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1.直接作用と間接作用

(基 本 )

放射線の生物作用の主要な標的 分子は DNA。放射線が直接 DNA 分

子に損傷を与える場合を直接作用という。放射線が細胞中の水分子に

作用してラジカルを生成し、それが DNA 分子に作用する場合を間接

作用という。

(1)標的分子が直接電離 ・励起される( 1) 作用と、細胞内の( 2)が 電

離・励起され、その結果生じた (3)が標的分子に損傷を与える間接

作用とがある。

(2)X 線やγ線では生物効果の( 4)%が水の放射線分解の結果生じるラ

ジカルによる( 5)作用の寄与によるものである。ラジカルの中でも

(6)ラジカルの寄与が最も大きい。

(3)希釈効果、ラジカルスカベンジャによる防護効果、温度(凍結)効

果、酸素の有無および酸素分圧で生物 作用が 変 化する( 7)効 果は主

に間接作用が関与している。

(4)低酸素状態で照射すると間接作用による酸素効果が(8)し、( 9)

の寄与が大きくなる。

(5)細胞を凍結した状態で照射し、その後解凍して生存率を調べると、凍

結せずに照射した場合よりも生存率は (10) なる。凍 結することによ

りフリーラジカルの拡散が抑制され、 (11) 作用の比 率が小さくな

る。

(6)乾燥した酵素の X 線照射による不活性化でも上記と 同様の現象を示

す。不活性化の主な原因は(12)によるものとなる。

(7)温度が上昇すると( 13)が拡散しやすくなり間接作用が( 14)され

る。これを(15) という。 直接作用はラジカルの発生がないため温度

の影響を受けにくい。

(8)発生したフリーラジカルを除去する 物質を(16)という。( 17)基

を持つ( 18)、システアミン、グルタチオン 、ジメチルスルホキシド

がある。これらは活性ラジカルを捕捉するラジカルスカベンジャは、

間接作用を(19)する。この効果を防護効果といい、(20)LET 放

射線の場合に顕著に現れる。

1 直接

2 水分子

3 フリ一ラジカル

4 50~ 80

5 間接

6 ヒドロキシ

7 酸素

8 減少

9 直接作用

10 高く

11 間接

12 直接作用

13 ラジカル

14 促進

15 温度効果

16 ラジカルスカ

ベンジャ

17 SH

18 システイン

19 抑制

20 低

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(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21) LET 放

射線の場合は (22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような (23)LET

放射線の場合は X 線の場合と比べて直接作用の寄与が大きくなる。低

LET 放射線による間接作用の寄与は(24)%程 度とされている。間接作

用の方が直接作用の寄与より大きい。

(10)放射線の生物作用は、最初のエネルギー付与を出発点として、時間

的に次々に起こる反応の結果である。この連鎖的な過程は、各過程が

起こる時期の早い方から、(25)過程、化学過程、生化学過程、生物過

程に分類される。水の励起・電離は (25)過程に含まれ、 (26)秒程度で

起こる。ラジカルの生成・拡散は化学過程に含まれ、 (27)~10- 4 秒

程度の時間スケールである。

21 低

22 間接

23 高

24 50~80

25 物理

26 10- 16

27 10- 12

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演習問題 1(直接作用と間接作用)

主として間接作用が関与する現象として、正しいものの組合せはどれか

A 酸素効果 (53 回)

B 希釈効果

C ラジカルス力ベンジャーによる防護効果

D 温度効果

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

γ線による間接作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(57 回)

A 主として水の電離又は励起によって生じるフリーラジカルの作用で

ある。

B 凍結状態で照射すると大きくなる。

C グルタチオシなど SH 基を持つ物質を添加することにより、低減する

ことができる。

D 酸素分圧を低下させることで、低減することができる。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

放射線による直接作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(64 回)

A DNA の共有結合の解離によるラジカルの発生がある。

B 乾燥した酵素の X 線による不活性化に関与する。

C ジメチルスルホキシドによって抑制される。

D フリーラジカルが関与する。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

5

1

2

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放射線による直接作用と間接作用に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(54 回)

A X 線による細胞致死効果においては、直接作用の寄与が間接作用の寄

与よりも大きい。

B 直接作用は間接作用に比べて、酸素の影響を受けにくい。

C 直接作用は間接作用に比べて、ラジカルスカベンジャで抑制されや

すい。

D 乾燥した酵素の X 線による不活性化は、主に直接作用によるもので

ある。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線の生物作用における直接作用と間接作用に関する次の記述のう

ち、正しいものの組合せはどれか。 (63 回 )

A X 線による細胞致死効果においては、直接作用に比べて間接作用の寄

与が小さい。

B 直接作用は間接作用に比べて、温度の影響を受けにくい。

C 直接作用は間接作用に比べて、ラジカルスカベンジャで抑制されや

すい。

D 乾燥した酵素の X 線による不活性化は、主に直接作用によるもので

ある。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線の直接作用と間接作用に関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(59 回)

A 低 LET 放射線による DNA 損傷は主に直接作用による。

B 試料を凍結すると間接作用の比率が小さくなる。

C 直接作用の一つに、DNA の共有結合の解離によるラジカルの発生が

ある。

D 低 LET 放射線によって生じた二次電子が標的分子に与える影響は間

接作用である。

1 A C D のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

4

3

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直接作用と間接作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(61 回)

A X 線の細胞致死作用においては、直接作用に比べて間接作用の寄与

が大きい。

B 低酸素濃度では、通常の酸素濃度に比べて、細胞致死作用における

直接作用の寄与が大きい。

C 直接作用は間接作用に比べて温度の影響を受けやすい。

D 直接作用は間接作用に比べてジメチルスルホキシドの影響を受けや

すい。

1 ABD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

2

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2.希釈効果

(1)希釈効果は(1)を特徴づけるものである。(左側のグラフ)

(2)グラフの縦軸に注意する。

1)中央の図の説明(間接作用)

酵素の不活性化数→標的数(濃度)が増加しても(2)の数は変

化しない。そのため、( 3)に変化は生じない。

酵素の( 4)→標的数が増加すると( 4)は(5)する。

2)右側の図の説明(直接作用)

酵素の不活性化数→標的数が増加すると、照射を受ける確率が増

加する。そのため、不活性化数は(6)する。

酵素の( 4)→標的数が増加しても( 4)は変化しない。

1 間接作用

2 ラジカル

3 不活 性化数

4 不活性化率

5 低下

6 上昇

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演習問題 2(希釈効果)

放射線における希釈効果についての次の記述のうち、正しいものの組合

せはどれか。(58 回)

A 間接作用を特徴付けるものである。

B 希釈効果とは生成されたラジ力ルが水分子で希釈されることであ

る。

C 溶質として存在する酵素などの生体高分子の不活性化を指標とした

場合、吸収線量が一定であれば不活性化した分子数は濃度によらず一

定である。

D 溶質として存在する酵素などの生体高分子の不活性化を指標とした

場合、吸収線量が一定であれば不活性化率は濃度によらず一定であ

る。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

X 線照射による酵素の不活化に関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(52 回)

A 水溶液中で間接作用に関与するのは主に水素ラジカルである。

B 水溶液中で直接作用により不活化される酵素の数は濃度と無関係で

ある。

C 水溶液中で直接作用により不活化される比率は濃度が増加すると上

昇する。

D 乾燥系にすると間接作用は起こりにくい。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

放射線による間接作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。 (64 回)

A ラジカルスカベンジャにより作用が軽減される。

B 無酸素下よりも酸素存在下で作用は大きくなる。

C 凍結状態にすると作用が軽減される。

D 溶質分子の濃度が変化しても不活性化される溶質分子の割合は変わ

らない。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

2

4

1

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放射線の間接作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(56 回)

A 化学物質により修飾されることはほとんどない。

B 主に水分子から生じたフリーラジカルによる。

C 線量が一定であれば、酵素活性の不活性化率は酵素濃度に関係なく

一定である。

D 酸素濃度の影響を受ける。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線の間接作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(62 回)

A 溶液を照射した場合、全溶質分子に対する損傷を受けた溶質分子の

割合は濃度によらず一定である。

B 照射後に酸素分圧を高めると、細胞致死作用が増強される。

C 低 LET 放射線の酸素増感比は正常線維芽細胞では 2.5∼3 程度の値を

示す。

D グル夕チオンにより間接作用は低減する。

E 温度が低下すると、間接作用は低減する。

1 ABD のみ 2 ABE のみ 3 ACD のみ

4 BCE のみ 5 CDE のみ

4

5

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3.酸素効果

(基本 1)

間接作用は酸素濃度の影響を受 ける。 酸素濃度が高いと放射線の生体有害作用が強くなる。

これを酸素効果と呼ぶ。酸素には生体分子に生じた損傷が化学的修復をされる前に損傷として

固定する働きがあるといわれている。 酸素の有無は放射線により引き起こされる生体反応の大

きさに影響する。

(1)放射線(1)に酸素があると、酸素がない場合に比べて細胞の放射線感

受性は( 2)なる。この現象を酸素効果という。酸素効果の大きさは

(3)で表される。酸素の有無に関わらず生物学的効果が等しい場合

は 0ER の値は( 4)である。

(2)放射線の線質や照射中の溶存酸素濃度は、細胞生存率に大きな影響を

与えることが知られている。線質の効果を定量的に表すために( 5)

が、酸素の効果を定量的に表すために(6)が用いられる。

(3)酸素の濃度が 0.5%以 下の条件で照射すると酸素濃度 21%の大気条

件下で照射した場合と比較して生存率は(7)なる。

(4)酸素効果の程度を表す指標に(8)がある。細胞致死効果に関する

OER は、無酸素状態で 同一の 細胞致死効果を得るのに必要な線量を

(9)の高い状態で同様の効果を得るのに要する線量で (10)も ので

ある。同じ生物効果を示すための線量の比である。

(5)X 線やγ線の場合にはその値の最大値は( 11)程度である。速中性子

線など LET の高い放射線では、低い放射線に比べ酸素効果は( 12)

なる。

(6)(13)に酸素濃 度を高めても酸素効果 はみられない。また、腫瘍細

胞だけでなく、正常細胞も酸素 効果が ある。

(7)酸素分圧が上 昇すると放射線感受性 は高くなる。しかし、( 14)

mmHg 程度になると飽和し、それ以降は変化が見られなくなる。

1 照射時

2 高く

3 0ER

4 1

5 RBE

6 OER

7 高く

8 OER

9 酸素分圧

10 割った

11 2~ 3

12 小さく

13 照射中 及び照

射後

14 30

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(8)酸素の存在がラジカルの化学的収率を増加させるということの他に

標的分子の損傷が (15)と反応してより (16)されにくい形になる

ことが考えられる。(*授業で余り説明されてないと思われる)

(9)グルタチオンは DNA 損傷を( 17)させる。しかし、酸素が存在する

状態で照射されると、上 記( 8)に示した通り、損傷部位が( 18)で

酸化固定され、さらにはグルタチオンによる修 復が(19)される。

その結果、細胞の放射線感受性が高くなる。

15 酸素

16 修復

17 減少

18 酸素

19 阻害

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一重項酸素:片方の酸 素に 8 個、もう一つ に 6 個の電子。

不対電子を持たないた め、ラジカルで はない 。

強い酸化力。

二重項酸素:スーパー オキシドラジカ ル。

三重項酸素:基底状態 の酸素。空気中 に存在する酸 素。

両者ともに不対電子 を持つので「 ラ ジカル」であ る。

(基本 2)

水の放射線分解では生体分子と反応する様々なラジカルが生じる。スーパーオキシドラジカル

は、水の電離で生じた電子(e-)のまわりに水分子が取り囲むように配列した水和電子が酸素

を 1 電子還元して生じる。

水和電子 ス ーパーオキシド

(1)呼吸で 酸素を取り込み,主に(1)に存在する電子伝達により(2)

を産生し,生命活動に必要なエネルギーを得る .この過程で酸素は

(3)電子還元され( 4)(02 +4H++4e-→2H20)となるが、必ずし

も酸素分子に電子が完全に( 5)つ渡されるとは限らない。酸素分子

に不完全に電子が渡された状態 、つまり酸素分子が部分的に還元され

たものが(6)である .

(2)酸素が (7)電子還元されると( 8)( ・O2- )となる。これは(9)

(・)をもつラジカル種である。スーパーオキシドアニオンラジカル

とよばれることもある .

(3)(8)(・O2- ) がさらにもう (10)電子還元されたものは O2

2-であ

るが,これに H+ が( 11)個つくと( 12) (H202)になる .

(4)(12)(H202)が さらにもう( 13)電子還元されると,O 原子と O

原子の問の結合は安定に存在することができず,結合が切れて ( 14)

(・OH)と水酸化物イオン(OH- )となる .

(5)以上の過程で生じた スーパーオキシド,過酸化水素,ヒドロキシルラ

ジカルはいずれもフリーラジカルの一 種である .

1 ミトコンドリア

2 ATP

3 4

4 水

5 4

6 活性酸素

7 1

8 スーパーオキシ

9 不対電子

10 1

11 2

12 過酸化水素

13 1

14 ヒドロキシル

ラジカル

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演習問題 3(酸素効果)

酸素効果に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A γ線は速中性子線よりも酸素効果が小さい。 (57 回)

B 照射後に酸素分圧を高めても酸素効果はみられない。

C 腫瘍細胞にみられ、正常細胞ではみられない。

D 培養細胞だけでなく、細菌でも酸素効果がみられる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線影響における酸素効果に閨する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(54 回)

A 酸素濃度が高くなると放射線の細胞致死効果は小さくなる。

B OER とは、同一線量における酸素存在下と非存在下での生物効果の

比である。

C 酸素効果は高 LET 放射線では低 LET 放射線に比べて小さくなる。

D 培養液の酸素分圧を 1mmHg から 40mmHg まで変化させた場合

は、101mmHg から 140mmHg まで変化させた場合よりも細胞致死効

果の変化が大きい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線の生物影響における酸素効果に関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。 (63 回 )

A 照射 30 分後に酸素濃度を高くすることにより酸素効果が見られる。

B OER とは、同一線量における酸素存在下と非存在下での生物効果の

比である。

C 酸素効果は高 LET 放射線では低 LET 放射線に比べて小さくなる。

D 酸素分圧が 100mmHg では酸素効果はほぼ飽和している。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

培養細胞に対する放射線の致死作用における酸素効果に関する次の記述

のうち、正しいものの組合せはどれか。(55 回)

A 高 LET 放射線の場合に顕著に見られる。

B 酸素の存在により致死作用が高まることを指す。

C 酸素効果の程度を表す指標として OER が用いられる。

D DNA 修復能を酸素が抑制する結果として生じる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4

5

3

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酸素効果に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。56 回

A 酸素の有無で生物学的効果が等しい場合の OER は 0 である。

B 低酸素細胞は放射線抵抗性を示す。

C 高 LET 放射線に比べて低 LET 放射線では酸素効果が大きい。

D X 線による細胞致死における OER は 2.0∼3.0 である。

1 ABD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ 4 CD のみ 5 BCD のみ

酸素効果に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 酸素効果は主に直接作用を修飾する。 (59 回)

B 酸素効果の機序の一つに酸素による損傷の固定化がある。

C 照射後の酸素濃度上昇により大きな酸素効果が得られる。

D グルタチオンは酸素効果に影響を与える。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

5

4

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4.フリーラジカルの生成・生物作用・除去

(1)フリーラジカルの生成

1)水分子へのエネルギー付与から 10- 12 秒程度の時間が経過した段

階では、これらの水分分解生成物は、空間的には数 nm の狭い領域

内に分布されている。この局所領域を( 1)と呼ぶ。

(1) の間隔は、LET が高くなるほど (2)なる。

2)水分解生成物の多くは化学的反応性に富む。水分解生成物同士は

お互いに反応しつつ溶液内を拡散し、やがて系全体が均一となる。

OH ラジカルの移動距離は (3) μm 程 度とされている。

3)水が励起 され ると解離してヒドロキシラジカルと (4)ラジカル

が生じる。

<励起された水分子(H2O*)>

H2O*→・OH+・H の反応

4)水が電離 されるとすると H2O+と( 5) が生じる。

H2O+は非常に不安定であり、分解して (6)を生じる。

(5) は、 その周りに水分子が配列して(7)となる。

<水分子のイオン化(電離)を表す反応式>

・H2O→H2O+ +e- ― ①

・反応①で生成した H2O+ は周囲の水分子と反応して、

H2O+ +H2O→H3O+ +・OH ― ②

・反応②で生成した「・OH」に付与された(・)はこの

分子の持つ不対電子。

・反応①で生じた 電子は、エネルギーを失うと、水分子を引き付けて

安定化する。この状態の電子は水和電子と呼ばれ、記号 e-aq で表

される。e-aq は酸素と反応し、スーパーオ キシド(O2

- )を生成す

る。酸素効果に寄与している。

5) (上記をもう一度 ):水が( 8)されると、(9) と非常に不安定な

「H2O+」ラジカルを生じる。前者は( 10)が配位することにより

(11)電 子を生じる。H2O+ラジカルからは水素イオンと( 12)が生

じる。

1 スパー

2 狭 く

3 10~ 20

4 水 素

5 e-

6 ヒドロキシ

ラジカル

7 水和電子

8 電 離

9 電 子

10 水分子

11 水和

12 ヒドロキシ

ラジカル

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6)水和電子は強い (13)である。( 14)と反応すると

スーパーオキシドラジカルを生じ、水分子や水素イオンと反応する

と水素ラジカルを生じる。

7)e-aq は非常に強い (15) 剤として働く。また、・H は強い

(16)剤、・OH は 非常に 強い (17)反応を示す( 18)剤である。

・OH は相手の分子に酸化的損傷を与え、自身は(19)される。

8)OH ラジカルが結合すると・OH+・OH→ (20)が生成する。

過酸化水素は (21) を通過しやすい性質がある。( 22)を持たな

いため、直接的なフリーラジカルでない。 活性酸素種の1つであ

る。

13 還元剤

14 酸素

15 還元

16 還元

17 求電子

18 酸化

19 還元

20 H2O2

21 生体膜

22 不対電子

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(2)生物作用

1)不対電子をもつフリーラジカルは非常に不安定 。 ・O2- の半減期は

10- 6 秒、 ・OH の半減期は(1)秒である。化学的に不安定という

ことは(2)が高いといえる。

2)( 3)は反応性が高いため、スパーオキシドラジカルなど他のラジ

カルより寿命が短 く、早く消失する。

3)フリーラジカルが生体内で発生すると,脂質,タンパク質,核酸

などの生体成分を攻撃 し、 その機能に影 響を与える .特に( 4)は活

性酸素の中でもっとも反応性が(5)。すなわち生体に有害であ

るといえる。(*授業であまり解説されていないと思われる。)

4)OH ラジカルは脂質などの有機分子との反応により酸化脂質などを

生じさせる。

1 10- 9

2 反応性

3 ヒドロキシル

ラジカル

4 ヒドロキシル

ラジカル

5 高 い

5)OH ラジカルは生物影響が最も大きい。OH ラジカルは DNA な ど

の生体高分子と反応して(6)を引き抜いたり(電子引き抜き反

応:酸化)、 (7)反応を起こす。その結果、生体高分子ラジカル

が生じる。生体高分子ラジカルは( 8)と反応して損傷が固定され

る。その結果として DNA に 2 本鎖切断などの損傷が(9)すると考

えられている。(下図参照)

6 水 素

7 付 加

8 酸 素

9 増 加

ラジカル

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6)ヒドロキシラジカルなどは飽和炭化水素から水素を引き抜く。

これを(10)引き抜き反応という。生じた有機ラジカルは酸素分子

が反応すると、―O-O-結合を持つ有毒な( 11)を生じる。

7)フリーラジカルにより( 12)( LH)から( 13)ラジカルが引き抜

かれると脂質ラジカル( L・)が生じる 。L・が(14)と反応して

できる脂質ペルオキシラジカル(LOO・)と別の脂質分子が反応す

ると,過酸化脂質( LOOH)と L・が生じ,この L•がまた酸素と反

応し……と脂質過酸化の連鎖反応へとつながり、これらの脂質過酸

化物は動脈硬化,心筋梗塞などのさまざまな疾病の原因になるとい

われている。(下図参照)

10 水素

11 過酸化物

12 脂質

13 水素

14 酸素

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(3)フリーラジカルの除去

(基本 )

スーパーオキシドジムスターゼ (Superoxide dismutase, SOD)はスーパーオキシドを 不均化し

て過酸化水素と酸素に変える。2・O2- +2H— →H202+02 という反応を触媒する酵素である .

この反応は酵素なしでもきわめて速く進む(・O2-の半減期は 10- 6 秒)。

それにもかかわらず SOD が存在するということは,スーパーオキシドを少しでも早く消去す

ることが生体にとって重要であることを示している .

過酸化水素に紫外線を当てると酸素-酸素結合が切断され .もっとも生体成分傷害性の高い・

OH を生成する(H202→2・OH)。そのため、生体は過酸化水素を安全に分解する必要がある .

過酸化水素を消去する酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼ やカタラーゼは,2H202→

02+2H20 のように過酸化水素を 還元( 不均化 )して安全な酸素と水にする .

1)SOD は( 1) を消去するが ,その分解過程で(2)が生成する。

その後、( 3)が(2)を分解する。SOD とカタラ―ゼが協同的に

働くことにより,活性酸素から生体を防御している .

2)間接作用の過程でスーパーオキシドラジカルが生じるが、その量

は(4)濃度に依存する。スーパーオキシドラジカルは活性酸素種

の一つであり、生体に( 5) を示す。生体内で生じたスーパーオキ

シラジカルを消去する酵素として最も重要なのは(6)である。

1 スーパ一

オキシド

2 過酸化水素

3 カタラーゼ

4 酸 素

5 毒 性

6 スーパーオキシ

ドジムスターゼ

3)フリーラジカルを除 去することによって、標的分子の損傷を低減

し致死効果を小さくする物質がある。このような物質は( 7)と呼

ばれ、代表例としてグルタチオンが挙げられる。

7 ラジカル

スカベンジャ

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4)ラジカルス力ベンジャーは、OH ラジカルと反応して OH ラジカル

の作用を減弱する。また、生体高分子ラジカルは、ラジカルス力ベ

ンジャーの一種であるグルタチオン、( 8)、システアミンなどの

(9) 基から(10) を受け取り、その結果、放射線による DNA の

損傷の発生が 減少する。

5)防護剤の 1 つとして、( 11)作用の原因となるラジカルを取り除

くラジカルスカベンジャがある。(12)やグリセリンなどはヒドロ

キシラジカルと反応してその効果を減ずる。

放射線治療では、正常組織の障害を防ぐことも重要であり、その

ための防護剤の開発が行われている。防護剤の開発においては、防

護剤の効果が腫瘍組に比べ、正常組織では大きくなることが重要で

ある。

8 システイン

9 SH

10 水素

11 間接

12 アルコール

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演習問題 4(フリーラジカル)

ヒドロキシルラジカル(‣OH)に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。 (62 回 )

A 2 分子が結合して過酸化水素を生成する。

B 求電子反応により自身は 酸化を受ける。

C グル夕チオンペルオキシダーゼにより特異的に不活性化される。

D 生体高分子からの水素引き抜き反応を起こす。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

水への X 線照射によって生じるヒドロキシルラジカルに関する次の記述

のうち、正しいものの組合せはどれか。(54 回)

A DNA 損傷を引き起こす主要な原因の一つである。

B スーパーオキシドラジカルよりも寿命が長い。

C 強い酸化力を有する。

D ヒドロキシルラジカルは pH を決める要因である。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

水への放射線照射により生成するスーパーオキシド(O2・-)に関する

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。(56 回)

A 生体に存在するカタラーゼにより分解される。

B ヒドロキシルラジカルに比べて生体成分への反応性が高い。

C 酵素反応 により過酸化水素を生じる。

D 水和電子と酸素との反応で生じる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

水への放射線照射で生じる活性種の性質に関する次の記述のうち、正し

いものの組合せはどれか。 (63 回 )

A 水和電子は生体成分を酸化する。

B スーパーオキシドラジカルを特異的に消去する酵素がある。

C ヒドロキシラジカルは DNA に作用して損傷を与える。

D 過酸化水素は生体膜を透過しにくい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

3

2

5

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生体への X 線照射で生じるラジカル生成物に関する次の記述のうち、正

しいものの組合せはどれか。(60 回)

A ヒドロキシルラジカルは DNA に作用して損傷を与える。

B 水和電子は強い酸化剤である。

C 過酸化水素を分解する酵素が生体内に存在する。

D ヒドロキシルラジカル濃度は pH を決める要因である。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線照射によって生じる活性種に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(59 回)

A 水和電子は DNA に対して強い酸化剤として作用する。

B 水素ラジカルは生体分子からの水素引き抜き反応を起こす。

C 間接作用による DNA 損傷には、ヒドロキシルラジカルの寄与が最も

大きい。

D スーパーキシドラジカルの寿命はヒドロキシルラジカルの寿命より

短い。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

水への放射線照射で生じるラジカル生成物に閨する次の記述のうち、正

しいものの組合せはどれか。(55 回)

A 水和電子は強い酸化剤である。

B 水素ラジカルは比較的安定で数秒の寿命を持つ。

C ヒドロキシルラジカルは DNA に作用して損傷を与える。

D 過酸化水素を生体内で分解する酵素が存在する。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

ラジカルと活性酸素に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(61 回)

A 基底状態の酸素分子(三重項酸素)は不対電子を持つラジカルであ

る。

B 一重項酸素は活性酸素である。

C 過酸化水素(H2O2)はラジカルである。

D ヒドロキシルラジカルは DNA に対して還元剤として作用する。

1 ABD のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

2

3

5

2

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5.放射線感受性

(基本)

ベルゴニー・トリボンドーの法則

・形態及び機能において未分化な細胞ほど放射線感受性は高い。

→リンパ球は例外(成熟しているが、高感受性)

・細胞分裂頻度の高い細胞ほど放射線感受性は高い。

→幹細胞(造 血幹細胞、生 殖幹細胞、骨 髄幹細胞、皮膚幹細胞など)

→免疫担当細 胞のうち、骨髄由来の B 細胞が最も感受性が高い。

(1)細胞は放射線に被ばくすると細胞障害や細胞死などを起こす。その感

受性は、細胞の種類によって異なり、「ベルゴニー・トリボンドー」

の法則では、細胞分裂の頻度が(1)細胞ほど、将来長期にわたり分

裂を続ける細胞ほど、また、形態及び機能において(2)な細胞ほど感

受性が高いとしている。

(2)高線量率の X 線やγ線による全身被ばくでは、線量に応じて様々な組

織で障害が起こる。これらの障害の原因となる細胞の放射線感受性

は、いくつかの例外はあるものの(3)の法則としてまとめられてい

る。細胞分裂の頻度が( 1)細胞ほど、また、形態及び機能におい

て、(4)な細 胞ほど放射線感受性が高いとしている。

1 高い

2 未分化

3 ベルゴニー・

トリボンドー

4 未熟

演習問題 5(放射線感受性)

ベルゴニー・トリボンドーの法則に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(58 回)

A 形態及び機能において未分化な細胞ほど放射線感受性は高い。

B 将来の分裂回数が少ない細胞ほど放射線感受性は高い。

C ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

D ベルゴニー・卜リボンド一の法則はリンパ球には当てはまらない。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

X 線を急照射した場合に半数の個体が死ぬ線量が最も小さいものは次の

うちどれか。(61 回)

1 大腸菌

2 酵 母

3 ヒ ト

4 マウス

5 クマムシ

3

3

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次の放射線障害のうち、幹細胞の障害が関与するものとして正しいもの

の組合せはどれか。(59 回)

A 中枢神経死

B 腸 死

C 骨髄死

D 男性不妊

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

次の細胞のうち、放射線致死感受性の最も低いものはどれか。( 56 回)

1 心筋細胞

2 水晶体上皮細胞

3 腸クリブト(腺窩)細胞

4 皮膚基底細胞

5 リンパ球

次の免疫担当細胞のうち、X線に対する致死感受性が最も高いものはど

れか。(55 回)

1 B 細胞

2 T 細胞

3 NK 細胞

4 形質細胞

5 マクロファージ

次の細胞のうち放射線致死感受性が最も高いものはどれか。(60 回)

1 NK 細胞

2 好中球

3 T 細胞

4 B 細胞

5 マクロファージ

次のうち、培養細胞の X 線に対する致死感受性に影響を及ぼす因子とし

て、正しいものの組合せはどれか。(54 回)

A 酸素濃度

B 気 圧

C 照 度

D 温 度

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

4

1

1

4

3

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6.細胞周期・毛細血管拡張性運動失調症

(基 本)

分裂から次の分裂までの 1 周期を細胞周期と呼び、4 つの時期が区別できる。DNA 複製を行

う S 期と細胞が分裂する M 期の間には、G1 期 と G2 期がある。

G1 期から移行した後、一時的に分裂を停止又 は分裂を終えた細胞はある時期に止まっている

と考えられる。これを G0 期と呼ぶことがある。

(1)細胞周期と感受性

1)細胞がどの時期で放射線を被ばくするかによって細胞の放射線感受

性が異なる。増殖している細胞は、S 期の( 1)から G2 期前半にかけ

て放射線 (2)になる。また、G1 期の前半で放射線( 2)になる場合

がある。M 期と S 期前半は放射線感受性が高い。なお、(3)は細 胞

周期で大きな変化は示さ ない。

2)高 LET 放射線は放射線感受性の(4)が小さい。

3)M 期には、まず、( 5)が消失し、中心体を極として微小管が伸びて

(6)が形成され、また、染色体が凝縮する。次に、この(6)に凝縮

した染色体が結合し、中央に整列する。続いて、姉妹染色分体が 1 本

ずつ反対側の中心体に向かって移動する。さらに核膜が再び形成さ

れ、最後に細胞質分裂が起こって、細胞分裂が完了する。

1 後半

2 抵抗性

3 OER

4 細胞周期依存性

5 核膜

6 紡錘体

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(2)細胞周期の遅延

1)培養細胞に放射線を照射すると、(1) の進行が一時停止する。こ

れを細胞周期( 2)機構という。細胞周期( 2)機構は細胞の放射線致

死感受性に深く関わっている。

2)放射線照射により細胞は DNA 損傷を感知して、3 つの時期で細 胞

周期は( 3)する。それら 3 つの時期は G1 チェックポイント、 (4)

チェックポイント及び S 期チェックポイントと呼ばれている。

3)放射線によって DNA に( 5)が生じた場合、DNA 損傷が存在して

いるというシグナ ルを( 6) というタンパク質が受け取る。( 6)タ ン

パク質は他のタンパク質に( 7)をつける働きがある。

1 細胞周期

2 チェックボイント

3 停止

4 G2

5 損傷

6 ATM

7 リン酸

①ATM タンパク質が p53 タンパク質をリン酸化(→活性化)

②活性化した p53 タンパク質はさまざま遺伝子にタンパク質を作らせる

③遺伝子→mRNA→タンパク質の過程で新たに DNA 修復タンパク質がつくられる。

④分裂遅延が起きる。(損傷を治す)

⑤DNA 損傷があまりにも多く修復しきれない場合

→p53 タンパク質は細胞死を引き起こすタンパク質を作らせる。

→アポトーシスを引き起こす。

4)ATM

ヒトの代表的な放射線高感受性遺伝病の 1 つに(8)がある。この遺

伝病の原因となる ATM 遺伝子は( 9)番常染色体上にあり、( 10)遺

伝子形質を示す。そのため、患 者は父親と母親から受け継いだ( 9) 番

常染色体の 2 本ともに ATM 遺伝子に異 常を持っていることなる。

両親ともに(11) 番目染色体の片 方に ATM 遺伝子に異常を持っている

保因者であった場合、潜性であるため疾患は発現せず、健康である。

父親と母親の両方が一対の ATM に変異を持つ子供は、正常:保因者:

患者は( 12)の割合で生まれる可能性がある。このうち、健康なのは

(13)で保因者となる確率は( 14)である。

8 毛細血管拡張性

運動失調症

9 11

10 潜性(劣性)

11 11

12 1: 2: 1

13 3

14 2/3

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(3)毛細血管拡張性運動失調症

1)DNA の 合成量は( 1)を用いて調べることができる。健常者の細胞

では、放射線照射を受けると、細胞周期が( 2)するため、一定時間

あたりの(1)の細胞 DNA への取り込み量は(3)する。

2)毛細血管拡張性運動失調症の患者の細胞では、(4)機構が働か

ず、細胞分裂( 2)が起きないため、健常者の細胞が放射線を照射さ

れた場合に比べ、(1)の細胞(DNA)への取り込み量の(3)は少 な

い。

4)毛細血管拡張性運動失調症患者由来の線維芽細胞は放射線致死高感

受性を示す。( 5)遺伝子に異常があるため、DNA 損傷修復のための

(6)の(4)機能が働かず、修復が行われないまま( 7)期に進行す

る。(8)や細胞死が高頻度で起こる 。

5)細胞周期チェックポイント機構において重要な役割を担う分子の 1

つに(5)がある。p53 をはじめ多くのタンパク質を( 9)し、活性化

させる。

1 ( 3H)チミジン

2 遅延

3 減少

4 チェックポイント

5 ATM

6 細胞周期

7 M

8 (突然)変異

9 リン酸化

6)ATM は p53 など細胞周期や (10)を制御するタンパク質を (9)

し、その活性化を引き起こす。p53 が活性化されると、さまざまな関

連する遺伝子の( 11)を活性化し、細胞周期の進行を制御し、細胞の

(12)を引き起こす。この間に DNA 損傷の修復を促す。

7)ATM タンパク質は多くのタンパク質を(9)することで活性化す

る。ATM タンパク質は p53 タンパク質を( 9)し、これを活性化す

る。活性化したリン酸化 p53 タンパク質は特定の DNA に結同し、そ

の近傍にある遺伝子群の (11)を促進し、(6)の調節や(10)の誘

導にかかわるタンパク質群の発現量を調節している。

8)ATM(リン酸化酵素)が活性化され、標的の p53 や Chk2 タンパク

質がリン酸化され活性化する。これらが細胞増殖の阻害や(13) の誘

導の働きを持つ。

10 アポトーシス

11 転写

12 分裂遅延

13 細胞死

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9)放射線照射による DNA 損傷が生じると、放射線高感受性遺伝病であ

る毛細血管拡張性運動失調症の原因遺伝子産物(ATM)が活性化し、

最終的に Cdk1 や Cdk2 を抑制すること等により(6)を停止させ

る。

10)p53 は特定の DNA 配列に結合し、その近傍にある遺伝子の (11)

を促進する。p53 によって制御を受ける遺伝子群の中には、p21 など

(6)の進行を抑制する働きを持つタンパク質の遺伝子がいくつか知

られている。p21 は細胞周期進行を制御するサイクリン依存性キナー

ゼに結合し、その活性を阻害する。

11)ATM タンパク質は、放射線によって生じた DNA2 本鎖切断部位に

NBS1 タンパク質 (ヒト放射線高感受性遺伝病の 1 つであるナイミーヘ

ン染色体不安定性症候群の原因遺伝子から作られるタンパク質 )などを

介して結合し、p53 タンパク質やヒストン H2AX タンパク質など少な

くとも数百種類のタンパク質を (9)する機能を持っている。

12)p53 タンパク質は特定の DNA 配列に結合し、その近傍にある遺伝

子群の( 11)を促進する。これらの遺伝子群から作られるタンパク質

群のなかには、細胞周期チェックポイントや( 10) に関わるものがあ

る。また、DNA2 本鎖切断の修復に関わるタンパク質の中には、

(9)された H2AX タンパク質に直接的あるいは間接的に結合するこ

とによって損傷部位に集積するものが多数存在する。このように、

ATM タンパク質は DNA2 本鎖切断に対するさまざまな応答を制御す

るのに重要な役割を担っている。

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演習問題 6(細胞周期・毛細血管拡張性運動失調症)

細胞周期に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A S 期後半は放射線抵抗性である。(58 回)

B どの細胞周期でも細胞致死感受性に関する OER に大きな変化はな

い。

C 高 LET 放射線では、X 線に比べて放射線致死感受性の細胞周期依存

性が大きい。

D 放射線照射によって細胞周期は M 期と G1 期の間で停止する。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線の細胞への作用と細胞周期の関係についての次の記述のうち、正

しいものの組合せはどれか。(60 回)

A G1 期前半が最も致死感受性が高い。

B 高 LET 放射線に比べて、X 線では致死感受性の細胞周期依存性が大

きい

C 放射線照射後の分裂遅延は主に M 期にとどまることによる。

D M 期の細胞の生存率曲線の傾きは S 期後半の細胞よりも急である。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

培養ヒト線維芽細胞の細胞周期による致死感受性の変化に関する次の記

述のうち、正しいものの組合せはどれか。 (63 回 )

A G1 期に比べて M 期は致死感受性が高い

B S 期前半に比べて S 期後半から G2 期前半は致死感受性が高い。

C X 線に比べて高 LET 放射線では致死感受性の細胞周期依存性が大き

い。

D S 期に比べて M 期 の細胞の生存率曲線の肩は小さい。

1 A と C 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

細胞周期に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A p53 は放射線照射後の細胞周期停止に関与する。 (56 回)

B 最も放射線感受性が低いのは M 期後半である。

C G0 期は G2 期から移行する。

D 毛細血管拡張性運動失調症患者由来の細胞では細胞周期チェックポ

イントに異常がある。

1 A と B 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

1

4

2

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毛細血管拡張性運動失調症に関する次の記述のうち、正しいものの組合

せはどれか。 (62 回 )

A 常染色体顕生(顕生(優性))遺伝様式を示す。

B 免疫不全を呈することが多い。

C 患者由来の線維芽細胞は放射線致死高感受性を示す。

D 患者由来の線維芽細胞は細胞周期チェックポイントに異常を示す。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

4

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7.線量-生存率曲線・回復

(基本 1)

同じ吸収線を、2 回あるいはそれ以上に分割して間隔をおいて照射すると、1 回で照射した

場合に比べて致死効果は小さい。このような現象を SLD 回復と呼ぶ。

培養細胞において、照射後に増殖培地の代わりに生理食塩水中で数時間培養すると、増殖培

地でそのまま培養した場合に比べ生存率が高い。この現象は、PLD 回復と呼ばれる。

(補足):PLD 回復は増殖できない環 境下で起こる。低栄養、低酸素、低 PH

(1)培養細胞に( 1)放射線を照射した場合、総吸収線量が同一であるな

らば 1 回で照射したときと比較して、2 回に分けて時間間隔をおいて

照射したときに細胞生存率は( 2)なる。この現象を( 3)の 回復

(SLD 回復)という。SLD 回復は( 4)時間以内に完了する。

(2)低 LET 放射線を照射した後、培養条件(低栄養)に細胞を置くと生

存率の上昇が見られることがある。これは( 5)の回復 (PLD 回復)

によるものである。照射後 1 時間以内に終了するものと、照射後 2~

6 時間かけて行うものの 2 種類がある。8 時間後以降で は PLD 回復は

起きない。PLD 回復は低栄養、低酸素、低 PH など細胞が(6)でき

ない環境下で起こる。

(3)低 LET 放射線では、特別な場合を除けば吸収線量が同じであれば

(7)が低くなると生物効果は小さくなる。

(4)細胞集団に、ある線量を数回に分けて照射した場合の生存率は、同 じ

線量を一度に照射した場合と比 較して(8) な る。その程度は、亜致

死損傷からの回復を示し、1 回照射の場合の生存曲線の (9) の大きさ

に依存する。

(5)被ばく線量が同じであっても、線量率の大きさで生物的効果 は異な

る。この現象を( 10)という。( 11)LET 放射線の場合、これらの

効果は( 12)。

(6)α/β比(値)が( 13)ほど、亜致死損傷の回復の程度は( 14)。

1 低 LET

2 高く

3 亜致死損傷

4 12

5 潜在的致死損傷

6 増殖

7 線量率

8 高く

9 肩

10 線量率効果

11 高

12 小さい

13 大きい

14 小さい

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(基本 2)

縦軸 (対数目盛)に細胞の生存率、横軸 ( 線形目盛 )を放射線量で目盛る。

→線量が増加すると生存率が低下するため右下がりの曲線になる

→普通目盛で表示した場合には S 字状の曲線を示す。

→縦軸を対数目盛とすると肩のある生存曲線となる。

(1)線量-生存率曲線には( 1)と「シグモイド(S 字)型」の 2 つの

タイプがある。( 1)は DNA、酵素などの生体高分子、ウイルスの不

活性化、微生物の致死においてみられる。「シグモイド(S 字)型」

は(2)の細胞に見られる。

1 指数関数型

2 哺乳動物

(2)縦軸は(3)目盛で細胞の生存率、横軸は( 4)目盛で放射線量を目

盛る。

(3)放射線感受性が高い標的があり、この標的にヒットされると細胞死が

起こる。生存率曲線の形を説明するために( 5)が提唱されている。

3 対数

4 線形

5 標的論

指数関数型

シグモイド型

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(4)標的の数とヒット数の組合せによって次の 4 つに分類できる。

1) 1 標的 1 ヒット型

①1 つの細胞に( 6) だけ標的が存在し、この標的が(6)ヒットを

受けると細胞死が起こると仮定する。

②生存率曲線は片対数グラフ上で(7)を示す。

③平均致死線量 D0 は(8)を示す。哺乳 動物では(9)Gy 程度の値

を示す。

④指数関数型のグラフでは D0 は(10)と同じ数値となる。( 10)

は(11)が 37%となる線量である。

2)多標的 1 ヒット型

①1 つの細胞内に複数の標的がある。1 つヒットでは細胞は (12)

するが、細胞死までには至らない。しかし、すべての標的がヒッ

トされると細胞死が起こる。

②線量―生存率曲線は( 13)型になり( 14) のある曲線になる。

③高 LET 放射線では 1 本の放射線で細胞内の標的がすべてヒットを

受けるため、生存率曲線は( 15)となる。

3)1 標的多ヒット型

1つの細胞に 1 つだけ存在し、その標的が複数のヒットを受けた

場合に細胞死となる。

4)多標的多ヒット型

1つの細胞内に複数の標的が存在し、その各々が複数のヒットを

受けたときに細胞死が起こる。

(5)細胞の標的数と肩

1)高線量域の直線部分を縦軸に外挿して交わった外挿値(N値)

は、多標的1ヒット論における細胞内の(16)を表す。

2)N値が5とある場合、4ヶ所のヒットまでは細胞の障害が受ける

が、その細胞は生存し致死的損傷にまで至っていないことを意味す

る。

3)哺乳動物の細胞はすべて、低線量域で( 14)がある。(14)が大

きいものは(17)が大きい。

4)高 LET 放射線では n 値が( 18)に近づき、線量―生存率曲線は

(19)型になる。

5)直線部の延長が生存率 1.0 を与える線量を(20)という。これは

(3)の大きさを示す。

6 1つ

7 直線

8 放射線感受性

9 1~2

10 D37

11 生存率

12 不活性化

13 シグモイド

14 肩

15 直線

16 標的数

17 修復

18 1

19 指数関数

20 Dq

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6)(20)は(21)からの回復(SLD 回復)と関係する。( 20)大

きいほど回復が大きく、全体の(22)は低くなる。

7)Dq が大きいと N の値も大きくなる。

8)生存率 37%を与える線量(D37)は D37= (23)で示される。

(6)線量―線量率曲線の傾斜角度と放射線感受性

1)D0 が(24)ほど放射線感受性は( 25)。

2)線量―生存率曲線の傾斜角度が穏やかなほど放射線感受性は

(26)。

3)線種、 線量率 、分割回数、 細胞周期 、温度 、酸素濃度、ラジカル

スカベンジャの存在で傾 斜角度 は変化する。

4)傾斜角度が穏やか(=感受性が低い)になるパターン

1)高 LET 放射線 (中性子、α線 など) よ り低 LET 放射線(回復

大)

2)中性子の場合、(エネルギー)が高くなると透過しやすくなり

傾斜角度 が穏やか

3)線 量率が低下する。(回復)

4)S 期と M 期との 比較。(感受性)

5)酸素が少ない。 (酸素効果 )

6)温度が低い。(ラジカルの拡散 )

7)nが同じで Dq が大きい。(回復)

(7)線量率が極端に低いと細胞分裂が続き、細胞は定常状態を保つことに

なる。そのため、生存率 曲線の(14)が小さくなり、生存率曲線は

(15)となる。

(8)生存率曲線における生存率(S)

1)1 標的 1 ヒット型

①細胞がヒットを受けない確率(P(0))は

S=P(0)=e-λ S は生存率を示す。

②標 的 1 個当たりに平均1個ずつのヒットが生じたときは、λ=1 と

なる。

S=e- 1=0.37

このときの線量を平均致死線量 D0 と定義する。

③ヒット数は線量 D に比例するので、λ=D/D0

S=e- D/D0

21 亜致死損傷

22 放射線感受性

23 Dq+D0

24 小さい

25 高い

26 小さい

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2)多標的 1 ヒットモデル

①1つの標的が生き残る確率:e -D/D0

②ヒットされる確率:(1-e-D/D0)

③N 個の標的のすべてにヒットする確率:(1-e- D/D0) N

④細胞の生存率 S=1-(1-e- D/D0) N

(9)直線―2 次曲線モデル

1)放射線の吸収線量を D、生存率を S とすると、多くの培養細胞の線

量‐生存率曲線は InS=-αD-βD2 で近似できる。細胞の致死損傷と

なるのは(27)鎖切断が生じたときである。1 本の放射線が同時に 2

つを切断(飛跡内事象) とする場合と、2 つの切断が別々の放射線に

よって生じる(飛跡間事象)場合とに分けることができる。前者が起

こる確率は線量に比例(αD)し、飛跡間事象は線量の 2 乗に(βD2)

に比例する。αとβの値は、照射条件や細胞の性質に大きく左右され

る。

2)高 LET 放射線は飛跡間事象の確率(αD)が高くなり、β値と比較し

てα値の寄与が大きくなり、αD 項だけの公式となる。正常ヒト線維芽

細胞に中性子線を照射した場合、 137Cs 線源のγ線照時と比べてα/βの

値は(28)。このとき OER は( 29)。

27 2 本

28 大きくなる

29 小さくなる

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演習問題 7(線量―生存率曲線)

X 線照射した培養細胞の生存率曲線に関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。(60 回)

A 通常、グラフの横軸は吸収線量で縦軸は対数で表示した生存率であ

る。

B ラジカルス力ベンジャーの存在は傾きに影響しない。

C 一般に線量率を下げると傾きが緩やかになる。

D 高 LET 放射線照射に比べて肩が小さい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線照射後の細胞生存率曲線に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。(55 回)

A 通常、グラフの縦軸は生存率で、横軸は吸収線量である。

B 放射線によるがん化の定量に用いられる。

C 中性子線では、X 線に比べて細胞生存率曲線の傾きが急である。

D 線量率が異なっても、細胞生存率曲線の傾きに影響しない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

培養細胞の線量―生存率曲線に関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(52 回)

A α線よりγ線の方が傾きは急になる。

B 24℃で照射すると、 37℃で照射した場合よりも傾きは急になる。

C 一般に線量率を上げると傾きは急になる。

D 10MeV の中性子線よりも 500KeV の中性子線で照射した方が傾き

は急になる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

低 LET 放射線の線量率効果に関する次の記述のうち、正しいものの組合

せはどれか。(56 回)

A 一般に線量率が低くなると細胞生存率曲線の肩が顕著となる。

B 一般に線量率が低くなると細胞生存率曲線の傾きが大きくなる。

C 線量率が低くなることによる細胞生存率曲線の傾きの変化は、高

LET 放射線の場合より大きい。

D 線量率を下げると細胞生存率が低くなる現象が認められることがあ

る。

1 A と B 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

2

2

5

5

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細胞生存率曲線に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(62 回)

A 1 標的 1 ヒットモデルでは片対数グラフ上で直線となる。

B D0 とは生存率が 0.1 になる線量である。

C D0 が大きいほど、放射線致死感受性が低い。

D α/β比(値)が大きいほど、亜致死損傷回復の程度が小さい。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

多重標的 1 ヒットモデルの生存率曲線に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか。 (63 回 )

A D0 は生存率が 37%となる線量である。

B Dq が大きい場合、放射線影響の分割効果は大きくなる。

C 標的数 n が等しい場合、Dq が大きい方が D0 は大きくなる。

D α線は X 線よりも Dq が大きい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4Gy のγ線照射を行った正常ヒ卜線維芽細胞の生存率に関する次の記述

のうち、正しいものの組合せはどれか。 (62 回 )

A 10mGy/min の線量率で照射した場合、1Gy/min の線量率で照射し

た場合に比べて生存率が高い。

B 1 回で 4Gy 急性照射した場合、2 時間の間隔を開けて 2Gy ずつ急性

照射した場合に比べて生存率が高い。

C S 期の細胞に照射した場合、M 期の細胞に照射した場合に比べて生存

率が高い。

D 通常酸素濃度下で照射した場合、無酸素下で照射した場合に比べて

生存率が高い。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

細胞が放射線照射により受けた損傷からの回復に関する次の記述のう

ち、正しいものの組合せはどれか。 (63 回 )

A PLD 回復は、増殖している細胞で主に観察される。

B SLD 回復が起こる場合、総線量が同じであれば分割照射の方が一回

照射より生存率が高くなる。

C SLD 回復と PLD 回復は、低 LET 放射線に比べて高 LET 放射線では

小さい。

D PLD 回復による生存率上昇は、照射後 8 時間以降に起こる。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

3

2

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8.細胞死

(基本)

数 Gy のγ線を被ばくした培養細胞は、数回の分裂を経てから死に至る。このような細胞死を

増殖死と呼ぶ。骨髄幹細胞や腫瘍細胞など培養細胞以外でも増殖死が起こる。

放射線照射後の細胞生存率を定量する手法→コロニー形成法

(1)細胞死とは2つの意味を示す。

1)神経細胞など細胞分裂をしない細胞

→(1) の喪失。

2)生殖、造血幹細胞など増殖を繰り返している細胞

→何回かの分裂を繰り返した後 、分裂する能力を喪失し て細胞死

に至る。これを( 2)という。20~30Gy 以下の線量で起こ

る。

→分裂を停止した細胞でも核酸、タンパク質合成など( 3)が 維

持することがある。分裂を再開し、または分裂までに至らず細

胞同士の融合が起こり、(4)が形成される。

(2)間期死

放射線被ばく後を受けた細胞が、次の分裂に入ることがなく細胞死

に至る。(5) 細胞や筋肉細胞など放射線感受性の低い非再生系の細

胞が大線量(数十~数百 Gy)の照射を受けたときに起こる。しかしな

がら、分裂能力に限りのある( 6)は小線量 ( 0.2~ 0.5Gy 程度)の照

射で(7)に至る。

(3)放射線照射で分裂能力が喪失すると、0 回から数回の分裂後に分 裂

は(8)する。分裂能を失っていない細胞では分裂を繰り返し、1 つ の

細胞由来の細胞集団(コロニー)が形成される。単独の培養細胞は肉眼

では見えないが、コロニーを形成すると肉眼で確認できる大きさにな

る。このようなコロニーを作るかどうかで細胞の生死を判定する。

(4)( 9)を定量するために、通常、( 10) 法が用いられる。この方法

で得られた細胞生存率の (11)を縦軸に、(12)を横軸にとってグ

ラフを描くと、低線量の部分に (13)を持つ右下がりの曲線が得られ

る。これを(14)と呼ぶ。

1 機能

2 増殖死

3 代謝機能

4 巨大細胞

5 神経

6 リンパ球

7 間期死

8 停止

9 増殖死

10 コロニ一形成

11 対数

12 吸収線量

13 肩

14 生存率曲線

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(5)( 15) 法では、細胞を単一細胞に分離して細胞培養皿に播種し、

一定期間培養した後に生じるコロニーを計数する。通常、細胞を播

種した後 7∼21 日程度してから 50 個以上の細胞からなるコロニー

を計数する。計数したコロニーを播種した細胞数で除した値を

(16)という。

(6)放射線照射後の細胞生存率は、放射線を照射した細胞の( 16)

を、照射していない細胞のコロニー形成率で ( 17) 割合で表す。コ

ロニー形成法により得られた細胞生存率から細胞生存率曲線を描く

が、通常、細胞生存率曲線は縦軸に( 18)を対数目盛りで示し、横

軸に吸収線量を( 19)目盛りで示す。

(7)一般に、細胞を放射線防護剤で処理してからγ線照射すると、この

生存率曲線の( 20)は穏やかになる。

(8)放射線照射後の細胞生存率を計算する。照射していない 100 個の細

胞を培養して 90 個のコロニーができたとする。このときのコロニー

形成率は(21)%である。

同じ細胞 1,000 個に X 線を 2Gy 照射した後培養して 90 個のコロ

ニーができたとすると、2Gy 照射での生存率は(22)である。

15 コロニー形成

16 コロニー形成率

17 除した

18 生存率

19 線形

20 傾き

21 90

22 0.1

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(9)線維芽細胞 (1 種でよく出る細胞)

結合組織の主要な細胞。組織が損傷したとき、その部位に移動して大

量のコラーゲンをつくり、修復を助ける。( 23)が活発なため、通常

は(24)である。線維芽細胞では非相同末端結合修復を欠損すると、

生存率曲線の肩は小さくなる。

23 細胞分裂

24 増殖死

演習問題 8(細胞死)

低 LET 放射線被ばくにおける致死感受性に関する次の記述のうち、正し

いものの組合せはどれか。(57 回)

A 細胞周期の中で G1 期前半が最も致死感受性が高い。

B 一般に同一線量を低線量率で照射すると致死感受性が低下する。

C 水晶体上皮細胞は心筋細胞に比べて致死感受性が高い。

D ラジカルス力ベンジャーは致死感受性を高める。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

X 線による細胞致死作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せは

どれか。 (55 回)

A 細胞周期の S 期後半にある細胞より、M 期にある細胞で効果が大き

い。

B 同一吸収線量では、線量率を低くすると効果が小さくなる。

C ラジカルス力ベンジャーが存在すると効果が大きくなる。

D 同一吸収線量では、分割照射により効果が大きくなる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

γ線の細胞致死作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(59 回)

A 細胞周期の G1-S 移行期の方が S 期後半よりも感受性が高い。

B 一般に同一の生存率を与える吸収線量は、低線量率の方が高線量率よ

りも大きい。

C リンパ球は好中球に比べて放射線感受性が高い。

D コロニー形成法では間期死を定量できる。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

3

1

1

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放射線による細胞死に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(53 回)

A 照射された後に分裂を経ないで起こる細胞死を増殖死という。

B 増殖死はコロニー形成法で調べることができる。

C 照射により分裂を停止した細胞でも代謝が継続する場合がある。

D リンパ球では照射により主に増殖死が起こる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線による細胞の増殖死に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか , (60 回)

A 増殖死の状態で細胞の代謝が継続していることはない。

B リンパ球は主に増殖死で死ぬ。

C 線維芽細胞は主に増殖死で死ぬ。

D 増殖死はコロニー形成法で検出できる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

X 線照射による細胞死に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(54 回)

A 線維芽細胞は主にアポトーシスにより死ぬ。

B 間期死は、照射後一度も分裂を経ないで死にいたる細胞死である。

C 同一吸収線量であっても、分割照射と 1 回照射では、分割照射の方が

細胞生存率は高い。

D 致死感受性は、細胞周期に依存しない。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 BCD のみ 4 ACD のみ 5 1 から

4 の組合せ以外

X 線による細胞死に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(61 回)

A ヒト線維芽細胞を 2Gy 照射直後に 44℃で 30 分加温すると、照射単

独に比べて生存率が低下する。

B 神経細胞は 3Gy 照射により主に間期死で死ぬ。

C 細胞周期の S 期前半では S 期後半よりも放射線致死感受性が低い。

D グルタチオンには X 線に対する防護効果がある。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と D 5 C と D

3

5

5

3

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放射線による細胞死に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(58 回)

A 増殖死は照射された後に分裂を経て起こる細胞死である。

B 小核形成は増殖死の原因となる。

C 照射された細胞では分裂停止とともに代謝も停止する。

D 増殖死を定量するにはコロニー形成法を用いる。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

2

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9.ネクローシスとアポトーシス

(基 本 )

大線量を浴びた場合は、細胞の機能が失われ、細胞が壊れてそのまま死に至る。このような

細胞死をネクローシスと呼び、細胞および核の膨潤や膜の損傷による内容物の漏出などが観察

される。

細胞が生理的な死のシグナルに反応して死に至る細胞死をアポトーシスと呼び、DNA の 断

片化、クロマチン (染色質)の凝縮、細胞の分断化などが観察される。

(補足) :細胞や核の膨潤、細胞膜、細胞小器官の膜破裂 で内容物が漏出。

①細胞小器官の膨潤 ② 細胞質の透明化 ③ 細胞形質膜構造の破たん(ネクローシス)

細胞膜の破裂を伴わず、核の断片化、細胞内容物が膜に包まれたまま分断化

①細胞質の凝集 ②核の断片化 ③クロマチンの辺縁化 ④細胞表面への PS 表出

⑤細胞膜 表面の突出(アポトーシス)

(1)放射線による細胞死には様々な様式が存在する。細胞が大きくなり細

胞内容が流出することが特徴的な細胞死である(1)と、細胞が小さ

くなり核が(2)するアポトーシスが挙げられる。これらの細胞死で

は細胞死に伴い DNA は断片化される。

(2)ネクローシスは、断片化された DNA を

電気泳動 法で観察すると(3)状となる。

アポトーシスでは 梯子は し ご

状(ラダー状)となる。

(3)いろいろなサイズが混在した状態を(3)状という。電気泳動を行な

ったとき、はっきりとしたバンドが確認できない。全体がぼやけた状

態になる。

(4)末梢血液中の (4)は照射後、 1h 以内でア ポトーシスが見られる。

(5)p53 夕ンパク質は修復できない DNA を持った細胞に対して(5)を

誘導する方向に働く。

(6)(5)は放射線被ばく以外でも起こる。

1 ネクローシス

2 凝縮

3 スメア

4 リンパ球

5 アポトーシス

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(7)動物の細胞はリン脂質で形作られている。ホスファチジルセリン

(PS)はそのうちの 10~20%を占めている。分子内のリン酸にアミ

ノ酸のセリンが結合した構造をしている。神経細胞間の情報を伝える

アセチルコリンの働きを高めることが作用機構の 1 つと考えられてい

る。(6)の内側に留められており、(5)が起こるとホスファチジル

セリンが(6) の外側に露出してくる。

ホスファチジルセリンが目印となり、(7) などの食細胞に認識さ

れ、貪食処理が行われる。

6 細胞膜

7 マクロファージ

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演習問題 9(ネクローシスとアポトーシス)

放射線による細胞のアポトーシスに見られる特徴的な現象として、正し

いものの組合せはどれか。(60 回)

A 細胞の膨化

B 細胞内容物の流出

C 核の断片化

D 核内クロマチンの凝縮

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線によるアポトーシスに関する次の記述のうち、正しいものの組合

せはどれか。 (63 回 )

A 核の断片化が観察される。

B 核の膨潤が観察される。

C クロマチンの凝縮が観察される。

D 細胞内容物の流出が観察される。

1 A と C 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。(64 回)

A アポトーシスを起こす過程では核の断片化が起こる。

B 末梢血リンパ球は放射線致死抵抗性である。

C アポトーシスは放射線被ばくによってのみ起こる細胞死である。

D アポトーシスを起こす過程ではクロマチンの凝縮が起きる。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と D 5 C と D

放射線照射によって誘発されるアポトーシスに関する次の記述のうち、

正しいものの組合せはどれか。 (62 回 )

A リンパ球は 1Gy 以下の線量でアポトーシスを起こす。

B ミトコンドリアの膜電位が低下する。

C ホスファチ ジルセリンが細胞膜の外側に露出する。

D 正 常 p53 夕ンパク質によって抑制される。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

5

3

1

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放射線によるアポトーシスに関する次の記述のうち、正しいものの組合

せはどれか。(53 回)

A DNA 断片化が起こる。

B リンパ球は被ばく後 24 時間以上経過してから起こる。

C 分裂死の主要な原因である。

D 有害細胞の除去機能の一つである。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

γ線による細胞死で正しいものの組合せはどれか。(61 回)

A G2 期の細胞は M 期の細胞よりも放射線に抵抗性である。

B 心筋細胞は 1Gy の照射でアポトーシスを高頻度に起こす。

C 線維芽細胞では非相同末端結合修復を欠損すると、生存率曲線の肩

は小さくなる。

D 正常線維芽細胞は 5Gy の照射で主に増殖死で死ぬ。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 BD のみ 5 BCD のみ

3

1

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10.適応応答・バイスタンダー効果

(1)適応応答

(1)の被ばくを受けた生物体は、次 の中・高線量被ばくに対して

(2)を示す。事前照射は( 3)Gy 程度。その効果は数時間( 6~

12h)認められる。化学物質でも同様の効果が確認されている。

(2)バイスタンダー効果

放射線被ばく を受けた細胞から何らかのシグナルが 発生する。その

シグナルは非照射(バイスタンダー) 細胞に伝わる。その結果、被ば

くを受けていない細胞に放射線被ばく を受けた細胞と同様の影響が発

現する。

1 低線量

2 放射線抵抗性

3 0.01

演習問題 10(適応応答・バイスタンダー効果)

放射線による細胞の適応応答に関する記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(56 回)

A 2Gy 以上の事前照射により認められる。

B 事前照射後 1∼2 ヶ月で認められる。

C リンパ球の染色体異常に関して認められる。

D 化学物質でも同様な適応応答が認められる。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

放射線による細胞の適応応答に関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(52 回)

A 0.2Gy 程度以下の線量域で認められる

B 照射後 1∼2 力月で認められる。

C リンパ球の染色体異常に関して認められている。

D 事前照射により、その後の照射に対する抵抗性を獲得する現象をい

う。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

4

3

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11.DNA の構造、損傷および修復

(基本 1)

正常ヒト二倍体細胞 1 個当たり、22 組の常染色体と 1 組の性染色体の 23 組 46 本の染色体を

有する。また、60 億(約 6×106)個の塩基対がある。

DNA はデオキシリボ一ス、リン酸、塩基から構成される。塩基にはアデニン (A)、シトシン

(C)、グアニン(G)、チミン(T)の 4 種類があり、向かい合った鎖の A と T、G と C が対をな

す。これを塩基の相補性 (*決まった相手と対 になること)という。

(1)DNA は(1)とリン酸、 (2) から構成される。(1) とリン酸は

交互に並んで結合し、主鎖を形成する。この鎖が 2 本、互いに逆向きに

並んで( 3)を形成する。

(2)塩基にはアデニン(A)、シ卜シン(C)、グアニン(G)、チミン

(T)の 4 種類があり、向かい合った鎖の( 4) と T、(5)と C が 互

いに(6)結合 で結びついている。( 4) とT の間の( 6)結合の数

は(7) 個であり、( 5) と C の間 の(6)結合の数は 3 個である。

1 デオキシ

リボース

2 塩基

3 二重らせん構造

4 A

5 G

6 水素

7 2

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2 重結合の数で判別(アデニン 4 つ、グアニン 3 つ)

水素結合 2 つ 水素結合 3 つ

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(3)合 成

1)細胞が増殖する際、(1) 期において、

DNA の 2 本鎖がほどけて 1 本鎖となり、

塩基の( 2)に基づいて、それぞれ

の 1 本鎖と対をなすもう 1 本の鎖が合成さ

れる。結果として,元々存在していた DNA

と同じ( 3)を持つ DNA が 2 分子

合成される。この過程を DNA の複製という。

2)( 1)期における DNA 複 製は次のようにして行われる。まず、

DNA の 2 本鎖がほどけて 1 本鎖となり、これを(4)として、塩基

の(2) に基づいて、もう 1 本の鎖が合成される。そのとき、新し

い DNA 鎖は必ず 5´末端から 3´末端の方向に合成される。( 4)と

なる 1 本鎖のある位置にグアニンがあったとすると、もう 1 本の鎖

の向かい合った位置には (5)が入る。

1 S

2 相補性

3 塩基配列

4 鋳型

5 シトシン

<5´末端、 3´末端>

DNA の方向の定義

「5´末端」

五炭糖の炭素原子にもとづき、鎖の末端

「3´末端」

3´にある OH がある末端を 3´末端

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(基本 2)

①アミノ酸の合成

細胞骨格や酵素などとして働くタンパク質は、グリシン、アラニンなどのアミノ酸から構

成される。

②転 写

タンパク質の合成では、まず 2 本鎖 DNA の一部がほどけて 1 本鎖となり、鋳型となる

DNA のヌクレオチドの塩基に対し相補的な塩基を持つ RNA のヌクレオチドが結合し、その

後隣り合うヌクレオチド同士が連結されてメッセンジャーRNA(mRNA)がつくられる。た

だし、RNA の塩基には、チミンに代わりウラシルが使われる。

③コドン

mRNA は核外に運び出されてリボゾームと結合する。リボゾームに結合した mRNA には

トランスファー RNA(tRNA)という 別の種類のRNAが 運んできたアミノ酸と結合す る、3

個の塩基配列(コドン)に対応して相補的に並んだ 3 個の塩基配列(アンチコドン)になる

④翻 訳

tRNA 構造のアンチコドンの反対側には mRNA のコドンの指定するアミノ酸が結合してい

る。このようにして mRNA のコドンにしたがって tRNA がアミノ酸を運び、アミノ酸がペ

プチド結合により連なってタンパク質が合成される。

DNA であればアデニンにはチミンが相補的に結合。

RNA では アデニンにウラシル が結合する。

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(1)タンパク質を合成する際、まず、DNA をもとに塩基の(1) に基づ

いて RNA が合成される。この過程を(2)という。合成された RNA

をメッセンジャ一 RNA(mRNA)という。なお、mRNA には T が含ま

れず、代わりに(3)が含まれる。mRNA の塩基(4)個を 1 組とし

て、1 個のアミノ酸を対応させることにより、タンパク質の合成が行

われる。この過程を(5)といい、mRNA の塩基 3 個の組を(6)と

いう。

1 相補性

2 転写

3 ウラシル

4 3

5 翻訳

6 コド ン

CH3 が付く

(2)タンパク質が合成される際、まず、DNA をもとに、塩基の (1)

に基づいて RNA が合成される。この過程を( 2)といい、合成された

RNA を( mRNA)という。なお、mRNA には DNA に含まれる( 7)

が含まれず、代わりに(3)が含まれる。

(3)mRNA は核から運び出されて、( 8)に結合する。(8)では、

mRNA の塩基( 9)個 を 1 組として、1 個の( 10) を対応させること

により、タンパク質の合成が行われる。この過程を(5)といい、

mRNA の塩基( 9)個の組を (6)という。 tRNA はコドンに対応する

アミノ酸を(8)に運ぶ役割を担う。

(4)( 6)には、タンパク質合成の開始を指定する開始コドンと、停 止

させる働きのある(11)が含まれる。開始コドン「AUG」は、メチオ

ニンを指定するコドンである。

(11)には「UAA」、(12)、 「UGA」の 3 つがある。対応する

(10)がないため、タンパク質合成を停止させる(6)として働く。

7 チミン

8 リボゾーム

9 3

10 アミノ酸

11 終止コドン

12 UAG

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(5)コドン表

1)アルファベットが3つあるごとに、1つの (10)と対応する。配

列が(10) の種類1つを指定する ことになる 。

2)mRNA の塩基が CUU→ロイシン AUA→ イソロイシン

3)A,U,C,G の配列が、ロイシン、イソロイシンなど( 10)の配列に

(5)された。

4)コドン表の見方

例 1:一文字目 U 、二文字目 C、 三文字目 A

UCA を探し、横に書いてあるアミノ酸 Ser(セリン )を読み取る。

例 2:AUGUUAAUAGUU

左側 (5'側 )から三文字ずつに分けて見ていき、表から当てはまる

アミノ酸を探す

→ AUG UUA AUA GUU

AUG:メチオニン UUA:ロイシン AUA:イソロイシン

GUU:バリン

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(6)( 13)変異

本来あるべきアミノ酸が違った塩基に変異することをいう。

前頁 404 番の「G」が 「U」に変異した場合( UGC→UUC)

システインからフェニルアラニンに変わる。

(7)( 14)変異

前頁 405 番の「C」が「A」に変化した(UGC→UGA)

終止コドンには UAA、UAG、UGA の 3 つがある

終止コドンが現れるとタンパク質の合成が停 止する。

アミノ酸番号 134 でタンパク質の合成が停止する。

(8)( 15)

塩基の欠失や挿入が起きたときに見られる。

塩基の欠失や挿入が (16)の倍数のとき、フレームシフトは起こら

ない。

3 個の塩基が欠失→アミノ酸 1 個の欠損

3 個の塩基が挿入→アミノ酸 1 個の挿入(下図、参照)

終止コドンができ、タンパク質の合成が停止される。

13 ミスセンス

14 ナンセンス

15 フレーム

シフト

(9)

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練習問題1(変異の場合)

ATM タンパク質の mRNA の 8,711 番目のアデニンがグアニンに置き換

わるような変異がある。正常な ATM タンパク質の mRNA の 8,701 番

目から 8,720 番目の塩基配列を 下記の①に示す。

①3 つごとに線(又は数字)を書く。

塩基の番号 : 8,701 番から 8,720 番

CCU1 2 3

ACU4 5 6

CCU7 8 9

G A G101112

A C A131415

G U U161718

C C1920

②設問中の 8711 番目の塩基を確認→(16)

③アミノ酸の数を確認する。

(17)番~ 8700 番→ 8700÷3=2900 個目のアミノ酸

8701 番~ 8703 番→8703÷3=2901 個目のアミノ酸(CCU)

8704 番~ 8706 番→8706÷3=2902 個目のアミノ酸(ACU)

8707 番~ 8709 番→8709÷3=2903 個目にアミノ酸(CCU)

8709 番~ 8712 番→8712÷3=( 18) 番目のアミノ酸(GAG)

④コドン表から GAG が( 19)酸であることを確認

⑤アデニン(A)がグアニン(G)に置き換わる。

GGG になる。コドン表より( 20)に変化

16 アデニン

17 8698

18 2904

19 グルタミン

20 グリシン

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練習問題2 (欠失の場合)

ATM タンパク質の mRNA の 7,517 番目から 7,520 番目までの 4 個

の塩基が欠失するような変異がある。 下記に 正常な ATM タンパク質の

mRNA の 7,511 番目から 7,530 番目の塩基配列を示す。このような変

異を(フレームシフト)変異といい、この変異遺伝子からは正常な ATM

タンパク質より小さい( 2507)個のアミノ酸からなるタンパク質が作

られる。

塩基の番号 :7,511 番から 7,530 番

UGAAGAGAGACGGAAUGAAG

①3 塩基ごとに分類( *3 で割り切れる数で分類すること)

*一番左に注意すること

○10

U11

G12

A13

A14

G15

A1 6

G1 7

A1 8

G19

A20

C21

G G A222324

A U G252627

A A G282930

②17 番~ 20 番 目の塩基が欠失。コドンの読みにずれが生じる。

→(フレームシフト)が生じる 。

○10

U G1112

A A1314

G15

A C G162122

G A A232425

UGA2 6 2 7 2 8

AG

⑰ ⑱ ⑲⑳㉑

③翻訳

アミノ酸への翻訳は、終止コドンの前の GAA(グルタミン酸)で終わ

る。この場合の終止コドンは(UGA) である。

④アミノ酸の数

GAA の“A”は 7521 番目の塩基となる。

7521÷3= 2507→GAA は 2507 個目のアミノ酸である。

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(基本 3)

放射線によって生 じる DNA 損傷には、塩基損傷や架橋に加え、鎖切断がある。鎖切断には

大きく分けて 1 本鎖切断と 2 本鎖切断がある。正常ヒ卜 2 倍体細胞に 1Gy のγ線を照射した場

合、細胞 1 個あたり、 1 本鎖切断は約 1000 個 、2 本鎖切断は約 40 個生成する。2 本鎖切断

は 1 本鎖切断の 1/10~1/30 程 度となる。発がんの原因となる。

放射線、紫外線、活性酸素などの影響や DNA 複製過程でのエラーによって、異常な塩基や

塩基対が形成される。細胞にはこのような異常な塩基や塩基対を修復する機構が備わってい

る。2 本鎖切断は正常に修復 しにくい。

(1)電離放射線によって引き起こされる DNA 損傷には、塩基損傷、塩基

遊離、架橋形成、 1 本鎖切断、2 本鎖切断などがある。正常ヒト 2 倍

体細胞に 1Gy の X 線を照射すると、細胞 1 個当たり 1 本鎖切断は約

(1)個 、DNA2 本鎖切断は約 (2) 個生成する。その他、( 3)は

1000~2500 箇所、塩基の遊離は 500 箇所、 架橋は( 4)程度とされ

ている。

(2)1 本鎖切断と 2 本鎖切断の比率は放射線の種類によって変化する。高

LET 放射線(中性子、炭素線、α線など)は( 5)を起こしやすい。

(3)細胞には様々なタイプの DNA 損傷が生じる。DNA を構成する( 6)

にヒドロキシルラジカル(・OH)が付加して生じるチミングリコール

などの塩基損傷、 DNA 糖鎖の損傷による DNA 鎖切断がある。

(4)プリン塩基(アデニン、グアニン)の方がN-グリコシド結合が弱

く、遊離が起きやすい。

(5)DNA1 本鎖切断や DNA2 本鎖切断の生成や修復は( 7)で調べるこ

とができる。これは、DNA の( 8)が小さいほど、電場をかけたゲル

中を速く移動することを利用している。DNA の電気泳動には種々の方

法があるが、DNA2 本鎖切断の生成や修復を調べるのに適した方法と

して、パルスフィールドゲル電気泳動法がある。

(6)放射線に特異的な DNA 損傷はない。鎖の切断、塩基損傷、架橋など

は化学物質でも生じる可能性がある。

1 1000

2 40

3 塩基損傷

4 150

5 2 本鎖切断

6 チミン

7 電気泳動法

8 分子量

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↑5‘末端側

↓3‘末端側 塩基損傷

損傷塩基と対をなす塩基 ↑3‘末端側

↓5‘末端側

(7)修 復

1)放射線、紫外線、活性酸素などの影響や DNA 複製過程でのエラー

によって、異常な塩基や塩基対が形成される。細胞にはこのような

異常な塩基や塩基対を修復する機構が備わっている。たとえば、

(1)が脱アミノ化されるとウラシルが生じる。ウラシルは( 2)に

は含まれるものの、本来 DNA に含まれない塩基であるため、細 胞

はこれを異常と察知し、 (3)を行う。この場合の修復は(4)修復

によって行われる。

2)塩基損傷の修復には、塩基損傷の部位だけを切り出して正しい塩

基を挿入する( 4)修 復と、塩基損傷の周辺の塩基を含めた広い範

囲を取り去り修復を行う (5)修復がある。

3)(4)修復は、まず、DNA グリコシラ一ゼによって下図のiの位

置で切断が起こり、塩基のない部位(AP 部位)が生じる。次に、

AP エンドヌクレア一ゼによって下図の f の位置で切断が起こる。

さらにホスホジェステラーゼによってもう一方のリン酸ジエステル

結合が切断され、損傷塩基が取り除かれると、DNA の 2 本の鎖のう

ち、一方の鎖が切れた構造が残ることになる。この構造は DNA1 本

鎖切断の修復機構を使って修復することが可能である。

1 シトシン

2 RNA

3 修復

4 塩基除去

5 ヌクレオチド除

右図を見ながら・・・・

DNA グリコシラーゼ: 1 塩基を切り取る (損傷をはずす)糖と塩基の間の結合を切る

AP エンドヌクレアーゼ:鎖を切る (ヌクレオチドを除去)。

DNA の糖一リン酸のエステル結合を切断

エキソヌクレアーゼ:完全に除去

DNA ポリメラーゼ :新しい塩基を作る。反対の塩基に相補的なヌクレオチドを連結

DNA リガ一ゼ:切れた鎖を完全に埋める。ヌクレオチドの 3’ 0H 末端と 5 ‘リン酸末端をエス

テル結合させることにより修復が完了

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4)1 本鎖切断と 2 本鎖切断は最終的に(6) によって結合されるが、

結合の際には、5’末端にリン酸基、3’末端に水酸基が必要である。末

端の形状がこれと異なる場合には、ボリヌクレオチドキナーセソホス

ファタ一ゼなどによる整 形を必要とする。

6 DNA リガーゼ

(8)二本鎖切断の修復

(基本 4)

DNA2 本鎖切断は主として、非相同末端結合と相同組換えの 2 つの機構で修復される。

相同組換えは姉妹染色分体を必要とするため、細胞周期の S 期の後半から G2 期に限定され

る。相同組換えが行われる期間では、効率よく修復が行われるため、その他の時期と比べ放 射

線致死感受性は低い。

1)DNA 損 傷の中で、DNA2 本鎖切断は最も重篤なものと考えられてい

る。正常ヒト二倍体細胞に 1Gy のγ線を照射すると、細 胞 1 個当たり

約(1) 個の DNA2 本鎖切断が生じる。2本鎖切断は 1 本鎖切断に比

べて修復されにくい。細胞死の主な原因は( 2)切断である。

2)DNA2 本鎖切断は( 3)と相同組換えのニつの機構で修復される。

3)(3)は相同組換えと比較して、誤りを(4)と考えられている。組

み換えるべき相同な DNA が存在しないので、切断した 末端を単に結

合する修復過程をとることになり、誤りがちな修復となる。

4)(5)は鋳型として(6)を必要とするため、細胞周期の( 7)後半か

ら(8) 期に限定される。欠損した遺伝情報を相同な DNA と組み換え

て修復するため、誤りが少ない修復機構となる。この期間では、その

他の期間と比べ、放射線致死感受性は低い。

5)非相同末端結合修復は(9)全般に見られ、誤りが(10)修復といわ

れている。この修復方法は元に戻りにくく細胞死や(11)の原因にな

ると考えられている。

これに対し、相同組換え修復は細胞周期の( 12)後半~( 13) 期

に限られるが、誤りが( 14)修復といわれている。

1 40

2 2 本鎖

3 非相同末端結合

4 起こしやすい

5 相同組み換え

6 姉妹染色分体

7 S 期

8 G2

9 細胞周期

10 多い

11 染色体異常

12 S 期

13 G2

14 少ない

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6)相同組み換え 修復は 7 時 間、非相同末端結合は 30 分以内に終 了す

る。

7)非相同末端結合に関わる DNA 依存性プロテインキナーゼ触媒サブユ

ニット(DNA-PKcs)の遺伝子に変異を有する scid(スキッド)マウス

は、放射線致死高感受性の他に免疫不全を呈する。近年、ヒトでも

DNA-PKcs の遺伝子に変異を有する患者が報告され、免疫不全が認め

られている。

8)非相同末端結合に関わる DNA 依存性プロテインキナ一ゼ触媒サブユ

ニッ卜(DNA-PkcS)遺伝子に変異を有する scid(スキッド)マウスは放

射線致死高感受性に加え、免疫機能の異常を呈する。また、近年ヒト

でも DNA-PkcS の遺伝子に変異を有する患者が報告され、免疫機能の

異常が認められている。

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演習問題 11(DNA の構造・損傷・修復)

放射線により細胞に生じる DNA 損傷に関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。(64 回)

A γ線では単位吸収線量当たりの DNA2 本鎖切断の数は DNA1 本鎖切

断の数の約 20 倍である。

B DNA2 本鎖切断は電離放射線に特有な損傷である。

C DNA2 本鎖切断は発がんの原因となる。

D γ線では単位吸収線量当たりの塩基損傷の数は DNA2 本鎖切断の数よ

り多い。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線による DNA 損傷に関する次の記述のうち、正しいものの組合せは

どれか。(59 回)

A 紫外線には2本鎖切断を引き起こすだけのエネルギーがある。

B γ線による 2 本鎖切断の収率は 1 本鎖切断の収率の約 2 倍である。

C 放射線に特異的な DNA 損傷はない。

D 塩基損傷は発がんの原因となる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

X 線による DNA 損傷に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(56 回)

A 単位吸収線量当たりの 2 本鎖切断の数は 1 本鎖切断の数の約 2 倍で

ある。

B DNA 損傷は細胞周期を停止させて修復する .

C 低酸素条件下では DNA 損傷は起こりにくい。

D γ線では起こらない種類の DNA 損傷が生じる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

X 線による DNA 損傷に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。 (63 回 )

A 無酸素条件下で照射すると、有酸素条件下と比べて単位吸収線量当

たりの DNA 鎖切断に数は多くなる。

B 塩基損傷の生成においては、水素ラジカルと比べてヒドロキシラジ

カルの関与が大きい。

C 単位吸収線量当たりの塩基損傷の数は塩基遊離の数より多くなる。

D 単位吸収線量当たりの 2 本鎖切断の数は 1 本鎖切断の数よりも多く

なる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

5

5

3

3

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ヒ卜体細胞における放射線による DNA 損傷に関する次の記述のうち、正

しいものの組合せはどれか。 (61 回)

A γ線を 1Gy 照射した場合に生じる DNA2 本鎖切断の数は、チミング

リコ一ル(チミン塩基損傷)の数より少ない。

B γ線を 1Gy 照射した場合に生じる DNA2 本鎖切断の数は、DNA1 本

鎖切断の数より多い。

C γ線を 1Gy 照射した場合に生じる DNA-タンパク質間架橋の数は、

塩基損傷の数より少ない。

D 炭素イオン線を 1Gy 照射した場合、γ線を 1Gy 照射した場合に比

べ、24 時間後に残存する DNA2 本鎖切断の数が多い。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 BD のみ 5 BCD のみ

DNA に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 (62 回 )

A DNA の 2 本の鎖の向かい合う塩基は配位結合により結合している。

B DNA を構成する塩基はアデニン、チミン、グアニン、シチジンの 4

種類である。

C DNA 複製においては、半保存的複製が行われる。

D 8‐オキソグアニン はアデニンと対合することにより(突然)変異の

原因となる。

E 照射された DNA から塩基の遊離が生じた時、その原因は塩基の損傷

である。

1 A と B 2 A と E 3 B と D 4 C と D 5 C と E

放射線による DNA 損傷に関する次の記述のうち、正しいものの組合せは

どれか。(54 回)

A 放射線に特異的な DNA 損傷はない。

B 細胞周期の時期で DNA2 本鎖切断の修復様式に違いが認められる。

C 細胞の生死に関しては DNA1 本鎖切断が最も重要である。

D 塩基損傷は発がんの原因とならない。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

放射線による DNA 損傷の修復に関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(56 回)

A 2 本鎖切断は、1 本鎖切断に比べて修復されにくい。

B 2 本鎖切断の修復に相同組換えは関与しない。

C ヌクレオチド除去修復は、塩基損傷を修復する。

D 1 本鎖切断は、非相同末端結合により修復される。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

1

4

1

2

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放射線による DNA 損傷とその修復に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(57 回)

A 架橋は放射線に特異的な損傷である。

B X 線とγ線では、DNA 損傷の種類は同じである。

C 1 本鎖切断より 2 本鎖切断が生じやすい。

D 非相同末端結合修復は 2 本鎖切断を修復する。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線による DNA2 本鎖切断とその修復に関する次の記述のうち、正し

いものの組合せはどれか。 (55 回)

A 修復は細胞照射後 2 時間以内に終了する。

B DNA2 本鎖切断は細胞周期停止の原因となる。

C 非相同末端結合による修復は全細胞周期で行われる。

D 相同組換え修復は細胞周期の M 期で行われる。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

ヒ卜体細胞における放射線による DNA2 本鎖切断の修復に関する次の記

述のうち、正しいものの組合せはどれか。(60 回)

A 相同組換えによる修復は、相同染色体を用いて行われる。

B 非相同末端結合による修復は、姉妹染色分体を用いて行われる。

C 非相同末端結合による修復は、相同組換えによる修復に比べて誤り

を起こしやすい。

D G1 期においては、相同組換えによる修復は行われない。

E G2 期においては、非相同末端結合による修復は行われない。

1 A と B 2 A と E 3 B と D 4 C と D 5 C と E

ヒト体細胞における DNA2 本鎖切断の修復及び突然変異に関する次の記

述のうち、正しいものの組合せはどれか。(64 回)

A 相同組換えによる修復は、主として相同染色体を利用して行われる。

B 非相同末端結合による修復は、G2 期では起こらない。

C 非相同末端結合による修復は、相同組換えによる修復よりも誤りを起

こしやすい。

D 放射線で誘発される突然変異の中で欠失の占める割合は、自然に起こ

る突然変異の場合よりも多い。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4

4

4

5

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放射線による DNA2 本鎖切断の修復に関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。 (63 回 )

A 相同組換え修復は細胞の照射後 1 時間以内に完了する。

B 非相同末端結合による修復は相同組換え修復よりも正確である。

C 非相同末端結合による修復は全細胞周期で行われる。

D 相同組換え修復は細胞周期の G1 期から S 期前半において行われる

E 2 本鎖切断は 1 本鎖切断よりも修復されにくい。

1 A と B 2 A と E 3 B と D 4 C と D 5 C と E

ヒ卜体細胞の DNA 損傷とその修復に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。 (62 回 )

A 塩基遊離はプリン塩基に生じやすい。

B 相同組換え修復は非相同末端結合より不正確である。

C 相同組換え修復は細胞周期の G1 期には行われない。

D 塩基除去修復には相同な 2 本鎖 DNA を必要とする。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

5

2

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12.染色体異常

(基本 1)

染色体の数または構造の変化を伴う遺伝情報の変化を染色体異常という。染色体異常にはさ

まざまなものがある。高 LET 放射線や高い線量率で発生頻度が増加する。

染色体異常は不安定型染色体異常と安定型染色体異常に分類できる。

不安定型染色体異常は、細胞分裂の際 に正しく分配できない可能性が高く、細胞は分裂を続

けることができない。一方、安定型染色体異常は、照射後長期にわたって存在し続ける。

(1)DNA 鎖の切断は全周期で起こる。染色体異常として認知できるのは

染色体が形成される( 1)期中期に限られる。薬剤で人為的に( 1) 期以

外でも染色体を形成させ、異常を検知する。

1 M

1)欠失 (1 本 鎖切断)

①1 本の染色体に 1 箇所の切断が入り、

切断端が切り離されてしまう→末端欠失

②1 本の染色体の動原体の長椀側、または

短椀側に 2 箇所の切断が入り、その中央

部が失われてしまう→中間欠失

2)転座・逆位( 2 本鎖切断が必要)

①1 本の染色体に動原体を挟む 2 箇所の

切断が入り、切断端が交換して結合する

→逆位

②2 本の染色体で切断が起き、この切断を

受けた染色体の間で切断端がそれぞれ

交換し結合する→転座

3)二動原体染色体

動原体を含む染色体同士が切断端で結合する、。

→二動原体染色体

ニ動原体をもつ細胞は細胞分裂で増殖できない。

4)環状染色体

動原体を含む両端で結合してしまった。

→環状染色体

環状染色体をもつ細胞は細胞分裂で増殖できない。

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(2)下の図 2 の 2 本の染色体で、染色体 1 の a̶b 間と染色体 2 の c-d

間で DNA2 本鎖切断が生じたとする。このとき、誤って染色体 1 の a

側の末端と染色体 2 の c 側の末端が結合されると(2)が生じる。ま

た、染色体 1 の a 側の末端と染色体 2 の d 側の末端が結合され、同時

に染色体 1 の b 側の末端と染色体 2 の c 側の末端が結合されると、

(3)が生じる。

2 二動原体染色体

3 転 座

(3)染色体の数又は(4)の変化を伴う遺伝情報の変化を染色体異常とい

う。図において、染色体 1 の d-e 間、染色体 2 の oーp 間においてく

びれた部分は動原体である。

1)染色体 1 の h- i 間と染色体 2 の s- t 間 で DNA2 本鎖切断が生

じ、誤って前者の h 側の末端と後者の t 側の末端が結合され、同時

に前者の i 側の末端と後者の a 側の末端が結合されると(3)が生

じる。

2)染色体 1 の a- b 間と kー l 間 で DNA2 本鎖切断が生じ、誤って前

者の b 側の末端と後者の k 側の末端が結合されると( 5)が生じ

る。

3)染色体 1 の h- i 間と染色体 2 の s- t 間 で DNA2 本鎖切断が生

じ、誤って前者の h 側の末端と後者の s 側の末端が結合されると

(2)が生じる。

4 構 造

5 環状染色体

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(4)染色体異常は安定型染色体異常と不安定型染色体異常に分類できる。

(6)や環状染色体は(7) 染色体異常に分類される。安定型染色体異

常と(7)染色体異常のうち、(8)に関係するのは安定型染色体異常

であると考えられている。また、急性期における放射線被ばく線量の

生物学的推定は( 7) 染色体異常を指 標として行う場合が多い。

(5)二動原体染色体や環状染色体は形態的な特徴があり、顕微鏡下での観

察は容易である。その出現割合から被ばく線量を推定することができる。

しかし、( 7)染色体異常であるため、被ばく後短時間で検体を採取する

必要がある。

(6)通常は末梢( 9)を培養して観察する。( 9)は通常、G0 期 に あ るが、

適切な培養を行うと G1 に移行し、細胞分裂に入ることができる。(10)

は核がないため染色体異常は観察できない。

(7)転座に比べて二動原体染色体の方が放射線による頻度の増加をより低

線量で検出できる。転座は放射線に対する特異性が低いため、γ線で

(11)Gy 以上のときのみ線量推定が可能となる。

(8)放射線被ばく線量の生物学的推定は(7)染色体異常を指標として行

う場合が多い。低 LET 放射線の場合、被ばく線量と( 7)染色体異常

の頻度の関係は、直線― 2 次曲線モデルにあてはまる。X 線急照射に

よる染色体異常は、線量に比例して直線的に増加する。

(9)染色体異常= (12)

α:1 粒子による 2 本鎖切断による染色体異常は吸収線量に( 13)す

る。(14) 放射線、高い線量率の場合( =回復小)

β:2 粒子による 2 本鎖切断による染色体異常は吸収線量に( 15)に

比例する 。

6 二動原体染色体

7 不安定型

8 がん化

9 リンパ球

10 赤血球

11 1

12 αD+βD2

13 比例

14 高 LET

15 2 乗

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(基本 2)

染色体異常は染色体型異常と染色分体型異常に分類することができる。

1 対の染色分体の同じ位置に異常が認められるものを染色体型異常という。もう一方の異常

は、1 本の染色分体のみに異常が認められるもの、あるいは 1 対の染色分体の異なる位置に異

常が認められるものである。細胞を G1 期に照射した場合に現れる染色体異常は染色体 型異常

である。

(1)DNA 複製より前(つまり G1 期)に照射され生じた異常は、複製さ

れるため 2 セットに同じ異常ができる。この場合を (1)という。

(2)DNA 複製後(つまり G2 期)の照射では 1 セットに生じた異常は、

もう一方には起こらない。この場合を(2)という。

1 染色体型異常

2 染色分体型異常

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演習問題 12(染色体異常)

放射線による染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(54 回)

A がんの原因となることがある。

B 細胞死の原因となることがある。

C 同一吸収線量で比較した場合、y 線の方が中性子線よりも多数の染色

体異常を引き起こす。

D 低 LET 放射線の場合、線量率の高低にかかわらず、同じ吸収線量で

あれば染色体異常の頻度に変わりはない。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

放射線による染色体異常のうち、安定型異常の組合せは、次のうちどれ

か。(55 回)

A 転 座

B 逆 位

C 小さな欠失

D ニ動原体染色体

E 環状染色体

1 ABC のみ 2 ABE のみ 3 ADE のみ

4 BCD のみ 5 CDE のみ

染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 二動原体染色体は被ばく線量の推定に使用できる。(64 回)

B 染色体凝縮を起こしている細胞で観測する。

C ヒト末梢血赤血球で観測することができる。

D 不安定型染色体異常はがん化の原因となる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 転座は安定型異常に分類される。 (56 回)

B 環状染色体は不安定型異常に分類される。

C G1 期の DNA2 本鎖切断により M 期で染色分体型異常が生じる。

D G2 期の DNA2 本鎖切断により M 期で染色体型異常が生じる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

1

1

1

1

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放射線による染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(58 回) 5

A 環状染色体をもつ細胞は正常に分裂する。

B 転座は安定型異常である。

C ニ動 原体をもつ細胞は細胞分裂により増殖する。

D 相互転座は染色体型異常である。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

放射線による染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(57 回)

A G0 期リンパ球の被ばくでは染色分体型異常が主に生じる。

B 末梢血リンパ球の染色体異常の出現頻度から被ばく線量が推定でき

る。

C ニ動原体は発がんの主な原因である。

D 転座や逆位は安定型異常である。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線による染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(60 回)

A 環状染色体は安定型異常である。

B ニ動原体染色体は不安定型異常である

C 不安定型異常は発がんの原因になる。

D 末梢リンパ球における出現頻度から被ばく線量推定が可能である。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線誘発染色体異常の関する次の記述のうち、正しいものの組合せは

どれか。 (63 回 )

A 染色体異常は、細胞周期の M 期に照射を受けた細胞にのみに生じ

る。

B G1 期に照射された細胞に DNA2 本鎖切断が生じると、染色分体型異

常が生じる。

C G0 期の細胞で、PCC(末成熟染色体凝縮)法で染色体異常を観察す

ることができる。

D 転座に比べて二動原体染色体の方が放射線による頻度の増加をより

低線量で検出できる。

E X 線急照射による染色体異常は、線量に比例して直線的に増加する。

1 A と B 2 A と E 3 B と D 4 C と D 5 C と E

5

4

4

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染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 同一吸収線量の X 線では、一般に低線量率照射のほうが高線量率照

射よりも 1 細胞あたりの染色体異常の数が少ない。 (61 回)

B 同一吸収線量では、一般に速中性子線のほうが X 線よりも 1 細胞あ

たりの染色体異常の数が多い。

C 末梢血リンパ球 1 細胞あたりのニ動原体染色体の数で個人の被ばく

線量を推定できる。

D X 線照射により、染色体異常を指標としたゲノム不安定性が誘導さ

れることがある。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

放射線被ばくと染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合

せはどれか。(58 回)

A ニ動原体染色体は被ばく線量評価に用いられる。

B 誘発される染色体異常の頻度は、線量率により異なる。

C 小核形成は放射線に特有な異常である。

D 安定型の染色体異常が観察されることがある。

1 ABD のみ 2 AB のみ 3 ACD のみ

4 ACD のみ 5 ABCD すべて

放射線によって誘発される染色体異常に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか。(59 回)

A 血液中のリンパ球を培養して検査することができる。

B 構造の異常を分子生物学的手法で検出することができる。

C 赤血球の小核形成細胞の出現頻度からは被ばく線量の推定はできな

い。

D 培養細胞では直接被ばくしていない細胞に観察されることがある。

(→バイスタンダー効果参照)

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

5

1

2

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放射線による染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(58 回)

A 染色体異常は分裂期に照射された細胞だけに生じる。

B 間期染色体を薬剤で凝集させることで、分裂期を経なくても染色体

異常を観察できる。

C 不安定型異常は発がんの原因となる。

D 末梢血中のリンパ球の染色体異常の出現頻度から被ばく線量の推定

が可能である。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線による染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。 (62 回 )

A ニ動原体染色体は不安定型異常である。

B ニ動原体染色体の出現頻度から被ばく線量を推定することができ

る。

C 安定型異常は発がんの原因になる。

D 染色分体型異常は細胞が G1 期に被ばくした場合に生じる。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

4

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13.(突然)変異

(1)放射線により細胞に生じた DNA 損傷が正確に (1)されないと、細

胞に(突 然)変異 が生じる可能性があり、(2)や遺伝性(的)影響リ

スクが増加すると考えられている。

(2)放射線による( 3)の(突然)変異誘 発 率に関しては、生殖細胞の

発育段階により差があることがマウスやショウジョウバエを用いた

検討からわかっている。

(3)放射線による生殖細胞の (突然)変異誘発率に関しては、生殖細

胞の発育段階により差があり、精子は精原細胞より誘発率が

(4)。この要因の一つとして精子が精原細胞と比べて放射線によ

る細胞致死感受性が( 5)ことが挙げられる。

(4)ラッセルらによるマウスを用いた検討の結果では、(6)は精原細

胞より、 (突然)変異誘発率が (4)、成熟した卵母細胞は未熟 な

卵母細胞と比べて (突然)変異 誘発率が高いことがわかっている。

(5)低 LET 放射線に関するマウスを用いた Russell らの特定座位法に

よる検討では、精原細胞の(突然)変異率は線量の増加とともに

(7)に増加ずる。

一方、同一線量で比較すると、約 900mGy/min の高線量率で照

射した場合は線量率が約 100 分 の 1 である約 8mGy/min の場合

と比べて(突然)変異率 は( 8)。

(6)線量率が約 4mGy/mi の場合と 0.007∼0.05mGy/min の場合を

比較すると、前者による (突然)変異 率は後者のそれと比べてほぼ

等しいことが示されている。このことは、 ある線量率以下では DNA

損傷の修復効率が変化しないことを示唆している。

(7)点(突然)変異は 1 箇所の塩基情報の誤りで起こる。そのため、

低 LET 放射線では線量に比例して増加する。

1 修復

2 がん

3 生殖細胞

4 高い

5 低い

6 精子

7 直線的

8 高い

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(8)(突然) 変異の種類

①点変異 ②静的変異(サイレント変異 ) ③ミスセンス変異

④ナンセンス変異 ⑤フレームシフト変異 ⑥ポリメラーゼの読み違い

⑦脱塩基部位の生成 ⑧脱アミノ化 ⑨塩基の酸化 ⑩塩基類似物質

⑪メチル化

1)点変異

A と G はプリン塩基 で T と C は ピリミジン塩 基である。

点変異には「プリン塩基→プリン塩基 orピリミジン塩基→ピリミジ

ン塩基」の変化と「プリン塩基→ピリミジン塩基 or ピリミジン塩基→

プリン塩基」の 2 種類の変化がある。前者を卜ランジションといい、

後者を卜ランスバージョンという。

2)静的変異(サイレント変異 )

静的変異と DNA 配 列に変 化があるが、アミノ酸配列には無関係 の

場合の変異。アミノ酸には全く影響を与えない。

例:UCU(セリン)。

1 つの塩基が別の塩基に置き換わった。「UCC」になっ た。

1つのアミノ酸を 指定す るコドンが複 数ある。

→セリンのまま変化していない。

3)ミス センス変異

ミスセンス変異とは DNA 配列が変化することによって、アミノ 酸

が置き換わることである。変異した場所のアミノ酸がタンパク質にと

って重要でない部分ならさほど問題とならないが、変異した部分が重

要な場所であればかなり 問題である。

例 UGC(システイン)→UUC(フェニルアラニン)

本来指定するアミノ酸でなくなったことによる変異。

4)ナンセンス変異

ナンセン ス変異とはアミノ酸のコード が終止 コドンに変化する変 異

のことである。終止コドンは、へと変化する。終止コドンには

「UAA」、「UAG」、「UGA」の 3 つがある。終止コドンに変化す

るとタンパク質の合成は途中でストップする。この場合、途中で 途切

れた短い タンパク 質が合成される。なお、このタンパク質のほとんど

は活性が ない。

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5)フレームシフト変異

1 つのアミノ酸を指定する 3 つの塩 基(コドン)の

組合せが 1 塩基、または 2 塩基ずれて違うアミノ酸を

指定してしまう変異をいう。この場合はアミノ 酸を

コードする配列がすべて変化する。

3の倍数の塩基の挿入又は欠失ではフレームシフトは起こらない。

置換されたときも起こらない。

(例:アデニンがチミンによって置換)

6)ポリ メラーゼの読み違い

DNA の合成 は DNA ポリメラーゼ が行う。しかし、このポリメラ一

ゼが誤っ た塩基を 揷入してしまうと変異が起きてしまう。

7)脱塩基部位の生成

脱塩基は自然に起こる変 異であり、常に発生している。

脱塩基ではデオキシリポースとプリンヌクレオチドを繋いでいる N-

グリコシド結合が開裂する。これによって塩基が失われる反応を脱プ

リン反応という。プリン塩基にはアデニンとグアニンがある。

8)塩基の酸化

DNA の塩基は酸化されると変異をもたらすことがある。チミンが酸

化されるとチミングリコールとなり、グアニンが酸化されると 8-オキ

ソグアニン (8-ヒドロキシグアニン )に変化する。この 8-オキソグアニ

ンはアデニンともシ卜シンとも対合することができる。

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9)脱アミノ化

塩基からアミノ基が失われる反 応である。この脱アミノ化は水に よ

って起こる。シトシンが脱アミノ化するとウラシルに変化 する。

(C→U、100 塩基/日 )ウラシルはアデニンと対を作るので、脱アミ

ノ化をそのままにしておくと DNA の複製によって U:G → U:A とな

り、もう一度複製を行ううと U:A →T:A となる。

こうなると C:G が完全に T:A となる。 (C:G — U:G — U:A — T:A)

通常の①DNA のシ卜シンは約 4%がメチル化されている。メチ ル化

された結果、シ卜シンは ②5-メチルシ卜シンとなる。

5-メチルシ卜シンは③シ卜シン と同じように脱アミノ化する。シ 卜

シンが脱 アミノ化するとウラシルヘと変化したが、5-メチルシ卜シン

が脱アミノ化すると④チミンへ変異する。この状態で DNA の複数が

起こると G:T → A:T となる。

10) メチル化

5-メチルシトシンは正常なメチル化であるが、正常でないメチル化

も存在する。この正常でないメチル化には O6-メチルグアニンなどが

あり、O6-メチルグアニンは、シトシンにもチミンにも対合する性質

がある。 メチル化されると DNA に記録されている遺伝情報が読み出

しにくくなる。そのため、遺伝情報をもとにタンパク質が合成されな

くなる場合が多い。メチル化は、がんや先天性の遺伝疾患などの病気

の発症にも関わっていると考えられている。

11) 塩基類似物質

塩基に似ている物質があると DNA ポリメラーゼが塩基と間違って

DNA 上に組み込んでしまうことがある。これによって変異が起こる。

例えば、5-プロモウラシル (BUdR)はアデニンともグアニンとも対合

することができる。

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演習問題 13((突然)変異)

放射線による(突然)変異に関する次の記述のうち、正しいものの組合

せはどれか。(58 回)

A DNA2 本鎖切断は染色体異常の原因となる。

B 放射線に特有な(突然)変異がある。

C G2 期に被ばくを受けると染色分体型異常が生じる。

D 同一吸収線量で比較した場合、γ線の方が中性子線より誘発率は高

い。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

X 線による(突然)変異に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(60 回)

A X 線に特有な(突然)変異型がある。

B 一般に線量率を下げると単位吸収線量あたりの(突然)変異頻度が

低下する。

C 単位吸収線量あたりの(突然)変異頻度は中性子線よりも低い,

D 自然 (突然)変異 に比べて欠失型が少ない 。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

遺伝子(突然)変異に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(56 回)

A α線はγ線に比べて単位吸収線量当たりの(突然)変異頻度が高い。

B β線は中性子線に比べて単位吸収線量当たりの (突然)変異 頻度が高

い。

C 点(突然)変異は発がんの原因となる。

D 塩基損傷は点(突然)変異の原因となる。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

X 線被ばくによる遺伝子(突然)変異に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか。(55 回)

A 点(突然)変異は吸収線量に対して直線的に増加する。

B 線量率を下げても単位吸収線量当たりの(突然)変異頻度は変化し

ない。

C α線被ばくに比べ単位吸収線量当たりの(突然)変異頻度は低い。

E 塩基置換(塩基損傷)は(突然)変異に含まれない。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

2

3

3

2

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放射線照射によるヒ卜細胞の(突然)変異に関する次の記述のうち、正

しいものの組合せはどれか。(61 回)

A X 線による単位吸収線量あたりの(突然)変異誘発頻度は線量率とは

無関係である。

B 自然(突然)変異に比べて X 線で誘発される(突然)変異では欠失

(突然)変異の割合が高い。

C 低 LET 放射線に比べて高 LET 放射線では単位吸収線量あたりの(突

然)変異誘発が少ない。

D 照射した細胞を非照射細胞と混合培養すると非照射細胞に(突然)

変異が生じることがある。これをバイスタンダー効果という。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

染色体 DNA 上のタンパク質をコードする領域で次の変異が起こった場

合、フレームシフ卜が起こるものの組合せはどれか。 (62 回 )

A 1 個のアデニンがチミンによって置換された場合

B 1 個のアデニンがグアニンによって置換された場合

C 1 個のアデニンが挿 入された場合

D 連続する 2 個のアデニンが欠失した場合

E 連続して 3 個のアデニンが挿入された場合

1 A と B 2 A と E 3 B と D 4C と D 5 C と E

4

4

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14.確率的・確定的影響

(基本)

しきい値 症状のひどさ(重篤度) 影 響

確率的影響 ある 線量増加とともに悪化 すべての身体的影響

(発がんをのぞく)

確定的影響 ない(LNT 仮説) 線量の大小に関係しない。 発がん 遺伝的影響

(1)確定的影響

1)( 1)以上の被ばくを受けると、ほぼ確実に発症する。発がんを

除く、すべての( 2)が確定的影響である。( 1)は、障害の種類で

異なる。受けた放射線の量が多いほど、その症状は重篤になる。

2)放射線防護は個人の確定的影響の発生を( 3)するように行う。

(2)確率的影響

1)理論的に( 1)は存在しないと考えられている。

2)発生した症状のひどさ( 4)は、受けた放射線の量には( 5)であ

る。

3)放射線防護は確率的影響を(6) できるレベルに押さえるように

行う。

1 しきい値

2 身体 影響

3 完全に防止

4 悪性度

5 無関係

6 容認

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演習問題 14(確定的・確率的影響)

次のうち、確定的影響として正しいものの組合せはどれか。

A 胎児被ばくによる発がん (58 回)

B 胎児被ばくによる奇形

C 白内障

D 皮膚潰瘍

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

放射線の確定的影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(54 回)

A 線量が増加しても重篤度は変わらない。

B しきい値はない。

C 不妊は確定的影響である。

D 発がんは確定的影響ではない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

確定的影饗に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A すべて身体的影響である。 (55 回)

B 線量が増加しても障害の重篤度は変わらない。

C 線量率が低下しても障害の重篤度は変わらない。

D 胎内被ばくによる精神遅滞は確定的影饗に分類される。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と D 5 C と D

放射線の確定的影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(60 回)

A 吸収線量が 10mGy でも発生する。

B 線量が増加すると重篤度が増す。

C 被ばく線量をしきい線量以下に制限することで発生を防止できる。

D 甲状腺機能低下症は確定的影響ではない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

5

5

3

3

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放射線の確率的影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(60 回)

A 急性障害は確率的影響ではない。

B 内部被ばくでは確率的影響は起こらない。

C 遺伝性(的)影響は確率的影響である。

D 胎内被ばくでは確率的影響は起こらない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

確率的影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 早期反応に確率的影響はない。 (59 回)

B 晩発影響はすべて確率的影響である。

C 胎内被ばくでは確率的影響は生じない。

D 確率的影響の重篤度は線量には依存しない。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 BC のみ 5 BCD のみ

2

3

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15.身体的影響

(基本)

全身被ばくでは致死が問題となり、局所被ばくでは高線量を被ばくしても致死とはならず、被

ばくした組織や臓器の障害が問題となることが多い。いずれも、被ばくした本人に影響が出る。

これを身体的影響という。胎内被ばくによる奇形の発生は、本人への被ばくで生じるので身 体 的

影響に分類される。

組織や臓器の放射線障害では、被ばくした直後から数週間以内に起こる障害を急性(早期)障

害と呼び、数ケ月から数年後以降に起こる障害を晩期障害と呼ぶ。臓器にはそれぞれ特徴的な晩

期障害が存在する。晩発障害にはしきい値がないとされる遺伝的影響、がんの発生がある。

演習問題 15(身体的影響 )

次のうち放射線による身体的影響に分類されるものの組合せはどれか。

A 白内障 (62 回 )

B 白血病

C 小頭症

D 再生不良性貧血

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

放射線による身体的影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(61 回)

A 白血病は早期影響である。

B 再生不良性貧血は晩発障害である。

C 固形腫瘍は晩発障害である。

D 耳下腺炎は晩発障害である。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

急性全身被ばくによる身体的影響に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(56 回)

A 高線量率で被ばくした場合に生じる生殖細胞の減少は身体的影響で

ある。

B 低線量率で被ばくした場合に生じる体細胞のがん化は身体的影響で

ある。

C 高線量による影響は急性障害のみで、晩発影響はない。

D 晩発影響には、しきい線量があるものとないものがある。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

5

3

2

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放射線による身体的影響と遺伝性(的)影響に関する次の記述のうち、

正しいものの組合せはどれか。 (63 回 )

A 身体的影響にはしきい線量があるものとないものがある。

B 被ばくした場合に生じる体細胞のがん化は身体的影響である。

C 胎内被ばくによる奇形は遺伝性(的)影響である。

D 1Gy の急性全身被ばくにより意識障害が起こる。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

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16.急性全身被ばく

(基本)

急性障害は、高線量率で高線量の放射線を被ばくした後に、多数の細胞に細胞障害や細胞

死が生じることによって起きる障害をいう。

全身に被ばくした場合に、数週間以内に生じる一連の症状を急性放射線症と言い、一般

に、約 1Gy 以上の線量を被ばくすると起きる。被ばく後の時間経過は、典型的には、前駆

期、潜伏期、発症期、回復期に分けられる。

(1)急性障害

上皮組織内部では、上皮としての機能を担っている機能細胞は、

(1)と比べて放射線感受性は (2)。機能細胞は有限の寿命をもち、そ

れによる減少分を(1)の増殖によって補充している。

(2)放射線被ばくによって(1)が死滅し、新たな細胞の供給が停止する

と急性的な障害が発症する。一定数の機能細胞が失われ、症状が現れ

るまでの時間については、被ばく線量が多くなるにつれて短くなるこ

とが多い。

(3)高線量放射線を一度に全身被ばくしたような場合、数週間以内に

現れる障害を急性障害という。線量によって症状は異なるが、典 型

的な経過は以下の 4 つの病期に分けられる。

1)被ばく直後から( 3)時間以内に悪心、 (4)、頭痛、発熱、

(5)の痛み・腫脹、血中( 6)の上昇など非特異的な症状が現れる

→前駆期

2)これらの症状が一時的に消失する→ (7)

3)骨髄や消化管の障害、脱水など多彩な症状が現れる→(8)

4)その後の回復期あるいは死亡

1 幹細胞

2 低い

3 48

4 嘔吐

5 唾液腺

6 アミラーゼ

7 潜伏期

8 発症期

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(4)前駆期

1)放射線宿酔と呼ばれる症状などが一過性に現れる (9)時間以内の

時期を指す。

2)前駆期に現れる初期症状のうち、1Gy の被ばくで 10%程度の

人に 2 時間以降で現れ、線量の増加とともに頻度の上昇と発現時

期の早期化がみられる( 4)を、線量推計の参考となる臨床的症

状としている。

3)1 時間以内に(4)がみられる場合、少なくとも(10)Gy 以上の

被ばくと考えられ、専門医療機関での医療処置が必要となる。

(11)Gy を超える被ばくになると 10 分以内に嘔吐がみられる

ようになる。

4)初期紅斑:2Gy 程度の被ばく。被ばくを受けた上皮細胞がヒスタ

ミン様物質を放出し、皮膚の(12)拡張、血管 (13)が亢 進する。これ

により一時的な紅斑が生じる。痛みは 生じない 。

5)アミラーゼ:アミラーゼは膵臓から分泌される消化酵素の 1 つで

ある。膵臓、唾液腺に多く分布する。(14)酵 素であり、組織の障害

に伴って血液中に流出される。唾液腺への被ばくでは細胞の変性、

壊死によってアミラーゼを血中に (14)させる。

6)唾液腺:大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)の炎症による腫

脹、疼痛、圧痛がある。3Gy 以上に被ばくで血管拡張に伴う浮腫が

生じる。

9 48

10 4

11 8

12 毛細血管

13 透過性

14 逸脱

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(5)発症期

1)(15)を経て、発症期に入ると、被ばく線量に応じた放射線障害

が現れる。例えば、治療をしない場合、被ばく線量が約 10Gy 以上

になると、腸管上皮の再 生ができなくなり、腸死が生じ始める

2)ヒ卜が高線量のγ線を全身被ばくした場合に医療処置がなされない

と、5∼10Gy では (16)週間程度で (17)の障害により、

10∼20Gy では( 18)日程度で( 19)の障害により死 亡する危険性が

高い。

3)全身に一定以上の線量を急性被ばくすると、急性障害により個体は

死に至る。集団の 50%が死亡する線量を( 20)と呼ぶ。ヒトの

(20)は( 21)日以内に 50%が死亡する線量(LD50/60)で示され、

約 3.5~4.5Gy である。

4)腸管死は小腸上皮細胞の喪失に伴う脱水、(22)が原 因となる。腸

管死を引き起こす線量の被ばくでは、小腸上皮細胞が障害され、細胞

分裂の停止や細胞死が起こる。しかし、分化の進んだ( 23)細胞はこ

の線量域では細胞死に至らない。そのため、直ちに症状は現われな

い。上皮細胞が寿命で脱落し、表面を覆うことができなると症状が現

れる。小腸上皮の幹細胞は( 24)に存在する。ヒトの小腸上皮細胞の

寿命は約 (25)日であり、この期間に応じて症状が現れる。

5)人の場合、腸管死をひき起こす線量では平均生存期間は( 26)日で

ある。マウスにおける腸管死の平均生存期間は 3.5 日である。

5)中枢神経の障害による死亡は被ばく線量が 50∼100Gy を超える場

合に起こり、( 27)による頭蓋内圧亢進が主な原因のうちの 1 つと考

えられている。

6)LD50/60 程度以上の線量を全身被ばくした場合には、肺では 30 日

以内に( 28)が生じる。特に肺で (29)感 染 が高頻度に生じる点に

注意が必要である。(レア問題)

15 潜伏期

16 3∼4

17 骨髄

18 10∼14

19 腸管

20 半致死線量

21 60

22 感染症

23 機能

24 クリプト

(腺窩)

25 3~7

26 10~20

27 脳浮腫

28 放射線肺炎

29 ウイルス

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(6)治療法

1)LD50/60 前後の線量を被ばくした場合には、骨髄幹細胞の放射線障

害により (30)と出血傾向が生じ、それらが死の主な原因となる。

この線量域の放射線を被ばくした場合の治療法としては、輸血や抗

生剤の投与の他に (31)を投与して( 32) の増殖を期待する。

サイトカイン:情報伝達物質。免疫細胞が動きだす(免疫系が感染に対

処するのを助ける働き。感染症や出血を減少される)

2)被ばく事故後骨髄の強い再生不良状態が継続する場合などでは

(33)移植を検討する。

3)造血幹細胞移植としては( 34)が最も一般的で、一卵性双生児又は

兄弟間ドナーの骨髄が使用できない場合には、非血縁者のヒト白血球

型抗原(Human Leukocyte Antigen ;HLA)適合ドナーからの骨髄

移植を行う。しかし、非血縁者からの移植では HLA が適合する骨髄提

供者からの骨髄採取などに時間がかかり、事故時に対応できない可能

性が高い。近年ではすべての HLA が一致しなくとも移植が可能な

(35)幹細胞移植が急性放射線症治療に 用いられている。

(7)γ線による急性全身被ばくの場合、ヒ卜の半致死線量( LD50) は

(36)Gy 程度とされているが、この線量は体 重 50kg のヒトを考え

ると約 200J のエネルギー吸収に過ぎない。このエネルギーがすべて

体温の上昇に使われ、人体の比熱が水と等しいと仮定すると、体温上

昇は 0.0001 度程度になる。すなわち、小さなエネルギーが大きな生

物作用をもたらしていることになる。

30 感染症

31 サイトカイン

32 骨髄幹細胞

33 造血幹細胞

34 骨髄移植

35 臍帯血

36 4

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演習問題 16(急性全身被ばく)

γ線 2Gy の急性全身被ばくの数時間後に生じる可能性のある症状とし

て、正しいものの組合せはどれか。 (62 回 )

A 下 痢

B 意識障害

C 嘔 吐

D 下 血

E 軽い頭痛

1 A と B 2 A と C 3 B と D 4 C と E 5 D と E

6Gy のγ線急性全身被ばくにおいて被ばく者の半数以上で認められる前

駆症状のうち、正しいものの組合せはどれか。(57 回)

A 嘔 吐

B 呼吸障害

C 意識障害

D 発 熱

1 A と C 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

γ線全身被ばく後の急性放射線障害の初期応答(前駆期)に関する次の記

述のうち、正しいものの組合せはどれか。(64 回)

A 3Gy 被ばく 2 時間後までに、50%以上の発生率で嘔吐がみられる。

B 5Gy 被ばく 2 時間後までに、50%以上の発生率で発熱がみられる。

C 7Gy 被ばく 4 時間後までに、50%以上の発生率で頭痛がみられる。

D 9Gy 被ばく 1 時間後までに、50%以上の発生率で下痢がみられる。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

γ線全身被ばくによる急性放射線症の前駆期に見られる症状に関する次の

記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 (63 回 )

A 1Gy 被ばく後 1 時間以内に嘔吐が見られる。

B 2Gy 被ばく後 3 時間以内に下痢が見られる。

C 5Gy 被ばく後 3 時間以内に発 熱が見られる。

D 10Gy 被ばく後 1 日以内に頭痛が見られる。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

4

2

5

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10Gy のγ線急性全身被ばくの数時間後に生じる急性障害に閨する次の記

述のうち、正しいものはどれか。(56 回)

1 皮膚に痛みを感じる。

2 皮膚に水疱が形成される。

3 消化管から下血が起こる。

4 毛細血管の透過性亢進が起こる。

5 肝機能障害が起こる。

γ線で唾液腺が 8Gy 急性被ばくして 48 時間以内に認められるものとし

て、正しいものの組合せは、次のうちどれか。(57 回)

A 血液中へのアミラーゼの逸脱

B 唾液腺の腫脹

C 唾液腺の痛み

D 唾液腺からの出血

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

唾液腺への局所γ線急性被ばく後 2~3 日間にみられる影響に関する次の

記述のうち、正しいものの組合せはどれか。( 64 回)

A 6Gy 未満の被ばくでは臨床的に観察される影響は認められない。

B 8Gy の被ばくにより、血清中の唾液腺型アミラーゼ値が上昇すること

がある。

C 8Gy の被ばくにより、唾液腺の腫脹が生じることがある。

D 8Gy の被ばくにより、唾液腺の痛みが生じることがある。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

4

5

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γ線全身被ばくによる急性放射線症に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(57 回)

A 前駆期、発症期、回復期 /死亡の 3 つの時期に分けられる。

B ヒトの半致死線量は 3.5∼4.5Gy である

C 4Gy の被ばく後 24 時間以内に末梢血中の顆粒球数が上昇する。

D 末梢血中のリンパ球の減少は 1Gy 未満の被ばくでは認められない。

E 20Gy の被ばくでは消化管障害が主な死因となる。

1 ABD のみ 2 ABE のみ 3 ACD のみ

4 BCE のみ 5 CDE のみ

γ線急性全身被ばくによる骨髄死に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。(58 回)

A 白血球の異常増殖による。

B 晩発障害である。

C 治療方法として骨髄移植がある。

D 治療しなければ、4Gy の被ばくで約半数のヒ卜が骨髄死で死亡す

る。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

γ線による急性全身被ばく後の骨髄死に関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。(54 回)

A 血小板減少は、骨髄死の原因の一つである。

B LD50/60 の放射線量を被ばくした時の主な死因である。

C 10Gy 以下の被ばくでは起こらない。

D 2∼3 日以内に起こる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

X 線による急性全身被ばく後の骨髄死に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか。(59 回)

A 被ばく後 3 日以内に起きる。

B 血小板減少は、骨髄死の原因の一つである。

C LD50/60 の放射線量を被ばくしたときの主な死因である。

D 5Gy 以下の被ばくではサイ卜力イン治療は必要ない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4

5

1

3

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γ線急性全身被ばくによる腸管への影響に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか , (58 回)

A 腺窩細胞(クリプト細胞)は絨毛上皮細胞よりも放射線感受性が高

い。

B 腺窩細胞(クリブ卜細胞)がすべて死に至っても、絨毛上皮細胞が

生き残れば腸死に至ることはない。

C 一般に腸死は被ばく後 2 日以内に起こる。

D 脱水は腸死の直接の原因の一つである

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

γ線を全身急性 1 回被ばくした場合のヒトの障害に関する次の記述のうち、

正しいものの組合せはどれか。ただし、特別な治療を行わない場合とする。

A 15Gy 被ばく後の人の平均生存期間は 3.5 日である。(64 回)

B 100Gy 被ばく後の中枢神経死の 平均生存期間は 2 日以下である。

C 60 日以内に半数が死亡する線量は約 4Gy である。

D 4Gy 被ばく後 3 日以内に、末梢血中のリンパ球数が一過性に増加し、

その後被ばく前より減少する。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

γ線による急性全身被ばくの放射線影響に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか。 (62 回 )

A 好中球は被ばく直後に一過性に増加することがある。

B ヒ卜の半致死線量はマウスの半致死線量より大きい。

C 治療しない場合、ヒ卜の半致死線量は 3.5∼4.5Gy 程度である。

D 好中球はリンパ球よりも放射線致死感受性が高い。

E 末梢血リンパ球は放射線被ばく後に主として増殖死を起こす。

1 A と B 2 A と C 3 B と D 4 C と E 5 D と E

γ線急性全身被ばくによる中枢神経死に関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。(58 回)

A 中枢神経死は腸死よりも小さい線量で起こる。

B 被ばく線量が大きくなると中枢神経死に至るまでの期間は短くな

る。

C 血管障害は中枢神経死の直接の原因の一つである。

D 血液脳関門の障害は中枢神経死では起きない。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

3

3

2

4

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X 線を急性全身被ばくした場合の影饗に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか。(60 回)

A 哺乳類の半致死線量は種によらず 3∼5Gy の範囲内にある。

B ヒ卜の場合には半致死線量は 60 日以内に半数の個体が死亡する線量

をいう。

C 30Gy 全身被ばくした場合には中枢神経の変化が死の原因として重要

である。

D 骨髄死では感染症と出血傾向が死の原因として重要である。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

γ線急性全身被ばくに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(61 回)

A ヒ卜の半致死線量(LD50)を決めるための観察期間は 60 日である。

B LD50 に近い線量を被ばくした場合には生存率を改善する治療法はな

い。

C 前駆症状の始まる時期は 1∼10Gy の線量域で違いはない。

D 8Gy 以上の被ばくにより意識を喪失することがある。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

4

3

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17.晩発障害

(1)晩発影響としては、白内障、発がん、遺伝性(的)影響などが挙げら

れる。このうち、発がんと遺伝性(的)影響は、(1) 影響である。

遺伝性(的)影響は主に放射線に被ばくした ( 2)細胞に遺伝子の

(突然)変異や( 3) が起こることで発生する。

(2)脳では (4)、脊髄神経では脊髄神経麻痺(放射線脊髄症)、 消化管

で穿孔や (5) が晩期障害として重要である。これらの晩期障害は主

に(6) の閉塞が原因である。緑内障は放射線被ばくによって動脈硬

化が起き、血流障害が発生することで引き起こされる。ただし、すべ

ての晩期障害の原因によるわけではなく、肺の晩期障害として重要で

ある放射線肺線維症では(7)細胞の障害などが原因として考えられ

ている。また、膀胱は( 8)が起こり、頻尿となる。

1 確率的

2 生殖

3 染色体異常

4 脳壊死

5 狭窄

6 血管

7 肺胞

8 萎縮

演習問題 17(晩発障害)

次の X 線被ばく部位とその晩発障害の組合せのうち、正しいものの組合

せはどれか。(54 回)

A 水晶体 - 白内障

B 肺 - 肺線維症

C 脊 髄 - 放射線脊髄症

D 皮 膚 - 放射線潰瘍

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

γ線の被ばくによる臓器の晩期障害として、正しいものの組合せはどれ

か。(55 回)

A 肝 臓 ――― 脂肪肝

B 甲状腺 ――― 機能亢進症

C 食 道 ――― 穿 孔

D 肺 ――― 肺線維症

E 脊 髄 ――― 放射線脊髄症

1 ABC のみ 2 ABE のみ 3 ADE のみ

4 BCD のみ 5 CDE のみ

1

5

Page 95: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

次の X 線被ばく部位とその障害の組合せのうち、正しいものの組合せは

どれか。(60 回)

A 眼 ―――― 緑内障

B 肺 ―――― 肺線維症

C 脊 髄 ―――― 動静脈奇形

D 胆 嚢 ―――― 胆 石

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

臓器・組織と放射線による晩期障害の組合せとして、誤っているものは

どれか。 (62 回 )

1 膀 胱 ―――――頻 尿

2 脳 ―――――脳動脈瘤

3 心 臓 ――――-心筋症

4 大 腸――――-穿 孔

5 脊髄神経――――脊髄神経麻痺

1

2

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18.放射線誘発がん

基 本

放射線被ばくにより細胞に誘発された DNA の損傷が正しく修復されないまま細胞が増殖し

た場合、発がんに至ることがある。発がんのリスクは疫学データに基づいて推定されている。

1950 年の国勢調査で広島・長崎に居住していた者を対象に放射線疫学調査が実施されてい

る。被ばく群 120,000 名、非被ばく群 27,000 名が調査対象となった。放射線の暴露から疾

病発生までの過程について時間を追って観察するコホート調査(前向き調査)で寿命調査、死

亡、がんの罹患などが調査された。

(1)白血病

1)原爆被爆者のこれまでの疫学調査の結果から、放射線による白血

病の過剰発生は、被爆後 (1)年の潜伏期を経て、被爆後約( 2)年

前後にピークを迎え、その後( 3)するという推移をたどることが

明かになった。被爆時年齢が( 4)ほど初期の死亡リスクは高く、

(5)も短くなる。

2)病型別でみると、急 性骨髓性白血病 、急性リンパ性白血病の発生リ

スクは増 加している。( 6)リンパ性白血病、成人 T 細胞白血病のリ

スクの増加は認められていない。

3)白血病死亡の過剰絶対リスク

10 歳での被ばくは、30 歳での被ばくと比較して高い。

(2)その他の固形 がん

白血病と異なり、被ばく後 10 年程度 経過した時点から持続して発

がんのリスクが増 加していく。被ばく時の年齢が高いほど(7)は短

くなる。被ばく時の年齢が低いほど生涯がん死亡率が高くなる。

1 2~3

2 6~7

3 減少

4 若い

5 潜伏期間

6 慢性

7 潜伏期

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(3)LNT 仮説(モデル)

疫学調査が進み、がんの発生にしきい値があるかが議論されるように

なった。当時、放射線被ばくの影響は十分に解明されておらず、 ICRP で

は将来の放射線利用の拡大を見据えて、「しきい値なし 」と慎重な姿勢

をとった。100ⅿ Sv 以上の被ばくでは統計学的に有意な差を証明できる

客観的なデータが存在するが、それ以下については高線量域を直線的に

外挿したものにすぎず、科学的に立証されたものではない。100ⅿSv 以

下の低線量(率)被ばくについてはリスクを証明するデータはない。放

射線疫学調査の結果から 3Gy 程度までの線量域での線量 -効果関係の型

を推定し、そのモデルに従って低線量域でのリスクを観察値から外挿し

て推定している。

(4)直線モデル( L)・直線―2次曲線モデル ( LQ)

1)白血病の線量反応は、被ばく線量が 2Gy 以 下では( 8)モデルに

従う。

2)原爆被ばく者における 3Gy 程度までの線量域での白血病の増加の

観察値は(9)に適合し、白血病以外のがんの増加の観察値では

(10)に最もよく適合する。

(5)リスクの推定

1)線量-線量率効果係数(DDREF)

高線量・高線量率被ばくで算出されたリスクは、低線量・低線量率

における 被ばくと一致しない。そこで、生物効果の減少分を補正する

線量―線量率係数(DDREF)が決められている。現在、(11)が採

用されている。高線量・高線量率被ばくで予想されるリスクの半分と

なる。

8 直線-2 次曲線

9 LQ モデル

10 L モデル

11 2

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2)( 12)は線量あたり自然発生率の何倍の影響が発生するかという

評価法である。例えば、1Sv あたり自然発がんが 1.7 倍発生すると

いった評価法である。さらに( 12)から(13)を引いて表したも

のが(14)である。これは自然発生分を除いた、すなわち放射線に

よる影響のみを示している。両者の値が一致することはない。

3)固形がんの過剰相対リスクは、被爆時年齢が若年の方が高齢の場合

よりも高い値となる。広島・長崎の原爆被爆者の死亡率に関する疫学

調査(寿命調査)では、男女平均の 1Gy 当たりの過剰相対リスクと

して、30 歳で被爆した人が 70 歳になった時点で 0.42/Gy との結

果が得られている。

4)自然発生が多いほど、相対リスクは小さい。

胃→ 過剰絶対リスクは大きい。過剰相対リスクは小さい

5)( 15)とは、線量あたりどれだけの影響が発生するかという評価

法である。例えば、1Sv あたり 5%、または 1Sv の被ばくで 1 万

人あたり 500 名などの評価法である。被ばくした部位や年齢によっ

て値が変化する。

6)1 万人当たりの症例数を対照群で Ic、1Gy 被ばく群で Iγとする

と、1 万人、 1Gy 当たりの過剰絶対リスクは( 16)で、1Gy 当 た

りの(17)は((Iγ/Ic)-( 18))で表される。

例 Ic:100 件 Iγ:120 件

①過剰絶対リスク→ 120- 100= 20

②相対リスク→120÷100= 1.2

③過剰相対リスク→ 1.2- 1= 0.2

12 相対リスク

13 1

14 過剰相対リスク

15 絶対リスク

16 Ir- Ic

17 過剰相対リスク

18 1

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(6)名目リスク係数

1)がんと遺伝的影響

①全集団 100 名に 1Sv 照射をすると(19) 名ががんになる。

②通常は(19)×10- 2 と表記される。2007 年 Pub.103 では 1990

年より小さい値を示している。

③成人より全集団の方が( 20) 値となる。

④成人は就労年齢集団(18-64 歳)であり、放射線感受性の高い小 児

を含んでいない。そのため、全集団より小さい値となる。

⑤遺伝的影響は 100 名中、 0.2 名に遺伝的影響が起こる。

2)部位別の名目リスク係数

①1 万人に 1Sv 照 射したときの症例数を示す。

②名目リスク係数の大きい順

(皮膚)→( 21)→乳房→胃→結腸→(22)→甲状腺

*過剰絶対リスクと同義と考えてよい。

③全年齢集団における甲状腺がんの名目リスク係数は 33。就労年齢集

団(18~64 歳 )では 9 となる。小児の名目リスク係数が大きい。

19 5.5

20 大きい

21 肺

22 骨髄

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演習問題 18(放射線誘発がん)

放射線発がんの交絡因子として、正しいものの組合せは次のうちどれ

か。 (62 回 )

A 年 齢

B 喫 煙

C 性 別

D 飲 酒

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

職業被ばく及び医療被ばくによる発がんに関する次の記述のうち、正し

いものの組合せはどれか。(59 回)

A ウラン鉱夫において、肺がんの増加が見られた。

B 胸部 X 線透視を行った結核患者において、乳がんの増加が見られ

た。

C トロ卜ラス卜を用いた血管造影を行った患者において、白血病の増

加が見られた。

D ラジウム時計文字盤エにおいて、骨腫瘍の増加が見られた。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

チェルノブイリ原子力発電所事故による放射線被ばくによって有意に増

加したものは、次のうちどれか。(54 回)

1 小児における甲状腺がん

2 流 産

3 奇 形

4 白血病

5 乳がん

放射線被ぼくと発がんの関係のうち、正しいものの組合せはどれか。

A ラジウム時計文字盤工 ――― 乳がん (54 回)

B トロトラスト被注入患者 ―― 肝がん

C ウラン鉱夫 ―――――――― 肺がん

D 高バックグランド地域 ―― 直腸がん

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

5

5

1

3

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次の放射線被ばくと発がんの関係のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(61 回)

A ウラン鉱夫 ―――――――――― 肺がん

B ラジウム時計文字盤工 ――――― 胃がん

C 頭部白癬 X 線治療患者 ――――― 甲状腺がん

D トロトラスト被注入患者 ―――― 大腸がん

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線被ばくと発がんの関係のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 頭部白癬 X 線治療患者 ―――― 皮膚がん (60 回)

B ウラン鉱夫 ――――――――― 肺がん

C バックグラウンド地域 ―――― 直腸がん

D 原爆被爆者 ――――――――― 胆嚢がん

E ラジウム時計文字盤工 ―――― 胃がん

1 A と B 2 A と E 3 B と C 4 C と D 5 D と E

職業被ばく及び医療被ばくによる発がんに関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか。(64 回)

A ウラン鉱夫において、肺がんの増加が見られた。

B ラジウム時計文字盤工において、骨がんの増加が見られた。

C 頭部白癬の X 線治療を受けた患者において、甲状腺がんの増加が見ら

れた。

D トリウムを含む造影剤を投与された患者において、肝がんの増加が見

られた。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

2

1

5

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原爆被ばく影響に関して正しいものの組合せはどれか。(54 回)

A 白血病は、被ばく線量が高いほど潜伏期間が短い。

B 肺がんは、被ばく線量が高いほど潜伏期間が短い。

C 白血病は、被ばく後 2∼3 年経過してから増加する。

D 肺がんは、被ばく後 5∼6 年経過してから増加する。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

原爆被ばく者の放射線発がんに関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(54 回)

A 胆嚢がんの発がんリスクは有意には上昇しない。

B 肺がんの発がんリスクは有意には上昇しない。

C 白血病では、ある期間を過ぎてから発がんリスクが上昇し、その後

低下する。

D 固形がんでは、ある期間を過ぎてから持 続して発がんリスクが高

い。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

急性放射線外部被ばくによる発がんに関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。(56 回)

A 白血病の潜伏期間は被ばく線量が高いほど短い。

B 被ばく線量と悪性度には相関関係が認められない。

C 乳がんの放射線による過剰発生リスクと線量との関係は LQ(直線一

2 次曲線)モデルがよくあてはまる。

D 組織加重係数とは各組織における単位線量当たりのがん発生率のこ

とである。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD のみ

原爆被爆者における放射線発がんに関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(60 回)

A 被ばく線量と固形がんの過剰相対リスクの関係は、直線 -2 次曲線

(LQ)モデルによくあてはまる。

B 被ばく線量とがんの悪性度には相関関係が認められる。

C 一般に急性骨髄性白血病の潜伏期間は被ばく線量が高いほど短い。

D 固形がんの過剰相対リスクは、被爆時年齢が若年の方が高齢の場合

よりも高 い。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

2

3

2

5

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原爆被爆者における放射線発がんに関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(57 回)

A 被ばく線量と白血病の過剰絶対リスクの関係は、直 線 -2 次曲線

(LQ)モデルによくあてはまる。

B 被ばく線量と固形がんの過剰相対リスクの関係は、直線( L)モデル

によくあてはまる。

C 最も潜伏期の短いのは白血病である。

D 全固形がんの過剰相対リスクは、到達年齢が同じであれば、被爆時

年齢が低いほど大きい。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

原爆被爆者の疫学調査で、統計的に有意なリスクの上昇が認められてい

る疾患の組合せは、次のうちどれか。(59 回)

A 急性骨髄性白血病

B 急性リンパ性白血病

C 慢性骨髄性白血病

D 成 人 T 細胞白血病

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

5

1

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原爆被爆者におけるがんの相対リスクと絶対リスクに関する次の記述の

うち、正しいものの組合せはどれか。(59 回)

A 被爆時年齢、到達年齢、部位によらず、相対リスクと過剰相対リス

クの差は一定である。

B 過剰絶対リスクと過剰相対リスクの大小は常に一致する。

(ヒント:白血病(絶対 リスク 小、相対リスク 大)

C 白血病の過剰絶対リスクは胃がんの過剰絶対リスクより大きい。

(ヒント:「絶対 」は名目リスクで解答する。白血病は「骨髄」 )

D 白血病の過剰相対リスクは全固形がんの過剰相対リスクより大き

い。

E 全固形がんの相対リスクは 1Gy において約 0.5 である。

1 A と B 2 A と D 3 B と E 4 C と D 5 C と E

原爆被爆者における、がんの発生と死亡に関する次の記述のうち、正し

いものの組合せはどれか。(52 回)

A 30 歳で被爆し、70 歳に到達したときの全固形がんの相対リスクは

1Gy において 0.4~0.5 である。

B 胃がんの発生に関する過剰絶対リスクは、白血病と比較して高い。

C 胃がんの発生に関する過剰相対リスクは、白血病と比較して低い。

D 甲状腺がんによる死亡に関する過剰相対リスクは、白血病と比較し

て高い。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

2

3

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原爆被爆者の疫学調査において、統計的に有意ながん死亡リスクの増加

がみられたがんの組合せはどれか。(61 回)

A 胃がん

B 肺がん

C 膵臓がん

D 白血病

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

原爆被ばく者の疫学調査で、統計的に有意な発がんリスクの上昇のみら

れる臓器の組合せはどれか。(55 回)

A 胃

B 肺

C 子 宮

D 前立腺

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

次のうち、原爆被爆者におけるがんの発生の過剰相対リスクが高い組

織・臟器の組合せはどれか。(57 回)

A 肺

B 子 宮

C 膵 臓

D 腎

E 骨髄 (赤色 )

1 A と B 2 A と E 3 B と C 4 C と D 5 D と E

原爆被爆者の疫学調査において、次の部位のうち最も発がんの過剰相対

リスクが高いものはどれか。 (62 回 )

1 胆 嚢

2 女性乳房

3 胃

4 直 腸

5 子 宮

2

1

2

2

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原爆被爆者の疫学調査において、がん死亡の過剰相対リスクに有意な増

大が見られる臓器の組合せは次のうちどれか。 (63 回 )

A 肺

B 直 腸

C 前立腺

D 乳 房

E 子 宮

1 A と C 2 A と D 3 B と C 4 B と E 5 D と E

ICRP2007 年勧告における確率的影響の名目リスク係数に関する次の記

述のうち、正しいものの組合せはどれか。(59 回)

A がんの名目リスク係数は、遺伝性(的)影響の名目リスク係数より

大きい。

B 遺伝性(的)影響の名目リスク係数は、1990 年勧告より大きい。

C 全年齢集団の名目リスク係数は、就労年齢集団(18-64 歳)の名目

リスク係数より大きい。

D 線量・線量率効果係数(DDREF)として 1/2 を採用している。

1 ABD のみ 2 AC のみ 3 BC のみ

4 BD のみ 5 ACD のみ

ICRP2007 年勧告における確率的影響の名目リスク係数に関する次の記

述のうち、正しいものの組合せはどれか。(64 回)

ただし、全集団とは被ばく時年齢が 0~85 歳の集団、成人とは被ばく時

年齢が 18~64 歳の集団とする。

A 線量・線量率効果係数 (DDREF)として 1/2 を採用している。

B 全集団のがんの名目リスク係数は、1Sv 当たり 5.5×10- 2 である。

C 全集団のがんの名目リスク係数は、成人のがんの名目リスク係数より

大きい。

D 全集団、成人ともに、遺伝性 (的 ) 影響の名目リスク係数は、1990 年

勧告より小さくなっている。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

2

5

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19.遺伝的影響

(1)遺伝的影響は放射線に被ばくした( 1) に遺伝子の(突然)変異や

(2)が起こることによる。生殖腺以外の被ばくでは起こらない。ま

た、本人ではなく、次世代に影響が出る。

(2)遺伝性(的)影響のリスクの推定には( 3)と、線量効果関係を動物

実験によって求め、これをヒ卜に適用して行う(4)とがある。

(3)倍加線量法では、( 5)す る(突然)変異率と同率の (突然)変異を

誘発する (6)を用いる。

(4)遺伝性(的)影響のリスクは、倍加線量が (7)ほど低く、同一線量

の場合には一般的に( 8)が低いほど低い。UNSCEAR (原子放射線の

影響に関する国連科学委員会)2001 年報告ではヒトにおける倍加線

量として(9)Gy を使ってリスク推定を行っている。

(5)原爆被爆者の疫学調査では、有意な増加は認められて(10) 。

(6)生殖年齢又は生殖年齢以前の被ばくでも生じる可能性がある。

1 生殖細胞

2 染色体異常

3 倍加線量法

4 直接法

5 自然発生

6 吸収線量

7 大きい

8 線量率

9 1

10 いない

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演習問題 19(遺伝的影響)

放射線による遺伝性 (的 )影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合

せはどれか。(64 回)

A マウス実験において、遺伝性 (的 )影響の線量率効果は認められていな

い。

B マウス実験で見られた遺伝性 (的 )影響は、主に顕 性(優性)の突然変異

である。

C 遺伝的リスクの推定に用いられる倍加線量法は間接法とも呼ばれる。

D 倍加線量が小さいほど、遺伝性 (的 )影響が起こりやすい。

1 ABD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

放射線による遺伝性(的)影響に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。 (62 回 )

A 重篤度は吸収線量が高いほど大きくなる。

B 原爆被爆者の疫学調査では、有意な増加は認められていない。

C 倍加線量が大きいほど遺伝性(的)影響が起こりやすい。

D 生殖細胞以外への被ばくは考慮する必要がない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線による遺伝性(的〉影響に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。(61 回)

A 遣伝性(的)影響にはしきい線量は存在しないと評価されている。

B 高線量急性被ばくした本人に現れる。

C 原爆被爆者で有意な増加が報告されている。

D ヒ卜の遺伝性(的)影響のリスク推定では、動物実験のデータが利

用されている。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と D 5 C と D

放射線による遺伝性(的)影響に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。 (63 回 )

A 生殖細胞の(突然)変異は遺伝性(的)影響の原因となる。

B 精母細胞は精原細胞よりも (突然)変異 が誘発されやすい。

C 精原細胞では(突然)変異誘発に関して線量率効果は認められな

い。

D 倍加線量が大きいほど遺伝性(的)影響が起こりやすいことを意味

する。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4

3

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放射線による遺伝的影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(56 回)

A 遺伝的影響には、しきい線量があるものとないものがある。

B 胎内被ばく による奇形は遺伝的影響である。

C 生殖年齢又は生殖年齢以前に被ばくした場合のみに生じる可能性が

ある。

D 生殖器腺が被ばくしなければ生じることはない。

1 A と B 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

遺伝性(的)影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(59 回)

A 自然発生(突然)変異率 を 2 倍にするのに要する線量を倍加線量と

よぶ。

B 遺伝的リスクの推定に用いられる倍加線量法は直接法とも呼ばれ

る。

C 2001 年 UNSCEAR 報告では倍加線量を 1Gy としている。

D 原爆被爆者では被ばくによる遺伝性(的)影響が有意に増加した。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 (63 回 )

A 晩発性障害は全て確率的影響である。

B 肺の線維化は晩発性障害である。

C (突然)変異発生率を自然(突然)変異発生率の 2 倍にする吸収線

量を倍加線量という。

D ICRP2007 年勧告では遺伝性(的)影響におけるヒトの倍加線量と

して 100ⅿGy が用いられている。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

5

2

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放射線による遺伝性(的)影饗に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。(60 回)

A マウス実験において、遺伝性(的)影響の線量率効果は認められて

いない。

B マウス実験で見られた遺伝性(的)影響は、潜性(劣性)に比べ顕

生(顕生(優性))の(突然)変異が多い。

C 倍加線量は、小さいほど遣伝性(的)影響が起こりやすいことを意

味する。

D 原爆被爆者の調査において、遣伝性(的)影響の有意な増加は確認

されていない。

1 ABD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

遺伝性(的)影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(58 回)

A 倍加線量の逆数は単位線量当たりの(突然)変異の過剰相対リスク

を表す。 (ヒント:自然発生が 100 件 5Gy(倍加線量)→ 逆数

100÷5= 20 件/1Gy)

B 遺伝性(的)影響のしきい線量は 1Gy 程度とされている。

C 放射線被ばくとは無関係に生じることがある。

D 遺伝性(的)影響には線量率効果が見られない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4

2

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20.放射線感受性の高い遺伝性疾患

毛細血管拡張性

運動失調症

ナイミーヘン

染色体不安定性症候群 色素性乾皮症

チェックポイントが働かな

いため、DNA 損傷が修復

できず。遺伝形式は潜性 遺

伝(潜性(劣性) 遺伝) 。

高い発がん性あ り

2 本鎖切断が修復されない

紫外線に対して高感受性

演習問題 20(放射線感受性の高い遺伝性疾患)

次の遺伝病のうち、患者由来の細胞が 60Coγ線に対して致死感受性が高

いものの組合せはどれか。 (61 回)

A 毛細血管拡張性運動失調症

B ナイミーヘン染色体不安定性症候群

C 血友病

D 色素性乾皮症

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

次の遣伝性疾患由来の細胞のうち、放射線に対して高い致死感受性を示

すものの組合せはどれか。(57 回)

A 色素性乾皮症

B レッシュ・ナイハン症候群

C フェニルケトン尿症

D 毛細血管拡張性運動失調症

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

毛細血管拡張性運動失調症に関する次の記述のうち、正しいものの組合

せはどれか。(56 回)

A 紫外線に高感受性を示す。

B 高発がん性を示す。

C 免疫異常を示す。

D 遺伝形式は常染色体顕生(顕生(優性))遺伝である。

1 A と B 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

2

4

3

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21.しきい線量

基 本

臓器・組織の急性障害は、主に臓器・組織の実質細胞の死によって起こると考えられる。臓

器・組織によって実質細胞の放射線致死感受性が違うために、障害を認めるようになるしきい

値線量も臓器・組織によって異なる。

1)一般に、現れる障害の重篤度は、被ばくした線量が大きいと高い。

1 回のγ線による被ばくでは、末梢血中のリンパ球数の減少は( 1)Gy

以上の被ばくによって起こる。

2)女性の永久不妊は( 2)Gy 以上の生殖腺被ばくによって起こり、男

性の永久不妊は( 3)Gy 以上の生殖腺被ばくによって起こる。

3)男性の一時的不妊のしきい線量は (4)Gy である。女性の一時的不

妊が起こる線量は (5)~1.5Gy であり男性に比べて高い。

4)骨髄死 (6)Gy、白内障( 7)Gy、一時的脱毛(8)Gy、放射線肺炎

症(9)Gy、皮 膚紅斑 はひとまず( 10)Gy 以上で起こる。

1 0.25

2 2.5~8

3 3.5~6

4 0.15

5 0.65

6 1.5

7 0.5

8 3

9 6

10 3

遅発性有害反応

最小耐容線量 ( Gy) 最大耐容線量 ( Gy)

5 年以内

2~5%の頻度

(TD5/5)

25~50%の頻度

(TD50/5)

唾液腺

眼(網膜)

甲状腺

視神経

脊 髄

食 道

小 腸

直 腸

肝 臓

腎 臓

膀 胱

尿 管

肋 骨

口内乾燥

網膜炎、失明

機能低下

梗塞、壊死

失 明

梗塞、壊死

食道炎、潰瘍

心膜炎

潰瘍、穿孔、出血

潰瘍、穿孔、出血

穿孔、潰瘍、狭窄

放射線肝炎、腹水

腎硬化

萎 縮

狭 窄

病的骨折

32

45

45

45

50

50

55

45

45

45

60

30

23

65

75

50

46

65

200

75

65

70

68

55

55

55

80

40

28

80

180

65

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演習問題 21(しきい線量)

放射線障害のしきい値に関する次の記述のうち、正しいものの組合せは

どれか。(52 回)

A 同じ障害であれば、放射線の種類によらず一定の値をとる。

B 確定的影響でみられる。

C 線量率が異なっても変動しない。

D 発生・成長の時期によって大きく変動する。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

1Gy の X 線急性全身被ばくによって引き起こされる可能性のある影響と

して、正しいものの組合せは、次のうちどれか。(56 回)

A 脱 毛

B 男性の一時的不妊

C 皮膺の紅斑

D 放射線宿酔

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

γ線急性被ばくによる次の障害のうち、しきい値が最も大きいものはどれ

か。(62 回)

1 湿性落屑

2 白内障による視力障害

3 造血機能低下

4 ̶時的脱毛

5 女性の永久不妊

放射線障害のしきい線量に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(55 回)

A しきい線量は、線質に依存しない。

B 確率的影響に関しては、しきい線量が存在しないと仮定されてい

る。

C γ線急性全身被ばく後の骨髄死のしきい線量は、 6Gy 程度とされてい

る。

D 一般に線量率が低くなるとしきい線量は大きくなる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4

5

1

4

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γ線による急性被ばく後の障害と、障害を受けた臓器・組織におけるしき

い線量の関係として、正しいものの組合せは、次のうちどれか。

A 白内障(視力低下)――― 15∼20Gy(眼) (59 回)

B 女性の永久不妊 ――――― 2.5∼6.0Gy(卵巣)

C 男性の一時的不妊 ―――― 1.0∼1.5Gy(精巣)

D 男性の永久不妊 ――――― 3.5~6.0Gy(精巣)

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

γ線急性被ばくの場合にみられる次の障害のうち、しきい線量が 2Gy よ

りも大きいものの組合せはどれか。(53 回)

A 脱 毛

B 放射線肺炎

C 男性の永久不妊

D 女性の永久不妊

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

次の放射線障害のうち、8Gy のγ線急性局所被ばくで認められるものの

組合せはどれか。(57 回)

A 男性の永久不妊

B 女性の永久不妊

C 一時的脱毛

D 皮膚の潰瘍

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

γ線急性全身被ばくで見られる障害のうち、しきい線量が 1Gy より大き

いものはどれか。(55 回)

A リンパ球数減少

B 脱 毛

C 女性の永久不妊

D 男性の永久不妊

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

4

5

1

4

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γ線急性全身被ばくによる身体的影響に関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。(61 回)

A 1Gy の被ばくで脱毛が生じる。

B 2Gy の被ばくで白血球減少が生じる。

C 3Gy の被ばくで消化管の穿孔が生じる。

D 8Gy の被ばくで放射線肺臓炎が生じる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

30Gy の X 線を被ばくした組織と、その組織に生じるとされている障害

に関する次の組合せのうち、正しいものはどれか。(53 回)

A 肝 臓 ――――― 脂肪肝

B 甲状腺 ――――― 機能亢進症

C 皮 膚 ―――――― 潰 瘍

D 大 腸 ――――― 穿 孔

E 脊椎神経 ―――― 麻 痺

1 ABC のみ 2 ABE のみ 3 ADE のみ

4 BCD のみ 5 CDE のみ

臓器全体が X 線に急性被ばくした場合に最も低い線量で起こるものは、

次のうちどれか。(59 回)

1 病的骨折(肋骨)

2 放射線肺炎(肺)

3 脳壊死(大脳)

4 失明(網膜)

5 直腸穿孔(直腸 )

臓器全体を X 線照射した場合に最も低い線量で起こるものは、次のうち

どれか。(54 回)

1 膀胱萎縮(膀胱)

2 放射線肺炎(肺臓)

3 心外膜炎(心臓)

4 直腸穿孔(直腸)

5 肝硬変(肝臓)

4

5

2

2

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臓器障害のしきい線量の高低を比較したものとして、正しいものの組合

せはどれか。(55 回)

A 耳下腺(口腔内乾燥)> 皮膚(紅斑)

B 卵巣(不妊) > 膀胱(萎縮)

C 視神経(失明) > 水晶体(白内障)

D 肺(放射線肺炎) > 脳(壊死)

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

2

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22.生殖腺被ばく

(1)精子形成過程と放射線感受性

1)( 1)細 胞 → 第 1 次精母細胞 → 第 2 次精母細胞

→ 精細胞 → 精子

2)( 2)であるほど放射線感受性が高い。よって、最も放射線感受性

が高いのは(1)細胞である。(1)細胞が被ばくを受けると( 3)

が停止する。

3)(1)細 胞が( 4)Gy 以上の急性被ばくを受けると永久不妊となる。

4)男性ホルモン産生に関係する間質細胞(ライディッヒ細胞)は、

(1)細 胞より放射線感受性が(5)。そのため、放射線被ばく で

ホルモン分泌異常は起こりづらい。間質細胞から放出されるテスト

ステロン濃度にあまり変 化は見られない。

5)( 1)細 胞から形成された細胞が成熟して精子になるまで約 70 日間

を有する。照射時に存在していた精子が寿命を迎える(6)カ月後

から精子数が減少する。そのため、一時的不妊は直ちには起きな

い。

6)被ばく線量は多いほど一時的不妊からの回復に時間がかかる。

回復は1Gy で 9~ 18 か月、 2~ 3Gy で 30 か月、4Gy で 5 年以上

かかったとの報告がある。

(2)卵の形成過程と放射線感受性

1)分裂を始めた(7)卵母細胞は,(8)卵母細胞より放射線感受性

が高い。

2)永久不妊は急性被ばくで( 9)Gy 程度で起きる。

3)永久不妊のしきい値は年齢とともに (10)なる。

(20 代: 7Gy、40 代:3Gy)

4)(7)卵母細胞は(11)(アポトーシス)で死ぬ。

1 精原

2 未分化

3 細胞分裂

4 3.5~6

5 低い

6 2~3

7 第二次

8 第一次

9 2.5~8

10 低く

11 間期死

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5)女性ホルモンと呼ばれるのは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と

黄体ホルモン(プロゲステロン)の 2 種類である。

6)脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホ

ルモン( LH)が卵巣に作用し、「卵胞 」が発育し始め、エストロゲ

ンが分泌される。排卵後の卵胞は黄体になり、プロゲステロンとエ

ストロゲンを分泌する。卵胞細胞は放射線感受性が高く,ホルモン

分泌異常を起こし易い。ホルモン分泌異常により早期に不妊になる

ことがある。

7)放射線被ばくで女性ホルモンの産生を担う成熟した卵胞の発育が

障害される。このため女性ホルモンの産生が一時的に減少する。

8)卵巣が被ばくした後、卵胞刺激ホルモンの一過性の(12)がみら

れることがある。

(3)変異感受性

1)精細胞の時期における放射線被ばくは変 異を誘発しやすい。

2)精原細胞に起きた変異は修復能力が高いため(13)しやすい。そ

のため変異誘発率は(14)。精子には(15)変異から( 16)する能

力がない。

3)成熟した生殖細胞(精細胞,精子)に起こる変異は,(17)効果を

示さず, (18)に比例して増加していく。

4)卵原細胞は未分化であるため修復能力が高い。そのため、変異誘発

率は低い。

12 上昇

13 回復

14 低い

15 突然

16 回復

17 線量率

18 線 量

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演習問題 22(生殖腺被ばく)

生殖腺の放射線障害に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(57 回)

A 成人女性では年齢を増すと少ない線量で永久不妊になる。

B 男性ホルモン産生に関係する間質細胞は、精原細胞よりも放射線致

死感受性が高い。

C 精子は精原細胞よりも放射線致死感受性が高い。

D 一時的不妊のしきい線量は女性より男性で低い。

1 A と C 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

成人の卵巣が放射線被ばくした場合の影響に関する次の記述のうち、正

しいものの組合せはどれか。(60 回)

A 黄体ホルモンの一過性の上昇がみられることがある。

B 年齢が高いほどより低い線量で永久不妊となる。

C 一般に第一次卵母細胞は第二次卵母細胞に比べ放射線感受性が高

い。

D 第二次卵母細胞は増殖死で死ぬ。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

生殖腺の局所被ばくによる放射線障害に関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。(64 回)

A 精巣のγ線 1回短時間被ばくによる男性の一時的不妊のしきい線量は、

0.15Gy である。

B 精原細胞は精 (子 )細胞より突然変異誘発率が高い。

C 卵巣が被ばくした後、卵胞刺激ホルモンの一過性の上昇がみられるこ

とがある。

D 卵巣が被ばくした場合、成人女性では被ばくした年齢が低いほど少な

い線量で永久不妊になる。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 BD のみ 5 BCD のみ

2

1

3

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γ線による生殖細胞の致死と(突然)変異に関する次の記述のうち、正し

いものの組合せはどれか。(59 回)

A 精原細胞は精子より致死感受性が高い

B 精原細胞は間質細胞より致死感受性が高い。

C 男性の場合、一時的不妊からの回復には被ばく線量が高いほど時間

がかかる。

D (突然)変異のなかには、受精卵からの発生過程で淘汰されるもの

がある。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

生殖腺の被ばくに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(61 回)

A 精原細胞は精子形成過程で最も放射線致死感受性が高い。

B 精原細胞は精子形成過程で最も(突然)変異誘発率が高い。

C 卵原細胞は卵子形成過程で最も(突然)変異誘発率が高い。

D 省略

1 A と C 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

急性γ線被ばくによる精巣の障害に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。 (63 回 )

A 精原細胞はセルトリ細胞より放射線致死感受性が高い。

B 精原細胞は精(子)細胞より放射線致死感受性が高い。

C 精巣に 2Gy を被ばくした場合、被ばく直後から 6 週間程度不妊とな

る。

D 精巣に 2Gy を被ばくした場合、被ばく直後に血中テストステロン濃

度の低下が認められる。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

5

2

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23.皮膚の影響

(基 本)

皮膚の急性障害としては、紅斑、脱毛などが代表的なもので、脱毛のしきい線量は約 3Gy

とされ、被ばくの 2~ 3 週間後に生じる。皮膚の晩期障害としては難治性潰瘍が重要であ

る。皮膚紅斑のしきい値といえば3Gy(ひとまず)。

皮膚の晩期障害である難治性潰瘍の原因は主に血管の閉塞であるため、基底細胞よりも深

部での吸収線量が問題となる。

(1)人の皮膚は(1)、真皮、皮下組織の三層構造となっている。その

うち、( 1)には生きている層と生きていない層が存在する。後者

は死細胞からなる角質層であり、表皮の厚さの約 25%を占めてい

る。角質層は放射線感受性が( 2)、α線や( 3)からの低ネネルギ

ーβ線がこの層に吸収されても臨床的な症状は現れない。

(2)( 1)の下部には、( 4)があり、この部位に存在する幹細胞(基

底細胞)から新しい細胞が供給される。細胞分裂が激しいため、放

射線感受性が( 5)。

(3)X 線・γ線などで生ずる皮膚の障害の程度は吸収線量に応じて 4 つ

に分けられる。

第 1 度 :(6)~ 6Gy 程度の被ばく後、(7) 週間の潜伏期間を経て

皮膚は( 8)し、脱毛が生じる。しかしながら、その他の症

状はほとんどでない。

第 2 度 :(9)~ 10Gy 程度の被ばく後、およそ 2 週間の潜伏期を経

て、充血、腫脹、(10)などを起す。

第 3 度 :(11)Gy 程度の被ばく後、およそ 1 週の潜伏期を経て、高

度の紅斑、腫脹などの炎症が現れ、その後に ( 12) から

(13)皮膚炎となる。

第 4 度 :20Gy 以上の被ばく後、およそ 3~ 5 日の潜伏期を経て、は

げしい炎症を起し、進行性のびらんや(14) をもたらす。

1 表皮

2 低く

3 3H

4 基底層

5 高い

6 2

7 3

8 乾燥

9 6

10 紅斑

11 10~20

12 水泡

13 湿性

14 潰瘍

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(4)放射線照射後の皮膚反応

1)皮膚が被ばくすると紅斑(発赤)が繰り返し生じる場合がある。2Gy

超の線量で比較的広く被ばくした場合、(15)後に初期反応 (初期の

一時的な紅斑 )が見られる。これは血管の拡張および(16)の変化に

関係する。( 16)が亢 進し、浮腫や炎症性物質により(17)が刺激

され、軽い痛みを生じる。

2)主要な紅斑応答はおよそ 10 日後から( 18)の死後に次いで生じる

(19)によって発 症する。被ばくして約 8~10 週後から紅斑の晩発

性反復が見られる場合もある。これは青みを帯び皮膚の虚血を示す。

10Gy 程度の被ばくで皮膚の虚血、壊死に伴う紅斑が生じる。

3)表皮の (18)への被ばく後、徐々に死滅し、被ばく後 3~5 週以内

に表皮形成不全が発症する。表皮形成不全に関する臨床的変化の重

篤度は、放射線線量の大きさに依存する。

重篤な表皮の形成不全は(20)落 屑として顕れる。表皮の形成不全

をもたらすのと同時に毛母細胞の増殖を抑制する。その結果、一 時

的な薄毛や脱毛症が発生する。脱毛は被ばくから(21)後に現れ

る。

4)(20)落屑の治 癒は、非常にゆっくりとしか進まない。このよう

な場合、続発性( 22)形成とよばれる皮膚組織の欠損に進むことが

ある。この(22)形成は、(23)の併発で著しく拡大する可能性

がある。続発性の放射線誘発( 22)は、火傷や皮膚切除による傷と

同様 ,照射領域の収縮や線維組織の形成 (瘢痕化 )の過程を経て被ばく

から約 6~10 週間あるいはそれ以上の時間をかけてゆっくりと治癒

する。

5)皮膚の晩発変化は照射後 26 週 以降から起こり、皮膚組織の

(24)、毛細血管拡張症、 晩発性壊死が生じたりするなどの特徴が

ある。毛細血管拡張症は、まれには被ばく後 52 週より前に発症が

認められる。被ばくしてから少なくとも 10 年以上は発症率と重篤

度が高くなる。皮膚の萎縮は 10Gy 程度の被ばくで 52 週以降に起

こる。

15 数時間

16 血管透過性

17 神経

18 基底細胞

19 炎症

20 湿性

21 数週間

22 潰瘍

23 感染

24 菲薄化

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(5)皮膚は体表面に位置する組織であるために、照射線量が同一であって

も、放射線エネルギーの違いにより、急性障害や晩期障害の程度は異

なる点に注意を要する。すなわち、X 線やγ線のエネルギーが異なる場

合には、 (25)による吸収線量のピークの位置(深さ)が異なり、結

果として 皮膚の( 26)への吸収線量は異なることとなる。

(6)コバルト 60 とイリジウム 192 の密封線源を比較した場合、コバル

ト 60 から放出されるγ線の平均エネルギーは約 1250keV であるのに

対して、イリジウム 192 から放出されるγ線の平均エネルギーは

350keV である。照射線量が同一である場合には皮膚の急性障害はイ

リジウム 192 の方が重篤となる。

25 ビルドアップ

26 基底細胞

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演習問題 23(皮膚の影響)

X 線による皮膚障害に関する次の記述のうち、正しいものの組合せは

どれか。(57 回)

A 被ばくしてすぐに痛みを感じる。(ヒント:初期紅斑)

B 同程度の障害を起こすのに必要なエネルギーは熱傷の場合よりも大

きい。

C 同一吸収線量を分割して被ばくしたとき、 1 回で被ばくした場合に

比べてしきい線量が高くなる。

D 初期紅斑のしきい線量はおおよそ 2Gy である。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

137Csγ線局所被ばくによる皮膚障害に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(64 回)

A 3Gy 被ばくの数時間後に、被ばく部位に軽い痛みを生じることがある。

B 被ばく後 48 時間以内に見られる紅斑は、毛細血管の拡張により生じ

る。

C 被ばく後 2~3 週間後に見られる紅斑は、血管の狭窄により生じる。

D 難治性潰瘍のしきい線量は、1 回で被ばくした場合より同一線量を分

割して被ばくした場合の方が小さい。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

皮膚の 10Gy γ線急性被ばくによる影響に関する次の記述のうち、正し

いものはどれか。(60 回)

1 被ばく中に軽度の熱感を感じる。

2 被ばく中に痛みを感じる。

3 被ばく後 2 日以内に一過性の紅斑を認める。

4 被ばく後 3 日以内に脱毛が起こる。

5 被ばく後に色素沈着が起こることはない。

皮膚の急性 X 線被ばくによる影響に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(52 回)

A 紅斑に対するしきい値は約 3∼5Gy である。

B 乾性落屑は被ばく後約 3 週間で発症する。

C 湿性落屑の しきい値は約 20Gy である

D 50Gy 以上の被ばくで壊死が起こる。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

5

3

5

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急性γ線被ばくによる皮膚の障害に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。 (63 回 )

A 皮膚に 3Gy を被ばくした場合、1 日以内に紅斑が見られる。

B 皮膚に 3Gy を被ばくした場合、約 3 週間後に脱毛が見られる。

C 皮膚に 3Gy を被ばくした場合、約 3 週間後に水疱が見られる。

D 乾性落屑のしきい値は、湿性落屑のしきい値より高い。

1 ABD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

γ線による皮膚障害に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。 (62 回 )

A 同程度の障害を起こすのに必要なエネルギーは熱傷の場合よりも大

きい。

B 4Gy 急性被ばくすると、2∼3 週間程度後に一時的脱毛が生じる。

C 総線量が同一であれば 1 回で被ばくした場合の方が分割して被ばく

した場合よりも障害が小さい

D 3Gy 急性被ばくすると、数時間から 24 時間後に紅斑が生じる。

E 4Gy 急性被ばくすると、 6 ヶ月以内に皮膚の萎縮が生じる。

1 A と B 2 A と C 3 B と D 4 C と E 5 D と E

3

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24.血液の変化

基 本

①リンパ球

・間期死により減少。照射後 1 時間以内に減少が始まる。

・寿命が 2~ 4 日と短く、造血組織から供給されないため回復は遅れる。

②顆粒球(好酸球、好中球、好塩基球)

・被ばく後、 3~ 4 日で最低値。

・被ばく後、1~2 日以内に好中球は増加する。(一過性の増加)

・リンパ球より早く回復する。

③血小板

・被ばく後、 3~ 5 日で減少。

・血小板の寿命は8~ 9 日。

・照射後、10 日前後で最低値となる。

④赤血球

・被ばく後、 5~ 6 日後に若干の減少がみられる。照射後、 20 日前後で最低値となる。

・赤血球の寿命が 100~ 120 日であるので、減少する前に幹細胞が回復。

(1)骨髄は赤血球や白血球を作る造血組織である。造血作用があるときは

赤く、造血能力を失うと(1)に置き換わり( 2)を呈するようにな

る。前者を赤色骨髄、後者を( 2)骨 髄と呼ぶ。胎児までは赤色骨髄

のほか、肝臓や脾臓でも造血が行われる。生後の造血機能は赤色骨髄

のみとなり、骨髄のほとんどが赤色骨髄で占められる。その後、加齢

とともに赤色骨髄の造血機能が失われ、(2) 骨髄に置き換わってく

る。しかしながら、頭蓋骨、椎骨,肋骨、寛骨、上腕骨・大腿骨の近

位端は老年まで赤色骨髄をとどめる。

(2)造血系の障害により血液細胞の供給が止まると、末梢血の血球数の減

少となって現れる。ただし、( 3)については放射線被ばく後、数時

間から 1 日の間に( 4)を起こすことにより、最も早期に細胞数の減

少が観察される。一方、(5)については、放射線感受性が低く細胞

寿命が約 (6) 日と長いため、出血を伴わない場合には、急速な減少

はみられない。また、好中球の血液内での通常の(7) が 1 日以内と

短く、被ばく後第 1 日 目に急激に増加するが、その後線暈依存的に減

少する。

1 脂肪組織

2 黄色

3 リンパ球

4 アポトーシス

5 赤血球

6 120

7 寿命

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(3)末梢血中の細胞数は、末梢を流れる細胞自体の(8)と、(9)から

の細胞供給停止の 2 つの要因によって減少する。末梢血中のリンパ球

は機能分化を遂げた細胞であるが放射線感受性が極めて高く、( 10)

Gy 程度の照射を受けると、骨髄からの細胞供給停止を待たずに(4)

を起し( 11)日以内に急激に減少し、回復も (12)。

(4)(13)は、血中での寿命は 1 日と短いが、一部は( 14)などの臓器

に蓄えられており、感染などが起こると臓器から放出されることによ

り機能を発揮する。放射線によってもこの現象起こるため、( 13)は

被ばく後初期に血中の細胞数が増える初期増多がみられる。しかし、

細胞自身の放射線感受性 は高いため、すぐに細胞数は減少に転じ、

(15)以内に最低となる。

(5)赤血球の減少は赤血球の (16)により脾 臓などで壊されるためで

ある。末梢での寿命は( 17)日程度と長いため急激に減少することは

ない。被ばく後、 5~ 6 日後に若干の減少がみられる。照射後、 20 日

前後で最低値となる。

(6)血小板数は( 18)日後から減少し、( 19)日で最低値となる。

(7)輸血用血液照射

輸血する血液に放射線を 照射し、移植片対宿主病(GVHD)を予防

する目的で実施される。

137Csγ線や X 線を 15~ 50Gy 照射する。新鮮凍結血漿はリンパ球

が壊されているため、血液照射の対象にならない。照射した血液はリ

ンパが短時間でアポトーシスを起すため、時間を置かずに使用するこ

とができる。

8 放射線感受性

9 骨髄

10 0.25

11 1

12 遅い

13 好中球

14 脾臓

15 数日

16 寿命

17 120

18 3~ 5

19 10

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演習問題 24(血液の変化)

2Gy のγ線急性全身被ばく後の末梢血の変化に関する次の記述のうち、

正しいものの組合せはどれか。(58 回)

A 赤血球の減少率は血小板に比べ小さい

B 赤血球の減少は顆粒球の減少よりも早く認められる。

C リンパ球の減少は血球の中で最も遅く起こる。

D 顆粒球は被ばく後数日の間に一過性に増加する。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

X 線による 4Gy の急性全身被ばく後の末梢血液に関する次の記述のう

ち、正しいものの組合せはどれか。(54 回)

A リンパ球数は、被ばく後 1 日以内に減少する。

B 好中球数は、被ばく後 1∼2 日以内に一過性に増加する。

C 血小 板数は、被ばく後 5 日以内に最低値を示す。

D 赤血球数は、被ばく後 10 日以内に最低値を示す。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

X 線による 4Gy の急性全身被ばく後の末梢血液に関する次の記述のう

ち、正しいものの組合せはどれか。(59 回)

A リンパ球数は、被ばく後 1 日以内に一過性に増加する。

B 血小板数は、被ばく後 10 日後に最低値を示す。

C 赤血球数は、被ばく後 25 日以降に最低値を示す。

D 好中球数は、被ばく後 1 日以内に最低値を示す。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

5Gy のγ線急性全身被ばくによる放射線影響に関する次の記述のうち、

正しいものはどれか。(56 回)

1 顆粒球は被ばく直後に一過性に増加することがある。

2 B 細胞は T 細胞よりも致死感受性が低い。

3 血小板の減少は顆粒球の減少よりも早期に起こる。

4 顆粒球の減少は主にリンパ節が被ばくすることによって起こる。

5 赤血球の減少は観察されない。

3

1

4

1

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輪血用血液の放射線照射に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。(60 回)

A 血液成分のうち最も放射線致死感受性が高いのは赤血球である。

B 放射線照射により移植片対宿主病(GVHD)を予防できる。

C 吸収線量が 100∼200Gy となるように照射する。

D 新鮮凍結血漿以外のすべての輸血用血液が照射対象となる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

輸血用血液の放射線照射に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。 (62 回 )

A 血液成分のうち最も放射線の影響を受けるのは血小板である。

B 放射線照射により移植片対宿主病(GVHD)を防ぐことが目的であ

る。

C 吸収線量は 15∼50Gy である。

D 新鮮凍結血漿に行う。新鮮凍結血漿に混入したリンパ球は凍結処理

により死滅しており放射線の照射は必要ない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

輸血用血液の放射線照射に関する次の記述のうち、正しいものの組合せ

はどれか。 (63 回 )

A 血液製剤の移植片対宿主病(GVHD)を予防できる。

B 吸収線量が 1~10Gy の範囲で照射する。

C 効果 を高めるために照射後 1 週間以上経過してから使用する。

D 新鮮液状血漿は照射対象外である。

E 血液成分のうち放射線の影響を最も受けるのはリンパ球である。

1 A と B 2 A と E 3 B と D 4 C と D 5 C と E

4

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25.甲状腺の影響

(1)放射線照射に伴う 甲状腺疾患には、甲状腺機能低下症( 5Gy 以

上)、急性甲状腺 炎( 20Gy 以上)、慢性 リンパ性甲状腺炎(10Gy 以

上)、自己免疫の異常を原因とするバセドウ病などがある。その他、甲

状腺に腫瘍ができる結節性甲状腺腫があり、良 性または悪性に分 類さ

れる。結 節の約 95%は(1)とされる。

(2)安定ヨウ素剤の経口 投与によって、放射性ヨウ素の甲状腺への集積 が

抑制され、甲状腺への被ばく線量が低 減される。放射性ヨウ素が体内

に(2)に服用することで、90%以上の集積を抑制できる。服用後は

少なくとも 1 日程度の効果が持続するとされる。安定ヨウ素剤の投与

は、甲状腺以外の 臓器や(3)に対しては全く効果を示さない。

(3)全年齢における名目リスク係数は 33 である。就労年齢集団(18~

64 歳)では9となる。一方、18 歳未満では 100 となることから、若

年者ほど甲状腺がんなりやすいといえる。

1 良性

2 摂取される前

3 外部被ばく

演習問題 25(甲状腺)

甲状腺のγ線急性外部被ばくの影響に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(61 回)

A 被ばく前の安定ヨウ素剤の内服により影響は軽減する。

B 10Gy の被ばくで甲状腺機能低下が生じる。

C 3Gy の被ばくで甲状腺良性結節が増加する。

D 1Gy の被ばくで急性甲状腺炎が生じる

1 A と C 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射性ヨウ素の急性摂取による甲状腺の内部被ばくに関する次の記述の

うち、正しいものの組合せはどれか。(57 回)

A 10Gy の被ばくで甲状腺機能低下症になる。

B 1mGy の被ばくで甲状腺機能亢進症になる。

C 吸入により体内に摂取された放射性ヨウ素は主に尿により体外に排

泄される。

D 放射性ヨウ素吸入摂取の 24 時間後に安定ヨウ素剤を服用すれば、放

射性ヨウ素の甲状腺への集積はほぼ完全に抑制される。

1 ABD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

3

3

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26.眼の影響

(1)水晶体は光学的に透明な( 1)組織である。水晶体は薄い透明な膜で

覆われ、その内部には透明な蛋白質が入っている。透明な膜を水晶体

嚢といい、前方(角膜側)の部分を前 嚢、後 方を(2)と呼ばれてい

る。

(2)水晶体の主要な症状は混濁である。特に水晶体嚢の内部にある蛋 白

質の混濁が進行したものを白内障という。白内障の原因には①老化、②

糖尿病、③紫外線、④その他(外傷、炎症、先天的など)がある。この

うち、放射線被ばくでは( 2)下領域での混 濁が進み、( 2)下白内障と

なる特徴を持っている。これは、水晶体の前面で被ばくした後、白濁し

た( 3) が( 2)下に移動し集積することで発 症する。( 2)下白内障は

年齢に関係なく発症の割合が小さいが、放射線 被ばくでは(2)におけ

る混濁が起こりやすい。なお、日光、紫外線、赤外線の被ばくによる白

内障は前嚢の混濁による表在性皮質混濁となる。

(3)眼の水晶体は放射線感受性が( 4)組織の 1 つである。検出可能な

水晶体の変化は 0.2~(5)Gy で認められる。水晶体混濁の初期段階

では視力障害にならないが、線量の増加および被ばく後の経過時間に

よって症状が少しずつ進行していく。なお、潜伏期間と線量の間には

逆相関が成立する。そのため、被ばく線量の増加に伴って潜伏期間は

(6)される。また、(7)が低いほど、しきい線量値は高くなり、潜

伏期間は(8)なる。

(4)同一吸収線量では高 LET 放射線で発生しやすい。

1 無血管

2 後嚢

3 水晶体上皮細胞

4 高い

5 0.5

6 短縮

7 線量率

8 長く

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演習問題 26(眼の影響)

眼とその付属器のγ線急性被ばくが直接的原因とならないものは次のうち

どれか。

1 白内障 (61 回)

2 緑内障

3 角膜炎

4 眼乾燥症候群(ドライアイ)(ヒント:涙腺上皮細胞の損傷)

5 眼球突出(ヒント:甲状腺機能亢進症 放射線で起こるか?)

γ線被ばくを受けた眼の水晶体の放射線影響に関する次の記述のうち、正

しいものの組合せはどれか。(64 回)

A 線量が大きくなると放射線白内障の平均的な発症までの期間が短縮

する。

B 水晶体混濁のしきい線量は 0.5Gy である。

C 放射線白内障は水晶体の後嚢下 (目の奥に近い部分 )で細胞が被ばくす

ることによって起こる。

D 線量率が低下すると視力障害性の放射線白内障のしきい線量は低下

する。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

放射線白内障に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(52 回)

A 同一吸収線量では、γ線に比べ速中性子線で発生しやすい。

B しきい値が存在する。

C 線量率効果は認められない。

D 潜伏期は認められない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線による白内障に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(53 回)

A しきい値が認められる。

B 進行した症例でも他の原因で誘発された白内障と区別できる。

C 線質による違いは認められない。

D 被ばく線量によらず潜伏期間は一定である。

E 水晶体上皮細胞の障害による。

1 A と B 2 A と E 3 B と C 4 C と D 5 D と E

5

2

1

2

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27.肺・乳房の影響

(1)肺

1)呼吸困難 ,咳 ,発熱を伴う放射線肺炎のしきい値は、急性被ばくの場

合の値は(1)Gy、 多分割照射による被ばくの場合の値は 18Gy と

なる。9.5Gy の被ばくがあると、肺炎の発生が(2) %を超えると

される。

2)6Gy を超えた被ばくになると放射線肺炎のほかに 1~3 か月の潜

伏期間経て(3)が出現する。

3)肺は( 4)や腎臓と同じように( 5) 臓器である。そのため、肺の

一部が照射されても肺全体に症状が現れることはない。

4)被ばく (6)~24 ヶ月後に( 7)に進行する可能性があり、線維化

が進行するにつれて肺機能が低下する。

(2)乳房

1)原爆被爆者の追跡調査では、乳癌の増加は被ばく後(8) 年以上経

過してから認められている。そのリスクは被 ば く時年齢が 40 歳以

上の女性に比べ,若年であるほど(9),特に 10 歳未満でのリスク

が最も高いことが示されている。

2)放射線誘発乳癌の( 10)については、自然発生での乳癌との違い

はない。

3)結核に対する気胸術後の頻回の X 線検査,乳腺炎,良性乳腺疾

患,乳児期の胸腺肥大,皮膚血管腫に対する放射線照射などにおい

て乳癌のリスク増加が認められている。

1 6

2 50

3 肺浮腫

4 肝臓

5 並列

6 6

7 放射線肺線維症

8 10

9 高く

10 組織型

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演習問題 27(肺・乳房の影響)

X 線被ばくによる放射線肺炎に関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(57 回)

A 放射線肺炎では呼吸困難が起きない。

B 全身被ばくでは骨髄障害よりも高い線量で起こる。

C 一般に肺の一部が被ばくしても肺全体に炎症が生じる。

D 高線量では放射線肺炎が発生した後に肺線維症が生じる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

9.5Gy のγ線被ばくによる肺の障害に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(64 回)

A 肺の一部だけが被ばくした場合でも肺全体に炎症が生じる。

B 被ばく後 1 週間で肺浮腫が出現する。

C 被ばくにより 50%以上の頻度で放射線肺炎が起こる。

D 被ばく後約 6 か月以降に肺線維症が起こる。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

放射線被ばくによる乳がんの発生に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(57 回)

A 自然発生した乳がんと異なる病理学的特徴を持つ。

B 被ばく後約 30 年してから増加する。

C 被ばく時年齡が低いほど発生の過剰相対リスクが高い。

D 女性ホルモンが影響する。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

放射線誘発乳がんで正しい組合せはどれか。 (63 回 )

A 被ばく線量が増大すると重篤度が増す

B 発症リスクは被ばく線後約 30 年から増加する。

C 放射線発がんの過剰相対リスクの大きさは被ばく時年齢に関係があ

る。

D アルコール摂取は発症リスクを増加させる。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と D 5 C と D

4

4

5

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28.胎内被ばく

基 本

母親の胎内で放射線被ばくを受けた結果、胎児が被ばくすることを胎内被ばくという。胚

(胎芽)及び胎児に対する放射線の影響は、動物実験の結果並びに原爆胎内被ばく者の疫学調

査の結果により評価されている。

(1)放射線影響の観点から、受精から出生までの間は 3 つに区分されて

いる。

(1)は、ヒトでは受精後 8 日ま での期間である。この時期の主な放

射線影響は(2)である。しきい線量は、マウスでは (3)Gy である。

(2)に至らなかったものは、成長を正常に続け影響は残らないと考

えられている。

(2)( 4)は、ヒトでは着床後から受精後 ~ (5)週までの期間であ

る。この時期の主な放射線影響は(6)である。しきい線量は、ヒト

では(7)Gy 程度と考えられている。

(3)器官形成期の後、出生までが( 8)期 (8 週~出生)である。この

時期では、(9)や発育遅延が観察されている。

(4)動物実験では多様な奇形が生じることが報告されているが、原爆胎內

被ばく者で認められた主な奇形は(10)である。四肢の奇形は確認さ

れていない。

(5)原爆胎内被ばく者では被ばくの影響として (9)が 観察されている。

重度知的障害が起こる可能性のある時期は 受 精 後 8~ 25 週、特に大脳

皮質の発達時期である(11)が起こりやすい時期とされている。25 週

を過ぎると大脳皮質の発達がほぼ終わり、放射線被ばくによる精神発

達の遅延は認められなくなる。

(6)小児がんのリスクは、幼児期と胎内被ばくで有意な差は認められて

(12)。成 人と比較して 2~ 3 倍のリスクがある。

1 着床前期

2 胚死亡

3 0.1

4 器官形成期

5 8

6 奇形

7 0.1

8 胎児

9 精神発達遅滞

10 小頭症

11 8~ 15

12 いない

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演習問題 28(胎内被ばく)

原爆被爆者の疫学調査で有意な増加が観察された胎内被ばく影響とし

て、正しいものの組合せは次のうちどれか。(59 回)

A 精神遅滞

B 低身長

C 小頭症

D 四肢の奇形

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD の 5 ABCD すべて

原爆被爆者における胎内被ばくの影響に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか(61 回)

A 幼児期被ばくに比べて小児がんのリスクが有意に高い。

B 発育遅延の有意な増加が観察されている。

C 小頭症の有意な増加が観察されている

D 精神遅滞の有意な増加が観察されている。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

ヒトの胎内被ばくにより重度知的障害が最も起こりやすい被ばくの時期

は、次のうちどれか。(64 回)

1 受精後 8 日まで

2 受精後 8 日~8 週

3 受精後 8 週~15 週

4 受精後 15 週~25 週

5 受精後 25 週以降

胎内被ばくに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(55 回)

A 着床前期の被ばくでは四肢異常の発生率が上昇する。

B 被ばくによる奇形発生にはしきい線量が存在する。

C 妊娠 10 週での被ばくでは小頭症の発生率が上昇する。

D 発がんリスクは成人で被ばくした場合に比べて低い。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

1

4

3

3

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器官形成期における胎内被ばくに関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。(57 回)

A 胎児に奇形が発生する可能性が妊娠期間中で最も高い。

B 出生前死亡の頻度が高くなる。

C 発がんリスクは増加しない。

D 精神遅滞は起こらない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

X 線による胎内被ばくの影響に関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(58 回)

A 奇形が生じやすい時期は、受精後 1 週間までの期間である。

B 発がんリスクは、小児と比較して非常に高い。

C 器官形成期に胎児が 0.5Gy 被ばくすると奇形発生のリスクが増す。

D 遺伝性(的)影響も想定されている。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

X 線による胎内被ばくの影響に関する次の記述のうち、正しいものの組

合せは .どれか。(58 回)

A 小頭症のしきい線量は 10mSv 程度である。

B 精神遅滞が生じやすいのは妊娠 25 週目以降である。

C 精神遅滞のしきい線量は 10mSv 程度である。

D 致死感受性が最も高いのは着床前期である。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

ヒトの胎内被ばくによる放射線影響に関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。 (63 回 )

A 受精後 0~8 日の 2Gy 被ばくにより、胚死亡が生じる。

B 受精後 9~8 週の被ばくによる奇形発生のしきい値は 0.1Gy であ

る。

C 受精後 8 週~15 週の 1Gy 被ばくにより、重度精神遅滞が観察され

る。

D 受精後 26 週~40 週の 0.15Gy 以上の被ばくにより、小頭症が観察

される。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

1

5

4

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胎内被ばくによる精神遅滞に関する次の記述のうち、正しいものの組合

せはどれか。 (62 回 )

A 受精後 0∼7 週の被ばくで精神遅滞が観察される。

B 受精後 8∼15 週の被ばくで精神遅滞が観察される。

C 受精後 16∼25 週の被ばくで精神遅滞が最も顕著に観察される。

D 受精後 26 週以降の被ばくでは精神遅滞が観察されない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4

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29.内部被ばく

基 本

体内に取り込まれた放射性物質は、主に肝臓や腎臓で代謝された後に体外に排泄される。排

泄など生物学的要因により体内量が半分になる時間を生物学的半減期 Tb という。放射性物質

は物理的半減期 Tp により壊変するため、体内に残留している放射性物質の放射能が取り込み

時の半分になる時間は、 により与えられる有効半減期で表される。

(1)摂取された放射性物質は(1)に入ると全身性に循環し、物質によっ

ては特定の臓器に (2)してその臓器の障害を起こすこともある。内

部被ばくでは( 3)の短い放射線の影響も問題となる。

(2)ヒ卜における内部被ばくによる誘発腫瘍として、造影剤と使用し

た卜ロト ラス卜注入患者における(4)や、時計のラジウム夜光塗

料文字盤工に起こった( 5)が歴史的に知られており、いずれの発

がんも( 6)線の寄与が大きいと考えられている。

(3)アルカリ土類金属に属する(7)と化学的性質が似ている 89Sr は

(8)に集積するので、悪性腫瘍の骨転移によって起こる疼痛緩和に

有効である。また、ヨウ素が甲状腺ホルモンの成分であることを利用

して、甲状腺機能亢進症の治療に(9)が経 口 剤として用いられる。

(4)核種ごとに集積部位が異なる。特に骨に集積する核 種を( 10)核種

という。

1 血中

2 集積

3 飛程

4 肝臓がん

5 骨腫瘍

6 α

7 カルシウム

8 骨

9 131I

10 向骨性

Page 140: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

(5)内部被ばくの特徴

1)体内に取り込まれた核種は一般に排泄しにくい。少量であっても

長期間の被ばくを受ける。また、飛程の短いα線はγ線より内部被ば

く線量が(11)なる。

2)食物から摂取された放射性同位元素は( 12)で吸収される。これ

を経口摂取という。水溶性や脂溶性の性質をもつものは(12)で吸

収されやすい。

3)気体状および RI が付着した粉塵が( 13)に伴って体内に取り込

まれる。これを吸入摂取という。(13)によって RI が( 14)に入

り,その後、一部が( 15)中に移 行する。

4)皮膚や粘膜から RI が体内に吸 収される。特に傷口面から摂取され

る。これらを( 16)摂取という。

(6)有効半減期(Teff)

1)生物学的半減期(Tb)は排泄機構(糞便,呼吸,汗など)により

体内の放射能が半分に減少するまでの時間を示す。

2)物理的半減期(Tp)は放射性壊変で放射能が 1/2 になるまでの時

間を示す。

3)有効半減期と生物学的半減 期および物理的半減期の関係は以下の

通りである。

1/Teff= 1/Tb+1/Tp

Teff=Tb×Tp/(17)

4)物理的半減期(Tp)が生物学的半減期(Tb)と比較して極めて長

い場合、有効半減期は短い方の生物学的半減期の値とほぼ同じとな

る。

5)体内にある RI に対して排泄を促進する薬剤の投与で生物学的半減

期を短くすることができる。

6)有効半減期は「時間」で決定される。RBE や(18)などは有効半

減期に影響を与えない。

11 多く

12 消化管

13 呼吸

14 肺

15 血液

16 経皮

17 Tb+Tp

18 LET

Page 141: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

(7)預託実効線量(実務編も参照)

1)内部被ばく線量は RI を摂取した時点からの積分値 で算出する。

2)内部被ばく線量は、一般・子供は( 19)歳、放射線業務従事者

(職業人)は( 20)年間における被ばく線量で算出する。

3)(20)年 間の( 21)に放射線加重係数を掛けると(22)線 量が

算出される。単位は( 23)である。

4)体内に存在する RI 量は、ホールボディカウンタを用いた

(24)、対象者の排泄・分泌物を測定する(25)法がある。その

他、体内摂取した施設、取り扱っていた RI 量などから計算によっ

て求める方法もある。

5)預託実効線量は( 22) 線量とその臓器又は組織の( 26)との積の

総和として求められる。

6)放射線加重係数および(26)の数値は(27)影響から求められて

いる。そのため、預託実効線量は(27) 影響のリクス評価に用いら

れる。

7)算出のプロセスは以下の通り。

19 70

20 50

21 吸収線量

22 預託等価

23 Sv

24 体外計測法

25 バイオアッセイ

26 組織加重係数

27 確率的

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(8)集団実効線量預託

1)居住する集団における年集団線量率を無限時間まで集計して得ら

れる線量である。ある線源が人の生活環境を汚染することで生じ

る。単位は man・ Sv で表される。

2)過去の大気圏核実験によるフォールアウトでの集団実効線量預託

では、放出された量が多く、半減期が長い核種の寄与が大きくな

る。線量に寄与する核種として 14C、 137Cs 、 90Sr、 104Ru、

144Ce、 3H とされている。この中で 14C は半減期が長く、集団実効

線量預託に最も大きく寄与する核種である。

(9)放射性ヨウ素の体内摂取

体内に摂取された放射性ヨウ素は(28)で吸 収される。(28)か

らの吸収率 100%である。その後、( 29)に入り 10~ 30%は 24

時間以内に(30)に蓄積される。残りは腎臓から(31)に排泄され

る。

28 消化管

29 血中

30 甲状腺

31 尿中

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演習問題 29(内部被ばく)

次の放射性核種のうち、骨に集積する核種として正しいものの組合せは

どれか。(55 回)

A 32P

B 90Sr

C 125I

D 226Ra

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

生体内に入った場合に主要な集積部位が骨ではない核種は次のうちどれ

か。(61 回)

1 32P

2 90Sr

3 210Po(レア:主に肝臓に集積)

4 226Ra

5 241Am

次の核種のうち体内で主に骨に集積するものの組合せはどれか。(64 回)

A 60Co

B 90Sr

C 137Cs

D 226Ra

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

放射性核種と体内での集積部位の関係として、正しいものの組合せは、

次のうちどれか。 (58 回)

A 32P――――― 肝 臓

B 60Co―――――肺

C 90Sr―――――骨

D 137Cs―――― 全 身

E 226Ra―――― 骨

1 ABD のみ 2 ABE のみ 3 ACD のみ

4 BCE のみ 5 CDE のみ

2

3

5

5

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次の放射性核種と内部被ばくの影響の組合せとして、誤っているものは

どれか。(62 回)

1 プルトニウム 239― ――――肝がん

2 コバルト 60――――――― 肝がん

3 ラジウム 226―――――――肝がん

4 鉄 59―――――――――― 白血病

5 ラドン 222――――――――肺がん

次の放射性核種とその集積部位の組合せのうち、正しいものはどれか。

A 226Ra――――肺 (53 回)

B 14C―――――骨

C 32P―――――肝 臓

D 90Sr――― ---骨

1 ABC のみ 2 AD のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

次の放射性核種と主な分布臓器の組合せで正しいものはどれか。

A 32P―――――脳 (57 回)

B 90Sr―――― 骨

C 137Cs――――全 v 身

D 222Rn――――胃

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

次の放射性核種とその集積部位の組合せのうち、正しいものはどれか。

(55 回)

A 3H ――――――骨

B 59Fe ―――――骨 髄

C 60Co ―――――肝 臓

D 137Cs ―――― 脳

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

次の放射性核種と主な集積臓器の組合せのうち、正しいものはどれか。

1 32P―――― 肺 臓 (54 回)

2 59Fe――――腎 臓

3 60Co――――肝 臓

4 90Sr――――脾 臓

5 137Cs――― 骨

3

4

3

3

3

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血液中に入った時、放射性コロイドとなる核種がある。この場合、放射

性コロイドが沈着する主な組織の組合せとして正しいものは、次のうち

どれか。(52 回)

1 脳と肝臓

2 生殖腺と脾臓

3 骨と膵臓

4 肺と甲状腺

5 肝臓と脾臓

[131I]ヨウ化ナトリウムの体内動態に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(60 回)

A 経口摂取により消化管から 80%以上が体内に吸収される。

B 131I の体内からの排泄の 80%以上は尿中への排泄である。

C 体内に摂取された 1311 の 90%以上が甲状腺に蓄積する。

D 母体から胎児に移行することはない。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

内部被ばくに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(57 回)

A 放射性核種の摂取経路は主として、経皮(創傷を含む)、経気道

(吸入)および経口である。

B 主として遺伝性(的)影響をもたらす

C 生物学的半減期が影響する。

D 飛程の短い放射線の影饗は小さい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

5

2

2

Page 146: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

125I の有効半減期を 42 日、物理的半減期を 60 日としたとき、生物学的

半減期として最も近い値は、次のうちどれか。(54 回)

1 20

2 60

3 100

4 140

5 180

125I の物理的平減期を 60 日、生物学的半減期を 140 日としたとき、有

効半減期(日)として最も近い値は、次のうちどれか。(56 回)

1 20

2 40

3 80

4 120

5 140

体内に取り込まれたある放射性核種の放射能が 1 年でちょうど 16 分 の

1 に減少した。この放射性核種の物理的半減期が 2 年であるとき、生物

学的半減期(日)として最も近い値は次のうちどれか。(60 回)

1 23

2 81

3 91

4 104

5 639

4

2

4

Page 147: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

預託実効線量に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(54 回)

A 臓器・組織が受ける吸収線量率を 50 年にわたって積算した線量であ

る。

B 単位は Sv である。

C 預託等価線量とその臓器又は組織の組織加重係数との積の総和とし

て求められる。

D 長期にわたる外部被ばくを評価するために用いられる。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

預託実効線量に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 子供の場合、摂取時から 50 年間を積算期間とする。 (64 回)

B 預託実効線量の単位はシーベルトである。

C 長期にわたる外部被ばくの影響を評価するために用いる。

D 確率的影響のリスクを評価するために用いる。

1 A と B 2A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

預託実効線量に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか

(57 回)

A 成人の場合、組織・臓器が受ける吸収線量率を 50 年にわたって積算

した線量である。

B 単位はシーベルトである。

C 預託等価線量とその組織・臓器の組織加重係数との積の総和として

求められる。

D 長期にわたる外部被ばくを評価するために用いられる。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

預託実効線量に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 単位は SV・年である。 (61 回)

B 特に指定しない場合、子供に対しては摂取時から 50 年間の実効線量

を積算する。

C 長期にわたる内部被ばくを評価するために使用する。

D すべての臓器・組織の確率的影響のリスクを評価するために使用す

る。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4

5

4

5

Page 148: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

核実験により大気中に放出された放射性核種のフォールアウト放射能で

集団実効線量預託に最も大きく寄与する核種は次のうちどれか。 (62 回 )

1 3H

2 14C

3 90Sr

4 137Cs

5 239Pu

2

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30.自然放射線・人工放射線による被ばく

(1)1 年間の平均被ばく

世界平均は(1)ⅿSv、日本平 均は( 2)ⅿ Sv である。

(2)ラドン・トロン

1)世界平均は( 3)mSv、日本は 0.46m Sv である。

2)世界平均( 1)m Sv のうち、約半数は( 4)による被ばくであ

る。

3)日本はラドンによる被ばくが少ない。日本家屋が通気性の良く

木造構造であることに起因している。

4)我が国 のラドンによる被ばくは( 5)m Sv、トロン による被ばく

は 0.09m Sv である。

(3)カリウムとポロニウム

1) 40K、 210Po、 210Pb は(6) 中に含まれる。

2)体重 60kg の成人では体 内に常に( 7)Bq の 40kが存在する。

3)ポロニウムによる被ばくは(8) mSv、カリウムでは(9)mSv

とされる。

4)我が国の年間被ばく線量( 2)のうち、約半数が食品に含まれる

40K、 210Po、 210Pb からである。

1 2.4

2 2.1

3 1.26

4 ラドン

5 0.37

6 食品

7 3000~ 4000

8 0.8

9 0.18

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(3)医療被ばく

1)人工放射線による被ばくのうち、( 10)に占める割合が極めて高

い。

2)日本の医療被ばくは(11)mSv、世界では 0.6mSv とされて

いる。他国と比較して( 12)の普及台数 が高いことが原因であ

り、医療被ばくは 自然放射線より高い 値となっている。

3)検査手技別の線量は以下の通り。

4)評価対象とする集団における 1 人当たりに被ばく線量を合計し

た(13)は医療被ばくより自然放射線被ばくに方が高い値とな

る。なお、集団実効線量を算出する際には放射線治療によるもの

を含めない。

(4)日本国民 1 名当たりの被ばく線量(自然と人工の合計)

(5)宇宙線

地球上には(14)が到達し、そのうち、98%が原子核、残りの

2%は電子である。原子核のうち、87%が( 15)(水素原子核)、

12%がヘリウム、残りは重い原子核である。これらが大気を構成する

原子核と衝突して(16)反 応を起こし、その過程で陽子、中性子、電

子、γ 線、ミューオンが発生する。これを(17)宇宙線という。

10 医療被ばく

11 3.87

12 x線 CT

13 集団実効線量

14 銀河宇宙線

15 陽子

16 核破砕

17 二次

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(6)高 度

高度が高くなるほど空気が薄くなる。遮蔽効果が少なくなるため、

高度が( 18)ほど宇宙線による被ばくが多くなる。高 度 11000ⅿで

は地上の 約(19) 倍になる。東京―ニューヨーク間を往復すると約

0.2mSvの被ばくとなる。

(7)緯度

(20)の影響があり(21)ほど宇宙線は強くなる。太陽の活動によ

って宇宙線の強さは変化する。

(8)大地の構造

1)西日本の地下 岩盤は花崗岩で作られている。一方、東日本は玄武

岩である。花崗岩は自然 放射性核種を玄武岩より多く含むことから

(22)の方が大地からの外部被ばくが多くなる。

2)大地からの被ばくは(23)ⅿ Sv/年である。(24)による被ばく

とほぼ同 じ線量となる。

18 高い

19 100

20 地磁気

21 高緯度

22 西日本

23 0.33

24 宇宙線

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演習問題 30(自然放射線・人工放射線による被ばく)

日本における自然放射線による被ばくに関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか。(59 回)

A 経口摂取による内部被ばくに対する寄与は力リウム 40 が最も大き

い。

B ラドン、トロン及びその子孫核種による被ばく線量は日本平均より

世界平均が高い。

C 吸入摂取による内部被ばくに対する寄与はトロン及びその子孫核種

が最も大きい。

D 年間被ばく線量は約 2.1mSv である。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

我が国における自然放射線による年間実効線量の最近の評価に関する次

の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。(58 回)

A 年間実効線量は約 2.1mSv と推定されている。

B 世界平均に比べ我が国ではラドン・トロンによる内部被ばく線量が

大きい。

C 内部被ばくは主に鉛 210、ポロニウム 210 によるとされている。

D 大地からの放射線による被ばく線量は宇宙線による被ばく線量の約

3 倍である。

1 A と C 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

公衆の 1 人当たりの年間実効線量に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。(64 回)

A 宇宙放射線による被ばくは、高度が同じであれば高緯度の地域に比べ

て低緯度の地域の方が高い。

B 世界平均ではラドンとその子孫核種による内部被ばくが自然放射線

による被ばくの中で最も多い。

C 日本平均では医療診断による被ばくが自然放射線による被ばくより

も多い。

D 日本平均では食物からの内部被ばくが自然放射線による被ばくの中

で最も多い。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

5

1

4

Page 153: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

我が国における自然放射線の被ばくに関する次の記述のうち、正しいも

のの組合せはどれか。 (63 回 )

A 自然放射線源から受ける国民 1 人当たりの年間平均被ばく線量は

4.3mSv である。

B 大地からの放射線による被ばく線量は大地が玄武岩よりも花崗岩で

主に構成されている場合の方が大きい。

C 宇宙線による被ばく線量率は沖縄よりも北海道の方が高い。

D 内部被ばくに対する寄与は、カリウム 40 が最も大きい。

E 吸入による内部被ばくに対する寄与は、ラドン 220 とその子孫核種

の方がラドン 222 とその子孫核種よりも大きい。

1 A と D 2 A と E 3 B と C 4 B と E 5 C と D

我が国における自然放射線およびそれによる被ばくに関する次の記述の

うち、正しいものの組合せはどれか。(61 回)

A 外部被ばく線量は内部被ばく線量よりも大きい。

B 内部被ばくでは、 14C の摂取によるものが最も寄与が大きい。

C 一次宇宙線としては銀河からの陽子が大部分を占める。

D 年間被ばく線量は約 2.1mSV である。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

ラドン( 222Rn)、卜ロン( 220Rn)及びこれらの子孫孩種の吸入による自

然放射線内部被ばくに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(60 回)

A ラドン及びその子孫核種による内部被ばく線量は、トロン及びその

子孫核種による内部被ばく線量に比べて高い。

B ラドン原子あるいは卜ロン原子が放出する放射線による被ばく線量

は、それぞれのすべての子孫核種が放出する放射線による被ばく線量

に比べて低い。

C 日本において、屋内のラドン及びトロンの平均濃度は、屋外のラド

ン及びトロンの平均濃度に比べて高い。

D 日本におけるラドン、卜ロン及びこれらの子孫核揮の吸入による内

部被ばく線量の平均は、世界全体におけるラドン、卜ロン及びこれら

の子孫核種の吸入による内部被ばく線量の平均に比べて高い。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

5

1

Page 154: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

次の自然放射線及び人工放射線のうち、日本における 1 入当たりの実効

線量に最も大きく寄与しているものはどれか。

1 大地放射線 (54 回)

2 宇宙線

3 ラドンからの放射線

4 医療用放射線

5 体内に摂取された食物由来の放射性核種からの放射線

医療診断による被ばくに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(64 回)

A 日本における 1 人当たり、1 年当たりの医療診断による被ばくの実効

線量は、平均で約 4mSv である。

B 体幹部 CT による被ばくの実効線量は、1 検査当たり約 10mSv であ

る。

C 胸 部 X 線 ( 直 接 ) 撮 影による被ばくの実効線量は、 1 検査当たり

0.5~1mSv である。

D 乳 房 X 線撮影による被ばくの乳腺における吸収線量は、1 検査当たり

2~3mGy である。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

日本における人工放射線による一般公衆の被ばくに関する次の記述のう

ち、正しいものの組合せはどれか。(59 回)

A 原子力発電所による寄与が最も大きい。

B 核実験における集団実効線量預託への寄与では炭素 14 が最も大き

い。

C CT 検査 1 回当たりの平均実効線量は約 2∼13mSv である。

D 医療被ばく線量は約 0.4mSv/年である。

1 A と C 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4

2

3

Page 155: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

世界人ロにおける医療被ばくの年間集団実効線量に関する次の記述のう

ち、正しいものの組合せはどれか。(61 回)

A 医療被ばくによる年間集団実効線量には放射線治療による患者の被

ばくも含まれる。

B 自然放射線による年間集団実効線量に比べると、医療被ばくの方が

大きい。

C X 線診断と核医学診断を比べると X 線診断の方が大きい。

D X 線診断のうちで最も大きいのは CT によるものである。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

自然放射線レベルが通常に比べて高い地域 (高バックグラウンド地域)に

関する次の記述のち、誤っているものの組合せはどれか。(55 回)

A がん死亡率が高い。

B 遺伝性疾患の発生率が高い。

C 女性の甲状腺がんの発生率が高い。

D 白血病の発生率が高い。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

自然放射線に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(62 回 )

A 宇宙線は高度が同じなら緯度にかかわらずほぼ均一に降り注ぐ。

B 日本人の食品による内部被ばくの実効線量に最も大きく寄与する放

射性核種は 14C である。

C 日本人の体内に存在する放射性核種のうち、最も放射能が高いもの

は 40K である。

D 世界全体の年平均の実効線量で、大地からの放射線による外部被ば

くの実効線量は、ラドン及びその子孫核種の吸入による内部被ばくの

実効線量より大きい。

E 自然放射線による 1 年当たりの被ばくの実効線量の世界平均は約

2.4ⅿSv である。

1 A と B 2 A と C 3 B と D 4 C と E 5 D と E

5

5

4

Page 156: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

31.高 LET 放射線の生物作用

基 本

放射線の飛跡の単位長さ当たりのエネルギー付与を LET という。細胞の吸収線量が同じでも、

照射する放射線の LET が異なると、生物効果が大きく異なる場合がある。

高い LET を持つ放射線として、α線、重イオン線などがある。これらの放射線では生物学的効

果比が高い。また、低い LET の放射線と比べて直接作用の割合が高いと考えられる。

(1)放射線の単位飛跡当たりのエネルギー付与は(1)で表される。細胞

の高(1)放射 線に対する致死感受性は、一般に低(1)放射線に比べて

(2)。また、高(1)放射線を照射した細胞の生存率曲線の(3)は

小さい。

(2)高 LET 放射線の細胞致死作用は(4) 作用の寄与が大きい。

(3)高 LET 放射線の培養細胞致死感受性に関する(5)は低 LET 放射線

に比べて小さい。

(4)低 LET 放射線では、培養液中の酸素分圧が 50mmHg の場合、

(5)は約( 6)程 度とななる。

(5)高 LET 放射線で分割照射しても細胞の致死率はほとんど変化しな

い。

(6)一般に放射線の LET が高くなるにつれ、致死効果に 関する( 7) は大

きくなるが、100~200keV・μm- 1 程度で最大値となり、それ以上

では LET の増加とともに( 8)なる。

(7)(9)keV・μm- 1 程度まで RBE が増加する。X 線などに比べて修 復

しにくい DNA 損傷の収率が高くなるためと考えられている。

(8)LET が高くなりすぎると電離が密になりすぎ、RBE は( 10)する。

1 LET

2 高い

3 肩

4 直接

5 0ER

6 3

7 RBE

8 小さく

9 100~200

10 低下

Page 157: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

演習問題 31(高 LET 放射線の生物作用)

次の放射線のうち、高 LET 放射線に分類されるものの組合せはどれか。

A γ 線 (58 回)

B β 線

C 中性子線

D 炭素イオン線

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

低 LET 放射線と比較した高 LET 放射線の細胞致死作用に関する次の記述

のうち、正しいものの組合せはどれか。(58 回)

A ラジカルス力ベンジャーによる防護効果が小さい。

B 間接作用の寄与が大きい。

C RBE が大きい。

D 線量率効果が大きい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

低 LET 放射線と比べた高 LET 放射線の細胞致死作用に関する次の記述の

うち、正しいものの組合せはどれか。(55 回)

A 直接作用より間接作用の寄与が大きい。

B 細胞周期依存性が小さい。

C 線量率により大きく変化する。

D 分割照射による変化が小さい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

低 LET 放射線と比較した場合の高 LET 放射線の細胞致死作用の特徴とし

て、正しいものの組合せはどれか。(61 回)

A 線量率効果が大きい。

B 酸素効果が小さい。

C 直接作用の寄与が大きい。

D 細胞周期依存性が小さい。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 BD のみ 5 BCD のみ

5

2

4

5

Page 158: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

低 LET 放射線と比較した高 LET 放射線の特徴に関する次の記述のうち、

正しいものの組合せはどれか。(60 回)

A LET が大きくなればなるほど、RBE は大きくなる。

B OER が小さい。

C 直接作用の寄与が大きい。

D 一般に同一吸収線量では放射線発がんのリスクが低い。

1 A と C 2 A と D 3 B と C 4 B と D 5 C と D

低 LET 放射線と比較した場合の高 LET 放射線の細胞致死作用の特徴とし

て、正しいものの組合せはどれか。 (62 回 )

A 線量率効果が小さい。

B 生存率曲線の傾きが小さい。

C ラジカルス力ベンジャーによる防護効果が小さい。

D 間接作用の寄与が大きい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

低 LET 放射線と比較した場合の高 LET 放射線の細胞致死作用の特徴とし

て、正しいものの組合せは次のうちどれか。(59 回)

A ラジカルス力ベンジャーによる防護効果が小さい。

B 酸素効果が小さい。

C 線量率効果が小さい。

D 同じ程度の致死作用を得るのに必要な吸収線量が小さい。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

LET と細胞致死作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(56 回)

A 高 LET 放射線は低 LET 放射線よりも細胞致死作用が小さい。

B 髙 LET 放射線は低 LET 放射線よりも間接作用の寄与が小さい。

C RBE は LET が 100∼200keV・μⅿ - 1 の範囲で最低となる。

D 高 LET 放射線は低 LET 放射線よりも細 胞周期依存性が小さい。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 BD のみ 5 BCD のみ

3

2

5

4

Page 159: 1.直接作用と間接作用(9)DNA 損傷のような生物作用においては、X 線のような(21)LET 放 射線の場合は(22)作用の寄与が大きく、重粒子線のような(23)LET

γ線と比べた速中性子線の生物作用の特徴として、正しいものの組合せは

どれか。(57 回)

A 致死作用の細胞周期依存性が大きい。

B 間接作用の割合が大きい。

C 修復されにくい DNA 損傷を引き起こす。

D 細胞生存率曲線において肩が小さい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

5

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32.生物学的効果比(RBE)

基 本

RBE は基準放射線となる 200~250kV の X 線又は 60Coγ線によるある生物効果を示す吸収

線量を、対象となる放射線が同じ生物効果を示すのに要した吸収線量で除 した値を示してい

る。最小値は 1 となる。

(1)ある効果を起こすのに必要な標準となる放射線の吸収線量と、ある放

射線でその反応を起こすのに必要な吸収線量 と の比を(1)とい

う。

(2)一般に LET が高くなるにつれ、致死効果に関する RBE は (2) なる

が、100~ 200keV・μm- 1 程度で (3)となり、それ以上では LET

の増加とともに( 4)する。

(3)生存率曲線から算出できる。

(4)RBE は、指標とする事象によって値が異なる。例えば、ヒト正常線

維芽細胞の細胞致死に着目した場合、200kV の X 線を基準放射線と

したときの高 LET 放射線の RBE は、生存率が 50%のときのほうが

10%のときより大きくなる。これは横軸に吸収線量を線形目盛りで、

縦軸に生存率を対数目盛でプロットした線量 -生存率曲線が、X 線では

上に凸の曲線になるのに対し、 LET の高い放射線ではほぼ直線となる

ためである。

1 RBE

2 大きく

3 最大値

4 低下

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演習問題 32(生物学的効果比(RBE))

RBE に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 (62 回 )

A 放射線の質の違いによる生物効果の違いを表すものである。

B 細胞致死効果や(突然)変異などの効果の指標によって値が異な

る。

C 線量率を変化させても値は変わらない。

D 基準の放射線として一般にβ線が用いられる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

RBE に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(60 回)

A 基準放射線としては一般に管電圧 200∼250KVX 線が用いられる。

B 線量分割法による影響を受ける。

C 線量率による影響を受ける。

D 指標とする生物効果による影響を受けない。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD の 5 ABCD すべて

RBE に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(57 回)

A 基準放射線としては、一般に 200∼250kV の X 線が用いられる。

B 細胞致死、(突然)変異誘発、発がんなど指標によって値が異な

る。

C 照射時の酸素濃度が変化してもその値は変わらない。

D 線量率が変化してもその値は変わらない。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

培養細胞の致死作用を指標とした RBE に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか。(55 回)

A 線量率を変化させたときの効果の大きさの違いを示す。

B 放射線の LET の増大とともに大きくなり、最大値をとった後小さく

なる。

C 基準放射線として一般にβ線が用いられる。

D 細胞の種類によって異なる値を示す。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

1

1

1

4

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RBE に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(54 回)

A 組織による放射線感受性の違いを表す指標である。

B 線量率によって値が変化する。

C 生物学的効果の指標によって値が異なる。

D 基準の放射線として一般にα線が用いられる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

培養細胞の致死効果を指標とした RBE に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか(58 回)

A 細胞の種類により値が異なる。

B 線量率によって値が変化する

C 酸素濃度の違いに上る効果の違いを表す。

D LET の増 加とともに増加し続ける。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

細胞致死作用を指標とした RBE に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。(59 回)

A 照射時の酸素分圧の違いによらず一定である。

B 中性子線ではエネルギーの違いによらず一定である。

C LET の違いによって異なる。

D 線量率の違いによって異なる

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

RBE に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(52 回)

A LET の増加とともに増加する。

B 基準の放射線として中性子線が用いられる。

C 線量率によって異なる。

D 生物学的指標により異なる。

E 酸素濃度による影響を受けない。

1 A と B 2 A と E 3 B と C 4 C と D 5 D と E

3

1

4

4

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培養細胞の細胞致死効果を指標とした RBE に関する次の記述のうち、正

しいものの組合せはどれか。(53 回)

A 酸素濃度の高低による効果の違いを表す指標である。

B 線量率を変化させても、その値は変わらない。

C 生存率 10%の場合と 50%の場合とでは、値が異なる。

D 放射線防護剤の存在下で照射すると、その値は変化する。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

RBE に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(56 回)

A 放射線の種類による生物効果の量的違いを表す値である。

B 低線量域における確定的影響の RBE を参考に放射線加重係数が定め

られている。

C 基準放射線としては、一般に 200∼250kV の X 線が用いられる。

D 生物効果の指標によって RBE の値は異なる。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BC のみ

4 D のみ 5 ABCD すべて

RBE に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(61 回)

A RBE の単位は Gy である。

B 基準放射線としては、一般に管電圧 200∼250KV の X 線が用いられ

る。

C 生物効果の指標によらず放射線の種類ごとに値が定められている。

D 低線量域における確率的影響の RBE を参考に放射線加重係数が定め

られている

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 BD のみ 5 BCD のみ

5

1

4

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次のうち、放射線照射後の細胞の生存率に関する RBE に影響を与えるも

のの組合せはどれか。 (63 回 )

A グルコース濃度 (ヒント:細胞修復にエネルギーが必要)

B 酸素分圧

C 温 度

D LET

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

次のうち、単位吸収線量当たり、1 細胞当たりの DNA1 本鎖切断の生成数

に影響を与えるものの組合せはどれか。(64 回)

A 温度

B LET

C ラジカルスカベンジャー

D 酸素分圧

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

5

5

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33.放射線加重係数・組織加重係数

基 本

ICRP2007 年勧告では放射線防護で用いられる放射線加重係数は RBE に基づいてはいるが、

致死効果を指標とした研究では RBE は 1 から 3 までの値が多いのに対し、放射線加重係数は

確率的影響を評価することを目的とし、さらに安全を見込んでいるために、例えばアルファ粒

子に対しては 20 と大きな値に決められている。

(1)放射線の種類 (線 質)やエネルギーによって生物効果の大きさに違いが

あるため、放射線防護では吸収線量に (1) を乗じた等価線量が用い

られる。等価線量の単位は Sv で表される。

(2)中性子を除き、(1)は( 2)で変化しない。また、線量率が変わっ

てもは(1)の値は変化しない。

(3)β線と電子線の(1)は同じである。

(4)中性子の(1)は( 2)の連 続関数として与えられている。エネルギー

が 1MeV のとき、最大値をとる。

(5)(3)影響を評価するための係数である。

(6)等価線量が同一でも、身体の組織や臓器によって( 3)影 響のリスク

が異なる。また、全身が均等に被ばくする場合と身体の一部が部分的

に被ばくする場合でもリスクは異なる。

(7)どの臓器が被ばくするかなど、被ばくの様式によって異なるリスクを

比較するために、放射線防護では、各組織・臓器の(4)に各組織・

臓器によって異なる( 5)を乗じたものの総和である実効線量が用い

られる。

1 放射線加重係数

2 エネルギー

3 確率的

4 等価線量

5 組織加重係数

父、12 の恋 、はち

ょう(0.12)

乳房 12 骨髄

胃 肺 結腸

こうかんしようぼう

し(0.04)

甲状腺 肝臓 食 道

膀胱 4

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演習問題 33(放射線加重係数・組織加重係数)

放射線加重係数に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(59 回)

A 放射線の種類によっては、そのエネルギーにより値が異なる場合が

ある。

B 確定的影響を評価するための係数である。

C 線量率が高くなるとその値は大きくなる。

D 外部被ばく及び内部被ばくいずれの評価にも考慮されている。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

放射線加重係数に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(57 回)

A 電子線の場合はエネルギーによって値が異なる。

B 確定的影響を評価するための係数である。

C 線量率に関わらず同一の値が与えられている。

D X 線とγ線については同一の値が与えられている。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 (63 回 )

A 内部被ばくで起こる障害は全て確率的影響である。

B 急性障害には確率的影響は無い。

C 生殖腺への障害は全て確率的影響である。

D 確率的影響にはしきい値が無い。

E 組織加重係数は確率的影響と確定的影響を考慮して決められてい

る。

1 A と B 2 A と E 3 B と D 4 C と D 5 C と E

ICRP2007 年勧告における放射線加重係数に関する次の記述のうち、正し

いものの組合せはどれか。(64 回)

A すべてのエネルギーの光子に対して 1 が与えられている。

B すべてのエネルギーの陽子に対して 2 が与えられている。

C すべてのエネルギーのアルファ粒子に対して 20 が与えられている。

D 中性子についてはエネルギーが 1MeV のときに最大となる。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

3

5

5

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34.放射線治療

基 本

酸 素 効 果 は 、 放 射 線 治 療 の 効 果 を 左 右 す る 重 要 な 因 子である。が ん 細 胞 は 増 殖 が 速 いた

め、腫 瘍 内に正 常 組 織 の 酸 素 分 圧 20~ 100mmHg と 異 な る 酸 素 分 圧 に お か れ て い る 細 胞

が 存 在する。この細胞は正 常 組 織 に 比 べ 放 射 線 低 感 受 性で、放 射 線 治 療 効 果 が 低 い 要 因の

一つと考えられている。このことから放射線治療においては、酸 素 分 圧 の 低 い 環 境 下 の 細

胞に対し放 射 線 増 感 効 果 を 示 し 、 酸 素 分 圧 の 高 い 細 胞 に は 放 射 線 増 感 効 果 を 示 さ な い 薬 剤

が求められている。

(1)一般に固 形 腫 瘍 の 内 部 に は ( 酸 素 分 圧 ) が 低 い 領 域 が 存 在し、その部位の腫 瘍 細 胞 は 放 射

線 抵 抗 性になる。これは放射線治療の効 果 を 減 弱 さ せ る 重 要 な 要 素であると考えられる。

重 イ オ ン 線 で は ( 酸 素 効 果 ) が 小 さ いため、が ん 細 胞 で 細 胞 致 死 効 果 が 髙 いと期待され

る。

(2)α/β値

1)早 期 反 応 型 組 織 ( 皮 膚 、 粘 膜 、 小 腸 )のし き い 値は低 い。

→一 過 性で( 1)しやすい( = 可 逆 的 )

→低 線 量 で 放 射 線 障 害が起こる。

→( 2) 組 織は早 期 反 応 型 組 織に分 類される。

→( 3) 組 織の回 復 力の方が( 2) 組 織の回 復 力 よ り 大 き い 。

→α/β値は( 4) Gy 程度

2)晩 発 反 応 型 組 織 ( 脊 髄 、 肺 、 脳 、 腎 な ど )では、血 管 の 破 壊によ

る二 次 的 な 障 害が起こり、実質組織が失われたり、結合組織が発

達したりする。その結果、( 5) や 狭 窄 、 線 維 化などが起こる。

→し き い 値 は 高 いが障害は( 6)であり回 復 は 困 難である。

→α/β値は( 7) Gy 程度

→1 回 線 量 の 大 き さ に 関 係し、 1 回線量が多いと晩発性障害の

原因となりやすい。

→晩 期 反 応 の 原 因 は 微 小 血 管 の 障 害である。臓器・組織の機能障

害や組織障害(壊 死 、 萎 縮 、 線 維 化)が晩期反応として現れ

る。

1 回 復

2 腫 瘍

3 正 常

4 10

5 萎 縮

6 不 可 逆 的

7 3

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(3)4 つ の R

1)修 復

放射線により生じた亜 致 死 損 傷 が 一 定 時 間 置 く こ と で 修 復され回

復する現象。腫 瘍 よ り 正 常 組 織 の 方 が 亜 致 死 か ら の 回 復 が 大 き い 。

放射線治療が分 割 照 射 で 実 施 さ れ る 理 由の 1 つである。

2)再 酸 素 化

①腫 瘍 細 胞には( 1)をあまり含まない低 ( 1) 細 胞がある。

②( 1) に 富 ん だ 細 胞は放 射 線 感 受 性が( 2)、放 射 線 照 射 に よ

り 先 に 死 滅する。その結果、腫 瘍 全 体 の 径 が 縮 小する。

③最 初 の 照 射 時に( 3) か ら 遠 い 位 置にあり、 (4)が 低 か っ た

細 胞 が 血 管 に 近 づ き 、 酸 素 が 供 給されるようになる。これによ

って放射線感受性が上がる。こ れ を ( 5) と い う 。

④( 5)は腫 瘍 細 胞 に 特 徴 的 な 現 象。正 常 な 細 胞には低 酸 素 状 態

が な く、( 5) は 起 き な い 。

3)再 増 殖

①( 6) 組 織 の 方 が ( 7) 組 織よりも回 復 ( repair) が 大 き い。

( 6) 組 織 が 回 復し、( 7) 組 織 が 回 復 し き れ て な い 状 態 で 次

の 照 射を行う。これにより、腫 瘍 組 織 に さ ら な る 損 傷 を 与 え 、

同 時 に 正 常 組 織 へ の 影 響 を 軽 減することができる。

②放 射 線 照 射 に よ り 死 滅 し た 細 胞 は 除 去されるが、それに至らな

かった細胞については修 復 機 能 が 働 く。

③照 射 と 照 射 の 間に DNA 損 傷 が 回 復し、休 止 し て い た ( 8) が

再 開される。これを再 増 殖という。

④( 7) 細 胞 は ( 6) 細 胞 よ り 再 増 殖(=細胞分裂の再開)が遅

く、その速 度 も 遅 い。

⑤治 療 期 間 が 延 長すると、治療後半期にが ん 細 胞 の 再 増 殖 が 加 速

され、が ん の 制 御 率が低 下する。これを( 9)という。

3)再 分 布 ( 同 調 )

①( 10) 照 射を実施すると、放 射 線 抵 抗 性であった S 期 後 期

の 細 胞が、時間の経過とともに放 射 線 感 受 性 の 高 い M 期に

分 布するようになる。

②( 10) 照 射により 1 回 目 の 照 射 で 生 き 残 っ た S 期 に あ っ た

細 胞が放 射 線 感 受 性 の 高 い 細 胞 周 期 に 移 行する。次 の 照 射 時

に感 受 性 の 高 い 周 期 に あ る 状 態 で 照 射されることになり、治

療 効 果 の 向 上 が 期 待できるようになる。

1 酸 素

2 高 く

3 血 管

4 酸 素 分 圧

5 再 酸 素 化

6 正 常

7 腫 瘍

8 細 胞 分 裂

9 加 速 再 増 殖

10 分 割

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(4)電 子 線 に よ る 治 療

1)皮 膚 面 か ら 2~ 6cm の 腫 瘍 の 治 療に適している。

2)水又は組織中の実 用 飛 程はエ ネ ル ギ ー ( MeV)の( 1) cm の距

離となる。

3)治 療 有 効 深 ( 80% 等 線 量 曲 線 )はエ ネ ル ギ ー ( MeV)の約 ( 2)

cm 程 度となる。

4)エ ネ ル ギ ー で 決 ま る 一 定 の 深 さ ま で ほ ぼ 均 等 に 照 射できる。

5)治 療 対 象 部 位 の 背 後 に あ る 正 常 組 織 へ の 照 射 が 少 な い 。

標的より深い位置にあるリスク臓器を避けたい場合に電子治療は

有効である。

6)骨 や 肺 な ど 密 度 が 異 な る 部 位 を 通 過する場合には、深 部 線 量が変

化する。

7)高 エ ネ ル ギ ー X 線と異 な り、( 3) 効 果 が な いため、皮 膚 障 害が

大 き い 。

8)X 線と異なり MLC で照射野形状を作ることはできない。

1 1/2 又 は 0.5

2 1/3 又 は 0.33

3 ビ ル ド ア ッ プ

(5)近年、陽 子 線 や 重 イ オ ン 線 を 用 い た が ん 治 療が盛んになってきた。

これらの放射線では、現在放射線治療における外部照射で一般的に使

用されている放射線と比べて、生 体 に 照 射 さ れ た と き の 線 量 分 布 が 特

徴 的である。入 射 部 位 の 皮 膚 で は 線 量 が 低 く 、 深 さ が 増 す に つ れ て 高

く な り 、 ( 4) の 終 端 近 く で 最 大 に な る よ う な 線 量 分 布になる。この

飛 程 終 端 近 く で の 最 大 部 分 を ( 5)という。生 体 の 深 部 に あ る 腫 瘍 の

治 療を考えた場合、腫 瘍 部 分 に ( 5) を 合 わ せ る こ と に よ り 腫 瘍 に 線

量 を 集 中することができる。

4 飛 程

5 ブ ラ ッ グ

ピ ー ク

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(6)ホ ウ 素 中 性 子 捕 捉 療 法 ( BNCT)

1)が ん 細 胞 に 選 択 的 に 取 り 込 ま れ や す い 薬 剤を事前に投 与する。

薬 剤にはホ ウ 素 10( 1 0B) が 標 識されている

2)投与後、体 外 か らエネルギーの低い中 性 子 ( 熱 外 中 性 子 )を病 巣

部 に 照 射する。

3)細胞内にある 1 0B と 熱 中 性 子 が 10B( 1) 7Li の中 性 子 捕 獲 反 応

を起こし、 (2)放 射 線であるα粒 子 と リ チ ウ ム の 反 跳 原 子が生 成

される。

4)放 出 さ れ た 粒 子の飛 程は( 3) μm 程度と短く,が ん 細 胞 を 破 壊

して停止する。

5)細胞内で生成された粒 子 の 飛 程 が 短 いため、隣 の 細 胞 に 影 響 を 与

え な い 。

6)ホ ウ 素 を 取 り 込 ん で い な い 正 常 細 胞 へ 影 響 を 抑 え つ つ 、 が ん 細 胞

を 選 択 的 に 破 壊することができる。

7)悪性脳腫瘍のような境 界 が 不 明 瞭 な 浸 潤 性 が んや放 射 線 治 療 抵 抗

性 の が ん等に対して高 い 治 療 効 果が期 待できる。

8)BNCT の 実 質 治 療 期 間は( 4) 日である。

9)中 性 子 は 原 子 炉から得る。近年は、 (5)で 陽 子 を 30MeV 程 度 に

加 速 し 、 (6)や ベ リ リ ウ ム と の 核 反 応 で 中 性 子 を 生 成する。

1 (n,α)

2 高 LET

3 10

4 1

5 サ イ ク ロ ト ロ ン

6 リ チ ウ ム

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演習問題 34(放射線治療)

X 線に対する反応のα/βが最も小さいのはどれか。

1.脱 毛

2.下 痢

3.脊髄症

4.口内炎

5.湿性落屑

α/βが小さいのはどれか。2 つ選べ。

1.粘膜炎

2.皮膚炎

3.神経障害

4.骨髄抑制

5.筋肉萎縮

α/βが1~3Gy とされるのはどれか。

1.筋 肉

2.癌細胞

3.口腔粘膜

4.腸管上皮

5.リンパ球

細胞にγ線を 4Gy 照射する場合,1 回で照射するより, 2Gy ずつ 2 回に

分割して 12 時間の間隔をおいて照射した方が細胞生存率は高くなる。

この現象はどれか。

1.回 復

2.増 感

3.再増殖

4.再分布

5.再酸素化

分割照射を行った際,血管周囲の細胞が先に死滅し,2 回目以降の照射

で外側部分の腫瘍細胞が次に死滅していく現象はどれか。

1.再増殖

2.再分布

3.再酸素化

4.亜致死障害からの回復

5.潜在的致死障害からの回復

3

3.5

1

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放射線照射後の正常組織にみられないのはどれか。

1.回 復

2.再構成組織の再生

3.細胞の同調

4.再酸素化

5.細胞分裂遅延

放射線治療では長期の休止により総治療期間が延長すると,治療効果が

低下する場合があることが知られている。この原因と考えられるのはど

れか。

1.再酸素化

2.再低酸素化

3.加速再増殖

4.細胞周期の再分布

5.亜致死障害からの回復 1

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電子線が治療に用いられるのはどれか。

1.肺 癌

2.乳 癌

3.食道癌

4.子宮体癌

5.前立腺癌

電子線治療の適応でないのはどれか。

1.舌 癌

2.乳 癌

3.皮膚癌

4.子宮体癌

5.ケロイド

ホウ素中性子捕捉療法で正しいのはどれか。

1.ホウ酸を投与する。

2.速中性子線が必要である。

3. 10B(n,α) 7Li 反 応を利用する。

4.シンクロトロンが必要である。

5. 252Cf からの中性子が用いられる。

ホウ素中性子捕獲療法で抗腫瘍効果を示す放射線はどれか。

1.α線

2.β線

3.γ線

4.電子線

5.中性子線

4

3

1

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放射線の医学利用とその特徴に関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(54 回)

A 10MV の X 線は臨床的に画像診断に用いられる。

B β-線は臨床的に画像診断に用いられる。

C 電子線は、がんの皮膚転移の治療に用いられる。

D 陽子線は、線量分布の点から深部にあるがん治療に用いられる。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

各種放射線による外部被ばくに関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(58 回)

A α線は身体の深部まで到達する。

B β線は骨髄障害に比べ皮膚障害を起こしやすい。

C γ線は体内でブラッグピークを形成する。

D 熱中性子は骨髄障害に比べ皮膚障害を起こしやすい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

ホウ素中性子捕捉療法 (BNCT)に関する次の記述のうち、正しいものの組

合せはどれか。(64 回)

A 熱中性子や熱外中性子を照射する。

B 11B と中性子の核反応を利用する。

C 4He と 7Li が生じる。

D ホウ素薬剤の 1つにアミノ酸誘導体の BPA(p-boronophenylalanine)

がある。

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

放射線治療に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(61 回)

A 陽子線はビルドアップ効果により、X 線よりも深部線量分布に優れ

る。

B 電子線は表在性腫瘍の治療に用いられる。

C 1251 は前立腺癌治療用密封小線源として用いられる。

D ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では低エネルギー中性子が主に用い

られる。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 BD のみ

4 BD のみ 5 BCD のみ

5

4

3

5

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放射線治療でブラッグピークを利用するものとして正しいものの組合せ

は、次のうちどれか。(56 回)

A 陽子線

B 電子線

C γ線

D 炭素イオン線

E 中性子線

1 A と D 2 A と E 3 B と C 4 B と E 5 C と D

放射線治療でブラッグピークを利用するものの組合せはどれか。 (62 回 )

A 電子線

B 陽子線

C 速中性子線

D 炭素イオン線

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

外部照射した場合の体内での線量分布に関する次の記述のうち、正しい

ものの組合せはどれか。(54 回)

A 陽子線は、飛程の終点付近で最大のエネルギーを付与する。

B X 線は、深部にいくにしたがって大きなエネルギーを付与する。

C 重粒子線は、飛程の終点付近で最大のエネ ルギーを付与する。

D 5MeV の電子線は、表面で最大のエネルギーを付与する。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

次の記述のうち、悪性腫瘍の炭素イオン線治療が X 線治療に比べて優れ

ている点として、正しいものの組合せはどれか。 (54 回)

A 腫瘍組織に集中して線量を与えることができる。

B 腫瘍組織の吸収線量が同じ場合、抗腫瘍効果が大きい。

C 酸素効果が大きい。

D 細胞周期依存性が大きい。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

1

4

2

1

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炭 素 イ オ ン 線に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(58 回)

A γ線よりも細胞致死効果を指標とした RBE が大きい。

B 停止する付近で LET が最大となる。

C 治療に利用する場合、体内よりも体表面のがんに有効である。

D γ線よりも細胞致死効果の OER が大きい。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

粒子線の細胞致死効果に関する次の記述のうち、正しいものの組合せは

どれか。(61 回)

A 速中性子線はγ線よりも OER が小さい

B 陽子線の RBE は 約 3 であると評価されている。

(ヒント:陽子線は低 LET 放射線。RBE は 1~1.2 程度)

C 炭素イオン線ではプラトー部とブラッグピーク部で、単位吸収線量

あたりの細胞致死効果に差がある。

D LET が大きくなればなるほど、RBE が大きくなる。

1 ACD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 BD のみ 5 BCD のみ

粒子線に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 (63 回 )

A X 線と比べ炭素イオン線の細胞生存率曲線の方が肩が小さい。

B ブラッグピークの位置で細胞を照射したときの致死感受性に関する

RBE は鉄イオン線に比べ炭素イオン線の方が小さい。

C X 線と比べ中性子線は致死感受性の細胞周期依存性が大きい。

D 中性子線はブラッグピークを持たない。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と D 5 C と D

次の照射条件で、正常ヒト線維芽細胞を 2Gy 照射したときの生存率が高

い順に並べられているものはどれか。( 64 回)

A 60Coγ線

B がん治療用炭素線ブラッグピーク部

C がん治療用陽子線ブラッグピーク部

D 低酸素下での 60Coγ線

1 A>B>C>D

2 A>C>D>B

3 A>D>C>B

4 D>A>C>B

5 D>C>A>B

1

3

4

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悪性腫瘍の放射線治療において、治療成績に影響を与える要因として正

しいものの組合せはどれか。(59 回)

A 腫瘍細胞の放射線感受性

B 腫瘍周囲の正常細胞の放射線感受性

C 腫瘍細胞の増殖速度

D 腫瘍細胞の酸素分圧

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 BCD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

放射線被ばく後の組織の早期反応と晩期反応に関する次の記述のうち、

正しいものはどれか。 (63 回 )

1 晩期反応に比べて早期反応ではα/β比が小さい。

2 晩期反応に比べて早期反応では分割照射による影響が大きい。

3 晩期反応は照射後 3 年以上経過してから初めて発生する。

(ヒント:肺線維症は 1 年以内に発症。)

4 晩期反応のα/β比は 1~ 5 程度である。

5 腎不全は早期反応である。

放射線治療に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(60 回)

A 最も一般的な分割照射法での 1 回線量は 2Gy である。

B 悪性リンパ腫の細胞は主にアポトーシスにより死ぬ。

C 腫瘍の種類・照射法が同じ場合には、腫瘍の大きさによらず根治的

な治療に必要な総線量は等しい。

D 直線―2 次曲線( LQ)モデルにおけるα/β比(値)は、一般に晩期

障害に比べ急性障害で小さい。

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

5

1

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35.放射性標識化合物の利用

演習 35(放射性標識化合物の利用)

増殖中の細胞の生体高分子を標識する場合、次の標識化合物と生体高分

子の組合せのうち、最も適切なものはどれか。(58 回)

1 [3H]ウリジン ――――――――――――― DNA

2 [35S]メチオニン ―――――――――――― RNA

3 [125I]5-ヨード‐2“-デオキシウリジン ――― RNA

4 [α‐32P]デオキシシチジン三リン酸 ―――― DNA

5 [3H]チミジン ―――――――――――――― タンパク質

次の標識化合物のうち、試験管内で合成されるタンパク質の定量に最も

適切なものの組合せはどれか。(52 回)

A [3H]ウリジン

B [14C]チミジン

C [14C]グリシン

D [35S]メチオニン

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

標識化合物の利用法に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(55 回)

A [3H]ウリジンを用いて RNA の合成量を調べた。

B [14C]チミジンを用いて糖の合成量を調べた。

C [35S]メチオニンを用いてタンパク質の合成量を調べた。

D [125I]ヨードデオキシウリジンを用いて脂質の合成量を調べた。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

4

5

2

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次の標識化合物とそれを利用して標識される生体高分子として、正しい

ものの組合せはどれか。 (62 回 )

A [3H]チミジン ーーーーーーーーーーーーーー DNA

B [125I]5-ヨード‐2´‐デオキシウリジン ーーーー RNA

C [35S]メチオニン ーーーーーーーーーーーーー タンパク質

D [α‐32P]デオキシシチジン三リン酸 ――――― DNA

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

標識化合物の利用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれ

か。(61 回)

A [3H]ウリジンを用いて、DNA の合成量を調べる。

B [14C]ヒスチジンを用いて、タンパク質の合成量を調べる。

C [35S]メチオニンを用いて、タンパク質の寿命を調べる。

D [51Cr]クロム酸ナ卜リウムを用いて、赤血球の寿命を調べる。

1 ABD のみ 2 AB のみ 3 AC のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

標識化合物の利用法に閨する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(53 回)

A [3H]ヒスチジンを用いて、タンパク質合成量を調べた。

B [11C]二酸化炭素を用いて、光合成量を調べた。

C [14C]チミジンを用いて、RNA 合成量を調べた。

D [125I]ヨードウリジンを用いて、タンパク質合成量を調べた。

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

標識化合物の利用法に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはど

れか。(57 回)

A [3H] ヒスチジンを用いて、タンパク質合成量を調べる。

B [51Cr] クロム酸ナトリウムを用いて、赤血球の寿命を調べる。

C [125I] インスリン抗体を用いて、インスリン量を調べる。

D [125I] ヨードウリジンを用いて、タンパク質合成量を調べる。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

3

5

1

1

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36.核医学

(1)放射性医薬品と検査部位

(2)アイソトープ内用療法で使用される放射性医薬品

1)甲状腺がん・甲状腺機能亢進症→(1)カプセル

2)( 2)の徐痛→塩化ストロンチウム( 3)、

塩化ラジウム( 4)

(3)PET 検査

1)脳神経系

①脳循環酸素代謝測定( 15O ガ ス)

②脳ブドウ糖代謝測定( 18F-FDG)

③アミノ酸代謝

④神経伝達機能

2)循環器系

①心筋血流( 13NH3、H215O、 82Rb)

②心筋代謝( 18F-FDG)

3)(5)系

18F-FDG

1 131I

2 骨転移

3 89SrCl2

4 223Ra

5 腫瘍

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演習問題 36(核医学) 99mTcの医療応用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 99mTc は 99Mo からのミルキングによって製造する。 (64 回)

B 99mTc の半減期は 21 万年である。

C 99mTc から放出される 511keV のエネルギーを持つγ線を検出する。

D [99mTc]MAA(テクネチウム大凝集人血清アルブミン )は肺シンチグラ

フィーに用いられる。

1 ABC のみ 2 AB のみ 3 AD のみ

4 CD のみ 5 BCD のみ

次の標識化合物のうち、核医学画像診断に用いられるものの組合せはど

れか。(60 回)

A [18F]2‐フルオロ‐2‐デオキシグルコ一ス

B [35S]メチオニン

C [89Sr]塩化ストロンチウム

D [99mTc]過テクネチウム酸ナ卜リウム

1 A と B 2A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

次の心機能・血流量を調べるのに用いられる放射性核種のうち、正しい

ものの組合せはどれか。(57 回)

A 59Fe

B 99mTc

C 198Au

D 201Tl

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

次の標識化合物のうち、ガンマカメラによる核医学画像診断に用いられ

るものの組合せはどれか。 (63 回 )

A [35S]メチオニン

B [67Ga]クエン酸ガリウム

C [89Sr]塩化ストロンチウム

D [99ⅿTc]過テクネチウム酸ナトリウム

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

3

3

4

4

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次の標識化合物のうち、陽電子放射断層撮影 (PET)診断に用いられるも

のの組合せはどれか。(64 回)

A [13N]NH3(アンモニア )

B [15O]CO2(二酸化炭素 )

C [123I]MIBG(メタヨードベンジルグアニジン )

D [99ⅿTc]MDP(メチレンジホスホン酸テクネチウム )

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

次の標識化合物のうち、陽電子放射断層撮影( PET)検査に用いられる

ものの正しい組合せはどれか。(59 回)

A [13N]アンモニア

B [18F]フルオロデオキシグルコース

C [67Ga]クエン酸ガリウム

D [99mTc]過テクネチウム酸ナ卜リウム

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

次の標識化合物のうち、 PET(陽電子放射断層撮影)診断に用いられる

正しいものの組合せはどれか。(56 回)

A [14C]メチオニン

B [15O]水

C [18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)

D [67Ga]クエン酸ガリウム

1 A と B 2 A と C 3 B と C 4 B と D 5 C と D

次の標識化合物のうち、陽電子放射断層撮影( PET)診断に用いられる

ものの組合せはどれか。(61 回)

A [14C]L-メチオニン

B [13N]アンモニア

C [150]水

D [18F]2‐フルオロ‐2-デオキシグルコー ス

1 ABC のみ 2 ABD のみ 3 ACD のみ

4 BCD のみ 5 ABCD すべて

1

1

3

4

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次の標識化合物のうち、陽電子放射断層撮影( PET)による腫瘍の検査

に用いられるものとして、正しいものの組合せはどれか。(54 回)

A [11C]メチオニン

B [13N]アンモニア

C [15O]二酸化炭素

D [18F]フルオロデオキシグルコ一ス

1 A と B 2 A と C 3 A と D 4 B と C 5 B と D

陽電子放射断層撮影(PET)診断に関する次の記述のうち、正しいものの

組合せはどれか。 (62 回 )

A 陽電子の対消滅で生じる 662keV の放射線を検出する。

B [14C]メチオニンは脳腫瘍の診断に用いられる。

C [18F]フッ化ナトリウムは脳機能の診断に用いられる。

D [13N]アンモニアは虚血性心疾患の診断に用いられる。

E [15O]標識ガスは脳血管障害の診断に用いられる。

1 A と B 2 A と C 3 B と D 4 C と E 5 D と E

3

5

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