2. 高経済性低減速スペクトルbwrの技術開発...2012/01/12  · bwr...

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スペクトルBWR 12 スペクトルBWR 12 スペクトルBWR 12 スペクトルBWR 12 12. スペクトルBWR Development of cost-reduced low-moderation spectrum BWR *、 安 ***** MitsuakiYamaoka , NobuakiAbe, YasushiYamamoto, Ishi Mitsuhashi, Shinichi Morooka , Kouji.Hiraiwa, + + () 大学 Junji Mimatu Akira Inoue Toshiba Corp. Gifu University BWR プラント リサイクルシステム した BWR た。 する 12 について する。 キーワード スペクトル BWR、革 リサイクル、乾 1. スペクトル BWR BWR を変 いように する に、 サイクル について いわゆる革 リサイクルシステム(第 1 みつつ サイクル コストを するこ した スペクトル BWR ある。 スペクトル BWR ラン プルトニ いプルトニ ムが られマルチリサイクルを り易い メリットが大きいが、 するために BWR から あるこ 、核 り易いボイド した革 される ある。 スペクトル BWR よう 題に対 るため われた 、核・ における 題を する し、 して を確 するこ う。 12 する。 2. (1) BWR を変 いようにするため する 角チャンネル する た。ボイド 2 ストリーミングチャンネル により を確 するこ した。H12 についてピンセル、 体、 各体 した ため した。これら から 体ピ ッチを BWR 2 した。また した った。そ して いて による Pu きるこ らかに った。 (2) MOX における するこ して した ラン体 う。H12 するため いる った。 (3) した チャンネル メカニズムを かにする。また、7 ロッド 体、第 3 14 ロッド して 、安 CCFL ため データを し、 BWR える。H12 これら ため TRAC および った。 . H12 した[1]12 から 16 5 して いく しており、 って BWR を確 していく。 [1] 平岩他、原子力学会 2001 年秋の大会、G29 LWR取出燃料 Puサーマル含) 低除染燃料 MA/FP含有燃料 マルチリサイクル LWR取出燃料 Puサーマル含) 乾式再処理 低減速スペクトル 低減速スペクトル 低減速スペクトル 低減速スペクトル BWR BWR BWR BWR 振動充填 燃料 低除染燃料 MA/FP含有燃料 マルチリサイクル 第1 リサイクルシステム 3 14 ロッド 中性子ストリーミングチャンネル 軸ブランケット 軸ブランケット 燃料 パーシャル燃料 2 ストリーミングチャンネル

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  • 高経済性低減速スペクトルBWRの技術開発(平成12年度)高経済性低減速スペクトルBWRの技術開発(平成12年度)高経済性低減速スペクトルBWRの技術開発(平成12年度)高経済性低減速スペクトルBWRの技術開発(平成12年度)

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    2. 高経済性低減速スペクトルBWRの技術開発 Development of cost-reduced low-moderation spectrum BWR

    山岡光明*、 安部信明*、 山本泰*、 三橋偉司*、 師岡慎一*、 平岩宏司* Mitsuaki Yamaoka , Nobuaki Abe, Yasushi Yamamoto, Ishi Mitsuhashi, Shinichi Morooka , Kouji.Hiraiwa, 三松順治+、 井上晃+ *(株)東芝 +岐阜大学

    Junji Mimatu Akira Inoue Toshiba Corp. Gifu University BWR プラントと革新的リサイクルシステムへの適合性を追及した高経済性低減速 BWR の研究を開始し

    た。本報告ではこの研究で実施する予定の技術開発の計画と平成 12年度の成果について報告する。 キーワード:低減速スペクトル炉、BWR、革新的リサイクル、乾式再処理、振動充填燃料 1. 背景 高経済性低減速スペクトル BWR は極力既存の BWR 構造を変更しないように炉心を構成するとともに、

    燃料サイクル側についてもいわゆる革新的リサイクルシステム(第 1 図)も取り込みつつ燃料サイクルとしても総合的に低コストを実現することを目指した低減速スペクトル型のBWRである。低減速スペクトル BWRは省ウラン特性やプルトニウム組成劣化の少ないプルトニウムが得られマルチリサイクルをやり易いなどの資源節約面のメリットが大きいが、稠密燃料を前提とするために限界出力や事故時の冷却性能などの伝熱流動特性が既存 BWR から外挿となり従来の知見の確認が必要であること、核特性の面では正になり易いボイド係数へ対応した革新的概念の採用や乾式再処理などへの配慮も必要とされるなど開発課題もある。 高経済性低減速スペクトル BWR の技術開発はこのような課題に対応す

    るため行われたもので、核・熱水力における問題を解決するとともに炉概念を構築し、炉心としての成立性を確認することを目的に技術開発を行う。以下では技術開発全体の計画と平成 12年度の技術開発成果を報告する。 2. 研究計画と技術開発成果 (1) 燃料炉心概念の設定評価 燃料集合体は、極力既存の BWR 構造を変更しないようにするため燃料棒を六角稠密格子配列とする四角チャンネル構造を採用するものとした。ボイド係数は第 2 図に示す中性子ストリーミングチャンネルなどの採用により負を確保することとした。H12 年度は集合体の基礎的な核特性についてピンセル、集合体、炉心の各体系を模擬した解析を行い燃料炉心概念設定のための核特性を評価した。これら評価結果から集合体ピッチを既存 BWR の 2 倍とした。また稠密格子燃料のもとで乾式再処理由来の希土類等を含む低除染条件や振動充填条件の燃料を想定した燃料の核特性評価を行った。その結果低減速炉の特徴として低除染燃料を用いても燃焼による Pu組成高次化が少なくできることが明らかになった。 (2) 臨界集合体試験 将来的な MOX 稠密炉における試験技術を開発することを目的として稠密炉を模擬した低濃縮ウラン体系臨界集合体試験を行う。H12年度は反応度係数を測定するための修正転換比等の定式化や試験の計画策定を行うとともに試験に用いる装置の設計や減速材密度模擬材の設計、製作を行った。 (3) 伝熱流動試験 稠密格子を模擬した単チャンネル可視化試験を行い除熱メカニズムを明らかにする。また、7本ロッド試験体、第 3図の 14本ロッド試験体等を設計製作して稠密格子条件で高温高圧時の限界出力試験や過渡伝熱試験、安定性試験、CCFL試験等を実施し稠密炉の熱流動設計のための基礎データを取得し、稠密格子・低減速 BWRの最適化設計に備える。H12年度はこれらの試験の試験計画策定、過渡試験等のためのTRAC予備解析および装置設計を行った。 3. まとめ

    H12年度は所定の技術開発を実施した[1]。本研究は平成 12年度から平成 16年度までの 5年間で実施していく計画としており、最終年度には炉心の詳細設計を行って高経済性低減速BWRの成立性を確認していく。 [1] 平岩他、原子力学会 2001 年秋の大会、G29

    LWR 取出燃料 ( Pu サーマル含)

    乾式再処理

    低減速スペクトル低減速スペクトル低減速スペクトル低減速スペクトル BWRBWRBWRBWR

    振動充填 燃料

    低除染燃料 MA/FP 含有燃料

    マルチリサイクル

    LWR 取出燃料 ( Pu サーマル含)

    乾式再処理

    低減速スペクトル低減速スペクトル低減速スペクトル低減速スペクトル BWRBWRBWRBWR

    振動充填 燃料

    低除染燃料 MA/FP 含有燃料

    マルチリサイクル

    第 1図 革新的新リサイクルシステム

    第 3図 稠密 14本ロッド試験体断面

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    中性子ストリーミングチャンネル軸ブランケット

    軸ブランケット通常高さ燃料パー シャル燃料

    第 2図 ストリーミングチャンネル

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    Streaming Channel Blanket

    Blanket Regular Fuel Partial Fuel

    Fig. 2 Streaming ChannelFig. 2 Streaming ChannelFig. 2 Streaming ChannelFig. 2 Streaming Channel

    Fig.3 14 rod test bundleFig.3 14 rod test bundleFig.3 14 rod test bundleFig.3 14 rod test bundle

    Streaming Channel Blanket

    Blanket Regular Fuel Partial Fuel

    Fig. 2 Streaming ChannelFig. 2 Streaming ChannelFig. 2 Streaming ChannelFig. 2 Streaming Channel

    Development of cost-reduced low-moderation spectrum BWR

    Mitsuaki Yamaoka*, Nobuaki Abe*, Yasushi Yamamoto*, Ishi Mitsuhashi,* Shinichi Morooka*, Kouji Hiraiwa*

    +Junji Mimatu, +Akira Inoue *Toshiba Corp. +Gifu University

    A research on cost-reduced low-moderation spectrum BWR adaptable to the conventional BWR plant

    and the innovative recycling system has begun. keyword:low-moderation, BWR, innovative recycling system, dry-process, vibro-packing fuel 1.Back Ground

    A cost-reduced low-moderation spectrum BWR is the fast neutron spectrum type boiling water reactor aiming at lower fuel cycle cost by adopting the innovative recycling system's (Figure 1), as well as lower construction cost by designing the core so that no significant modification to the conventional BWR plant structure is required.

    Although low moderation spectrum has many favorable features on uranium utilization capability with little change of Pu isotopic ratio, there exist some design subjects on thermal hydraulics and nuclear design.

    The cost-reduced low-moderation spectrum BWR research includes the following study so as to investigate the measure to deal with such subjects and to confirm the feasibility of the concept. 2. Plan of the Study (1) Conceptual Design Study

    The fuel bundle is assumed to be a square channel with a hexagonal rod array. The fuel bundle adopts the neutron streaming channel shown in Figure 2 to assure negative void coefficient. The bundle pitch is equal to or twice the existing BWR bundle pitch.

    Preliminary design study on the core concept is done. In the study, the contaminated plutonium fuel by MA and rare earth elements and the vibro-packing fuel condition is assumed. (2) Critical Assembly Test Study

    The effects of the neutron streaming and the reactivity coefficient are measured in NCA facility in TOSHIBA. The purpose is to develop a basic technology of the critical assembly test with MOX fuel which will be performed in the future. (3) Thermal Hydraulic Test Study

    Several thermal hydraulic properties of tight lattice are tested. 7 rod and 14 (Figure 3) rod test bundle are designed and fabricated for the critical power test at the high temperature high pressure, transient test, the stability test. is the horizontal view of 14 rod test. Moreover, a single channel test study is executed for the detail understanding of tight lattice micro hydraulics phenomenon. 3. Conclusion

    The results of the research obtained in 2000 fiscal year are to be reported on AESJ meeting [1]. The research is scheduled to be executed for five years until 2004 fiscal year. In the final fiscal year, we will perform a detailed core design so as to confirm the feasibility of the cost-reduced low-moderation spectrum BWR.

    [1] Hiraiwa et al., 2001 Fall Meeting of the Atomic Energy Society of JAPAN, G29

    LWR 取出燃料 ( Pu サーマル含)

    乾式再処理

    低減速スペクトル低減速スペクトル低減速スペクトル低減速スペクトル BWRBWRBWRBWR

    振動充填 燃料

    Pu Multi Recycle

    LWR FUEL ( Pu thermal)

    Dry-Process

    Reduced

    Moderation BWR Vibro-Packing

    Fuel

    Fig.1 Innovative Recycling Fig.1 Innovative Recycling Fig.1 Innovative Recycling Fig.1 Innovative Recycling SystemSystemSystemSystem

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    1. はじめに

    高経済性低減速スペクトル BWRはいわゆる低減速スペクトル BWRと乾式再処理、

    振動充填燃料とも組み合わせて燃料サイクル全体でもコスト低減を図る BARS(BWR

    with Advanced Recycle System)コンセプトの一翼をになう炉心(低減速スペクトル

    BWR)の概念である。低減速スペクトル BWR では、既存の BWR 構造を極力生かし

    つつ燃料ピンを稠密化させて水対燃料比を低減することなどにより中性子スペクト

    ルを高エネルギー側にシフトさせ、中性子を低減速スペクトル状態とするとともにプ

    ルトニウムを富化した燃料を用いる。これにより転換比を大きく高めて天然ウラン利

    用率を向上すると同時にプルトニウム同位体の高次化 (高質量数のプルトニウムの割

    合が増加する )も抑制され2回以上のプルトニウムリサイクルも容易になるなどウラ

    ン資源節約を実現するとともにプルトニウム燃料利用における柔軟性も高めること

    が期待されている。

    「高経済性低減速スペクトル BWR の技術開発」は上記の低減速スペクトル BWR

    の技術開発を行う目的で「革新的実用原子力技術開発提案公募事業」のテーマのひと

    つとして平成 12 年度に実施されたプロジェクトであり、本報告ではその技術開発成

    果について報告する。

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    2. 技術開発計画

    2.1 全体の技術開発計画

    2.1.1 技術開発計画

    本技術開発における 5 年間の研究計画を第 2.1.1 表に示す。

    本技術開発では、低減速スペクトル BWR の概念確立、特性評価および成立

    性に関わる試験と評価を行う。核特性の臨界試験では、臨界集合体試験装置を

    利用して、稠密炉心の核的基礎試験を実施する。また、従来の知見では外挿性

    が大きかった稠密炉の除熱性能に関する基礎試験として稠密格子集合体の熱

    流動試験を行い、限界出力特性と圧損特性を明らかにする。さらに、総合的な

    評価として詳細な核熱結合解析コードを使用して低減速スペクトル炉心の特

    性を評価すると共に本炉心概念の実現にむけての課題を明らかにする。

    具体的な開発計画の項目は、以下の通りである。

    ①低減速スペクトルBWR概念の構築・高度化

    ②稠密格子に関わる核特性の試験研究と解析技術の確証

    ③稠密格子に関わる伝熱流動特性の試験

    ④総合評価に関する開発

    ①は稠密 MOX格子とすでに説明した乾式再処理 Pu、振動充填方式も取り入

    れた炉の構成を、十字型制御棒を持つ BWR 型炉に適合させるように燃料炉心

    解析により設定評価するもので、解析コードによって性能を評価する。また炉

    心燃焼特性については BWRで実績のある燃料燃焼計算コード等を適用して炉

    としての基礎的な成立性を解析により確認する。

    ②は将来的に MOX試験炉で行う必要のある試験の技術開発を行うことを目

    的に実施するものである。核特性評価に関して、臨界集合体を使用して稠密炉

    心の核的基礎試験および核特性測定手法の高度化を約 2 年間で実施する。ボイ

    ド係数とドップラー係数の計測技術を先行的に開発中であり、その実用化のた

    めに臨界集合体にボイド模擬のためのポリスチレンと昇温予備試験装置を導

    入する。

    検討中の試験技術は転換比に似た物理量(修正転換比)の形で計測しボイド

    係数等に変換する手法で本技術開発では稠密格子体系での実用性を確認する

    試験を実施し、合わせて MOX 体系への適用性を解析により評価する。以上の

    開発により、稠密 MOX 炉固有の核特性上の課題が実験的に確認されることに

    なる。本項目の開発期間は初年度の機器導入も含めると5年間である。

    ③は必要な部分は①の結果を一部受けながら並列に燃料の特性を試験する

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    ものである。伝熱流動試験の中身は、過渡伝熱流動試験装置等を使用した (a)

    単チャンネル過渡伝熱試験、(b)熱流動基礎試験(7ROD 試験)、(c) 熱流動基礎

    試験(14ROD 試験)、(d)CCFL 試験である。

    (a)の単チャンネル過渡伝熱試験は少数本の燃料棒を模擬した単チャンネル

    模擬燃料で稠密状態での伝熱現象を高速度ビデオカメラで撮影し、微細粒子群

    (小気泡またはトレーサ粒子あるいは界面波動)の挙動を画像処理技法によりそ

    の微細流動機構を調べるものである。この技術は岐阜大により開発が行われて

    きたもので、この開発では 5 年間に渡り開発を行う。この開発によって、稠密

    燃料のミクロな伝熱現象についての新しい知見が得られることが期待される。

    (b)の熱流動基礎試験(7ROD 試験)は 7 本のヒーターピンで構成した模擬燃料

    を用いていろいろな条件、組み合わせで試験を実施する。燃料有効長について

    は 0.8m、1.6m の2種類、燃料棒間隔をについて従来データのない稠密条件の

    範囲を重点的に基礎的な熱流動試験を実施する。基礎試験として東芝内にすで

    に設置済みである過渡伝熱流動試験装置を使用して、基礎流動、安定性、事故

    時冷却性能などの試験を約 3 年半程度の期間で順次実施する。導入する装置、

    機器としては、ヒーターピンがある。この開発により、稠密燃料炉心条件下で

    限界出力の伝熱基礎特性データが得られる。

    (c) の熱流動基礎試験(14ROD 試験) では 14 本のヒーターピンで構成した模

    擬燃料を用いてより集合体体系に近い形状での試験を実施する。基礎試験とし

    て基礎流動、安定性、事故時冷却性能などの試験を約 3 年半程度の期間で順次

    実施する。導入する装置、機器としては、7ROD 試験用のものを流用して不足

    する部分の 14 本試験用ヒーターピン製作がある。この開発により、本提案炉

    心の条件に近い条件での伝熱流動特性データが得られる。

    (d) CCFL 試験では極力実形状、構造を模擬した燃料模型を作成しスプレイ

    冷却時の流動状態を試験的に確認し、解析用相関式を作成する。この開発は総

    合評価に先立ち実施する必要があり H14 年度までに実施する。導入装置は、

    CCFL 試験用の燃料模型である。この開発により、安全解析で用いる CCFL 相

    関式が得られる。

    ④の総合評価に関する開発は以上のすべての結果を反映して総合的な炉心

    成立性を解析で確認するための作業であり、炉心概念へのフィードバックも行

    う。検討としては、炉心の静的特性(熱的制限値、炉停止余裕評価)、安定性、

    過渡特性、事故解析を実施する。

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    第 2.1.1 表 技術開発年次計画

    技術開発項目 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 備考

    (1)(1)(1)(1) 炉心概念の設定炉心概念の設定炉心概念の設定炉心概念の設定

    に関する技術開発に関する技術開発に関する技術開発に関する技術開発

    ・燃料炉心の仕様設定

    ・高次化 Pu影響評価

    ・ストリーミングチャンネル効果評価

    (2)(2)(2)(2) 臨界試験臨界試験臨界試験臨界試験

    に関する技術開発に関する技術開発に関する技術開発に関する技術開発

    ・試験計画策定

    ・予備試験評価

    ・本試験

    ・試験後解析

    (3)(3)(3)(3) 熱流動試験熱流動試験熱流動試験熱流動試験

    に関する技術開発に関する技術開発に関する技術開発に関する技術開発

    ・単チャンネル過渡伝熱試験

    ・熱流動基礎試験(7ROD試験)

    ・熱流動基礎試験(14ROD試験)

    ・CCFL試験

    (4)(4)(4)(4) 総合評価総合評価総合評価総合評価

    に関する技術開発に関する技術開発に関する技術開発に関する技術開発

    ・過渡評価

    ・事故・安定性評価

    ・炉心核熱特性評価

    装置設計 製作

    試験 評価

    試験体設計・製作、 試験前解析 試験 評価

    試験体設計・製作、試験前解析 試験・評価

    試験体設計 製作

    試験・評価

    解析用炉心準備

    解析・評価 解析・評価

    解析・評価

    総合評価

    高次化Pu、乾式再処理Pu

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    2.2 平成 12 年度の技術開発計画

    2.2.1 実施内容

    (1) 燃料炉心概念の設定評価

    燃料ピン配列を稠密化することにより水対燃料比を低減し、中性子スペク

    トルを低減速化した条件のもとで稠密燃料格子セルの核特性を解析により

    評価し、低減速スペクトル下での転換比やプルトニウム同位体組成などの低

    減速スペクトル炉を特徴づける核特性について整理し、低減速スペクトル炉

    集合体概念設定のためのデータベースを構築する。さらにこの結果を基に集

    合体形状を仮定した核特性を解析評価して燃料集合体概念の候補を設定す

    る。また、この燃料集合体への乾式再処理を想定したプルトニウム組成を用

    いた場合の集合体核特性を評価し、乾式再処理プルトニウムの適用による影

    響と適用性を検討する。

    (2) 臨界集合体試験

    ウラン燃料で模擬した稠密格子炉心において、稠密MOX格子炉心で重要

    な転換比や中性子ストリーミング効果の測定および転換比を利用したボイ

    ド係数・ドップラ係数の測定法の開発・測定のための試験計画の概要を策定

    する。また、試験実施に必要な材料・機器の一部について設計と製作を行う。

    (3) 伝熱流動試験

    稠密バンドル体系における既存の伝熱流動試験データ、および適用可能な

    相関式などを調査しするとともに、以下 (1)~ (3)の低減速スペクトル BWR

    燃料に関わる伝熱流動現象を試験評価するため、試験用模擬燃料の構成や試

    験条件について検討し、試験体および試験装置の設計を実施する。また、予

    備的な解析および H13 年度以降における試験計画を策定する。

    (a) 単チャンネル過渡伝熱試験

    ・過渡伝熱流動可視化試験

    (b) 熱流動基礎試験

    ・除熱性能に対するロッドギャップ幅依存性評価試験

    ・除熱性能に対する発熱長依存性評価試験

    ・安定性試験

    ・矩形チャンネル試験

    (c) CCFL 試験

    ・LOCA 時の冷却特性評価試験

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    3. 成果の概要

    3.1 燃料炉心概念の設定評価

    本年度は、燃料ピン配列を稠密化することにより水対燃料比を低減し、中性子ス

    ペクトルを低減速化した条件のもとで稠密燃料格子セルの核特性を解析により評価

    し、低減速スペクトル下での転換比やプルトニウム同位体組成などの低減速スペク

    トル炉を特徴づける核特性について整理し、低減速スペクトル炉集合体概念設定の

    ためのデータベースを構築した。さらにこの結果を基に集合体形状を仮定した核特

    性を解析評価して燃料集合体概念の候補を設定した。また、この燃料集合体への乾

    式再処理を想定したプルトニウム組成を用いた場合の集合体核特性を評価し、乾式

    再処理プルトニウムの適用による影響と適用性を検討した。

    (1) 設定方針

    プルトニウムのマルチリサイクル、マイナーアクチニド(MA)や FP を含

    んだ低除染燃料の受容性を増す等、各種燃料の柔軟な燃焼を可能とするため、

    大型集合体の採用・稠密化等により冷却材排除・低減速化をはかる。ボイド

    係数の正側への移行の課題に対しては中性子ストリーミングチャンネル・Pu

    富化度分布によりボイド係数負を確保する。また、ABWR 互換を重視した低

    減速 BWR・乾式再処理・振動充填による BARS システム(BWR with

    Advanced Recycle System)により経済性を向上する。

    (2) 設定条件と目標性能(目標転換比)

    ABWR 互換性を重視する条件のもとで、目標転換比は以下とした。

    1 年サイクル・45GWd/t に対して

    ・基準 Pu 組成の場合 1.0

    ・乾式再処理 Pu 組成の場合 0.95

    2 年サイクル・60GWd/t に対してもできるだけ高い転換比を狙う。

    (3) 基準燃料炉心仕様の設定

    検討の基準となる集合体断面仕様としてはバンドルピッチを ABWRの2倍

    としてチャンネル外部の水を極力排除し低減速化した2倍バンドルの他に、

    互換性をより重視した 1 倍バンドルの 2 種類を設定した。

    (4) 燃料組成の設定

    湿式再処理相当の基準 Pu 組成と乾式再処理 Pu 組成を設定した。条件を以

    下に示す。

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    ・ UO2燃料 BWR 取出し燃焼度 45GWd/t

    ・ 再処理前 5 年冷却、再処理後 2 年経過

    ・ マイナーアクチニド(MA)全量が Pu に付随して混入

    ・ 希土類元素が MA に付随して混入(付随割合はパラメータ)

    ・ 振動充填燃料の場合、スミヤ密度はペレット相当密度(92%理論密度)

    より低下し、開発目標の 85%理論密度

    (5) 燃料基本仕様の検討(ピンセル燃焼解析)

    ピンセル燃焼計算により、被覆管肉厚・被覆管種類・燃料スミヤ密度比・

    燃焼履歴ボイド率・燃料ピン径とピン間ギャップ(セルピッチ一定条件)・

    燃料ピン径(ピンギャップ一定条件)に関するパラメータサーベイを行っ

    た。また、基準 Pu 組成や乾式再処理 Pu 組成の影響を評価した。その結果

    以下の知見が得られた。

    (a) 転換比とボイド係数

    基準 Pu 組成のもとでの水素対重金属原子数比に対する転換比、及びボイ

    ド係数(サイクル末期相当)の関係をプロットしたものをそれぞれ第 3.1-1

    図及び 第 3.1-2 図に示す。転換比は炉心部の内部転換比である。

    ・ 転換比への影響はおおよそ水素対重金属の原子数比で決まる。

    ・ 転換比1程度を確保する観点からは、2倍バンドルとし、さらに SUS

    被覆管で 0.3mm 厚さ程度とする必要がある。

    ・ ボイド率は転換比への影響が大きく、ボイド率が高いほど転換比が高く

    なる。但し、ボイド係数も正側に大きくなる。

    ・ ピンギャップを縮小し、ピン径増加させるのは転換比向上効果が大きい。

    次に、燃料組成をパラメータとした各ケースについて、転換比とボイド

    係数を評価した。転換比の結果を第 3.1-3 図に示す。

    ・ MA 全量が混入すると、転換比は 3-4%程度減少する。

    ・ さらに希土類元素が混入する場合、希土類元素除染係数が 20 程度まで

    は、転換比の低下は MA 混入の影響とあわせて 7%程度。

    ・ 希土類元素除染係数が5程度の場合、MA 混入の影響も合わせると、転

    換比は基準 Pu 組成よりも 10%以上低下する。

    ・ ボイド係数は MA 混入により大きく正側に増大する。希土類元素混入の

    場合も除染係数が 5 と低い場合はボイド係数は大きく正側に増大する。

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    第 3.1-1 図 水素対重金属 原子数比と転換比の関係(ピンセル計算)

    第 3.1-2 図水素対重金属 原子数比とボイド係数の関係(ピンセル計算)

    0.6

    0.7

    0.8

    0.9

    1.0

    1.1

    0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9

    水素対重金属の原子数比

    転換

    ボイド率80%

    ボイド率40%

    SUS被覆管0.6mm厚

    燃料スミヤ密度85%

    Zr被覆管0.86mm厚

    0.3mm太径化ギャップ1mm

    0.3mm太径化Gap1.3mm

    1倍バンドル11.3mm径ギャップ1.3mm

    基準仕様 ;2倍バンドル、10.76mm径、ピンギャップ1.3mmSUS被覆管0.3mm厚,平均ボイド率60% 燃料スミヤ密度92%

    条件;取出し燃焼度45GWd/t

    1倍バンドル11.3mm径ギャップ1.3mm

    転換比(ブランケットも含む炉心全体)

    内部転換比(炉心のみ)

    5.0

    10.0

    15.0

    0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9

    水素対重金属 原子数比

    ボイド係

    数(10-

    4 Δk/

    kk'/

    %ボイド) 80%ボイド

    40%ボイド

    SUSClad0.6mm85%スミヤ密度

    Zr Clad0.86mm

    0.3mm太径化ギャップ1mm

    基準

    0.3mm太径化Gap1.3mm

    基準 ; 10.76mm径、Gap1.3mm SUS Clad0.3mm, 60%ボイド 92%燃料スミヤ密度

    条件;取出し燃焼度45GWd/tの平衡末期相当

    1倍バンドル11.3mm径ギャップ1.3mm

    1倍バンドル11.6mm径ギャップ1.0mm

    ボイド係数は水対燃料体積比のみならず、他のパラメータにも大きく依存するため転換比のような単純な傾向は示さない

    ボイド率変化のケースに対して結んだ線

    ピンセル計算による結果であるため、 燃料組成に固有な正のボイド係数となる

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    炉心燃料に対するピンセル計算の結果であるため、 転換比にブランケットの寄与は含まれていない

    第 3.1-3 図 燃料組成と内部転換比の関係(ピンセル計算)

    (b) Pu 同位元素比の燃焼変化

    乾式再処理 Pu 組成の新燃料と取出し時の Pu 同位元素組成比(MA を含

    む重量比)の変動を示したものを第 3.1-4 図に示す。これらから、燃焼によ

    る核分裂性 Pu の重量割合の低下がほとんどなく、また MA の燃焼による蓄

    積も少ない。よって、低減速炉は Pu マルチリサイクル、マイナーアクチニ

    ド、低除染燃料(FP 核種混入)のリサイクルに適しており、核分裂性 Pu

    の重量割合を低下させずにリサイクル可能である。

    0.70 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00

    基準燃料(UO2 BWR取出し)

    MOX BWR取出し

    MA(マイナーアクチニド)のみ混入

    MA/希土類混入(除染係数70)

    MA/希土類混入(除染係数20)

    MA/希土類混入(除染係数5)

    振動充填燃料(燃料密度低下のみ考慮)

    内部転換比

    45GWd/t

    60GWd/t

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    第 3.1-4 図 乾式再処理 Pu 組成における Pu 同位元素比の燃焼変化

    希土類元素除染係数=5 のケース(45GWd/t)

    (6) 集合体核特性の評価

    前項の結果から目標となる転換比を達成できると考えられる集合体断面仕様

    を下記のように選定し、チャンネルボックスや制御棒フォロワーの影響を取り

    入れた集合体燃焼計算を行った。

    ・バンドルサイズ 2 倍バンドル

    ・燃料ピン径 /ピンギャップ 10.76/1.3mm 及び 11.06/1.0mm

    ・被覆管材質と厚さ SUS、0.3mm

    各ケースの転換比と核分裂性 Pu 残存比を第 3.1-1 表にまとめた。おおむね

    ピンセル計算と同様な傾向である。基準 Pu 組成、取出し燃焼度 45GWd/t、

    基準ピン仕様では、内部転換比 0.93、核分裂性 Pu 残存比 0.98 となっている。

    一方、60GWd/t 条件では内部転換比は 4%低下する。太径・ギャップ 1mm 仕

    様で 45GWd/t 条件で、最も高い内部転換比 0.97 が得られた。

    乾式再処理 Pu では MA・希土類混入・除染係数 20 で振動充填燃料の場合、

    基準 Pu 組成と比べて内部転換比は9%低下となっている。除染係数5では内

    0.00

    0.10

    0.20

    0.30

    0.40

    0.50

    Np23

    7

    Pu23

    8

    Pu23

    9

    Pu24

    0

    Pu24

    1

    Pu24

    2

    Am24

    1

    Am24

    2

    Am24

    2m

    Am24

    3

    Cm24

    2

    Cm24

    3

    Cm24

    4

    Cm24

    5

    Cm24

    6

    核種

    重量

    比(Pu+

    マイナーアクチニドに占

    める割

    合)

    新燃料取出し燃料(45GWd/t)

    除染係数5

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    部転換比はさらに 5%も低下する。太径化・ギャップ 1mm のピン仕様により、

    内部転換比は 4%程度向上する。

    核分裂性 Pu残存比でみると、ほとんどのケースでおおむね 0.95を上回る。

    (7) 集合体断面仕様の設定と炉心特性の評価

    前項の結果から集合体断面仕様を設定するとともに、基準 Pu 組成、1 年サ

    イクル 45GWd/t、基準燃料ピン仕様(10.76mm 径、1.3mm ギャップ)の場

    合について、暫定ボイド率分布により予備的に三次元炉心燃焼計算を行った。

    集合体断面第図を第 3.1-5 図に示す。燃料炉心仕様と炉心特性の評価結果を表

    3.1-2 に示す。ブランケットの寄与も含めた転換比は 0.96 であり、核分裂性

    Pu 残存比は 0.99 である。

    この結果をもとに乾式再処理 Pu 組成の場合についてもブランケットの効

    果分を補正した転換比を評価した。

    (8) まとめ

    転換比やボイド係数に対する燃料断面仕様の違いや乾式再処理 Pu 組成適

    用の影響が把握できた。特に低減速炉の特徴として低除染燃料によっても燃

    焼による Pu 組成の高次化が少なく受容性が高いことが示された。

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    第 3.1-1 表 集合体燃焼計算による内部転換比及び核分裂性 Pu 残存比

    計算ケース Pu 富化度

    (Total Pu, wt%)

    内部転換比1

    内部転換比2

    核分裂性 Pu残存比

    基準 Pu 組成 (45GWd/t)

    14.6 0.93 0.94 0.98

    基準 Pu 組成 (60GWd/t)

    15.54 0.89 0.90 0.94

    基準 Pu 組成 (45GWd/t、太径ピン)

    14.0 0.97 0.98 1.00

    基準 Pu 組成 (60GWd/t、太径ピン)

    14.79 0.93

    0.94 0.98

    乾式再処理 Pu MA のみ混入 (45GWd/t)

    15.65 0.88 0.89 0.95

    乾式再処理 Pu 、MA 混入 希土類除染係数 70 (45GWd/t)

    15.73 0.87 0.88 0.95

    乾式再処理 Pu 、MA 混入 希土類除染係数 20 (45GWd/t)

    15.91 0.86 0.87 0.94

    乾式再処理 Pu、MA 混入 希土類除染係数 5 (45GWd/t)

    16.72 0.79 0.80 0.90

    乾式再処理 Pu、MA 混入 希土類除染係数 20 振動充填燃料(45GWd/t)

    16.3 0.84 0.85 0.93

    乾式再処理 Pu、MA 混入 希土類除染係数 20 振動充填燃料 太径ピン、ギャッ フ ゚ 1mm 仕様(45GWd/t)

    15.65 0.88 0.89 0.95

    注)・ 内部転換比1;炉心のみの転換比、分母に U235 の寄与含む(瞬時値)

    ・ 内部転換比2;炉心のみの転換比、分母に U235 の寄与含まない(瞬時値)

    ・ 核分裂性 Pu 残存比;取出時重量/装荷時重量(Pu239+Pu241)

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    第 3.1-5 図 燃料集合体断面第図

    第 3.1-2 表 基準炉心の主要仕様と炉心特性の予備評価結果(基準 Pu 組成)

    項 目 単位 炉心仕様・特性 熱出力 MWth 3926 運転サイクル 月 12 燃料交換バッチ数 - 4 バンドルピッチ mm 310 燃料ピン径 mm 10.76 燃料ピン間ギャップ mm 1.3 炉心平均ボイド率 % 56 取出し平均燃焼度 GWd/t 45 転換比(分母に U235 含む) - 0.96(平衡) 転換比(分母に U235含まない) - 0.98(平衡) 核分裂性 Pu 残存比 - 0.99 燃焼欠損反応度 %Δk/kk’ 1.9(平衡) 最大線出力 W/cm 約 440(平衡)

    ボイド係数 10-4%Δk/kk’/

    %ボイド -1.9

    (初期)

    制御棒

    水排除板

    チ ャ ン ネ ル ボックス

    310mm

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    3.2臨界集合体試験

    3.2.1試験計画の概要検討

    (1)目的および試験項目

    稠密格子炉心の核特性・測定技術に関わる臨界試験においては、東芝臨界実験

    装置NCAを用いた稠密MOX格子の核的性能確証とその測定手法の開発を目的と

    している。具体的には、稠密MOX格子をウラン燃料からなる臨界集合体で模擬し、

    稠密 MOX 格子炉心の成立性で重要な転換比や中性子ストリーミング効果の確認

    についての試験を実施する。試験項目は中性子束に関する測定、ストリーミング

    効果の測定および転換比の測定からなる中性子場に関する測定・評価とボイド係

    数の測定とドップラー係数の測定からなる安全性に関する測定・評価からなる。

    (2)東芝臨界実験装置NCAの概要

    NCA(Toshiba Nuclear Critical Assembly )は昭和 38年 12月に初臨界以来、今

    日まで発電用軽水炉の炉心・燃料要素の開発のための炉物理実験に利用されている。

    NCAは低濃縮二酸化ウランペレットを充填した燃料棒を使用する。所有する燃料

    棒は濃縮度2wt%、3wt%、4wt%及び5wt%燃料棒とガドリニア濃度5wt%、1

    0wt%及び15wt%ガドリ棒の計7種類である。NCAは軽水(減速材、反射体とし

    て作用)を燃料棒の配置された炉心タンクに給水し、水位を調節することにより運

    転する。臨界は燃料棒種類、装荷本数、燃料棒配置、炉心タンク水位に依存する。

    NCAでの臨界量の測定は臨界到達時の炉心水位の測定を意味する。運転は、短時間

    でかつ低出力(200W 以下)で行われ、実質上発熱はなく、冷却設備は不要であり、

    核分裂生成物の蓄積は無視できる。

    (3)試験炉心体系の概要

    NCAを用いて、臨界試験を行う炉心燃

    料体系(例)を第 3.2.1-1 図に示す。図中央

    部に四角で囲み、その中で燃料棒が六角

    格子に配列されている領域をテスト領域

    と呼び、今回の試験の対象となるもので

    ある。テスト領域周囲に燃料棒を正方に

    4%3%

    ドライバ領域(2%)

    テスト領域

    5%

    図3 臨界集合体試験装置での稠密格子

    4%3%

    ドライバ領域(2%)

    テスト領域

    5%

    図3 臨界集合体試験装置での稠密格子

    第 3.2.1-1図 試験炉心体系(例)

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    配列したドライバ領域は炉心が臨界となるように配置するものである。テスト領域

    には今回の試験において実施する測定試験に応じて、必要な冶具や材料を装荷する。

    (4)試験内容

    今回の試験は 5つの項目よりなる。

    中性子束の測定では高経済性低減速スペクトル BWR 炉心の中性子場に関する測

    定評価として、中性子スペクトルに係る中性子束測定を行う。本実験で行う中性子

    束測定では、通常行われる金箔と銅箔による測定の他、SUS材や Al材等の各種照射

    物の吸収反応に基づく中性子束分布に関する測定を適宜組み合わせ、測定を行う。

    ストリーミング効果の測定では減速材密度減少による中性子の炉心上部への漏れ

    促進により、ボイド係数、出力係数を負に維持する効果を意図したストリーミング

    チャンネルの効果を確認するため、模擬ストリーミングチャンネル周囲に配置する

    中空棒の有無や径を変化させ、ストリーミング効果に関するデータを取得する。

    中性子場に関する測定評価として、転換比の測定を行う。転換比測定では、全核

    分裂分の 238U捕獲を修正転換比 Cとして、下記のように定義し、その測定を行う。

    C = (U238捕獲)/(全核分裂) =(Σcφ)8/[(Σfφ)5 +(Σfφ)8] (1)

    燃料棒からのガンマ線測定は照射後の燃料棒を Ge検出器にセットし、スペクトル

    測定により行う。(1)式で定義したCの導出には 238U捕獲率として 239Npのガンマ線

    強度を、核分裂率として 135Xe、140Ce、133I等のガンマ線強度を利用する。

    稠密格子の安全性に関する測定・評価に、ボイド係数の測定とドップラー係数の

    測定がある。これら測定は転換比測定を利用した新しい測定法であり、MOX炉での

    臨界試験での適用を目的に、実用化を図る。

    k-infに相当する量として k*を以下のように定義する。

    k*=S/A S:中性子発生反応率 A:中性子吸収反応率 (2)

    ここで、(1)式で定義した修正転換比Cを用いると、(2)式は(3)式のように書ける。

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    k*=S/A=ν5D28/[1+C+R/(1+δ28)] (3)

    δ28=(Σfφ)8/(Σfφ)5 、α5 =(Σcφ)5/(Σfφ)5、R=α5 +(Σaφ)NF /(Σfφ)5

    D28=1+[(ν8 -ν5)/ν5]δ28/(1+δ28)]、 NF:Non Fuel

    ボイド係数⊿ρは⊿ρ=1/k*(ボイドあり)-1/k*(ボイドなし)であり、Cの測定によ

    り得られる k*からボイド係数が求められる。(1+C)は分母の 80%以上を占め、他

    の量はボイド依存性がほとんどないこと、2つの測定結果の差をとるため、系統

    誤差が差し引かれることから、本手法は極めて有用である。

    異なるボイド状態の模擬はテスト領域に燃料棒のみ挿入可能で、減速材を排除

    するようポリスチレン減速材を配置し、そのポリスチレン減速材の密度を変える

    ことにより行う。ポリスチレンは3種類用意することとし、運転時のボイド率 0%

    から 60%程度までを模擬できるものを製作する。

    ドップラー係数を求める原理は無限増倍率を任意の場所で定義できる「k* = 発

    生率/吸収率 = S/A」で定義すると、以下の式が得られ、2つの温度における k*

    の逆数の差を求めると、反応度変化がドップラー係数(Δk/k)として求まる。

    k* = ν5D/[1+C+{α5+(Ox)}/(1+δ28)] (4)

    D = 1+[(ν8-ν5)/ν5][δ28/(1+δ28)]

    ν5DΔk/k= ΔC+Δα5/(1+δ28) (5)

    試験の温度点は常温と700℃程度を想定している。NCAにおいて燃料を昇

    温させることは装置の性格上大規模に行うことは考え難く、試験のために製作

    する昇温装置内に設置する試験燃料要素は1本とする。試験装置の成立性や安

    全性の確認のため、予備昇温試験装置を設計、製作し、炉外にて試験を行うこ

    ととし、その設計製作を行った。

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    3.2.2 試験機器・設備の設計製作

    (1) 中性子束(スペクトル情報)測定用冶具

    放射化法で中性子スペクトルに関連するデータを取得するため、下表に示す 4種類の照射

    試験材料を購入した。飛程の短いβ線を測定対象とする試験材料は箔状とし、γ線を測定す

    る試験材材料では棒状として検出効率を向上させる。

    第 3.2.2-1表 照射試験材料の種類 照射試験材料 寸法 (mm) 測定対象放射線 備考 Au箔 0.030T×20×20 β線 Cu箔 0.020T×20×20 β線 SUS丸棒 8φ×50L γ線 Al棒 10φ×50L γ線

    (2)ストリーミング効果測定用ボイド管

    ストリーミング効果測定試験では、下部に栓を設けた SUS 製の角管をテスト領域中央部に

    配置し、中性子ストリーミングチャネルを模擬する。また、この SUS 角管の周囲にボイド

    管を配置して水の量の影響を測定する。この試験に使用する、直径の異なる 2種類のボイド

    管を(A型、B型)を Al管で製作した。

    (3)転換比・ボイド係数測定用減速材

    テスト領域の減速材密度を高ボイド率相当とするため、下表に示す 3種類の発泡ポリスチレ

    ン製格子板を製作した。この格子板を多数積み重ねて燃料棒を挿入することにより、使用す

    る発泡ポリスチレンに応じて異なるボイド率を達成することができる。そのボイド率は、実

    機運転時条件における体積ボイド率に換算すると、表のタイプ名称に等しく、それぞれ 0%、

    35%、60%である。0v%の格子板は、発泡せずに原料そのままの密度で製作した。一方、35v%

    と 60v%の格子板は、相対密度がそれぞれ 0.48 倍と 0.15 倍となるようにポリスチレンを発

    泡させた。

    第 3.2.2-2表 ポリスチレン格子板の仕様 タイプ名称 ポリスチレン相対密度

    (基準:1.03g/cc) 厚み (mm)

    枚数

    0v% 1.0 5 150 35v% 0.48 10 75 60v% 0.15 10 75

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    (4)ドップラ係数測定用昇温装置

    ドップラ係数測定は NCA の低減速スペクトル模擬領域の中央にドップラ係数測定用の

    燃料昇温装置を設置し行うが、本試験に先立ち炉外で予備昇温試験を実施する。第 3.2.2-1

    図に予備昇温試験装置の概要を示す。

    予備昇温試験装置は、ヒーターコイルにより燃料ペレットを昇温する燃料被覆管部分と

    断熱をする SUS容器部分の二重構造となっている。ヒーターコイルには、空気中での使用

    が可能なマイクロヒーターを採用した。このマイクロヒーターは SUSシース内に、絶縁体

    である高純度 MGO にて発熱体を直線状にエアギャップなく封入したもので、発熱体とし

    ては今回はニクロム線を採用し、設計仕様 650℃までの昇温が可能である。被覆管は密閉

    構造とし、昇温対象の模擬ペレットの上下には断熱材を充填する。模擬ペレットおよび断

    熱材部の温度を測定するために、熱電対を配置している。燃料被覆管の位置決めのため、

    被覆管下部には支持具を接続している。

    第 3.2.2-1図 昇温装置概要

    断 熱 材 ヒ ー タ ー コ イ ル

    S U S 容 器

    支 持 具

    温 度 計 測 用熱 電 対

    ケ ー ブ ル

    燃 料 被 覆 管 ( S U S )

    ケ ー ブ ル フ タ

    U O 2 ペ レ ッ ト

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    3.3 伝熱流動試験

    稠密燃料棒配置の場合には、除熱性能が悪化することが懸念されるが、1mm ギャップ程度

    の稠密ロッド体系での除熱性能測定試験データは非常に少ない。

    第 3.3-1 図に熱流動試験に関する技術開発の流れを示すが、本試験の目的は、稠密バンド

    ルを用いた沸騰水型原子炉を設計するにあたり必要と考えられる定常時限界出力、過渡時限

    界出力、圧力損失試験、およびチャンネル安定性試験を実施し、データを採取することにあ

    る。H12 年度は、稠密バンドル体系における既存の伝熱流動試験データ、および適用可能な

    相関式などを調査するとともに、稠密バンドルに関わる伝熱流動現象を試験評価するため、

    以下(1)~(3)に示す試験用模擬燃料の構成や試験条件について検討し、試験体および試験装

    置の設計を実施した。また、熱水力成立性の予備的な解析として、炉心の除熱性能などの評

    価、および過渡変化時の挙動、安定性解析を実施した。さらに、H13 年度以降における試験

    計画を策定した。

    (1)単チャンネル過渡伝熱流動試験

    ・過渡伝熱流動可視化試験 (可視化試験、加熱試験)

    (2)熱流動基礎試験

    ・除熱性能に対するロッドギャップ幅依存性評価試験

    ・除熱性能に対する発熱長依存性評価試験

    ・安定性試験

    ・矩形チャンネル試験

    (3)CCFL試験

    ・ LOCA時の冷却特性評価試験

    図 3.3-1 熱流動試験に関する技術開発の流れ

    単チャンネル

    過渡伝熱試験

    熱流動基礎試験

    定常時限界出力

    圧力損失

    過渡限界出力

    チャンネル安定性試験

    相関式作成

    相関式作成

    解析コード検討

    定常相関式の適用評価

    CCFL試験 LOCA評価

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    3.3.1 単チャンネル過渡伝熱試験

    本試験では、流動状況の可視化そして流路内の液膜厚さなどの定量的な測定を行う。これら

    データを基に、稠密バンドルの CHF の発生機構の伝熱関連の実験的解明および考察を行ない、

    重要な知見を得ることを目的とする。そのため、同一流路の非加熱試験と、加熱試験の2つの可視

    化実験を実施し、2 種類の試験を総合してロッド間ギャプが狭まった場合の CHF 発生機構につい

    て検討する。

    H12 年度は、これら試験のための試験体設計を実施した。図 3.3.1-1 に可視化試験ループおよ

    び図 3.3.1-2 に液膜流量測定の場合の計測部を示した。図 3.3.1-3 に加熱試験の可視化試験体

    概要を示す。可視化試験においては、図 3.3.1-1 に示す、主計測部を入れ替えることにより液膜流

    量、液膜厚さ測定、液膜流速測定などの手法開発も実施する。加熱試験については、ガラス表面

    に発熱体を塗布し、発泡、液膜の様子などを可視化する。

    図 3.3.1-1 可視化(非加熱)試験ループ概要

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    図 3.3.1-2 可視化(非加熱)試験液膜流量測定 図 3.3.1-3 加熱試験体概要

    3.3.2 熱流動基礎試験

    本試験の目的は、稠密バンドルを用いた沸騰水型原子炉を設計するにあたり必要と考えら

    れる定常時限界出力、過渡時限界出力、圧力損失試験、およびチャンネル安定性試験を実施

    し、データを採取することにある。

    試験項目としては、定常時の除熱性能である定常限界出力試験、ポンプ停止時などの過渡

    時の燃料棒表面温度挙動を把握するために過渡時限界出力試験、そして、チャンネル安定性

    試験である。

    H12 年度は、稠密バンドルの限界出力予測に適用可能と考えられる既存の相関式調査、および

    熱流動基礎試験の流動パラメータ範囲を決めるため、低減速スペクトル BWR 炉心の熱的成立性

    調査、さらに過渡試験、安定性試験を実施するための予備解析を実施し、試験条件の設定を実施

    した。

    調査の結果、限界出力適用可能な相関式としては、現状では Arai らの式[1]を選択した。また、

    Arai の式を用いて、低減速スペクトル BWRの成立性評価を実施し、熱流動基礎試験の流動パラメ

    ータ範囲を決め、また、過渡予備解析より、過渡試験については炉心流量が減少する「RIP3 台

    トリップ」過渡変化を中心に実施することとした。安定性については、最低ポンプ速度最大

    出力点が最も安定性上厳しくなることから、この点で実施するものとする。なお、過渡試験、

    および安定性試験の実際の定量的な試験条件については、炉心の検討が進み、運転範囲など

    (主計測部)

    1.液膜流量計測テスト部断面

    (1)      (2)

    探針プローブ

    300mm

    インロー接続によるスムース

    液膜流量割合

    アスピレータ吸引力(Aバルブ操作)

    液膜流量目盛

    Aアスピレータによる吸引

    多孔質

    環状噴霧流

    300mm

    1000mm

    発熱体塗布

    可視化

    可視化

    ロッド間ギャップ

    ガラス発熱部

    覗き窓

    A A

    A-A

    流体

    スペーサ

    B B

    間接ヒータロッド

    B-B

    Cu棒内に間接ロッド

    を挿入(Cu 棒構造は現在検討中)

    スペーサ

    流体

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    が決まった後となる。以下に現段階での試験条件を以下に示す。

    ・定常限界出力試験

    質量流束:500~2000kg/m2/s

    圧力:1~8MPa

    入口サブクール:20~80kJ/kg

    ・過渡試験:炉心流量が減少する「RIP3台トリップ」過渡変化を中心に実施

    ・安定性試験:最低ポンプ速度最大出力点を中心に実施

    試験体概要については、第 3.3.2-1図から第 3.3.2-3図に示す。

    上部流路管

    模擬UTP

    (+)極電極板

    チャンネル振れ止め

    試験バンドル

    2700

    or 1

    900

    1100

    1700

    or 2

    500

    模擬チャンネル

    圧力シール

    (-)極電極板

    差圧導圧管熱電対リード線

    下部電極接続部

    冷却ジャケット

    冷却水流出部冷却水流出部冷却水流出部冷却水流出部

    集合電極

    400

    有効発熱部

    (160

    0 or

    800

    )70

    0

    単位;mm

    上部接続フランジ

    第 3.3.2-1図 熱流動基礎試験試験部概要

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    ○ バンドル構成 : 稠密7本バンドル ○ 発熱方法 : 間接通電加熱(中間接地型) ○ 発熱管外径 : φ10.8mm ○ 有効発熱長 : 1.6m、 0.8m ○ ロッド間隔 : 0.8, 1.3, 1.8mm ○ 流路形状 : 六角筒形形状 ○ 発熱分布 : 軸方向分布 8ステップ or 4ステップコサイン 径方向分布 中央1本ピーク 高出力ロッド;1.18 低出力ロッド;0.97

    第 3.3.2-2図 7本バンドル試験体のバンドル仕様

    ○ バンドル構成 : 稠密7本バンドル ○ 発熱方法 : 間接通電加熱(中間接地型) ○ 発熱管外径 : φ10.8mm ○ 有効発熱長 : 1.6m ○ ロッド間隔 : 1.3mm ○ 流路形状 : 筒形形状 ○ 発熱分布 :

    軸方向分布 8ステップコサイン 径方向分布 中央3本ピーク 外周ピーク(2種類) 高出力ロッド;1.15 低出力ロッド;0.96

    第 3.3.2-3図 14本バンドル試験体のバンドル仕様

    *1 ; 相対出力比を示す *2 ; ロッド間隔 1.3mmの場合の寸法を示す

    1.15

    1.15

    0.96

    0.96

    0.96

    0.96

    1.15 *1

    0.96

    0.96

    0.96

    0.96 0.96 0.96 0.96

    0.97

    0.97

    0.97

    0.97

    0.97

    0.97

    1.18 *1

    12.1

    24.2

    *

    36.7

    注記) 図は中央ピークのロッド配列パターンを示す

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    3.3.3 CCFL試験

    稠密バンドル燃料の場合、流路が狭まるため、流路面積に対する上部タイプレート、スペ

    ーサなどの部材の投影面積の割合が、通常のBWR燃料に比べて相対的に高くなることが予

    想される。LOCAが生じて崩壊熱により発生した蒸気が燃料内を吹き上がる場合、上部タ

    イプレート部など流路が狭まる位置では蒸気流速が増加するため、上部よりスプレイ水を注

    入しても、炉内に落下しない可能性がある。このように上部より水を注入しても水が落下し

    なくなる条件をCCFL(Counter Current Flow Limitation)条件と呼ぶ。本節の最終目

    的は、稠密バンドル体系において、CCFL条件の相関式を作成するためにデータを採取し、

    相関式を作成することである。H12年度は、試験装置の設計を実施した。第 3.3.3-1図に試

    験装置概要を示す。

    スプレイヘッダー(水量 10m3/h)

    実規模模擬燃料試験体 (非加熱バンドル)

    既設模擬チャンネル容器 内径 135x135 x 1825mm下部プレナム

    300A x 2500L

    ス プ レ イ ノ ズ ル400AxSch2016

    00

    (175)

    (300

    )

    脱気用蒸気ノズル(32A)プレナム管排水ノズル

    蒸気流入ノズル (80A)

    350AxSch20

    2000

    2350

    1825

    4175

    2700

    7775

    2525

    600

    200

    大気開放ノズル

    2325 新規製作模擬チャンネル

    内径134x135 x 2325mm

    試験体据付台

    覗き窓(100x200)

    第 3.3.3-1図 CCFL試験体概要

    参考文献

    [1] Arai, K. et al., Critical Power Characteristics of a High Conversion Boiling Water Reactor, IAEA Technical Committee on Technical and Economic Aspects of High Converters (1990).

    水流の向き

    蒸気流の向き

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    4. まとめ

    高経済性低減速スペクトル BWRは BARS(BWR with Advanced Recycle System)の

    一部を構成する低減速スペクトル型の BWR 炉である。この炉では中性子を低減速とし

    プルトニウムの柔軟な利用を可能とし、さらに既存 BWR への適用性も高めることによ

    り経済的で柔軟なプルトニウムリサイクルの実現を目指す炉概念である。

    今年度は上記の高経済性低減速スペクトル BWR の技術開発のうち以下項目を実施

    した。

    4.1 燃料炉心概念の設定評価

    燃料ピン配列を稠密化することにより水対燃料比を低減し、中性子スペクトルを

    低減速化した条件のもとで稠密燃料格子セルの核特性を解析により評価し、低減速

    スペクトル下での転換比やプルトニウム同位体組成などの低減速スペクトル炉を特

    徴づける核特性について整理し、低減速スペクトル炉集合体概念設定のためのデー

    タベースを構築した。さらにこの結果を基に集合体形状を仮定した核特性を解析評

    価して燃料集合体概念の候補を設定した。また、この燃料集合体への乾式再処理を

    想定したプルトニウム組成を用いた場合の集合体核特性を評価し、乾式再処理プル

    トニウムの適用による影響と適用性を検討した。

    4.2 臨界集合体試験

    ウラン燃料で模擬した稠密格子炉心において、稠密MOX格子炉心で重要な転換

    比や中性子ストリーミング効果の測定および転換比を利用したボイド係数・ドップ

    ラ係数の測定法の開発・測定のための試験計画の概要を策定した。また、試験実施

    に必要な材料・機器の一部について設計と製作を行った。

    4.3 伝熱流動試験

    稠密バンドル体系における既存の伝熱流動試験データ、および適用可能な相関式

    などを調査するとともに、以下(1)~(3)の低減速スペクトルBWR燃料に関わる伝熱

    流動現象を試験評価するため、試験用模擬燃料の構成や試験条件について検討し、

    試験体及び試験装置の設計を実施した。また、熱水力成立性の予備的な解析として、

    炉心の除熱性能などの評価、および過渡変化時の挙動や、安定性解析を実施した。

    (1) 単チャンネル過渡伝熱流動試験 ・過渡伝熱流動可視化試験 (可視化試験、加熱試験)

    (2) 熱流動基礎試験 ・除熱性能に対するロッドギャップ幅依存性評価試験、除熱性能に対する発熱長

    依存性評価試験、安定性試験、矩形チャンネル試験

    (3) CCFL試験

    ・ LOCA時の冷却特性評価試験