1ヴォリューム3eqというンプルなコントローラー...
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➡ 基本的には2チャンネル仕様だが、オーバードライブ・チャンネルに設定されているブースト・スイッチを使うことで3チャンネル的な使い方ができる。さらに、レゾナンスやクランチ・バランスというツマミを使うことで、幅広い使い方が可能
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リア・パネルを開けたところ。真空管が見えるが、その向こうは網状になっており透けているのだ。さらに、上側に赤い電球を確認できる。これまた、これまでのマーシャルになかった仕様だ ➡左の写真であるように、なんと
ヘッド部が赤く光る。ライヴなどで、かなり目立つモデルだ
➡スピーカーは、CLASS 5 専用に開発されたセレッション製のモデル
➡1ヴォリューム3EQというンプルなコントローラーから、極上なサウンドを引き出してくれる。これが、“真空管の音”だ!
➡プリにECC84、パワーにEL84 を搭載。激しい歪みではなく、極上の歪みだ
➡ MAシリーズ最大の特徴は、クランチ・バランスとブースト・スイッチだ。幅広い音作りが可能だ
➡ HAZE 15 のフロント・コントロール・パネル。エフェクト用の3つのツマミ以外は、3EQに、オーバードライブ・チャンネル用のヴォリュームとゲイン、そしてノーマル・チャンネル用のヴォリュームとシンプル
➡いっぽう、こちらはHaze 40Cのコントロール・パネル。基本的には15と同じだが、15がブライト・スイッチのみだったのに対し、40Cは各チャンネルにブースト・スイッチを装備している
➡ Haze 15 のリア・パネルを開けると、しっかりと真空管が搭載されていた。これが極上な歪みを演出する
➡付属のフット・スイッチで、チャンネルの切り替え、さらにはエフェクトのオン/オフを操作可能にしてくれる
➡マーシャルのフル・スタックとHaze 15 を比べると、このとおり。部屋に飾りたくなる !?
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することで、クランチの歪みが調整可能だ。ブースト・スイッチとの併用で、3チャンネル的な使い方を可能にしており、音作りの幅が広いのも特徴だ。また、多くのアンプだと、ゲインを絞っていくと倍音の艶が変わってしまうのだが、このツマミはゼロでも10でも艶が変わらずに出てくれる。 ブースト・スイッチは、オンにするとソロなどにも対応できる歪みが得られる。JCM2000のLead 2ぐらいの歪みまでいけるようだ。歪みの質は、硬めのタイプなのだが、キャビネットがミッドが出るタイプのようで、ドンシャリではなくフラットな音も作りやすい。おもしろかったのは、50ワットのMA50Hで、このモデルのほうがローが出てくれた。出力は小さくなってしまうが、MA50HはMA100Hよりも、まとまって弾きやすいトーンを出してくれる。
ロック・アンプの王者であるマーシャルは、2009年、次々と新製品を送り出してくれた。マーシャルでありながら、また違う個性を持ったマーシャルの09年新製品を総括してみよう。ファンには、たまらないぞ!
〈ヘッド部〉●出力:100w ●プリ管:ECC83×3 ●パワー管: EL34×4●コントロール:チャンネル・スイッチ、クリーン・チャンネル(ヴォリューム、トレブル、ミドル、ベース)、オーバードライブ・チャンネル(ヴォリューム、トレブル、ミドル、ベース、ゲイン、クランチ・バランス)、チャンネル共通(プレゼンス、レゾナンス、リバーブ) ●入出力端子:インプット、スピーカー・アウト(1×16Ω/1×8Ω/2×16Ω)、フットスイッチ ●外形寸法:750(幅)×305(高さ)×245(奥行き)mm ●重要:18.5kg〈スピーカー部〉●スピーカー:エミネンス(12インチ×4) ●外形寸法:760(幅)×750(高さ)×350(奥行き)mm ●重量:36kg(A)、37kg(B)
的楽器試奏会
MAシリーズ 09年最後を飾るフル・バルブの低価格モデル
09年最後を飾るマーシャル・ニュー・モデル、それがMAシリーズだ。位置づけ的には、ライヴなどでの使用を考えたJCM2000やJVMなどと同じフル・バルブの大型スタック・モデルだが、一番の特徴は低価格というところだろう。ヘッドとキャビネットを合わせても、JVMの半額程度の値段なのである! それでは、さっそく試奏してみよう。まず、JCM2000のDSLを彷彿とさせる、わかりやすいコントローラーがうれしい。JCM2000にあったディープ・スイッチやトーン・シフト・スイッチがなく、それを補うレゾナンスのツマミや、クリーン・チャンネル側に個別にEQが搭載されている(DSLは共通だった)。クリーンとオーバードライブ・チャンネルで、EQを変えられるのは音作りの幅を広げてくれて、うれしい。 クリーンの音色は、これまでのマーシャルにないトーンだ。これまでは、暖かみのあるクリーンが多かったが、こちらは透明感のある硬質なクリーンが特徴だ。一方、歪みは、クランチ・バランスのツマミがおもしろい。オーバードライブ・チャンネル使用時に、このツマミを操作
CLASS 5 コンパクト・サイズに詰め込んだ王道バルブ・サウンド
してもおいしいトーンが鳴ってくれる。“なぜ、みんな真空管アンプを使うの?” という理由が、いちばんわかるアンプかもしれない。
どことなくヴィンテージを感じさせてくれるこちらのモデルは、マーシャル待望の超小型、小ワットのフル・バルブ・モデル。1ヴォリュームに3EQという、シンプル極まりないコントロールから出力されるサウンドは、クラスAの純粋なトーンと、どこまでも迫力のある太いマーシャルならではのブルティッシュな音だ。余計なものを一切、排除すると、こんなにも純粋で真空管ならではのサウンドが楽しめる、そんなモデルだ。発売以来、こぞってプロ・ギタリストが“欲しい!” とリクエストが来ているそうだが、その理由は自分でギターを手に取って音を出すことでわかるだろう。とにかくギターを弾く気持ちよさが体感できるのだ。シンプルすぎるコントローラーなので、オールド的に暴れるサウンドが出るかと思いきや、痛い部分がまったくなく、どんなセッティングに
●出力:5W ●プリ管:ECC83×2 ●パワー管:EL84×1 ●スピーカー:セレッションG10F・15(10インチ×1)●コントロール:ヴォリューム、ベース、ミドル、トレブル●入出力端子:インプット、ヘッドフォン・アウト、スピーカー・アウト(16Ω) ●外形寸法:495 (幅)x 415(高さ) x 230(奥行き)mm ●重量:12kg
HAZEシリーズ モダンな歪みも可能にしたフル・バルブの小~中型モデル 09年夏に発表されたのが、このHAZEシリーズ。15ワットと40ワットいう小~中型に相当するマーシャルの新シリーズ。どちらのモデルも、もちろんプリもパワーも真空管を使っており、その歪みは保証済みだが、なんと、エコー、コーラス、バイブというデジタル・エフェクターも搭載してしまっているのだ。“歪みは真空管ならではのアナログで空間系のエフェクトはデジタルで”という音を、この小~中型モデルで可能にしてしまったのだ。 とくにWeROCK的に目を引いてしまったのが、15ワットのHaze 15。15ワットという小型アンプなのに3段積みスタック仕様で、ちょっと愛くるしいマーシャルだが、その音をなめてはいけない。15ワットとは思えないド迫力なマーシャル・サウンドを出してくれるのだ。歪みの質も、ヴィンテージ・テイストあふれる粗めのものから、ゲインを上げると、かなり激しい歪みまで対応してくれる。ミッドが特徴のヴィン
テージ系の歪みであるが、暴れまくるわけではなく、最近のモデルらしく弾きやすいトーンを出してくれる。さらに、ブライト・スイッチを押すと、きらびやかな高音も出てくるので、オールド・マーシャルの音を基本にしながらも、モダンな歪みまでも兼ね備えた、恐ろしい小型マーシャルだ。いい意味で使い勝手に困る!
●出力:40w ●プリ管:ECC83×3 ●パワー管:EL34×2 ●コントロール:チャンネル・スイッチ、ノーマル・チャンネル(ブースト・スイッチ、ヴォリューム)、オーバードライブ・チャンネル(ゲイン、ヴォリューム)、チャンネル共通(ブライト・スイッチ、トレブル、ミドル、ベース、プレゼンス、リバーブ・レベル、エフェクト・デプス、エフェクト・アジャスト・コントロール)、エフェクト・スイッチ(エコー、バイブ、コーラス)、エフェクト・ループ・スイッチ(オン/オフ) ●入出力端子:インプット、エミュレイテッド・ライン・アウト、スピーカー・アウト(16Ω/8Ω)、エフェクト・ループ(センド/リターン)、フット・スイッチ ●スピーカー:セレッション・マーキー(12インチ×1) ●外形寸法:590(幅)×486(高さ)×254(奥行き)mm ●重量:20.3kg
Haze 40C¥89,250
〈ヘッド部=MHZ15〉●出力:15w ●プリ管:ECC83×3 ●パワー管: 6V6×2 ●コントロール:チャンネル・スイッチ、ノーマル・チャンネル(ブースト・スイッチ、ヴォリューム)、オーバードライブ・チャンネル(ゲイン、ヴォリューム)、チャンネル共通(ブライト・スイッチ、トレブル、ミドル、ベース、リバーブ・レベル、エフェクト・デプス、エフェクト・アジャスト・コントロール)、エフェクト・スイッチ(エコー、バイブ、コーラス) ●入出力端子:インプット、スピーカー・アウト(1×16Ω/1×8Ω/2×16Ω)、フット・スイッチ ●外形寸法:498(幅)×223(高さ)×224(奥行き)mm ●重要:9.3kg〈スピーカー部(MHZ112A/MHZ112B)〉●スピーカー:セレッション・マーキー(12インチ×1) ●外形寸法:510(幅)×520(高さ)×265(奥行き)mm ●重量:MHZ112A=13.2kg、MHZ112B=13.6kg
Haze 15ヘッド= ¥68,250キャビネット=各 ¥26,250
MA50H¥84,000
MA50C¥89,250
MA100C¥110,250
MA100H(ヘッド部)+MA412A&Bヘッド= ¥94,500/キャビネット=各 ¥68,250
CLASS 5¥68,250
■問い合わせ:ヤマハミュージックトレーディング㈱ (http://www.marshallamps.jp)/マーシャル・ブログ(http://blog.marshallamps.jp)
マーシャル 試奏協力:福島克彦(夜叉)
発売ラッシュのマーシャル09年新製品を総括!
➡すべてのMGシリーズは、AUX INとヘッドフォン・アウトを装備している。iPodをつないで練習だ!
➡なんと、チューナーまで装備している。ノーマル・チューニングだけではなく半音下げや一音下げも対応
➡電池での駆動も可能だ。コンセントのない屋外や、バンドマンなら機材車で鳴らすことも可能にしている
➡音色をプリセットできるのもMGシリーズの特徴(15FX~)。プリセットされた音色を専用フット・スイッチで呼び出せるのだ
➡どのモードの歪みを選んでいるかは、番号で表示される。これは、5番のOD1を選択したところ
➡たった4つのツマミで、10モードの歪みチャンネルと、5つのエフェクトを操作可能にしている。下のスイッチはタップ・スイッチも兼用しており、ディレイ・タイムなどを設定できる
➡ MG15FXのフロント・パネル。「Clean:Crunch」「Overdrive」と書いてあるスイッチで、チャンネルを選択。それぞれ、グリーンとレッドに色が変わり、合計4チャンネルを使い分けられる
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MG2FX¥18,900
MGシリーズ トランジスタでもアナログにこだわった王道サウンド
さすがに、真空管搭載のマーシャルだと音の大きさも価格も手が出ない、という方も多いだろう。さらに自宅を中心に考えている……そんな方にオススメなのが、09年に一新されたMGシリーズだ。まず、紹介したいのが、前号で掲載したところ、読者から多数の問い合わせを頂いたマーシャルの超小型アンプMG2FX。なんと、表面積はWeROCK本誌よりも小さい
サイズに、多くの機能を満載したモデル。4つのツマミというシンプルな設計にもかかわらず、完全アナログ仕様の10モード
の歪みチャンネルに、コーラス、フェイザー、フランジャーに、ディレイ、リバーブというデジタル・エフェクトを搭載。気になる歪みは、トランジスタでありながらマーシャルの伝統を受け継ぐトーンで、家から路上(!?)まで、一家に1台持っておきたいモデルとなっている。
早くも大人気! たった2wの超小型多機能モデル
●出力:2W ●コントロール:モード1~10(クリーン、クランチ、OD1、OD2)、ゲイン、FX(コーラス、フェイザー、フランジャー)、ヴォリューム、ベース、トレブル、リバーブ、ディレイ ●入出力端子:インプット、ヘッドフォン・アウト、ライン入力 ●外形寸法:260 (幅)x 263(高さ) x 175(奥行き)mm ●重量:3.1kg
デジタル・エフェクトも内蔵した多機能モデルMG15FX¥33,600
MG30FX ¥46,200
MG15FX, MG15FXMS&30FX= ●出力:15w(MG15FX& MG15FXMS)、30w(MG30FX) ●コントロール:ゲイン、ベース、ミドル、トレブル、リバーブ、ヴォリューム、FX(コーラス、フェイザー、フランジャー、ディレイ)、マスター・ヴォリューム ●入出力端子:インプット、ライン・イン、ヘッドフォン・アウト ●スピーカー:MG15FX=カスタム・スピーカー(8インチ)、MG30FX=カスタム・スピーカー(10インチ) ●外形寸法:MG15FX = 382(幅)×379(高さ)×205(奥行き)mm、MG15FXMS = 385(幅)× 960(高さ)×240(奥行き)mm、MG30FX = 480(幅)×420(高さ)×225(奥行き)mm ●重量 :MG15FX = 7.9kg、MG15FXMS = 18.7kg、MG30FX=10.8kg
上で紹介しているMG2FXでは、いくらなんでも小さすぎるという方には、まだまだ多くのMGシリーズが用意されている。自宅用にオススメなのは、写真で紹介しているMG15FX、MG15FXMS、MG30FXあたりだろうが、その他50ワット(MG50FX)や100ワットのコンボ(MG101FX&MG102FX)、さらにはヘッド・タイプのMG100HFまでラインナップされている。 どれも、MG2FX同様のエフェクトを搭載しており、もちろん歪みは完全アナログ仕様で、デジタルな歪みとは違い暖かみのあるトーンを出してくれる。歪みの質としては、グリーンのOD1が、ピッキングのニュアンス
を残したバッキング向きの対応で、レッドのOD2がキメの細かいモダンなタイプ。OD2のほうが歪みが深いというタイプではなく、質の違いで迫っているところが、最近のマーシャルらしい。クリーンも太くてコシのあるマーシャルならではの音質が特徴だ。
MG15FXMS¥63,000
◎この他、MGシリーズには、エフェクト機能を搭載していないシンプルなMG10(¥16,800)&MG15(¥23,100)、MGFXシリーズの大型コンボ・モデルであるMG50FX(¥70,350)、MG101FX(¥79,800)、MG102FX(¥92,400)、さらにスタック・タイプのMG100HFX&412A/B(¥71,400+各¥58,800)がラインナップされている。
けっきょく、どれを選べばいいの!?
クリーン
モダン・トーン
CLASS 5
HAZE
MAシリーズ
MGシリーズ
歪み
ヴィンテージ・トーン
◎今回の企画で、09年に発表されたマーシャルの新シリーズを計4種類を試奏した。どのシリーズもマーシャルならではの音を基本にしながらも、そのトーンや歪みの質は違っている。そこで、けっきょく、どれを選べばいいのかが悩みどころだろう。上のグラフは、編集部の判断で、トーンの特徴をグラフ化したものだ。これが、選ぶ音の指標になってくれればいいのだが、ここにはワット数は反映されていない。要するに、どれぐらいの大きさで音を出すかという前提、さらには、どこで使用するのかも選ぶうえで大切な問題になってくる。これまた編集部の独断で言わせて頂くと、まず家で使うことを前提にするならMGの小さいシリーズがいいだろう。とくに、MG2FXなどは、楽屋や機材車でも鳴らすことも可能だ。CLASS 5は、家だけだと、もったいなすぎる。そのクラシック
なトーンはレコーディングでも使いたいぐらいだ。“真空管ならではの太い音で、家から教室程度のライヴ……”という方にはHAZEがオススメだ。デジタル・エフェクトとフル・バルブの組み合わせは、かなりいいぞ。現在、ライヴ活動やレコーディングもしつつ、すでにお気に入りのマーシャルを持っているけど、予備が欲しいという方には、MAシリーズがいいだろう。とくに、“JCM2000を持っているけど、もう1台買うほどではない”という方、さらに大型アンプを初めて買うという方にオススメしたい。いまやマーシャルの新たなスタンダードになりつつあるJVMまでは手が届かないというギタリストも、MAシリーズなら安心だ。 と言ってみたものの、やはり最終的には自分の耳で判断してほしい。冬休みを利用して、楽器店で弾きまくってしまおう!
◎今回、紹介したマーシャル09年新製品の他、スピーカー・キャビネットとしてメガデスのデイヴ・ムステイン・シグネイチャー・モデル1960DM(¥184,000)も発売された!