京都大学アカデミックデイ2011報告書

33
京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 1 開催日時 2012年3月10日(土)10時00分から16時00分 会場 京都大学百周年時計台記念館 目次 1.概要 1-1.イベント概要 1-2.支援体制 1-3.会場配置図、ブース設計 2.プログラム 2-1.畳にコタツで膝詰め対話(サイエンスカフェ) 2-2.ポスター前で立ち話(ポスター展示) 2-3.お茶を片手に座談会(トークライブ) 2-4.松本紘の部屋(対談式講演会) 2-5.対話マラソンのための給水ポイント(カフェコーナー) 3.出展者概要 3-1.畳にコタツで膝詰め対話(サイエンスカフェ) 3-2.ポスター前で立ち話(ポスター展示) 京都大学アカデミックデイ みんなで対話する京都大学の日

Upload: kura-office

Post on 20-Dec-2014

1.323 views

Category:

Education


0 download

DESCRIPTION

 

TRANSCRIPT

Page 1: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 1

開催日時 2012年3月10日(土)10時00分から16時00分

会場 京都大学百周年時計台記念館

目次 1.概要

1-1.イベント概要

1-2.支援体制

1-3.会場配置図、ブース設計

2.プログラム

2-1.畳にコタツで膝詰め対話(サイエンスカフェ)

2-2.ポスター前で立ち話(ポスター展示)

2-3.お茶を片手に座談会(トークライブ)

2-4.松本紘の部屋(対談式講演会)

2-5.対話マラソンのための給水ポイント(カフェコーナー)

3.出展者概要

3-1.畳にコタツで膝詰め対話(サイエンスカフェ)

3-2.ポスター前で立ち話(ポスター展示)

京都大学アカデミックデイ ― みんなで対話する京都大学の日 ―

Page 2: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 2

京都大学は、2012 年 3 月 10 日に京都大学百周年時計台記念館にて「京都大学アカデミックデイ ‐みんな

で対話する京都大学の日‐」を開催しました。「京都大学アカデミックデイ」は、市民や研究者、文系、理系

を問わず、誰もが学問の楽しさ・魅力に気付くことができる「対話」の場となることを目指しました。これ

は、国民と科学・技術に関わる者が直接対話することで、国民の声を、国の政策や本学における研究活動に

反映させることを1つの目的として始めた取り組みです。京都大学からは 26 組の研究プロジェクトが参加し、

他、高校生による発表 4件、市民研究者による発表 10 件も行われました。1日で延べ 346 人の来場者が訪れ

ました。

「京都大学アカデミックデイ」では「対話」のスタイルに合わせて4つのプログラムを用意しました。研

究者とじっくり対話をする「畳にコタツで膝詰め対話(サイエンスカフェ)」や様々な分野の研究者に触れる

ことのできる「ポスター前で立ち話(ポスター展示)」。1つのテーマに沿って、みんなで話し合う「お茶を

片手に座談会(トークライブ)」、そして、総長による対話を観覧する「松本紘の部屋(対談式講演会)」があ

りました。また、「対話マラソンのための給水ポイント」では、コーヒーやお茶を対話のお供として用意しま

した。

今回の出展は、京都大学による「国民との科学・技術対話」支援事業の一環として実施されました。広報

コンテンツや会場サイン等は京都大学学術情報メディアセンターコンテンツ支援サービスによって制作しま

した。またコンテンツ作成室との共同研究として対話を促進させる仕掛け作りにも積極的に取り組みました。

企画のデザインや運営は学術研究支援室(URA室)及び物質‐細胞統合システム拠点(iCeMS)科学コミュ

ニケーショングループの協力を得て行い、来場者の方へのアンケート調査も実施しました。京都大学ブース

にはどのような来場者の方が訪れたのか、つまり、どのような方と対話をすることができたのかを把握し、

各研究者にフィードバックをすることで、今後の対話活動をよりよいものにすることを目指しています。

開催日時 2012年3月10日(土)

10時00分から16時00分

会場 京都大学百周年時計台記念館

1.概要

1-1.イベント概要

Page 3: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 3

「京都大学アカデミックデイ」は、京都大学による「国民との科学・技術対話」支援事業の一環として実

施されました。支援体制は以下の通りです。

「国民との科学・技術対話」ワーキンググループ委員

横山 俊夫 人文科学研究所/地球環境学堂 教授

楠見 孝 教育学研究科 教授

中辻 憲夫 物質‐細胞統合システム拠点 教授

西村 いくこ 理学研究科 教授

北野 正雄 工学研究科 教授

塩瀬 隆之 総合博物館 准教授

川口 泰史 研究推進部研究推進課 課長

中井 秀和 渉外部社会連携推進課 課長

中村 一也 総務部広報課 課長

「国民との科学・技術対話」若手ワーキンググループ委員

白井 哲哉 学術研究支援室(URA室) URA

水町 衣里 物質‐細胞統合システム拠点/総合博物館 研究員

加納 圭 物質‐細胞統合システム拠点 特定拠点助教

元木 環 情報環境機構/学術情報メディアセンター 助教

研究国際部研究推進課

小西 喜久男 研究国際部研究推進課 課長補佐

吉元 幸司 研究国際部研究推進課 研究助成掛

上田 純平 研究国際部研究推進課 研究助成掛

学術研究支援室(URA室)

白井 哲哉 学術研究支援室(URA室) URA

学術情報メディアセンター コンテンツ作成室

岩倉 正司 学術情報メディアセンター 教務補佐員

永田 奈緒美 学術情報メディアセンター 教務補佐員

1-2.支援体制

Page 4: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 4

■ 「京都大学アカデミックデイ」配置図

会場案内/百周年時計台記念館 2階 国際交流ホール

エレベーター

締切

受付

0104

05

06

07

08

09

11 12 13 14

151617181920

242526272829

21 22 23

30 31 32

10

0203

ポスター前で立ち話ポスター展示

畳にコタツで膝詰め対話サイエンスカフェ

対話マラソンのための

給水ポイントカフェコーナー

お茶を片手に座談会トークライブ

松本紘の部屋対談式講演会

対話のお供に、コーヒーやお茶はいかがですか?お好きなお飲物を片手に、対話の場へお戻りください。*飲料品切れの場合はご容赦ください。*ホールの外には、お飲物を持ち出しできませんので、ご注意ください。

会場:1階 百周年記念ホール

1-3.会場配置図

Page 5: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 5

■ 2-1-1.概要

日時 3月10日(土曜日)10時00分~11時00分、11時00分~12時00分

会場 京都大学百周年時計台記念館 2階 国際交流ホールⅢ

「畳にコタツで膝詰め対話(サイエンスカフェ)」では、研究にまつわるあんな

話、こんな話を、来場者と大学の研究者がお茶の間気分で話し合うコーナーでした。

会場には4つのコタツブースと1つのテーブルブースが設置され、10 時から 12 時

の間に計7つの研究グループが出展しました。各研究グループは、1時間ずつ参加

し、どんな研究を行っているのか、なぜその研究をすることになったのか、などを

来場者と語り合っていました。4帖の畳から成るコタツブースでは、コタツに入っ

たり、畳の縁に腰をかけたりと、みな思い思いのスタイルで研究者と対話をする来場者の姿がみられました。

2.プログラム

2-1.畳にコタツで膝詰め対話(サイエンスカフェ)

Page 6: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 6

■ 2-1-2.参加研究者一覧

日時 氏名(所属 職名) タイトル

三浦岳(医学研究科 准教授) 「生物の形づくりを数学で理解する」

平岡眞寛(医学研究科 教授)

原田浩(生命科学系キャリアパス形成ユニット 講師)

「分子画像×追尾技術=究極の放射線治療」 3 月 10 日(土)

10 時 00 分~

11 時 00 分

中村正治(化学研究所 教授) 「レアメタル不要!鉄触媒クロスカップリング」

七田芳則(理学研究科 教授) 「“見えない”紫外線を感じる!?」

椛島健治(医学部附属病院 准教授) 「研究と臨床を融合させ、アレルギーの克服を図る」

諸熊奎治(福井謙一記念研究センター リサーチリーダー) 「コンピュータで化学反応の世界を探る」

3 月 10 日(土)

11 時 30 分~

12 時 30 分

梅村綾子(物質‐細胞統合システム拠点(iCeMS) 研究員) 「こどもの目で見る結晶成長のパズル」

Page 7: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 7

■ 2-2-1.概要

日時 3月10日(土曜日)10時00分~13時00分、14時30分~15時45分

会場 京都大学百周年時計台記念館 2階 国際交流ホールⅠ

高校生、市民研究者、大学研究者による研究紹介のコーナーでした。会場には 32

グループのポスター展示がずらりと並び、ポスターの前ではその研究を行った研究

者が来場者と直接語り合いました。また、研究者によっては、ポスターの前に配置

された机や椅子を使って展示品を並べ、それらを使って研究の紹介をする姿も見ら

れました。さまざまな立場で研究をしている人が一同に集っていたため、研究者同

士の交流も深まり、互いに刺激をしあう場になっていました。

2-2.ポスター前で立ち話(ポスター展示)

Page 8: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 8

■ 2-2-2.参加研究者一覧

・ 京都大学

・ 高等学校

氏名(所属) タイトル

吉田正純(教育学研究科 特定助教) 「童仙房地域の新しい教育空間づくり」

渡邊裕美子(理学研究科 助教) 「鍾乳石の化学組成から探る古気候変動」

前野悦輝(理学研究科 教授) 「元素の立体周期表“エレメンタッチ”」

篠原隆司(医学研究科 教授) 「生殖細胞のもつ分化多能性について」

篠原美都(医学研究科 助教) 「精子を作る幹細胞とその環境」

高橋良輔(医学研究科 教授) 「メダカを使ったパーキンソン病への挑戦」

柳田素子(医学研究科 教授) 「腎臓病を治る病気にするために、今何が必要なのか」

堀越亮(工学研究科 技術職員)、小林洋治(工学研究科 助教)、陰山洋

(工学研究科 教授)

「ブロック玩具で学ぶ触媒の機能」

杉山和彦(工学研究科 准教授) 「単一イオン原子時計と基礎物理」

内本喜晴(人間・環境学研究科 教授) 「低炭素社会実現のための次世代蓄電池」

金光義彦(化学研究所 教授) 「ナノ物質が拓く光科学のフロンティア」

反町始(生存圏研究所 技官)、田鶴寿弥子(生存圏研究所 助教) 「材鑑調査室を活用した文理融合型研究」

吉田友教(霊長類研究所 特定助教) 「絶滅危惧種の野生類人猿保護について」

齊藤暁(霊長類研究所 特定研究員)、明里宏文(霊長類研究所 教授) 「サルで増えられるエイズウイルスの開発」

太田至(アフリカ地域研究資料センター 教授) 「アフリカの潜在力:紛争の解決と共生」

荒木茂(アフリカ地域研究資料センター 教授) 「アフリカ熱帯雨林の食料と非木材森林産物」

高等学校名 タイトル

京都府立嵯峨野高等学校 「カワヨシノボリの成魚の塩分耐性」

「YBCO 超伝導体」

京都府立洛北高等学校 「牛乳の泡の不思議」

「低層ビル群における風の研究」

京都市立堀川高等学校 「根は有機物を吸収するのか」

「日本語と英語のオノマトペ比較」

立命館高等学校 「塩山幾何学を用いたボロノイ図の解析」

「鏡像による多面体の作成」

Page 9: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 9

・ 市民

団体等名 タイトル

iGEM Kyoto 「食虫大腸菌‐自立型栄養補給への道」

NPO 花山星空ネットワーク 「京都千年天文学街道ツアー」

NPO 花山星空ネットワーク 「『日食観察用めがね』の透過率測定」

水野義之(京都女子大学現代社会学部)

鎌田陽子(福島県いわき市)

「放射線災害と住民の対話型勉強会」

吹田ヒメボタルの会 「市街地の中の天然記念物ヒメボタル」

長崎摂(豊中市立第十四中学校) 「市民が生態学を学び国際誌に挑戦!」

丸山湿原群保全の会 「ようこそ 兵庫県一の湧水湿原へ」

Kyoto Science Codex 「Science Codex の活動紹介」

琵琶湖博物館はしかけグループ

「近江はたおり探検隊」「近江昔くらし倶楽部」

「博物館で昔のくらしを探究する」

元素周期表同好会(化学同人内) 「えれめんトランプを楽しもう!」

Page 10: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 10

■ 2-3-1.概要

日時 3月10日(土曜日)10時00分~11時00分、

11時30分~12時30分、

14時45分~15時45分

会場 京都大学百周年時計台記念館 2階 国際交流ホールⅡ

テーマに沿ってみんなで語り合うトークライブです。この日は、3つのトークラ

イブが行われました。登壇者と客席の距離を縮め、登壇者がテーマに沿って話しな

がら客席の来場者とも意見を交換できる場となりました。来場者は椅子に腰をかけ

て、じっくりと話に耳を傾けることも、ふいに質問することもでき、思い思いのス

タイルでトークライブに参加していました。

2-3.お茶を片手に座談会(トークライブ)

Page 11: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 11

■ 2-3-2.トークテーマ・参加者一覧

「アーカイブ広場 ― 京都大学研究資源アーカイブのこれから」

日時 3月10日(土曜日)10時00分~13時00分

会場 京都大学百周年時計台記念館 2階 国際交流ホールⅡ

京都大学における研究資料のアーカイブの可能性やその楽しさをテーマにしました。さまざまな立場の方

を迎えてさまざまな視点から、あるいはそれぞれの立場や視点を超えての話し合いを行いました。

司会 山下俊介(京都大学総合博物館 研究員)

パネリスト 影山幸一(アートプランナー)

河野浩之(南山大学情報理工学部 教授)

久保正敏(国立民族学博物館 教授)

コーディネーター 五島敏芳(京都大学総合博物館 講師)

元木環(京都大学情報環境機構/学術情報メディアセンター 助教)

山下俊介

Page 12: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 12

Page 13: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 13

「来年の京都大学アカデミックデイをよりよくするために」

日時 3月10日(土曜日)11時30分~12時30分

会場 京都大学百周年時計台記念館 2階 国際交流ホールⅡ

来年の京都大学アカデミックデイをよりよくするためには何が必要なのかを考えるところから議論を始め

ました。研究・学問について研究者と市民とが行う望ましい「対話」とはいったい何なのか、来場者と一緒

に考えました。

司会 加納圭(京都大学物質‐細胞統合システム拠点(iCeMS) 特定拠点助教)

パネリスト 大島まり(東京大学大学院情報学環/生産技術研究所 教授)

加藤和人(京都大学人文科学研究所/

大学院生命科学研究科/物質‐細胞統合システム拠点(iCeMS) 准教授)

コーディネーター 加納圭

水町衣里(京都大学物質‐細胞統合システム拠点(iCeMS)/総合博物館 研究員)

Page 14: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 14

Page 15: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 15

「震災から1年:知の拠点たる「大学」がすべきこれからの仕事とは?」

日時 3月10日(土曜日)14時45分~15時45分

会場 京都大学百周年時計台記念館 2階 国際交流ホールⅡ

今回の災害に対して大学は何ができたのか?日本の社会構造から個人心理までの幅広い観点から、「今どの

ような問題が明らかとなり、それらはどのように解決できるのか?」を議論しました。

司会 大西有三(京都大学理事・副学長/震災対策本部長)

パネリスト 井澤一朗(京都大学情報環境機構 教授/前総務省東北総合通信局長)

稲葉利江子(京都大学大学院情報学研究科附属情報教育推進センター 特定講師)

上田義勝(京都大学生存圏研究所 助教)

松野文俊(京都大学大学院工学研究科 教授)

大西有三

ファシリテーター 宮野公樹(京都大学学際融合教育研究推進センター 准教授/総長室特命補佐)

Page 16: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 16

Page 17: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 17

■ 2-4-1.概要

日時 3月10日(土曜日)13時00分~14時30分

会場 京都大学百周年時計台記念館 1階 百周年記念ホール

京都大学総長・松本紘がゲストの素顔に迫り、多様な話を引き出す鼎談でした。

ゲストには京都大学出身の平野啓一郎さん、公立はこだて未来大学教授の美馬のゆ

りさんに来ていただきました。

司会者の楠見孝教授による松本総長の紹介の後、舞台は暗転し松本総長ご自身の

写真で半生を遡るようなオープニングムービーが流れ、「松本紘の部屋」はスタート

しました。小説、専門家、マスメディアが伝える科学について、またそれらが社会

に及ぼす影響について、具体的な事例を交えながら鼎談が進みました。時には、理系・文系に分離されてい

る教育の問題や、喫緊の課題である震災に関する問題、それらにおける大学の役割についても話題に上りま

した。

この3人が経験されてきた具体的な話題やそれに基づく意見が次々に交わされ、90 分には収まりきらない

ほどの盛況な鼎談が行われました。

2-4.松本紘の部屋(対談式講演会)

Page 18: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 18

Page 19: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 19

Page 20: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 20

■ 2-4-2.ゲスト・総長紹介

松本 紘 総長

京都大学大学院工学研究科電子工学専攻修了。

専門は、宇宙プラズマ物理学、宇宙空間無線エネルギー伝送工学、宇宙電波工学。

京都大学工学部、京都大学超高層電波研究センター、京都大学宙空電波科学研究センター、京

都大学生存圏研究所を経て、京都大学理事(副学長)。

2008 年から現在、京都大学第 25 代総長。

平野 啓一郎氏

愛知県生まれ。

小説家。

京都大学法学部卒業。

1999 年在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により第 120 回芥川賞を受賞。

同年に『一月物語』を発表。

2002 年に大長編『葬送』の刊行をはじめ、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。

2009 年に『決壊』で織田作之助賞候補および平成 20 年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞、

『ドーン』で第 19 回 Bunkamura ドゥマゴ文学賞受賞(島田雅彦選考委員)。

その他『滴り落ちる時計たちの波紋』、『顔のない裸体たち』、『かたちだけの愛』、エッセイ集

『モノローグ』、対談集『ディアローグ』、新書『本の読み方』、『マイルス・デイヴィスとは誰

か』など著書多数。

三島由紀夫賞第 6期選考委員、東川賞審査会委員なども務める。

現在週刊漫画雑誌『モーニング』にて長篇小説『空白を満たしなさい』連載中。

美馬 のゆり氏

東京生まれ。

専門は認知科学、教育工学、科学コミュニケーション。

電気通信大学計算機科学科卒業。

外資系コンピュータ・メーカ勤務を経て、ハーバード大学大学院、東京大学大学院教育学研究

科修了。電気通信大学大学院情報システム学研究科修了。

スタンフォード国際研究所教育工学センター国際研究員、マサチューセッツ工科大学メディ

ア・ラボラトリー客員研究員などを務めつつ、公立はこだて未来大学および日本科学未来館の

設立計画策定に携わる。

2003‐2006 年日本科学未来館副館長。

現在、はこだて未来大学教授、サイエンス・サポート函館代表。文部科学省の科学技術理解増

進や科学技術政策に関する委員、経済産業省の製品安全に関する委員、日産財団理事、NHK 教

育サイエンス ZERO のコメンテーターなども務める。

Page 21: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 21

■ 2-5-1.概要

日時 3月10日(土曜日)10時00分~13時00分、14時30分~15時45分

会場 京都大学百周年時計台記念館 2階 国際交流ホール

「京都大学アカデミックデイ」では、コーヒーやお茶を提供するカフェコーナー

を用意しました。このコーナーには、「お好きなお飲物を片手に、対話の場へお戻り

下さい」と記したサインを置きました。畳のコーナーやトークライブでは、飲み物

も楽しみながら、来場者と研究者が対話をする場面が見られました。

2-5.対話マラソンのための給水ポイント(カフェコーナー)

Page 22: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 22

「生物の形づくりを数学で理解する」

三浦岳(京都大学大学院医学研究科 准教授)

私たちの体は、不思議な形をしています。この形が卵の中、または母体の中

で作られるプロセスは「発生」と呼ばれます。多数の細胞がお互いに相互作

用をしながら複雑な形を作っていくさまは神秘的で、多くの研究者を引きつ

けてきました。今回はこのような複雑な形作りの現象を、数学を使って理解

する新しい試みについて紹介します。

「分子画像×追尾技術=究極の放射線治療」

平岡眞寛(京都大学大学院医学研究科 教授)

原田浩(京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニット 講師)

放射線治療の理想は、正常細胞への放射線照射を極力減らしつつ、腫瘍の

性質に合せた正しい放射線を集中投与する事です。我々は分子画像による

正確な腫瘍情報獲得技術と、動く腫瘍に対し正しく放射線照射する動体追

尾技術を駆使し、究極の放射線治療の実現を目指しています。

「レアメタル不要!鉄触媒クロスカップリング」

中村正治(京都大学化学研究所 教授)

2010 年のノーベル化学賞は、パラジウムを触媒とした「クロスカップリン

グ反応」の開発に対して、鈴木章先生、根岸英一先生、Richard Heck 先生

に与えられました。

現在、医薬品・農薬、液晶などの生活を豊かにしてくれる様々な「お役立ち」

分子が、クロスカップリング反応で作られています。

私たちの研究室では、希少金属であるパラジウムの代わりに鉄を触媒として

クロスカップリング反応を行う研究をしていますが、さて、安全、安心、安

価と三拍子そろった鉄をつかって、「お役立ち」分子を上手く作ることは出

来ますでしょうか?

3.出展者概要

3-1.畳にコタツで膝詰め対話(サイエンスカフェ)

Page 23: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 23

「“見えない”紫外線を感じる!?」

七田芳則(京都大学大学院理学研究科 教授)

私たちは外の世界を 3原色(赤・緑・青)で見ています。また、マウスやチ

ョウとは違ってヒトは紫外線を「見る」ことはできません。しかし、最近の

研究により、時刻・季節変化などを知るために「感じている」可能性がでて

きました。

「研究と臨床を融合させ、アレルギーの克服を図る」

椛島健治(京都大学医学部附属病院 准教授)

国民の 3 人に 1 人がアレルギーを患っており、いかにアレルギーを克服す

るかが今後の重要な課題となっている。近年アレルギー疾患の根本原因の

一つに皮膚のバリアー機能の破綻が指摘され、バリアー機能の回復を介し

てアレルギー疾患の予防・治療を図る戦略が試みられている。本サイエン

スカフェでは、アレルギーがなぜ起こるのか、そしてそれをどう克服する

べきかについて対話をもとに考えてみたい。

「コンピュータで化学反応の世界を探る」

諸熊奎治(京都大学福井謙一記念研究センター リサーチリーダー)

C60 サッカーボール分子はどのように生成されるのか、触媒反応はどのよう

にむのか、クラゲの緑色蛍光タンパクはなぜ光るのかなど、化学反応が起

る様子を、コンピュータを使って“眼で見たように”追跡したいと思いま

す。

「こどもの目で見る結晶成長のパズル」

梅村綾子(京都大学物質‐細胞統合システム拠点(iCeMS) 研究員)

自然界にも人工的にも生まれ成長する結晶、それは見た目にも美しく私た

ちを魅了します。どのように大きくなるのでしょうか?こどもの頃遊んだ

パズルから結晶成長を楽しく考えてみませんか?

Page 24: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 24

「童仙房地域の新しい教育空間づくり」

吉田正純(京都大学大学院教育学研究科 特定助教)

教育学研究科では 2006 年から、京都府唯一の村である南山城村の野殿・童

仙房(のどの・どうせんぼう)地区で、「新しい教育と学びの空間づくり」

をめざして、旧小学校舎を拠点に地元の皆さんとさまざまな活動に取り組ん

できました。地域の活性化のために「教育」に何ができるのか、展示をつう

じて考えていただければと思います。

「鍾乳石の化学組成から探る古気候変動」

渡邊裕美子(京都大学大学院理学研究科 助教)

鍾乳石は、洞窟の中で 1年に数十μmほどのゆっくりとしたスピードで成長

をしています。その鍾乳石中に観察される“年輪”の炭素・酸素同位体比

から、過去の降雨量を読み解いていきます。

「生殖細胞のもつ分化多能性について」

篠原隆司(京都大学大学院医学研究科 教授)

これまで私たちは精子幹細胞にはES細胞に匹敵しうる分化能力があること

を証明してきました。

本研究では、この多能性細胞へのリプログラミング機構を解明し、多能性

精子幹細胞と ES 細胞との生物学的な違いを検討します。

「サルで増えられるエイズウイルスの開発」

齊藤暁(京都大学霊長類研究所 特定研究員)

明里宏文(京都大学霊長類研究所 教授)

本来、エイズウイルスは、ヒト以外ではほとんど増えられません。私たち

は、世界に先駆けてサルでも増えられるウイルスを作ることに成功しまし

た。この研究は、エイズの予防や治療への応用が強く期待されています。

3-1.ポスター前で立ち話(ポスター展示)

01

02

03

04

Page 25: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 25

「低炭素社会実現のための次世代蓄電池」

内本喜晴(京都大学大学院人間・環境学研究科 教授)

風力発電・太陽電池など自然エネルギーの安定供給をはかるために、ポスト

リチウムイオン電池を指向した長寿命かつエネルギー密度の高い新しい電

池を創出を目指し、s‐ブロック金属を負極とした電池を構築します。

「精子を作る幹細胞とその環境」

篠原美都(京都大学大学院医学研究科 助教)

ほ乳類の精巣では莫大な数の精子が毎日、精子幹細胞から生み出される。

精子幹細胞は骨髄移植における血液幹細胞と同じように、精巣に移植する

とドナー由来の精子形成をすることができ、その移植技術は不妊患者の治

療や遺伝子改変動物の作成などへの実用化の可能性がある。本展示では、

移植された幹細胞がどのように生着し、その精子形成をどのように環境側

が支持するか、本研究室で明らかにした最近の知見を紹介する。

「根は有機物を吸収するのか」

京都市立堀川高等学校

根が無機物を吸収することは知られている。例えば、K(カリウム)、P(リン)、

N(窒素)は肥料の三大要素だ。しかし私が調べた限り、根が有機物を吸収す

るとの記述は見つけられなかった。そこで対照実験を通して疑問を解決す

る。

「日本語と英語のオノマトペ比較」 京都市立堀川高等学校

オノマトペはギリシャ語で「命名する」という意味で、日本語の擬音語、

擬態語を指す。先行研究や、自分の行った調査から、同じ母語を持つ人々

は同じ感覚を通し、オノマトペへ変換していると考え、その感覚とは何で

あり、どこから生じたかを探った。その結果、日本語話者は抽象的な表現、

英語話者は具体的な表現を好む傾向にあることが窺えた。オノマトペも、

このような傾向を持って作られ、使われていると推測できる。

05

06

07

Page 26: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 26

「ナノ物質が拓く光科学のフロンティア」

金光義彦(京都大学化学研究所 教授)

物質を数ナノメートルの大きさまで小さくしていくと、その性質に驚くよう

な変化が現れます。

ナノ物質のユニークな性質を最大限に活用して、これまでにない新しい光科

学の開拓に挑戦しています。

「材鑑調査室を活用した文理融合型研究」

反町始(京都大学生存圏研究所 技官)

田鶴寿弥子(京都大学生存圏研究所 助教)

生存圏研究所材鑑調査室は、1978 年に国際木材標本室総覧に機関略語KY

Owとして登録され、1980 年に設立された。それ以降、木材標本の収集の

みならず、建築史・文化史・歴史学・年代学・気候学といった様々な学際

領域へも寄与してきた。近年、文化財科学が発展し注目を浴びるようにな

ってくるとともに、木材の樹種識別分野が改めて脚光を浴びている。従来、

樹種識別には木材組織の観察が必須で、木材 3 断面の切片を作成し、顕微

鏡下での観察が必要であった。しかし、国宝をはじめとした木製文化財で

は得られる試料が小さすぎたり劣化しすぎているものも多く、従来法によ

る識別が困難なものも多かった。

「メダカを使ったパーキンソン病への挑戦」

高橋良輔(京都大学大学院医学研究科 教授)

パーキンソン病は、歩きにくさや手の震えが徐々に進む神経難病の一つで、

国内で 17 万人もの患者さんがいます。我々は世界初のメダカを使った動物

モデルを作製し、この未解明の疾患の根本的治療を目指しています。

「絶滅危惧種の野生類人猿保護について」

吉田友教(京都大学霊長類研究所 特定助教)

現在、認知科学や心の研究のように多種類の異なる研究に使用され、大変

貴重な遺伝資源とされる野生大型類人猿が未来にわたって存続可能な状態

で生息することが非常に困難な状態にある。その理由は、特にヒトに似た

遺伝子構成を持つ類人猿では、他の動物種と異なり「人獣共通感染症」の

アウトブレークが地域個体群の存続に大きな脅威となっているからである。

そこで本研究は、孤立個体群の持続的維持管理にとって重要な意味を持つ

人獣共通感染症について、病原体に対する抗体のスクリーニングを応用し、

人獣共通感染症における科学的知見を発表する。

08

09

10

11

Page 27: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 27

「ブロック玩具で学ぶ触媒の機能」

堀越亮(京都大学大学院工学研究科 技術職員)

小林洋治(京都大学生存圏研究所 助教)

陰山洋(京都大学大学院工学研究科 教授)

この展示ブースでは、触媒が持つ機能をブロック玩具を使って説明します。

①小さな分子をつないで長い鎖にする触媒(メタロセン触媒によるプロピレ

ンの重合反応)

②円い分子を長い鎖にする触媒(グラブス触媒による開環メタセシス反応)。

「塩山幾何学を用いたボロノイ図の解析」

立命館高等学校

平面上の任意の図形を切り抜いた板上に塩を振りかけると塩山の描く稜線

ができる。この稜線は平面幾何における様々な性質を表現できることを発見

し、その性質を用いて最適配置問題などに応用されているボロノイ図を塩山

で再現した。

「鏡像による多面体の作成」 立命館高等学校

万華鏡が鏡像の性質を利用して作成される原理を用いて、正多面体の作成を

試みた。その結果、正二十面体・正十二面体の相対性を利用して、2つの多

面体を同時に作成するミラーシステムを作成した。

「アフリカの潜在力:紛争の解決と共生」

太田至(京都大学アフリカ地域研究資料センター 教授)

アフリカでは、さまざまな紛争が頻発し、膨大な数の難民や国内避難民が

発生しています。私たちの研究では、紛争によって失われた社会の秩序を

回復し、傷ついた社会関係を修復することは、どうしたら可能になるのか

を考えています。

12

13

14

Page 28: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 28

「京都千年天文学街道ツアー」

NPO 花山星空ネットワーク

「京都千年天文学街道ツアー」は平安時代の安倍晴明による天文観測から

現代の京都大学での研究へ至るまで、京都千年間の天文学研究を紹介する

もので、実際に天文研究者から説明を受けながら、関連史跡をまちあるき

します。

「『日食観察用めがね』の透過率測定」

NPO 花山星空ネットワーク

本年5月21日の金環日食を安全に観察するために、花山天文台で「太陽

めがね」を製作した。分光光度計を用いて、その分光透過率を測定したの

で、その他の市販品などの性能と比較した結果を報告する。

「食虫大腸菌‐自立型栄養補給への道」

iGEM Kyoto

もし小さな大腸菌が「虫」を食べたら、きっともっと身近に感じられるので

は…?そんな思いから、私たちは合成生物学の手法を用いて食虫大腸菌の作

製に取り組み、合成生物学の世界大会である iGEM で発表しました。合成生

物学?iGEM?大腸菌の作製?そんな疑問を感じた方、是非ともポスターの前

に足をはこんでみて下さい。

「放射線災害と住民の対話型勉強会」

水野義之(京都女子大学現代社会学部)

鎌田陽子(福島県いわき市)

東日本大震災と福島第一原発事故に伴う放射線災害は、被災地の住民に多大

な困難を強いている。

この問題を地域住民が主体的に解決するために工夫された対話型勉強会の

記録を紹介し、科学者と住民の協働の可能性を探る。

15

16

17

18

Page 29: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 29

「市街地の中の天然記念物ヒメボタル」

吹田ヒメボタルの会

千里ニュータウンの市街化を免れ、僅かに残った緑地。その緑地に大阪府が

「準絶滅危惧種」に指定するヒメボタルが棲息している。吹田市民による保

護活動の結果、市は天然記念物に指定し、次世代に残し伝えることにした。

「市民が生態学を学び国際誌に挑戦!」

長崎摂(豊中市立第十四中学校)

私は長年水草ヒメコウホネに関わる昆虫を野外で研究してきました。ヒメ

コウホネを食べる水生のガを寄主にする水生の寄生蜂がいます。今回この

寄生蜂が寄主をどのように探すかとともに、独学で生態学を学び、原稿投

稿の苦闘の歴史もご紹介したいと思います。

「元素の立体周期表“エレメンタッチ”」

前野悦輝(京都大学大学院理学研究科 教授)

全ての物質を作り出す元素の規則性を 1 枚の表にまとめたものが「元素の

周期表」です。それをさらに改良すべく私が考案した元素の立体周期表“エ

レメンタッチ”(ペン立てとしても使える)を皆さんに製作していただきま

す。

19

20

21

Page 30: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 30

「牛乳の泡の不思議」

京都府立洛北高等学校

牛乳を泡の立ちやすさに温度依存性がある事に気づきそれが成分に影響を

受けると仮定して、無脂肪牛乳から普通牛乳まで脂質濃度の異なる牛乳を

用いて実験した所20~30℃付近では脂質は泡の形成を阻害するが40~50℃

付近では増進させる事がわかった。

「低層ビル群における風の研究」 京都府立洛北高等学校

低層ビル群では風が建物により影響を受けると仮定し、学校をモデルにし

て調べた。風船落下実験、模型実験、ヘリウムと空気の混合気体入り風船

による観測により、風は建物の形状、高さ、辺の長さにより、上昇流、跳

ね返る風の割合が変わることが分かった。

「腎臓病を治る病気にするために、今何が必要なのか」

柳田素子(京都大学大学院医学研究科 教授)

慢性腎臓病の患者さんが増え続け、今や国民病となっているにもかかわら

ず、腎臓病にはまだまだ謎が多く、その治療法は決して満足できるもので

はありません。今必要なのは、腎臓病の病因・病態を明らかにすることで

腎臓病の新しい治療法を開発し、「腎臓病を治る病気にする」ことです。

その目標のために私たちが志す研究の方向性についてご説明させていただ

きます。

「ようこそ 兵庫県一の湧水湿原へ」

丸山湿原群保全の会

宝塚市北部西谷地域にある丸山湿原は、標高 328.4m の丸山の南西に位置し

ます。湿原群合計面積は約 2,800 ㎡、確認された動植物の出現数は動物 89

種、植物 153 種。面積・出現数ともに県下一とされます。貴重な自然と生

態系を後世に引き継ぐために、地域内外の住民、学識者、関係行政が連携・

協働して保全活動を行っています。

22

23

24

Page 31: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 31

「Science Codex の活動紹介」

Kyoto Science Codex

我々は名古屋にあるサイエンスカフェ・ガリレオ・ガリレイと連携し、こ

れまで毎月、京大院生の研究内容を紹介したランチョンマットの製作を行

ってきました。その内容を紹介いたします。

「博物館で昔のくらしを探究する」

琵琶湖博物館はしかけグループ

「近江はたおり探検隊」「近江昔くらし倶楽部」

滋賀県立琵琶湖博物館には、意欲ある方とともに活動を企画・運営し、と

もに博物館を作るための「はしかけ制度」があります。現在、活動する 15

グループの内、「昔のくらしの調査・再現・伝承」に関わる 2つの活動を紹

介します。

「えれめんトランプを楽しもう!」

元素周期表同好会(化学同人内)

現在の元素周期表は 112 種類の元素からできています。112 枚の元素カード

と元素をつくっている素粒子のカード 28 枚からできている「えれめんトラ

ンプ」で、 ゲームを楽しみながら「元素」を知っていただく企画です。

「単一イオン原子時計と基礎物理」

杉山和彦(京都大学大学院工学研究科 准教授)

原子固有の振動の周期をふり子のように使って時間を測る原子時計は、極め

て高精度で、1 秒の定義や GPS の基準に使われています。私たちは原子を 1

個だけ真空の空間に静止させ、正確さ 10 のマイナス 18 乗、宇宙の誕生から

現在まで動かしても 1秒しかくるわない、という極限性能を追求します。こ

のような精密計測は、物理法則の検証にもつながります。

25

26

27

30

Page 32: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

京都大学アカデミックデイ (2012 年 3 月 10 日) 出展報告 32

「カワヨシノボリの成魚の塩分耐性」

京都府立嵯峨野高等学校

カワヨシノボリは一生淡水中ですごすとされる。しかし、近縁種の多くは

両側回遊魚であり、本種の塩分耐性に関する報告は無いので、本種が海を

移動できないかどうかはわからない。そこで、本研究では本種の成魚の塩

分耐性を調べた。

「YBCO 超伝導体」 京都府立嵯峨野高等学校

超伝導体は医療機器をはじめとして、身近なところでも利用されつつある。

我々は YBCO 超伝導体を作成し、超伝導体の特徴である「低温で電気抵抗が

ゼロになること」と「磁力線の排除」という 2つの性質を、手作りの実験器

具を用いて調べた。

「アフリカ熱帯雨林の食料と非木材森林産物」

荒木茂(京都大学アフリカ地域研究資料センター 教授)

カメルーン東南部の熱帯雨林では現在、過剰な木材伐採を防ぐためゾーニ

ングによる利用規制が進行し、これが地域住民の生活に大きな影響を与え

ている。これを防ぐため、非木材森林資源の有効利用、農業の集約化への

方策を考える。

31

32

Page 33: 京都大学アカデミックデイ2011報告書

編 集 者:白井哲哉(京都大学学術研究支援室)

水町衣里(京都大学物質‐細胞統合システム拠点/総合博物館)

加納圭(京都大学物質‐細胞統合システム拠点)

元木環(京都大学情報環境機構/学術情報メディアセンター)

デザイン:永田奈緒美(京都大学学術情報メディアセンター)

写 真:大森貴生

発 行 日:2012 年 3 月 24 日

発 行:京都大学国際研究部研究推進課

京都大学「国民との科学・技術対話」ワーキンググループ

京都大学学術研究支援室(URA室)

問 合 せ:〒606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学学術研究支援室

Tel:075-753-5113 E-mail:[email protected]