20090131グローバル・ガバナンスにおける分断と不平等:ウィキペディアの言語と政治...

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Page 1: 20090131グローバル・ガバナンスにおける分断と不平等:ウィキペディアの言語と政治

グローバル・ガバナンスにおける

分断と不平等:ウィキペディアの言語と政治

渡辺智暁国際大学 GLOCOM 研究員

情報社会学会シンポジウム「『多様な情報社会』をどう捉えるか」発表資

料2009.1.31. 於 :多摩大学品川キャンパス

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主題と目的

・市民社会の多様性を扱う・言語と政治に注目して考察する・ウィキペディアを事例とする

→ウィキペディアにおけるガバナンス(合意形成や自治)に言語が占めている位置を整理する→それが他の類似のプロジェクトに与える示唆を考える

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ウィキペディアの自治

ウィキペディアは自治が大きな重みを持つ・個々の項目における投稿・編集・投稿・編集のルールやガイドライン制定・改廃・問題のある投稿やユーザーの処遇・その他これらは基本的には参加者の間の合議や投票に委ねられている。

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ウィキメディア財団の役割

ウィキペディアやその姉妹プロジェクトの公式な運営母体・募金キャンペーン・サーバー、通信費などの支払い・他の組織などとの交渉・契約一般・理事はユーザーの投票などによって選ばれる・理事候補は多くユーザーの中から→財団も自治の延長線上に存立している

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自治と言語

・自治の単位は「言語」に定義される・ウィキペディア日本語版、ウィキペディア英語版、 等が存在する (日本版、アメ・・・リカ版、など国によって定義されていない)・言語版毎に方針が異なる(影響関係はあるが、意思決定権はそれぞれの言語版の参加者に)→言語をまたぐ意思疎通は困難。その困難を制度がなぞることで、再生産・強化する。

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英語の中心性;言語間不平等性

・諸言語版をまたぐような事項についての議論・決定は英語が多い(ウィキペディアロゴの選定、財団の活動方針)・財団理事選挙など、重要事項に関しては、多言語で候補者情報が提供される。翻訳チームも存在する。が、作業言語は主に英語。・トップページ (www.wikipedia.org)はどの言語で記載するか、諸言語版へのリンクを配するとして、何をどういう順序で掲示するか

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ウィキペディアに固有でない事情

・グローバルにビットをやりとりすることは簡単に、高速になった・グローバルな意思決定は、それに比べると言語が障壁となって簡単ではなく、低速・従って、グローバルなプロジェクトを言語毎の集団に分割することには一定の合理性あり→だが、平等性を考えると、必ずしもハッ

ピーなものにはならない。

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抽象化

言語を意思決定(自治)集団の単位とする制度が制定される→言語がより利益集団を作りやすくなる(言語間交流はより困難に)→利益の分配や、意思決定における影響力が言語集団を単位として比較されやすくなる→英語の中心性が目立つグローバルなプロジェクトにありがちな構図か

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解決策:即効薬は不在か

・高性能な自動翻訳の誕生 言語間の意思疎通が、ビットの転送と同様に簡便、高速化する・複数言語使用の徹底;共通語の採用 簡便さと速度を犠牲にする代わりに、参加機会を拡大・翻訳者の雇用 資金投入で簡便さと速度の犠牲を抑える

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ウィキペディアの理念

・多言語主義(発足間もなく多言語展開、現在は 250 以上の言語で展開)・百科事典を提供する対象は人類全体・少数言語の話者に対しても、充実した百

科事典を提供することは重要→言語の壁を超えたい;より広範なコラボ

レーションを通じてより質の高く、包括的な百科事典を作成できるならしたい→が、できない

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「多様な情報社会」論への示唆

・市民社会が単一であろうとしても、言語はそれを阻む・言語の境界は、集団の分割線となりやすく、利害衝突の対立軸にもなる・言語毎に集団が形成されると集団間の平等性は確保しづらい→必ずしも歓迎・祝福すべき「多様性」(の源泉)とばかりも言えない

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この資料のライセンスこの発表資料を 2 種類のライセンスで提供し、利用者が選べるようにするために、利用許諾に関する注意書きを以下に記します。

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参考までに、本作品のタイトルは「グローバル・ガバナンスにおける分断と不平等:ウィキペディアの言語と政治」で、原著作者は渡辺智暁です。本作品に係る著作権表示はなく、許諾者が本作品に添付するよう指定した URIもありません。