2011 08-05-経済地理学-1 授業メモ
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経済地理学 1/3
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2011/08/05(金)
経済地理学-1 法 262 佐藤俊雄教授 さとう としお Sugar & Salt
■座席指定(初日に座った席で3日間固定)
遅刻早退厳禁。(冠婚葬祭以外)
9:00~10:30, 10:40~12:00, 13:00~14:30, 14:40~16:00, 16:10~17:30
■シラバス
経済地域・経済空間の普遍性(共通性)と固有性(多様性),成熟・循環型経済社会における
生活者の行動
※ 経済地理学とは何か,生活者とは何か,成熟・循環型経済社会における生活者の地域・空間行
動の特徴とパターン,消費者とは何か,などを学びます。
■経済地理学のフレームワーク(Behavior Economics )行動経済学、経済心理学
Manufacture (Product, Produce 第一次産業), Maker
| 経済活動(生産・流通)
Whole Seller (卸売 流通)
|
Retail (消費活動業界の小売業, 商業活動)
|
Cconsumer (消費者、エンドユーザ)
| 消費活動
Liver (生活者)
M→C(L)へ流れるのではなく、C(L)を軸とし↑へ上がっていく観点でこの3日間の講義を行
うものである。
歴史学、あるテーマなどからアプローチ可能であるが、成熟経済あるいは循環型経済社会見方でアプロー
チしていく。
今日の成熟経済社会(成長経済は過去のものである)世界200ヶ国で日本は先進国である。
循環型経済社会(リサイクルではなく、an Environmentally – Sound Material Cycle)
再生可能エネルギー型経済社会 (a Eco no – Society with a Renewable Energy)
原子力発電
地球温暖化
// 東日本大震災を介入しながらの講義目標としたい。
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■経済地理学とは
(田村先生は佐藤先生の教え子で、教え方はまったく違う w)
// 経済現象、事象をどう地理的に捉えるか。学問的に体系化するか。
(イデオロギー、マクロ、ミクロが包含され幅広い学問となるが、新しい技術やエネルギーを含めると、古い
経済学では新しい経済学に対向できない)
経済学:経済現象、経済事象
何かが現れる、事柄・事実
経済学:本来、家計が中心。(世界経済ではなく):家計のあり方の研究。
見えざる手があって「需要」と「供給」があるという経済学ではない。
「経世済民」(中国語) 世を経め (おさめ)、民を済う (すくう)ための学問が経済学である。
地理学:キーワード
① 人間とその集団の行動や活動:生活者、消費者、生産者、(流通業者)、「地域人」
② 立地 Location(場所 Place):地点、住置、場所の状態
③ 距離:長さ、線、方向(方位)、縮尺
④ 近接性:通路(path)、標識(sign, Landmark)、
交通 (Traffic)、移動、交換・交流
絶対的=アクセス
相対的=アクセスビリティ
⑤ 配置・配列(①~④の纏め):広がり、分布 (Distribution) 、密度、面
⑥ 環境:人間と自然との複合関係
地理学とは
① 多様な自然と人間とのかかわりの考察
② 人間行動や雇用活動の地域的な違いの考察
③ 様々な地域的・空間的な事象を分析し、評価し、類型化、差異化を試みる
経済地理学とは
経済活動(※)の地域的・が鵜門的事象や構造を体系的かつ実証的に分析し、評価して、その普遍
性と固有性を解明するとともに、現代の経済社会の当面する地域的・空間的諸問題の解決に役立てる
ように試みる学問である。 (生活者、大震災)
※流通活動に視点を合わせる。
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普遍性:類似性、共通性、一般性、標準化 (Universalization)
経済事象の
固有性:特殊性、異質性、差異性、多様性、現地化
(Individualization)
(Differentiation) Regional Differentiation 地域差
(Diversification)
■地域 →平面的、立体的、静態的、構造的、心理的(快眠性:amenity アメニティ)
area:地域の範囲を決定する境界が不明瞭 (テーマ、研究対象、文学的表現)
中央、中心、地方などを考えない。
Region:地域の範囲を決定する境界が明瞭 (目的、意図、意思決定)
中央と地方、中心と周辺
(Locality, country, zone, district, community…)
■空間 → 立体的(環境的表現) 動態的、構造的
space, place
■経済活動 経済地域 region
流通商業 経済圏(商圏)area、trading area
13:00~
【参考資料】経済空間のライフサイクル (マーケテイング:プロダクト・ライフサイクル)
① 生産 ②拡大 ③飽和 ④飽和 ⑤再生
経 (生成期)
済
空
間
成
長 時期・年数
性(発展性)
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経済空間サイクル/パターン
変異 固有
普遍 進化
成長 (growth):モノやヒトが増大、拡大、拡張、発達、発展(伸長)し、
量や数が限りなく増えていく現象。
成熟 (motive):モノやヒトの成長が衰えつつも、その質が向上していく状態で、
内面的に充実していく過程(ゆとり、豊かさ、安全、安心、安定、調和)。
価値の認識。
■A.生活者 (Liver)とは人間として生まれたからには、その存在を明確に自覚し地球上に
生まれてきたことの有難さ、喜び、そしてその生命の大切さ、尊さを実感する人間であること。
// 地球そのものの生態系(カントリーリスク・地政学的問題と共存)をマクロ、ミクロも考慮
// して、はじめて生活者 Liver として生まれ成長する。
B.生活者とはイコール消費者ではなく、日常生活を中心に生計を営み、それを同時に
自らのライフスタイルを主体的に、意識的におよび時空的に維持発展させるために、
消費生活面および非消費生活面の両面に実践的かつダイナミックに働きかけ、行動し
設計し、あるいは創造して最終的には自己の物的、人的、精神的、および環境的バランスを
確立しようとする人間である。
Residentsは居住者。
一般的には People であるが、経済学では Liver で Consumer Citizen である。
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生活者の捉え方
A.学問的捉え方
①経済学 ⇒ 完全なる合理的な経済人(ホモ・エコノミクス)=「消費者」 vs. 生産者、労働者
②地理学 ⇒ 生活様式を有する地域住民、産業人
A.モード・オブ・ライフ
B.ライフスタイル
③家政学 ⇒ 「生活学」、「生活科学」 ⇒ 家庭人、家族の一員としての「生活者」
14:40~
B.心理学的把握
// 生活者は何らかの欲求を持っている。
ニーズ (needs):まさにすぐに実践する欲求
→ 日用生活品の購入
(1)欲求 ウォンツ(wants):ある目標を求める欲求
→ 必要を感じる商品の購入(買回り品)
ウィッシズ(wishes):いつ達成されるか未定だが、いずれ達成したい欲求
→ 願望、希求
→ 将来求めたい商品の購入希望(贅沢品)
(2)マズローの「五段階欲求説」
①生理的欲求②安全的欲求③所属欲求④自我欲求(承認欲求)⑤ 自己実現(欲求)
wishes
④ はステータス。
wants
needs
被災者は②の安全欲求がとても高いことを再認識した。
(安全な場所にいたい)
//消費生活面と非消費生活面という視点でみると、欲求がどこで満たされるのか考えられる。
⑤
④
③
②
①
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欲 非消費生活欲求
求 ①
度
②
③
④
欲求レベルのプロセス
C ライフスタイルとしての捉え方
(マーケテイング)
⑤ ライフスタイル=①+②+③+④
Lifestyle ≠ Consumer Style
マーケテイングとはライフスタイルの重要性を考えること。
① 生活者の意識
a.いままで学んだ欲求
b.パーソナリティ:人格(キャラ)、生き方、生活信条、人生観
c.生活態度:金銭感覚、健康への配慮、愛や美の捉え方
d.価値観:いま何が重要だと感じているか
e.嗜好関心領域
② 生活構造
a.家計
b.生活時間
c.生活習慣 → 生活文化
d.生活情報の受発信
e.ライフステージ (ライフサイクル)
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ライフステージの例:
1. 幼児期(就学以前)
2. 子供期(小学生~中学生)// トイザらスの品ぞろえ対象
3. 学生期(高校生~大学生レベル)
4. 独身期
5. 新婚期
6. 新婚夫婦の子供の養育期
7. 旧夫婦の熟年期 「おふたりさま時代」
8. 主人の退職後の超熟年期
9. どちらかが老齢介護期
10. 一人期 「おひとりさま」
③ 生活領域 (機能、行動)
a. 衣をまとう(着る、装う)
b. 食(食べる)
c. 住(住まう、暮らす)
d. 移動する「交通」
e. 買う・使う
f. 遊ぶ ― 余暇、くつろぐ、娯楽
g. つきあう ― 交際、社交の振る舞い
h. 学ぶ - 教養、文化にひたる
i. 育てる・教える - 教育
j. 情報の受発信 // 口コミ、blog
k. 勤める・・・稼ぐ
l. 蓄える、備える、貯める
m. 借りる、貸す、治める
n. 支援 → ボランティア、介護
o. 医療、衛生、保健
④ 生活行動空間
a.家庭空間
b.地域社会(コミュニティ)空間
c. 移動空間(情報受発信空間を含む)
d. 余暇空間
e. 買い物空間:店へ出向く空間(小売業) (購買空間は通販があるから間違い)
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16:30~
■生活者はなぜ行動するか? // 脳科学の領域
1. 生活者の大脳には五感機能があり、これらの環境や情報あるいは刺激を受け、それを電気信号に
変え 複雑に相互作用し、物事を知覚し、判断する。
視覚(目) → 像・カラー・色彩・光
聴覚(耳) → 聴く・振動
嗅覚(鼻) → 嗅ぐ(香り・臭い・匂い)
味覚(舌) → 味わう(甘い・苦い・酸っぱい・塩辛い・旨み) ※味覚に辛いは含まれない
触覚(皮膚)→ 触れる(温覚・冷覚・圧覚・痛覚)
2. これらが小脳に伝達され、これを運動機能に変えて五体を動かす。
頭・首・胴・手・足 (五体)
3. こうした機能や運動が反復されて生活者の行動となる。
■生活者はなぜ消費するか?
1. さまざまな欲求を満たしたい
2. 大脳や小脳の働きで行動したがる これらを通じて、生活者が一時消費者に
3. さまざまな学習や集団生活を展開する 変身する(独語:メタモルフォーゼ)
4. 本来備わっている消費習慣と文化を保有している
■生活者のライフスタイル(生活様式)の捉え方の種類
1. 個人として・・・年齢(デモグラフィック/世代統計によると)
職業
所得 壺型
2. 男性、女性
3. キッズ、ジュニア、ヤング、ミッシー、ミセス(差別用語なので使っていない)、ミズ、アダルト、シニア
Ex. キッズライフスタイル、シニアライフスタイルなど
4. 家族(家庭) ファミリーライフスタイル、主婦(専業、勤労)
5. 特殊テーマ・・・団塊の世代、団塊ジュニア
6. 時代別、地域別
7. スローライフ
8. LOHAS = Lifestyles Of Health and Sustainablity (健康で幸福な生活が持続する様式)