 減

    根拠法令独立行政法人 農業環境技術研究所法政府出資金 0 0 34,353,269,524(平成11年法律第194号)

    4 役員の状況

    定数: 人(理事長 ,理事 ,監事 )4 1 1 2

    「研究所に、役員として、その長である理事長及び監事二人を置く。研究所に、役員

    (独立行政法人農業環境技術研究所法 第 条)として、理事一人を置くことができる。」 7

    理事長 佐藤 洋平

    任 期:平成 年 月 日~平成 年 月 日17 4 1 21 3 31

  • - 2 -

    理 事 上路 雅子

    任 期:平成 年 月 日~平成 年 月 日17 4 1 19 3 31

    監 事 松井 武久

    任 期:平成 年 月 日~平成 年 月 日17 4 1 19 3 31

    監 事(非常勤) 堀 雅文

    任 期:平成 年 月 日~平成 年 月 日17 4 1 19 3 31

    5 職員の状況

    平成 年 月 日現在の常勤職員数は 名である。18 1 1 189

    6 設立の根拠となる法律名

    独立行政法人農業環境技術研究所法(平成 年法律 号)11 194

    7 主務大臣

    農林水産大臣

    8 沿革

    26 25 58明治 年農事試験場として発足し、昭和 年に農業技術研究所となる。昭和

    年農業技術研究所の再編で農業環境技術研究所となり、平成 年に閣議決定された11

    「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」により、平成 年 月に独13 4

    立行政法人農業環境技術研究所となった。

    9 組織図 (平成18年1月1日現在)

    研究企画科研究交流科

    企画調整部 研究情報システム科情報資料課業務科

    庶務課理事長 総務部

    会計課

    理 事気象研究グループ

    監 事 地球環境部 生態システム研究グループ研究チーム

    植生研究グループ昆虫研究グループ

    生物環境安全部 微生物・小動物研究グループ研究チーム

    有機化学物質研究グループ

    重金属研究グループ図 組織図Ⅰ-1化学環境部

    栄養塩類研究グループ

    研究チーム

    農業環境インベントリーセンター

    環境化学分析センター

  • - 3 -

    各研究部内では重点的・機動的な研究を推進するために『グループ』制を導入して

    いる 『グループ』内は、フレキシブルな単位として研究リーダーを中心とする『ユ。

    』 。 、 『 』 、ニット を配置している また 直面する問題を重点的に解決する チーム を設け

    併任制も導入して弾力的な人員配置を行っている。平成 年度現在、地球環境部に17

    温室効果ガスチーム、食料生産予測チーム及びフラックス変動評価チーム、生物環境

    安全部に組換え体チーム、化学環境部にダイオキシンチームの チームを配置してい5

    る。

    第Ⅱ章 平成17年度に係る業務の実績

    Ⅰ 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置

    1 評価・点検の実施

    「評議会」の開催①

    ●評議会の評議員は行政、大学、マスコミ、県、消費者及び関係する独立行政法人

    研究機関の代表及び理事長の計 名で構成されている 。11 (表Ⅰ-2)

    ●平成 年度の評価・点検については、平成 年 月 日に評議会を開催し、16 17 4 27

    中期計画及び平成 年度計画に基づき、評議員による評価を実施した。評議会で16

    評議員に指摘された事項( )のうち 「長期的視点にたった基礎研究が重要資料1 、

    である」という指摘をふまえ、平成 年度には、後述する推進方策委員会による17

    第Ⅱ期に向けた検討において、第Ⅰ期の研究所の組織・運営について点検し、中期

    目標・中期計画の達成と同時にシーズ研究等の遂行や、研究所の戦略立案機能を重

    (独)農業環境技術研究所評議員一覧表Ⅰ-2

    (17年度計画)

    、 、 、業務及び運営の改善に資するため 外部委員を加えて 研究所の研究推進方策

    研究資源配分、運営管理及び研究計画・成果について評価・点検する「評議会」

    を4月に開催する。また、その結果をインターネット等で公開する。

    永田 徹 前茨城大学農学部教授

    中村 雅美 日本経済新聞社科学技術部編集委員

    木村 眞人 名古屋大学大学院生命農学研究科教授

    小川 吉雄 茨城県農業総合センター園芸研究所長

    藤田 和芳 大地を守る会会長

    大塚 柳太郎 独立行政法人国立環境研究所理事長

    三輪 睿太郎 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構理事長

    大熊 幹章 独立行政法人森林総合研究所理事長

    秋山 敏男 独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所長

    塚本 和男 農林水産省大臣官房環境政策課長

    佐藤 洋平 独立行政法人農業環境技術研究所理事長

  • - 4 -

    視する組織体制を構築した。また、評議員の「研究需要を捉えることに全力で取り

    組む必要がある」という指摘に対しては、生産者、産業界、行政、消費者などのニ

    ーズを把握するため、マスコミ、学術誌、図書およびインターネットなどさまざま

    な媒体を通して情報を収集するとともに、シンポジウムや一般説明会、各種イベン

    トなど、双方向コミュニケーションの機会を利用して研究需要の把握に努めた。さ

    らに、前回の評議員会で出された評議員からの要望に応え、環境報告書についても

    自主的に発行した。評議会の概要については平成 年 月 日に農環研 サイ17 6 1 Web

    ト上の「情報:農業と環境 」で公開するとともに、 月に報告書を発行し、No.62 7

    関係者に配布した。また、評議会における評価結果は、平成 年度に係る農林水16

    産省独立行政法人評価委員会による評価の際の参考資料として提出した。

    資●平成17年度の評価・点検については 平成 年 月 日に評議会を開催した、 (18 4 27

    。その冒頭では、平成 年度の評議会において指摘された事項について、平料2) 16

    成 年度行った対応を説明した。平成 年度の評議会における「研究課題の全体17 16

    像が見えるような形で報告し、評価を受けられるようなシステムが必要である」と

    いう指摘に基づいて、平成 年度の評価点検は、大課題-中課題-小課題の関係17

    が分かるような形での報告に努めるとともに、評議会での評価単位を従来の小課題

    レベルから大括り化して大課題レベルに引き上げる見直しを行った( 。評議資料2)

    会の結果は農環研 サイト「情報:農業と環境」で概要を報告する。Web

    研究課題の検討会の開催②

    A B C 3 8 22 41 154●研究課題は の つの柱の下に 大課題- 中課題- 小課題-、 、 、 、

    実行課題の構成になっている。

    ●研究課題の評価は、以下に示す流れに沿って行った 。(図Ⅰ-2)

    (17年度計画)

    研究課題の検討会の開催

    研究の推進方策・計画、進捗状況及び成果を的確に把握するとともに、それら

    を評価するため、全ての実行課題を対象に研究所内部で検討を行う。このため、

    「調査研究設計検討会 「調査研究・成績検討会」及び「課題検討委員会」を開」、

    催する。課題評価については、外部評価委員の意見をふまえて、現在の中期計画

    が滞りなく達成できたかを点検し、次期中期計画の展開に向けた評価をめざす。

    また 主要成果検討会 で成果情報候補を選定する 課題検討委員会 及び 主、「 」 。「 」 「

    要成果検討会」には、外部評価委員を入れる。これらの検討会を踏まえて、論文

    等の研究成果発表を積極的に行うよう指導していく。さらに、課題評価結果を研

    究推進費等の資源配分に反映させる。

  • - 5 -

    17 4 11 22 15●平成 年 月 ~ 日に研究部のグループ・チーム及び研究センター 合計(

    単位)で「設計検討会」を開催した。小課題毎に年度計画を策定するとともに、小

    課題達成のための実行課題を設定し、年度の達成目標を作成した。

    ●達成目標に対する実施状況の検討及びその達成度の評価は、上記の各 単位で15

    行う「成績・計画検討会」で、次いで外部評価委員を含めた「課題検討委員会」で

    、 「 」 。議論・点検を行い それらの結果を踏まえ 評議会 で評価を受ける体制で行った

    ●平成 年 月 ~ 日に「成績・計画検討会」を開催した。実行課題ごとに、18 1 10 17

    当該年度及び 年間の成績を検討し、部長、センター長及びグループ長がこれを評5

    価した。また、検討会終了後、実行課題実施責任者に今年度及び中期目標期間の成

    績、目標達成度、研究成果、主要成果候補の有無についての報告書を提出させた。

    さらに、研究管理者である部長、センター長及びグループ長には、上記の内容をと

    りまとめた年度・中期計画小課題進捗状況報告書を提出させた。なお、検討会の資

    料となった調査研究成績書は「平成 年度農業環境調査研究成績・計画概要集」17

    として 化して平成 年 月に発行し関係者に配布した。CD-ROM 18 3

    18 1 30 3●平成 年 月 日に 主要成果検討会 を開催し 外部評価委員 大学教授「 」 、 ( )

    名を含む委員により検討を行い、提出された 課題のうち 課題が主要成果候補31 26

    として選定された。平成 年度農業環境研究推進会議で、主要成果 課題が採択17 26

    され、このうち「普及に移しうる成果」は 課題(行政 課題、技術 課題)であ8 2 6

    った。選定された主要成果は、秋田県、富山県及び静岡県から提出された成果情報

    (資とともに 「農業環境研究成果情報 第 集 」として平成 年 月に発行した、 ( 22 ) 18 3

    。料3)

    ●平成 年 月 ~ 日に「課題検討委員会」を開催し、役員、部長、センター18 2 6 7

    長及びグループ長に、外部評価委員(大学教授) 名を加えて年度計画及び中期計3

    画小課題の評価を行った。委員会では 「成績・計画検討会」後に提出された年度、

    、 、・中期計画小課題進捗状況報告書を基に 各課題の達成度及び成果について検討し

    小課題単位で進捗状況及び成果を基に、以下の 段階で評価した 。4 (資料4)

    図 研究課題評価の流れⅠ-2

    課題検討委員会(毎年2月;外部委員)

    様式3

    設計検討会(毎年4月)様式1

    成績・計画検討会(毎年1月)様式2

    主要成果検討会(毎年1月;外部委員)

    農業環境研究推進会議(毎年2月下旬~3月上旬)

    農業環境技術研究所評議会(毎年4月;外部委員)

    独法評価委員会(毎年5~7月)

  • - 6 -

    平成17年度「課題評価委員会」による小課題評価結果表Ⅰ-3

    評価基準 課題数 平成 年度の状況16

    :大幅に進捗 課題 ( 課題)S 8 6

    :順調に進捗 課題 ( 課題)A 27 25

    :やや遅れている 課題 ( 課題)B 6 10

    :遅れている 課題 ( 課題)C 0 0

    平成 年度は第Ⅰ期の最終年であるため、目標の達成を図るため、当初予算配17

    分において一般研究費(運営費交付金)を増額するとともに、課題の進捗状況に応

    じ研究部長・センター長の裁量で重点配分を行った。さらに、進捗の遅れていた課

    題については研究推進費による「研究助手」の採用を行うなどの措置を講じたこと

    、 、 、により 平成 年度に比べ と の課題がそれぞれ 課題増加して が減少し16 S A 2 B

    18 4 27全体的な研究の進捗が図られた( 。この結果については平成 年 月表Ⅰ-3)

    日の評議会で評価を受けた。

    ●平成 年度は中期目標期間の最終年度であるため、評価結果は、第Ⅱ期の研究17

    計画の推進に反映させる。即ち、第Ⅱ期の関連した研究課題において、第Ⅰ期の到

    達点、問題点等を踏まえ、具体的な研究計画や人員配置に反映させる。

    ●成績・計画検討会の資料となった「調査研究成績」は「平成 年度農業環境調17

    査研究成績・計画概要集」として 化し、平成 年 月に発行した。CD-ROM 18 3

    ③ 業績審査委員会の開催

    ●業績評価については、研究者の資質の向上及び研究の活性化並びに研究所の運営

    に役立てることを目的とし、研究業績、研究所運営への貢献、行政への貢献等の評

    価項目について、平成 年度より導入した評価システムにより評価を行った。15

    ●被評価者が作成した研究業績報告書を基に、評価者である管理職が面談を行い、

    研究業績評価票を作成した。平成 年 月 日に業績審査委員会を開催し、評価18 3 29

    を行った。

    。●平成 年度から研究管理職員についてはその評価結果を処遇に反映させている16

    16 17 S B●一般研究職員については 平成 年度と比較して平成 年度では が増加し、 、

    が減少するなど、全体に業績の向上がみられた( 。また、平成 年度から表Ⅰ-4) 17

    は研究所の サイトに研究者の主要業績等を掲載した「研究者情報」のページWeb

    (17年度計画)

    平成 年度導入した評価システムにより、業績評価審査委員会において研究15

    職員の業績評価を行い、その結果を研究職員等の研究の活性化及び資質向上に

    役立てる。なお、研究業績評価結果については、研究管理職には 年度より処16

    遇に反映させており、研究職員については 年度に改訂した研究業績評価シス15

    テムの充実を図った上で検討する。

  • - 7 -

    を作成し公表しており、こうした取り組みも一般研究職員の刺激となり、研究業績

    に対する意識を高めるのに役立っているものと考えられる。

    平成 年度研究業績評価結果表Ⅰ-4 17

    業績審査委員会における評価基準 人数 平成 年度の状況16

    :極めて優れている 名 ( 名)S 14 11

    :大変優れている 名 ( 名)A 52 52

    :優れている 名 ( 名)B 54 60

    :一定の実績が認められる 名 ( 名)C 5 4

    :なお努力が必要 名 ( 名)D 0 0

    現行の評価システムは、評価項目を広げることで様々な活動を評価するとともに、

    各種データを多用することで客観性を高めており、透明性及び納得性の高いものと

    言える。しかし、 年間の結果を解析すると、分野間、研究対象および世代間にお3

    ける業績の偏りが認められたり、評価が固定する傾向が見られるなど、改善すべき

    点も明らかになってきている。このため、第Ⅱ期中期目標期間の早い時期に、業績

    評価方法の見直しを行う予定である。

    次期中期計画策定に向けた点検④

    ●推進方策委員会を計 回開催し、第Ⅱ期中期目標期間の研究課題、組織、運営22

    等について検討を行った。研究内容については第Ⅰ期における評価や種々の指摘を

    踏まえ、課題数、内容とも大幅な絞り込みを行い、重点化を図った。研究組織につ

    いては中期目標・計画の研究課題を効率的かつ分野横断的に推進するために「リサ

    ーチプロジェクト」を設置することとした。また、シーズを醸成するとともに研究

    分野としての実力の養成を図るために、研究組織の基本単位を大型化して領域・セ

    ンターとし、組織と研究課題推進体制をマトリックス構造として運営することとし

    た。その他、第Ⅱ期における運営費交付金研究費の配分方法及び、施設利用等につ

    いて方針を決定するとともに、施設改修・整備について計画を策定した。

    2 研究資源の効率的利用

    ① 研究資源の充実

    (17年度計画)

    次期中期計画策定に向けた点検

    平成 年度から始まる次期中期計画の策定に向けて、各種委員会で、これま18

    での研究所の組織・運営について点検し、研究課題、組織及び施設・機械整備等

    について検討を行う。

  • - 8 -

    ●平成 年度は日本学術振興会特別研究員等の応募についての説明会や文部科学17

    省科学研究費補助金等の競争的資金に関する説明会を開催するなど、応募数拡大に

    。 、「 」 、努めた また 公募型プロジェクト等検討委員会 で提案内容や様式を検討して

    より適切な提案が行われるように指導した。

    ●文部科学省、環境省、農業・生物系特定産業技術研究機構等の競争的資金に係る

    事業に対して、代表提案として 課題、参画提案として 課題、合計 課題17 32 43 75

    10 8 3 9に応募し 代表提案として 課題(前年度 課題 参画提案として 課題(前年度、 )、

    課題 、合計 課題が採択された 。今年度は特に、文部科学省の) 13 (表Ⅰ-5、資料5)

    科学技術振興調整費に応募した代表提案課題が採択されるなど、平成 年度競争17

    的資金として 千円を獲得し、平成 年度よりも獲得予算額が 千円443,203 16 128,142

    増加し、第Ⅰ期 年間で実施数、獲得予算額ともに最高となった( )。中期目5 表Ⅰ-6

    標期間 年間で公募型プロジェクトの採択数および採択率は着実に増加しており5

    ( )、今後とも公募型プロジェクト等検討委員会で提案内容や様式を検討し、表Ⅰ-5

    より適切な提案がなされるよう指導していく。

    公募型プロジェクト研究等への応募・採択の状況表Ⅰ-5

    主な競争的資金の獲得状況表Ⅰ-6

    提案数 採択数 採択率 提案数 採択数 採択率13年度 23 4 17.4% 34 8 23.5%14年度 11 6 54.6% 11 3 27.3%15年度 25 4 16.0% 29 9 32.6%16年度 35 8 22.9% 34 9 26.5%17年度 32 10 31.3% 43 3 7.0%

    参画提案代表提案

    (17年度計画)

    外部資金獲得の一環として、競争的資金に係る研究費に引き続き積極的に応募

    する。その際、所内の公募型プロジェクト等検討委員会を通して、適切な応募が

    行われる努力を継続する。また、研究に関わる人的資源の獲得に向けたプロジェ

    クトへの応募や運営費交付金による研究補助者の獲得に努力する。

    実施件数

    獲得予算

    実施件数

    獲得予算

    実施件数

    獲得予算

    実施件数

    獲得予算

    実施件数

    獲得予算(千円)

    農林水産省 先端技術を活用した農林水産研究高度化事業

    1 3,065 2 40,535 3 90,252 6 103,940 7 124,853

    新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

    - - 2 16,920 1 1,200 - - - -

    文部科学省 科学研究費補助金 1 800 2 3,400 4 4,644 7 18,600 6 13,700科学技術振興調整費 4 88,509 3 49,172 3 40,079 2 11,543 3 126,424

    環境省 地球環境保全等試験研究費(地球環境保全試験研究費)

    - - 1 3,114 1 3,112 1 3,070 2 4,158

    地球環境保全等試験研究費(公害防止等試験研究費)

    1 14,967 1 11,800 2 18,910 5 49,136 5 30,217

    地球環境研究総合推進費 14 150,872 9 141,992 7 137,633 7 128,772 7 143,85121 258,213 20 266,933 21 295,830 28 315,061 30 443,203

    所 管 制 度

    合  計

    16年度 17年度13年度 14年度 15年度

  • - 9 -

    、 、●研究事業費として 千円を配分し そのうち研究推進費として 千円743,857 237,500

    208,908 91,332一般研究費に 千円 交付金特別研究 運営費交付金プロジェクト に、 ( )

    千円を配分した。特に平成 年度は第Ⅰ期中期目標期間の最終年度に当たること17

    から、課題全般の進捗度の増進を図り、目標を達成するため、一般研究費(運営費

    交付金)を前年度から 千円増額した。一般研究費については、研究部長及び39,866

    センター長が、研究課題の進捗状況と予想される成果を考慮して、重点配分した。

    また、進捗の遅れていた課題については、研究推進費による「研究助手」の採用を

    、 、行うとともに ダイオキシンチームについては当初の目的をほぼ達成したことから

    同チームの1名を、農地からのカドミウム除去に関わる研究ユニットに配置換えし

    た。交付金特別研究についてはプロジェクト推進のために、研究推進リーダーが重

    点配分を行った。

    ●運営費交付金を財源とした研究推進費 千円のうち、当所が主催する独自237,500

    の国際会議開催経費として 千円( 件 、国際研究集会等への参加経費として3,002 1 )

    ( )、 ( )18,535 54 28,700 17千円 件 所内独自の法人プロジェクト経費として 千円 課題

    を充当し、所内の競争的資金として活用することにより、研究の活性化と効率的な

    研究推進に資した 。また、研究助手を小課題の研究促進のため 名雇(資料6、7) 7

    用し、進捗の遅れていた課題の加速に努めた。機械整備費については、本年度が中

    期目標期間最終年度であることから、必要性を精査して、前年の約 分の1に当た2

    る 千円(前年度 千円)を配分することとし、節減した予算は目標達成36,271 73,542

    のための一般研究費に充当した。

    ② 高額機器の利用計画

    ●平成 年度から、共同利用を目的に購入した機器を『共用機器1 、本来特定研13 』

    究単位の利用を目的に購入した機器であるが、空き時間にほかの研究者の使用を認

    める機器を『共用機器2』として、共用機器リストを作成している。現在 『共用、

    機器1』として 件 『共用機器2』として 件登録されている( )。このリ63 42、 資料8

    ストは、所内専用 サイト上に掲載されており、各機器の利用責任者に利用計Web

    画を作成させることで、各機器が効率的に利用できるようにしている。なお 『共、

    用機器 』に登録した機器については、保守や消耗品を所が負担するというインセ1

    ンティブを引き続き与えている。

    ●平成 年度に共用機器の利用実態の調査を行った結果、年間ほとんど使われて16

    いないものから、 シークエンサーや核磁気共鳴生態断層撮影装置のようなほDNA

    とんどフル稼働の機械まで、その利用実態は機械によって様々であった。その結果

    を基に、平成 年度には 『共用機器1』のうち 点を廃棄するとともに、使用実17 4、

    (17年度計画)

    高額機器の利用計画を作成し、所内に通知して効率的な利用の促進を図る。ま

    た、技術講習や共同研究等の制度で利用可能な機器については、ホームページや

    年報の資料等を介して広く公開し、有効利用を図る。

  • - 10 -

    績の少ない機器や、依頼分析による外注が維持経費よりも割安になった機器の保守

    契約を打ち切った。また、共用機器の利用実態調査結果は、第Ⅱ期中期目標期間中

    の共用機器の購入計画等の参考とした( 。資料8)

    3 研究支援の効率化及び充実・高度化

    ① 特許等の知的財産権の取得、移転

    ●知的財産担当者を農林水産技術会議や外部 である アイピー等が主催TLO AFFTIS

    、 、するセミナーや検討会に出席させて情報を収集し 研究部長・センター長に対して

    、 。研究成果を特許出願するための関係資料を配付し 実用化研究と特許出願を促した

    その結果、特許出願 件、商標出願 件、プログラム登録 件を行った。6 1 1

    ●平成 年 月に特許庁が主催する「 特許流通フェア 東京 、 月には農17 9 2005 in 10」

    林水産省や当所が共催する「アグリビジネス創出フェア 、 月には農林水産2005 11」

    省等が後援する「農林水産環境展」に出展し、特許情報のブース展示を行うととも

    に特許情報を配布し、普及に努めた。

    ●平成 年 月には、つくばサイエンスアカデミーが東京で開催した「 テクノ17 9 TX

    ロジーショーケースツクバ・イン・アキバ 」において、所紹介のパネルを展示2005

    し、成果情報や特許情報を配布するとともに、最近取得した特許や共同研究のシー

    、 。ズ研究についてポスター展示を行い 参加者との議論を通して情報の提供を行った

    ② 研究情報の収集、提供

    ●共同研究の促進および研究に関する問い合わせの利便性を図るため、研究者の経

    18歴、研究分野、主要業績などを掲載した「研究者情報」のページを作成し、平成

    年1月に ファイルを公開した。平成 年 、 月の外部からの閲覧回数合計は138 18 2 3

    回/月を超えた。10,000

    ●研究所 サイトの日本語トップページへの平成 年度のアクセス数は、Web 17

    回(月 回)と、平成 年度の 回の約 倍に増加した。192,000 16,000 13 98,000 2

    ●研究所内用のグループウェアシステムを導入し、オンラインで行事予定及び会議

    室や公用車の予約等スケジュールの迅速な調整が可能となるとともに、配布・回覧

    書類の削減が図られた。

    (17年度計画)

    知的財産権の発掘・権利化を促進するため、研究部長等を知的財産権を獲得す

    るための指導者とするとともに、研究成果の権利化、ライセンス先のマーケティ

    ング及び契約締結等の技術移転業務については外部 を活用する。また、知TLO

    的財産の取り扱いの方針を定めた知的財産ポリシーの策定を行う。

    (17年度計画)

    農林水産省研究ネットワーク及びその他の農業環境関係の情報ネットワーク等を

    活用して、研究情報の収集、提供の充実強化を図る。

  • - 11 -

    ③ 外部委託計画

    ●研究活動に不可欠な研究本館・実験棟等の運転保守管理、清掃業務、庁舎警備等

    について、アウトソーシングを実施した( 。資料9)

    ●施設委員会等所内委員会において、毎年度、保守・管理等の計画を策定し、アイ

    、 、 、ソトープ施設 実験廃水処理施設等の保守管理について 研究職員の負担を軽減し

    研究に振り向けるため、アウトソーシングを実施した( 。平成 年度は新資料9) 17

    、 。たな保守・管理を行わなかったが 平成 年度に比べて経費を 万円節減した16 215

    ●平成 年度は新たに純水/超純水製造装置他 点について保守契約を結び、従17 2

    来から保守契約を結んででいた分析機器等のうち高精度な性能の維持のために専門

    的な管理を必要とするもの( 点)とあわせ、機器の性能の維持による効率的な研28

    究の推進に資した( 。これまでに購入した精密機器の中では、共同分析セン資料9)

    ター 号棟に設置してある 質量分析計、二重収束質量分析装置について、研究2 ICP

    職員の機械操作およびメンテナンスにかかる負担を軽減するため、研究オペレータ

    ーを雇用し機器のメンテナンスや使用者の指導にあたらせている。

    4 連携、協力の促進

    (1)他の独立行政法人との連携、協力の実施状況

    18 2 24 28●平成 年 月 日に他独立行政法人、公立試験研究機関、行政部局等から

    名が参加して、農業環境研究推進会議を開催し、農業環境技術研究所に対する要望

    資を聴取するとともに 第Ⅱ期中期計画における研究課題や組織について説明した、 (

    。料10)

    ●農林水産関係の環境に関する研究所(森林総合研究所・水産総合研究センター・

    農業環境技術研究所)の間で、相互に情報を交換・共有し、農・林・水の分野で一

    体的な環境研究の推進を図る目的で、平成 年に設立した「三所連絡会」において12

    は、平成 年 月 日に森林総合研究所九州支所で第 回連絡会を開催し、各研17 10 7 5

    究所の研究成果発表と今後の協力体制について議論を行った また 成果発表会 森。 、 「

    17 11 11林・農地・水域を通ずる自然循環機能の高度な利用技術の開発 平成 年 月」(

    (17年度計画)

    農業環境研究推進会議を開催して、他の独立行政法人や都道府県の試験研究機

    関等との連携、協力を積極的に行う。また、農林水産省所管の環境関係研究機関

    の連絡会「環境研究三所連絡会」に加えて、他省庁を含めた「環境研究機関連絡

    会」において、環境研究に係る意見交換を継続し、開催予定の合同研究成果発表

    会に参加して連携・協力を深める。

    (17年度計画)

    アイソトープ施設、精密機器類の保守・管理及び研究本館・実験棟の一般保守

    管理について、業務の性格に応じて外部委託により効率化を図る。

  • - 12 -

    日;愛知県女性総合センター 、中間成果発表会「農林水産生態系における有害化)

    学物質の総合管理技術の開発 (平成 年 月 日;つくば国際会議場 、シン」 )17 11 28

    ポジウム「流域圏における水循環・農林水産生態系の自然共生型管理技術の開発」

    平成 年 月 日;つくば国際会議場 を三所で共催した( 。( 17 12 2 ) 資料11)

    ●農林水産関係他独法との間の研究協力に関する協約書に則り (独)農業・生物、

    系特定産業技術研究機構から 名の研究者を受け入れた。また (独)国際農林水2 、

    産業研究センターの中国における研究プロジェクトに対して 名の研究員を派遣し2

    た。

    ●平成 年度の人事異動では、一般職 名、研究職 名が(独)農業・生物系特17 3 5

    定産業技術研究機構に、一般職 名が(独)農業生物資源研究所に、一般職 名が1 1

    (独)農業工学研究所に転出し、一般職 名が農林水産省大臣官房に、一般職、研1

    究職各 名が農林水産省農林水産技術会議事務局に転任し、東京大学・明治大学へ1

    研究職各 名を出向させた。1

    ●また一般職 名、研究職 名が(独)農業・生物系特定産業技術研究機構から、3 3

    一般職 名、研究職 名が(独)農業生物資源研究所から転入し、研究職 名が農2 1 2

    、 。林水産省農林水産技術会議事務局から 一般職1名が農林政策研究所から転任した

    ●環境省、国土交通省、文部科学省、経済産業省等の環境関係の研究機関で連絡会

    を結成している。平成 年度は連絡会を 回開催し、今後の活動について検討し17 2

    た。また、成果発表会(平成 年 月 日、つくば国際会議場)を開催し、各17 12 14

    研究機関を代表した研究成果 課題の講演発表が行われ、専門分野を超えた情報11

    交換ができ、環境研究の推進に向けての共通認識が得られた。

    ●(独)産業技術総合研究所 (独)宇宙航空研究機構及び(独)新エネルギー・、

    産業技術総合開発機構と共同研究を実施した。

    (2)産学官の連携、協力状況

    ① 国内共同研究の実施

    ●平成 年度には 件の共同研究を実施した。相手先は民間 件、大学 件、17 27 17 5

    独立行政法人 件及び公立試験研究機関 件であった 。平3 6 (図Ⅰ-3(重複を含む))

    成 年度は、民間企業と行った共同研究の中で、 件の特許「メチルチオ化トリ17 2

    アジンの分解能を有する新規な微生物」および「カドミウム汚染土壌の浄化方法」

    が出願されるなど、大きな成果をあげることができた。

    ●平成 年度には、他独法から 件、大学から 件、民間から 件のプロジェク17 3 1 6

    (17年度計画)

    農林水産省受託研究費による農業・生物系特定産業技術研究機構等との共同研

    究及び環境省地球環境研究総合推進費による国立環境研究所、森林総合研究所及

    び水産総合研究センター等との共同研究をより一層拡充する。また、地域及び都

    道府県の試験研究機関との連携協力を強め、共同研究を実施する。さらに、民間

    企業等との意見交換を継続し、連携・協力を一層深める。

  • - 13 -

    ト研究を受託し、連携・協力

    を図った( 。資料12)

    ●農林水産省、環境省、文部

    科学省の のプロジェクト13

    研究課題に関しては、大学、

    公立試験研究機関、民間等に

    一部委託( 件、平成 年93 16

    度 件)して連携・協力に106

    貢献した。

    ● 教 育 研 究 協 力 に 関 す る

    を締結した 財 農民教MOU ( )

    育協会鯉淵学園とは 「環境、

    保全・循環型農業の実証研

    」 、究 に関わる共同研究を行い

    農環研から客員研究員 名13

    を派遣して実証ほ場での試験・研究を継続した。

    ●民間企業から 名の受入研究員と 名の技術講習生を受け入れ、民間との連携・1 8

    協力を促進した。

    ② 外国との共同研究の実施

    ●平成 年度に を結んだドイツボン大学開発研究センターへ、研究職員 名15 MOU 1

    を「土地利用変化が植生動態及び水資源に及ぼす影響の解明」に関する研究協力推

    進のために派遣した。

    ●平成 年度に を結んだ大韓民国農村振興庁農業科学技術院とは、運営費交14 MOU

    付金プロジェクト「農業生態系における水質保全とその環境影響評価に関する国際

    共同研究」を継続した。この中で、農環研の研究者延べ 名が研究打ち合わせ及17

    び調査のため韓国へ出張するとともに、平成 年 月につくばで日韓共同国際ワ18 3

    ークショップ「農業生態系における窒素負荷と河川・地下水への流出:モニタリングとモデ

    ルによる解析」を開催し、 名の韓国側研究者が来所し、共同研究としての最終年度7

    に向けた研究取りまとめ状況に関する打ち合わせを行った。

    ●平成 年度に を締結した中国科学院南京土壌研究所と「温室効果ガスの動14 MOU

    態解明」や「地球温暖化に伴う食料生産変動予測」、平成 年度に を締結した16 MOU

    (17年度計画)

    共同研究覚書 を締結したボン大学、韓国農村振興庁農業科学技術院、中(MOU)

    国科学院南京土壌研究所及びラオス国立農業研究センターとのこれまでの共同研

    究を発展、継続させる。韓国農村振興庁農業科学技術院とは「農業生態系におけ

    る水質保全とその環境影響評価に関する国際共同研究」を継続する。また、ワー

    ゲニンゲン大学等欧米の関係研究機関との共同研究や情報交換を図る。

    図Ⅰ-3 共同研究の件数の推移

    0 5 10 15 20 25 30 35

    17年度

    16年度

    15年度

    14年度

    13年度

    独法

    地方公共団体

    大学・民間

    件数

  • - 14 -

    ラオス国立農林業研究センターと「東南アジアにおける移動耕作生態系の シンCO2

    ク・ソース制御及び食糧生産持続性を強化するための農学的・地球科学的研究」に

    ついて、データの交換や研究者の相互訪問等を通じ、協力している。

    ●タイのコンケン大学と「地球規模水循環変動が食料生産に及ぼす影響の評価と対

    策 、インドネシアの東南アジア環境影響センターとは「土地利用変化に伴う温室効」

    果ガスの発生・吸収の影響」を明らかにする共同研究を継続した。

    ●アメリカのニューハンプシャー大学と「地球温暖化影響予測モデルの開発」につ

    いて共同研究を継続するとともに、ワーゲニンゲン大学へは新たな共同研究の打ち

    合わせのため、理事長が出張した。

    ③ 大学との教育・研究交流の実施

    ●筑波大学、東京大学、東京工業大学及び東京農業大学と連携大学院方式による教

    育研究協力に関する協定を結び、 名の客員教員を派遣した。また、教育研究研修16

    生として東京工業大学 名、筑波大学 名、東京農業大学 名の大学院生を受け入2 5 2

    れ、論文作成の指導を行った。

    ( )●東京大学大学院農学生命科学研究科と連携講座 エコロジカル・セイフティー学

    を設置するための検討を開始し、平成 年 月から発足することが決定した。18 4

    ●東京大学や北海道大学等へ 名の非常勤講師を派遣し、講義や実習を行った。15

    ●鯉淵学園へ客員研究員 名を派遣し 「保全生態論」の講義を行った。さらに、13 、

    当所の新任研究職員の研修を鯉淵学園に依頼する等、連携・協力を推進した。

    ●受託研究プロジェクトについては大学へ 件を委託するとともに、 件の研究課37 1

    題を受託した。さらに、 件の共同研究を実施し、連携研究を強化した。4

    ●石川県立大学に環境科学科が設立されたのに伴い、学長以下環境科学科の教員が

    来所し、今後の研究・教育の参考とするため、意見交換や施設見学を行った。

    ④ 行政との連携

    ●平成 年 月 日に大臣官房環境政策課、 月 日に環境省自然環境局野生生17 6 17 8 31

    (17年度計画)

    筑波大学等との連携大学院に客員教員を派遣するとともに大学院生を受け入れ

    て、教育・研究交流を継続・発展させる。また、平成 年度に教育・研究に関15

    する協定書を結んだ東京農業大学及び鯉渕学園に客員教員や客員研究員を派遣す

    るとともに、大学院生を受け入れ、連携を強化する。

    (17年度計画)

    農林水産省統計部、農村振興局資源課及び消費・安全局との交流会を行うとと

    もに、農業環境研究推進会議においても行政部局との連携・協力について意見交

    換を行う。また、有機ヒ素や (残留性有機汚染物質)等緊急対応が求めらPOPs

    れている問題については、行政部局との連携を緊密にしていく。

  • - 15 -

    物課及び 月 日に消費・安全局農産安全管理課と意見交換会を行い、関係研究10 21

    成果を紹介するとともに、主要行政施策について説明を受け、情報交換を行った。

    。統計部、資源課とは 月開催予定であったが、 月 ~ 日に開催され(資料13) 3 3 8 9

    た行政・研究マッチングフォーラムのため延期した。

    ●農業環境研究推進会議には、行政部局等として農林水産省大臣官房、消費・安全

    局、生産局、農村振興局、農林水産技術会議事務局、 独 肥飼料検査所及び 独 農( ) ( )

    薬検査所が出席し、農業環境技術研究所に対する要望を聴取するとともに、第Ⅱ期

    中期計画における研究課題や組織について議論を行った。

    ●茨城県神栖町の作物及び土壌の有機ヒ素の汚染問題では、行政からの要請に基づ

    いて、有機ヒ素分析法の開発を行うとともに、汚染経路解明のための研究を進めて

    いる。

    ⑤ 研 究 情 報 の 提 供

    (資料14)●「情報:農業と環境」

    で、研究会・ワークショップ等の開

    催案内・報告、環境問題の解説、最

    新の知見の紹介等、様々な情報を提

    供した 「情報:農業と環境」への。

    17 149,000平成 年度のアクセス数は

    回(月約 )で、平成 年度12,000 13

    のアクセス数 の 倍以上に増34,000 4

    加した 。平成 年 月か(図Ⅰ-4) 12 5

    らの累積アクセス数は約 回となっている。470,000

    ●科学技術振興調整費プロジェクト「外来植物のリスク評価と蔓延防止策」のサ

    イトを サイト上に掲載し、外来生物問題と対策のパブリックアクセプタンスWeb

    の確保に努めた。

    ●各研究部・センターのページの内容を更新するとともに、外部からの問い合わ

    せの利便性向上を図るため新たに研究者情報のページを追加した。

    ●農環研 サイト内に研究成果・技術、研究支援、研究者受入れ、共同研究なWeb

    どに関する「お問い合わせについて」のページ、各窓口のページを開設した。

    ●農環研 サイトの利用者が求める情報を見つけやすくするため、サイトマッWeb

    プをより分かりやすいものに更新した。

    (17年度計画)

    農業と環境に関する研究情報について 「情報:農業と環境」を引き続きホ、

    ームページ上で毎月公表するとともに、部・センター毎のホームページを随時

    更新して、他研究機関や行政との情報の共有及び研究の連携・協力に努める。

    また、より広範なクライアントへの積極的な広報を行うため、企画調整部内の

    広報体制強化について検討を行う。

    0

    50,000

    100,000

    150,000

    200,000

    250,000

    農環研ホームページ 情報:農業と環境

    13年度

    14年度

    15年度

    16年度

    17年度

    ホームページのアクセス数の推移図Ⅰ-4

  • - 16 -

    5 管理事務業務の効率化

    ●管理経費の効率化について

    は 「温暖化防止対策検討委員、

    会」等が実施した研究本館及び

    別棟の調査に基づき、省エネル

    ギー目標数値を前年度使用金額

    の %削減として光熱水料の節1

    約に努めた。

    ●前年度に引き続き所議等を通

    じて不必要な照明の消灯、機器

    の電源 等の節電の職員へOFF

    の周知徹底を図る一方で、大量

    に電気を消費する冷蔵庫等の省

    エネ機器の更新を図るとともに

    研究本館の冷暖房設備の改修が

    終了したことにより、契約電力

    量を から に見直4,500kw 4,300kw

    すことができた。更に、長期継

    続割引制度の活用した契約の変

    4,800更により前年度に対して約

    千円節減できた ( )。 図Ⅰ-5

    ●業務の効率化では、イントラ

    ネットを利用したグループウェ

    アを新たに導入し、スケジュー

    ルの管理、会議室・自動車の予

    約及び所内掲示板システム機能

    を整備し、業務の簡素化、迅速な

    情報の提供及びペーパーレス化が

    図れた。

    ●第Ⅱ期の新たな組織に対応した安全性が高く効率のよい会計システムへの更新を

    検討し、そのための機器及びソフトウェアを整備した。

    ●施設等の研究資源、研究情報の収集・提供業務及び管理業務の一層の効率化を推

    (17年度計画)

    管理事務業務については、導入した各種システムの効率的運用に努め前年度に

    引き続き事務の簡素化と迅速化を進める。また、管理経費の効率化のため、研究

    所内の研究用機器等の電気等使用調査結果に基づき、省エネ目標額を設定し使用

    量の節減に努めており、今後も引き続き行う。更に、省エネの成果による電気の

    契約容量について見直しを行い、管理経費の節約に努める。

    19,500

    20,000

    20,500

    21,000

    21,500

    22,000

    13年度 14年度 15年度 16年度 17年度

    使用

    量(1000kw

    h)

    230,000

    240,000

    250,000

    260,000

    270,000

    280,000

    290,000

    使用

    料金

    (千

    円)

    使用量

    使用料金

    (契約電力量) (4500kw)(4500kw)(4500kw)(4500kw)(4300kw)

    図Ⅰ-5 管理経費の節減の推移

    0

    10,000

    20,000

    30,000

    40,000

    50,000

    60,000

    千円

    13年度 52,143 12,410 4,631 9,920

    14年度 50,644 12,749 5,512 9,554

    15年度 42,216 10,270 5,374 8,563

    16年度 42,945 10,968 5,589 7,075

    17年度 41,580 8,994 5,138 6,219

    上水 下水 ガス コピー

    電力

    水道、ガス、コピー

  • - 17 -

    進するために、推進方策委員会において「業務効率化対策委員会」の設置を検討す

    るとともに、平成 年度に向けて関係規程の制定・改正及び関係部会の設置・再18

    編の準備を行った。

    ●契約については、昨年 月の会計実施検査の際に、研究用機器の購入契約は可能5

    な限り競争契約に努めることとの指摘を受け、これまでの研究用機器の随意契約を

    見直し、一般競争を可能な限り行い、契約の透明性、競争性の確保に努めた。

    6 職員の資質向上

    、 。 、●新規採用職員 新たに管理監督する者となった職員に対して研修を行った また

    国等が実施する各種研修については、職員に対して年度当初に通知し、積極的に受

    講するよう指導した 。(資料15)

    ●業務上必要な資格取得を支援し、第Ⅰ種衛生管理者免許を 名、けん引免許(農3

    耕車限定)を 名、危険物取扱主任者免状(乙種4類)を 名が取得した。2 2

    ●所内では前年に引き続き英語研修を実施するとともに、当所委託産業医による毎

    月の健康相談及び 月には健康教室講演会「癌の早期発見と診断について」を開12

    催し、所員の健康管理意識の向上に役立てた。

    ●国際研究集会及び国際会議等へ職員を延べ 名派遣し、研究推進費海外留学制55

    度で 名をドイツへ 年 ヶ月、 名をアメリカへ 年間派遣した 。1 1 5 1 1 。(資料7)

    ● フェローシップ制度に応募し、 名が遺伝子組換えナタネ研究のため、カOECD 1

    ナダへ留学した。

    ●博士号の取得のため研究管理職員等が指導を強化した結果、例年 名以下の実績2

    であったのに対し、平成 年度は新たに 名が取得し、博士号取得者は 名とな17 4 98

    り、研究職員の %を占めた。71

    ●本年度は日本土壌肥料学会論文賞( 、大気環境学会学術賞( 、及び日本雪氷2 1) )

    学会平田賞( 、日本応用動物昆虫学会( )の計 件の受賞があった。また、平1 1 5)

    ( )、 ( )成 年度若手農林水産研究者表彰 及び平成 年度文部科学若手科学者賞17 1 17 1

    の表彰を受けた。

    ●環境報告書委員会から、当所職員として環境に配慮した生活を送るための意識向

    上を目指すことを目的に、職員各自の環境に対するモットーについて自主目標を示

    させる等の取り組みを行った。

    (17年度計画)

    ①業務上必要な各種の研修に職員を積極的に参加させるほか、必要な研修を実施

    し、職員の資質向上に努める。また、業務上必要な資格取得を支援する。

    ②国際研究集会及び国際機関への派遣、国内外への留学等を通して、一層の資質

    向上を図るとともに、日本学術振興会等の交流制度に積極的に応募する。

    ③博士号の取得を奨励し、研究管理職員等が適切な指導を行う。

  • - 18 -

    Ⅱ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとる

    べき措置

    1 試験及び研究並びに調査

    A 農業生態系の持つ自然循環機能に基づいた食料と環境の安全性の確保

    1)環境負荷物質の動態解明と制御技術の開発

    平成 年度の研究成果17

    (担当者 名、特許 件、主要成果 件、査読付き論文 件、その他論文34 3 5 53

    等 件)197

    か年の研究成果5

    (担当者 名、特許 件、主要成果 件、査読付き論文 件、その他181 14 47 182

    論文等 件)843

    (1)ダイオキシン類のイネ等による吸収、移行及び特定集水域水田土壌から農業排

    水系への流出実態の解明

    ① イネ等におけるダイオキシン類の吸収、移行特性の解明

    担当:化学環境部

    (中期計画終了時の目標)

    ダイオキシン類のイネ等への汚染経路を解明するために、土壌、大気等の

    、農業環境及び作物体から検出されるダイオキシン類の異性体パターンの解析

    各種異性体の物理化学的特性と、イネ等による吸収・体内移行・蓄積性との

    関係を明らかにする。さらに、ダイオキシン類の水田土壌中における消長特

    性や土壌凝集剤等との反応機構の解明、並びに植物酵素によるダイオキシン

    類分解の可能性を明らかにする。これらの成果はダイオキシン類のイネ等へ

    の汚染軽減技術の開発に役立つ。

    (今年度の進行状況)

    作物体中ダイオキシン類濃度を、生育環境である大気ガス態のダイオキシ

    ン類組成から推定するモデル式を作成し、実測値と比較した。大気中濃度が

    高濃度の地点では推定値と実測値が合致したが、低濃度の地点では作物体濃

    (研究計画)

    作物体におけるダイオキシン類の消長を説明・予測するためのモデルを作

    。 、 、成する 保存水田土壌について異性体毎の半減期を推定し 異性体の物性値

    土性・採取地点の温度等減少速度の変動に影響を及ぼす要因を解析する。適

    切なダイオキシン類吸着資材の選定と最適な吸着条件を明らかにする。

  • - 19 -

    度を過小評価する傾向にあった。計 地点の水田土壌中ダイオキシン類の消7

    長を解析し、現在蓄積しているダイオキシン類の %以上が過去の除草剤中95

    に含まれた不純物を汚染源とすること、また、異性体毎の消失速度は採取地

    点の気温及び土壌の炭素含量と無関係であることを明らかにした。ダイオキ

    シン類吸着資材として石炭系円筒状及びやしがら系粒状の活性炭資材を選定

    し、資材の吸着能は表面の疎水性が大きく関与すること、ダイオキシン類汚

    染土壌からの除去には中性付近の が最適であることを明らかにした。pH

    (最終目標に対する達成度: )A

    (主要査読論文)

    ( ) ( )Seike et al., Journal of Food Hygienics Society of Japan, 46 6 , 256-262 2005

    (2)カドミウム等微量元素の土壌集積経路及びイネ・ダイズ子実への移行過程の解

    ① カドミウム等の土壌中における存在形態と吸収抑制機構の解明

    担当:化学環境部

    (中期計画終了時の目標)

    農耕地土壌におけるカドミウム等の存在形態を明らかにし、その形態と作物

    に対する可給性との関係を解明する。また、土壌・作物のカドミウム等のデー

    タベースを作成し、それに基づいてモデル地域のイネ、ダイズ、野菜等のカド

    ミウム汚染リスク予測を行う。さらに、土壌洗浄法によるカドミウム汚染土壌

    の修復管理技術を開発する。

    (今年度の進行状況)

    土壌が乾燥することにより 硝安や 塩酸で抽出される土壌カドミウ1M 0.01M

    ム( )量が原土に比べて増加すること、及び、この現象は土壌乾燥に伴うCd

    マンガン酸化物吸蔵態からの の溶出に起因することを明らかにした。つぎCd

    に、新たに 地点の現地水田圃場で塩化第二鉄による土壌洗浄試験を実施し、3

    いずれの地点においても 塩酸で抽出される土壌 及び玄米中 濃度は0.1M Cd Cd

    洗浄処理により大きく低下することを明らかにして本法の土壌洗浄効果を実証

    した。また、昨年度洗浄処理を行った地点では、土壌 及び玄米中 濃度Cd Cd

    は低レベルに維持されており、洗浄効果の 年間の持続性を確認し、この技術2

    (研究計画)

    土壌中のカドミウムの存在形態について、幾つかの土壌種で逐次抽出法に

    よる追試験を行って不足データを補填する。また、現地カドミウム汚染水田

    における化学的洗浄処理試験を継続し、処理によるカドミウム低減効果の持

    続性を検証する。

  • - 20 -

    が実用化へ向けて進展した。本方法にかかるコストは、当研究所で開発してい

    るファイトレメディエーション法に比べると若干高いが、従来行われていた客

    。 ( )土法に比べると ほど低くなった 最終目標に対する達成度:20% A

    (主要査読論文)

    ( ) ( )Maejima et al., Geoderma , 126 3-4 , 389-399 2005

    ② 農耕地における 等負荷量の評価とイネ・ダイズ等による吸収過程の解明Cd

    担当:化学環境部

    (中期計画終了時の目標)

    モデル地域の農耕地土壌におけるカドミウム等微量元素の収支バランスを

    解明し、負荷量の変化を評価する。また、土壌中に負荷されたカドミウム等

    のダイズ及びイネによる吸収・移行過程を解明し、子実のカドミウム濃度を

    予測する。さらに、各種資材や灌漑水中のカドミウム等のデータベースに基

    づいて、重金属のフローモデルを作成し、営農管理指針を策定する。

    (今年度の進行状況)

    、 、 、 、Cd 1 Cd非汚染水田を対象に 年間の 収支を試算したところ 肥料 雨水

    灌漑水により の が供給され、排水、玄米の収穫、下方浸透によ3.2 g ha Cd-1

    0.8 g ha Cd Cd 2.4 g ha Cdり の が持ち出され、土壌への 集積量は であった。-1 -1

    の供給源として肥料の寄与が最も大きかったが、 年あたりの 濃度の上昇1 Cd

    分は と推定され、土壌中の全 濃度へ及ぼす影響は小さいこと0.0016mg kg Cd-1

    が分かった。これらの測定値をこれまでのデータベースに加え、 のフローCd

    モデルを作成した。その結果、 負荷はリン酸肥料に由来する部分が多いこCd

    とから、リン酸施肥を適量に管理する必要性を営農管理指針として示した。

    (最終目標に対する達成度: )A

    (主要査読論文)

    ( ) ( )Mishima et al., Soil Science and Plant Nutrition, 51 3 , 437-442 2005

    ③ カドミウム吸収能の低いイネ・ダイズ品種の検索

    担当:化学環境部

    (中期計画終了時の目標)

    (研究計画)

    これまでに得られた農耕地への肥料、灌漑水、雨水によるカドミウム等

    のインプット量に対して、作物による吸収と自然流出のアウトプット量を

    加えてデータベースを作成し、重金属フローモデルを作成する。また、こ

    のフローモデルから営農管理指針を策定する。

  • - 21 -

    子実中のカドミウム濃度の低い作物品種を作出するために、カドミウム低

    吸収性の系統・品種の検索、及び低吸収性品種のカドミウム吸収・蓄積機構

    を解明する。また、カドミウム低吸収性遺伝子群の存在を解明し、カドミウ

    ム子実蓄積性の低い作物の優良系統の育成に資する。さらに、カドミウム汚

    染土壌の修復技術開発にむけて、作物ごとの土壌修復レベルの策定と検証手

    法を確立する。

    (今年度の進行状況)

    イネについて、導管液中で と結合して移動している物質の解明を進めCd

    るとともに、イネの 低吸収機構として、根や株の細胞壁での 固定が関Cd Cd

    Cd Zn与している可能性を示した また ダイズの地上部への の移行蓄積には。 、

    が関与し、低 品種については莢・子実への蓄積に 及び が関連してCd Mn Zn

    いる可能性を示した。染色体置換系統群( 系統)の玄米 濃度の系統毎SL Cd

    の順位は、土壌・水管理等の環境要因に影響されず一定の傾向を示すことを

    明らかにした。また、この系統のうち は玄米 濃度が常にコシヒカSL-207 Cd

    リの半分程度であることから、低 を付与したコシヒカリ作出の有力な育Cd

    種材料として育種サイドへの提言ができた。さらに 高吸収イネ品種を用Cd

    いた汚染土壌の修復試験では、ファイトレメディエーションの目標値を提示

    して現地圃場で検証することができた。また、本課題に関連して特許を出願

    するとともに、実用化のめどを立てた。本方法にかかるコストは、当研究所

    で開発している化学的洗浄処理や、従来行われていた客土法に比べ最も低か

    った。 (最終目標に対する達成度: )S

    (主要査読論文)

    ( )Ishikawa et al., New Phytologist, 168, 345-350 2005

    (3)土壌・水系における硝酸性窒素等の動態解明と流出予測モデルの開発

    ① 硝酸性窒素等の土層内移動の解明

    担当:化学環境部

    (中期計画終了時の目標)

    硝酸性窒素等の土層内移動過程を解明し、移動速度と溶脱率に影響する土

    壌要因を明らかにする。また、畑土壌における硝酸性窒素の地下水到達経路

    を解明し、硝酸性窒素等の土層内移動及び地下水到達過程をモデル化する。

    (研究計画)

    イネ、ダイズ等についてカドミウムの吸収・蓄積機構を解明し、カドミウ

    ムの子実蓄積性の低い優良系統の育成に関して提言する。カドミウム高吸収

    イネ品種を用いた汚染土壌の修復を現地圃場で検証する。

  • - 22 -

    (今年度の進行状況)

    矢作川流域の台地上の茶園と隣接する水田群並びに黒ボク土畑圃場を対象

    として、硝酸性窒素の浅層地下水到達時間及び浅層地下水フラックスの鉛直

    ・水平両成分を二次元ダルシー式に基づく数値モデルにより解析した。黒ボ

    ク土畑における硝酸性窒素の浅層地下水への流出時間は、土壌の体積含水率

    分布と降下浸透水量から予測できること、浅層地下水を通じた流出は、多雨

    年は水平方向、少雨年は鉛直下方が主体であることを明らかにした。台地か

    、 、ら水田群に流入する地下水 のうち が鉛直下方に流出し7.8 mm d 3.1 mm d-1 -1

    水平・鉛直両方向の平均置換時間はそれぞれ 年及び 年と推定された。0.7 1.1

    (最終目標に対する達成度: )A

    (主要査読論文)

    Ahmad et al., Journal of Environmental Quality, 34 3 , 1045-1054, 2005( )

    ② 各種資材等の評価による負荷軽減技術の開発

    担当:化学環境部

    (中期計画終了時の目標)

    農耕地土壌からの硝酸性窒素等負荷物質の流出を抑制するために、硝酸性

    窒素吸着資材等の各種資材を活用することによって、硝酸性窒素等を農業生

    態系内で効率的に処理・利用する技術を開発する。また、農耕地への窒素等

    の負荷を統計データ等から評価する手法を開発し、これらをあわせて負荷軽

    減技術のモデルとして提示する。

    (今年度の進行状況)

    各種資材施用に伴う脱窒等の評価を行い、多量の易分解性有機物と硝酸が

    、 。 、共存する条件下では 多量の亜酸化窒素が発生することを見出した しかし

    、 。黒ボク土畑圃場へ野菜残渣を鋤込んだ試験では 脱窒の評価が困難であった

    地表面収支データベースに、これまでの研究で集積された各種係数、統計情

    報、計算方法を統一したフォーマットで追加登録し、国・都道府県・市町村

    (研究計画)

    台地上の茶園と隣接する水田並びに黒ボク土畑ほ場を対象として硝酸性窒

    素の土層内移動・地下水到達過程をモデル化し、鉛直・水平両方向の流れを

    考慮した硝酸性窒素の流出遅延時間を予測する。

    (研究計画)

    各種資材施用に伴う脱窒等の評価を行い、地表面収支データベース等と

    合わせて総合的な栄養塩類負荷削減技術モデルを提示する。

  • - 23 -

    単位でより精密な算出を可能とした。これを基に日本の農地での窒素・リン

    酸過剰の経年変化を算出した結果、 年以降これらの過剰が減少傾向にあ1985

    ることを明らかにした。また、これまでに開発された施肥の削減手法を適用

    した場合の窒素負荷削減量の推計が可能になった。

    、栄養塩類の過剰が環境に及ぼす影響を土壌要因を考慮して評価するために

    栃木県思川流域において土壌分類情報の統合化を検討した。農業生産の基盤

    となる作土層をキーとして、 土壌群、 土壌統群、 土壌統(農耕地土壌8 25 48

    分類第二次案改訂版)を、 土壌群 タイプに整理することが出来た。しか8 23

    し、当初計画していた脱窒の評価は困難であり、モデルを提示するには至ら

    なかった。 (最終目標に対する達成度: )B

    (主要査読論文)

    ( )Saito et al., Applied and Environmental Microbiology, 71, 5692-5701 2005

    ③ 硝酸性窒素の中規模流域におけるモニタリング手法の開発

    担当:化学環境部

    (中期計画終了時の目標)

    硝酸性窒素等の流出予測モデルの高度化並びにその検証を行うために、小

    規模から中規模流域を対象に簡便・迅速・精度の高いモニタリング手法を開

    発し、農業環境技術研究所版農業環境モニタリングマニュアルの充実・更新

    。 、 、 、・普及を図る 同マニュアルは 農業環境保全に関わる政策担当者 研究者

    普及員等が現場で活用できる実践マニュアルである。

    (今年度の進行状況)

    茨城県の桜川中流において、河川横断採水による懸濁物質濃度の変動を調

    査した結果、河川各部の濃度差は平均濃度値 %以下であることが分かっ±15

    た。愛知県豊橋市近郊の梅田川支流において、水位、流速、濁度のデータを

    詳細に取得した結果、濁度計で測定した濁度と手動及び自動採水の懸濁物質

    濃度の関係が明らかになった。また、平成 年発行の農業環境モニタリング11

    マニュアルに最新の知見を取り入れて改訂し公表した。

    (最終目標に対する達成度: )A

    (主要査読論文)

    ( )Nakajima et al., Nutrient Cycles in Agroecosystems, 71, 33-42 2005

    (研究計画)

    小ないし中規模河川におけるモニタリング手法の自動化と簡易化に関する

    ノウハウに、既往の知見を加えて、農業環境技術研究所編農業環境モニタリ

    ングマニュアル( )を更新する。1999

  • - 24 -

    ④ 硝酸性窒素の負荷流出予測モデルの中規模流域への適用

    担当:化学環境部・地球環境部

    (中期計画終了時の目標)

    硝酸性窒素等の環境負荷物質の水系への流出を抑制するために、中規模流

    域に適用可能な総合的な予測モデルを開発し、適用マニュアルを策定する。

    本モデルは、対象流域の特性や負荷削減技術の効果等が組み込まれており、

    流域ベースでの環境負荷流出削減のための指針策定に活用できる。

    ( )今年度の進行状況

    を利用した流域内地形・土地利用情報の集約並びに物理モデルを基礎GIS

    とした畑土壌における降雨時流出の算出システムを構築し、地表面流去水の

    発生に伴う懸濁物質及びリンの流出負荷量の算定が可能となった。また、畑

    土壌における窒素動態収支モデルに対して、投入有機物の分解速度を設定可

    能にするなど操作性を改善した。このことにより、我が国で得られた既存の

    データを活用して、有機物の投入による地力維持及び窒素溶脱量の削減効果

    の評価が可能となった。また、流域ベースでの環境負荷流出と負荷削減技術

    については前述の成果と「農業環境モニタリングマニュアル」改訂版の当該

    部分を参照することにより、評価が可能となった。

    (最終目標に対する達成度: )A

    (主要査読論文)

    ( ) ( )Hayashi et al., Soil Science and Plant Nutrition, 51 5 655-658 2005

    (4)難分解性有機化合物分解微生物の分解能解析技術の開発及び汚染環境中への分

    解菌接種技術の開発

    ① クロロ安息香酸分解菌等の分解能解析技術の開発

    担当:化学環境部

    (中期計画終了時の目標)

    難分解性化学物質の微生物による分解能を分子遺伝学的・生化学的に解明

    するため、 等の芳香族塩素化合物の分解中間代謝産物クロロ安息香酸とPCB

    除草剤 の分解菌に着目し、分解酵素と分解関連遺伝子の構造と機能に2,4-D

    関する解析技術を開発する。また、関与する分解遺伝子群の環境中での拡散

    (研究計画)

    農業分野での負荷削減技術の効果等を評価し、硝酸性窒素等の流出・動態

    を予測する総合モデルを完成させ、中規模流域への適用マニュアルを策定

    する。

  • - 25 -

    及び機能の解析技術を開発し、分解微生物を利用した環境修復技術の開発に

    資する。

    (今年度の進行状況)

    土壌に低密度で存在する 分解菌を効率的に分離するために、低栄養2,4-D

    性菌等の夾雑菌のコロニー形成を抑制できる 分解菌選択培地を開発し2,4-D

    た。また、培地上のコロニーから 分解遺伝子を検出するために、コロ2,4-D

    ニーハイブリダイゼーション法に改良を加え、検出感度を向上させた。既知

    の代表的な 分解遺伝子の部分配列をプローブとして用いることで、土2,4-D

    壌由来の 分解遺伝子を簡便に検出・判別できるようになった。 分2,4-D 2,4-D

    解菌選択培地と上述の遺伝子検出技術を組み合わせることにより、同遺伝子

    群の地理的分布を効率的に把握することが可能となった 。(図Ⅱ-1)

    (最終目標に対する達成度: )A

    (主要査読論文)

    ( ) ( )Morimoto et al., Microbes and Environments, 20 3 151-159 2005

    図Ⅱ-1 日本の水田土壌から分離された2,4-D分解菌の分布と分解遺伝

    子の部分塩基配列に基づいたグループ分け

    三角印は互いに100%相同の分解遺伝子配列 を保有する菌を示す。

    ② 木質炭化素材を用いたトリアジン系除草剤汚染環境への分解菌接種技術の開発

    担当:化学環境部

    (中期計画終了時の目標)

    難分解性有機塩素化合物による土壌汚染の修復と地下水汚染防止技術を確

    立するため、除草剤シマジン分解菌の集積木質炭化素材を用い、分解菌の汚

    染環境への効率的な接種法を開発する。さらに、複数の有機塩素化合物を同

    (研究計画)

    分解遺伝子群の環境中における拡散を明らかにするため、土壌中の2,4-D

    分解菌を検出し、それぞれが有する分解遺伝子を簡便に識別する手法を開発

    する。

  • - 26 -

    時に分解・無毒化できる複合微生物系を木質炭化素材中に構築し、これを利

    用した汚染土壌修復技術を開発して、化学物質による環境汚染問題の解決を

    図る。

    (今年度の進行状況)

    シマジン分解菌 株の保有する分解遺伝子の構造を明らかにすると共CDB21

    に、 と同定される新規シメトリン分解菌 株 株 をRhodococcus sp. FJ1117YT (FJ )

    単離し、両分解菌を組み合わせた新規複合分解菌集積炭化素材を作製した。

    この集積炭化素材は、シマジン、アトラジン、シメトリン、ジメタメトリン

    を全て分解できた 。野外条件下で模擬複合汚染土壌中に複合分解(図Ⅱ-2)

    菌集積炭化素材を施用し、分解性能の評価を行ったところ、木質炭化素材の

    性状 比表面積、粒径等 が分解菌群の集積速度及び密度に大きく影響を及ぼ( )

    、 。すことが明らかとなり 実用化に必要な基盤的技術を確立することができた

    以上、当初計画を達成した上にバイオレメディエーションの現地実証試験を

    行うなど実用化に向けた研究が進展している。また、本年度特許1件を出願

    。 ( )している 最終目標に対する達成度:S

    (主要な査読論文)

    ( )Watanabe et al., Pest Management Science, 62, 20-29 2006

    クロロ及びメチルチオトリアジン混合系の新規複合微生物系集積図Ⅱ-2

    木質炭化素材による分解

    各図では、対照に比較して三種の複合微生物系を添加した場合の表記農薬の分解促進の

    様子を表している。

    (研究計画)

    ライシメ-タ施設等を用いた模擬複合汚染土壌での実証試験を行い、分解

    菌集積木質炭化素材を利用した汚染土壌修復技術を確立する。

    シマジン

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    0 3 6 9 12 15日数

    シマ

    ジン

    濃度

    (%)

    FJ+CD7FJ+CDB21CD7対照

    アトラジン

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    0 3 6 9 12 15日数

    アト

    ラジ

    ン濃

    度(%

    )

    FJ+CD7FJ+CDB21CD7対照

    シメトリン

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    0 3 6 9 12 15日数

    シメ

    トリ

    ン濃

    度(

    %)

    FJ+CD7FJ+CDB21CD7対照

    ジメタメトリン

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    0 3 6 9 12 15日数

    ジメ

    タメ

    トリ

    ン濃

    度(

    %)

    FJ+CD7FJ+CDB21CD7対照

  • - 27 -

    (5)農薬の水生生物等に対する影響評価法の開発

    ① 水田用除草剤の水系における拡散経路の解明と藻類等水生生物に対する影響評

    価法の開発

    担当:化学環境部・地球環境部

    (中期計画終了時の目標)

    農薬の河川生態系に対する影響を評価するため、各種水田用除草剤の

    による超微量分析法を確立して水系での濃度変動を明らかにするLC/MS/MS

    50%とともに 作用機構の異なる各種除草剤について藻類等水生生物に対する、

    生長阻害濃度等から感受性を比較する。また、除草剤の物理化学的特性等の

    情報を組合せて影響評価法を開発し、農薬のリスク評価に資する。

    (今年度の進行状況)

    河川流域に生息する珪藻類の低感受性化の原因を知るために、トリアジン

    系除草剤の長期連用水田と無処理水田の土壌中珪藻群の除草剤感受性の違いを

    解析したところ、連用区の感受性は無連用区と比べ極めて低く、水田において

    低感受性化した珪藻が河川に流出したことがその原因であることが示唆され

    た。また、珪藻群集を用いた農薬の急性毒性検定法を新たに開発した。この検

    定法による結果は、従来の分離株を用いた検定法の結果とよく一致しており、

    新しい検定法により河川に生息する珪藻群の除草剤感受性を簡便に把握できる

    ことを明らかにした 。これらの成果により、日本の河川生態系にお(図Ⅱ-3)

    いて、生産者としての重要な役割を果たしている珪藻類に対する農薬の影響を

    評価できることが示された。 (最終目標に対する達成度: )A

    (主要な査読論文)

    ( )Kobara et al., Organohalogen Compounds, 67, 1904-1907 2005

    (研究計画)

    河川における珪藻のトリアジン系除草剤に対する低感受性化の由来を明ら

    かにする。また、河川におけるトリアジン系除草剤の珪藻に対する影響評価

    法を確立する。

  • - 28 -

    ② 新規資材による生体防御機能等の活性化機構の解明

    担当:化学環境部

    (中期計画終了時の目標)

    植物の抵抗性を誘導する有機化学物質の選抜と、これによる植物の生体防

    御機能の活性化、病原体に対する複合抵抗性の発現機構を解明するため、有

    機化合物による各種の植物病害に対する抵抗性誘導と、関連する遺伝子や酵

    素の発現機構等について明らかにする。これらの成果は、植物防御機能を強

    化した環境低負荷型の抵抗性誘導資材の開発に役立つ。

    (今年度の進行状況)

    環境負荷が少ない農業用資材と考えられる非殺菌性化合物アシベンゾラル

    Sメチルの処理によって、病害に対する全身抵抗性を誘導したキュウリやナ

    シの葉における遺伝子発現、たんぱく質蓄積、各種酵素の活性などの変化を

    経時的に解析することにより、この化合物の全身抵抗性誘導機構の全体像を

    ほぼ明らかにした また カロースやリグニン合成酵素 各種感染特異的 P。 、 、 (

    R)たんぱく質やポリガラクツロナーゼ阻害たんぱく質など、抵抗性誘導と

    密接に関連する植物のたんぱく質やその遺伝子を選抜した。これらの遺伝子

    は、病害抵抗性誘導物質のハイスループットスクリーニングシステムを開発

    。 ( )する上で重要なツールとして活用できる 最終目標に対する達成度:A

    (主要な査読論文)

    ( )Ishii, Environmental Fate and Safety Management of Agrochemicals, 280-288 2005

    図Ⅱ-3 河川における珪藻のジメタメトリン感受性(24-96hErC50による比較)(A:群集レベルの評価 B:個体レベルの評価)

    1.0

    10.0

    100.0

    1000.0

    -20

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    0.1 1 10 100 1000

    阻害率(%)

    24-96

    h E

    rC 5

    0

    除草剤(ジメタメトリン)濃度

    源流域

    農村部

    ○:河川源流域の珪藻 ●:農村部の河川の珪藻

    [A:珪藻群集] [B:培養珪藻株]

    24-96h ErC50

    (4.2μg/L)

    24-96h ErC50

    (4.2μg/L)

    (μg/L)

    24-96h ErC50

    (49μg/L)

    24-96h ErC50

    (49μg/L)4.2

    49

    珪藻群集を用いた検定結果(24-96h ErC50)

    :源流域:農村部

    (研究計画)

    アシベンゾラルSメチルのキュウリ炭疽病やナシ黒星病に対する全身抵抗

    性誘導機構の全体像を明らかにするために、フェニルプロパノイド経路関連

    酵素やファイトアレキシンの関与を調べる。これらによって得られた情報を

    もとに、抵抗性誘導の遺伝子やたんぱく質マーカー等を選抜する。

  • - 29 -

    2)人為的インパクトが生態系の生物相に及ぼす影響の評価

    平成 年度の研究成果17

    (担当者 名、主要成果 件、査読付き論文 件、その他論文等 件)11 3 7 38

    か年の研究成果5

    (担当者 名、特許 件、主要成果 件、査読付き論文 件、その他論文48 1 9 33

    等 件)148

    (1)遺伝子組換え生物による生態系かく乱機構の解明と影響評価手法の開発

    ① 組換え作物の栽培が農業生態系における生物相に及ぼす影響評価並びに導入遺

    伝子の拡散に関する遺伝学的解析手法の開発と遺伝子拡散の実態解明

    担当:生物環境安全部・化学環境部・地球環境部・農業環境インベントリ

    ーセンター

    (中期計画終了時の目標)

    Bt遺伝子組換え作物からの花粉飛散の実態を明らかにするとともに、これを介した

    トキシンによる非標的昆虫への影響及び交雑による遺伝子拡散のメカニズムを明らか

    にする。トウモロコシ トキシンの生化学検定や生物検定等の結果をもとに、Bt

    、野外における葉上での花粉堆積量の調査や希少昆虫種の分布の調査結果から

    非標的昆虫への生態リスクを推定する。遺伝子拡散の解析では、キセニアによ

    る交雑率の推定法を確立するとともに、年次や調査地による交雑率のデータ

    を蓄積して、花粉飛散や気象要因と関連したモデルを作成する。また作物に

    応じて、 マーカーやフローサイトメトリーを用いて遺伝子拡散の実態をDNA

    解明する。こうした一連の評価手法の開発や成果は、研究機関や行政に活用

    されるだけでなく、一般市民の理解を得るための貴重な情報となる。

    (今年度の進行状況)

    トウモロコシの開花期に種子親圃場内の高さ で採取された花粉飛散160cm

    数は、日平均で約 粒 で、群落上空 でも全体の に相当する花粉300 /cm 2m 5%2

    の飛散が認められた。花粉親から までの交雑率は 年度の結果と同程50m 2004

    度であった。花粉親由来の日平均花粉飛散数と花粉拡散モデルを用いて交雑

    率を推定した結果、実測値と�