200215ひろしまquest02 - pref.hiroshima.lg.jp ·...
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HANDS ON REPORT
2020.2.15
広島県 商工労働局イノベーション推進チーム
ひろしまをアップデートせよ!
<Program>10:00 ~ 12:00:グループワーク12:00 ~ 13:00:昼休憩13:00 ~ 15:00:グループワーク・発表資料準備15:00 ~ 17:00:最終発表会・まとめ
ひろしまQUEST DAY3! 今後、市場拡大する先端IT(ビッグデータ、AI/IoT等)に必要な人材は、国の調査によると2020年に4.8万人が不足する予測。また、超高齢社会の到来が必至の中、データドリブン経営による省エネ経済を目指す動きは必須だといえる。このため、これからのデジタル・トランスフォーメーション(DX)を担うデジタルネイティブ層をターゲットとした人材の活躍の場を構築することを狙うのが「ひろしまQuest」だ。本日はDay3。中間発表を終え、各チームはスコアアップのための糸口を探し、試行錯誤を繰り返しながら迎える最終発表の時間。欲しいデータが揃わない、時間がない、スキルが足りない、ため息が出るほど山積する課題を前にしながら、チームで向き合った成果が今日披露される。
TODAY’S COORDINATORS ハンズオンを見守り、支援するスタッフ陣。時にあたたかく、時にはあえて突き放しながら、課題への向き合い方について実践形式の中で参加者を支援する。
広島県商工労働局 イノベーション推進チーム 担当課長
金田 典子AI/IoT実証プラットフォームによる新たなソリューションの創出,AI/IoT人材の育成・集積,ITと異分野の融合によるイノベーションの創出に関することを担う同課。ひろしまQuestはデータドリブンにリアルを変えていく、新しい人材開発プロジェクトという位置付けとしてスタートした。
SIGNATE シニアデータサイエンティスト
高田 朋貴明治大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。専門はコンピュータサイエンス(言語処理、人工知能等)。株式会社オプトホールディングのAI研究開発部門「データサイエンスラボ」に入社。同部署にて、主にAI開発のためのコンペティション設計コンサルティングやデータサイエンス講座講師等に従事。データサイエンスラボの事業統合を機にSIGNATEに参画。博士(理学)。
SIGNATE データサイエンティスト
青井 紀之東京大学大学院情報理工学系研究科博士前期課程修了。専門は機械学習。株式会社オプトホールディングのAI研究開発部門「データサイエンスラボ」に入社。同部署にて、主にAI開発のためのコンサルティング/受託分析や分析コンペティション設計に従事し、深層学習や最適化の案件を幅広く務める。また、画像データの扱いや、深層学習に関するデータサイエンス講座講師等にも従事。データサイエンスラボの事業統合を機にSIGNATEに参画。 修士(工学)。
「試したことが、一番の学びです。」 高田講師が発表を終え、最後に参加者に送った言葉だ。この数ヶ月間、各チームが必死でスコアに影響を及ぼすであろうデータについて仮説をたて、その数値を探し、整え、試した。誰も答えを教えてくれない。いや、その場にいる全員が「正解」を持っていない状況だったのだ。いわゆる学校のテスト問題ではない。誤解を恐れずに言えば、彼らはどういう答えが正解なのかを自らで設定し、その正解に対するあらゆるアプローチを試し続けてきたのだ。
どうしてもスコア伸びない、仮説を検証するためのデータがない、自分が作業をやめてもパソコンが一晩中動き続けている、、、なんていう経験を、ここに集まった参加者たちは苦しいはずなのに、楽しんでこなしてきた。結果はどうあれ、このプロセスを経験したことは大きな学びに間違いない。そして、この体験を共有できる仲間もできたことは、他では得難い経験になったのではないだろうか。高田講師は参加者にそんな数ヶ月を一言で振り返らせた。
実際、高いスコアを記録するチームあり、数値上は良い結果であったといえそうだ。しかし、参加者は結果に満足しておらず、最終日を迎えた今日現在、どうすればもっと良い結果に辿り着けたのか?ということに探究心を燃やしていた。
開始時間はこれまでと変わらないが、いつもより少し早めに集まった参加者。刻々と迫る最終発表の時間に向け、最後まで意見を交わし、試行錯誤を重ねてスコアアップにチャレンジする参加者たち。2ヶ月前に初めて顔を合わせたチームメンバーとは思えない一体感が会場には心地よい緊張感とともに満ちていた。
最終発表会の成果は全員の”自分ゴト”に。 その場に集まった参加者がここまで発表を食い入るように見る光景は、あまり体験したことがない。それぞれが、発表される内容に共感している。その手があったか、と感嘆し、悔しがっている者もいる。アプローチは各チームごとに特徴があり、最適な分析手法を発見できたことで良いスコアにたどりつけたチームもあれば、仮説に必要なデータをうまく発見・処理できたことで、スコアの改善が実現したチームもある。その発見方法も多様で、ロジカルな検討の結果と言えるチーム、もがき苦しむ中で偶然発見したチームもある。本当に色々な思考体験が共有された。この一体感は全員が苦労を体験したことの証なのだろう。
J1、J2の観客動員数を予測するという課題に対して筆者が印象に残っているチームの発表がある。それは「クライアント」を意識したチームの発表である。このチームは理解しやすい分析手法で、比較的誰でも取得しやすいデータを極力使って課題に向き合っていた。あくまでも実社会での適用を考えた場合、クライアントが存在するという前提を設定することは極めて重要ではないだろうか。このデータ分析は何を目的にされているのか?という問いが念頭にあるのと無いのとでは、アウトプットの方向性が全く変わる。このチームは観客動員数を予測する過程での気づきをもとに、観客動員数を伸ばす提案を最後のまとめに述べた。
今回のひろしまQuestは「プレ」という位置づけで開催されたが、大きな成果を得たのではないだろうか。ともすれば人間味のない課題解決方法のように思われるデータサイエンスは、チームビルディングの重要性やデータ分析の向こうにいるクライアントや生活者のことを想像し、理解することで本当の意味での課題解決になる。課題に向き合うプロセスの中で、参加者はスキル面のレベルアップはもちろんのこと、多様なメンバーとともに社会や企業が抱える課題にどういった視点と態度で向き合っていくべきなのか?という気づきを得ることができたのではないかと感じる。今後用意されている「ひろしまQuest」に期待が大きく膨らむ最終発表会だった。
レポーター:ひろしまサンドボックス推進協議会 会員 宮川洋一
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スピンオフ連載企画 VOL.03
”NEW HERO INTERVIEW”本企画はひろしまQuest開催中の会場で取材班が独断と偏見で発見した
未来のヒーローを追跡取材する企画。 さあ、広島をアップデートするのは君たちだ!!
今回も取材に答えてくれたのはもうお馴染み、呉高専に通う梶さんと大野さん。 前回は悔しさを隠しきれなかった梶さんだが、
最終回となるDay3を終えた直後の気持ちはいかに!?
呉高専 E科 大野さん
取材班:最終発表会お疲れ様でした!結果はどうでした?
梶さん:前回の結果は「運」だったみたいで、Day2以降スコアが全く伸びず チームにあまり貢献できませんでした。
取材班:なるほど、サクセスストーリーにならなかったことも含め、 今後につながる良い経験でしたね。 グループで課題に向き合うことを通じて、何か新たに 得たことはありますか?
取材班:3回目にファインダーから見えた2人の表情は 安堵と自信に溢れていました。インタビュー後半は 2人の話題は次のアイディアソンのことばかり(笑) 未来に向かって進め、NEW HEROES!!
梶さん:これまでは、AIの機械学習と 言えば、プログラムの精度向上のこと しか考えていなかったんです。
取材班:納得いくスコアこそ出せなかったようだけど、冷静に過程を振り返って 自分の得たことをきちんと話してくれる姿に、感動しています!
梶さん:今回本当に参加して良かったです。参加するまでは、古典的な機械学習の 方法しか知らなかった状態でした。それが、今はある程度の回帰問題なら 「イケますよ!」と言える状態になり、自信になりました。
呉高専 E科 梶さん
大野さん:前回出席できなかったので、追いつくのが大変でした。
梶さん:でも、上位のチームの発表などを聞いて、いかに自分の手を動かして 情報を取るか?が大事なのだということに気付けたことは 大きな収穫でした。
大野さん:僕はチームメンバーの方から送られてくるプログラムをみて、その 考え方を色々見ることができて、刺激になりました。
大野さん:僕も回帰問題って自分にはできない難しい問題だと思っていたのですが、 「もしかしたら頑張ったらできるかも!」と思えるようになりました。 そういった意味で視界が開けました。 これから就活ですが、今自分にできないことであっても、意外と出来る ということが分かっただけで、どこに行っても楽しめそうです!
梶さん・大野さん:紹介してくれた先生には本当に感謝してます! 僕らはラッキーでした!!